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「ディープインパクト (競走馬)」の版間の差分

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|名 = ディープインパクト<ref name="jbis">{{Cite web|和書|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000742976/ |title=ディープインパクト |website=JBISサーチ |publisher=[[日本軽種馬協会]] |accessdate=2021-06-22}}</ref>
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|金 = 14億5455万1000円<br />※歴代2位(引退時)
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|鞍 = {{color|red|GI}}:[[皐月賞]]、[[東京優駿]]、[[菊花賞]](2005年)<br />[[天皇賞(春)]]、[[宝塚記念]]、[[ジャパンカップ]]、<br />[[有馬記念]](2006年)<br /> {{color|blue|GII}}:[[弥生賞]]、[[神戸新聞杯]](2005年)<br />[[阪神大賞典]](2006年)
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|レ値 = L124 - E118 / 2005年<ref name="IFHA2005lanking">[[国際競馬統括機関連盟|国際競馬統括機関連盟 (IFHA)]] 2005年12月31日付 [http://www.horseracingintfed.com/resources/2005Rankings/2005_WorldRankings.asp The World Thouroughbred Racehorse Rankings] 2016年10月10日閲覧。</ref><br />L127 - E123 / 2006年<ref name="IFHA2006lanking"/>
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|}}
|}}
'''ディープインパクト'''({{lang-en-short|Deep Impact}}、[[2002年]](平成14年)[[3月25日]] - )は、[[日本]]元[[競走馬]]、[[種牡馬]]である。史上6頭目の[[中央競馬クク三冠]]馬(史上2頭目の無敗での三冠馬)である。[[2005年]](平成17年)、[[2006年]](平成18年)[[JRA賞]]年度代表馬、2005年(平成17年)[[JRA賞最優秀3歳牡馬]]、2006年(平成18年)[[JRA賞最優秀4歳以上牡馬]]。 [[2008年]](平成20年)には[[JRA顕彰馬|顕彰馬]]に選出された
'''ディープインパクト'''([[欧字]]名:{{Lang|en|Deep Impact}}、[[2002年]](平成14年)[[3月25日]] - [[2019年]](令和年)[[7月30日]])は、[[日本]]の[[ブレ]]である。


[[競走馬]]として、2005年(平成17年)に[[シンボリルドルフ]]以来日本競馬史上2頭目となる、無敗での[[中央競馬クラシック三冠]]を達成、2006年(平成18年)には日本調教馬としては初めて芝部門・[[距離 (競馬)#SMILE 区分|長距離]]部門で世界ランキング1位となった<ref name="IFHA2006lanking">[[国際競馬統括機関連盟|国際競馬統括機関連盟 (IFHA)]] 2006年12月31日付 [http://www.horseracingintfed.com/resources/2006Rankings/2006_WorldRankings.asp The World Thouroughbred Racehorse Rankings] 2016年4月2日閲覧。</ref><ref name="IFHA20061231">[[国際競馬統括機関連盟|国際競馬統括機関連盟(IFHA)]] [http://www.horseracingintfed.com/resources/2006Rankings/1_16_07_WTRR_PressRelease.asp The IFHA WORLD THOROUGHBRED RACEHORSE RANKINGS for 2006] 2016年4月2日閲覧。</ref>。
== 経歴 ==

=== デビュー前 ===
[[種牡馬]]としては2012年から[[2022年]]の11年連続日本[[リーディングサイアー]]であり<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000742976/sire/record/ |title=種牡馬情報:種牡馬成績 |ディープインパクト |publisher=日本軽種馬協会 |website=JBISサーチ |accessdate=2020-01-01}}</ref>、日本、[[イギリス]]、[[フランス]]、[[アイルランド]]の4カ国で[[ダービー (競馬)|ダービー]]馬を輩出<ref name="derby">{{Cite news|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2023/07/02/kiji/20230702s00004050239000c.html|title=海外でも特大インパクトのディープ産駒!!日仏英愛でダービー制覇、最終世代オーギュストロダン躍動|publisher=スポーツニッポン|accessdate=2023-07-03}}</ref>。国内[[クラシック (競馬)|クラシック競走]]を歴代最多の24勝、欧州クラシック競走を8勝するなど国内外で歴史的成功を収めた<ref>{{Cite news|url=https://news.netkeiba.com/?pid=column_view&cid=51977|title=海外クラシックでも活躍する恐るべき種牡馬ディープインパクト|website=news.sp.netkeiba.com|publisher=株式会社ネットドリーマーズ|accessdate=2022-10-25}}</ref><ref name="derby"/>。2020年には産駒の[[コントレイル_(競走馬)|コントレイル]]が日本競馬史上3頭目の無敗での中央競馬クラシック三冠を達成し、世界初の父子2世代での無敗三冠<ref>{{Cite web|和書|title=【菊花賞】コントレイル 父ディープインパクト 親子2代での牡馬三冠 空前絶後の大記録は達成されるのか|url=https://www.tv-tokyo.co.jp/sports/articles/2020/10/014598.html|publisher=テレビ東京|date=2020-10-25|accessdate=2021-12-30}}</ref><ref group="注">[[アメリカクラシック三冠|アメリカ三冠]]では[[ギャラントフォックス]]と[[オマハ_(競走馬)|オマハ]]の父子が三冠を達成しているが、どちらもデビュー戦にて敗戦している。</ref>を達成した。

[[2005年]]に[[JRA賞]]年度代表馬・[[JRA賞最優秀3歳牡馬|最優秀3歳牡馬]]、2006年に年度代表馬・[[JRA賞最優秀4歳以上牡馬|最優秀4歳以上牡馬]]を受賞し<ref name=jrasho>{{Cite web|和書|url=https://www.jra.go.jp/datafile/jrasho/jrasho_bn.html|title=JRA賞 バックナンバー|publisher=日本中央競馬会|accessdate=2015-11-16}}</ref>、 [[2008年]](平成20年)には[[JRA顕彰馬|顕彰馬]]に選出された<ref name="顕彰馬">{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=28066 |title=ディープインパクトが殿堂入り |publisher=ネットドリーマーズ |website=netkeiba.com |date=2008-05-08 |accessdate=2018-12-24}}</ref>。

多くの功績を残し<ref>{{Cite web |title=ディープインパクト|3分でわかった気になる名馬 JRA |url=https://www.jra.go.jp/gallery/3minmeiba/horse31/index.html |website=www.jra.go.jp |access-date=2024-07-15}}</ref><ref>{{Cite web |title=ディープインパクトの軌跡 日本近代競馬の結晶よ、永遠にーー。 {{!}} 競馬まとめ |url=https://dir.netkeiba.com/keibamatome/horse/2002100816/index.html |website=netkeiba.com |access-date=2024-07-15}}</ref>、『日本近代競馬の結晶』([[#三冠達成、有馬記念での初黒星|後述]])<ref name="優駿p42" />『日本競馬の至宝』『究極のサラブレッド』<ref>{{Cite web |title=未来に語り継ぎたい名馬 JRAレーシングビュアー |url=https://prc.jp/jraracingviewer/contents/yushun/001.html |website=prc.jp |access-date=2024-09-03}}</ref>などと称された、日本競馬史上最強と言われる競走馬の一頭である。

== 競走馬時代 ==
=== 生い立ち ===
==== ノーザンファーム時代 ====
==== ノーザンファーム時代 ====
ディープインパクトは[[2002年]](平成14年)[[3月25日]]<ref group="注">父サンデーサイレンスも[[1986年]](昭和61年)の同じ日に生まれている。</ref>[[北海道]][[勇払郡]][[早来町]](現在の[[安平町]])の[[ノーザンファーム]]で生まれた<ref group="注">ノーザンファームの同期には[[シーザリオ]]、[[ラインクラフト]]、[[カネヒキリ]]、[[ヴァーミリアン]]、[[インティライミ]]といったメンバーが名を連ねている。</ref>ノーザンファーム場長の秋田博章は生まれたばかりの同馬を見て、体のバランスは良いと思ったが、ほかの馬と比較して目立って良い点があるとは感じなかったと証言している<ref>NHK取材班2006年、37頁。</ref>。
[[2002年]](平成14年)[[3月25日]]<ref group="注">父サンデーサイレンスも[[1986年]](昭和61年)の同じ日に生まれている。</ref>[[北海道]][[勇払郡]][[早来町]](現在の[[安平町]])の[[ノーザンファーム]]で同期には[[シーザリオ]]、[[カネヒキリ]]、[[ラインクラフト]]、[[インティライミ]]、[[ヴァーミリアン]]が名を連ね<ref name="kenmoku&ookap502">[[#兼目・大岡2010|兼目・大岡2010]]、502頁。</ref>ノーザンファーム場長の秋田博章は生まれたばかりの同馬を見て、体のバランスは良いと思ったが、ほかの馬と比較して目立って良い点があるとは感じなかったと語っている<ref>[[#NHK取材班|NHK取材班2006年]]、37頁。</ref>。


0歳時に[[セレクトセール]]に上場されたディープインパクトは、[[金子真人]]に7000万円で落札された。馬が嫌われたの、上場された[[サンデーサイレンス]]の産駒14頭のうち9番目<ref group="注">トップは[[ダンシングキイ]]の2002(のちの[[トーセンダンス]])の3億5000万円</ref>の落札価格だった。購入した金子はこのときの瞳の輝きに衝撃を受け、また多くの人々に強い衝撃を与える馬になって欲しいという思いから「ディープインパクト」と名付けた<ref>週刊Gallop編集部2006年a、49頁。</ref>。
0歳時に[[セレクトセール]]に「ウインドインハーヘアの2002」として上場されたディープインパクトは、[[金子真人]]に7000万円で落札された<ref name=sarabure2015p55>[[#サラブレ編集部(編)2015|サラブレ編集部(編)2015]]、55頁</ref>{{Refnest|group="注"|[[吉田勝己]]によると、金子以外に本馬の落札希望者はおらず、金子の「ひと声」で落札されたという<ref>[[#21世紀名馬Vol.5 ディープインパクト|21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト]]74頁。</ref><ref>[[#追悼ディープインパクト|追悼ディープインパクト]]、84頁。</ref>。}}。馬体が薄かったことから上場された[[サンデーサイレンス]]の[[産駒]]14頭のうち9番目{{Refnest|group="注"|トップは[[ダンシングキイ]]の2002(のちの[[トーセンダンス]])の3億5000万円<ref name=sarabure2015p55/>}}の落札価格だった。購入した金子は「瞳の中に吸い込まれそうな感覚に襲われた」<ref>[[#兼目・大岡2010|兼目・大岡2010]]、501頁。</ref>と証言するほどこのときの瞳の輝きに衝撃を受け、また多くの人々に強い衝撃を与える馬になって欲しいという思いから「ディープインパクト」と名付けた<ref>週刊Gallop編集部2006年a、49頁。</ref>。


ディープインパクトは0歳10月にノーザンファーム遠浅の1歳馬用の厩舎に移動した<ref name="shimada2007051">島田2007年、51頁。</ref>。関節に不安があると判断されたため、遠浅に移動した翌日から「パドック」と呼ばれる小さな放牧地に入れられて運動を制限された。広い場所で放牧されるようになったのはそれから約1か月後だった<ref>NHK取材班2006年、39-40頁。</ref>。ノーザンファーム場長の秋田は遠浅時代のディープインパクトについて、集団のリーダーではなかったものの、集団の先頭に立って走ろうとし、薄い[[蹄]]([[ディープインパクト (競走馬)#身体的特徴|身体的特徴]]の項目を参照)を擦り減らして血だらけになりながらも走るのをやめなかったと証言している<ref name=gallop20050720048>週刊Gallop編集部、2005年a、48頁。</ref>。
ディープインパクトは0歳10月にノーザンファーム遠浅の1歳馬用の厩舎に移動した<ref name="shimada2007051">[[#島田2007|島田2007年]]、51頁。</ref>。関節に不安があると判断されたため、遠浅に移動した翌日から「パドック」と呼ばれる小さな放牧地に入れられて運動を制限された。広い場所で放牧されるようになったのはそれから約1か月後だった<ref>[[#NHK取材班|NHK取材班2006年]]、39-40頁。</ref>。ノーザンファーム場長の秋田は遠浅時代について、集団のリーダーではなかったものの、集団の先頭に立って走ろうとし、薄い[[蹄]]([[ディープインパクト (競走馬)#身体的特徴|身体的特徴]]の項目を参照)を擦り減らして血だらけになりながらも走るのをやめなかったと語っている<ref name="gallop20050720048">『[[#ディープインパクト 衝撃2冠までの足跡|ディープインパクト 衝撃2冠までの足跡]]』、48頁。</ref>。


1歳9月にはノーザンファーム早来に移り育成を受けた<ref name="shimada2007051"/>。小柄で繊細な面があったため、女性スタッフが育成を担当した<ref name=gallop20050720048/>。その育成担当スタッフやノーザンファーム場長の秋田は共にディープインパクトの柔軟性の高さを指摘している([[ディープインパクト (競走馬)#身体的特徴|身体的特徴]]の項目を参照)。一方で、柔軟性がありすぎるところや、小柄で非力なところを欠点として指摘する声もあった<ref name="shimada2007056">島田2007年、56頁。</ref>。
1歳9月にはノーザンファーム早来に移り育成を受けた<ref name="shimada2007051"/>。小柄で繊細な面があったため、女性スタッフが育成を担当した<ref name="gallop20050720048" />。その育成担当スタッフやノーザンファーム場長の秋田は共にディープインパクトの柔軟性の高さを指摘している([[ディープインパクト (競走馬)#身体的特徴|身体的特徴]]の項目を参照)。一方で、柔軟性がありすぎるところや、小柄で非力なところを欠点として指摘する声もあった<ref name="shimada2007056">[[#島田2007|島田2007年]]、56頁。</ref>。


==== 池江泰郎厩舎に入厩 ====
==== 池江泰郎厩舎に入厩 ====
[[ファイル:Yasuo-Ikee20101225.jpg|thumb|150px|池江泰郎]]
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ディープインパクトは[[2004年]](平成16年)[[4月15日]]に早来町のホルスタイン市場で産地馬体審査を受けた<ref name="gallop20070222010">週刊Gallop編集部、2007年、10頁。</ref>。そして同年[[9月8日]]、[[栗東トレーニングセンター]]の[[池江泰郎]]厩舎に入厩し<ref name="gallop20070222010"/>、[[池江敏行]][[調教助手]]と[[市川明彦]][[厩務員]]が担当することになった。初めてディープインパクトを見た市川は、同馬が小柄でかわいらしい顔をしていたため牝馬でないかと思い本当に牡馬かどうか股を覗きこみ確認したという<ref>島田2007年、70頁。</ref>。
ディープインパクトは[[2004年]](平成16年)[[4月15日]]に早来町のホルスタイン市場で産地馬体審査を受けた<ref name="gallop20070222010">[[#さようならディープインパクト|さようならディープインパクト]]、10頁。</ref>。そして同年[[9月8日]]、[[栗東トレーニングセンター]]の[[池江泰郎]]厩舎に入厩し<ref name="gallop20070222010"/>、[[池江敏行]][[調教助手]]と市川明彦[[厩務員]]が担当することになった。初めてディープインパクトを見た市川は、同馬が小柄でかわいらしい顔をしていたため牝馬でないかと思い本当に牡馬かどうか股を覗きこみ確認したという<ref>[[#島田2007|島田2007年]]、70頁。</ref>。


入厩して1か月が経過した10月、坂路の調教で初めてタイムを計ったときに、調教師の池江が58秒から59秒で走らせるように指示したが、これよりも速い54秒前半のタイムを出してきた。それにもかかわらず汗もかかずにまったく疲れた様子がなかったこのとき厩務員の市川は、ディープインパクトを「ただ者ではない」と思ったとのちに語っている<ref>島田2007年、70-71頁。</ref>。その後12月に[[武豊]]騎乗でデビューすることが決定したため、デビュー戦4日前の調教で武が初めて騎乗することになった。調教を終えると武調教助手の池江敏行に「この馬、ちょっとやばいかも」と興奮気味に話し<ref>島田、2007年、75頁。</ref>、翌年の活躍に期待した。
入厩して1か月が経過した10月、坂路の調教で初めてタイムを計ったときに、調教師の池江が58秒から59秒で走らせるように指示したが、これよりも速い54秒前半のタイムを出してきた。この時きっとバテバテなってしまっているに違いいと調教助手の池江敏行が心配して駆け寄ったところ、ディープインパクトは「汗一ついておらずケロとしてい」といい<ref name="kenmoku&ookap502"/>、このとき厩務員の市川は、「ただ者ではない」と思ったとのちに語っている<ref>[[#島田2007|島田2007年]]、70-71頁。</ref>。その後12月に[[武豊]]騎乗でデビューすることが決定したため、デビュー戦4日前の調教で武が初めて騎乗することになった。池江敏行は武に「この馬、ひょっとしたらとんでもない馬かもしれないよ。久々に味わった、気持ちいいぐらいの背中なんだ」と言い<ref name=shimada75>[[#島田2007|島田2007年]]、75頁。</ref>、武が騎乗したディープインパクトは栗東トレーニングセンターのCウッドコースを6ハロン81秒5、ラスト3ハロン38秒3、1ハロン12秒5という時計で走り、併せた馬に1.6秒先着した<ref name=shimada75/>。調教を終えると武は池江敏行に「敏行さん、この馬、ちょっとやばいかも」と興奮気味に話し<ref name=shimada75/>、翌年の活躍に期待した。


=== 現役競走馬時代 ===
==== 2歳 - 3歳(2004年 - 2005年) ====
==== 2歳 - 3歳(2004年 - 2005年) ====
===== 新馬戦から東京優駿まで =====
===== 新馬戦から東京優駿まで =====
2004年(平成16年)[[12月19日]][[阪神競馬場|阪神競馬]]第5競走の2歳[[新馬|新馬戦]](芝2000[[メートル]])で武[[主戦騎手]]に据えてデビュー。武は引退まで手綱を握ることとなる。レースでは、[[上がり (競馬)|上がり]]3ハロン33秒1の脚で、のちに[[金鯱賞]]・[[マイラーズカップ]]など重賞4競走に優勝し[[安田記念]]で2着となる[[コンゴウリキシオー]]に4馬身の差を付けて勝利。レース、厩務員の市川は、このデビュー戦の強い勝ち方に「派手にやってしまった」と消耗を心配したが、レース後すぐに息が戻っていたので「クラシックでも戦える」と思ったという<ref>サラブレ編集部2007年、76頁。</ref>。
2004年(平成16年)[[12月19日]][[阪神競馬場|阪神競馬]]第5競走の2歳[[新馬|新馬戦]](芝2000[[メートル]])で武を据えてデビュー<ref name="新馬">{{Cite web|和書|url=http://db.netkeiba.com/race/200409050605/ |title=2004年12月19日 5回阪神6日目 サラ系2歳新馬 |publisher=ネットドリーマーズ |website=netkeiba.com |accessdate=2016-10-10}}</ref>。武は引退まで手綱を握ることとなる<ref name="netkeiba-DeepImpact"/>。レースでは、[[上がり (競馬)|上がり]]3ハロン33秒1の脚で、のちに[[金鯱賞]]・[[マイラーズカップ]]など重賞4競走に優勝し[[安田記念]]で2着となる[[コンゴウリキシオー]]<ref>{{Cite web|和書|url=http://db.netkeiba.com/horse/2002110159/|title=コンゴウリキシオー|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|accessdate=2016-10-10}}</ref>に4馬身の差を付けて勝利<ref name="新馬"/>。レース前に池江敏行は武に対して「あまり派手に勝たせないでくれ」と願い出ており<ref name="kenmoku&ookap502"/>レース後厩務員の市川は、このデビュー戦の強い勝ち方に「派手にやってしまった」と消耗を心配したが、レース後すぐに息が戻っていたので「クラシックでも戦える」と思ったという<ref>[[#サラブレ編集部|サラブレ編集部2007年]]、76頁。</ref>。


{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=ESgZxhX_t5g 2004年 2歳新馬 JRA]}}
続く2戦目は[[2005年]](平成17年)[[1月22日]]に、[[京都競馬場]]で行われた[[若駒ステークス]]だった。レース数日前、武豊は「すごいことになるから見ていてください」と対談相手に語っていた<ref>週刊Gallop編集部、2007年、12頁。</ref>。レースでは最後方から競馬をし、4コーナーに入っても先頭の馬から10馬身程度の差があったが、直線で一気に突き抜け5馬身差で勝利。この勝ちっぷりで、ディープインパクトの名が一気に全国区となった。またこの時点で三冠達成を確実視する声もあった<ref>島田、2007年、82頁。</ref>。


[[島田明宏]]によると、このレースの翌週の水曜日、ある雑誌の企画で京都のシティホテルで行われた、ディープインパクトの新馬戦の11日前に[[香港]]で達成した海外通算100勝をメインテーマにしたインタビューを一通り終えたあとに、武の方から「ちょっと読者用に来年の楽しみな一頭を言うとしたら、先週デビューしたディープインパクトですね。これはみなさん覚えておいてください」と言ったという<ref>[[#島田2007|島田2007年]]、78頁。</ref>。
次走には皐月賞トライアルの第42回[[弥生賞]]に出走。関東では初出走となったが、[[ハイセイコー]]を超える当競走史上最高の[[投票券 (公営競技)#単勝式|単勝]]支持率71.5[[パーセント]]を記録した。レースでは2歳王者の[[マイネルレコルト]]や[[京成杯]]を制した[[アドマイヤジャパン]]以下にクビ差ではあったものの鞭を一回も振るわずに<ref>週刊Gallop編集部、2007年、13頁。</ref>勝利し、クラシックの最有力馬に躍り出る。


続く2戦目は[[2005年]](平成17年)[[1月22日]]に、[[京都競馬場]]で行われた[[若駒ステークス]]だった。レース数日前、武は「すごいことになるから見ていてください」と対談相手に語っていた<ref>[[#さようならディープインパクト|さようならディープインパクト]]、12頁。</ref>。レースでは最後方から競馬をし、4コーナーに入っても先頭の馬から10馬身程度の差があったが、直線で一気に突き抜け5馬身差で勝利。武はこのレースについて「前が飛ばしすぎだと思ったからあわてることはありませんでした。捕まえられるだろうと思っていました」と振り返っている<ref>[[#武・ペリエ2006|武・ペリエ2006]]、202頁。</ref>。この若駒ステークスでの圧勝によって、早くも「三冠は確実」とまで言われる存在となった<ref>[[#島田2007|島田2007年]]、82頁。</ref>。
第65回[[皐月賞]]では、単勝支持率が63.0パーセント([[オッズ]]は1.3倍)と、[[1951年]](昭和26年)の[[トキノミノル]]の73.3パーセントに次ぐ史上2位となった。レース開始直後にいきなり躓き落馬寸前まで体勢を崩し、ほかの馬から4馬身ほど離れた最後方からの競馬になった。さらに向こう正面で[[ローゼンクロイツ (競走馬)|ローゼンクロイツ]]と接触する場面があった。それでも、4コーナーでディープインパクトの気を抜く素振りを感じた武豊がレースで初めて[[鞭]]を入れると<ref>優駿編集部、2006年、16頁。</ref>、直線では2着の[[シックスセンス (競走馬)|シックスセンス]]に2馬身半の差をつけ勝利。[[フジテレビジョン|フジテレビ]]系で実況を担当した[[塩原恒夫]]アナウンサーはゴール直後、「武豊、三冠馬との巡り合い」と五七五風にその勝利を讃えると同時に三冠を確実視するコメントを発した。勝利騎手インタビューで武豊は「いや、もうパーフェクトですよ、ホントにね。'''走っていると言うより飛んでいる感じなんでね'''」と言葉を残した。レース後の記念撮影で武豊は指を1本立てて一冠をアピールした。これは[[シンボリルドルフ]]の三冠競走で主戦騎手であった[[岡部幸雄]]が行ったパフォーマンスと同じ事実上の三冠宣言であった。


{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=Zf30aRkhQ3U 2005年 若駒ステークス JRA]}}
{{multiple image

次走には皐月賞トライアルの第42回[[弥生賞]]に出走。武はこのレースを前にして、マスコミを通じてファンに向けて「競馬場に見に来る価値のある馬だと思います」とコメントした<ref name=21世紀の名馬13>[[#21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト|21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト]]、13頁。</ref><ref name=追悼28>[[#追悼ディープインパクト|追悼ディープインパクト]]、28頁。</ref>。関東では初出走となったが、[[ハイセイコー]]を超える当競走史上最高の[[投票券 (公営競技)#単勝式|単勝]]支持率71.5[[パーセント]]を記録した<ref name=追悼28/>。レースでは2歳王者の[[マイネルレコルト]]や[[京成杯]]を制した[[アドマイヤジャパン]]以下にクビ差ではあったものの鞭を一回も振るわずに<ref>[[#さようならディープインパクト|さようならディープインパクト]]、13頁。</ref>勝利し、クラシックの最有力馬に躍り出る。<br />レース後、武は勝利騎手インタビューで代表質問が終わった後、ディープの良さは何か、と問われると「負けないところです」と答えた<ref name="shimada86">[[#島田2007|島田2007年]]、86頁。</ref>。また、3着に敗れたマイネルレコルト鞍上の[[後藤浩輝]]は、「ディープインパクトに並ばれた時、威圧感を感じました」とコメントした<ref>[[#島田2007|島田2007年]]、84-85頁。</ref>。

{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=3HGGQ9rX0Zs 2005年 弥生賞 JRA]}}

第65回[[皐月賞]]では、単勝支持率が63.0パーセント([[オッズ]]は1.3倍)と[[1951年]](昭和26年)の[[トキノミノル]]の73.3パーセントに次ぐ史上2位となった<ref name=21世紀の名馬16> [[#21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト|21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト]]、16頁。</ref><ref name=追悼32>[[#追悼ディープインパクト|追悼ディープインパクト]]、32頁。</ref>。レース開始直後にいきなり躓き落馬寸前まで体勢を崩し、ほかの馬から4馬身ほど離れた最後方からの競馬になった。さらに向こう正面で[[ローゼンクロイツ (競走馬)|ローゼンクロイツ]]と接触する場面があった。それでも、4コーナーでディープインパクトの気を抜く素振りを感じた武がレースで初めて[[鞭]]を入れると<ref>[[#優駿2006|優駿編集部2006年]]、16頁。</ref>、直線では2着の[[シックスセンス (競走馬)|シックスセンス]]に2馬身半の差をつけ勝利。[[フジテレビジョン|フジテレビ]]系で実況を担当した[[塩原恒夫]]アナウンサーはゴール直後、「武豊、三冠馬との巡り合い」と五七五風にその勝利を讃えると同時に三冠を確実視するコメントを発した。無敗での皐月賞制覇は2001年の[[アグネスタキオン]]以来16頭目であり、また弥生賞勝ち馬の皐月賞制覇もアグネスタキオン以来の10頭目となった<ref name=21世紀の名馬16/><ref name=追悼32/>。武は[[蛯名武五郎]]、[[渡辺正人 (競馬)|渡辺正人]]、[[岡部幸雄]]と並ぶ皐月賞最多の3勝目を挙げ{{Refnest|group="注"|他の2勝は1993年の[[ナリタタイシン]]、2000年の[[エアシャカール]]での勝利。最多勝記録は2015年に[[ミルコ・デムーロ]]が[[ドゥラメンテ]]で4勝目を挙げて更新した<ref name=21世紀の名馬16/><ref name=追悼32/>。}}、レース後の勝利騎手インタビューではディープインパクトの走りについて、
{{Quotation|いや、もうパーフェクトですよ、ホントにね。'''走っていると言うより飛んでいる感じなんでね'''<ref>[[#島田2007|島田2007年]]、96頁。</ref><ref>[[#21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト|21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト]]、14頁。</ref><ref name=優駿p42>[[#『優駿』2019年9月号|『優駿』2019年9月号]]、42頁。</ref><ref>[[#追悼ディープインパクト|追悼ディープインパクト]]、31頁。</ref>}}
と答えた。当日の中山競馬場には前年を5000人近く上回る8万5146人が入場し<ref name=21世紀の名馬16/><ref name=追悼32/>{{Refnest|group="注"|前年比106.2%<ref name=21世紀の名馬16/><ref name=追悼32/>。}}、売り上げも前年比100.3%の256億7616万600円を記録した<ref name=21世紀の名馬16/>。レース後の記念撮影で武は競馬学校時代の1984年に無敗での三冠を達成した[[シンボリルドルフ]]の主戦騎手・岡部幸雄が行ったパフォーマンスと同じ、指を1本立てて三冠取りをアピールした<ref>[[#武・ペリエ2006|武・ペリエ2006]]、203頁。</ref>。

{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=uxZSuYXvl6A 2005年 皐月賞 JRA]}}{{multiple image
| image1 = Deep Impact Japanese Derby.jpg
| image1 = Deep Impact Japanese Derby.jpg
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| caption2 = 東京優駿の優勝馬服を着せられたディープインパクト
| caption2 = 東京優駿の優勝馬服を着せられたディープインパクト
}}
}}
迎えた[[東京優駿]]。当日の[[東京競馬場]]には前年比114.8パーセントとなる14万143人もの観衆が押し寄せた<ref>週刊Gallop編集部、2005年a、30頁。</ref>。左回りのコースは初めてだったが、単勝支持率は73.4パーセント(オッズは1.1倍)とハイセイコーの持っていた当競走における単勝支持率最高記録を更新する人気となった。スタートは皐月賞同様に出遅れ、道中は後方につけるも、4コーナーでは横に大きく広がった馬群の最外を通り、直線では1頭先に抜け出した[[インティライミ]]に残り200メートル地点で並んでから同馬を突き放して5馬身の差をつけ、前年の[[キングカメハメハ]]に並ぶ2分23秒3のレースレコードタイで優勝。[[1992年]](平成4年)の[[ミホノブルボン]]以来となる史上6頭目の無敗の[[二冠馬|二冠]]を達成した。武豊は勝利騎手インタビュで「感動しています。こ強さ…」と言、レース後の記念撮影では指を2本立て二冠をアピールした。そして翌日[[スポツニッポン]]の手記で武豊はディプインパクトのこと'''英雄'''というニックネームで呼ぶことを自ら提案した<ref group="注">そ理由として武豊は、苦境に立たされそうな場面で必ず自分やファンを救い、さらに売り上げの増加という点で競界も救ってくれたからだと述べている(島田、2007年、130頁)。</ref><ref>島田、2007年、130頁。</ref>。対戦した騎手もその勝ち方を高く評価し、[[四位洋文]]は「サラブレッド理想形」、[[ケント・デザ]]は「[[セクレタアト]]のようなレース運びだった」と語っている<ref>優駿編集部、2006年、174頁。</ref>。
5月29日の東京優駿では、当日の[[東京競馬場]]には前年比114.8パーセントとなる14万143人もの観衆が押し寄せた<ref>[[#ディープインパクト 衝撃2冠までの足跡|ディープインパクト 衝撃2冠までの足跡]]、30頁。</ref>。左回りのコースは初めてだったが、単勝支持率は73.4パーセント(オッズは1.1倍)とハイセイコーの持っていた当競走における単勝支持率最高記録を更新する人気となった<ref name=21世紀の名馬21>[[#21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト|21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト]]、21頁。</ref><ref name=追悼37>[[#追悼ディープインパクト|追悼ディープインパクト]]、37頁。</ref>。スタートは皐月賞同様に出遅れ、道中は後方につけるも、4コーナーでは横に大きく広がった馬群の最外を通り、直線では1頭先に抜け出した[[インティライミ]]に残り200メートル地点で並んでから同馬を突き放して5馬身の差をつけ、前年の[[キングカメハメハ]]に並ぶ2分23秒3のレースレコードタイで優勝。[[1992年]](平成4年)の[[ミホノブルボン]]以来となる史上6頭目の無敗の[[二冠馬|二冠]]を達成した。オーナーの金子真人は前年キングカメハメハいて馬主として史上初連覇達成した<ref name=21世紀21/><ref name=追悼37/>{{#tag:ref|2011年・2012年には[[サンデーレーシング]]がクラブ法人馬主として初となる東京優駿連覇を達成している(2011年[[オルフェヴル]]、2012年[[ディープブランテ]]<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2012/05/28/kiji/K20120528003340770.html|title=【日本ダービー】史上初!同一馬主“ワンツー” |publisher=スポニチ Sponichi Annex|website=sponichi.co.jp|accessdate=2020-08-20}}</ref>。|group="注"}}


{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=20C36WKNLZw 2005年 日本ダービー JRA]}}
===== 三冠達成、そして有馬記念での初黒星 =====
東京優駿の後は、まず栗東トレーニングセンターで調整されたが、[[7月10日]]に[[札幌競馬場]]に移動し<ref name="shimada2007141">島田、2007年、141頁。</ref>、それから約2か月間は同競馬場で調整された<ref name="shimada2007154">島田、2007年、154頁。</ref>。[[放牧]]に出さずに札幌競馬場で調整されたのは、厩舎での調整のリズムを変える必要がないことと、[[避暑]]ができるからであった<ref name="shimada2007141"/>。札幌競馬場での調整では行きたがる気性を治すための調教もされた([[ディープインパクト (競走馬)#性格・気性|性格・気性]]の項目を参照)。[[9月11日]]に栗東トレーニングセンターに戻り、その後は栗東で調整が行われた<ref name="shimada2007154"/>。


武は勝利騎手インタビューで「感動しています。この馬の強さに…」と言い、レース後の記念撮影では指を2本立てて二冠をアピールした。武によるとこのレースは「アクシデントさえなければ勝てるだろう」というぐらいの自信があったといい、「ディープの状態は万全でしたし、中山2000メートルから東京の2400メートルに舞台が変わることが、乗っている立場としては気持ち的には楽でした。前走の皐月賞で初めて目いっぱいの競馬をしたことで、ダービーではもっと走るだろうという思いもありましたね」と述べている<ref>[[#21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト|21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト]]、19頁。</ref><ref>[[#追悼ディープインパクト|追悼ディープインパクト]]、34頁。</ref>。
秋初戦となった[[神戸新聞杯]]は、最後方から2番手の位置でレースを進めたが、直線に向くと先頭に立ち、2着シックスセンスに楽に2馬身半の差をつける完勝。勝ちタイム1分58秒4は[[トウショウボーイ]]が持つ従来の記録を塗り替えるレースレコード。[[菊花賞]]に向けて順調なスタートを切った。


そして翌日の[[スポーツニッポン]]の手記において、武はディープインパクトのことを'''英雄'''というニックネームで呼ぶことを自ら提案した{{Refnest|group="注"|その理由として武豊は、苦境に立たされそうな場面で必ず自分やファンを救い、さらに売り上げの増加という点で競馬界も救ってくれたからだと述べている<ref name=shimada130>[[#島田2007|島田2007年]]、130頁</ref>。}}<ref name=shimada130/>。対戦した騎手もその勝ち方を高く評価し、[[四位洋文]]は「サラブレッドの理想形」、[[ケント・デザーモ]]は「[[セクレタリアト]]のようなレース運びだった」と語っている<ref>[[#優駿2006|優駿編集部2006年]]、174頁。</ref>。
[[ファイル:Deep Impact(horse) 20051023 3.jpg|200px|right|thumb|2005年10月23日、京都競馬場にて、菊花賞]]
そして三冠のかかった2005年(平成17年)[[10月23日]]の第66回菊花賞。京都競馬場には菊花賞の入場動員レコードとなる13万6701人(前年度比182.0パーセント)の観客が押し寄せた<ref name="gallop20051130014">週刊Gallop編集部、2005年b、14頁。</ref>。ディープインパクトの単勝支持率は79.03パーセントとなり、単勝式オッズは1.0倍(100円元返し)となった。この単勝支持率は菊花賞としては[[1963年]](昭和38年)の[[メイズイ]](6着)の83.2パーセントに次ぐ史上2位<ref group="注">菊花賞優勝馬としては[[1943年]](昭和18年)の[[クリフジ]]の75.0パーセントを超える史上最高支持率となった。</ref>、[[グレード制]]施行後の重賞としては当時史上最高の単勝支持率であった<ref group="注">2011年の[[チューリップ賞]]で[[レーヴディソール]]が単勝支持率81.4パーセントを記録し、これを更新した。</ref>。レースでは好スタートを切ったものの、スタート後の最初の3コーナーから掛かってしまう。そのため武豊はディープインパクトを馬群の内側に入れ、前に行くのを防いだ。その後馬群中団で落ち着いたディープインパクトは、直線で先に抜け出していたアドマイヤジャパンを差し切り2馬身差をつけて優勝。シンボリルドルフ以来、21年ぶり史上2頭目の無敗での三冠馬となった。なお、ゴール前での[[馬場鉄志]]アナウンサーの実況「'''世界のホースマンよ見てくれ! これが! 日本近代競馬の結晶だ!'''」は[[2005年]](平成17年)の[[FNSアナウンス大賞]]を受賞した。そしてレース後の記念撮影では武豊が指を3本立てて三冠をアピールした(レースに関する詳細については[[第66回菊花賞]]を参照)。


==== 三冠達成、有馬記念での初黒星 ====
[[ファイル:The Arima Kinen 2005.jpg|200px|right|thumb|第50回有馬記念(2005年12月25日、中山競馬場にて撮影。ハーツクライの2着に敗れ、デビュー戦からの連勝記録が「7」で途絶える)]]
東京優駿の後は、まず栗東トレーニングセンターで調整されたが、[[7月10日]]に[[札幌競馬場]]に移動し<ref name="shimada2007141">[[#島田2007|島田2007年]]、141頁。</ref>、それから約2か月間は同競馬場で調整された<ref name="shimada2007154">[[#島田2007|島田2007年]]、154頁。</ref>。[[放牧]]に出さずに札幌競馬場で調整されたのは、厩舎での調整のリズムを変える必要がないことと、[[避暑]]ができるからであった<ref name="shimada2007141"/>。札幌競馬場での調整では行きたがる気性を治すための調教もされた([[ディープインパクト (競走馬)#気性・性格・知能の特徴|性格・気性]]の項目を参照)。[[9月11日]]に栗東トレーニングセンターに戻り、その後は栗東で調整が行われた<ref name="shimada2007154"/>。
菊花賞後、陣営はディープインパクトを年内にあと1レース出走させる方針を示したうえで、[[ジャパンカップ]]と[[有馬記念]]のどちらに出走するかを検討し、最終的に有馬記念に出走させることを決定した<ref>島田、2007年、178-179頁。</ref>。事前のファン投票では160,297票を集めて1位となった。レース当日の中山競馬場には前年比129.6パーセントとなる16万2409人もの大観衆<ref>週刊Gallop編集部、2007年、23頁。</ref>が押し寄せた。[[古馬]]とは初対決となったものの、単勝式オッズは1.3倍を記録した。しかしレースでは、いつものように後方から進めるも、[[ハーツクライ]]に半馬身及ばず2着に惜敗し、8戦目にして初黒星を喫した。レース後、鞍上の武豊は「今日は飛ぶような走りではなかった。普通に走ってしまった」と初めての敗戦にショックを隠し切れないコメントを残している<ref>「[http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/2005d_impact/KFullNormal20051226010.html 武豊「残念、理由分からない」〜有馬]」 スポーツニッポン、2005年12月26日。</ref>(レースに関する詳細については[[第50回有馬記念]]を参照)。


秋初戦となった[[神戸新聞杯]]は、91人の徹夜組も含めて前年比147.2%の4万6775人の観客が阪神競馬場に詰めかけた<ref name=shimada159>[[#島田2007|島田2007年]]、159頁。</ref>。馬体重は前走の東京優駿と同じく448kgで<ref name=shimada159/>、単勝オッズは1.1倍で1番人気に支持された<ref name=shimada160>[[#島田2007|島田2007年]]、160頁。</ref>。ディープインパクトはやや飛び上がるようにしてスタートを切り、道中は最後方から2番手の位置でレースを進めた<ref name=shimada160/>。正面スタンド前ではやや前に行きたがるところを見せたが2コーナーを回って向正面に入ったところでは完全に折り合い<ref name=shimada160/>{{Refnest|group="注"|武は長距離戦の道中のように馬銜を長手綱にして折り合いをつけていた<ref name=shimada160/>。}}、3コーナー過ぎで外に出たディープインパクトは手綱を持ったままの状態で加速し、直線入り口で大外から先頭に並びかけるとそこから瞬時に抜け出し、2着シックスセンスに2馬身半の差をつけて優勝した<ref name=shimada161>[[#島田2007|島田2007年]]、161頁。</ref>。勝ちタイム1分58秒4は[[トウショウボーイ]]が持つ従来の記録を塗り替える当時のレースレコードを記録した<ref>{{Cite web|和書|url= https://news.sp.netkeiba.com/?pid=news_view&no=158341|title= 【ディープ追悼・2005年神戸新聞杯】3冠へ向けた秋初戦は、貫禄のレースレコード |publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2019-07-30|accessdate=2019-10-10}}</ref>。レース後、武は「本当に素晴らしい馬です。なんとかこの馬を三冠馬にしてやりたいですね」とコメントした<ref name=shimada161/>。
2005年(平成17年)の活躍をうけ、この年のJRA賞では年度代表馬および最優秀3歳牡馬に選出された。JRA賞選考委員会の記者投票では最優秀3歳牡馬では満票(291票)を、年度代表馬では285票を獲得した。[[関西競馬記者クラブ賞]]も受賞した。


{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=tAnLZEpvxzo 2005年 神戸新聞杯 JRA]}}{{Vertical_images_list
==== 4歳(2006年) ====
|幅=200px
===== 阪神大賞典から宝塚記念まで =====
|枠幅=200px
[[1月23日]]に行われた前年のJRA賞授賞式において、オーナーの金子が「夏に[[ヨーロッパ]]でいいレースがあれば使いたい」と発言し、海外遠征を行う意向が示された。海外遠征については2月、調教師の池江によって、春は[[阪神大賞典]]から[[天皇賞#天皇賞(春)|天皇賞(春)]]へ向かい、天皇賞(春)の後に[[イギリス]]の[[キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス|キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークス]]と[[フランス]]の[[凱旋門賞]]のどちらに出走するか決定すると発表された<ref>島田、2007年、193-194頁。</ref>。
| 1=Deep Impact(horse) 20051023 3.jpg
| 2=2005年10月23日、京都競馬場にて、菊花賞
| 3=The Arima Kinen 2005.jpg
| 4=第50回有馬記念(2005年12月25日、中山競馬場。ハーツクライの2着に敗れ、デビューからの連勝記録が「7」で途絶える)
}}
エアメサイアで勝利した10月16日の秋華賞の勝利インタビューで武は、「来週に大きな仕事(ディープインパクトの三冠)が残っていますから。」と答えた。そして三冠のかかった2005年(平成17年)[[10月23日]]の第66回菊花賞では、京都競馬場には菊花賞の入場動員レコードとなる13万6701人(前年度比182.0パーセント)の観客が押し寄せた<ref name="gallop20051130014">[[#ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル|ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル]]、14頁。</ref>。京都競馬場には863人の徹夜組を含む1万1936人のファンが午前7時20分の開門時に列を作り、[[日本中央競馬会|JRA]]が先着100名に配布したディープインパクト像前での記念撮影整理券は7時30分に全てなくなり、300食限定の「めざせ三冠!!ディープインパクト号弁当」も7時45分に完売した<ref>[[#島田2007|島田2007年]]、166頁。</ref>。ディープインパクトの単勝支持率は79.03パーセントとなり、単勝式オッズは1.0倍(100円元返し)となった。この単勝支持率は菊花賞としては[[1963年]](昭和38年)の[[メイズイ]](6着)の83.2パーセントに次ぐ史上2位{{Refnest|group="注"|菊花賞優勝馬としては[[1943年]](昭和18年)の[[クリフジ]]の75.0パーセントを超える史上最高支持率となった<ref name=21世紀の名馬26>[[#21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト|21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト]]、26頁。</ref><ref name=追悼44>[[#追悼ディープインパクト|追悼ディープインパクト]]、44頁。</ref>。}}<ref group="注">このため、2番人気の馬であったシックスセンスの単勝オッズが2番人気馬としては極めて異例である20倍を超えたオッズが付くこととなった(20.7倍)。2番人気の馬が20倍を超えるオッズとなるのは世界的に見ても極めて少ない事例である。</ref>、[[グレード制]]施行後の重賞としては当時史上最高の単勝支持率であった{{#tag:ref|2011年の[[チューリップ賞]]で[[レーヴディソール]]が単勝支持率81.4パーセントを記録し、これを更新した<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=54486|title=衝撃Vレーヴディソールに福永「どこまで強くなるのか…」/チューリップ賞|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2011-03-06|accessdate=2016-02-29}}</ref>。|group="注"}}。


レースでは好スタートを切ったものの、スタート後の最初の3コーナーから掛かってしまう。そのため武はディープインパクトを馬群の内側に入れ、前に行くのを防いだ。その後馬群中団で落ち着いたディープインパクトは、直線で先に抜け出していたアドマイヤジャパンを差し切り2馬身差をつけて優勝。シンボリルドルフ以来、21年ぶり史上2頭目の無敗での三冠馬となった{{Refnest|group="注"|無敗での菊花賞優勝は1939年のクリフジ、シンボリルドルフに続いて史上3頭目<ref name=21世紀の名馬26/><ref name=追悼44/>。}}。なお、ゴール前での関西テレビ[[馬場鉄志]]アナウンサーの実況「'''世界のホースマンよ見てくれ!!これが日本近代競馬の結晶だ!!<ref name="優駿p42" /><ref>{{Cite web|和書|title=【ディープインパクト】2005年菊花賞 史上2頭目の無敗の三冠制覇 実況:馬場鉄志《Triple Crown #6 Deep Impact》|url=https://www.youtube.com/watch?v=Z3MNnkLYTYs||accessdate=2021-07-31}} 4分0秒付近</ref><ref>{{Cite web|和書|title=アナウンサー界のレジェンドが語る「伝説の競馬名実況」感動プレイバック!|url=https://web.archive.org/web/20190730144137/https://taishu.jp/articles/-/56935|website=日刊大衆|accessdate=2019-07-30|date=2018.03.27}}</ref>'''」は[[2006年]](平成18年)の[[FNSアナウンス大賞]]を受賞した。そしてレース後の記念撮影では武が指を3本立てて三冠をアピールした(レースに関する詳細については[[第66回菊花賞]]を参照)。
[[2006年]](平成18年)の初戦となった阪神大賞典は初めて経験する稍重馬場だったが、レースでは3コーナーで進出を開始して4コーナーで先頭に並ぶと、最後の直線で[[デルタブルース]]や[[トウカイトリック]]を寄せ付けず、決勝線手前では武豊が抑える余裕を見せ3馬身半の差で優勝。順調なスタートを切った。


{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=pIB3V4U8Qu4 2005年 菊花賞 JRA]}}
[[ファイル:Deep_Impact(horse)20060430R1.jpg|200px|right|thumb|2006年4月30日、京都競馬場にて、天皇賞(春)]]
[[4月30日]]、続く第133回天皇賞(春)。単勝支持率は当競走史上最高となる75.3パーセント(オッズは1.1倍)を記録した。スタートではまたも出遅れ、道中は最後方から2番手の位置で折り合いをつけて進んだ。そして3コーナー手前の残り1000メートル地点からロングスパートを開始して<ref group="注">武豊はこのロングスパートを、ほかの馬が動かなかったために行ったとしている(島田、2007年、204頁)。</ref>先行馬を交わしていくと、ゆっくり下ることがセオリーとされる下り坂でもスパートを続け、4コーナーで早くも先頭に立った。直線では、出走馬中最速となる上がり3ハロン33秒5の脚を使ってそのまま先頭を維持し、2着の[[リンカーン (競走馬)|リンカーン]]に3馬身半の差をつけ優勝した。勝ち時計の3分13秒4は芝3200mの世界レコードタイムで、[[1997年]](平成9年)の[[第115回天皇賞]]において[[マヤノトップガン]]が記録した3分14秒4のレースレコードを1秒更新した(このタイムも当時の世界レコードであった)。2着に入ったリンカーン(3着に5馬身差をつけ、かつ自らも従来のレコードタイムを上回る走破時計を出す)に騎乗した[[横山典弘]]が「(リンカーンは、生まれた)時代が悪かった。しょうがない」と言うほどの内容だった。武豊は「世界にこれ以上強い馬がいるのかな」と言い<ref>島田、2007年、204頁。</ref>、海外遠征での勝利に期待感を示した。レース後の記念撮影で武豊は指を4本立てて四冠をアピールした。


3冠レースを全勝した内国産馬に2001年から1億円の褒賞金が贈られることになっていたため、ディープインパクトが初の対象馬となった<ref name="21世紀の名馬26" /><ref name="追悼44" />。
[[5月8日]]、調教師の池江によって凱旋門賞出走に向けた海外遠征プランが発表され<ref group="注">キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークスでなく凱旋門賞が選ばれたことについて調教師の池江は、前者が行われる[[アスコット競馬場]]よりも後者が行われる[[ロンシャン競馬場]]の方が平坦なコースであることから後者を選んだと述べている(島田、2007年、208頁)。</ref><ref name="gallop20070222010"/>、その[[前哨戦]]として[[6月25日]]に京都競馬場で開催される第47回[[宝塚記念]]<ref group="注">宝塚記念は例年阪神競馬場で施行されるが、この年は阪神競馬場が芝コースの外回りの新設工事中だったため京都競馬場で代替開催となった。</ref>に出走することとなった。事前に行われたファン投票では89,864票を集め1位となり、単勝支持率も天皇賞(春)に続きレース史上最高の75.2パーセント(オッズは1.1倍)をマークした。当日の京都競馬場は雨で馬場が悪くなっていたが、道中後方2番手追走から残り700メートル地点で進出を開始すると、直線では馬場外目を伸び、2着の[[ナリタセンチュリー]]に4馬身差を付け優勝した。そして同競走を優勝したことで史上7頭目、史上最速での(収得賞金額)10億円馬となった。レース後の記念撮影で武豊は指を5本立てて五冠をアピールした。


菊花賞後、陣営はディープインパクトを年内にあと1レース出走させる方針を示したうえで、[[ジャパンカップ]]と[[有馬記念]]のどちらに出走するかを検討し、最終的に有馬記念に出走させることを決定した<ref>[[#島田2007|島田2007年]]、178-179頁。</ref>。事前のファン投票では16万297票を集めて1位となった<ref name="2005有馬投票">{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=10864|title=有馬記念ファン投票最終発表、1位はディープインパクト|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2005-12-08|accessdate=2016-10-10}}</ref>。レース当日の中山競馬場には前年比129.6パーセントとなる16万2409人もの大観衆<ref>[[#さようならディープインパクト|さようならディープインパクト]]、23頁。</ref>が押し寄せた。[[古馬]]とは初対決となったものの、単勝式オッズは1.3倍を記録した<ref name="2005有馬記念">{{Cite web|和書|url=https://jra.jp/datafile/seiseki/g1/arima/result/arima2005.html|title=第50回 有馬記念|publisher=日本中央競馬会|accessdate=2016-10-10}}</ref>。しかしレースでは、いつものように後方から進めるも、[[ハーツクライ]]に半馬身及ばず2着に惜敗し、8戦目にして初黒星を喫した<ref name="2005有馬記念"/>。レース後、鞍上の武は「今日は飛ぶような走りではなかった。普通に走ってしまった」と初めての敗戦にショックを隠し切れないコメントを残している<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/2005d_impact/KFullNormal20051226010.html|title=武豊「残念、理由分からない」~有馬|date=2005-12-26|accessdate=2008-10-11|publisher=スポーツニッポン|archiveurl=https://web.archive.org/web/20081011013100/http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/2005d_impact/KFullNormal20051226010.html|archivedate=2008-10-11}}</ref>(レースに関する詳細については[[第50回有馬記念]]を参照)。
===== 凱旋門賞 =====
[[ファイル:Deep Impact 001.jpg|thumb|200px|本馬場入場するディープインパクト(第85回凱旋門賞)]]
[[ファイル:Deep Impact 002.jpg|thumb|200px|ディープインパクトの応援幕を張るファン]]
凱旋門賞の行われるフランスに出発する前に、[[2006年]](平成18年)[[7月2日]]にマイクロチップが埋め込まれた<ref name="gallop20070222011">週刊Gallop編集部、2007年、11頁。</ref>。これはフランスでは2006年からすべての出走馬にマイクロチップを埋め込むことが義務付けられているからである。日本では[[2007年]](平成19年)に産まれてくる産駒から[[個体識別]]のためにマイクロチップを埋め込むことが義務付けられたが([[2006年]](平成18年)に産まれた産駒や現役馬は順次導入)、ディープインパクトはこれに先立ち日本産馬としてはマイクロチップの埋め込み導入第1号となった<ref>サラブレ編集部、2007年、105頁。</ref>。


2005年(平成17年)の活躍をうけ、JRA賞では年度代表馬および最優秀3歳牡馬に選出された<ref name=jrasho/>。JRA賞選考委員会の記者投票では最優秀3歳牡馬では満票(291票)を、年度代表馬では285票を獲得した<ref>{{Cite web|和書|url=https://web.archive.org/web/20120627010602/http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/myhero/deepimpact/KFullNormal20060111014.html|title=インパクト 得票率98%で年度代表馬|publisher=スポーツニッポン新聞社|website=Sponichi Annex|accessdate=2015-11-16}}</ref>。[[関西競馬記者クラブ賞]]も受賞した<ref name=keibabook070115>{{Cite web|和書|url=https://www.keibado.ne.jp/keibabook/070115/plaza.html|title=関西競馬記者クラブ賞2年連続でディープ|publisher=ケイバブック|accessdate=2016-03-04|archiveurl=https://web.archive.org/web/20160304210020/https://www.keibado.ne.jp/keibabook/070115/plaza.html|archivedate=2016-03-04}}</ref>。
ディープインパクトは[[8月2日]]から[[美浦トレーニングセンター]]に滞在して[[検疫]]を受けた<ref name="gallop20070222011"/>。そして[[8月9日]]、凱旋門賞出走のために[[帯同馬]]の[[ピカレスクコート]]とともに出国し、現地時間9日午後2時56分にフランスに到着した<ref name="gallop20070222011"/>。その後は[[シャンティー競馬場]]の隣の調教場にあるカルロス・ラフォンパリアス厩舎に滞在し、おもにそこで調整された。[[9月13日]]には凱旋門賞が開催される[[ロンシャン競馬場]]でも調教が行われた<ref name="gallop20070222011"/>。


{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=5_3DQAx2k9g 2005年 有馬記念 JRA]}}
[[10月1日]]の凱旋門賞は、前年の同競走の優勝馬[[ハリケーンラン]]、前年の[[ブリーダーズカップ・ターフ]]の優勝馬[[シロッコ (競走馬)|シロッコ]]、そしてディープインパクトの古馬3頭が「三強」を形成した。直前の各[[ブックメーカー]]のオッズではこの3頭が上位人気を占め、中にはディープインパクトを単独で1番人気に推すところもあった<ref>「[http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/2006d_impact/KFullNormal20060925015.html インパクト“単勝1番人気”だ〜凱旋門賞]」 スポーツニッポン、2006年9月25日。</ref>。この3頭と対戦するのを他陣営が嫌ったためか<ref>週刊Gallop編集部、2006年b、56頁。</ref>、レースは8頭という史上2番目の少頭数で行われることになった。それまで欧州調教馬以外勝ったことのない凱旋門賞だが、現地のメディアやファンからは「今回はディープインパクトに勝たれても仕方ない」という諦めムードさえ見られた<ref>島田、2007年、258頁。</ref>。ロンシャン競馬場内では、日本人がディープインパクトの単勝馬券を多数購入したため、一時は1.1倍という断然の1番人気となった(最終的なオッズは1.5倍)<ref name="gallop20070222030">週刊Gallop編集部、2007年、30-31頁。</ref>。


==== 4歳(2006年) ====
レースでは好スタートを切り、今までの控える競馬とは違い道中2〜3番手でレースを進めると、残り300メートル地点でいったん先頭に立ったものの突き放すことはできず、残り100メートル地点で[[レイルリンク]]に、さらにゴール直前で[[プライド (競走馬)|プライド]]にも交わされて3位入線に終わった。敗因として武豊は「直線を向いてから[[ハミ (馬具)|ハミ]]を取らなかった。ギアが一段上がらなかった」と語っている<ref>週刊Gallop編集部、2006年b、13頁。</ref>。そのほか競馬関係者もこの敗戦を分析し、元騎手の岡部幸雄と[[柴田政人]]は[[負担重量|斤量]]とヨーロッパ特有の重い馬場を敗因として挙げ<ref>週刊Gallop編集部、2006年b、18頁。</ref><ref>週刊Gallop編集部、2006年b、19頁。</ref>、さらに岡部は現地のレースを1回経験させておいたほうが良かったとの見解も示している<ref>岡部・合田・井崎・鈴木、2006年、18頁。</ref>。また、ライターの江面弘也はフランスの[[アンドレ・ファーブル]]厩舎の3頭<ref group="注">レイルリンク、ハリケーンラン、シロッコの3頭。</ref>に囲まれながらレースを進めざるを得なかったことを指摘し、ディープインパクトは「『なにをしてでも勝たなければいけないフランス』に負けた」としている<ref>サラブレ編集部、2007年、61頁。</ref>(レースに関する詳細は[[第85回凱旋門賞]]を参照)。
===== 阪神大賞典から宝塚記念まで =====
[[1月23日]]に行われた前年のJRA賞授賞式において、オーナーの金子が「夏に[[ヨーロッパ]]でいいレースがあれば使いたい」と発言し、海外遠征を行う意向が示された。海外遠征については2月、調教師の池江によって、春は[[阪神大賞典]]から[[天皇賞(春)]]へ向かい、天皇賞(春)の後に[[イギリス]]の[[キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス|キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークス]]と[[フランス]]の[[凱旋門賞]]のどちらに出走するか決定すると発表された<ref>[[#島田2007|島田2007年]]、193-194頁。</ref>。


[[2006年]](平成18年)の初戦となった阪神大賞典は、88人の徹夜組も含めて前年比108.7%の3万3334人のファンが阪神競馬場に訪れ<ref name=shimada195>[[#島田2007|島田2007年]]、195頁。</ref>、馬券の売り上げも前年比135.6%の57億1539万8700円を記録した<ref name=shimada195/>。3ヶ月の休み明け、ディープインパクトにとっては初めて背負う58kgの斤量、初めて体験する水を含んだ稍重馬場、直線で吹き付ける強い向かい風、菊花賞以来の3000メートルの長丁場での折り合いといった不安材料が懸念されたが単勝オッズは1.1倍で1番人気に支持された<ref name=shimada196>[[#島田2007|島田2007年]]、196頁。</ref>。
===== 日本帰国からジャパンカップまで =====
ディープインパクトは[[10月4日]]にフランスから日本に帰国し、[[競馬学校]]で検疫が行われた<ref name="gallop20070222011"/>。その後、調教師の池江によって[[10月29日]]の[[天皇賞#天皇賞(秋)|天皇賞(秋)]]が復帰初戦の予定とされたため、規定により同競走が開催される東京競馬場で着地検査が行われた。


他馬とほぼ横並びのスタートを切り、1周目のスタンド前ではやや前に行きたがる素振りを見せたが<ref name="shimada196" />、2周目の向正面に差し掛かるところで折り合いがつき、逃げる[[トウカイトリック]]の15馬身ほど後ろを進んだ<ref name="shimada196" />。2周目の3コーナーで鞍上の武が手綱を持ったまま加速して先行馬との差を詰め、馬なりで4コーナーを回ると勢いの違いで先頭に並びかけ直線に入った<ref name="shimada196" />。武がステッキを右に持ち替えて肩鞭を入れるとさらに脚を伸ばして後続を突き放し<ref name="shimada196" />、ゴール前の100メートルほどは流すようにして2着に3馬身半の差を付けてゴールした<ref name="shimada197">[[#島田2007|島田2007年]]、197頁。</ref>。レース後、武は「この馬の強さを改めて感じましたね。大きな夢がありますので、それにむかっていいスタートが切れました」とコメントした<ref name="shimada197" />。
{{Wikinews|ディープインパクト、競走馬から引退へ|date=2006年10月12日}}
{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=zs-gVJ-JM_8 2006年 阪神大賞典 JRA]}}[[ファイル:Deep_Impact(horse)20060430R1.jpg|200px|right|thumb|2006年4月30日、京都競馬場にて、天皇賞(春)]]
[[10月11日]]には[[2006年]](平成18年)限りで現役を引退することが発表され、51億円(8500万円×60株)の[[種牡馬#シンジケート|シンジケート]]が組まれ種牡馬となることが決定した<ref>週刊Gallop編集部、2007年、32頁。</ref>。この額は日本で繋養された種牡馬としては史上最高価格である。
[[4月30日]]の第133回天皇賞(春)では、単勝支持率は1940年に[[マルタケ (競走馬)|マルタケ]]が記録した71.5%を上回り当競走史上最高となる73.5パーセント(オッズは1.1倍)を記録した<ref name="天皇賞春">{{Cite web|和書|url=https://jra.jp/datafile/seiseki/g1/haruten/result/haruten2006.html|title=第133回 天皇賞・春|publisher=日本中央競馬会|accessdate=2016-10-10}}</ref><ref name="21meibap33">[[#21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト|21世紀の名馬vol.5 ディープインパクト]]、33頁。</ref><ref name="tsuitoup52">[[#追悼ディープインパクト|追悼ディープインパクト]]、52頁。</ref>。スタートではまたも出遅れ、道中は最後方から2番手の位置で折り合いをつけて進んだ<ref name="天皇賞春"/>。そして3コーナー手前の残り1000メートル地点からロングスパートを開始して{{Refnest|group="注"|武豊はこのロングスパートを、ほかの馬が動かなかったために行ったとしている<ref name="#1">[[#島田2007|島田2007年]]、204頁。</ref>。}}先行馬を交わしていくと、ゆっくり下ることがセオリーとされる下り坂でもスパートを続け、4コーナーで早くも先頭に立った<ref name="天皇賞春"/>。直線では、出走馬中最速となる上がり3ハロン33秒5の脚を使ってそのまま先頭を維持し、2着の[[リンカーン (競走馬)|リンカーン]]に3馬身半の差をつけ優勝した<ref name="天皇賞春"/>。


{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=xBavEG0yKY8 2006年 天皇賞(春) JRA]}}
しかしそのわずか数日後の[[10月19日]]、凱旋門賞のレース後に実施された理化学検査でフランス競馬における禁止薬物イプラトロピウムが検出されたことが[[日本中央競馬会|JRA]]によって発表された<ref name="gallop20070222033">週刊Gallop編集部、2007年、33頁。</ref>。そして[[11月16日]]、正式に凱旋門賞[[失格 #競馬|失格]]が通告された<ref name="gallop20070222033"/>(禁止薬物問題については[[ディープインパクト禁止薬物検出事件]]を参照)。


三冠馬の翌年春の天皇賞勝利は1985年のシンボリルドルフ以来2頭目であり<ref name="21meibap33" /><ref name="tsuitoup52" />、勝ち時計の3分13秒4は芝3200mの世界レコードタイムで<ref>[[#21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト|21世紀の名馬vol.5 ディープインパクト]]、34頁。</ref><ref>[[#追悼ディープインパクト|追悼ディープインパクト]]、50頁。</ref>、[[1997年]](平成9年)の[[第115回天皇賞]]において[[マヤノトップガン]]が記録した3分14秒4のレースレコードを1秒更新した<ref name="天皇賞春" />。2着に入ったリンカーン(3着に5馬身差をつけ、かつ自らも従来のレコードタイムを上回る走破時計を出す<ref name="天皇賞春" />)に騎乗した[[横山典弘]]が「(リンカーンは)生まれた時代が悪すぎた」<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=13273|title=天皇賞・春、騎手コメント「まだまだ強くなる馬」|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2006-04-30|accessdate=2016-10-10}}</ref>と言うほどの内容だった。武は「世界にこれ以上強い馬がいるのかな」と言い<ref name="#1"/>、海外遠征での勝利に期待感を示した。レース後の記念撮影で武は指を4本立てて四冠をアピールした。この時記録した勝ち時計3分13秒4は、全兄[[ブラックタイド]]の仔である[[キタサンブラック]]によって2017年、第155回[[天皇賞(春)]]にて破られるまでの11年間、コースレコードとして君臨し続けた。
天皇賞(秋)は、帰国して日が浅い中で出走させるのは馬がかわいそうだということで<ref>栗林、2008年、192頁。</ref>回避が決定され、日本国内での復帰初戦は第26回ジャパンカップにずれ込むこととなった。迎えた[[11月26日]]のジャパンカップでは2005年の有馬記念以来のハーツクライとの再戦となった。同競走は海外からは当年の[[カルティエ賞]]年度代表馬[[ウィジャボード (競走馬)|ウィジャボード]]を含む2頭しか出走せず、日本馬を合わせても11頭しかいないという、ジャパンカップとしては少数立てのレースとなった。ディープインパクトの単勝支持率は61.2パーセント(オッズは1.3倍)で、日本国内で走ったレースの中ではもっとも低かったが、これでもジャパンカップ史上最高の支持率だった。レースはスローペースとなったが、ディープインパクトは終始最後方で待機し道中を進めた。そして直線に向くと内に入った他馬を大外から一気に捲くり、[[ドリームパスポート]]に2馬身差をつけ優勝した。レース後は武豊がウイニングランを行い、ファンに健在ぶりをアピールした。そして表彰式に出るときに武豊はファンといっしょになって[[万歳]]三唱をした。記念撮影では武豊の5本指にオーナーの金子の1本指が加わって六冠を表す6本指ができた。一方、再戦ムードを盛り上げたハーツクライは、レース前から陣営が明らかにしていた[[喘鳴症]](喉鳴り)が進行しており、見せ場なく10着に敗れた。


天皇賞(春)の勝利により、5月7日に発表された世界統一ランキング上で、芝・[[距離 (競馬)#SMILE 区分|超長距離]]部門<ref group="注">「超長距離部門(Extended)」は2701メートル以上の距離をさす。</ref>の世界ランク1位となった<ref name="IFHA2006May-lanking">[[国際競馬統括機関連盟|国際競馬統括機関連盟(IFHA)]] [http://www.horseracingintfed.com/resources/2006Rankings/05_12_06_WorldLeadingHorses.asp The World's Leading Horses 29th October 2005 to 7th May 2006] 2016年4月2日閲覧。</ref><ref name="IFHA20060507">[[国際競馬統括機関連盟|国際競馬統括機関連盟(IFHA)]] プレスリリース [http://www.horseracingintfed.com/resources/2006Rankings/05_12_06_WTRR_PressRelease.asp THE WORLD'S LEADING HORSES(from 29th October 2005 to 7th May 2006)] 2016年4月2日閲覧。</ref>。翌5月8日、調教師の池江が凱旋門賞出走に向けた海外遠征プランを発表{{#tag:ref|キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークスでなく凱旋門賞が選ばれたことについて調教師の池江は、前者が行われる[[アスコット競馬場]]よりも後者が行われる[[パリロンシャン競馬場|ロンシャン競馬場]]の方が平坦なコースであることから後者を選んだと述べている<ref>[[#島田2007|島田2007年]]、208頁。</ref>。|group="注"}}<ref name="gallop20070222010" />、その[[前哨戦]]として[[6月25日]]に京都競馬場で開催される第47回[[宝塚記念]]<ref group="注">宝塚記念は例年阪神競馬場で施行されるが、この年は阪神競馬場が芝コースの外回りの新設工事中だったため京都競馬場で代替開催となった。</ref>に出走することとなった。
===== 有馬記念、引退まで =====
[[ファイル:51st Arima-Kinen 20061224.jpg|200px|right|thumb|2006年12月24日、中山競馬場にて、有馬記念]]
そして[[12月24日]]、引退レースとなる有馬記念に出走した。事前に行われたファン投票では119,940票を集め2年連続1位、かつファン投票で選ぶレースとしては3レース連続で(2005年有馬記念・2006年宝塚記念・2006年有馬記念)1位となった。単勝支持率は70.1パーセント(オッズ1.2倍)で、[[1957年]](昭和32年)に[[ハクチカラ]]が記録した76.1パーセントに次ぐ史上2位となった。レースでは道中後方3番手につけ、3コーナーから追い出して直線で早々と先頭に立つと、最後は流しながらも2着[[ポップロック (競走馬)|ポップロック]]に3馬身の差をつける圧勝で、有終の美を飾った。武豊が「生涯最高のレースができた」<ref>武豊「武豊手記」 スポーツニッポン、2006年12月25日付1面。</ref>「今までにないくらい、強烈な『飛び』だった」<ref>島田、2007年、302頁。</ref>と言うほどのレース内容だった。また、このレースでシンボリルドルフや[[テイエムオペラオー]]に並ぶ史上3頭目(当時<ref group="注">のちに[[ウオッカ]]も達成。</ref>)の中央競馬GI7勝の最多タイ記録を達成し、獲得賞金ランキングでもテイエムオペラオーに次ぐ単独2位にランクインした。この後ウイニングランは行われなかったが、その理由について武豊は、ゴールを過ぎてから走るのを嫌がったためだと語っている<ref>島田、2007年、303頁。</ref>。記念撮影では武豊の5本指にオーナーの金子の2本指が加わって七冠を表す7本指ができた(レースに関する詳細については[[第51回有馬記念]]を参照)。


事前に行われたファン投票では8万9864票を集め1位となり<ref name="2006宝塚投票">{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=14080|title=宝塚記念ファン投票最終発表、1位はディープインパクト|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2006-06-08|accessdate=2016-10-10}}</ref>、単勝支持率も天皇賞(春)に続いて1961年に[[シーザー (競走馬)|シーザー]]が記録した72.4%を上回るレース史上最高の75.2パーセント(オッズは1.1倍)をマークした<ref name="宝塚記念">{{Cite web|和書|url=https://jra.jp/datafile/seiseki/g1/takara/result/takara2006.html|title=第47回 宝塚記念|publisher=日本中央競馬会|accessdate=2016-10-10}}</ref><ref name="21meibap38">[[#21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト|21世紀の名馬vol.5 ディープインパクト]]、38頁。</ref><ref name="tsuitoup56">[[#追悼ディープインパクト|追悼ディープインパクト]]、56頁。</ref>。また、ディープインパクトはこのレースでデビューからJRA競走(サラ系平地)11戦連続で1番人気に支持され、歴代1位のハイセイコーに並んだ<ref name="21meibap38" /><ref name="tsuitoup56" />{{Refnest|group="注"|ハイセイコーは地方競馬時代の6戦も含めると17戦連続<ref name="21meibap38"/><ref name="tsuitoup56"/>。}}。当日の京都競馬場は雨で稍重の馬場状態であったが、道中後方2番手追走から残り700メートル地点で進出を開始すると、直線では馬場外目を伸び、2着の[[ナリタセンチュリー]]に4馬身差を付け優勝した<ref name="宝塚記念" />。そして同競走を優勝したことで史上7頭目、史上最速での(収得賞金額)10億円馬となった<ref group="注">京都競馬場GⅠ3勝は[[メジロマックイーン]]・[[ライスシャワー]]・[[メジロドーベル]]に次いで史上4頭目、かつ2024年現在も歴代最多タイ</ref>。レース後の記念撮影で武は指を5本立てて五冠をアピールした。宝塚記念優勝を受けて、7月10日付の世界ランキングでは芝長距離部門<ref group="注">「長距離部門(Long)」は2101-2700メートル。</ref>で世界1位となった<ref name="IFHA2006-july-lanking">[[国際競馬統括機関連盟|国際競馬統括機関連盟(IFHA)]] [http://www.horseracingintfed.com/resources/2006Rankings/07_17_06_WorldLeadingHorses.asp The World's Leading Horses 1st January to 10th July 2006] 2016年4月2日閲覧。</ref>。これは日本調教馬としては史上初のことである<ref name="IFHA20060710">[[国際競馬統括機関連盟|国際競馬統括機関連盟(IFHA)]] プレスリリース [http://www.horseracingintfed.com/resources/2006Rankings/07_17_06_WTRR_PressRelease.asp THE WORLD'S LEADING HORSES(For the period 1st January 2006 to 10th July 2006)] 2016年4月2日閲覧。</ref>。
そして有馬記念当日の全競走が終了したあとに引退式が行われた。約5万人<ref>サラブレ編集部、2007年、69頁。</ref>のファンが見守る中、厩務員の市川と調教助手の池江に曳かれながら、武豊を背に同日の有馬記念のゼッケンを付けて登場し、ファンに最後の勇姿を披露した。


{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=gXRM_BJveHw 2006年 宝塚記念 JRA]}}
2006年(平成18年)のJRA賞では年度代表馬および最優秀4歳以上牡馬に選出された。年度代表馬は2年連続の受賞だった<ref group="注">2002年・2003年の[[シンボリクリスエス]]以来の2頭目。啓衆社賞・優駿賞時代も含めると5頭目。</ref>。JRA賞選考委員会の記者投票では総得票数289票のうち年度代表馬で287票、最優秀4歳以上牡馬で288票を獲得した。前年に続き関西競馬記者クラブ賞も受賞した。


=== 競走馬引退後 ===
===== 凱旋門賞 =====
{{Vertical_images_list
[[ファイル:Deep2007.JPG|200px|right|thumb|2007年5月11日、社台スタリオンステーションにて]]
|幅=200px
2006年(平成18年)[[12月25日]]付で競走馬登録が抹消され、[[2007年]](平成19年)から北海道勇払郡安平町の[[社台スタリオンステーション]]で種牡馬となった。それからディープインパクトは、父サンデーサイレンスや[[ノーザンテースト]]、[[リアルシャダイ]]が過ごした「功労馬厩舎」と呼ばれている厩舎で過ごすことになった<ref>週刊Gallop編集部、2007年、49頁。</ref>。同スタリオンでの担当厩務員はノーザンテーストを担当していた森田敬治である<ref>栗林、2008年、260頁。</ref>。
|枠幅=200px
| 1=Deep Impact 001.jpg
| 2=本馬場入場するディープインパクト(第85回凱旋門賞)
| 3=Deep Impact 002.jpg
| 4=ディープインパクトの応援幕を張るファン
}}
凱旋門賞の行われるフランスに出発する前の[[2006年]](平成18年)[[7月2日]]、たてがみの生え際にマイクロチップが埋め込まれた<ref name="gallop20070222011">[[#さようならディープインパクト|さようならディープインパクト]]、11頁。</ref><ref name=優駿2020-10-81/>。これはフランスでは2006年からすべての出走馬にマイクロチップを埋め込むことが義務付けられているからである。日本では[[2007年]](平成19年)に産まれてくる産駒から[[個体識別]]のためにマイクロチップを埋め込むことが義務付けられたが([[2006年]](平成18年)に産まれた産駒や現役馬は順次導入)、ディープインパクトはこれに先立ち日本産馬としてはマイクロチップの埋め込み導入第1号となった<ref>[[#サラブレ編集部|サラブレ編集部2007年]]、105頁。</ref>。翌3日には金子真人、池江泰郎、武がフランスへ視察に訪れ、滞在先がカルロス・ラフォンパリアス厩舎になることが決まった<ref name=優駿2019-9-39/><ref name=優駿2020-10-81>[[#『優駿』2020年10月号|『優駿』2020年10月号]]、81頁。</ref>{{Refnest|group="注"|理由として池江は、1997年に[[サクラローレル]]のフランス遠征にて滞在を受け入れていたこと。厩舎から森の中にある調教場までに道路を横断しなくて済む立地であることとしている。<ref name=優駿2020-10-81/>。}}同月19日には[[日本中央競馬会|JRA]]からフランス遠征に際する出国予定日や帰国予定日が発表され、[[帯同馬]]が、金子が所有する3勝馬、[[ピカレスクコート]]に決まったことも報じられた<ref name=優駿2019-9-39/><ref name=優駿2020-10-81/>。


20日には[[国際競馬統括機関連盟]]が発表した「トップ50ワールドリーディングホース」の1月1日から7月10日までの集計で125ポンドの評価を獲得し、ランキングが設立された2003年以降、日本馬として初めて世界1位となった<ref name=優駿2019-9-39/>{{Refnest|group="注"|他[[ハリケーンラン]]、[[シロッコ (競走馬)|シロッコ]]が同率<ref name=優駿2019-9-39/>。}}。
2007年(平成19年)[[2月14日]]には社台スタリオンステーションで引退後初めての一般公開が行われ、会場には約1200人のファンが集まった<ref>「[http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/2007d_impact/KFullFlash20070214015.html ディープ公開 ファン1200人]」 スポーツニッポン、2008年2月14日。</ref>。以後は同スタリオンで繋養される一部の内国産種牡馬と同様、放牧地にいる間の一般見学が可能になっているが、本馬にのみ専門の警備員が付き添う形になっている。


ディープインパクトは[[8月2日]]から[[美浦トレーニングセンター]]に滞在してピカレスクコートとともに[[検疫]]を受け<ref name="gallop20070222011"/>、翌3日から8日まで美浦で調整が行われた<ref name=優駿2019-9-39>[[#『優駿』2019年9月号|『優駿』2019年9月号]]、39頁。</ref>。9日、台風の影響で約2時間遅れとなった午前10時33分、[[成田国際空港]]から[[日本航空]]6461便で出国し、現地時間9日午後2時56分にフランス・パリの[[パリ=シャルル・ド・ゴール空港|シャルル・ド・ゴール空港]]に到着した<ref name="gallop20070222011"/><ref name=優駿2019-9-39/>{{Refnest|group="注"|所属する栗東トレーニングセンターから近い[[関西国際空港]]ではなく、[[成田国際空港]]を使用したのは、航空便の数が多くトラブルへの対応が容易であったからであった<ref name=優駿2020-10-81/>。2004年の凱旋門賞に出走したタップダンスシチーが、予定の便が欠航するなどスケジュールを大幅に変更せざるを得ない状態だった反省である<ref name=優駿2020-10-81/>。}}。飛行機には、池江敏行、市川、ピカレスクコートの調教助手である大久保秀信。シャンティーで厩務員の経験があり、フランスで通訳兼運転手を担う西森輝夫の4人であった<ref name=優駿2020-10-81/>。フランスでは4DKのアパートを借り、その4人で凱旋門賞当日まで滞在することとなった<ref name="優駿2020-10-81" />。
[[2008年]](平成20年)[[5月8日]]、平成20年度顕彰馬選出投票において競馬担当記者による投票で186票中164票(得票率86.6パーセント)を獲得し、28頭目の顕彰馬(競馬殿堂入り)に選出された<ref>「[http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/2008d_impact/KFullNormal20080509083.html ディープインパクト 28頭目の栄誉]」 スポーツニッポン、2008年5月9日。</ref>。それを記念して[[JRA競馬博物館]]の1階メモリアルホールにおいて「祝 ディープインパクト号殿堂入り記念展」が[[5月17日]]より開催され、[[勝負服 (競馬)|馬主服]]の複製や東京優駿とジャパンカップ優勝時に装着した蹄鉄などが展示された<ref>「[http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=28492&category=E ディープインパクト殿堂入り記念展を開催中]」 netkeiba.com、2008年5月24日。</ref>。


ディープインパクトは、空港から検疫を受け、馬運車で40分ほど移動、午後5時過ぎにカルロス・ラフォンパリアス厩舎に到着した<ref name="優駿2020-10-81" />。ドーヴィル競馬場で参戦していた武も駆けつけ、翌日には池江も合流した<ref name="優駿2020-10-81" />。日本から持ち込んだ[[飼い葉]]を使用し、飲み水は持参した[[浄水器]]によって現地の水が途中から用いられた<ref name=優駿2020-10-82>[[#『優駿』2020年10月号|『優駿』2020年10月号]]、82頁。</ref>。調教は、厩舎の奥にあるエーグル調教場にて行われた。日本で主に使用していたウッドチップコースがなく、ダートコースを代用する予定であった<ref name="優駿2020-10-82" />。しかしダートコースは雨で状態が悪くなり、クッション性に富み天候の影響を受けにくいファイバーサンドコースに切り替えられた。8月末、雨が続いてファイバーサンドコースも次第にクッション性が失われ、再びダートコースに舞い戻ることとなった<ref name="優駿2020-10-82" />。
[[2010年]](平成22年)[[5月2日]]に京都競馬場で第12競走として開催される[[JRAプレミアムレース]]「京都ゴールデンプレミアム」の人気投票において当馬が最多得票を獲得し、「ディープインパクトメモリアル」の副名称を付与して開催された。


[[9月13日]]には主催者の[[フランスギャロ]]の許可を受け<ref name="優駿2019-9-39" />、凱旋門賞が開催される[[パリロンシャン競馬場|ロンシャン競馬場]]でスクーリングを兼ねた調教が行われた<ref name="gallop20070222011" /><ref name="優駿2019-9-39" />。ピカレスクコートにラフォンパリアス厩舎の1頭を加えた計3頭で、装鞍所からパドックに向かい、本番と同じ2400メートルをダク、キャンターで駆けた<ref name=ラジオNIKKEI-2006追切>{{Cite news |title=【凱旋門賞】(仏G1)〜ディープインパクト、武豊騎手を背に追い切り |url=https://www.radionikkei.jp/keiba_article/news/entry-137488.html |newspaper=ラジオNIKKEI |accessdate=2021-02-19}}</ref>。先行するラフォンパリアス厩舎の1頭をリードホースと見立てて、直線で外から追い出してリードホースに2馬身先着した<ref name="優駿2020-10-82" /><ref name=ラジオNIKKEI-2006追切 />。軍土門隼夫によると、調教は「理想的な『予行演習』」だったという<ref name="優駿2020-10-82" />。約80人の報道陣が集まり、日本人はその半数を占めた<ref name="優駿2020-10-82" />。フランスの専門紙であるパリチュルフは、スクーリングを一面で扱い「ディープインパクト その時が始まろうとしている」との見出しが掲載された<ref name="優駿2020-10-82" />。
[[2012年]](平成24年)にJRAが近代競馬150周年を記念して制作したテレビCM「次の夢へ」(60秒版)では、ディープインパクトの出走シーンがCM内で使用されていた。また、[[2013年]](平成25年)のJRAのテレビCMシリーズ「[[The LEGEND]]」では、天皇賞(春)のプロモーションの際に、同競走の歴代優勝馬の一頭としてディープインパクトが登場した。翌[[2014年]](平成26年)の「The GI story」でも、東京優駿のプロモーションにおいて同馬が登場した。


[[10月1日]]の凱旋門賞は、前年の同競走の優勝馬[[ハリケーンラン]]、前年の[[ブリーダーズカップ・ターフ]]の優勝馬[[シロッコ (競走馬)|シロッコ]]、そしてディープインパクトの古馬3頭が「三強」を形成した。直前の各[[ブックメーカー]]のオッズではこの3頭が上位人気を占め、中にはディープインパクトを単独で1番人気に推すところもあった<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/2006d_impact/KFullNormal20060925015.html|title=インパクト“単勝1番人気”だ~凱旋門賞|date=2006-09-25|accessdate=2014-07-06|publisher=スポーツニッポン|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140706021829/http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/2006d_impact/KFullNormal20060925015.html|archivedate=2014-07-06}}</ref>。この3頭と対戦するのを他陣営が嫌ったためか<ref>[[#ディープインパクト 凱旋門賞激走譜|ディープインパクト 凱旋門賞激走譜]]、56頁。</ref>、レースは8頭という史上2番目の少頭数で行われることになった。それまで欧州調教馬以外勝ったことのない凱旋門賞だが、現地のメディアやファンからは「今回はディープインパクトに勝たれても仕方ない」という諦めムードさえ見られた<ref>[[#島田2007|島田2007年]]、258頁。</ref>。ロンシャン競馬場内では、日本人がディープインパクトの単勝馬券を多数購入したため、一時は1.1倍という断然の1番人気となった(最終的なオッズは1.5倍)<ref name="gallop20070222030">[[#さようならディープインパクト|さようならディープインパクト]]、30-31頁。</ref>。
2014年現在、記念投票券のイメージとして同馬の単勝勝馬投票券が表記されている。


事前の申し入れによりゲートには最後に収まった<ref name=優駿2020-10-84>[[#『優駿』2020年10月号|『優駿』2020年10月号]]、84頁。</ref>。好スタートを切り、今までの控える競馬とは違い道中2 - 3番手でレースを進めると、残り400メートル地点でいったん先頭となったが、残り100メートル地点で[[レイルリンク]]に、さらにゴール直前で[[プライド (競走馬)|プライド]]にも交わされて3位入線に終わった<ref name=優駿2020-10-84 />。敗因として武は「直線を向いてから[[ハミ (馬具)|ハミ]]を取らなかった。ギアが一段上がらなかった」と語っている<ref name="凱旋門賞激走譜13">[[#ディープインパクト 凱旋門賞激走譜|ディープインパクト 凱旋門賞激走譜]]、13頁。</ref>。
=== 種牡馬時代 ===
{| class="wikitable" style="float:right; text-align:right"
|+ 種付料の推移<ref>「[http://blog.goo.ne.jp/umaichi_news/e/24de581a5796a3eac2f97a1aefd46388 ディープインパクト擁する「社台スタリオンS」のスタリオンパレード開催!(Vol.1、新種牡馬写真)]」馬市.com、2007年2月20日。</ref><ref>「[http://blog.goo.ne.jp/umaichi_news/e/9f7cc84ccd3b9c6526a3aac231670511 「社台スタリオンパレード2008」が開催!(Vol.2、ディープインパクトなど)]」 馬市.com、2008年2月19日。</ref><ref>「[http://blog.goo.ne.jp/umaichi_news/e/fb94c0db57fee776664130bad334c61c 【社台スタリオンパレード2009】が開催!(Vol.3、ディープインパクトなど)]」 馬市.com、2009年2月18日。</ref><ref>「 [http://blog.goo.ne.jp/umaichi_news/e/ee7eb4f1f299c0a99fe9bec2359352e2 【社台スタリオンパレード2015】が開催!]」 馬市.com、2015年2月10日。</ref>
! 年 !! 種付料 !! 増減
|-
! 2007年
| 1200 || -
|-
! 2008年
| 1200 || 0
|-
! 2009年
| 1000 || {{decrease}} 200
|-
! 2010年
| 900 || {{decrease}} 100
|-
! 2011年
| 1000 || {{increase}} 100
|-
! 2012年
| 1000 || 0
|-
! 2013年
| 1500 || {{increase}} 500
|-
! 2014年
| 2000 || {{increase}} 500
|-
! 2015年
| 2500 || {{increase}} 500
|-
|style="text-align:left" colspan="3" |単位:万円
|}


そのほか競馬関係者もこの敗戦を分析し、岡部幸雄と[[柴田政人]]は[[負担重量|斤量]]とヨーロッパ特有の重い馬場を敗因として挙げ<ref>[[#ディープインパクト 凱旋門賞激走譜|ディープインパクト 凱旋門賞激走譜]]、18頁。</ref><ref>[[#ディープインパクト 凱旋門賞激走譜|ディープインパクト 凱旋門賞激走譜]]、19頁。</ref>、さらに岡部は現地のレースを1回経験させておいたほうが良かったとの見解も示している<ref>[[#岡部・合田・井崎・鈴木2006|岡部・合田・井崎・鈴木2006年]]、18頁。</ref>。また、江面弘也はフランスの[[アンドレ・ファーブル]]厩舎の3頭<ref group="注">レイルリンク、ハリケーンラン、シロッコの3頭。</ref>に囲まれながらレースを進めざるを得なかったことを指摘し、ディープインパクトは「『なにをしてでも勝たなければいけないフランス』に負けた」としている<ref>[[#サラブレ編集部|サラブレ編集部2007年]]、61頁。</ref>(レースに関する詳細は[[第85回凱旋門賞]]及び[[ディープインパクト禁止薬物検出事件]]を参照)。


===== 日本帰国からジャパンカップまで =====
; 産駒デビューまで(2007年 - 2009年)
ディープインパクトは[[10月4日]]にフランスから日本に帰国し、千葉県[[白井市]]の[[競馬学校]]で検疫が行われた<ref name="gallop20070222011"/>。その後は、滋賀県の[[グリーンウッド・トレーニング]]にて3週間の着地検査を行う予定であったが、調教師の池江によって[[10月29日]]の[[天皇賞(秋)]]にて復帰することが決まり、規定により同競走が開催される東京競馬場で着地検査が行われた<ref name=優駿2020-10-85>[[#『優駿』2020年10月号|『優駿』2020年10月号]]、85頁。</ref>。
初年度(2007年)の種付料は当時の日本で繋養される種牡馬としては最高額となる1200万円であった。初年度は日本国内の新種牡馬の中では最多となる206頭に種付けを行い<ref>「[http://uma36.com/?pid=column_view&id=400020&no=403068 今年最大の注目はディープ産駒の評価]」 馬三郎タイムズ、2008年1月4日。</ref>、[[2008年]](平成20年)[[1月9日]]には初産駒が[[鳥井牧場]]で誕生した(牝馬。母ロングディライト)<ref group="注">この馬は[[山路秀則|オースミ]]が購買し、[[沖芳夫]]厩舎に入厩。ナリタカサブランカの名が付けられた。</ref><ref>「[http://www.daily.co.jp/horse/2008/01/10/0000796038.shtml ディープインパクトに初仔誕生]」 デイリースポーツ、2008年1月9日。</ref>。


{{Wikinews|ディープインパクト、競走馬から引退へ|date=2006年10月12日}}
2008年(平成20年)[[7月15日]]と[[7月16日]]に行われたセレクトセール2008当歳馬セールにて産駒が初めてセリに出され、2日間で総勢36頭が登場して31頭が落札された。最高落札価格馬は初日に登場した[[ビワハイジ]]の2008で、2億2000万円という高値で[[島川隆哉]]に落札された<ref group="注">後にこの馬は[[トーセンレーヴ]]の名が付けられている。</ref>。最終的にこの2日間でディープインパクト産駒の総売却額は19億1000万円、1頭平均売却額約6161万円となり、2006年(平成18年)にキングカメハメハが記録した新種牡馬産駒の総売却額17億4500万円、1頭平均売却額約5629万円の記録を更新し、売却頭数31頭は2006年(平成18年)のキングカメハメハと同数となった<ref>「[http://www.47news.jp/CN/200807/CN2008071601000675.html ディープ産駒が最高総額 競り市で新種牡馬記録更新]」 47NEWS、2008年7月16日。</ref>。
[[10月11日]]には[[2006年]](平成18年)限りで現役を引退することが発表され、51億円(8500万円×60株)の[[種牡馬#シンジケート|シンジケート]]が組まれ種牡馬となることが決定<ref>[[#さようならディープインパクト|さようならディープインパクト]]、32頁。</ref>{{Refnest|group="注"|池江泰郎は、朝の調教の後、金子に報告の電話を行う際に、金子から年内の引退が伝えられた。<ref name=優駿2020-10-85 />。}}。当時日本で最高価格となるシンジゲートが組まれた<ref name=優駿2020-10-85 />。午後3時から東京競馬場の事務所にて池江の会見が行われた<ref name=優駿2020-10-85 />。池江はこれまでに引退について話したことはなく、「寝耳に水<ref name=優駿2020-10-85 />」の状態であった。


しかし、引退発表から数日後の[[10月19日]]、凱旋門賞のレース後に実施された理化学検査でフランス競馬における禁止薬物[[イプラトロピウム]]が検出されたことが[[日本中央競馬会|JRA]]によって発表された<ref name="gallop20070222033">[[#さようならディープインパクト|さようならディープインパクト]]、33頁。</ref>。そして[[11月16日]]、正式に凱旋門賞[[失格 #競馬|失格]]が通告された<ref name="gallop20070222033"/>(禁止薬物問題については[[ディープインパクト禁止薬物検出事件]]を参照)。
; 2010年
2010年(平成22年)に初年度産駒がデビューした。[[6月26日]]に[[福島競馬場]]で行われた[[新馬|メイクデビュー福島]]にてサイレントソニックが勝利し、産駒の中央競馬初勝利を記録した<ref group="注">同馬は最終的に30戦5勝の戦績で繁殖入りしている。</ref><ref>[http://www.jbis.or.jp/horse/0001096742/ JBIS-Search 競走馬情報 サイレントソニック]</ref>。その後も産駒の勝利数は順調に増え続け、[[11月21日]]に[[京都競馬場]]で行われた2歳未勝利戦でボレアスが勝利し、産駒26頭目の勝ち馬となり、2005年(平成17年)に[[アグネスタキオン]]が記録した25頭を抜きJRA2歳新種牡馬の勝馬頭数の新記録を達成<ref>「[http://www.keibabook.co.jp/homepage/topics/topicsinfo_new.aspx?subsystem=0&kind=0&category=00&filename=KON20698 ディープインパクトがJRA2歳新種牡馬の最多勝馬頭数を更新]」 競馬ブックweb、2010年11月28日。</ref>。さらに[[11月27日]]には京都競馬場で行われた2歳未勝利戦でハッピーグラスが勝利して、産駒のJRA通算勝利数が31勝となった。これにより父サンデーサイレンスが持っていた種牡馬供用初年度のJRA通算勝利数30勝の記録を16年ぶりに更新した<ref>「[https://www.keibabook.co.jp/homepage/topics/topicsinfo_new.aspx?subsystem=0&kind=0&category=09&filename=KON20700 ディープインパクトがJRA2歳新種牡馬の最多勝利数を更新]」 競馬ブックweb、2010年11月28日。</ref>。さらに12月25日には阪神競馬場で行われた[[ホープフルステークス (中央競馬)|ラジオNIKKEI杯2歳ステークス]]で[[ダノンバラード]]が1着になり、産駒初の重賞制覇となった。最終的に初年度産駒がJRAの2歳戦で41勝し、総獲得賞金5億3704万3000円をあげた結果、ディープインパクトは2010年度のJRA2歳[[リーディングサイアー]]に輝いた。なお、この産駒出走初年度の総獲得賞金記録も、サンデーサイレンスが持っていた4億9062万5000円の記録を16年ぶりに更新することとなった<ref>「[http://www.nikkansports.com/race/news/p-rc-tp0-20101227-717997.html ディープ首位に輝く 初年度産駒41勝]」 日刊スポーツ、2010年12月27日。</ref>。


天皇賞(秋)は、帰国して日が浅い中で出走させるのは馬がかわいそうだということで回避が決定され{{Refnest|group="注"|池江泰郎は、回避と禁止薬物検出は関係ないとしている。<ref name=優駿2020-10-85 />。}}<ref>[[#栗林|栗林2008年]]、192頁。</ref>、日本国内での復帰初戦はジャパンカップにずれ込むこととなった。
; 2011年
[[2011年]](平成23年)には[[マルセリーナ]]が[[桜花賞]]を制し、産駒のGI競走およびクラシック初制覇を果たした。また、[[安田記念]]では[[リアルインパクト]]が3歳馬ながら古馬を相手に勝利した<ref group="注">3歳馬による安田記念勝利はGI格付け以降では初。</ref>。さらに[[阪神ジュベナイルフィリーズ]]では[[ジョワドヴィーヴル]]が史上初のデビュー2戦目でのGⅠ制覇を達成している。[[10月22日]]には産駒がJRA年間100勝を達成したが、産駒がデビューして2年目の同日における達成は最速記録だった<ref group="注">なお、産駒がデビューして2年目でのJRA年間100勝の達成は[[1995年]](平成7年)のサンデーサイレンス、[[2008年]](平成20年)のシンボリクリスエス、[[2009年]](平成21年)のキングカメハメハ以来のことだった。</ref><ref>「[http://www.keibabook.co.jp/homepage/topics/topicsinfo_new.aspx?subsystem=0&kind=0&category=00&filename=KON22169 ディープインパクトがJRA年間100勝]」 競馬ブックweb、2011年10月30日。</ref>。この年は最終的にJRAのサイアーランキングではキングカメハメハに次ぐ2位(中央競馬と地方競馬の合算(以下、「全国」と記述)では4位)、2歳部門ではJRAと全国でともに2年連続でリーディングサイアーとなった。


迎えた[[11月26日]]のジャパンカップでは2005年の有馬記念以来のハーツクライとの再戦となった。同競走は海外からは当年の[[カルティエ賞]]年度代表馬[[ウィジャボード (競走馬)|ウィジャボード]]を含む2頭しか出走せず、日本馬を合わせても11頭しかいないという、ジャパンカップとしては少数立てのレースとなった。単勝オッズ1.3倍の1番人気に推され、単勝支持率は61.2パーセントを占めた。日本国内で走ったレースの中ではもっとも低かったが、2000年に[[テイエムオペラオー]]が記録した50.5%を上回るジャパンカップ史上最高の支持率だった<ref name="21世紀の名馬46">[[#21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト|21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト]]、46頁。</ref><ref name="追悼64">[[#追悼ディープインパクト|追悼ディープインパクト]]、64頁。</ref>。レースはスローペースとなったが、ディープインパクトは終始最後方で待機し道中を進めた。そして直線に向くと内に入った他馬を大外から一気に捲り、[[ドリームパスポート]]に2馬身差をつけ優勝した。[[日経ラジオ社|ラジオNIKKEI]]所属のアナウンサー・[[中野雷太]]はゴールの瞬間、凱旋門賞敗戦後にディープインパクトが「悪役に転じた」ことなどを踏まえて、「全てを振り切って、ディープインパクトゴールイン」と実況した<ref>{{Cite web|和書|title=敗れた後に湧いた特別な思い 追悼ディープインパクト(写真=共同) |url=https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48005470R30C19A7000000/ |website=日本経済新聞 |date=2019-08-03 |accessdate=2022-03-22 |language=ja}}</ref>。3着[[ウィジャボード (競走馬)|ウィジャボード]]に騎乗した[[ランフランコ・デットーリ]]は、そのパフォーマンスに「ファンタスティック・ホース」と評した<ref name=優駿2020-10-87>[[#『優駿』2020年10月号|『優駿』2020年10月号]]、87頁。</ref>。後に武はこう振り返っている。
; 2012年
{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=jAtT1NkE6s8 2006年 ジャパンカップ JRA]}}{{Quotation|ディープのレースでプレッシャーがかかったものがあったとしたら、あのジャパンCです<ref name=優駿2020-10-87 />}}レース後、武はスタンド前のインタビューで「飛びましたね」と語り、スタンドの観客を沸かせた<ref name="優駿2020-10-87" />。観客の反応に対し、武は「心から嬉しくなった」という<ref name="優駿2020-10-87" />。表彰式に出るときに武はファンといっしょになって[[万歳]]三唱をした。記念撮影では武の5本指にオーナーの金子の1本指が加わって六冠を表す6本指ができた。一方、再戦ムードを盛り上げたハーツクライは、レース前から陣営が明らかにしていた[[喘鳴症]](喉鳴り)が進行しており、見せ場なく10着に敗れた。
2012年(平成24年)には、[[ジェンティルドンナ]]が桜花賞、[[優駿牝馬]]、[[秋華賞]]を制し、[[中央競馬クラシック三冠#中央競馬牝馬三冠|牝馬クラシック三冠]]を達成すると同時に、日本競馬史上初の親子での三冠馬となった<ref group="注">なお、同じく産駒である[[ヴィルシーナ]]が牝馬三冠ですべて2着に入っている。</ref>。さらに同馬は3歳牝馬として初めてジャパンカップも制し、同競走では史上3組目となる父仔制覇となった。[[4月15日]]にはフランスのグロット賞 (G3) を[[ビューティーパーラー]] (Beauty Parlour) が勝利し、産駒初の日本国外重賞初制覇を果たした。同馬は続く[[5月13日]]、[[プール・デッセ・デ・プーリッシュ]](フランス1000ギニー) (G1) にも勝利し、日本国外のG1競走初制覇も達成した。そして[[5月27日]]に行われた第79回[[東京優駿]](日本ダービー)で[[ディープブリランテ]]が優勝し、史上7組目の父仔制覇を成し遂げた。最終的には産駒がGI・5勝を含む重賞18勝を挙げるなど活躍し、初のJRAと全国のリーディングサイアーに輝いた。産駒はJRAで216勝を挙げたが、これはキングカメハメハの184勝(2011年)を塗り替える、内国産種牡馬のJRA年間勝利数の新記録である<ref>「[http://www.keibabook.co.jp/homepage/topics/topicsinfo_new.aspx?subsystem=0&kind=0&category=00&filename=KON23798 ディープインパクトがJRA年間勝利数の内国産種牡馬記録を更新]」 競馬ブックweb、2012年11月25日。</ref>。また、JRAと全国の2歳リーディングサイアーの座も獲得した。種牡馬デビューから3年連続での2歳リーディングサイアー獲得は、父サンデーサイレンスも成し得なかった快記録である。これらの産駒の活躍で翌2013年の種付料は、種付時までに全納のみで1,500万円(不受胎時全額返還)にまで値上げされたが、すぐにBOOK FULLとなるなど、サンデーサイレンスの後継種牡馬の筆頭と目されている<ref>「日高通信 365」 週刊競馬ブック、2012年12月16日号。</ref>。


===== 有馬記念 =====
; 2013年
[[ファイル:51st Arima-Kinen 20061224.jpg|200px|right|thumb|2006年12月24日、中山競馬場にて、有馬記念]]
2013年(平成25年)の桜花賞を[[アユサン]]が制して産駒の同競走3連覇を達成した。桜花賞での同一種牡馬の産駒による3連覇は史上初であり、同一クラシック競走における3連覇は[[2003年]](平成15年)から2005年(平成17年)にかけて産駒が[[皐月賞]]を制したサンデーサイレンス以来である。そして東京優駿を[[キズナ (競走馬)|キズナ]]が制して、産駒による同競走連覇を達成するとともに、史上8組目の父仔制覇、および史上初となる同じ騎手(武豊)による父仔制覇を達成した。[[11月24日]]のジャパンカップではジェンティルドンナが同競走史上初の連覇を達成した。ほかにも、[[ヴィルシーナ]]が[[ヴィクトリアマイル]]に、[[トーセンラー]]が[[マイルチャンピオンシップ]]に<ref group="注">なお、この勝利によって、ディープインパクトの主戦騎手を務めた武豊がG1通算100勝(中央、地方、国外合わせて)を達成した。</ref>勝利するなど産駒が活躍した結果、2年連続でJRAリーディングサイアーと全国リーディングサイアーを、4年連続でJRA・全国2歳リーディングサイアーを獲得した。


そして[[12月24日]]、引退レースとなる有馬記念に出走した。事前に行われたファン投票では11万9940票を集め<ref name="2006有馬投票">{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=17445|title=有馬記念ファン投票最終結果、ディープインパクトが1位|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2006-12-07|accessdate=2016-10-10}}</ref>2年連続1位、かつファン投票で選ぶレースとしては3レース連続で(2005年有馬記念<ref name="2005有馬投票"/>・2006年宝塚記念<ref name="2006宝塚投票"/>・2006年有馬記念<ref name="2006有馬投票"/>)1位となった。単勝支持率は70.1パーセント(オッズ1.2倍)で、[[1957年]](昭和32年)に[[ハクチカラ]]が記録した76.1パーセントに次ぐ史上2位となった<ref name=21世紀の名馬51>[[#21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト|21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト]]、51頁。</ref><ref name=追悼68>[[#追悼ディープインパクト|追悼ディープインパクト]]、68頁。</ref>。レースでは道中後方3番手につけ、3コーナーから追い出して直線で早々と先頭に立つと、最後は流しながらも2着[[ポップロック (競走馬)|ポップロック]]に3馬身の差をつける圧勝で、有終の美を飾った<ref name="2006有馬記念">{{Cite web|和書|url=https://jra.jp/datafile/seiseki/g1/arima/result/arima2006.html|title=第51回 有馬記念|publisher=日本中央競馬会|accessdate=2016-10-10}}</ref>。武が「生涯最高のレースができた」<ref>武豊「武豊手記」 スポーツニッポン、2006年12月25日付1面。</ref>「今までにないくらい、強烈な『飛び』だった」<ref>[[#島田2007|島田2007年]]、302頁。</ref>と言うほどのレース内容だった。
; 2014年
2014年(平成26年)は、[[ドバイシーマクラシック]]をジェンティルドンナが制し、産駒の日本調教馬として初の日本国外G1制覇を達成した。[[ドバイミーティング]]のG1を日本調教馬の牝馬が制したのは史上初である。桜花賞では[[ハープスター]]が勝利し、産駒の同競走4連覇を達成。産駒の同一クラシック競走4連覇は[[パーソロン]]が優駿牝馬4連覇<ref group="注">1971年[[カネヒムロ]]、1972年[[タケフブキ]]、1973年[[ナスノチグサ]]、1974年[[トウコウエルザ]]</ref>を達成して以来となる。[[中山大障害]]では[[レッドキングダム]]が制して産駒のJ・GI初制覇を達成した<ref>「[http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=93984 レッドキングダムが差し切り、人馬ともにJ・GI初制覇!/中山大障害]」 netkeiba、2014年12月20日。</ref><ref>「[http://race.sanspo.com/keiba/news/20141221/ope14122105040004-n1.html 【中山大障害】キングダム君臨!直線では父譲りの鬼脚(1/3ページ)]」 サンケイスポーツ、2014年12月21日</ref>。また、阪神ジュベナイルフィリーズは[[ショウナンアデラ]]が<ref>「[http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=93804 ショウナンアデラが鮮やかに差し切り、3連勝で2歳女王の座に輝く/阪神JF]」 netkeiba、2014年12月14日。</ref>、[[朝日杯フューチュリティステークス]]は[[ダノンプラチナ]]が勝利し<ref>「[http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=94040 2歳王者はダノンプラチナ! 蛯名騎手・ディープ産駒のGI連勝!/朝日杯FS]」 netkeiba、2014年12月21日。</ref>、2009年のキングカメハメハ産駒([[アパパネ]]、[[ローズキングダム]])以来の2歳GI両競走制覇となった。さらに有馬記念でもジェンティルドンナが勝利を収め、2005年のサンデーサイレンス<ref group="注" name="3weeks">サンデーサイレンスは秋華賞([[エアメサイア]])、菊花賞(ディープインパクト)、天皇賞(秋)([[ヘヴンリーロマンス]])。ハーツクライは優駿牝馬([[ヌーヴォレコルト]])、東京優駿([[ワンアンドオンリー]])、安田記念([[ジャスタウェイ]])。</ref>、2014年のハーツクライ<ref group="注" name="3weeks"/>以来となる3例目の同一種牡馬産駒によるJRA・GI競走3連勝を果たした<ref group="注">中山大障害も朝日杯フューチュリティステークスと同じ週に行われており、3週間でGIを4勝している。</ref>。その他にも、[[ミッキーアイル]]([[NHKマイルカップ]])、ヴィルシーナ(ヴィクトリアマイル)、[[ショウナンパンドラ]](秋華賞)<ref>「[http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=91788 ショウナンパンドラが樫の女王を退け最後の1冠を奪取!/秋華賞]」 netkeiba、2014年10月19日。</ref>、[[スピルバーグ]](天皇賞(秋))<ref group="注">この勝利によって、産駒による東京競馬場で施行される芝GIレースの完全制覇を達成。</ref><ref>「[http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=92284 スピルバーグが大外一気V!またも重賞未勝利馬がGI制覇!/天皇賞・秋]」 netkeiba、2014年11月2日。</ref>、[[ラキシス]]([[エリザベス女王杯]])<ref group="注">この勝利によって、産駒によるJRAの牝馬限定GI完全制覇を達成。</ref><ref>「[http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=92772 ラキシスがゴール寸前で差し切りGI初制覇! またも重賞未勝利馬のV!/エリザベス女王杯]」 netkeiba、2014年11月16日。</ref>、[[ダノンシャーク]]([[マイルチャンピオンシップ]])<ref>「[http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=92993 ダノンシャークが接戦を制し悲願のGI初V!/マイルCS]」 netkeiba、2014年11月23日。</ref>がGI競走に優勝した。重賞競走では、1月に京都牝馬Sをウリウリで勝ち、産駒のJRA重賞競走通算50勝を達成。11月には[[スワンステークス]]をミッキーアイルが制して<ref>「[http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=92224 3歳マイル王ミッキーアイルが押し切りV! 重賞4勝目/スワンS]」 netkeiba、2014年11月1日。</ref>産駒重賞勝ち数が72勝となり、[[フジキセキ]]を抜いて内国産種牡馬のJRA重賞勝利数歴代1位となった<ref>
「[http://www.keibabook.co.jp/homepage/topics/topicsinfo_new.aspx?subsystem=0&kind=0&category=09&filename=KON26684 ディープインパクトが内国産種牡馬でJRA重賞勝利数トップに]」 競馬ブックweb、2014年11月9日。</ref>。


{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=m0W1hhEgJIY 2006年 有馬記念 JRA]}}
この年は、JRAでの年間記録のうち、勝利数(232勝)、重賞勝利数(37勝)、GI勝利数(11勝)、獲得賞金(67億6270万円)で自己最高を記録し<ref group="注">内国産種牡馬の最高記録でもある。</ref>、3年連続でJRAおよび全国リーディングサイアーを、5年連続で2歳リーディングサイアーを獲得した。なお、重賞勝利数はサンデーサイレンス産駒の38勝に次ぐ歴代2位<ref>「[http://race.sanspo.com/keiba/news/20141222/pog14122205090006-n3.html 【朝日杯FS】プラチナV!蛯名が2人目のW制覇!(3/3ページ)]」 サンケイスポーツ、2014年12月22日。</ref>、GI勝利数は歴代1位である。

このレースの勝利でシンボリルドルフ・[[テイエムオペラオー]]に並ぶ史上3頭目(当時<ref group="注">のちに[[ウオッカ (競走馬)|ウオッカ]]、[[キタサンブラック]]も達成。</ref>)の中央競馬GI7勝の最多タイ記録を達成し<ref name="2006有馬記念" />、獲得賞金は14億5155万1000円となりテイエムオペラオーに次ぐ単独2位にランクインした{{Refnest|group="注"|2017年にキタサンブラックが1位となったため3位に後退<ref name=21世紀の名馬51/><ref name=追悼68/>。}}。2006年1年間では7億7148万8000円を獲得し<ref name="21世紀の名馬51" /><ref name="追悼68" />、84年,85年のシンボリルドルフ、98年,99年の[[スペシャルウィーク]]に続く3頭目のグレード制導入以降2年連続JRA年間獲得賞金1位馬となった<ref name="21世紀の名馬51" /><ref name="追悼68" />。

父・サンデーサイレンスにとってはこのレースで[[ゼンノロブロイ]]、ハーツクライに続いて産駒による同レース三連覇を達成し、[[ヒンドスタン]]と並ぶ同レース最多の4勝を達成した<ref name="21世紀の名馬51" /><ref name="追悼68" />{{Refnest|group="注"|2001年の同レースを[[マンハッタンカフェ]]が優勝。翌2007年は[[マツリダゴッホ]]が同レースを優勝したため、単独最多の5勝を達成した<ref name=21世紀の名馬51/><ref name=追悼68/>。}}。池江泰郎にとっては87年の[[メジロデュレン]]以来、武にとっては90年の[[オグリキャップ]]以来16年ぶりとなる有馬記念2勝目を挙げた<ref name="21世紀の名馬51" /><ref name="追悼68" />。この後ウイニングランは行われなかったが、その理由について武は、ゴールを過ぎてから走るのを嫌がったためだと語っている<ref>[[#島田2007|島田2007年]]、303頁。</ref>。記念撮影では武の5本指にオーナーの金子の2本指が加わって七冠を表す7本指ができた(レースに関する詳細については[[第51回有馬記念]]を参照)。

当日の全競走が終了したあとに引退式が行われた。約5万人<ref>[[#サラブレ編集部|サラブレ編集部2007年]]、69頁。</ref>のファンが見守る中、厩務員の市川と調教助手の池江に曳かれながら、武を背に同日の有馬記念のゼッケンを付けて登場した。

世界ランキングでは、夏から秋にかけては一時的に順位を落としたものの、有馬記念の優勝によって、最終的な2006年通年の世界ランキング4位となった<ref name="IFHA2006lanking"/><ref name="IFHA20061231"/>。JRA賞でも年度代表馬および最優秀4歳以上牡馬に選出された<ref name=jrasho/>。年度代表馬は2年連続の受賞だった<ref group="注">2002年・2003年の[[シンボリクリスエス]]以来の2頭目。啓衆社賞・優駿賞時代も含めると5頭目。</ref>。JRA賞選考委員会の記者投票では総得票数289票のうち年度代表馬で287票、最優秀4歳以上牡馬で288票を獲得した<ref>{{Cite news |url=https://www.radionikkei.jp/keiba_article/news/entry-139342.html |title=2006年度JRA賞 記者投票の集計結果 |newspaper=ラジオNIKKEI |date=2007-01-09 |accessdate=2015-11-16}}</ref>。前年に続き関西競馬記者クラブ賞も受賞した<ref name=keibabook070115/>。


== 競走成績 ==
== 競走成績 ==
以下の内容は、[[netkeiba.com]]<ref name="netkeiba-DeepImpact">{{Cite web|和書|url=https://db.netkeiba.com/horse/result/2002100816/ |title=ディープインパクト |website=netkeiba.com |publisher=ネットドリーマーズ |accessdate=2020-01-12}}</ref>およびGENYcourses<ref name="GENYcourses">{{Cite web |url=http://www.geny.com/arrivee-et-rapports-pmu/2006-10-01-longchamp-pmu-prix-de-l-arc-de-triomphe-lucien-barriere_c163529 |title=2006 Prix de l'Arc de Triomphe Lucien Barrière |website-GENYcourses |accessdate=2020-01-12}}</ref>の情報に基づく。
{{出典の明記|section=1|date=2015年8月}}

{| style="font-size:90%;text-align:center;border-collapse:collapse;white-space:nowrap"
{| style="font-size:90%;text-align:center;border-collapse:collapse;white-space:nowrap"
|-
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!colspan="3"|年月日!!nowrap|[[競馬場]]!!競走名!![[競馬の競走付け| 格]]!!頭<br />数!!枠<br />番!!馬<br />番!!オッズ<br />(人気)!!着順!![[騎手]]!!nowrap|斤量<br />[kg]!![[競走馬の適性| 距離]](馬場)!!タイム<br />(上り3[[ハロン (単位)|F]])!!nowrap|タイム<br>{{right|}}!!勝ち/(2着馬)!!nowrap|馬体重<br />[kg]
!colspan="2"|競走日!!競馬場!!競走名!!格!!距離馬場!!頭<br>数!!枠<br>番!!馬<br>番!!オッズ<br>(人気)!!着順!!騎手!!斤量<br>[kg]!!タイム<br>(上3F)!!差!!1着馬(2着馬)!!|馬体重<br>[kg]
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|-
| [[2004年|2004.]]
| [[2004年の日本競馬|2004.]]
| 12.
| 12.19
| [[12月19日|19]]
| [[阪神競馬場|阪神]]
| [[阪神競馬場|阪神]]
| [[新馬|2歳新馬]]
| [[新馬|2歳新馬]]
|
|
| 芝2000m(良)
| 9
| 9
| 4
| 4
| 4
| 4
| nowrap| 1.1(1人)
| 1.1(1人)
| {{color|darkred|1着}}
| {{color|darkred|1着}}
| nowrap| [[武豊]]
| [[武豊]]
| 55
| 55
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| nowrap| 芝2000m(良)
| -0.7
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| ([[コンゴウリキシオー]])
| 452
| 452
|-
|-
| [[2005年|2005.]]
| [[2005年の日本競馬|2005.]]
| 1.
| {{0}}1.22
| [[1月22日|22]]
| [[京都競馬場|京都]]
| [[京都競馬場|京都]]
| [[若駒ステークス|若駒S]]
| [[若駒ステークス|若駒S]]
| OP
| {{OP}}
| 芝2000m(良)
| 7
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| 4
232行目: 245行目:
| 武豊
| 武豊
| 56
| 56
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| 芝2000m(良)
| {{0}}2:00.8 (33.6)
| -0.9
| -0.9
| (ケイアイヘネシー)
| (ケイアイヘネシー)
239行目: 251行目:
|-
|-
|
|
| 3.
| {{0}}3.{{0}}6
| [[3月6日|6]]
| [[中山競馬場|中山]]
| [[中山競馬場|中山]]
| [[弥生賞]]
| [[弥生賞]]
| GII
| {{GII}}
| 芝2000m(良)
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| 10
| 8
| 8
251行目: 263行目:
| 武豊
| 武豊
| 56
| 56
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| -0.0
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| {{0|-}}0.0
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| 446
| 446
|-
|-
|
|
| 4.
| {{0}}4.17
| [[4月17日|17]]
| 中山
| 中山
| [[皐月賞]]
| [[皐月賞]]
| GI
| {{GI}}
| 芝2000m(良)
| 18
| 18
| 7
| 7
270行目: 281行目:
| 武豊
| 武豊
| 57
| 57
| {{0}}1:59.2 (34.0)
| 芝2000m(良)
| {{0}}1:59.2 (34.0)
| -0.4
| -0.4
| ([[シックスセンス (競走馬)|シックスセンス]])
| ([[シックスセンス (競走馬)|シックスセンス]])
277行目: 287行目:
|-
|-
|
|
| 5.
| {{0}}5.29
| [[5月29日|29]]
| [[東京競馬場|東京]]
| [[東京競馬場|東京]]
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| [[東京優駿]]
| GI
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| 芝2400m(良)
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| 18
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| 3
289行目: 299行目:
| 武豊
| 武豊
| 57
| 57
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| -0.8
| -0.8
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| ([[インティライミ]])
296行目: 305行目:
|-
|-
|
|
| 9.
| {{0}}9.25
| [[9月25日|25]]
| 阪神
| 阪神
| [[神戸新聞杯]]
| [[神戸新聞杯]]
| GII
| {{GII}}
| 芝2000m(良)
| 13
| 13
| 6
| 6
308行目: 317行目:
| 武豊
| 武豊
| 56
| 56
|{{color|darkred|R1:58.4}}(34.1)
| 芝2000m(良)
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| -0.4
| -0.4
| (シックスセンス)
| (シックスセンス)
315行目: 323行目:
|-
|-
|
|
| 10.
| 10.23
| [[10月23日|23]]
| 京都
| 京都
| [[菊花賞]]
| [[菊花賞]]
| GI
| {{GI}}
| 芝3000m(良)
| 16
| 16
| 4
| 4
327行目: 335行目:
| 武豊
| 武豊
| 57
| 57
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| -0.3
| (アドマイヤジャパン)
| (アドマイヤジャパン)
334行目: 341行目:
|-
|-
|
|
| 12.
| 12.25
| [[12月25日|25]]
| 中山
| 中山
| [[有馬記念]]
| [[有馬記念]]
| GI
| {{GI}}
| 芝2500m(良)
| 16
| 16
| 3
| 3
346行目: 353行目:
| 武豊
| 武豊
| 55
| 55
| {{0}}2:32.0 (34.6)
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| [[ハーツクライ]]
| [[ハーツクライ]]
| 440
| 440
|-
|-
| [[2006年|2006.]]
| [[2006年の日本競馬|2006.]]
| 3.
| {{0}}3.19
| [[3月19日|19]]
| 阪神
| 阪神
| [[阪神大賞典]]
| [[阪神大賞典]]
| GII
| {{GII}}
| 芝3000m(稍)
| 9
| 9
| 2
| 2
365行目: 371行目:
| 武豊
| 武豊
| 58
| 58
| {{0}}3:08.8 (36.8)
| 芝3000m(稍)
| {{0}}3:08.8 (36.8)
| -0.6
| -0.6
| ([[トウカイトリック]])
| ([[トウカイトリック]])
372行目: 377行目:
|-
|-
|
|
| 4.
| {{0}}4.30
| [[4月30日|30]]
| 京都
| 京都
| nowrap| [[天皇賞#天皇賞(春)|天皇賞(春)]]
| [[天皇賞(春)]]
| GI
| {{GI}}
| 芝3200m(良)
| 17
| 17
| 4
| 4
384行目: 389行目:
| 武豊
| 武豊
| 58
| 58
| {{color|darkred| R3:13.4}} (33.5)
| 芝3200m(良)
| nowrap| {{color|darkred| R3:13.4}} (33.5)
| -0.7
| -0.7
| ([[リンカーン (競走馬)|リンカーン]])
| ([[リンカーン (競走馬)|リンカーン]])
391行目: 395行目:
|-
|-
|
|
| 6.
| {{0}}6.25
| [[6月25日|25]]
| 京都
| 京都
| [[宝塚記念]]
| [[宝塚記念]]
| GI
| {{GI}}
| 芝2200m(稍)
| 13
| 13
| 6
| 6
403行目: 407行目:
| 武豊
| 武豊
| 58
| 58
| {{0}}2:13.0 (34.9)
| 芝2200m(稍)
| {{0}}2:13.0 (34.9)
| -0.7
| -0.7
| ([[ナリタセンチュリー]])
| ([[ナリタセンチュリー]])
410行目: 413行目:
|-
|-
|
|
| 10.
| 10.{{0}}1
| style="white-space:nowrap"| [[パリロンシャン競馬場|ロンシャン]]
| [[10月1日|1]]
| style="white-space:nowrap"| [[ロンシャン競馬場|ロンシャン]]
| [[凱旋門賞]]
| [[凱旋門賞]]
| G1
| {{G1}}
| 芝2400m(Bon<ref name="GENYcourses" />{{refnest|group="‡"|日本語では一般的に「稍重」に相当する。JBISサーチでは「稍重」<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.jbis.or.jp/horse/0000742976/record/ |title=ディープインパクトの競走成績 |website=JBISサーチ |accessdate=2020-01-12}}</ref>、netkeiba.comでは「良」<ref>{{Cite web|和書|url=http://db.netkeiba.com/race/2006A8100107/ |title=2006年凱旋門賞(G1) |website=netkeiba.com |accessdate=2016-02-19}}</ref>と表記している。詳細は[[馬場状態]]を参照。}})
| 8
| 8
| 2
|
| 1
| 1
| 1.5(1人){{refnest|group="‡"|日本国外では、複数の事業者([[ブックメーカー]])が自由に馬券を販売できるため、業者ごとに倍率は異なり、人気とは連動しない。ここではロンシャン競馬場内の倍率<ref name="gallop20070222030"/>を示す。(フランスは[[パリミュチュエル方式]]を採用しており、競馬場内で馬券を買う限りにおいては人気と倍率は連動する。)}}
| 1.5(1人)
| 失格<ref name="gallop20070222033"/>
| nowrap| 失格
| 武豊
| 武豊
| 59.5
| 59.5
| 3位入線<ref name="凱旋門賞激走譜13"/>
| 芝2400m(良)
| 3位入線
|
|
| [[レイルリンク|Rail Link]]
| [[レイルリンク|Rail Link]]
| 計不
|
|-
|-
|
|
| 11.
| 11.26
| [[11月26日|26]]
| 東京
| 東京
| [[ジャパンカップ|ジャパンC]]
| [[ジャパンカップ|ジャパンC]]
| GI
| {{GI}}
| 芝2400m(良)
| 11
| 11
| 6
| 6
441行目: 443行目:
| 武豊
| 武豊
| 57
| 57
| {{0}}2:25.1 (33.5)
| 芝2400m(良)
| {{0}}2:25.1 (33.5)
| -0.3
| -0.3
| ([[ドリームパスポート]])
| ([[ドリームパスポート]])
448行目: 449行目:
|-
|-
|
|
| 12.
| 12.24
| [[12月24日|24]]
| 中山
| 中山
| 有馬記念
| 有馬記念
| GI
| {{GI}}
| 芝2500m(良)
| 14
| 14
| 3
| 3
460行目: 461行目:
| 武豊
| 武豊
| 57
| 57
| {{0}}2:31.9 (33.8)
| 芝2500m(良)
| {{0}}2:31.9 (33.8)
| -0.5
| -0.5
| ([[ポップロック (競走馬)| ポップロック]])
| ([[ポップロック (競走馬)|ポップロック]])
| 438
| 438
|}
|}
*タイム欄の{{color|darkred|R}}はレコード勝ちを示す。


* タイム欄の{{color|darkred|R}}はレコード勝ちを示す。
== 種牡馬成績 ==
* 競走成績表注釈
{{出典の明記|section=1|date=2015年8月}}
<references group="‡"/>
=== 年度別成績 ===
{|class="wikitable" style="text-align:right"
!rowspan="3"|年!!colspan="7"|総合(中央+地方)!!colspan="7"|中央
|-
!colspan="2"|出走!!colspan="2"|勝利!!rowspan="2"|順位!!rowspan="2"|[[アーニングインデックス|AEI]]!!rowspan="2"|収得賞金!!colspan="2"|出走!!colspan="2"|勝利!!rowspan="2"|順位!!rowspan="2"|[[アーニングインデックス|AEI]]!!rowspan="2"|収得賞金
|-
!頭数!!回数!!頭数!!回数!!頭数!!回数!!頭数!!回数
|-
||2010年||74||189||35||43||40||1.82||5億4074万3000円||74||187||34||41||35||1.17||5億3704万3000円
|-
||2011年||210||961||111||150||4||3.02||24億8904万8000円||206||879||100||135||2||1.94||24億5909万4000円
|-
||2012年||317||1670||169||270||'''1'''||4.13||50億5732万3000円||295||1389||145||216||'''1'''||2.88||50億3164万3000円
|-
||2013年||367||1908||174||248||'''1'''||3.82||54億9028万7000円||342||1586||152||203||'''1'''||2.67||54億6122万5000円
|-
||2014年||434||2323||192||287||'''1'''||3.87||67億9761万7000円||406||1928||162||232||'''1'''||2.73||67億6270万円
|}
* 中央と地方の合計は'''2014年'''(平成26年)12月31日時点。
* 中央のみは'''2014年'''(平成26年)12月28日現在。


=== おもな産駒 ===
== 種牡馬時代 ==
=== 産駒デビューまで(2007年 - 2009年) ===
==== 日本調教馬 ====
[[ファイル:Deep2007.JPG|200px|right|thumb|2007年5月11日、社台スタリオンステーションにて]]
===== GI級競走優勝馬 =====
2006年(平成18年)[[12月25日]]付で競走馬登録が抹消され、[[2007年]](平成19年)から北海道勇払郡安平町の[[社台スタリオンステーション]]で種牡馬となった。種牡馬入りのために金子真人から買い戻した金額はセリ時の約73倍にあたる51億円であった<ref>{{Cite web |title=ディープの血統守る(転機) |url=https://www.nikkei.com/article/DGXDZO73443480X20C14A6L41000/ |website=日本経済新聞 |date=2014-06-28 |access-date=2024-04-19 |language=ja}}</ref>。それからディープインパクトは、父サンデーサイレンスや[[ノーザンテースト]]、[[リアルシャダイ]]が過ごした「功労馬厩舎」と呼ばれている厩舎で過ごすことになった<ref>[[#さようならディープインパクト|さようならディープインパクト]]、49頁。</ref>。同スタリオンでの担当厩務員はノーザンテーストを担当していた森田敬治である<ref>[[#栗林|栗林2008年]]、260頁。</ref>。
'''太字'''はGI競走、競走名の前の国旗は開催国(日本以外の場合に明記)
*2008年産
** [[リアルインパクト]]('''{{Flagicon|AUS}}[[ジョージライダーステークス]]<ref>[http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=96690 リアルインパクトが叩き合いを制し海外GI制覇!/豪・ジョージライダーS]netkeiba.com 2015年3月21日閲覧</ref>'''、[[阪神カップ]]2回<ref>[http://www.jbis.or.jp/race/result/20131223/109/11/ 2013年阪神カップレース結果]JBIS 2014年12月28日閲覧</ref><ref>[http://keibalab.jp/db/race/201412270911/ 2014年阪神カップレース結果]競馬ラボ 2014年12月28日閲覧</ref>)
*2012年産
** [[ミッキークイーン]]('''優駿牝馬'''<ref>[http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=98593&category=A ミッキークイーンが差し切り、樫の女王に輝く!/オークス ]netkeiba.com 2015年5月24日閲覧</ref>)
<gallery>
Real-Impact20110605(1).jpg|リアルインパクト
Mikki-Queen IMG 3070 R 20150412.JPG|ミッキークイーン
</gallery>


2007年(平成19年)[[2月14日]]には社台スタリオンステーションで引退後初めての一般公開が行われ、会場には約1200人のファンが集まった<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/2007d_impact/KFullFlash20070214015.html|title=ディープ公開 ファン1200人|date=2007-02-14|accessdate=2014-07-06|publisher=スポーツニッポン|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140706040916/http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/2007d_impact/KFullFlash20070214015.html|archivedate=2014-07-06}}</ref>。以後は同スタリオンで繋養される他の内国産種牡馬と同様、放牧地にいる間の一般見学が可能になっているが、本馬にのみ専門の警備員が付き添う形になっている。
===== グレード制重賞優勝馬 =====

*2009年産
初年度(2007年)の種付料は当時の日本で繋養される種牡馬としては最高額となる1200万円であった。初年度は日本国内の新種牡馬の中では最多となる206頭に種付けを行い<ref>「[http://uma36.com/?pid=column_view&id=400020&no=403068 今年最大の注目はディープ産駒の評価]」 馬三郎タイムズ、2008年1月4日。</ref>、[[2008年]](平成20年)[[1月9日]]には初産駒が[[鳥井牧場]]で誕生した(牝馬。母ロングディライト){{#tag:ref|この馬は[[山路秀則|オースミ]]が購買<ref name=初仔>{{Cite web|和書|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2008/01/18/kiji/K20080118Z00001060.html|title=ディープ長女は「ナリタ」馬主が購入|publisher=スポーツニッポン新聞社|website=Sponichi Annex|date=2008-01-18|accessdate=2016-03-14}}</ref>。ナリタカサブランカと名付けられ栗東の[[沖芳夫]]厩舎に入厩した<ref>{{Cite web|和書|url=https://web.archive.org/web/20110128041336/http://www.nikkansports.com/race/news/p-rc-tp0-20110121-726977.html|title=ディープ長女「とにかく無事に」鳥井牧場|publisher=ニッカンスポーツ|date=2011-01-21|accessdate=2016-03-14}}</ref>。|group="注"}}<ref name=初仔/>。
** [[ディサイファ]](札幌記念<ref>[http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=101290 ディサイファがゴール前の接戦を制し重賞3勝目/札幌記念 ]netkeiba.com 2015年8月23日閲覧</ref>)

*2010年産
2008年(平成20年)[[7月15日]]と[[7月16日]]に行われたセレクトセール2008当歳馬セールにて産駒が初めてセリに出され、2日間で総勢36頭が登場して31頭が落札された<ref name="2008セレクトセール">{{Cite web|和書|url=https://www.shikoku-np.co.jp/national/life_topic/20080716000382|title=ディープ産駒が最高総額/競り市で新種牡馬記録更新|publisher=四国新聞社|date=2008-07-16|accessdate=2016-06-24}}</ref>。最高落札価格馬は初日に登場した[[ビワハイジ]]の2008で、2億2000万円という高値で[[島川隆哉]]に落札された<ref name="2008セレクトセール"/>{{#tag:ref|後にこの馬は[[トーセンレーヴ]]の名が付けられている<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=53972|title=ブエナビスタの半弟トーセンレーヴが初陣を飾る/京都新馬|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2011-02-12|accessdate=2016-06-24}}</ref>。|group="注"}}。最終的にこの2日間で産駒の総売却額は19億1000万円、1頭平均売却額約6161万円となり、2006年(平成18年)にキングカメハメハが記録した新種牡馬産駒の総売却額17億4500万円、1頭平均売却額約5629万円の記録を更新し、売却頭数31頭は2006年(平成18年)のキングカメハメハと同数となった<ref name="2008セレクトセール"/>。
** [[ウリウリ (競走馬)|ウリウリ]]([[CBC賞]]<ref>[http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=99805 ウリウリが内から鮮やかに抜け出し重賞2勝目/CBC賞 ]netkeiba.com 2015年7月5日閲覧</ref>)

*2011年産
=== 産駒デビュー後(2010年 - ) ===
** [[エイシンヒカリ]](エプソムカップ<ref>[http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=99169 エイシンヒカリ逃げ切りV!待望の重賞初制覇!/エプソムC ]netkeiba.com 2015年6月26日閲覧</ref>)

*2012年産
==== 2010年 ====
** [[アンビシャス (競走馬)|アンビシャス]](ラジオNIKKEI賞<ref>[http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=99807 アンビシャスが力の違いを見せつけ重賞初制覇!/ラジオNIKKEI賞 ]netkeiba.com 2015年7月5日閲覧</ref>)
2010年(平成22年)に初年度産駒がデビューした。[[6月26日]]に[[福島競馬場]]で行われた[[新馬|メイクデビュー福島]]にてサイレントソニックが勝利し、産駒の中央競馬初勝利を記録した<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=47003|title=ディープインパクト産駒がJRA初勝利/福島新馬|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2010-06-26|accessdate=2016-03-14}}</ref>。その後も産駒の勝利数は順調に増え続け、[[11月21日]]に[[京都競馬場]]で行われた2歳未勝利戦でボレアスが勝利し、産駒26頭目の勝ち馬となり、2005年(平成17年)に[[アグネスタキオン]]が記録した25頭を抜きJRA2歳新種牡馬の勝馬頭数の新記録を達成<ref>「[http://www.keibabook.co.jp/homepage/topics/topicsinfo_new.aspx?subsystem=0&kind=0&category=00&filename=KON20698 ディープインパクトがJRA2歳新種牡馬の最多勝馬頭数を更新]」 競馬ブックweb、2010年11月28日。</ref>。
*2013年産

** [[ブランボヌール]]([[函館2歳ステークス]]<ref>[http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=100453 ブランボヌールが完勝! ディープ産駒全場重賞制覇達成/函館2歳S ]netkeiba.com 2015年7月26日閲覧</ref>)
[[11月27日]]には京都競馬場で行われた2歳未勝利戦でハッピーグラスが勝利して、産駒のJRA通算勝利数が31勝となった<ref name="1st-season-record">「[https://www.keibabook.co.jp/homepage/topics/topicsinfo_new.aspx?subsystem=0&kind=0&category=09&filename=KON20700 ディープインパクトがJRA2歳新種牡馬の最多勝利数を更新]」 競馬ブックweb、2010年11月28日。</ref>。これにより、父サンデーサイレンスが持っていた種牡馬供用初年度のJRA通算勝利数30勝の記録を16年ぶりに更新<ref name="1st-season-record" />。12月25日には阪神競馬場で行われた[[ホープフルステークス (中央競馬)|ラジオNIKKEI杯2歳ステークス]]で[[ダノンバラード]]が1着になり、産駒初の重賞制覇となった<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=52773|title=ディープ産駒が重賞初V!ダノンバラードがラジオNIKKEI杯2歳Sを制す|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2010-12-25|accessdate=2016-03-14}}</ref>。

最終的に初年度産駒がJRAの2歳戦で41勝し、総獲得賞金5億3704万3000円をあげた結果、2010年度のJRA2歳[[リーディングサイアー]]に輝いた。なお、この産駒出走初年度の総獲得賞金記録も、サンデーサイレンスが持っていた4億9062万5000円の記録を16年ぶりに更新することとなった<ref>「[https://web.archive.org/web/20101229053744/http://www.nikkansports.com/race/news/p-rc-tp0-20101227-717997.html ディープ首位に輝く 初年度産駒41勝]」 日刊スポーツ、2010年12月27日。</ref>。

==== 2011年 ====
[[2011年]](平成23年)には[[マルセリーナ]]が[[桜花賞]]を制し、産駒のGI競走およびクラシック初制覇を果たした<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=55261|title=ディープインパクト産駒マルセリーナが桜の女王に/桜花賞|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2011-04-10|accessdate=2016-03-14}}</ref>。また、[[リアルインパクト]]が{{GI}}格付け以降では初めてとなる、3歳馬による[[安田記念]]優勝を果たした<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=56434|title=3歳馬リアルインパクト、戸崎に導かれ古馬撃破/安田記念|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2011-06-05|accessdate=2016-03-14}}</ref>。さらに[[阪神ジュベナイルフィリーズ]]では[[ジョワドヴィーヴル]]が史上初のデビュー2戦目でのGI制覇を達成している<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=60466|title=ジョワドヴィーヴル、陣営も驚きの圧勝/阪神JF|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com(提供:デイリースポーツ)|date=2011-12-12|accessdate=2016-03-14}}</ref>。[[10月22日]]には産駒がJRA年間100勝を達成したが、産駒がデビューして2年目の同日における達成は最速記録だった<ref group="注">産駒がデビューして2年目でのJRA年間100勝の達成は[[1995年]](平成7年)のサンデーサイレンス、[[2008年]](平成20年)のシンボリクリスエス、[[2009年]](平成21年)のキングカメハメハ以来のことだった。</ref><ref>「[http://www.keibabook.co.jp/homepage/topics/topicsinfo_new.aspx?subsystem=0&kind=0&category=00&filename=KON22169 ディープインパクトがJRA年間100勝]」 競馬ブックweb、2011年10月30日。</ref>。

JRAのサイアーランキングではキングカメハメハに次ぐ2位(中央競馬と地方競馬の合算(以下、「全国」と記述)では4位)、2歳部門ではJRAと全国でともに2年連続でリーディングサイアーとなった。

==== 2012年 ====
2012年(平成24年)には、[[ジェンティルドンナ]]が桜花賞、[[優駿牝馬]](オークス)、[[秋華賞]]を制し牝馬三冠を達成し<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=68826|title=ジェンティルドンナ、力でねじ伏せ牝馬三冠達成/秋華賞|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2012-10-14|accessdate=2016-03-14}}</ref>、さらに3歳牝馬として初めてジャパンカップも制した<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=70286|title=ジェンティルドンナ史上初となる3歳牝馬による制覇!/ジャパンC|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2012-11-26|accessdate=2016-03-14}}</ref>。また、[[東京優駿]]では[[ディープブリランテ]]が優勝した<ref name="Deep2009"/>。

フランスではグロット賞 ({{G3}}) を[[ビューティーパーラー]] (Beauty Parlour) が勝利し、産駒初の日本国外重賞初制覇を達成<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=63449|title=ディープインパクト産駒の3歳牝馬がフランスG3を圧勝|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2012-04-16|accessdate=2016-03-14}}</ref>。同馬は続く[[プール・デッセ・デ・プーリッシュ]](フランス1000ギニー) ({{G1}}) にも勝利し、日本国外のG1競走初制覇も果たした<ref>{{Cite web|和書|url=http://umanity.jp/racedata/race_newsdet.php?nid=21846|title=ディープ産駒、海外GI初制覇!|publisher=ウマニティ(提供:SANSPO.COM)|date=2012-05-14|accessdate=2016-03-14}}</ref>。最終的には産駒が{{GI}}・5勝を含む重賞18勝を挙げるなど活躍し、初のJRAと全国のリーディングサイアーに輝いた。

産駒はJRAで216勝を挙げ、これはキングカメハメハの184勝(2011年)を塗り替える、内国産種牡馬のJRA年間勝利数の新記録である<ref>「[http://www.keibabook.co.jp/homepage/topics/topicsinfo_new.aspx?subsystem=0&kind=0&category=00&filename=KON23798 ディープインパクトがJRA年間勝利数の内国産種牡馬記録を更新]」 競馬ブックweb、2012年11月25日。</ref>。また、JRAと全国の2歳リーディングサイアーの座も獲得した。これらの産駒の活躍で翌2013年の種付料は、種付時までに全納のみで1,500万円(不受胎時全額返還)にまで値上げされたが、すぐにBOOK FULLとなるなど、サンデーサイレンスの後継種牡馬の筆頭と目されていた<ref>「日高通信 365」 週刊競馬ブック、2012年12月16日号。</ref>。

==== 2013年 ====
2013年(平成25年)の桜花賞を[[アユサン]]が制して産駒の同競走3連覇を達成した<ref name="アユサン">{{Cite web|和書|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2013/04/08/kiji/K20130408005566130.html|title=【桜花賞】アユサン差し返した!デムーロ兄弟、史上初G1ワンツー|publisher=スポーツニッポン新聞社|website=Sponichi Annex|date=2013-04-08|accessdate=2016-03-14}}</ref>{{#tag:ref|桜花賞での同一種牡馬の産駒による3連覇は史上初であり<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/yomimono/bloodtopic/kiji/K20130403005532830.html|title=史上初の3連覇に期待!ディープ、最強桜サイヤーへ|publisher=スポーツニッポン新聞社|website=Sponichi Annex|date=2013-04-03|accessdate=2016-03-14}}</ref>、同一クラシック競走における3連覇は[[2003年]](平成15年)から2005年(平成17年)にかけて産駒が[[皐月賞]]を制したサンデーサイレンス以来6度目である<ref name="アユサン"/>。|group="注"}}。ジャパンカップではジェンティルドンナが同競走史上初の連覇を達成した<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=81714|title=ジェンティルドンナ1年ぶりの美酒は史上初のJC連覇!/ジャパンカップ|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2013-11-24|accessdate=2016-03-14}}</ref>。他にも、[[ヴィルシーナ]]が[[ヴィクトリアマイル]]に<ref name="Deep2009"/>、[[キズナ (競走馬)|キズナ]]が東京優駿に<ref name="Deep2010"/>、[[トーセンラー]]が[[マイルチャンピオンシップ]]に<ref name="Deep2008"/>{{#tag:ref|この勝利によって、ディープインパクトの主戦騎手を務めた武豊がG1通算100勝(中央、地方、国外合わせて)を達成した<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=81451|title=トーセンラー直線一気でGI初制覇!武豊GI通算100勝達成!/マイルCS|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2013-11-17|accessdate=2016-07-07}}</ref>。|group="注"}}勝利。キズナは凱旋門賞制覇を目指しフランスに遠征も行い、前哨戦となるニエル賞({{G2}})に優勝した<ref name="2013ニエル賞"/>(本番の凱旋門賞は4着<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=79938|title=今年も夢叶わず…無敗の3歳牝馬トレヴの前に完敗。オルフェーヴル2着、キズナ4着/凱旋門賞・仏|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2013-10-06|accessdate=2016-09-12}}</ref>)。

これらの産駒の活躍により、2年連続でJRAリーディングサイアーと全国リーディングサイアーを、4年連続でJRA・全国2歳リーディングサイアーを獲得した。

==== 2014年 ====
2014年(平成26年)は、[[ドバイシーマクラシック]]をジェンティルドンナが制し<ref name="2014DubaiSC">{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=85644|title=ジェンティルドンナが不利をはねのけ優勝!昨年の雪辱を果たす!/ドバイシーマクラシック|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2014-03-30|accessdate=2016-01-23}}</ref>、産駒の日本調教馬として初の日本国外G1制覇を達成した。桜花賞では[[ハープスター]]が勝利し<ref name="Deep2011"/>、産駒の同競走4連覇を達成<ref name="4連覇"/>{{#tag:ref|産駒の同一クラシック競走4連覇は[[パーソロン]]が優駿牝馬4連覇(1971年[[カネヒムロ]]、1972年[[タケフブキ]]、1973年[[ナスノチグサ]]、1974年[[トウコウエルザ]])を達成して以来となる<ref name="4連覇">{{Cite web|和書|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2014/04/11/kiji/K20140411007950390.html|title=【桜花賞】ディープ産駒3連覇中 ハープスターVなら40年ぶり快挙|publisher=スポーツニッポン新聞社|website=Sponichi Annex|date=2014-04-11|accessdate=2016-02-29}}</ref>。|group="注"}}。また、阪神ジュベナイルフィリーズは[[ショウナンアデラ]]が<ref name="Deep2011"/>、[[朝日杯フューチュリティステークス]]は[[ダノンプラチナ]]が<ref name="Deep2011"/>勝利し、2009年のキングカメハメハ産駒([[アパパネ]]、[[ローズキングダム]])以来の2歳GI両競走制覇となった<ref>{{Cite web|和書|url=http://race.sanspo.com/keiba/news/20141222/pog14122205090006-n3.html|title=【朝日杯FS】プラチナV!蛯名が2人目のW制覇!(3/3ページ)|publisher=サンケイスポーツ|date=2014-12-22|accessdate=2016-02-29}}</ref>。さらに[[中山大障害]]では[[レッドキングダム]]が制して産駒のJ・GI初制覇を達成した<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=94017|title=レッドキングダムがハードル王に、北沢「最終障害を跳んだらハミをかけ直した」/中山大障害|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com(提供:デイリースポーツ)|date=2014-12-21|accessdate=2016-06-24}}</ref>。

その他にも、[[ミッキーアイル]]([[NHKマイルカップ]])<ref name="Deep2011" />、ヴィルシーナ(ヴィクトリアマイル)<ref name="Deep2009" />、[[ショウナンパンドラ]](秋華賞)<ref name="Deep2011" />、[[スピルバーグ (競走馬)|スピルバーグ]](天皇賞(秋))<ref group="注">この勝利によって、産駒による東京競馬場で施行される芝GIレースの完全制覇を達成。</ref><ref name="Deep2009" />、[[ラキシス (競走馬)|ラキシス]]([[エリザベス女王杯]]){{#tag:ref|この勝利によって、産駒によるJRAの牝馬限定GI完全制覇を達成<ref>[[#『優駿』2015年1月号|『優駿』2015年1月号]]、89頁。</ref>。|group="注"}}<ref name="Deep2010" />、[[ダノンシャーク]]([[マイルチャンピオンシップ]])<ref name="Deep2008" />、ジェンティルドンナ(有馬記念)<ref name="Deep2009" />がGI競走に優勝した。

重賞競走では、京都牝馬Sを[[ウリウリ (競走馬)|ウリウリ]]が勝ち、産駒のJRA重賞競走通算50勝を達成<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2014/01/26/kiji/K20140126007460070.html|title=【京都牝馬S】ウリウリ鮮やか!ディープ産駒重賞50勝|publisher=スポーツニッポン新聞社|website=Sponichi Annex|date=2014-01-26|accessdate=2016-02-29}}</ref>。さらに[[スワンステークス]]をミッキーアイルが制して産駒重賞勝ち数が72勝となり、[[フジキセキ]]を抜いて内国産種牡馬のJRA重賞勝利数歴代1位となった<ref>「[http://www.keibabook.co.jp/homepage/topics/topicsinfo_new.aspx?subsystem=0&kind=0&category=09&filename=KON26684 ディープインパクトが内国産種牡馬でJRA重賞勝利数トップに]」 競馬ブックweb、2014年11月9日。</ref>。

JRAでの年間記録のうち、勝利数(232勝)<ref name="産駒成績">{{Cite web|和書|url=http://db.netkeiba.com/horse/sire/2002100816/|title=ディープインパクトの産駒成績|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|accessdate=2016-03-14}}</ref>、重賞勝利数(37勝)<ref name="産駒成績" />、GI勝利数(11勝)<ref name="Topics150104">{{Cite web|和書|url=https://www.jra.go.jp/topics/column/racing/pdf/20150104.pdf|title=ディープインパクト産駒が新記録を達成|publisher=日本中央競馬会|website=Racing Topics|format=PDF|date=2014-01-14|accessdate=2016-03-14}}</ref>、獲得賞金(67億6270万円)<ref name="産駒成績" />で自己最高を記録し<ref group="注">内国産種牡馬の最高記録でもある。</ref>、3年連続でJRAおよび全国リーディングサイアーを、5年連続で2歳リーディングサイアーを獲得した。なお、重賞勝利数はサンデーサイレンス産駒の38勝(2003年)に次ぐ歴代2位、GI勝利数は歴代1位である<ref name="Topics150104" />。

==== 2015年 ====
2015年(平成27年)は、[[ミッキークイーン]]が優駿牝馬に優勝<ref name="Deep2012"/>。また同馬による10月19日の秋華賞の勝利は、産駒によるJRA重賞通算100勝を達成。史上最速での更新であった(史上3頭目<ref group="注">[[サンデーサイレンス]](311勝)、[[ヒンドスタン]](113勝)、ディープインパクト</ref>、5年3カ月29日)<ref>「[http://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&year=2015&month=10&day=18&id=1554460 ディープインパクト産駒が秋華賞で最速重賞100勝]」 日刊スポーツ、2015年10月18日。</ref>。

他にも[[マリアライト (競走馬)|マリアライト]](エリザベス女王杯)<ref name="Deep2011" />、ショウナンパンドラ(ジャパンカップ)<ref name="Deep2011" />が{{GI}}競走に優勝し、さらにリアルインパクトは[[ジョージライダーステークス]]<ref name="ジョージライダーS">{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=96690|title=リアルインパクトが叩き合いを制し海外GI制覇!/豪・ジョージライダーS|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2015-03-21|accessdate=2018-11-22}}</ref>、[[エイシンヒカリ]]は[[香港カップ]]<ref name="2015香港C">{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=105288|title=エイシンヒカリ逃走V! 2着ヌーヴォで日本勢ワンツー!/香港C|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2015-12-13|accessdate=2018-11-22}}</ref>で海外{{G1}}勝利を果たした。[[函館2歳ステークス]]を[[ブランボヌール]]が制したことにより、[[グレード制]]を導入した[[1984年]]以降で8頭目となるJRA全10場重賞制覇を達成した<ref>{{Cite web|和書|url=http://enjoy.jbis.or.jp/column/ariyoshi/2015/008728.html|title=第5コーナー ~競馬余話~ 第53回 「全場制覇」|publisher=JBIS|author=有吉正徳|accessdate=2018-01-24}}</ref>。10月12日にラベンダーヴァレイが勝利し、産駒によるJRA通算1000勝を史上最速で達成した(史上17頭目、5年3カ月23日)<ref>{{Cite news |url=http://www.radionikkei.jp/keiba/post_7074.html |title=ディープインパクト産駒、史上最速でJRA通算1000勝達成 |newspaper=ラジオNIKKEI |date=2015-10-12 |accessdate=2018-11-22}}</ref>。

獲得賞金(JRAにて69億701万5000円)で自己最高記録を更新し<ref name="産駒成績" />、4年連続でJRA・全国リーディングサイアーを獲得した。一方で2歳成績ではダイワメジャー(6億5980万9000円)に次ぐ2位(6億228万円)に終わった。

==== 2016年 ====
2016年(平成28年)は、ディーマジェスティ(皐月賞)<ref name="Deep2013"/>、シンハライト(優駿牝馬)<ref name="Deep2013"/>、マカヒキ(東京優駿)<ref name="Deep2013"/>、マリアライト([[宝塚記念]])<ref name="Deep2011"/>、[[ヴィブロス]](秋華賞)<ref name="Deep2013"/>、[[サトノダイヤモンド]]([[菊花賞]]、有馬記念)<ref name="Deep2013"/>、ミッキーアイル(マイルチャンピオンシップ)<ref name="Deep2011"/>、[[サトノアレス]](朝日杯フューチュリティステークス)<ref name="Deep2014"/>が国内のGI競走に優勝した。[[菊花賞]]を制したことにより、同産駒は史上初の3歳GI完全制覇を達成した<ref>{{Cite web|和書|url=http://race.sanspo.com/keiba/news/20161023/ope16102315480004-n1.html|title=【菊花賞】ディープ産駒サトノダイヤモンドがラスト1冠獲得|publisher=サンケイスポーツ|date=2016-10-23|accessdate=2018-01-08}}</ref>。

また、中日新聞杯をサトノノブレスが制して新記録となる6週連続JRA重賞勝利を達成し<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=108182|title=ディープインパクト産駒が6週連続重賞勝利|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2016-03-14|accessdate=2016-06-24}}</ref>、後に7週連続まで記録をのばした<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2016/03/21/kiji/K20160321012251730.html|title=【スプリングS】ロブソン激勝!金子オーナー「やり過ぎ」|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2016-03-21|accessdate=2016-06-24}}</ref>。海外では[[リアルスティール]]が[[ドバイターフ]]<ref name="2016ドバイターフ" />、エイシンヒカリがイスパーン賞<ref name="2016イスパーン賞" />で{{G1}}を制覇、マカヒキはニエル賞({{G2}})を勝利した<ref name="ニエル賞2016" />。

獲得賞金(JRAにて73億7053万1000円)で自己最高記録を更新し<ref name="産駒成績" />、5年連続でJRA・全国リーディングサイアーを獲得した。また、JRA・全国2歳リーディングサイアーを2年ぶりに獲得した。

==== 2017年 ====
2017年(平成29年)は、皐月賞で[[アルアイン (競走馬)|アルアイン]]が<ref name="Deep2014"/>、安田記念で[[サトノアラジン]]が<ref name="Deep2011"/>、朝日杯フューチュリティステークスで[[ダノンプレミアム]]が<ref name="Deep2015"/>{{GI}}制覇を果たした。海外ではドバイターフをヴィブロスが制し、産駒の同競走連覇を達成した<ref name="2017ドバイターフ"/>。また、日本で生産され離乳後に[[アイルランドの競馬|アイルランド]]に渡った[[サクソンウォリアー]](Saxon Warrior)がイギリスの[[フューチュリティトロフィー|レーシングポストトロフィー]](G1)を勝利し、産駒初のイギリスG1制覇を果たすと同時に、日本産馬初のイギリスG1制覇を成し遂げた<ref>{{Cite web|和書|url=http://race.sanspo.com/keiba/news/20171030/ove17103005010001-n1.html|title=【英GI】ディープ産駒・サクソンウォリアーが制覇|publisher=sanspo.com|accessdate=2017-12-27}}</ref>。2016年に[[オーストラリアの競馬|オーストラリア]]に移籍した[[トーセンスターダム]](Tosen Stardom)は、[[トゥーラックハンデキャップ]]<ref name="2017トゥーラックH"/>と[[マッキノンステークス|エミレーツステークス]]<ref name="2017エミレーツS"/>の2つのG1を勝利した。

[[11月19日]]にフランツが勝利し、産駒によるJRA通算1500勝を史上最速で達成した(史上6頭目、7年5カ月0日)<ref>{{Cite news |url=http://www.radionikkei.jp/keiba/post_13287.html |title=ディープインパクト産駒が史上最速JRA通算1500勝達成 |newspaper=ラジオNIKKEI |date=2017-11-19 |accessdate=2018-12-27}}</ref>。

JRA年間勝利数(251勝)で自己最高記録を更新し<ref name="産駒成績" />、6年連続でJRA・全国リーディングサイアーを、2年連続でJRA・全国2歳リーディングサイアーを獲得した。なお2歳戦では勝馬数50、勝利数57を記録し、サンデーサイレンスが2004年に記録した勝馬数47、勝利数54のJRA記録を13年ぶりに更新した<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=131360|title=ディープインパクトが2歳戦でJRA記録を更新|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|accessdate=2018-01-01}}</ref>。また、[[セダブリランテス]]が[[ラジオNIKKEI賞]]に勝利し父の父として<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=column_view&cid=37651|title=秋は菊花賞を視野に入れる展望も生じた/ラジオNIKKEI賞|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|author=柏木集保|date=2017-07-03|accessdate=2018-01-23}}</ref>、[[キセキ (競走馬)|キセキ]]が菊花賞に勝利し母の父として<ref>{{Cite web|和書|url=http://race.sanspo.com/keiba/news/20171022/ope17102215460006-n2.html|title=【菊花賞】ドロンコ馬場を大外一気!キセキが戴冠(2/2ページ)|publisher=サンケイスポーツ|date=2017-10-22|accessdate=2018-01-23}}</ref>初めて重賞勝ち馬を送り出し、孫の代からも活躍馬が現れ始めていた。

==== 2018年 ====
2018年(平成30年)は、[[ケイアイノーテック]](NHKマイルカップ)<ref name="Deep2015"/>、[[ジュールポレール]](ヴィクトリアマイル)<ref name="Deep2013"/>、[[ワグネリアン (競走馬)|ワグネリアン]](東京優駿)<ref name="Deep2015"/>、[[フィエールマン]](菊花賞)<ref name="Deep2015"/>、[[ダノンファンタジー]](阪神ジュベナイルフィリーズ)<ref name="Deep2016"/>がJRAのGI競走に優勝した。また、[[アンジュデジール]]が[[JBCレディスクラシック]]に優勝し、産駒のダートGI競走初勝利となった<ref>{{Cite web|和書|url=https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=201811050000123&year=2018&month=11&day=5|title=横山典、G1勝利で「やった~」/JBCレディスC|date=2018-11-05|accessdate=2018-11-23}}</ref>。

海外調教馬も活躍し、サクソンウォリアーが[[2000ギニー|イギリス2000ギニー]]を優勝し、日本産馬初のイギリスクラシック制覇を達成した<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=136835|title=ディープ産駒サクソンウォリアーが制す!日本産馬初のイギリスクラシック制覇/英2000ギニー|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2018-05-06|accessdate=2018-11-23}}</ref>。また、フランス調教馬の[[スタディオブマン]](Study of Man)が[[ジョッケクルブ賞]](フランスダービー)を優勝し、同年の日本ダービーの勝ち馬ワグネリアンと合わせて2ヶ国のダービー制覇を達成した<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=138052|title=ディープインパクト産駒が日仏ダービー制覇 スタディオブマンV|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com(提供:デイリースポーツ)|date=2018-06-05|accessdate=2018-11-23}}</ref>。

JRA年間勝利数(265勝)で自己最高記録を更新し<ref name="産駒成績" />、7年連続でJRA・全国リーディングサイアーを、3年連続でJRA・全国2歳リーディングサイアーを獲得した。

==== 2019年 ====
2019年(平成31年、令和元年)は、アルアイン([[大阪杯]])<ref name="Deep2014"/>、[[グランアレグリア]](桜花賞)<ref name="Deep2016"/>、フィエールマン(天皇賞(春))<ref name="Deep2015"/>、[[ラヴズオンリーユー]](優駿牝馬)<ref name="Deep2016"/>、[[ロジャーバローズ]](東京優駿)<ref name="Deep2016"/>、[[ワールドプレミア (競走馬)|ワールドプレミア]](菊花賞)<ref name="Deep2016"/>{{#tag:ref|武は、この勝利で最年長菊花賞優勝騎手となったと同時に、「昭和」「平成」「令和」と3つの元号で勝利した<ref>[https://web.archive.org/web/20191020135448/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191020/k10012141051000.html 競馬 菊花賞 ワールドプレミア優勝 武豊が3つの元号で制覇]</ref>。|group="注"}}、[[コントレイル (競走馬)|コントレイル]]([[ホープフルステークス (中央競馬)|ホープフルステークス]])<ref name="Deep2017"/>が国内の{{GI}}競走に勝利し、[[グローリーヴェイズ]]は[[香港ヴァーズ]]で優勝した<ref name="2019HKV">{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=164385|title=【香港ヴァーズ】モレイラマジック! グローリーヴェイズが香港でGI初制覇!/海外競馬レース結果|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2019-12-08|accessdate=2020-01-01}}</ref>。フィエールマンが天皇賞(春)を制したことにより、種牡馬史上4頭目の[[八大競走]]完全制覇を達成した<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=154355|title=ディープインパクト産駒、JRA芝GI全制覇まで残り3レース フィエールマンの天皇賞・春勝利で|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2019-04-28|accessdate=2020-01-05}}</ref>。

海外調教馬の[[フィアスインパクト|フィアースインパクト]]({{Lang|en|Fierce Impact}})が、トゥーラックハンデキャップ<ref>{{Cite web|和書|date=2019-10-13|url=https://world.jra-van.jp/news/N0005945/|title=ディープ産駒フィアースインパクト、低評価を覆し豪トゥーラックHでG1初制覇|publisher=JRA-VAN|accessdate=2019-11-12}}</ref>と[[カンタラステークス]]<ref>{{Cite web|和書|date=2019-11-04|url=https://world.jra-van.jp/news/N0006095/page:3/|title=ディープ産駒フィアースインパクトがG1連勝、カンタラSを競り勝ち|publisher=JRA-VAN|accessdate=2019-11-12}}</ref>の2つのG1を勝利した。10月8日に[[ダノンキングリー]]が勝利し、産駒によるJRA通算2000勝を史上最速で達成した(史上2頭目、9年3カ月17日)<ref>{{Cite news |url=http://www.radionikkei.jp/keiba/post_18970.html |title=ディープインパクト産駒がJRA通算2000勝を達成 |newspaper=ラジオNIKKEI |date=2019-10-08 |accessdate=2020-01-01}}</ref>。10月26日に[[セントオブゴールド]]が勝利したことにより、2015年2月7日から247週連続でJRAレースを勝利し、サンデーサイレンスの持つJRA記録(246週、2002年3月9日~2006年11月26日)を更新した<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=162317|title=ディープインパクト産駒、JRAレース連続週勝利記録更新|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2019-10-26|accessdate=2020-01-05}}</ref>。

7月30日、頸椎骨折により安楽死処置が取られ、死亡した([[ディープインパクト (競走馬)#骨折により安楽死|骨折により安楽死]]を参照)<ref name="死亡netkeiba" /><ref name="死亡デイリー" />。

獲得賞金(76億8176万8000円)で自己最高を記録し<ref name="産駒成績" />、8年連続でJRA・全国リーディングサイアーを、4年連続でJRA・全国2歳リーディングサイアーを獲得した。

==== 2020年 ====
2020年(令和2年)は、コントレイル(皐月賞、東京優駿、菊花賞)<ref name="Deep2017"/>、フィエールマン(天皇賞(春))<ref name="Deep2015"/>、グランアレグリア(安田記念、[[スプリンターズステークス]]、マイルチャンピオンシップ)<ref name="Deep2016"/>が国内のGI競走に勝利している。コントレイルは無敗で牡馬クラシック三冠を制し、親子2代で無敗の牡馬クラシック三冠を達成<ref>{{Cite news |url=https://www.chunichi.co.jp/article/143035 |title=コントレイルが史上3頭目となる無敗の三冠 ディープインパクトの最高傑作だ!! 史上初の父子無敗三冠馬の偉業【菊花賞】 |publisher=中日新聞社 |website=中日スポーツ |date=2020-10-25 |accessdate=2020-11-01}}</ref>。また、グランアレグリアがスプリンターズステークスを制したことにより、産駒初のスプリントGI制覇となり<ref>{{Cite web|和書|url=https://hochi.news/articles/20201004-OHT1T50221.html|title=【スプリンターズS】グランアレグリア飛んだ!4角15番手から完勝 ディープインパクト産駒初のスプリントG1制覇|publisher=報知新聞社|date=2020-10-05|accessdate=2021-08-30}}</ref>、JRAの平地芝G1競走で産駒が制していないのは[[高松宮記念 (競馬)|高松宮記念]]のみとなった<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2020/10/05/kiji/20201004s00004048506000c.html|title=【スプリンターズS】グランアレグリア 剛脚V!ディープ産駒芝G1完全制覇に王手|publisher=スポーツニッポン新聞社|website=sponichi.co.jp|date=2020-10-05|accessdate=2020-11-01}}</ref>(障害競走も含めると[[中山グランドジャンプ]]の計2競走)。また、海外調教馬の[[ファンシーブルー]](Fancy Blue)が[[ディアヌ賞]](フランスオークス)(G1)<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=173532|title=【仏オークス】ディープインパクト産駒ファンシーブルーが優勝!鞍上はP.ブドー騎手/海外競馬レース結果|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2020-07-05|accessdate=2021-01-01}}</ref>と[[ナッソーステークス]](G1)<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=174564|title=【英・ナッソーS結果】ディープインパクト産駒ファンシーブルーがV!ディアドラは最下位7着|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2020-07-30|accessdate=2021-01-01}}</ref>を勝利し、フィアースインパクト(Fierce Impact)が[[マカイビーディーヴァステークス]](G1)<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=176417|title=【豪州競馬】ディープインパクト産駒フィアースインパクトがG1・3勝目|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2020-09-12|accessdate=2021-01-01}}</ref>を勝利して2019/2020シーズンのオーストラリアの最優秀中距離馬を受賞した<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=177622|title=【海外競馬】ディープ産駒フィアースインパクトが豪州の最優秀中距離馬に輝く|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2020-10-08|accessdate=2021-01-01}}</ref>。

リアルインパクトの産駒で、孫にあたる[[ラウダシオン]]がNHKマイルカップを勝利<ref>{{Cite web|和書|title=ディープインパクトの孫世代の素晴らしい活躍ぶり |url=https://news.netkeiba.com/?pid=column_view&cid=46598 |website=netkeiba.com |accessdate=2021-02-24}}</ref>。12月5日、中京4Rでモーソンピークが1着となり、産駒のJRA通算勝利が2300勝に到達した。これは父・サンデーサイレンスに次いで2番目の記録達成で、父の11年3ヶ月29日を上回る10年5ヶ月16日での史上最速の達成である<ref>{{Cite web|和書|title=ディープインパクト産駒が史上最速JRA通算2300勝を達成 |url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=180550 |website=netkeiba.com |accessdate=2020-12-05}}</ref>。

獲得賞金(79億5291万2000円)で自己最高を記録し<ref name="産駒成績" />、9年連続でJRA・全国リーディングサイアーを<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=181876|title=【2020種牡馬リーディング】9年連続でディープインパクトがトップ コントレイルらでGI・7勝|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2020-12-31|accessdate=2021-01-01}}</ref>、5年連続でJRA・全国2歳リーディングサイアーを獲得した<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=181875|title=【2020 2歳種牡馬リーディング】5年連続でディープインパクトがトップ ドゥラメンテ・モーリスが続く|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2020-12-31|accessdate=2021-01-01}}</ref>。

====2021年====
2021年(令和3年)は[[レイパパレ]]が大阪杯を制覇し、史上初の無敗での大阪杯制覇を達成した他、[[シャフリヤール_(競走馬)|シャフリヤール]]が東京優駿を制し、産駒4連覇を達成するとともに、産駒の東京優駿勝利記録で歴代1位になった。海外では[[スノーフォール]]が[[オークスステークス|英オークス]]をレース史上最大着差である16馬身差の圧勝で制した<ref name="snowfall">{{Cite web|和書|title=ディープ産駒スノーフォールが圧勝で英愛オークスダブル制覇!/愛オークス |url=https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=202107170001417&year=2021&month=7&day=18 |website=p.nikkansports.com |accessdate=2021-07-18}}</ref>。同馬は次走の[[アイリッシュオークス|愛オークス]]も制し、史上15頭目の英愛オークスダブル制覇を成し遂げた<ref name="snowfall"></ref>。またこの勝利で産駒初のアイルランドG1初制覇をクラシック制覇で果たすと同時に、欧州主要3ヶ国のオークス制覇を達成した<ref name="snowfall"></ref>。

5月15日、東京5Rでシテフローラルが勝利して、産駒のJRA通算勝利数が2400勝に到達した。父・サンデーサイレンスに次いで史上2番目の記録達成で、父の記録11年7ヶ月26日を上回る10年10ヶ月26日での達成は史上最速である<ref>{{Cite web|和書|title=ディープインパクト産駒が史上最速でJRA通算2400勝を達成 |url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=187896 |website=netkeiba.com |date=2021-05-15 |accessdate=2021-05-17}}</ref>。

11月6日(現地時間)、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[デルマー競馬場]]で行われた[[ブリーダーズカップ・フィリー&メアターフ]]を[[ラヴズオンリーユー]]が勝利。産駒初、そして日本調教馬初のブリーダーズカップ制覇を果たした<ref>{{Cite web|和書|title=【米・BCフィリー&メアターフ結果】川田将雅騎手騎乗ラヴズオンリーユーが日本馬初のBC優勝! {{!}} 競馬ニュース|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=195470|website=netkeiba.com|accessdate=2021-11-07|language=ja}}</ref>。

11月21日、東京3Rでグランスラムアスクが勝利して、産駒のJRA通算勝利が2500勝に到達した。これは父・サンデーサイレンスに次いで2番目の記録達成で、父の12年0ヶ月7日を上回る11年5ヶ月2日での達成は史上最速である<ref>{{Cite web|和書|title=ディープインパクト産駒、史上最速でJRA通算2500勝達成 |url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=196141 |website=netkeiba.com |date=2021-11-21|accessdate=2021-11-28}}</ref>。

==== 2022年 ====
2022年(令和4年)の弥生賞ディープインパクト記念で唯一の産駒で出走した[[アスクビクターモア]]が勝利し父・サンデーサイレンスの記録を超え7勝目を記録し出走機会6連覇を達成した<ref>{{Cite web|和書|title=【弥生賞】ディープインパクト産駒が父サンデー超え7勝目&出走機会6連覇達成 {{!}} 競馬ニュース |url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=200509 |website=netkeiba.com |accessdate=2022-03-06 |language=ja}}</ref>。同馬は10月に行われた菊花賞を制し、同一産駒で5勝目。12世代にわたってクラシックホースを輩出する快挙を成し遂げた。ドバイシーマクラシックをシャフリヤールが制し、史上初のダービー馬による海外G1制覇を達成した。さらに大阪杯をそれまで重賞未勝利だった[[ポタジェ (競走馬)|ポタジェ]]が勝利した。

この年、2歳を迎えたラストクロップの世代からは、アイルランド調教馬の[[オーギュストロダン (競走馬)|オーギュストロダン]](Auguste Rodin)がイギリスの[[フューチュリティトロフィー]]を制し、13世代目からのG1級競走優勝馬を輩出した。

==== 2023年 ====
ラストクロップとなった12頭(日本国内6頭、海外6頭<ref>[https://dir.netkeiba.com/keibamatome/detail.html?no=2372 【ディープインパクト最終世代まとめ】ラストクロップが英ダービーを制覇! 日本国内で6頭・海外で6頭が競走馬に/ラストクロップ一覧 | 競馬まとめ] - netkeiba.com</ref>)のうち、[[ライトクオンタム]]が[[シンザン記念]]を勝利し、JRAにおいても全世代の産駒で重賞勝利を達成した。東京優駿の出走馬はなかったが、海外で[[オーギュストロダン (競走馬)|オーギュストロダン]]が[[ダービーステークス|イギリスダービー]]を制覇し、産駒による日・英・仏三か国のダービー制覇を達成<ref>{{Cite news|url=https://mainichi.jp/articles/20230603/spp/000/101/044000c|title=凄すぎるディープの血 日仏英でダービー馬輩出、最終世代で特大のインパクト|publisher=毎日新聞|accessdate=2023-06-03}}</ref>。これによりデビューした13世代すべてでクラシック競走(日・英・仏・愛)優勝馬を輩出した<ref>{{Cite news|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=232999|title=ディープ産駒が13世代連続クラシックVの快挙 国内クラシックを制したメンバーは?|website=news.sp.netkeiba.com|publisher=株式会社ネットドリーマーズ|accessdate=2023-06-05}}</ref>。オーギュストロダンはさらに[[アイリッシュダービー]]も制覇し、産駒による日・英・仏・愛四か国のダービー制覇を達成した<ref name="derby"/>。

10月1日、阪神競馬場で行われたポートアイランドステークスで、[[ドーブネ]]が勝利し産駒のJRAの勝利数が2749勝目となり、JRA記録であるサンデーサイレンスの勝利数に並んだ<ref>{{Cite web |title=【ポートアイランドS】ドーブネが人気に応えて2年ぶりのオープン勝ち |url=https://www.sanspo.com/race/article/general/20231001-QUAAKVBUDBKYJM2S4Z4INMKW4Q/ |website=サンスポZBAT! |date=2023-10-01 |access-date=2024-05-28 |language=ja |first=SANKEI DIGITAL |last=INC}}</ref>。この記録は、サンデーサイレンスの15年6か月19日を上回る13年3か月12日で達成された<ref>{{Cite web |title=ディープインパクト産駒、父サンデーサイレンスに並ぶ歴代最多2749勝 ドーブネで達成 |url=https://umatoku.hochi.co.jp/articles/20231002-OHT1T51006.html |website=スポーツ報知 |date=2023-10-02 |access-date=2024-05-28 |language=ja}}</ref>。翌週10月8日、[[京都競馬場]]で行われた障害オープンの競走で、ロックユーが1着となって、JRA通算2750勝となり、サンデーサイレンスが持っていた産駒最多勝記録を超えて、新記録を打ち立てた<ref>{{Cite news |和書 |title= 大金字塔だ!ディープインパクト産駒 JRA通算2750勝の史上最多記録!!ロックユーが決めた|newspaper= スポーツニッポン|date= 2023-10-08|author= |url= https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2023/10/08/kiji/20231008s00004048195000c.html|access-date=2023-10-08}}</ref>。

現役競走馬の産駒が少なくなったため、この年はリーディングサイアーを12年ぶりに逃した。但し母父としてはリーディングを獲得し、[[持込馬]]を除くと内国産馬46年ぶりのリーディング[[ブルードメアサイアー]]となった<ref group="注">1977年の[[トサミドリ]]以来</ref>。

== 骨折により安楽死 ==
2019年は例年通り2月のシーズン開始から交配を行っていたが、3月末になって首に痛みが出たため大事を取って種付けを中止した<ref name="中止">{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=153113|title=ディープインパクト種付け中止 首、腰の治療して来年に備える|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2019-04-03|accessdate=2019-12-16}}</ref>。残りシーズンの種付けは行わず、翌春に誕生予定の産駒は20頭前後になる見通しとなった<ref name="中止"/>。当初、首の痛みに対して検査、治療を試みたが痛みの原因が不明であった<ref name=優駿2020>[[#軍土門2020|軍土門2020]]、54-57頁。</ref>。そのため、[[アメリカ合衆国]]から専門の[[獣医師]]を呼び[[コンピュータ断層撮影|コンピュータ断層撮影 (CT)]]を行ったところ[[頸椎]]に不具合があることが判明した<ref name=優駿2020/>。7月8日・9日に開催されたセレクトセールにて検査を受けて、手術を実施することが公表された<ref name=優駿2020/>。

7月28日、患部の頸椎と頸椎の間を固定するという日本で初めての手術が行われ<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2019/07/31/kiji/20190730s00004048490000c.html|website=www.sponichi.co.jp|accessdate=2020-10-19|title=ディープ受けた頸椎手術 95%以上改善するはずが…|publisher=}}</ref>、術後の経過は安定していたが、翌29日午前に突如起立不能の状態となった<ref name=死亡netkeiba/>。翌30日早朝のレントゲン検査で手術箇所とは別に頸椎骨折が判明<ref name=死亡netkeiba/>。回復が見込めないと診断されたことから、同日、安楽死の措置が執られた<ref name=死亡netkeiba>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=158318|title=無敗の三冠馬・ディープインパクト死す 頸椎骨折で安楽死処置 「痛恨の極み」|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com(提供:デイリースポーツ)|date=2019-07-30|accessdate=2020-01-01}}</ref><ref name="死亡デイリー">[https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2019/07/31/kiji/20190730s00004048481000c.html ディープインパクト急死 武豊駆け付け別れ、さらば英雄] - Sponichi Annex 2019年7月31日</ref>。17歳没。

[[ファイル:献花 (48556385266).jpg|サムネイル|221x221ピクセル|東京競馬場に設置された献花台]]
訃報を受け、JRAは8月3・4日の新潟・小倉・札幌の第11レース<ref>8/3(土) - 新潟: [https://race.netkeiba.com/race/shutuba.html?race_id=201904020311 越後S ダ1200m サラ系3歳以上 3勝クラス](1600万下) 小倉: [https://race.netkeiba.com/race/shutuba.html?race_id=201910020311 九州スポーツ杯 ダ1700m サラ系3歳以上 2勝クラス](1000万下) 札幌: [https://race.netkeiba.com/race/shutuba.html?race_id=201901010311 札幌日経OP 芝2600m サラ系3歳以上 オープン]([[リステッド競走|L]])の3競走。 8/4(日) - 新潟: [https://race.netkeiba.com/race/result.html?race_id=201904020411&rf=race_list レパードS ダ1800m サラ系3歳 オープン](G3) 小倉: [https://race.netkeiba.com/race/result.html?race_id=201910020411 小倉記念 芝2000m サラ系3歳以上 オープン](G3) 札幌: [https://race.netkeiba.com/race/result.html?race_id=201901010411 UHB賞 芝1200m サラ系3歳以上 オープン](OP特別)の3競走。</ref>を「[[追悼競走]]」とし、「[[追悼競走#過去の追悼競走|ディープインパクト追悼競走]]」の副題を付して開催<ref name="追悼">{{Cite news |url=http://www.radionikkei.jp/keiba/post_18427.html |title=ディープインパクトの追悼関連行事を実施 |newspaper=ラジオNIKKEI |date=2019-08-01 |accessdate=2020-01-01}}</ref>。全国の競馬場および東京競馬場内にある[[JRA競馬博物館|競馬博物館]]では記帳台と献花台が、全国の[[場外勝馬投票券発売所|ウインズ]] (WINS)および[[Gate J.]] (新橋・心斎橋の2か所)において記帳台が設置された<ref name="追悼"/>。実施された8月3日から9月1日までに、1834件の献花、3万9243件の記帳が集まり、後日オーナーの金子真人に届けられた<ref>{{Cite web|和書|title=ディープ、キンカメへの献花&記帳数発表 |url=https://www.daily.co.jp/horse/2019/09/01/0012660455.shtml |website=デイリースポーツ online |accessdate=2019-09-01}}</ref>。さらに、2019年11月24日の開催は「[[第39回ジャパンカップ#ディープインパクトメモリアル|ディープインパクトメモリアルデー]]」と銘打ち実施され、この日に行われたジャパンカップには「ディープインパクトメモリアル」の副題が付けられた<ref>{{Cite news |url=http://www.radionikkei.jp/keiba/post_19097.html |title=今年のジャパンC当日に「ディープインパクトメモリアルデー」を実施 |newspaper=ラジオNIKKEI |date=2019-10-21 |accessdate=2020-01-01}}</ref>(詳細は[[第39回ジャパンカップ]]を参照)。

フランスでもディープインパクト死亡のニュースは報じられた<ref name=優駿9P99>[[#『優駿』2019年9月号|『優駿』2019年9月号]]、99頁。</ref>。パリチュルフ紙は訃報を受けた翌日、凱旋門賞出走時の写真とともに記事を一面で掲載し、「真のアイドル」と報じた<ref name=優駿9P99/>。ジュールドギャロ紙は「Sayonara,Deep Impact」の見出しでトップ扱いで報道し、「日本において競走馬という枠を超えた特別な存在だった」と説明した<ref name=優駿9P99/>。


== 特徴 ==
== 競走馬としての特徴 ==
=== レーススタイル ===
=== レーススタイル ===
後方待機からの強烈な[[脚質#追い込み|追い込み]]が身上であった。道中は中団から後方につけ、34コーナーから一気にまくりあげて他馬をごぼう抜きするというレーススタイルでGI競走7勝を挙げた。主戦騎手の武豊は、新馬戦の追い切りの際に少しスピードがありすぎると感じたため、ゆったりとしたレースをさせるようにしたと述べている<ref>島田2007年、131頁。</ref>。また、[[発馬機|ゲート]]の中でじっとしているのが嫌いで落ち着きがなかったため、スタートが上手くできず出遅れることが多かったことも、追い込みという脚質になった一因だとされている<ref name="sarabure">サラブレ編集部2007年、108頁。</ref>。
後方待機からの強烈な[[脚質#追い込み|追い込み]]が身上であった。道中は中団から後方につけ、3 - 4コーナーから一気にまくりあげて他馬をごぼう抜きするというレーススタイルでGI競走7勝を挙げた。主戦騎手の武豊は、新馬戦の追い切りの際に少しスピードがありすぎると感じたため、ゆったりとしたレースをさせるようにしたと述べている<ref>[[#島田2007|島田2007年]]、131頁。</ref>。また、[[発馬機|ゲート]]の中でじっとしているのが嫌いで落ち着きがなかったため、スタートが上手くできず出遅れることが多かったことも、追い込みという脚質になった一因だとされている<ref name="sarabure">[[#サラブレ編集部|サラブレ編集部2007年]]、108頁。</ref>。


ディープインパクトの強みは優れた瞬発力とスピード、そして末脚の持続力である。実際、上がり3ハロンのタイムは日本国内の競走では全競走で出走馬中最速であり、東京優駿(当時)、菊花賞、天皇賞(春)、ジャパンカップ、有馬記念(4歳時)などでは史上最速であった。また、天皇賞(春)ではいつも通りの後方待機策から残り600メートル付近で早くも先頭に立ったにもかかわらずそのまま押し切っており、そのトップスピードの持続力は卓越していた。武は東京優駿後のインタビューで「この馬は瞬発力が続くんです。ド〜ンとゴールまでそのまま行く」と答えている<ref>週刊Gallop編集部、2007年、51-52頁。</ref>。調教師の池江泰郎も、瞬発力に優れ、しかも長くいい脚を使うのはディープインパクトの強さを感じるところだと述べている<ref>週刊Gallop編集部、2007年、54頁。</ref>。
ディープインパクトの強みは優れた瞬発力とスピード、そして末脚の持続力である。実際、上がり3ハロンのタイムは日本国内の競走では全競走で出走馬中最速であり、東京優駿(当時)、菊花賞、天皇賞(春)、ジャパンカップ、有馬記念(4歳時)などでは史上最速であった。また、天皇賞(春)ではいつも通りの後方待機策から残り600メートル付近で早くも先頭に立ったにもかかわらずそのまま押し切っており、そのトップスピードの持続力は卓越していた。武は東京優駿後のインタビューで「この馬は瞬発力が続くんです。ド〜ンとゴールまでそのまま行く」と答えている<ref>[[#さようならディープインパクト|さようならディープインパクト]]、51-52頁。</ref><ref>[[#島田2007 名馬篇|島田2007 名馬篇]]、306頁。</ref>。調教師の池江泰郎も、瞬発力に優れ、しかも長くいい脚を使うのはディープインパクトの強さを感じるところだと述べている<ref>[[#さようならディープインパクト|さようならディープインパクト]]、54頁。</ref>。


反面、ほかの馬と馬体を併せるレースとなった弥生賞ではクビ差とディープインパクトにしては僅差での勝利、同じようにほかの馬と馬体を併せる形となった凱旋門賞では3位入線と敗れている。調教助手の池江敏行はこのことに関して、「馬体を併せると、本気で走らない気がする」とディープインパクトの引退後に語っている<ref>週刊Gallop編集部、2007年、57頁。</ref>。
反面、ほかの馬と馬体を併せるレースとなった弥生賞ではクビ差とディープインパクトにしては僅差での勝利、同じようにほかの馬と馬体を併せる形となった凱旋門賞では3位入線と敗れている。調教助手の池江敏行はこのことに関して、「馬体を併せると、本気で走らない気がする」とディープインパクトの引退後に語っている<ref>[[#さようならディープインパクト|さようならディープインパクト]]、57頁。</ref>。


=== 身体的特徴 ===
=== 身体的特徴 ===
ディープインパクトはレース時の体重が436 - 452[[キログラム]]で、サラブレッドとしては小な体型である。デビュー戦の452キログラムがもっとも重く、最低体重を記録したのは引退レースの1戦前であるジャパンカップだった。出走したGI競走の中でも、皐月賞・菊花賞・有馬記念(2005年)・ジャパンカップ・有馬記念(2006年)では出走馬の中で最低の馬体重だった。馬体が小さいため、当初は他馬に揉まれ弱いという声もあったが、他馬に揉まれながらも皐月賞に勝利したあとは「大型馬よりも故障のリスクが小さい」と馬体の小ささが肯定的に見られるようになった<ref>サラブレ編集部2007年、31頁。</ref><ref>島田2007年、159頁。</ref>。種牡馬入りのときの健康チェックでは体高(キ甲=首と背の境から足元まで)が164[[センチメートル]]だったが、社台スタリオンステーションの徳武英介は、父サンデーサイレンスと同じサイズで体格的に種付けは心配ないと述べている<ref>「[http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/2006d_impact/KFullNormal20061229006.html インパクト ミニ放牧場での放牧開始]」 スポーツニッポン、2006年12月29日。</ref>。
ディープインパクトはレース時の体重が436 - 452[[キログラム]]で、サラブレッドとしては小な体型である。デビュー戦の452キログラムがもっとも重く、最低体重を記録したのは引退レースの1戦前であるジャパンカップだった。出走したGI競走の中でも、皐月賞・菊花賞・有馬記念(2005年)・ジャパンカップ・有馬記念(2006年)では出走馬の中で最低の馬体重だった<ref name="21meibap82">[[#21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト|21世紀の名馬vol.5 ディープインパクト]]、82頁。</ref>{{Refnest|group="注"|2006年の有馬記念での最重量馬である13着の[[ウインジェネラーレ]]とは118キログラム(556kg)の差があった<ref name="21meibap82"/>。}}。馬体が小さいため、当初は他馬に揉まれ弱いという声もあったが、他馬に揉まれながらも皐月賞に勝利したあとは「大型馬よりも故障のリスクが小さい」と馬体の小ささが肯定的に見られるようになった<ref>[[#サラブレ編集部|サラブレ編集部2007年]]、31頁。</ref><ref>[[#島田2007|島田2007年]]、159頁。</ref>。種牡馬入りのときの健康チェックでは体高(キ甲=首と背の境から足元まで)が164[[センチメートル]]だったが、社台スタリオンステーションの徳武英介は、父サンデーサイレンスと同じサイズで体格的に種付けは心配ないと述べている<ref>「[http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/2006d_impact/KFullNormal20061229006.html インパクト ミニ放牧場での放牧開始]」 スポーツニッポン、2006年12月29日。</ref>。


島田明宏によるとディープインパクトは「意外にも食いしん坊」と評している<ref name="shimada148-150">[[#島田2007|島田2007]]、148-150頁。</ref>。島田は2005年の夏における札幌での調整に密着した際、馬房の左に飼い葉桶、右に水桶を吊るし、その下に市川が青草の束を置くと、ディープインパクトは飼い葉桶から顔を上げ、水桶から水を飲み、次に青草を少し食べてまた飼い葉桶の飼料、という「[[三角食べ]]」をし、食欲は旺盛でも食べても太らないのはこの食べ方によるところが大きいのではないかと述べている<ref name="shimada148-150"/>。
馬体に関しては、バランスの良さを指摘する声もある。[[共同通信社]]の永井晴二はディープインパクトの馬体について、「ボリューム感に欠ける」ものの、「よく見ると実にバランスの取れた馬体」をしていて「すべてがコンパクトにまとまっている」と評している<ref>週刊Gallop編集部、2005年a、13頁。</ref>。[[サラブレッドクラブ・ラフィアン]]前代表の[[岡田繁幸]]は、「お尻のつく位置や骨の太さなど、すべてのバランスがいい」と述べている<ref name="gallop20051130060">週刊Gallop編集部、2005年b、60頁。</ref>。


馬体に関しては、バランスの良さを指摘する声もある。[[共同通信社]]の永井晴二はディープインパクトの馬体について、「ボリューム感に欠ける」ものの、「よく見ると実にバランスの取れた馬体」をしていて「すべてがコンパクトにまとまっている」と評している<ref>[[#ディープインパクト 衝撃2冠までの足跡|ディープインパクト 衝撃2冠までの足跡]]、13頁。</ref>。[[サラブレッドクラブ・ラフィアン]]前代表の[[岡田繁幸]]は、「お尻のつく位置や骨の太さなど、すべてのバランスがいい」と述べている<ref name="gallop20051130060">[[#ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル|ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル]]、60頁。</ref>。
また、体の柔らかさも指摘されている。ノーザンファーム早来時代に育成を担当したスタッフは、「やわらかくて、ゴム鞠のように弾むようなバネがあった」と証言している<ref name="shimada2007056"/>。また、同ファーム場長の秋田博章もディープインパクトが[[坂路]]を走る様子を見て、今まで見たことがないような柔軟性があり、まるで「ネコ科の動物」が走っているようだったと語っている<ref>島田、2007年、57-58頁。</ref>。[[装蹄師]]の[[西内荘]]は、犬や猫などのように後ろ脚で耳を掻くことができるほど体が柔らかいと発言している<ref group="注">同じ三冠馬の[[ミスターシービー]]にもそのような特徴があったといわれている(同馬の[[ミスターシービー#身体面の特徴・評価|記事]]を参照)。</ref><ref name="gallop20060216059">週刊Gallop編集部、2006年a、59頁。</ref>。サラブレッドクラブ・ラフィアンの岡田は「筋肉の質がよくて柔軟性に富んでいる」と述べ、そのため伸び縮みが自在になると考察している<ref name="gallop20051130060"/>。武豊はその柔軟性の高さを「[[チーター]]」にたとえている<ref>サラブレ編集部、2007年、30頁。</ref>。


また、体の柔らかさも指摘されている。ノーザンファーム早来時代に育成を担当したスタッフは、「やわらかくて、ゴム鞠のように弾むようなバネがあった」と証言している<ref name="shimada2007056"/>。また、同ファーム場長の秋田博章もディープインパクトが[[坂路]]を走る様子を見て、今まで見たことがないような柔軟性があり、まるで「ネコ科の動物」が走っているようだったと語っている<ref>[[#島田2007|島田2007年]]、57-58頁。</ref>。[[装蹄師]]の[[西内荘]]は、犬や猫などのように後ろ脚で耳を掻くことができるほど体が柔らかいと発言している<ref group="注">同じ三冠馬の[[ミスターシービー]]にもそのような特徴があったといわれている(同馬の[[ミスターシービー#身体面の特徴・評価|記事]]を参照)。</ref><ref name="gallop20060216059">週刊Gallop編集部2006年a、59頁。</ref>。サラブレッドクラブ・ラフィアンの岡田は「筋肉の質がよくて柔軟性に富んでいる」と述べ、そのため伸び縮みが自在になると考察している<ref name="gallop20051130060"/>。武はその柔軟性の高さを「[[チーター]]」にたとえている<ref>[[#サラブレ編集部|サラブレ編集部2007年]]、30頁。</ref>。
さらに、GI馬に共通した特徴である薄い蹄を持っている<ref>週刊Gallop編集部、2005年a、54頁。</ref>。皐月賞までは順調に勝ち進んだものの、東京優駿に向かうにあたってこの点が問題になった。蹄が薄い馬の場合、[[蹄鉄]]を[[釘]]で固定すると馬がストレスを感じるためである<ref name="gallop20051130058">週刊Gallop編集部、2005年b、58頁。</ref>。また、皐月賞が終わると蹄もボロボロになり、釘を打てる場所がなくなっていた<ref name="nhk074">NHK取材班、2006年、74-75頁。</ref>。そこで装蹄師の西内は、新しい方法で蹄鉄を装着して東京優駿に臨むことにした<ref>サラブレ編集部、2007年、73頁。</ref>。それは、装締によって蹄に負担がかからないように従来の釘による装締を止め、クッションの役割を果たすシューライナーを蹄に貼り、その上にエクイロックスという特殊な接着剤で蹄鉄を蹄に装着する方法であった<ref name="gallop20051130058"/><ref name="nhk074"/>。ディープインパクトはこの方法により装着された蹄鉄で東京優駿に勝利した。

さらに、GI馬に共通した特徴である薄い蹄を持っている<ref>[[#ディープインパクト 衝撃2冠までの足跡|ディープインパクト 衝撃2冠までの足跡]]、54頁。</ref>。皐月賞までは順調に勝ち進んだものの、東京優駿に向かうにあたってこの点が問題になった。蹄が薄い馬の場合、[[蹄鉄]]を[[釘]]で固定すると馬がストレスを感じるためである<ref name="gallop20051130058">[[#ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル|ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル]]、58頁。</ref>。また、皐月賞が終わると蹄もボロボロになり、釘を打てる場所がなくなっていた<ref name="nhk074">[[#NHK取材班|NHK取材班2006年]]、74-75頁。</ref>。そこで装蹄師の西内は、新しい方法で蹄鉄を装着して東京優駿に臨むことにした<ref>[[#サラブレ編集部|サラブレ編集部2007年]]、73頁。</ref>。それは、装締によって蹄に負担がかからないように従来の釘による装締を止め、クッションの役割を果たすシューライナーを蹄に貼り、その上にエクイロックスという特殊な接着剤で蹄鉄を蹄に装着する方法であった<ref name="gallop20051130058"/><ref name="nhk074"/>。ディープインパクトはこの方法により装着された蹄鉄で東京優駿に勝利した。


=== 走る時の特徴 ===
=== 走る時の特徴 ===
装蹄師の西内はディープインパクトの蹄鉄の減りがほかの馬に比べて遅いことを証言している<ref name="gallop2005113059">週刊Gallop編集部、2005年b、59頁。</ref>。実際、[[エアシャカール]][[アグネスワールド]]が2週間使用した蹄鉄とディープインパクトが3週間使用した蹄鉄を比較すると、ディープインパクトの蹄鉄のほうが減りが少なかった<ref>城崎2007年、59頁。</ref>。西内はその理由について、地面をがっちりと捕まえるディープインパクトの走り方を挙げている。西内によれば、本来競走能力の高い馬は蹄鉄の減りが早いのだが、ディープインパクトの場合はそのような走法のために摩擦が少なく蹄鉄が減りにくいという<ref name="gallop2005113059"/>。NHKスペシャル「ディープインパクト〜無敗の3冠馬はこうして生まれた〜」によれば、ディープインパクトはその柔軟性から後ろ脚を平均的なサラブレッドより前、重心の真下に着く事が出来る。よって、無駄無く推進力を得られ、蹄鉄の減り・脚元への負担が少ないと結論付けている。更にこの事から、大飛びで有りながら滑馬場や重馬場適性も高い言った一見相反す要素を兼備えた類い稀な馬る。
装蹄師の西内はディープインパクトの蹄鉄の減りがほかの馬に比べて遅いことを証言している<ref name="gallop2005113059">[[#ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル|ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル]]、59頁。</ref>。実際、かつて武が主戦騎手として騎乗した[[エアシャカール]][[アグネスワールド]]がそれぞれ2週間使用した蹄鉄とディープインパクトが3週間使用した蹄鉄を比較すると、ディープインパクトの蹄鉄のが減りが少なかった<ref>[[#城崎|城崎2007年]]、59頁。</ref>。西内はその理由として、ディープインパクトの地面をがっちりと捕まえる走り方を挙げている。西内によれば、本来競走能力の高い馬は蹄鉄の減りが早いのだが、ディープインパクトの場合はそのような走法のために摩擦が少なく蹄鉄が減りにくいという<ref name="gallop2005113059"/>。NHKスペシャル「ディープインパクト〜無敗の3冠馬はこうして生まれた〜」によれば、ディープインパクトはその柔軟性から後ろ脚を平均的なサラブレッドより前、重心の真下に着く事が出来る。よって、無駄無く力強い推進力が生み出され、蹄鉄の減り・脚元への負担が少ないと結論付け、ディープインパクトを「軽量ボディに排気量のエンジンを搭載したスポーツカー」と表現した<ref name=優駿p42/>。岡田繁幸はディープインパクトの蹄鉄が偏りなく摩耗すについて「着地した脚がそのまま上体を乗せて体が前に伸びき前に運ぶからです」と述べてい<ref name=tsuitou77>[[#追悼ディープインパクト|追悼ディープインパクト]]、77頁。</ref>

心肺機能が他の馬より優れていることも強さの一つとして挙げられている。まず、心拍数が最大になったときの血液のスピードを「VHRmax」(単位はm/s ([[メートル毎秒]]))、ゴール直後から心拍数が100を切るまでの時間を「HR100」といい、前者は持久力を、後者は回復力を示すものである(前者は数値が大きければ大きいほど、後者は数値が少なければ少ないほどよい)。3歳以上の馬のVHRmaxの平均は14.6であるのに対し、ディープインパクトはデビューの時点で16.3を示した<ref>NHK取材班、2006年、64頁。</ref>。HR100も一般的な3歳馬は10分以上かかるが、皐月賞のときにディープインパクトが記録したのは2分42秒であった<ref>NHK取材班2006年、61-63頁。</ref>。


JRA[[競走馬総合研究所]]が菊花賞でのディープインパクトの走りを研究したところによると、武の「走っていると言うより飛んでいる感じ」という言葉に反して、三冠を達成した菊花賞でのラスト100メートルの走りを検証したところ、ディープインパクトは4本の脚がすべて地面についていない時(エアボーン)の時間がほかの他の馬の平均である0.134秒よりも短く、0.124秒だった<ref name=tsuitou76>[[#追悼ディープインパクト|追悼ディープインパクト]]、76頁。</ref>。しかし、その間の移動距離は長く、他の馬の平均が2.43メートルであるのに対し、ディープインパクトは2.63メートルだった<ref>[[#青木|青木2007年]]、5頁。</ref><ref>[[#島田2007|島田2007年]]、182頁。</ref><ref>週刊Gallop編集部、2006年a、58頁。</ref><ref name=tsuitou76/>。同研究所は、飛ぶことによって馬体の上下動に余計な力を使ってしまい、そのうえ前へ進む力も継ぎ足せなくなるため、エアボーンの時間が短いことは速く走るためのメリットだと説明している<ref>[[#青木|青木2007年]]、5-6頁。</ref><ref>週刊Gallop編集部2006年a、58-59頁。</ref>。また、2本の脚が同時に地面に着いている時間が少ないことも明らかになった。この脚と脚が同時に着いている時間が短いという特徴はアメリカの三冠馬[[セクレタリアト]]にも見られることから、速く走る馬の特徴なのではないかと同研究所の高橋敏之は推測した<ref name="gallop20060216059"/>。
心肺機能がほかの馬より優れているのも強さの一つと考えられている。まず、心拍数が最大になったときの血液のスピードを「VHRmax」(単位はm/s・メートル毎秒)、ゴール直後から心拍数が100を切るまでの時間を「HR100」といい、前者は持久力を、後者は回復力を示すものである(前者は数値が大きければ大きいほど、後者は数値が少なければ少ないほどよい)。3歳以上の馬のVHRmaxの平均は14.6であるのに対し、ディープインパクトはデビューの時点で16.3を示した<ref>NHK取材班、2006年、64頁。</ref>。HR100も一般的な3歳馬は10分以上かかるが、皐月賞のときにディープインパクトが記録したのは2分42秒であった<ref>NHK取材班、2006年、61-63頁。</ref>。


走り方も無駄がなく効率的なものとなっている。JRA[[競走馬総合研究所]]が菊花賞のディープインパクトの走りを調査したところによると、武豊の「走っていると言うより飛んでいる感じ」という言葉に反して、ディープインパクトは4本の脚がすべて地面についていない時(エアボーン)の時間がほかの馬の平均である0.134秒よりも短く、0.124秒だった。しかし、その間の移動距離は長く、ほかの馬の平均が2.43メートルであるのに対し、ディープインパクトは2.63メートルだった<ref>青木、2007年、5頁。</ref><ref>島田、2007年、182頁。</ref><ref>週刊Gallop編集部、2006年a、58頁。</ref>。同研究所は、飛ぶことによって馬体の上下動に余計な力を使ってしまい、そのうえ前へ進む力も継ぎ足せなくなるため、エアボーンの時間が短いことは速く走るためのメリットだと説明している<ref>青木、2007年、5-6頁。</ref><ref>週刊Gallop編集部、2006年a、58-59頁。</ref>。また、2本の脚が同時に地面に着いている時間が少ないことも明らかになった。この脚と脚が同時に着いている時間が短いという特徴はアメリカの三冠馬セクレタリアトにも見られることから、速く走る馬の特徴なのではないかと同研究所の高橋敏之は推測した<ref name="gallop20060216059"/>。さらに同研究所は、走るときに後肢を大きく前方へ振り出していること(それによって後肢を後方に引き戻す速度が上がり、着地するときの制御力も小さくなる)などをディープインパクトの効率的な走りの特徴として挙げている<ref name="gallop20060216059"/>。同研究所は、ディープインパクトの走りには「強いウマ、速いウマの走りのテクニックが凝縮されて」おり、「空を飛んでいる」と武が言ったのは、ディープインパクトが馬体の上下動を抑えて重心を低くしたスムーズな走行をしているからだと研究結果をまとめている<ref>青木2007年、10頁。</ref>。
さらに同研究所は、走るときに後肢を大きく前方へ振り出していること(それによって後肢を後方に引き戻す速度が上がり、着地するときの制御力も小さくなる)などをディープインパクトの効率的な走りの特徴として挙げている<ref name="gallop20060216059"/>。同研究所は、ディープインパクトの走りには「強いウマ、速いウマの走りのテクニックが凝縮されて」おり、「空を飛んでいる」と武が言ったのは、ディープインパクトが馬体の上下動を抑えて重心を低くしたスムーズな走行をしているからだと研究結果をまとめている<ref>[[#青木|青木2007年]]、10頁。</ref>。岡部幸雄はかつて[[トウカイテイオー]]で勝利した1992年の[[大阪杯]]で「雲の上を走っている」と感じたといい、「"飛ぶ"という言葉は、馬に無駄な動きが一切ないということだと思う。滞空時間というより、上下だけでなく左右にもブレがないからスーッとそのまま飛んでいる感じになるのだろう。テイオーも上下のブレが非常に少ない馬で、バネの利いたフットワークが素晴らしかった。背中に乗っていても全く揺れがなく、どこまでも一直線に走っているイメージだった。心地よいという乗り味という意味では、2頭は似ている部分が多かったと思う」と述べている<ref name=tsuitou77/>。


=== 気性・性格・知能の特徴 ===
=== 気性・性格・知能の特徴 ===
武豊は「走ろうとする気持ちが強すぎるので、乗る立場からすれば難しい馬」<ref name="sarabure"/>「この馬が本気で行きだしたら止めるのは容易じゃない」<ref>サラブレ編集部2007年、81頁。</ref>と語っている。3歳時はほかの馬が前を走っていると調教でも追い抜こうとして抑えるのに苦労するほどで、さらに調教で馬場に出るときに尻っ跳ねをする癖があった<ref>週刊Gallop編集部、2005年b、56頁。</ref>。[[パドック]]でもうるさい様子を見せており、とくに東京優駿では焦れ込んで馬場入りのときと同じように尻っ跳ねをする仕草もした。3歳夏の札幌競馬場でのトレーニングでは、これらの癖を直すための調教もされた。このトレーニングが功を奏したのか、その後はある程度改善され、4歳時の有馬記念前の調教では他馬に反応することも尻っ跳ねをすることもなくなった<ref>サラブレ編集部2007年、74-75頁。</ref>。
武豊は「走ろうとする気持ちが強すぎるので、乗る立場からすれば難しい馬」<ref name="sarabure"/>「この馬が本気で行きだしたら止めるのは容易じゃない」<ref>[[#サラブレ編集部|サラブレ編集部2007年]]、81頁。</ref>と語っている。3歳時はほかの馬が前を走っていると調教でも追い抜こうとして抑えるのに苦労するほどで、さらに調教で馬場に出るときに尻っ跳ねをする癖があった<ref>[[#ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル|ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル]]、56頁。</ref>。[[パドック]]でもうるさい様子を見せており、とくに東京優駿では焦れ込んで馬場入りのときと同じように尻っ跳ねをする仕草もした。3歳夏の札幌競馬場でのトレーニングでは、これらの癖を直すための調教もされた。このトレーニングが功を奏したのか、その後はある程度改善され、4歳時の有馬記念前の調教では他馬に反応することも尻っ跳ねをすることもなくなった<ref>[[#サラブレ編集部|サラブレ編集部2007年]]、74-75頁。</ref>。


普段は人懐っこくておとなしく、厩舎では「お坊ちゃまくん」のニックネームで呼ばれていた<ref>週刊Gallop編集部、2005年a、60頁。</ref>。「素直な性格」<ref>週刊Gallop編集部、2005年a、63頁。</ref>で「天然」<ref>週刊Gallop編集部、2005年a、64頁。</ref>だと厩務員の市川は述べている。調教師の池江はディープインパクトを「とてもおとなしい」馬だと言い、さらに「人間が好き」で「優しい馬」だと表現している<ref>島田2007年、73頁。</ref>。競走馬時代の担当の[[獣医師]]も、ディープインパクトは「性格が気さく」であり、これほど性格が良い馬はそういないと語っている<ref>「[http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/2005d_impact/KFullNormal20050527007.html 獣医の心までとりこにするインパクト]」 スポーツニッポン、2005年5月27日。</ref>。種牡馬となってからの担当厩務員である森田敬治は、自分が人間よりも上の立場だということを誇示したがるほかの種牡馬と違って、ディープインパクトは人間と対等の立場で接してくると証言している<ref>栗林2008年、259頁。</ref>。
普段は人懐っこくておとなしく、厩舎では「お坊ちゃまくん」のニックネームで呼ばれていた<ref>[[#ディープインパクト 衝撃2冠までの足跡|ディープインパクト 衝撃2冠までの足跡]]、60頁。</ref>。「素直な性格」<ref>[[#ディープインパクト 衝撃2冠までの足跡|ディープインパクト 衝撃2冠までの足跡]]、63頁。</ref>で「天然」<ref>[[#ディープインパクト 衝撃2冠までの足跡|ディープインパクト 衝撃2冠までの足跡]]、64頁。</ref>だと厩務員の市川は述べている。調教師の池江はディープインパクトを「とてもおとなしい」馬だと言い、さらに「人間が好き」で「優しい馬」だと表現している<ref>[[#島田2007|島田2007年]]、73頁。</ref>。競走馬時代の担当の[[獣医師]]も、ディープインパクトは「性格が気さく」であり、これほど性格が良い馬はそういないと語っている<ref>「[https://web.archive.org/web/20140706011702/http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/2005d_impact/KFullNormal20050527007.html 獣医の心までとりこにするインパクト]」 スポーツニッポン、2005年5月27日。</ref>。種牡馬となってからの担当厩務員である森田敬治は、自分が人間よりも上の立場だということを誇示したがるほかの種牡馬と違って、ディープインパクトは人間と対等の立場で接してくると証言している<ref>栗林2008年、259頁。</ref>。


非常に利口な馬でもあり、調教助手の池江敏行によると、普通の馬が10回で覚えることをディープインパクトは2、3回で覚えてしまうという<ref>週刊Gallop編集部、2007年、56頁。</ref>。武も頭の良さは認めており、菊花賞でディープインパクトが一周目のホームストレッチでかかってしまったのは、頭が良いので3コーナーから4コーナーにかけてスパートをかけることを覚えているために、一周目のゴール板を正規のゴールと勘違いしてしまった(=そこまでに先頭に立たなければならないと勘違いした)からだと証言している<ref>週刊Gallop編集部、2005年b、4頁。</ref>。
非常に利口な馬でもあり、調教助手の池江敏行によると、普通の馬が10回で覚えることをディープインパクトは2、3回で覚えてしまうという<ref>[[#さようならディープインパクト|さようならディープインパクト]]、56頁。</ref>。武も頭の良さは認めており、菊花賞でディープインパクトが一周目のホームストレッチでかかってしまったのは、頭が良いので3コーナーから4コーナーにかけてスパートをかけることを覚えているために、一周目のゴール板を正規のゴールと勘違いしてしまった(=そこまでに先頭に立たなければならないと勘違いした)からだと証言している<ref>[[#ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル|ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル]]、4頁。</ref>。


== 評価 ==
== 評価 ==
=== 公式レティングによる評価 ===
=== 公式レティングによる評価 ===
2005年の[[ワールド・サラブレッド・レースホース・ランキング]]では長距離(ロング:Long - 2101メートル2700メートル)でのパフォーマンスが124ポンドと評価された<ref>{{Cite web|author=JRA|authorlink=日本中央競馬会|date=2006-01-18|url=http://www.jra.go.jp/datafile/ranking/wrank/2005.html|title=2005年度 ワールドサラブレッドレースホースランキング|work=JRA NEWS|publisher=[[日本中央競馬会]]|language=日本語|accessdate=2014-05-03}}</ref>。ほかの距離区分も含め総合9位、3歳馬の中では4位にランクされた。超長距離においては118ポンドに評価され、この距離区分では世界1位となった。
2005年の[[ワールド・サラブレッド・レースホース・ランキング]]では長距離(ロング:Long - 2101メートル - 2700メートル)でのパフォーマンスが124ポンドと評価された<ref>{{Cite web|和書|author=JRA|authorlink=日本中央競馬会|date=2006-01-18|url=https://www.jra.go.jp/datafile/ranking/wrank/2005.html|title=2005年度 ワールドサラブレッドレースホースランキング|work=JRA NEWS|publisher=[[日本中央競馬会]]|language=日本語|accessdate=2014-05-03}}</ref>。ほかの距離区分も含め総合9位、3歳馬の中では4位にランクされた。超長距離においては118ポンドに評価され、この距離区分では世界1位となった。


2006年の同ランキングでは長距離で127ポンドに評価され<ref>{{Cite web|author=JRA|authorlink=日本中央競馬会|date=2007-01-17|url=http://www.jra.go.jp/datafile/ranking/wrank/2006.html|title=2006年度 ワールドサラブレッドレースホースランキング|work=JRA NEWS|publisher=[[日本中央競馬会]]|language=日本語|accessdate=2014-05-03}}</ref>、[[インヴァソール]]・[[バーナーディニ]]・[[ディスクリートキャット]]に続く総合4位タイ、芝部門ではレイルリンク・[[ジョージワシントン]]と並び世界1位タイにランクされた。ちなみに当時は[[1999年]]における[[エルコンドルパサー]]の134ポンドに次ぐ日本調教馬歴代2位の[[レイティング]]であった。超長距離部門では123ポンドに評価され前年と同様、世界1位だった。
2006年の同ランキングでは長距離で127ポンドに評価され<ref>{{Cite web|和書|author=JRA|authorlink=日本中央競馬会|date=2007-01-17|url=https://www.jra.go.jp/datafile/ranking/wrank/2006.html|title=2006年度 ワールドサラブレッドレースホースランキング|work=JRA NEWS|publisher=[[日本中央競馬会]]|language=日本語|accessdate=2014-05-03}}</ref>、[[インヴァソール]]・[[バーナーディニ]]・[[ディスクリートキャット]]に続く総合4位タイ、芝部門ではレイルリンク・[[ジョージワシントン]]と並び世界1位タイにランクされた。ちなみに当時は[[1999年]]における[[エルコンドルパサー]]の134ポンドに次ぐ日本調教馬歴代2位の[[レイティング]]であった。超長距離部門では123ポンドに評価され前年と同様、世界1位だった。


また、2006年7月10日にIFHA(国際競馬統括機関連盟)から発表された「トップ50ワールドリーディングホース」の2006年[[1月1日]]から7月10日までの集計分では125ポンドに評価された<ref>{{Cite web|author=国際競馬統括機関連盟|authorlink=国際競馬統括機関連盟|date=2006-07-10|url=http://www.ifhaonline.org/resources/2006Rankings/07_17_06_WTRR_PressRelease.asp|title=THE WORLD'S LEADING HORSES(For the period 1st January 2006 to 10th July 2006)|work= Press Release|publisher=[[国際競馬統括機関連盟]]|language=英語|accessdate=2014-05-03}}</ref>。このレイティングにより、集計期間内に[[タタソールズゴールドカップ]]([[アイルランド]]G1)に勝利していたハリケーンラン、また、同じく集計期間内に[[コロネーションカップ]](イギリスG1)を制していたシロッコと並び、ランキングが設立された[[2003年]]以降、日本馬として初めて世界1位にランクされた。
また、2006年7月10日にIFHA(国際競馬統括機関連盟)から発表された「トップ50ワールドリーディングホース」の2006年[[1月1日]]から7月10日までの集計分では125ポンドに評価された<ref>{{Cite web|author=国際競馬統括機関連盟|authorlink=国際競馬統括機関連盟|date=2006-07-10|url=http://www.ifhaonline.org/resources/2006Rankings/07_17_06_WTRR_PressRelease.asp|title=THE WORLD'S LEADING HORSES(For the period 1st January 2006 to 10th July 2006)|work= Press Release|publisher=[[国際競馬統括機関連盟]]|language=英語|accessdate=2014-05-03}}</ref>。このレイティングにより、集計期間内に[[タタソールズゴールドカップ]]({{G1}})に勝利していたハリケーンラン、また、同じく集計期間内に[[コロネーションカップ]]({{G1}})を制していたシロッコと並び、ランキングが設立された[[2003年]]以降、日本馬として初めて世界1位にランクされた。


=== 競馬関係者による評価 ===
=== 競馬関係者による評価 ===
ディープインパクトを管理する調教師の池江泰郎は、3歳春の時点で同馬を「理想的なサラブレッド」と言い、長所として騎手の指示に対する反応の良さを挙げている<ref>島田2007年、104頁。</ref>。また主戦騎手の武豊は、弥生賞後のインタビューで、同馬の長所は何かという質問に対して負けないところだと答えている<ref>島田、2007年、86頁。</ref>。その後武は、負けないという意味は「すべての面でほかの馬を圧倒している」ということだと発言している<ref>島田2007年、87頁。</ref>。ダービー後のインタビューでは「ぼくはずっとこういう馬を探していた、という感じ。」と表現し<ref>島田2014年、179頁。</ref>、後に改めてその発言の意味を具体的に聞かれ「すごくシンプルに、走るのが速い馬。スピードがあるとか、持久力があるとか、全てを通り越して、圧倒的に足の速い馬が現れるのを待っていた。」「(自身が騎乗した)[[オグリキャップ]]も[[スペシャルウィーク]]も[[サイレンススズカ]]も速かったけど、それとはまた感じの違う速さ。どっちが上とかじゃなく。」と答えている<ref>島田2014年、189頁。</ref>。
ディープインパクトを管理した調教師の池江泰郎は、3歳春の時点で同馬を「理想的なサラブレッド」と言い、長所として騎手の指示に対する反応の良さを挙げている<ref>[[#島田2007|島田2007年]]、104頁。</ref>。14全てに乗した武豊は、弥生賞後のインタビューにおいて同馬の長所は何かという質問に対して負けないところだと答えている<ref name="shimada86"/>。その後武は、負けないという意味は「すべての面でほかの馬を圧倒している」ということだと発言している<ref>[[#島田2007|島田2007年]]、87頁。</ref>。ダービー後のインタビューでは「ぼくはずっとこういう馬を探していた、という感じ。」と表現し<ref>[[#島田2014|島田2014年]]、179頁。</ref>、後に改めてその発言の意味を具体的に聞かれ「すごくシンプルに、走るのが速い馬。スピードがあるとか、持久力があるとか、全てを通り越して、圧倒的に足の速い馬が現れるのを待っていた。」「(自身が騎乗した)[[オグリキャップ]]も[[スペシャルウィーク]]も[[サイレンススズカ]]も速かったけど、それとはまた感じの違う速さ。どっちが上とかじゃなく。」と答えている<ref>[[#島田2014|島田2014年]]、189頁。</ref>。ほかにも武は「ディープインパクトがフランスで調教されていたら、たぶんフランスでデビューして、[[フランスダービー]]とかを普通に勝っていたでしょうね。「オリビエ(・ペリエ)あたりが乗って」とも語り<ref>[[#島田2007 名馬篇|島田2007 名馬篇]]、321頁。</ref>、ディープインパクトの現役時代は自身が海外遠征へ出向いた際にオリビエ・ペリエや[[クリストフ・ルメール]]が、ジョッキールームで現地の騎手に「日本にはディープインパクトという凄い馬がいて、最後の直線だけで全部負かしてしまって…」と熱心に語っていたという<ref>[[#島田2007 勝負篇|島田2007 勝負篇]]、361頁。</ref>。


菊花賞で無敗の三冠馬となったディープインパクトだが、同じ無敗の三冠馬のシンボリルドルフとの比較という点においては、同馬の主戦騎手だった岡部幸雄が「ルドルフのほうが強い。ルドルフは競馬のすべてを知り尽くしていた」、「終始馬体を併せる作戦を取ればルドルフなら勝てる」と答えている。しかし同時に、自ら「ディープインパクトの追っかけ」<ref>週刊Gallop編集部、2005年b、53頁。</ref>と言うほどのファンでもあり、凱旋門賞のときは声を荒げて応援していた。一方、ノーザンファーム場長の秋田博章は、「ルドルフはソツのないレース巧者」で「優等生という印象」と言ったうえで、「ディープの強さは並ぶ間もない圧倒的なもの」と発言し、「一枚上」だと評価した<ref>週刊Gallop編集部、2005年b、11頁。</ref>。柴田政人の場合は菊花賞のあとに「ルドルフを超えたというよりもすごい馬が現れたと感じている。潜在能力がまさにケタ違い」と評している<ref>週刊Gallop編集部、2005年b、8頁。</ref>。
菊花賞で無敗の三冠馬となったディープインパクトだが、同じ無敗の三冠馬のシンボリルドルフとの比較という点においては、同馬の主戦騎手だった[[岡部幸雄]]が「ルドルフのほうが強い。ルドルフは競馬のすべてを知り尽くしていた」、「終始馬体を併せる作戦を取ればルドルフなら勝てる」と答えており、ディープインパクトにはシンボリルドルフに匹敵する能力があるとしつつ、欠点の少なさにおいてはシンボリルドルフの方が上<ref group="注">ディープインパクトにはスタートの拙劣さや気性面に問題があると指摘している。</ref>であると評している<ref>[[#岡部2006|岡部2006]]、168-169頁。</ref>。しかし同時に、自ら「ディープインパクトの追っかけ」<ref>[[#ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル|ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル]]、53頁。</ref>と言うほどのファンでもあり、凱旋門賞のときは声を荒げて応援していた。一方、ノーザンファーム場長の秋田博章は、「ルドルフはソツのないレース巧者」で「優等生という印象」と言ったうえで、「ディープの強さは並ぶ間もない圧倒的なもの」と発言し、「一枚上」だと評価した<ref>[[#ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル|ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル]]、11頁。</ref>。[[柴田政人]]の場合は菊花賞のあとに「ルドルフを超えたというよりもすごい馬が現れたと感じている。潜在能力がまさにケタ違い」と評している<ref>[[#ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル|ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル]]、8頁。</ref>。


[[安藤勝己]]は最も印象に残っているディープインパクトのレースに新馬戦を挙げており、その理由は「レース終わってユタカちゃんがG1制した時でも見せない表情で興奮してた」というものであり、「伝説を残すってその時点で確信した」と述べている<ref>{{Cite web|和書|url=https://twitter.com/andokatsumi/status/1156071591819632640|title=アンカツ(安藤勝己) のツイート|accessdate=2019-07-30|publisher=}}</ref>。また、「キンカメでダービーを勝たせてもらって、その翌年にディープのようなスーパーホースが出てくるとは思わなかった」といい、「セレクトセール出身で、実績で産駒でその価値を高めて、日本競馬のレベルを飛躍的に押し上げた」と述べている<ref>{{Cite web|和書|url=https://twitter.com/andokatsumi/status/1156079231333355520|title=アンカツ(安藤勝己) のツイート|accessdate=2019-07-30|publisher=}}</ref>。尚安藤は後年騎乗にあたってディープインパクトはレースぶりが独特なので自分は苦手だと語っている。
ディープインパクトの現役中に、騎手としてコンゴウリキシオーやフサイチアウステル等で対戦経験のある[[藤田伸二]]は、著書「騎手の一分」の中で「別格だったディープインパクト」という項目を設け、「積んでいるエンジンが全く違った。」「騎手の腕なんて関係なく、誰が乗っても勝てる馬だった。」「ディープと同じレースに出走する時はみんなディープの2着を狙っていた。」と述懐している。


コンゴウリキシオーやフサイチアウステル等で対戦経験のある[[藤田伸二]]は、著書「騎手の一分」の第3章「強い馬とは何か」の中で「別格だったディープインパクト」という項目を設け、「積んでいるエンジンが全く違った。」、「騎手の腕なんて関係なく、誰が乗っても勝てる馬だった。」<ref group="注">自身が現役引退後に出演した[[TBSテレビ]]「[[ジョブチューン アノ職業のヒミツぶっちゃけます!|ジョブチューン]](2016年1月23日放送分)」においても当内容と同様の発言をしている。</ref>「ディープと同じレースに出走する時はみんなディープの2着を狙っていた。」と述懐している<ref>[[#藤田2013|藤田2013]]、95-96頁。</ref>。
競馬評論家の[[井崎脩五郎]]は、ディープインパクトの新馬戦の翌日に行われたイベントで「今まで(=数十年間)見てきた中で、一番『これは強い』と思ったレースは?」と振られ「昨日のディープインパクトの新馬戦」と答えた。その後井崎は、ディープインパクトのことを「競馬史上の最強馬」ではないかと発言した。その理由として、名馬のレースで「なんだこれ!?」と感じるのは1頭に1回だが、ディープインパクトの場合は新馬戦と2戦目の若駒ステークスの2回連続でそう感じたことを挙げている<ref>岡部・柴田・井崎・鈴木、2005年、13頁。</ref>。


[[オリビエ・ペリエ]]は2008年に[[メイショウサムソン]]が前哨戦を使わずに凱旋門賞に挑戦することが報道された際に、現地の記者から「なぜ日本の馬は休み明けで使いたがるのか」と質問された際にディープインパクトの名前を挙げて「日本のトップホースは充分に凱旋門賞を勝てるだけのレベルにある。ただ、このレースは休み明けで勝てるほど甘いものではない」と前置きしたうえで、「僕はいまでもディープインパクトは一回叩いていれば勝てたと思っているんだ」と質問に答えている<ref>[[#平松2014|平松2014]]、98-99頁。</ref>。
また、競馬評論家の[[合田直弘]]は日本国外にもディープインパクトを高く評価する競馬記者が複数存在することを証言している。合田が指摘しているように、イギリスの[[レーシング・ポスト]]紙は2006年のワールド・サラブレッド・レースホース・ランキングのレイティングが日本の競馬のレベルを低く見すぎていて保守的であると不満を唱え、独自のレイティングでディープインパクトを133ポンドで世界一にしている。合田によると、[[香港]]にも「35年間競馬を見てきた中でディープインパクトは一番印象的だった馬」と述べ、ディープインパクトに高評価を与えた記者がいるという<ref>合田直弘「[http://web.archive.org/web/20090108031121/http://www.netkeiba.com/news/?pid=column_view&no=6559 ワールドランキングへの異議]」 『合田直弘 世界の競馬』、netkeiba.com、2007年1月24日([[インターネット・アーカイブ]]によるcache)。</ref>。

競馬評論家の[[井崎脩五郎]]は、ディープインパクトの新馬戦の翌日に行われたイベントで「今まで(=数十年間)見てきた中で、一番『これは強い』と思ったレースは?」と振られ「昨日のディープインパクトの新馬戦」と答えた。その後井崎は、ディープインパクトのことを「競馬史上の最強馬」ではないかと発言した。その理由として、名馬のレースで「なんだこれ!?」と感じるのは1頭に1回だが、ディープインパクトの場合は新馬戦と2戦目の若駒ステークスの2回連続でそう感じたことを挙げている<ref>[[#岡部・柴田・井崎・鈴木2005|岡部・柴田・井崎・鈴木2005年]]、13頁。</ref>。

また、競馬評論家の[[合田直弘]]は日本国外にもディープインパクトを高く評価している競馬記者が複数存在することを証言している。合田が指摘しているように、イギリスの[[レーシング・ポスト]]紙は2006年のワールド・サラブレッド・レースホース・ランキングのレイティングが日本の競馬のレベルを低く見すぎていて保守的であると不満を唱え、独自のレイティングでディープインパクトを133ポンドで世界一にしている。合田によると、[[香港]]にも「35年間競馬を見てきた中でディープインパクトは一番印象的だった馬」と述べ、ディープインパクトに高評価を与えた記者がいるという<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.netkeiba.com/news/?pid=column_view&no=6559|title=ワールドランキングへの異議|date=2007-01-24|accessdate=2009-01-08|publisher=netkeiba.com|archiveurl=https://web.archive.org/web/20090108031121/http://www.netkeiba.com/news/?pid=column_view&no=6559|archivedate=2009-01-08}}</ref>。


=== 投票による評価 ===
=== 投票による評価 ===
[[2008年]](平成20年)[[5月8日]]、平成20年度顕彰馬選出投票において競馬担当記者による投票で186票中164票(得票率86.6パーセント)を獲得し、28頭目の顕彰馬(競馬殿堂入り)に選出された<ref name="顕彰馬"/>。それを記念して[[JRA競馬博物館]]の1階メモリアルホールにおいて「祝 ディープインパクト号殿堂入り記念展」が[[5月17日]]より開催され、[[勝負服 (競馬)|馬主服]]の複製や東京優駿とジャパンカップ優勝時に装着した蹄鉄などが展示された<ref>「[https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=28492&category=E ディープインパクト殿堂入り記念展を開催中]」 netkeiba.com、2008年5月24日。</ref>。
競馬雑誌『[[優駿]]』(2010年8月号)が同誌の創刊800号を記念して読者・ライター・評論家・編集者の投票により決定した「未来に語り継ぎたい不滅の名馬たち The Greatest Horses 100」のランキングでは、読者部門とライター・評論家・編集者部門でともに第1位に選ばれ、この2つを合計した総合部門では14074ポイントを獲得し第1位となった<ref>優駿編集部、2010年、10頁。</ref>。なお読者部門では、10代から60代以上のすべての世代で第1位に選ばれている<ref>優駿編集部、2010年、52-53頁。</ref>。

[[2010年]](平成22年)[[5月2日]]に京都競馬場で第12競走として開催される[[JRAプレミアムレース]]「京都ゴールデンプレミアム」の人気投票において当馬が最多得票を獲得し、「ディープインパクトメモリアル」の副名称を付与して開催された<ref>{{Cite news |url=https://www.radionikkei.jp/keiba_article/news/entry-182851.html |title=天皇賞(春)の後のプレミアムレースは「ディープインパクトメモリアル」 |newspaper=ラジオNIKKEI |date=2010-04-12 |accessdate=2020-01-01}}</ref>。

競馬雑誌『[[優駿]]』(2010年8月号)が同誌の創刊800号を記念して読者・ライター・評論家・編集者の投票により決定した「未来に語り継ぎたい不滅の名馬たち The Greatest Horses 100」のランキングでは、読者部門とライター・評論家・編集者部門でともに第1位に選ばれ、この2つを合計した総合部門では14074ポイントを獲得し第1位となった<ref>[[#優駿2010|優駿編集部、2010年]]、10頁。</ref>。なお読者部門では、10代から60代以上のすべての世代で第1位に選ばれている<ref>[[#優駿2010|優駿編集部、2010年]]、52-53頁。</ref>。


競走馬時代には、出走したJRA主催の全競走において単勝式馬券で1倍台の1番人気に支持された。その中でもGI競走では、東京優駿・天皇賞(春)・宝塚記念・ジャパンカップで史上最高の単勝支持率、皐月賞・菊花賞・有馬記念(2006年)で史上2位となる単勝支持率を記録した。
競走馬時代には、出走したJRA主催の全競走において単勝式馬券で1倍台の1番人気に支持された<ref name="netkeiba-DeepImpact"/>。その中でもGI競走では、東京優駿・天皇賞(春)・宝塚記念・ジャパンカップで史上最高の単勝支持率、皐月賞・菊花賞・有馬記念(2006年)で史上2位となる単勝支持率を記録した。


== 各方面への影響 ==
== 各方面への影響 ==
=== 社会現象となる ===
=== 社会現象となる ===
現役競走馬時代、ディープインパクトの存在は[[社会現象]]と言われ<ref name="gallop20051130014"/><ref>サラブレ編集部2007年、41頁。</ref>、高い注目を集めた。[[日本放送協会|NHK]]で[[中継放送|中継]]された2006年の凱旋門賞の平均[[視聴率]]は関東で16.4パーセント、関西で19.7パーセントを記録し、また瞬間最高視聴率は関東で22.6パーセント、関西で28.5パーセントを記録した<ref name="gallop20070222030"/>。
現役競走馬時代、ディープインパクトの存在は[[社会現象]]と言われ<ref name="gallop20051130014"/><ref>[[#サラブレ編集部|サラブレ編集部2007年]]、41頁。</ref>、高い注目を集めた。[[日本放送協会|NHK]]で[[中継放送|中継]]された2006年の凱旋門賞の平均[[視聴率]]は関東で16.4パーセント、関西で19.7パーセントを記録し、また瞬間最高視聴率は関東で22.6パーセント、関西で28.5パーセントを記録した<ref name="gallop20070222030"/>。


2005年10月23日、三冠達成が懸かった[[第66回菊花賞]]では、普段は別番組として放送され、レース映像しか共有しない関西テレビ『[[ドリーム競馬]]』とフジテレビ『[[スーパー競馬]]』が初めて共同制作の形式を取り、ディープインパクトが特別な存在であることを印象づけた。
2005年10月23日、三冠達成が懸かった[[第66回菊花賞]]では、普段は別番組として放送され、レース映像しか共有しない関西テレビ『[[ドリーム競馬]]』とフジテレビ『[[スーパー競馬]]』が初めて共同制作の形式を取り、ディープインパクトが特別な存在であることを印象づけた。


そのような高い注目と相まって、競馬専門誌や[[スポーツ新聞]]だけでなく一般の[[新聞]]・雑誌・テレビ番組などの[[メディア (媒体)|メディア]]もその存在を取り上げた。JRAに対する取材の申し込みは例年の10倍に及んだ<ref>NHK取材班2006年、3頁。</ref>。三冠達成後の2005年[[10月29日]]には[[NHKスペシャル]]で「ディープインパクト〜無敗の3冠馬はこうして生まれた〜」が放送された。なお、同番組は2005年の[[JRA賞馬事文化賞]]を受賞した。[[漫画雑誌]]でも取り上げられ、ハイセイコーのときと同様に[[グラビアページ|グラビア]]を飾ったことや(『[[週刊ヤングサンデー]]』2006年15号)、凱旋門賞の前に『[[週刊少年チャンピオン]]』でディープインパクトの物語が短期集中連載された<ref group="注">作者は以前同誌で競馬漫画『[[優駿の門]]』を連載していた[[やまさき拓味]]で、『優駿の門 特別篇』として掲載された。のちに単行本化され、[[少年チャンピオン・コミックス]]から発売された。</ref>ことがある。競走馬引退後の2007年4月には、[[サントリーフーズ]]「[[BOSSコーヒー]]」の[[コマーシャルメッセージ|CM]]に[[トミー・リー・ジョーンズ]]と共演している<ref>[http://www.suntory.co.jp/news/2007/9780.html Suntory News Release No.9780] サントリー株式会社、2007年4月24日。</ref>。
そのような高い注目と相まって、競馬専門誌や[[スポーツ新聞]]だけでなく一般の[[新聞]]・雑誌・テレビ番組などの[[メディア (媒体)|メディア]]もその存在を取り上げた。JRAに対する取材の申し込みは例年の10倍に及んだ<ref>NHK取材班2006年、3頁。</ref>。三冠達成後の2005年[[10月29日]]には[[NHKスペシャル]]で「ディープインパクト〜無敗の3冠馬はこうして生まれた〜」が放送された。なお、同番組は2005年の[[JRA賞馬事文化賞]]を受賞した。[[漫画雑誌]]でも取り上げられ、ハイセイコーのときと同様に[[グラビアページ|グラビア]]を飾ったことや(『[[週刊ヤングサンデー]]』2006年15号)、凱旋門賞の前に『[[週刊少年チャンピオン]]』でディープインパクトの物語が短期集中連載された<ref group="注">作者は以前同誌で競馬漫画『[[優駿の門]]』を連載していた[[やまさき拓味]]で、『優駿の門 特別篇』として掲載された。のちに単行本化され、[[少年チャンピオン・コミックス]]から発売された。</ref>ことがある。競走馬引退後の2007年4月には、[[サントリーフーズ]]「[[ボス (コーヒー)|ボス]]」の[[コマーシャルメッセージ|CM]]に[[トミー・リー・ジョーンズ]]と共演している<ref>[http://www.suntory.co.jp/news/2007/9780.html Suntory News Release No.9780] サントリー、2007年4月24日。</ref>。このCMではジョーンズが扮する「宇宙人ジョーンズ」がディープインパクトの鼻面を撫でるシーンが登場し、ディープインパクトに対しては「ディープインパクト(本物)」というテロップがつけられている<ref>{{Cite book|和書|author=軍土門隼夫|chapter=名馬の一生 ディープインパクト 第八回 第二の船出|title=優駿|volume=2020年11月号|publisher=中央競馬ピーアール・センター|year=2020|page=82}}</ref>。


現役競走馬時代の2005年と2006年には、その年を代表する存在として扱われることもあった。2005年には[[新語・流行語大賞]]の候補語60語にノミネートされた<ref>「[http://www.narinari.com/Nd/2005115209.html 2005年の「新語・流行語大賞」、60語の候補を発表。]」 Narinari.com、2005年11月12日。</ref>。また、2005年の『[[日経MJ]]』の[[ヒット商品番付]]では「西関脇」に番付された<ref>「[http://www.narinari.com/Nd/2005125311.html 日経MJが選ぶ「2005年ヒット商品番付」。]」 Narinari.com、2005年12月7日。</ref>。
現役競走馬時代の2005年と2006年には、その年を代表する存在として扱われることもあった。2005年には[[新語・流行語大賞]]の候補語60語にノミネートされた<ref>「[https://www.narinari.com/Nd/2005115209.html 2005年の「新語・流行語大賞」、60語の候補を発表。]」 Narinari.com、2005年11月12日。</ref>。また、2005年の『[[日経MJ]]』の[[ヒット商品番付]]では「西関脇」に番付された<ref>「[https://www.narinari.com/Nd/2005125311.html 日経MJが選ぶ「2005年ヒット商品番付」。]」 Narinari.com、2005年12月7日。</ref>。

このような現役競走馬時代の知名度、人気から競走馬引退後もJRAによるプロモーションに活用されている。
[[2012年]](平成24年)にJRAが近代競馬150周年を記念して制作したテレビCM「次の夢へ」(60秒版)では、ディープインパクトの出走シーンがCM内で使用されていた。また、[[2013年]](平成25年)のJRAのテレビCMシリーズ「[[The LEGEND]]」では、天皇賞(春)のプロモーションの際に、同競走の歴代優勝馬の一頭としてディープインパクトが登場した。翌[[2014年]](平成26年)の「The GI story」でも、東京優駿のプロモーションにおいて同馬が登場した。


=== 経済的影響 ===
=== 経済的影響 ===
[[画像:Sapporo-Kuro-Label 2007 Arima Memorial.JPG|thumb|150px|サッポロ生ビール<黒ラベル>第52回[[有馬記念]]缶。[[2006年]]第51回優勝馬[[ディープインパクト (競走馬)|ディープインパクト]]のイラスト。]]
[[ファイル:Sapporo-Kuro-Label 2007 Arima Memorial.JPG|thumb|150px|サッポロ生ビール<黒ラベル>第52回[[有馬記念]]缶。[[2006年]]第51回優勝馬ディープインパクトのイラスト。]]
[[関西大学]][[大学院]]教授の[[宮本勝浩]]は、ディープインパクトが出走したGI競走と出走していない前年の同じGI競走の入場者数や売り上げなどを比較し、その増加分から同馬によってもたらされた経済波及効果を試算した。その結果経済波及効果は262億円と推定された<ref>「[http://web.archive.org/web/20070101104323/http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20061224-OHT1T00091.htm 新庄超え!? ディープ経済効果262億!!]」 スポーツ報知200612月24日(イターネット・カイブによるcache)。</ref>。関連商品はよく売れ、同馬の関連商品によって2005年の競馬ッズの売り上げが前年より10パセント増加した[[中央競馬ピーアール・セター]]の職員は語っいる<ref>重光晋太郎 「インパクト旋風北へ」 スポツニッポン、2006年12月25付21面。</ref>。なお、同センタが販売する競馬グッの売り上げの3分の1が同馬の関連商品だっ<ref>「[http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/deep/de20060928_02.htm ディプ人気 出足よし!]」 読売新聞、2006年9月28日。</ref>。関連「商品」ではないが、単勝馬券を払戻さずに取っておくファンも多数存在する。同馬が日国内で出走した全13レースうちで単勝券の未払い率最高のは引退レースである2006年有馬記念で、同競走単勝馬券の未払い率9.1パーセント(通常は0.3パーセント)記録した。また13レ単勝馬券の未払いは合計2億8731万6370円なった<ref>「[http://web.archive.org/web/20070301093349/http://www.daily.co.jp/gossip/2007/02/24/0000249936.shtml ディープ馬券12000万円分未換金]」 デイリースポーツ、2007年2月24日(インターネット・アーカイブによるcache)。</ref>。単勝馬券が[[インターネットオークション]]で取引され、1万円以上の値がつくこともあった<ref>「[http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/2005d_impact/KFullNormal20051024098.html 全7戦の馬券セットで5万円]」 スポーツニッポン、2005年10月24日。</ref>。
[[関西大学]][[大学院]]教授の[[宮本勝浩]]は、ディープインパクトが出走したGI競走と出走していない前年の同じGI競走の入場者数や売り上げなどを比較し、その増加分から同馬によってもたらされた経済波及効果を試算しその結果経済波及効果は262億円と推定された。これはこの[[セントラルーグ|セ・リグ]]を制した[[中日ドラゴ]]の優勝の経済効果を共立総合研究所([[岐阜県]])が約200億円、[[新庄剛志]]を中心とし[[シフィッ・リグ|パ・リーグ]]を制し同年の中日との[[2006年本シリーズ|日本シリーズ]]を制して日本一に輝いた[[北海道日本ハムファイタ]]の経済効果につても北海道未来総研約220億円と試算している。は「1頭の馬が70人を超える2つのプロ野球球団のV効果を、もに上回ているのは驚異的なこと」と述べ、今回試算は新聞雑誌、テレビなど広告宣伝効果計測しておらず「それら推定するとディ経済効果はさらに膨大な金に膨れ上がるしょう」いう<ref>{{Cite web|和書|url=http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20061224-OHT1T00091.htm|title=新庄超え!?ディープ経済効果262!!|date=2006-12-24|accessdate=2007-01-01|publisher=スポーツ報知|archiveurl=https://web.archive.org/web/20070101104323/http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20061224-OHT1T00091.htm|archivedate=2007-01-01}}</ref>。


関連商品はよく売れ、同馬の関連商品によって2005年の競馬グッズの売り上げが前年より10パーセント増加したと[[中央競馬ピーアール・センター]]の職員は語っている<ref>重光晋太郎 「インパクト旋風北へ」 スポーツニッポン、2006年12月25日付21面。</ref>。なお、同センターが販売する競馬グッズの売り上げの3分の1が同馬の関連商品だった<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/deep/de20060928_02.htm|title=ディープ人気 出足よし!|date=2006-09-28|accessdate=2008-02-25|publisher=読売新聞|archiveurl=https://web.archive.org/web/20080225042256/http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/deep/de20060928_02.htm|archivedate=2008-02-25}}</ref>。関連「商品」ではないが、単勝馬券を払い戻さずに取っておくファンも多数存在する。同馬が日本国内で出走した全13レースのうちで単勝馬券の未払い率が最高となったのは引退レースである2006年の有馬記念で、同競走の単勝馬券の未払い率は9.1パーセント(通常は0.3パーセント)を記録した。また、13レースの単勝馬券の未払い額は合計で2億8731万6370円となった<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.daily.co.jp/gossip/2007/02/24/0000249936.shtml|title=ディープ馬券1億2000万円分未換金|date=2007-02-24|accessdate=2007-03-01|publisher=デイリースポーツ|archiveurl=https://web.archive.org/web/20070301093349/http://www.daily.co.jp/gossip/2007/02/24/0000249936.shtml|archivedate=2007-03-01}}</ref>。単勝馬券が[[インターネットオークション]]で取引され、1万円以上の値がつくこともあった<ref>「[https://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/2005d_impact/KFullNormal20051024098.html 全7戦の馬券セットで5万円]」 スポーツニッポン、2005年10月24日。</ref>。
一般企業がディープインパクトとのタイアップ商品を売り出すこともあった。[[銀座]][[松坂屋]]ではディープインパクトの[[福袋]]まで発売された。また菊花賞と宝塚記念のときには[[京阪電気鉄道]]の[[乗車カード]]である「[[スルッとKANSAI Kカード]]」でディープインパクトが図案となっているカードが発行された<ref group="注">図柄となった写真は[[スポーツ報知]]の協力であった。カードには菊花賞時は「夢舞台、淀へ」、宝塚記念時は「淀から凱旋門賞へ」と記載されていた。</ref>。[[サッポロビール]]は有馬記念優勝の缶ビールを発売した。引退後の2007年[[1月24日]]には、ディープインパクトの応援歌「翔んでディープインパクト」(歌:[[和田青児]])が発売された。

一般企業がディープインパクトとのタイアップ商品を売り出すこともあった。東京都中央区にある[[銀座]][[松坂屋]]ではディープインパクトの[[福袋]]まで発売された。また菊花賞と宝塚記念のときには[[京阪電気鉄道]]の[[乗車カード]]である「[[スルッとKANSAI Kカード]]」でディープインパクトが図案となっているカードが発行された<ref group="注">図柄となった写真は[[スポーツ報知]]の協力であった。カードには菊花賞時は「夢舞台、淀へ」、宝塚記念時は「淀から凱旋門賞へ」と記載されていた。</ref>。引退後の2007年[[1月24日]]には、ディープインパクトの応援歌「翔んでディープインパクト」(歌:[[和田青児]])が発売された<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.oricon.co.jp/prof/255535/products/694608/1/ |title=翔んでディープインパクト |publisher=オリコン |website=ORICON NEWS |accessdate=2020-01-01}}</ref>。またこの年に[[サッポロビール]]は前年の有馬記念優勝を記念した缶ビールを発売した<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=22894|title=ディープインパクトの『有馬記念缶』ビールを発売|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2007-09-12|accessdate=2020-01-01}}</ref>。2015年にはスペインの名窯[[リヤドロ]]社が同馬の精巧な陶人形を日本限定で3000体発売した。


=== 交通面への影響 ===
=== 交通面への影響 ===
菊花賞当日のレース終了後、京都競馬場の最寄り駅である[[京阪本線]][[淀駅]]ではディープインパクトの三冠達成を見てから帰宅した競馬ファンで[[プラットホーム]]が混雑し、[[急行列車]]の臨時停車や[[臨時列車]]を大増発した。それでも捌き切れずにホーム上の安全性確保と混雑緩和の観点から急遽[[京阪特急|特急列車]]を4本のみ臨時停車させた。さらに競馬場付近を走る[[京阪宇治バス]][[宇治淀線]]などの[[路線バス]]や周辺[[道路]]も当日は混みに混み合って渋滞が解けたのは宇治淀線の最終バス発車間際の午後10時ごろであったという
菊花賞当日のレース終了後、京都競馬場の最寄り駅である[[京阪本線]][[淀駅]]ではディープインパクトの三冠達成を見てから帰宅した競馬ファンで[[プラットホーム]]が混雑し、[[急行列車]]の臨時停車や[[臨時列車]]を大増発した。それでも捌き切れずにホーム上の安全性確保と混雑緩和の観点から急遽[[京阪特急|特急列車]]を4本のみ臨時停車させた<ref>{{Citation|和書|author=矢野吉彦|author-link=矢野吉彦|title=競馬と鉄道 : あの"競馬場駅"は、こうしてできた|date=2018.4|publisher=[[交通新聞社]]|series=[[交通新聞社新書]]|isbn=978-4-330-87718-1|pages=190-191}}</ref>


=== ファンの少年の自殺 ===
=== ファンの少年の自殺 ===
2006年10月11日に[[福岡県]]に住むディープインパクトファンの学二年生がいじめを苦に自殺したそのに「生まれかわったらディープインパクトの子供で最強になりたい」と遺書に書かれていたことが報道された。この報道を受け、蹄鉄製造会社の社長がディープインパクトが使ていのと同型の蹄鉄を遺族に贈呈したり、主戦騎手である武豊が色紙を中学生とその遺族に贈るなど、話題になった<ref>「[http://news.shikoku-np.co.jp/national/social/200611/20061116000051.htm いじめ自殺、遺族に贈り物/ディープと同型の蹄鉄]」 四国新聞、2006年11月16日。</ref>。
2006年10月11日に[[福岡中2いじめ自殺事件]]発生。その少年が残した遺書に「生まれかわったらディープインパクトの子供で最強になりたい」と記されていたことが報道された。この報道を受け、蹄鉄製造会社の社長がディープインパクトが使用していたものと同型の蹄鉄を遺族に贈呈し、主戦騎手である武豊が色紙を中学生とその遺族に贈ったことが話題になった<ref>「[http://news.shikoku-np.co.jp/national/social/200611/20061116000051.htm いじめ自殺、遺族に贈り物/ディープと同型の蹄鉄]{{リンク切れ|date=2015年11月}}」 四国新聞、2006年11月16日。</ref>。


=== 対戦した競走馬の故障 ===
=== 対戦した競走馬の故障 ===
ディープインパクトが勝ったGI競走の2着馬は7頭いるが、うち6頭(シックスセンス、インティライミ、アドマイヤジャパン、リンカーン、ナリタセンチュリー、ドリームパスポート)がそこから1年以内に故障を発症している。2着馬の故障続出の事実は現役当時「ディープインパクトの呪い」として週刊誌で取り上げられた<ref>「「呪いの力」でディープインパクト世界制覇」 [[AERA]]、2006年[[10月2日]]号。</ref>。ちなみに、日本国内で唯一ディープインパクトに勝利したハーツクライも、先述の通り、その翌年に[[喘鳴症]]を発症し引退に追い込まれている。また、凱旋門賞でディープインパクトを破ったレイルリンクも翌年骨折、さらには腱を痛めて引退している。
ディープインパクトが勝ったGI競走の2着馬は7頭いるが、うち6頭([[シックスセンス (競走馬)|シックスセンス]][[インティライミ]][[アドマイヤジャパン]][[リンカーン (競走馬)|リンカーン]][[ナリタセンチュリー]][[ドリームパスポート]])がそこから1年以内に故障を発症している。これら2着馬の故障続出の事実は現役当時「ディープインパクトの呪い」として週刊誌で取り上げられた<ref>「「呪いの力」でディープインパクト世界制覇」 [[AERA]]、2006年[[10月2日]]号。</ref>。日本国内で唯一ディープインパクトに勝利したハーツクライも、先述の通り、その翌年に[[喘鳴症]]を発症し引退に追い込まれている。また、凱旋門賞でディープインパクトを破った[[レイルリンク]]も翌年骨折、さらには腱を痛めて引退している。

唯一、健常な競走馬生活を送ったのはポップロックで、のちにアイルランドにレースの場を移して2010年(9歳)まで現役を続けたが、最後にはレース中に屈腱炎を発症して引退となり、「ディープインパクトの(GI競走)2着馬はGIを勝つことができない」というもう一つのジンクスについても打ち破ることは叶わなかった。
唯一、健常な競走馬生活を送ったのは[[ポップロック (競走馬)|ポップロック]]で、のちにアイルランドにレースの場を移して2010年(9歳)まで現役を続けたが、最後にはレース中に[[屈腱炎]]を発症して引退となり、「ディープインパクトの(GI競走)2着馬はGIを勝つことができない」というもう一つのジンクスについても打ち破ることは叶わなかった。

== 種牡馬成績 ==
=== 種付料の推移 ===
{| class="wikitable" style="text-align:right"
! 年 !! 種付料(万円) !! 増減 !! 種付頭数<ref name="jbis-sire">{{Cite web|和書|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000742976/sire/generation/thorough_s/ |title=種牡馬情報:世代・年次別(サラ系総合)|ディープインパクト |website=JBISサーチ |accessdate=2016-05-22}}</ref> !! 出産頭数<ref name="jbis-sire" />
|-
! 2007年
| 1200<ref>「[https://blog.goo.ne.jp/umaichi_news/e/24de581a5796a3eac2f97a1aefd46388 ディープインパクト擁する「社台スタリオンS」のスタリオンパレード開催!(Vol.1、新種牡馬写真)]」馬市.com、2007年2月20日。</ref> || -||215||152
|-
! 2008年
| 1200<ref name="Stallion2009">「[https://blog.goo.ne.jp/umaichi_news/e/fb94c0db57fee776664130bad334c61c 「社台スタリオンパレード2009」が開催!(Vol.3、ディープインパクトなど)]」 馬市.com、2009年2月18日。</ref> || 0||232||161
|-
! 2009年
| 1000<ref name="Stallion2009"/> || {{decrease}} 200|| 171||118
|-
! 2010年
| 900<ref name="Stallion2019">「[https://blog.goo.ne.jp/umaichi_news/e/d11061b420f05efc3cd4afc920f294ea 【社台スタリオンステーション】の「2019年度ラインアップと種付料」が発表!]」 馬市.com、2018年11月22日。</ref> || {{decrease}} 100|| 219||140
|-
! 2011年
| 1000<ref name="Stallion2019"/> || {{increase}} 100|| 229||151
|-
! 2012年
| 1000<ref name="Stallion2019"/> || 0|| 246||159
|-
! 2013年
| 1500<ref name="Stallion2019"/> || {{increase}} 500|| 262||181
|-
! 2014年
| 2000<ref name="Stallion2019"/> || {{increase}} 500|| 255||176
|-
! 2015年
| 2500<ref name="Stallion2019"/> || {{increase}} 500|| 261||157
|-
|-
! 2016年
| 3000<ref name="Stallion2019"/> || {{increase}} 500|| 243||162
|-
! 2017年
| 3000<ref name="Stallion2019"/> || 0|| 241||144
|-
! 2018年
| 4000<ref name="Stallion2019"/> || {{increase}} 1000|| 197||113
|-
! 2019年
| 4000<ref name="Stallion2019"/> || 0|| 24||7
|}

=== 年度別成績 ===
{|class="wikitable" style="text-align:right"
!rowspan="3"|年!!colspan="7"|総合 (中央+地方)!! colspan="7" |中央
|-
!colspan="2"|出走!!colspan="2"|勝利!!rowspan="2"|順位!!rowspan="2"|[[アーニングインデックス|AEI]]!!rowspan="2"|収得賞金!!colspan="2"|出走!!colspan="2"|勝利!!rowspan="2"|順位!!rowspan="2"|[[アーニングインデックス|AEI]]!!rowspan="2"|収得賞金
|-
!頭数!!回数!!頭数!!回数!!頭数!!回数!!頭数!!回数
|-
||2010年||74||189||35||43||40||1.87||5億4074万3000円||74||187||34||41||35||1.17||5億3704万3000円
|-
||2011年||210||960||111||150||4||3.09||24億8904万7500円||206||879||100||135||2||1.95||24億5909万4000円
|-
||2012年||317||1664||168||269||'''1'''||4.23||50億4532万3000円||296||1389||145||216||'''1'''||2.88||50億3164万3000円
|-
||2013年||364||1876||171||243||'''1'''||3.89||54億0838万2500円||342||1586||152||203||'''1'''||2.67||54億6122万5000円
|-
||2014年||432||2297||190||280||'''1'''||3.86||65億9287万3000円||406||1928||162||232||'''1'''||2.74||67億6270万円
|-
||2015年||467||2665||202||314||'''1'''||3.63||69億0405万9000円||440||2053||161||224||'''1'''||2.55||69億701万5000円
|-
||2016年||471||2671||186||304||'''1'''||3.72||73億2503万4000円||423||1914||158||230||'''1'''||2.80||73億7053万1000円
|-
||2017年||510||2715||235||346||'''1'''||2.70||58億9099万8000円||462||2025||194||251||'''1'''||2.02||58億3915万9000円
|-
||2018年||520||2668||237||348||'''1'''||3.11||67億9865万3000円||475||2063||193||265||'''1'''||2.29||67億7704万2000円
|-
||2019年||510||2518||241||345||'''1'''||3.63||77億0166万2000円||461||1906||199||257||'''1'''||2.70||76億8176万8000円
|-
||2020年||519||2726||224||341||'''1'''||3.67||79億7540万8500円||472||1991||184||257||'''1'''||2.72||79億5291万2000円
|-
||2021年||506||2599||202||307||'''1'''||3.21||68億7672万1500円||150||1838||159||213||'''1'''||2.41||68億1080万6000円
|-
||2022年||394||2240||154||220||'''1'''||2.48||43億1506万3000円||331||1444||115||148||'''1'''||1.98||41億9828万8000円
|-
||2023年||244||1520||88||128||5||2.80||31億1201万8000円||191||786||57||69||5||2.41||30億1915万9000円
|}
*種牡馬成績は2023年(令和5年)終了時点<ref name="Ranking">{{Cite web|和書|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000742976/sire/record/ |title=ディープインパクト サイアーランキング 年代別 |publisher=日本軽種馬協会 |website=JBISサーチ |accessdate=2024-04-16}}</ref><ref name="jbis-sire" /><ref name="産駒成績"/>
* 総合 (中央+地方)の項目は[[平地競走]]のみの集計値であり、[[障害競走]]は含まれていない

=== 主な産駒 ===
==== GI級競走優勝馬 ====
'''太字'''はGI競走、競走名の前の国旗は開催国 (日本以外の場合に明記)、日本国外調教馬の馬名はカタカナ+英字で明記
*2008年産
** [[トーセンラー]] ('''[[マイルチャンピオンシップ]]'''、[[京都記念]]、[[きさらぎ賞]])<ref name="Deep2008">ディープインパクト 2008年産 重賞勝利レース [http://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2008&mode=gw&type=sjr 1ページ目]、[https://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2008&mode=gw&type=sjr&course=&page=2 2ページ目] netkeiba.com</ref>
** [[ダノンシャーク]] ('''マイルチャンピオンシップ'''、[[京都金杯]]、[[富士ステークス]])<ref name="Deep2008"/>
** [[リアルインパクト]] ('''[[安田記念]]'''、'''{{Flagicon|AUS}} [[ジョージライダーステークス]]<ref name="ジョージライダーS"/>'''、[[阪神カップ]]2回)<ref name="Deep2008"/>
** [[マルセリーナ]] ('''[[桜花賞]]'''、[[マーメイドステークス]])<ref name="Deep2008"/>
*2009年産
** [[ジェンティルドンナ]] ('''[[中央競馬クラシック三冠|牝馬三冠]]''' ('''桜花賞'''、'''[[優駿牝馬]]'''、'''[[秋華賞]]''')、'''[[ジャパンカップ]]'''2回、{{Flagicon|UAE}} '''[[ドバイシーマクラシック]]'''<ref name="2014DubaiSC"/>、'''[[有馬記念]]'''、[[ローズステークス]]、[[シンザン記念]])<ref name="Deep2009">ディープインパクト 2009年産 重賞勝利レース [https://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2009&mode=gw&type=sjr 1ページ目]、[https://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2009&mode=gw&type=sjr&course=&page=2 2ページ目] netkeiba.com</ref>
*** 2012年度'''[[JRA賞#JRA賞時代(1987年 - )|代表馬]]'''・[[JRA賞最優秀3歳牝馬#最優秀3歳牝馬|最優秀3歳牝馬]]
*** 2013年度[[JRA賞最優秀4歳以上牝馬#最優秀4歳以上牝馬|最優秀4歳以上牝馬]]
*** 2014年度'''代表馬'''・最優秀4歳以上牝馬
*** '''[[JRA顕彰馬|顕彰馬]]'''
** [[ディープブリランテ]] ('''[[東京優駿]]'''、[[東京スポーツ杯2歳ステークス]])<ref name="Deep2009"/>
** [[スピルバーグ (競走馬)|スピルバーグ]] ('''[[天皇賞(秋)]]''')<ref name="Deep2009"/>
** [[ヴィルシーナ]] ('''[[ヴィクトリアマイル]]'''2回、[[クイーンカップ]])<ref name="Deep2009"/>
** [[ジョワドヴィーヴル]] ('''[[阪神ジュベナイルフィリーズ]]''')<ref name="Deep2009"/>
*** 2011年度[[JRA賞最優秀2歳牝馬#最優秀2歳牝馬|最優秀2歳牝馬]]
** [[レッドキングダム]] ('''[[中山大障害]]''')<ref name="Deep2009"/>
**[[ビューティーパーラー]] / Beauty Parlour ({{flagicon|FRA}} '''[[プール・デッセ・デ・プーリッシュ]]'''、{{flagicon|FRA}} [[グロット賞]])<ref>{{Cite web|url=http://www.racingpost.com/horses/horse_home.sd?horse_id=793132#topHorseTabs=horse_race_record&bottomHorseTabs=horse_form|title=Beauty Parlour Race record|publisher=Racing Post|accessdate=2015-08-24}}</ref>
*2010年産
** [[キズナ (競走馬)|キズナ]] ('''東京優駿'''、{{Flagicon|FRA}} [[ニエル賞]]<ref name="2013ニエル賞">{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=79230|title=武豊キズナ、日英ダービー馬の叩き合いを制して前哨戦V!/ニエル賞・仏|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2013-09-16|accessdate=2016-09-12}}</ref>、[[大阪杯|産経大阪杯]]、[[京都新聞杯]]、[[毎日杯]])<ref name="Deep2010">ディープインパクト 2010年産 重賞勝利レース [https://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2010&mode=gw&type=sjr 1ページ目]、[https://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2010&mode=gw&type=sjr&course=&page=2 2ページ目] netkeiba.com</ref>
*** 2013年度[[JRA賞最優秀3歳牡馬#最優秀3歳牡馬|最優秀3歳牡馬]]
** [[アユサン]] ('''桜花賞''')<ref name="Deep2010"/>
** [[ラキシス (競走馬)|ラキシス]] ('''[[エリザベス女王杯]]'''、産経大阪杯)<ref name="Deep2010"/>
*2011年産
** [[ショウナンパンドラ]] ('''ジャパンカップ'''、'''秋華賞'''、[[オールカマー]])<ref name="Deep2011">ディープインパクト 2011年産 重賞勝利レース [http://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2011&mode=gw&type=sjr 1ページ目]、[https://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2011&mode=gw&type=sjr&course=&page=2 2ページ目] netkeiba.com</ref>
*** 2015年度最優秀4歳以上牝馬
** [[エイシンヒカリ]] ({{Flagicon|HKG}} '''[[香港カップ]]'''<ref name="2015香港C"/>、{{Flagicon|FRA}} '''[[イスパーン賞]]'''<ref name="2016イスパーン賞">{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=110549 |title=エイシンヒカリ、独走Vで海外GI連勝!/仏・イスパーン賞 |publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2016-05-24|accessdate=2016-05-24}}</ref>、[[毎日王冠]]、エプソムカップ)<ref name="Deep2011"/>
** [[マリアライト (競走馬)|マリアライト]] ('''[[宝塚記念]]'''、'''エリザベス女王杯''')<ref name="Deep2011"/>
*** 2016年度最優秀4歳以上牝馬
** [[ミッキーアイル]] ('''[[NHKマイルカップ]]'''、'''マイルチャンピオンシップ'''、[[スワンステークス]]、[[阪急杯]]、シンザン記念、[[アーリントンカップ]])<ref name="Deep2011"/>
*** 2016年度[[JRA賞最優秀短距離馬#最優秀短距離馬|最優秀短距離馬]]
** [[ハープスター]] ('''桜花賞'''、[[札幌記念]]、[[チューリップ賞]]、[[新潟2歳ステークス]])<ref name="Deep2011"/>
*** 2014年度最優秀3歳牝馬
** [[サトノアラジン]] ('''安田記念'''、[[京王杯スプリングカップ]]、スワンステークス)<ref name="Deep2011"/>
** [[トーセンスターダム]] / Tosen Stardom{{#tag:ref|2016年にJRAからオーストラリアへ移籍。G1初勝利はオーストラリア移籍後のため、日本国外調教馬として扱う<ref name="2017トゥーラックH"/>。|group="注"}}({{Flagicon|AUS}} '''[[トゥーラックハンデキャップ]]'''<ref name="2017トゥーラックH">[https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=127514 豪州移籍のトーセンスターダムがGIで現地初勝利! ]netkeiba.com 2017年10月14日閲覧</ref>、{{Flagicon|AUS}} '''[[マッキノンステークス|エミレーツステークス]]'''<ref name="2017エミレーツS">[https://race.sanspo.com/keiba/news/20171111/ove17111118360001-n1.html 【豪エミレーツS】トーセンスターダムがGI2勝目! ]サンケイスポーツ 2018年01月09日閲覧</ref>、[[チャレンジカップ (中央競馬)|チャレンジカップ]]、きさらぎ賞)<ref name="Deep2011"/>
*2012年産
** [[ミッキークイーン]] ('''優駿牝馬'''、'''秋華賞'''、[[阪神牝馬ステークス]])<ref name="Deep2012">ディープインパクト 2012年産 重賞勝利レース [https://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2012&mode=gw&type=sjr 1ページ目] netkeiba.com</ref>
*** 2015年度最優秀3歳牝馬
** [[リアルスティール]] ({{Flagicon|UAE}} '''[[ドバイターフ]]'''<ref name="2016ドバイターフ">{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=108631|title=リアルスティールが抜け出しV! 念願のGI初制覇!/ドバイターフ |publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2016-03-27|accessdate=2016-03-27}}</ref>、毎日王冠、[[共同通信杯]])<ref name="Deep2012"/>
** [[ダノンプラチナ]] ('''[[朝日杯フューチュリティステークス]]'''、富士ステークス)<ref name="Deep2012"/>
*** 2014年度[[JRA賞最優秀2歳牡馬#最優秀2歳牡馬|最優秀2歳牡馬]]
** [[ショウナンアデラ]] ('''阪神ジュベナイルフィリーズ''')<ref name="Deep2012"/>
*** 2014年度最優秀2歳牝馬
*2013年産
** [[サトノダイヤモンド]] ('''[[菊花賞]]'''、'''有馬記念'''、[[阪神大賞典]]、[[神戸新聞杯]]、[[京都大賞典]]、きさらぎ賞)<ref name="Deep2013">ディープインパクト 2013年産 重賞勝利レース [http://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2013&mode=gw&type=sjr 1ページ目]、[https://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2013&mode=gw&type=sjr&course=&page=2 2ページ目] netkeiba.com</ref>
*** 2016年度最優秀3歳牡馬
** [[ヴィブロス]] ('''秋華賞'''、{{Flagicon|UAE}} '''ドバイターフ'''<ref name="2017ドバイターフ">{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=120291|title=ヴィブロスが海外GI初制覇!/ドバイターフ |publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2017-03-26|accessdate=2016-03-26}}</ref>)<ref name="Deep2013"/>
*** 2017年度最優秀4歳以上牝馬
** [[マカヒキ (競走馬)|マカヒキ]] ('''東京優駿'''、{{Flagicon|FRA}} ニエル賞<ref name="ニエル賞2016">{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=113765&category=C|title=【ニエル賞】マカヒキが世界デビュー戦でV 凱旋門賞へ向け好発進|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2016-09-11|accessdate=2016-09-13}}</ref>、京都大賞典、弥生賞)<ref name="Deep2013"/>
** [[ディーマジェスティ]] ('''[[皐月賞]]'''、[[セントライト記念]]、共同通信杯)<ref name="Deep2013"/>
** [[シンハライト]] ('''優駿牝馬'''、ローズステークス、チューリップ賞)<ref name="Deep2013"/>
*** 2016年度最優秀3歳牝馬
** [[ジュールポレール]]('''ヴィクトリアマイル''')<ref name="Deep2013"/>
*2014年産
** [[アルアイン (競走馬)|アルアイン]] ('''皐月賞'''、'''[[大阪杯]]'''、[[毎日杯]])<ref name="Deep2014">ディープインパクト 2014年産 重賞勝利レース [http://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2014&mode=gw&type=sjr 1ページ目] netkeiba.com</ref>
** [[フィアスインパクト]] / Fierce Impact({{Flagicon|AUS}} '''[[マカイビーディーヴァステークス]]'''、{{Flagicon|AUS}} '''トゥーラックハンデキャップ'''、{{Flagicon|AUS}} '''[[カンタラステークス]]'''、{{Flagicon|AUS}} サマーカップ)<ref>{{Cite web|url=https://www.racingpost.com/profile/horse/1164090/fierce-impact/form|title=Fierce Impact Race record|publisher=Racing Post|accessdate=2020-01-05}}</ref>
** [[サトノアレス]] ('''朝日杯フューチュリティステークス''')<ref name="Deep2014"/>
*** 2016年度最優秀2歳牡馬
** [[アンジュデジール]] ('''[[JBCレディスクラシック]]'''、[[エンプレス杯]]、[[スパーキングレディーカップ]]、[[マリーンカップ]])<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.jbis.or.jp/horse/0001189814/record/ |title=アンジュデジール 全競走成績 |publisher=日本軽種馬協会 |website=JBISサーチ |accessdate=2018-04-12}}</ref>
*2015年産
** [[フィエールマン]]('''菊花賞'''、'''[[天皇賞(春)]]'''2回)<ref name="Deep2015">ディープインパクト 2015年産 重賞勝利レース [http://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2015&mode=gw&type=sjr 1ページ目]、[https://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2015&mode=gw&type=sjr&course=&page=2 2ページ目] netkeiba.com</ref>
*** 2020年度最優秀4歳以上牡馬
** [[ワグネリアン (競走馬)|ワグネリアン]]('''東京優駿'''、神戸新聞杯、東京スポーツ杯2歳ステークス)<ref name="Deep2015"/>
** [[サクソンウォリアー]] / Saxon Warrior ({{flagicon|GBR}} '''[[フューチュリティトロフィー|レーシングポストトロフィー]]'''、{{flagicon|GBR}} '''[[2000ギニー|2000ギニーステークス]]'''、{{flagicon|IRL}} [[ベレスフォードステークス]])<ref>{{Cite web|url=https://www.racingpost.com/profile/horse/1588345/saxon-warrior/form|title=Saxon Warrior Race record|publisher=Racing Post|accessdate=2020-08-18}}</ref>
** [[スタディオブマン]] / Study of Man ({{flagicon|FRA}} '''[[ジョッケクルブ賞]]'''、{{flagicon|FRA}} [[グレフュール賞]])<ref>{{Cite web|url=https://www.racingpost.com/profile/horse/1635476/study-of-man/form|title=Study of Man Race record|publisher=Racing Post|accessdate=2018-05-10}}</ref>
** [[ケイアイノーテック]] ('''NHKマイルカップ''') <ref name="Deep2015"/>
** [[ダノンプレミアム]] ('''朝日杯フューチュリティステークス'''、弥生賞、[[金鯱賞]]、[[マイラーズカップ]]、[[サウジアラビアロイヤルカップ]])<ref name="Deep2015"/>
*** 2017年度最優秀2歳牡馬
** [[グローリーヴェイズ]]({{Flagicon|HKG}} '''[[香港ヴァーズ]]'''2回<ref name="2019HKV"/>、京都大賞典、[[日経新春杯]])<ref name="Deep2015"/>
*2016年産
** [[グランアレグリア]] ('''桜花賞'''、'''安田記念'''、'''[[スプリンターズステークス]]'''、'''マイルチャンピオンシップ'''2回、'''ヴィクトリアマイル'''、阪神カップ、サウジアラビアロイヤルカップ)<ref name="Deep2016"/>
*** 2019年度最優秀3歳牝馬
*** 2020・2021年度最優秀短距離馬
** [[ワールドプレミア (競走馬)|ワールドプレミア]]('''菊花賞'''、'''天皇賞(春)''')<ref name="Deep2016"/>
** [[ラヴズオンリーユー]] ('''優駿牝馬'''、{{Flagicon|HKG}}'''[[クイーンエリザベス2世カップ (香港)|クイーンエリザベス2世カップ]]'''、{{Flagicon|USA}}'''[[ブリーダーズカップ・フィリー&メアターフ]]'''、{{Flagicon|HKG}}'''[[香港カップ]]'''、京都記念)<ref name="Deep2016"/>
*** 2021年度最優秀4歳以上牝馬・[[エクリプス賞#受賞馬一覧|エクリプス賞最優秀芝牝馬]]
** [[ロジャーバローズ]] ('''東京優駿''')<ref name="Deep2016">ディープインパクト 2016年産 重賞勝利レース [http://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2016&mode=gw&type=sjr 1ページ目] netkeiba.com</ref>
** [[ダノンファンタジー]] ('''阪神ジュベナイルフィリーズ'''、阪神カップ、スワンステークス、チューリップ賞、ローズステークス、[[ファンタジーステークス]])<ref name="Deep2016"/>
*** 2018年度最優秀2歳牝馬
** [[ダノンキングリー]] ('''安田記念'''、[[中山記念]]、毎日王冠、共同通信杯)<ref name="Deep2016" />
*2017年産
** [[コントレイル (競走馬)|コントレイル]] ('''[[ホープフルステークス (中央競馬)|ホープフルステークス]]'''、'''[[中央競馬クラシック三冠|クラシック三冠]]'''('''皐月賞'''、'''東京優駿'''、'''菊花賞''')、'''ジャパンカップ'''、神戸新聞杯、東京スポーツ杯2歳ステークス)<ref name="Deep2017">ディープインパクト 2017年産 重賞勝利レース [http://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2017&mode=gw&type=sjr 1ページ目]、[https://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2017&mode=gw&type=sjr 2ページ目] netkeiba.com</ref>
*** 2019年度最優秀2歳牡馬
*** 2020年度最優秀3歳牡馬
*** 2021年度最優秀4歳以上牡馬
*** '''顕彰馬'''
** [[ファンシーブルー]] / Fancy Blue ({{flagicon|FRA}} '''[[ディアヌ賞]]'''、{{flagicon|GBR}} '''[[ナッソーステークス]]''')<ref>{{Cite web|url=https://www.racingpost.com/profile/horse/2702943/fancy-blue/form|title=Fancy Blue Race record|publisher=Racing Post|accessdate=2020-08-18}}</ref>
** [[レイパパレ]] ('''大阪杯'''、チャレンジカップ)<ref name="Deep2017" />
** [[ポタジェ (競走馬)|ポタジェ]] ('''大阪杯''')<ref name="Deep2017" />
*2018年産
** [[シャフリヤール (競走馬)|シャフリヤール]] ('''東京優駿'''、{{Flagicon|UAE}}'''ドバイシーマクラシック'''、毎日杯)<ref name="Deep2018">ディープインパクト 2018年産 重賞勝利レース [https://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2018&mode=gw&type=sjr 1ページ目] netkeiba.com</ref>
** [[スノーフォール]] / Snowfall ({{flagicon|GBR}} '''[[オークス]]'''、{{flagicon|IRE}} '''[[アイリッシュオークス]]'''、{{flagicon|GBR}} '''[[ヨークシャーオークス]]'''、{{Flagicon|GBR}}[[ミュージドラステークス]])<ref>{{Cite web|url=https://www.racingpost.com/profile/horse/3097215/snowfall/form|title=Snowfall record|publisher=Racing Post|accessdate=2021-06-05}}</ref>
*** 2021年度[[カルティエ賞#受賞馬一覧|カルティエ賞最優秀3歳牝馬]]
** [[アカイトリノムスメ]] ('''秋華賞'''、クイーンカップ)<ref name="Deep2018"/>
** [[プロフォンド]] / Profondo ({{Flagicon|AUS}}'''[[スプリングチャンピオンステークス]]''')<ref>{{Cite web|url=https://www.racingpost.com/profile/horse/3787051/profondo/form|title=Profondo record|publisher=Racing Post|accessdate=2021-10-20}}</ref>
** [[グリントオブホープ]] / Glint of Hope ({{Flagicon|AUS}}'''[[オーストララシアンオークス]]''')<ref>{{Cite web |title=Glint Of Hope {{!}} Race Record & Form {{!}} Racing Post |url=https://www.racingpost.com/profile/horse/3851545/glint-of-hope/form |website=www.racingpost.com |access-date=2022-05-01}}</ref>
*2019年産
** [[キラーアビリティ]]('''ホープフルステークス'''、[[中日新聞杯]])<ref name="Deep2019" />
** [[アスクビクターモア]]('''菊花賞'''、弥生賞ディープインパクト記念)<ref name="Deep2019"/>
** [[ジャスティンパレス]]('''天皇賞(春)'''、神戸新聞杯、阪神大賞典)<ref name="Deep2019"/>
*2020年産
** [[オーギュストロダン (競走馬)|オーギュストロダン]] / Auguste Rodin({{flagicon|GBR}}'''[[フューチュリティトロフィー]]'''、{{Flagicon|UK}}'''[[ダービーステークス]]'''、{{flagicon|IRE}}'''[[アイリッシュダービー]]'''、{{Flagicon|IRE}}'''[[アイリッシュチャンピオンステークス]]'''、{{Flagicon|USA}}'''[[ブリーダーズカップターフ]]'''、{{Flagicon|UK}}'''[[プリンスオブウェールズステークス (イギリス)|プリンスオブウェールズステークス]]'''、{{flagicon|IRE}}チャンピオンズジュベナイルステークス)<ref>{{Cite web|url=https://www.racingpost.com/profile/horse/4273959/auguste-rodin/form|title=Auguste Rodin Racerecord|publisher=Racing Post|accessdate=2022-09-10}}</ref>
<gallery>
ファイル:Tosen-Ra IMG 0859 20131117.JPG|トーセンラー (2008年産)
ファイル:Danon-Shark IMG 0733 20131117.JPG|ダノンシャーク (2008年産)
ファイル:Real Impact Hanshin Cup 2014(IMG1).jpg|リアルインパクト (2008年産)
ファイル:Marcellina20110410.jpg|マルセリーナ (2008年産)
ファイル:Gentildonna Arima Kinen 2014(IMG2).jpg|ジェンティルドンナ (2009年産)
ファイル:Deep-Brillante20120527.jpg|ディープブリランテ (2009年産)
ファイル:Spielberg Tenno-Sho(Autumn) 2014(IMG3).jpg|スピルバーグ (2009年産)
ファイル:Verxina20120408.jpg|ヴィルシーナ (2009年産)
ファイル:Joie-de-Vivre20111211(1).jpg|ジョワドヴィーヴル (2009年産)
ファイル:Kizuna Tokyo-Yushun 2013(IMG1).jpg|キズナ (2010年産)
ファイル:Ayusan-20130407.JPG|アユサン (2010年産)
ファイル:Lachesis Queen Elizabeth II Cup 2014(IMG2).jpg|ラキシス (2010年産)
ファイル:Shonan Pandora Japan Cup 2015(IMG2).jpg|ショウナンパンドラ (2011年産)
ファイル:エイシンヒカリ.jpg|エイシンヒカリ (2011年産)
ファイル:Harp-Star Ouka-Sho 2014(IMG2).jpg|ハープスター (2011年産)
ファイル:Mikki Isle Mile Championship 2016(IMG2).jpg|ミッキーアイル (2011年産)
ファイル:Marialite Takarazuka kinen 2016(IMG2).jpg|マリアライト (2011年産)
ファイル:Satono Aladdin Yasuda Kinen 2017(IMG2).jpg|サトノアラジン (2011年産)
ファイル:Tosen Stardom Challenge Cup 2014(IMG1).jpg|トーセンスターダム (2011年産)
ファイル:Mikki Queen Syukasyo 2015(IMG2).jpg|ミッキークイーン (2012年産)
ファイル:Real Steel Yasudakinen 2016.jpg|リアルスティール (2012年産)
ファイル:Shonan Adela Hanshin Juvenile Fillies 2014(IMG2).jpg|ショウナンアデラ (2012年産)
ファイル:Danon Platina Asahi Hai Futurity Stakes 2014 (IMG1).jpg|ダノンプラチナ (2012年産)
ファイル:Makahiki Tokyo Yushun 2016(IMG2).jpg|マカヒキ (2013年産)
ファイル:Dee Majesty Satsuki Sho 2016(IMG1).jpg|ディーマジェスティ (2013年産)
ファイル:Satono Diamond Kikuka Sho 2016(IMG2).jpg|サトノダイヤモンド (2013年産)
ファイル:Sinhalite IMG 9802r 20160410.jpg|シンハライト (2013年産)
ファイル:Vivlos IMG 8524-1 20161016.jpg|ヴィブロス (2013年産)
ファイル:Jour Polaire(JPN) IMG 5922-1 20170311.jpg|ジュールポレール(2013年産)
ファイル:Satono-Ares IMG 2693-1 20161218.jpg|サトノアレス (2014年産)
ファイル:Al Ain Satsuki Syo 2017(IMG1).jpg|アルアイン (2014年産)
ファイル:Ange Desir-2018-11-4.jpg|アンジュデジール (2014年産)
ファイル:Danon Premium Asahi Hai Futurity Stakes 2017(IMG1).jpg|ダノンプレミアム(2015年産)
ファイル:Keiai Nautique NHK Mile Cup 2018(IMG3).jpg|ケイアイノーテック(2015年産)
ファイル:2018-Japanese Derby.jpg|ワグネリアン(2015年産)
ファイル:Fierement(JPN) IMG 9823-1 20181021.jpg|フィエールマン(2015年産)
ファイル:Glory Vase Maiden.jpg|グローリーヴェイズ(2015年産)
ファイル:Danon Fantasy Maiden 2018.jpg|ダノンファンタジー(2016年産)
ファイル:Gran Alegria Victoria Mile 2021.jpg|グランアレグリア(2016年産)
ファイル:Loves Only You(JPN) IMG 7016-1 20191110.jpg|ラヴズオンリーユー(2016年産)
ファイル:Roger Barows(JPN) IMG 9010-1 20181014.jpg|ロジャーバローズ(2016年産)
ファイル:World premiere Kikuka Sho 2019(IMG2).jpg|ワールドプレミア(2016年産)
ファイル:Danon Kingly Tokyo Yushun 2019.jpg|ダノンキングリー(2016年産)
ファイル:Contrail 2019 hopeful stakes honbaba nyujyou.jpg|コントレイル(2017年産)
ファイル:Lei Papale Takarazuka Kinen 2021.jpg|レイパパレ(2017年産)
ファイル:Potager-2022-6-26.jpg|ポタジェ(2017年産)
ファイル:11R Tokyo Yushun (Japanese Derby) (Grade 1, 3yo) Turf 2400m 2021 at tokyo racecourse (51211922512).jpg|シャフリヤール (2018年産)
ファイル:Akai Torino Musume Yushun Himba 2021.jpg|アカイトリノムスメ (2018年産)
ファイル:Killer Ability Tokyo Yushun 2022.jpg|キラーアビリティ (2019年産)
ファイル:Ask Victor More Kikuka Sho 2022(IMG1).jpg|アスクビクターモア(2019年産)
ファイル:Justin Palace Tenno Sho (Spring) 2023(IMG1).jpg|ジャスティンパレス(2019年産)
ファイル:Auguste Rodin Breeders Cup Turf.jpg|オーギュストロダン(2020年産)
</gallery>

==== グレード制重賞優勝馬 ====
競走名の前の国旗は開催国、日本国外調教馬の馬名はカタカナ+英字で明記
* 2008年産
** [[ダノンバラード]] ([[アメリカジョッキークラブカップ]]、[[ホープフルステークス (中央競馬)|ラジオNIKKEI杯2歳ステークス]])<ref name="Deep2008"/>
** [[スマートロビン]] ([[目黒記念]])<ref name="Deep2008"/>
** [[トーセンレーヴ]] (エプソムカップ)<ref name="Deep2008"/>
** [[ドナウブルー]] ([[関屋記念]]、[[京都牝馬ステークス]])<ref name="Deep2008"/>
** [[パッションダンス]] ([[新潟大賞典]]2回、[[新潟記念]])<ref name="Deep2008"/>
** [[ダコール]] (新潟大賞典)<ref name="Deep2008"/>
** [[ボレアス (競走馬)|ボレアス]] ([[レパードステークス]])<ref name="Deep2008"/>
** [[グルヴェイグ (競走馬)|グルヴェイグ]] (マーメイドステークス)<ref name="Deep2008"/>
** [[フレールジャック (競走馬)|フレールジャック]] ([[ラジオNIKKEI賞]])<ref name="Deep2008"/>
** [[アクアマリン (競走馬)|アクアマリン]] / Aquamarine ({{flagicon|FRA}} [[アレフランス賞]])<ref>{{Cite web|url=http://www.racingpost.com/horses/horse_home.sd?horse_id=792670#topHorseTabs=horse_race_record&bottomHorseTabs=horse_form|title=Aquamarine (JPN) Race record|publisher=Racing Post|accessdate=2015-08-24}}</ref>
* 2009年産
** [[ディサイファ]] (札幌記念、アメリカジョッキークラブカップ、エプソムカップ、[[中日新聞杯]])<ref name="Deep2009"/>
** [[ワールドエース]] (マイラーズカップ、きさらぎ賞)<ref name="Deep2009"/>
** [[トーセンホマレボシ]] (京都新聞杯)<ref name="Deep2009"/>
** [[エキストラエンド]] (京都金杯)<ref name="Deep2009"/>
** [[マーティンボロ]] (中日新聞杯、新潟記念)<ref name="Deep2009"/>
** [[クランモンタナ]] ([[小倉記念]])<ref name="Deep2009"/>
** [[ヴァンセンヌ (競走馬)|ヴァンセンヌ]] ([[東京新聞杯]])<ref name="Deep2009"/>
** [[キャトルフィーユ]] ([[クイーンステークス]])<ref name="Deep2009"/>
** [[ベストディール]] ([[京成杯]])<ref name="Deep2009"/>
** [[ヒストリカル]] (毎日杯)<ref name="Deep2009"/>
** [[ファイナルフォーム]] (ラジオNIKKEI賞)<ref name="Deep2009"/>
** [[アダムスピーク (競走馬)|アダムスピーク]] (ラジオNIKKEI杯2歳ステークス)<ref name="Deep2009"/>
** [[メイショウブシドウ]] ([[阪神ジャンプステークス]]、[[小倉サマージャンプ]])<ref name="Deep2009"/>
* 2010年産
** [[ラストインパクト]] (京都大賞典、金鯱賞、[[小倉大賞典]])<ref name="Deep2010"/>
** [[サトノノブレス]] (日経新春杯、[[鳴尾記念]]、小倉記念、中日新聞杯)<ref name="Deep2010"/>
** [[カミノタサハラ]] (弥生賞)<ref name="Deep2010"/>
** [[ヒラボクディープ]] ([[青葉賞]])<ref name="Deep2010"/>
** [[スマートレイアー]] (阪神牝馬ステークス2回、東京新聞杯、京都大賞典)<ref name="Deep2010"/>
** [[デニムアンドルビー]] ([[フローラステークス]]、ローズステークス)<ref name="Deep2010"/>
** [[ウリウリ (競走馬)|ウリウリ]] ([[CBC賞]]、京都牝馬ステークス)<ref name="Deep2010"/>
** [[タイセイドリーム]] ([[新潟ジャンプステークス]]2回)<ref name="Deep2010"/>
* 2011年産
** [[アデイインザライフ]] (新潟記念)<ref name="Deep2011"/>
** [[ガリバルディ (競走馬)|ガリバルディ]] ([[中京記念]])<ref name="Deep2011"/>
** [[ステファノス]] (富士ステークス)<ref name="Deep2011"/>
** [[サトノルパン]] ([[京阪杯]])<ref name="Deep2011"/>
* 2012年産
** [[アンビシャス (競走馬)|アンビシャス]] (大阪杯、ラジオNIKKEI賞)<ref name="Deep2012"/>
** [[サトノラーゼン]] (京都新聞杯)<ref name="Deep2012"/>
** [[シャイニングレイ]] (ホープフルステークス、CBC賞)<ref name="Deep2012"/>
** [[タッチングスピーチ]] (ローズステークス)<ref name="Deep2012"/>
** [[アレスバローズ]] (CBC賞、[[北九州記念]])<ref name="Deep2012"/>
** [[モンドインテロ]] ([[ステイヤーズステークス]])<ref name="Deep2012"/>
** [[アルバートドック]] (小倉大賞典、[[七夕賞]])<ref name="Deep2012"/>
** [[アンドリエッテ]] (マーメイドステークス)<ref name="Deep2012"/>
** [[グレーターロンドン (競走馬)|グレーターロンドン]] (中京記念)<ref name="Deep2012"/>
* 2013年産
** [[マウントロブソン]] ([[スプリングステークス]])<ref name="Deep2013"/>
** [[ヴァンキッシュラン]] (青葉賞)<ref name="Deep2013"/>
** [[ハートレー (競走馬)|ハートレー]] (ホープフルステークス)<ref name="Deep2013"/>
** [[ミッキーグローリー]] ([[京成杯オータムハンデキャップ]]、関屋記念)<ref name="Deep2013" />
** [[ブランボヌール]] ([[キーンランドカップ]]、[[函館2歳ステークス]])<ref name="Deep2013"/>
** [[ゼーヴィント]] (ラジオNIKKEI賞、七夕賞)<ref name="Deep2013"/>
** [[ビッシュ]] ([[紫苑ステークス]])<ref name="Deep2013"/>
** [[キャンディバローズ]] (ファンタジーステークス)<ref name="Deep2013"/>
** [[フォイヤーヴェルク]] (新潟ジャンプステークス)<ref name="Deep2013"/>
* 2014年産
** [[サングレーザー (競走馬)|サングレーザー]] (スワンステークス、マイラーズカップ、札幌記念)<ref name="Deep2014"/>
** [[カデナ]] (弥生賞、[[京都2歳ステークス]]、小倉大賞典)<ref name="Deep2014"/>
** [[アドミラブル]] (青葉賞)<ref name="Deep2014"/>
** [[サトノアーサー]] (エプソムカップ、関屋記念)<ref name="Deep2014"/>
** [[ベストアクター]] (阪急杯)<ref name="Deep2014"/>
** [[カワキタエンカ]] ([[中山牝馬ステークス]])<ref name="Deep2014"/>
** [[ファンディーナ]] ([[フラワーカップ]])<ref name="Deep2014"/>
** [[ジェニアル]] ({{flagicon|FRA}} [[メシドール賞]])<ref>{{Cite news|title=ユタカが仏G3制覇! 松永幹厩舎の500万下条件馬ジェニアルでV |url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=140211 |accessdate=2018-07-24 |website=netkeiba.com}}</ref>
** [[アキヒロ]] / Akihiro{{#tag:ref|2018年に香港へ移籍し、それに伴いStimulationと改名した<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=134843|title=香港移籍のディープ産駒・アキヒロ セン馬になり馬名もStimulation(興惑)に|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2018-03-22|accessdate=2018-12-29}}</ref>。|group="注"}} ({{flagicon|FRA}} [[シェーヌ賞]])<ref>{{Cite web|url=http://www.racingpost.com/horses/horse_home.sd?horse_id=1093608|title=Akihiro Race record|publisher=Racing Post|accessdate=2015-09-08}}</ref>
* 2015年産
** [[サウンドキアラ]](阪神牝馬ステークス、京都金杯、京都牝馬ステークス)<ref name="Deep2015"/>
** [[ギベオン]](金鯱賞、中日新聞杯)<ref name="Deep2015"/>
** [[ミッキーチャーム]](阪神牝馬ステークス、クイーンステークス)<ref name="Deep2015"/>
** [[カンタービレ (競走馬)|カンタービレ]](ローズステークス、フラワーカップ)<ref name="Deep2015"/>
** [[センテリュオ]](オールカマー)<ref name="Deep2015"/>
** [[サラキア (競走馬)|サラキア]]([[府中牝馬ステークス]])<ref name="Deep2015"/>
** [[カツジ]](スワンステークス、[[ニュージーランドトロフィー]])<ref name="Deep2015"/>
** [[サトノワルキューレ]](フローラステークス)<ref name="Deep2015"/>
** [[プリモシーン]](関屋記念、東京新聞杯、[[フェアリーステークス]])<ref name="Deep2015"/>
** [[サトノガーネット]](中日新聞杯)<ref name="Deep2015"/>
** [[バルタバ (競走馬)|バルタバ]] / Bartaba ({{flagicon|FRA}} [[ベルドニュイ賞]])<ref>{{Cite web|url=https://www.racingpost.com/profile/horse/1697397/bartaba/form|title=Bartaba Racerecord|publisher=Racing Post|accessdate=2018-12-31}}</ref>
* 2016年産
** [[ヴァンドギャルド]] (富士ステークス)<ref name="Deep2016" />
** [[メイショウテンゲン]] (弥生賞)<ref name="Deep2016" />
** [[コントラチェック]] ([[ターコイズステークス]]、[[オーシャンステークス]]、フラワーカップ)<ref name="Deep2016" />
** [[ランブリングアレー]] (中山牝馬ステークス)<ref name="Deep2016" />
** [[ダノンチェイサー]] (きさらぎ賞)<ref name="Deep2016"/>
** [[シェーングランツ]] ([[アルテミスステークス]])<ref name="Deep2016"/>
** [[ダイアナブライト]]([[クイーン賞]])<ref name="Deep2016"/>
* 2017年産
** [[リアアメリア]] (ローズステークス、アルテミスステークス)<ref name="Deep2017" />
** [[サトノフラッグ]] ([[弥生賞ディープインパクト記念]])<ref name="Deep2017" />
** [[デゼル]](阪神牝馬ステークス)<ref name="Deep2017" />
** [[レッドベルジュール]] ([[デイリー杯2歳ステークス]])<ref name="Deep2017" />
** [[テルツェット]] ([[ダービー卿チャレンジトロフィー]]、クイーンステークス2回)<ref name="Deep2017" />
** [[スマイルカナ]] (ターコイズステークス、フェアリーステークス)<ref name="Deep2017" />
** [[マジックキャッスル (競走馬)|マジックキャッスル]] ([[愛知杯]])<ref name="Deep2017" />
** [[サンクテュエール]] (シンザン記念)<ref name="Deep2017" />
** [[サトノインプレッサ]] (毎日杯)<ref name="Deep2017" />
** [[ミヤマザクラ (競走馬)|ミヤマザクラ]] (クイーンカップ)<ref name="Deep2017" />
** [[サヴァラン (競走馬)|サヴァラン]] / Savarin ({{flagicon|FRA}} [[オマール賞]])<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=160138|title=【仏・オマール賞】ディープ産駒サヴァランが無敗で重賞V! |website=netkeiba.com|accessdate=2019-10-02}}</ref>
** [[ファルコニア]](京成杯オータムハンデキャップ)<ref name="Deep2017" />
** [[ゼノヴァース]]([[東京ハイジャンプ]])<ref name="Deep2017" />
* 2018年産
** [[レッドジェネシス]](京都新聞杯)<ref name="Deep2018" />
** [[レッドベルオーブ]] (デイリー杯2歳ステークス)<ref name="Deep2018" />
** [[ハラジュク (競走馬)|ハラジュク]] / Harajuku ({{flagicon|FRA}} [[クレオパトラ賞]])<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=187295 |title=【仏G3・クレオパトラ賞】ディープインパクト産駒“Harajuku”が重賞初制覇 |website=netkeiba.com |accessdate=2021-05-08}}</ref>
** [[ヨーホーレイク]]([[日経新春杯]]、鳴尾記念)<ref name="Deep2018" />
** [[プログノーシス]](金鯱賞、[[札幌記念]])<ref name="Deep2018" />
** [[フィアスプライド]](ターコイズステークス)
** [[シュヴァリエローズ]]([[京都大賞典]])
* 2019年産
** [[コマンドライン (競走馬)|コマンドライン]] (サウジアラビアロイヤルカップ)<ref name="Deep2019">ディープインパクト 2019年産 重賞勝利レース [https://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2019&mode=gw&type=sjr 1ページ目] netkeiba.com</ref>
** [[プラダリア]](青葉賞、京都大賞典、京都記念)<ref name="Deep2019"/>
** ムラマサ / Muramasa({{Flagicon|AUS}}クーンジーカップ、{{Flagicon|AUS}}VRCクイーンエリザベスステークス)
** [[ゼッフィーロ (競走馬)|ゼッフィーロ]]([[アルゼンチン共和国杯]])<ref name="Deep2019"/>
** [[レッドラディエンス]](七夕賞)
* 2020年産
** [[ライトクオンタム]](シンザン記念)
** ドラムロール / Drumroll({{Flagicon|IRE}}ガリニュールステークス)

==== 地方重賞優勝馬 ====
''※[[地方競馬]]限定格付けの重賞勝利馬。''
*2009年産
**グランプリブラッド ([[道営記念]]、[[瑞穂賞]]、[[星雲賞 (競馬のレース)|星雲賞]])<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0001103980/record/ |title=グランプリブラッド 全競走成績 |publisher=日本軽種馬協会 |website=JBISサーチ |accessdate=2015-11-15}}</ref>
**マイネルハートレー (文月賞、仙酔峡賞、大淀川賞、五ケ瀬川賞、球磨川賞)<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0001108561/record/ |title=マイネルハートレー 全競走成績 |publisher=日本軽種馬協会 |website=JBISサーチ |accessdate=2015-08-24}}</ref>
*2011年産
**トーセンセラヴィ ([[東京シンデレラマイル]])<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.jbis.or.jp/horse/0001137620/record/ |title=トーセンセラヴィ 全競走成績 |publisher=日本軽種馬協会 |website=JBISサーチ |accessdate=2016-12-30}}</ref>
**トーセンデューク ([[埼玉新聞栄冠賞]])<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0001136037/record/ |title=トーセンデューク 全競走成績 |publisher=日本軽種馬協会 |website=JBISサーチ |accessdate=2019-12-29}}</ref>
*2014年産
**マイフォルテ ([[オグリキャップ記念]])<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0001186487/record/ |title=マイフォルテ 全競走成績 |publisher=日本軽種馬協会 |website=JBISサーチ |accessdate=2020-05-01}}</ref>
*2019年産
**ライアン([[平和賞 (船橋競馬)|平和賞]]、[[せきれい賞]])<ref>{{Cite web|和書|title=ライアン|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0001311796/|website=JBISサーチ|accessdate=2021-11-02}}</ref>

=== 母の父としての産駒 ===
'''太字'''はGI競走、競走名の前の国旗は開催国 (日本以外の場合に明記)、日本国外調教馬の馬名はカタカナ+英字で明記
*2014年産
**[[キセキ (競走馬)|キセキ]]:'''[[菊花賞]]'''(父[[ルーラーシップ]])<ref name="DeepBMS2014">BMSディープインパクト 2014年産 重賞勝利レース [http://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2014&mode=ge&type=bjr 1ページ目] netkeiba.com</ref>
*2015年産
**[[ケイティクレバー]]:[[東京ジャンプステークス]](父[[ハービンジャー]])<ref name="DeepBMS2015">BMSディープインパクト 2015年産 重賞勝利レース [https://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2015&mode=gw&type=bjr 1ページ目] netkeiba.com</ref>
*2016年産
**ブロウアウト / Blowout:{{flagicon|USA}}'''[[ファーストレディステークス]]'''(父[[ダンシリ|Dansili]]、母Beauty Parlour)<ref>[http://www.racingpost.com/horses/horse_home.sd?horse_id=2461308#topHorseTabs=horse_race_record&bottomHorseTabs=horse_form Blowout | Record By Race Type | Racing Post]</ref>
**[[ファンタジスト]]:[[京王杯2歳ステークス]]、[[小倉2歳ステークス]](父[[ロードカナロア]])<ref name="DeepBMS2016">BMSディープインパクト 2016年産 重賞勝利レース [https://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2016&mode=gw&type=bjr 1ページ目] netkeiba.com</ref>
**[[ブラヴァス]]:[[新潟記念]](父[[キングカメハメハ]]、母ヴィルシーナ)<ref name="DeepBMS2016" />
**[[ラストドラフト]]:[[京成杯]](父[[ノヴェリスト]]、母マルセリーナ)<ref name="DeepBMS2016" />
**[[ハッピーアワー (競走馬)|ハッピーアワー]]:[[ファルコンステークス]](父ハービンジャー)<ref name="DeepBMS2016" />
**[[ヒンドゥタイムズ (競走馬)|ヒンドゥタイムズ]]:[[小倉大賞典]](父ハービンジャー)<ref name="DeepBMS2016" />
*2017年産
**[[アリストテレス (競走馬)|アリストテレス]]:[[アメリカジョッキークラブカップ]](父[[エピファネイア]])<ref name="DeepBMS2017">BMSディープインパクト 2018年産 重賞勝利レース [https://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2017&mode=gw&type=bjr 1ページ目] netkeiba.com</ref>
**[[エヒト]]:[[七夕賞]]、[[小倉記念]](父ルーラーシップ)<ref name="DeepBMS2017"/>
**[[ボンボヤージ]]:[[北九州記念]](父ロードカナロア)<ref name="DeepBMS2017"/>
**[[ヒートオンビート]]:[[目黒記念]](父キングカメハメハ)<ref name="DeepBMS2017"/>
**[[ライトウォーリア]]:'''[[川崎記念]]'''(父[[マジェスティックウォリアー]])
*2018年産
**[[ジェラルディーナ (競走馬)|ジェラルディーナ]]:[[オールカマー]]、'''[[エリザベス女王杯]]'''(父モーリス)<ref name="DeepBMS2018" />
*** 2022年度最優秀4歳以上牝馬
**[[ステラヴェローチェ]]:[[神戸新聞杯]]、[[サウジアラビアロイヤルカップ]](父[[バゴ (競走馬)|バゴ]])<ref name="DeepBMS2018">BMSディープインパクト 2018年産 重賞勝利レース [https://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2018&mode=gw&type=bjr 1ページ目] netkeiba.com</ref>
**[[ワンダフルタウン (競走馬)|ワンダフルタウン]]:[[青葉賞]]、[[京都2歳ステークス]](父ルーラーシップ)<ref name="DeepBMS2018" />
**[[アンドヴァラナウト]]:[[ローズステークス]](父キングカメハメハ、母グルヴェイグ)<ref name="DeepBMS2018" />
**[[オールアットワンス (競走馬)|オールアットワンス]]:[[アイビスサマーダッシュ]]2回(父[[マクフィ]])<ref name="DeepBMS2018" />
**[[ルークズネスト]]:[[ファルコンステークス]](父[[モーリス (競走馬)|モーリス]])<ref name="DeepBMS2018" />
**[[ビッグリボン]]:[[マーメイドステークス]](父ルーラーシップ)<ref name="DeepBMS2018"/>
**[[ディヴィーナ (競走馬)|ディヴィーナ]]:[[府中牝馬ステークス]](父モーリス)<ref name="DeepBMS2018"/>
*2019年産
**[[プレサージュリフト]]:[[クイーンカップ]](父[[ハービンジャー]])<ref name="DeepBMS2019">BMSディープインパクト 2019年産 重賞勝利レース [https://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2019&mode=gw&type=bjr 1ページ目] netkeiba.com</ref>
**[[レッドモンレーヴ]]:[[京王杯スプリングカップ]](父ロードカナロア)<ref name="DeepBMS2019"/>
**[[エピファニー (競走馬)|エピファニー]]:[[小倉大賞典]](父エピファネイア)
**[[シュトルーヴェ (競走馬)|シュトルーヴェ]]:[[日経賞]](父キングカメハメハ)
**[[アルナシーム]]:[[中京記念]](父モーリス)
*2020年産
**[[ドルチェモア]]:サウジアラビアロイヤルカップ、'''[[朝日杯フューチュリティステークス]]'''(父ルーラーシップ)<ref name="DeepBMS2020">BMSディープインパクト 2020年産 重賞勝利レース [https://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2020&mode=gw&type=bjr 1ページ目] netkeiba.com</ref>
*** 2022年度最優秀2歳牡馬
**[[ブレイディヴェーグ]]:'''エリザベス女王杯'''(父ロードカナロア)<ref name="DeepBMS2020"/>
**[[オオバンブルマイ]]:京王杯2歳ステークス、[[アーリントンカップ]](父[[ディスクリートキャット]])<ref name="DeepBMS2020"/>
**[[マスクトディーヴァ]]:ローズステークス、阪神牝馬ステークス(父ルーラーシップ)<ref name="DeepBMS2020"/>
**[[アルジーヌ]]:[[ターコイズステークス]](父ロードカナロア)
*2021年産
**[[アスクワンタイム]]:小倉2歳ステークス(父ロードカナロア)<ref name="DeepBMS2021">BMSディープインパクト 2021年産 重賞勝利レース [https://db.netkeiba.com/?pid=horse_select&id=2002100816&year=2021&mode=gw&type=bjr 1ページ目] netkeiba.com</ref>
**[[ゴンバデカーブース (競走馬)|ゴンバデカーブース]]:サウジアラビアロイヤルカップ(父[[ブリックスアンドモルタル]])<ref name="DeepBMS2021"/>
**[[ピューロマジック]]:[[葵ステークス]]、[[北九州記念]](父[[アジアエクスプレス]])
*2022年産
**[[アルテヴェローチェ]]:サウジアラビアロイヤルカップ(父モーリス)
**[[ランフォーヴァウ]]:[[デイリー杯2歳ステークス]](父ロードカナロア)

== 弥生賞ディープインパクト記念 ==
ディープインパクトの死去を受けて、同馬の競走馬時代と種牡馬時代の活躍を称えるため、JRAは例年3月に行う「報知杯弥生賞」を2020年から「報知杯[[弥生賞ディープインパクト記念|弥生賞'''ディープインパクト記念''']]」と改称することを決めた<ref name=DI記念>{{Cite web|和書|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2019/10/09/kiji/20191009s00004048040000c.html|title=令和初の馬名冠レース誕生!弥生賞20年から「弥生賞ディープインパクト記念」に改称|publisher=スポーツニッポン新聞社|website=Sponichi Annex|date=2019-10-09|accessdate=2020-01-01}}</ref>{{refnest|group=注|2020年度の開催日程全体の正式発表は2019年10月21日だったが<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=162057|title=【JRA】2020年度の重賞競走について発表 富士SのGII昇格、「報知杯弥生賞ディープインパクト記念」への改称など|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|date=2019-10-21|accessdate=2020-01-01}}</ref>、それに先立って弥生賞の改称の件は10月上旬から報じられていた<ref name=DI記念/>。}}。弥生賞は、重賞初制覇の舞台であり、その後は無敗で三冠馬を達成したため「この一戦こそがディープの冠を付すにふさわしい」と決まったという<ref name=DI記念/>。サラブレッド競走馬の名前を冠したJRA重賞の誕生は、52年ぶりで、[[セントライト記念]](1947年採用)、[[シンザン記念]](1967年採用)とともに3競走目となった<ref name="DI記念" />{{refnest|group=注|このほか、現存の競走のうち、副称としては[[共同通信杯]]([[トキノミノル]]記念)がある。既に現存しない競走としては、[[カブトヤマ記念]](1947年 - 2003年)や[[クモハタ記念]](1951年 - 1980年)がある。サラブレッド以外の競走馬では、[[アングロアラブ]]競走馬の名馬の名をとった[[タマツバキ記念]]、[[セイユウ記念]]、[[シュンエイ記念]]があったが、いずれも廃止されている<ref name=DI記念/>。JRA以外の日本国内の競走では、[[オグリキャップ記念]]などがある<ref name=DI記念/>。}}。

「弥生賞ディープインパクト記念」の名称で初めて行われた2020年は、武豊がディープインパクトを父に持つ[[サトノフラッグ]]に騎乗し勝利を挙げた<ref>{{Cite web|和書|title=【弥生賞ディープインパクト記念】快勝フラッグに父ディープを見た! |url=https://race.sanspo.com/keiba/news/20200309/pog20030905080008-n1.html |website=サンスポZBAT!競馬 |date=2020-03-09 |accessdate=2021-02-24}}</ref>。


== 血統 ==
== 血統 ==
=== 血統背景 ===
=== 血統背景 ===
[[ファイル:Sundaysilence.jpg|200px|right|thumb|父サンデーサイレンス]]
{{Double image aside|right|Sundaysilence.jpg|150|Wind in Her Hair 20140803.JPG|150|父サンデーサイレンス|母・ウインドインハーヘア}}

父サンデーサイレンスは[[ケンタッキーダービー]]や[[ブリーダーズカップ・クラシック]]を制した競走馬。13年連続で日本の[[リーディングサイアー]]に輝き、GI馬を多数輩出するなど、日本競馬史上に残る[[種牡馬]]である。
父サンデーサイレンスは[[ケンタッキーダービー]]や[[ブリーダーズカップ・クラシック]]を制した競走馬。13年連続で日本の[[リーディングサイアー]]に輝き、GI馬を多数輩出するなど、日本競馬史上に残る[[種牡馬]]である。


母[[ウインドインハーヘア]]は競走馬時代に[[ドイツ]]G1の[[ラインラントポカル|アラルポカル]]に優勝し、[[オークス|エプソムオークス]]でも2着に入る活躍をした。
母[[ウインドインハーヘア]]は競走馬時代に[[ドイツ]]G1の[[ラインラントポカル|アラルポカル]]に優勝し、[[オークス|エプソムオークス]]でも2着に入る活躍をした<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000430846/|title=ウインドインハーヘア|website=JBISサーチ|accessdate=2016-10-10}}</ref>


半姉に、5歳の6月という遅いデビューながらデビューから無傷の5連勝をし、2003年の[[スプリンターズステークス]]で4着に入った[[レディブロンド]](父[[シーキングザゴールド]] Seeking the Gold、6戦5勝)、全兄に2004年の[[スプリングステークス]]を制した[[ブラックタイド]]、全弟に2005年の[[東京スポーツ杯2歳ステークス]]3着の[[オンファイア]]、半弟に2006年のホープフルステークスを制したニュービギニング(父アグネスタキオン)がいる。
半姉に、5歳の6月という遅いデビューながらデビューから無傷の5連勝をし、2003年の[[スプリンターズステークス]]で4着に入った[[レディブロンド]](父[[シーキングザゴールド|Seeking the Gold]]、6戦5勝)<ref>{{Cite web|和書|url=http://db.netkeiba.com/horse/1998110268/|title=レディブロンド|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|accessdate=2016-10-10}}</ref>、全兄に2004年の[[スプリングステークス]]を制した[[ブラックタイド]]<ref>{{Cite web|和書|url=https://db.netkeiba.com/horse/2001103312/|title=ブラックタイド|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|accessdate=2016-10-10}}</ref>、全弟に2005年の[[東京スポーツ杯2歳ステークス]]3着の[[オンファイア]]<ref>{{Cite web|和書|url=https://db.netkeiba.com/horse/2003102809/|title=オンファイア|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|accessdate=2016-10-10}}</ref>、半弟に2006年のホープフルステークスを制したニュービギニング(父[[アグネスタキオン]]<ref>{{Cite web|和書|url=https://db.netkeiba.com/horse/2004102850/|title=ニュービギニング|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|accessdate=2016-10-10}}</ref>がいる。また、レディブロンドの子に[[帝王賞]]を制した[[ゴルトブリッツ]]、孫に東京優駿や天皇賞(秋)に優勝した[[レイデオロ]]がいる<ref>{{Cite web|和書|url=https://db.netkeiba.com/horse/2014106201/|title=レイデオロ|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|accessdate=2020-01-01}}</ref>。そのほかでは半妹ランズエッジの孫にホープフルステークス勝ち馬の[[レガレイラ]]、[[桜花賞]]勝ち馬の[[ステレンボッシュ (競走馬)|ステレンボッシュ]]、[[菊花賞]]・[[セントライト記念]]勝ち馬の[[アーバンシック]]がいる。


曾祖母[[ハイクレア]] (Highclere) は[[エリザベス2世 (イギリス女王)|エリザベス女王]]が所有し、[[1000ギニー]]、[[ディアヌ賞]](フランスオークス)を勝ちキングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークスで2着に入った名牝だった。このハイクレアの一族には[[1989年]]の[[ダービーステークス|エプソムダービー]]などを制した[[ナシュワン]] (Nashwan) 、2002年の[[ドバイシーマクラシック]]などに勝った[[ネイエフ]] (Nayef) がいるほか、2003年の[[NHKマイルカップ]]などを制した[[ウインクリューガー]]、2006年の[[マーメイドステークス]]を制したソリッドプラチナムといった日本で活躍した競走馬もいる(そのほか近親の活躍馬は[[ハイクレア#主要なファミリーライン|ハイクレア一族]]の項目を参照)。
曾祖母[[ハイクレア]] (Highclere) は[[エリザベス2世]]が所有し、[[1000ギニー]]、[[ディアヌ賞]](フランスオークス)を勝ちキングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークスで2着に入った名牝だった<ref>{{Cite web|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000390924/|title=Highclere|website=JBISサーチ|accessdate=2016-10-10}}</ref>。このハイクレアの一族には[[1989年]]の[[ダービーステークス|エプソムダービー]]などを制した[[ナシュワン]] (Nashwan) <ref>{{Cite web|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000342649/|title=Nashwan|website=JBISサーチ|accessdate=2016-10-10}}</ref>、2002年の[[ドバイシーマクラシック]]などに勝った[[ネイエフ]] (Nayef)<ref>{{Cite web|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000714371/|title=Nayef|website=JBISサーチ|accessdate=2016-10-10}}</ref> がいるほか、種牡馬として日本に輸入された[[ミルフォード (競走馬)|ミルフォード]]<ref>{{Cite web|和書|url=https://db.netkeiba.com/horse/000a000d06/|title=ミルフォード|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|accessdate=2016-10-10}}</ref>、2003年の[[NHKマイルカップ]]などを制した[[ウインクリューガー]]<ref>{{Cite web|和書|url=http://db.netkeiba.com/horse/2000107407/|title=ウインクリューガー|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|accessdate=2016-10-10}}</ref>、2006年の[[マーメイドステークス]]を制した[[ソリッドプラチナム]]<ref>{{Cite web|和書|url=http://db.netkeiba.com/horse/2003105275/|title=ソリッドプラチナム|publisher=ネットドリーマーズ|website=netkeiba.com|accessdate=2016-10-10}}</ref>といった日本で活躍した競走馬もいる(そのほか近親の活躍馬は[[ハイクレア#主要なファミリーライン|ハイクレア一族]]の項目を参照)。


=== 血統表 ===
=== 血統表 ===
{{競走馬血統表
{{競走馬血統表
|name = ディープインパクト
|name = ディープインパクト
|ref1 = [http://www.jbis.or.jp/horse/0000742976/pedigree/ JBIS ディープインパクト 5代血統表](2015年5月24閲覧)、[http://www.jbis.or.jp/horse/0000742976/pedigree/ JBIS Deep Impact(JPN) Five-generation Pedigree Table](2015年5月24日閲覧)、および[https://www.equineline.com/Free-5X-Pedigree.cfm?page_state=ORDER_AND_CONFIRM&reference_number=7355659&registry=T&horse_name==Deep%20Impact%20(JPN)&dam_name=Wind%20in%20Her%20Hair%20(IRE)&foaling_year=2002&nicking_stats_indicator=Y EQUINLINE Deep Impact(JPN)](2015年5月24日閲覧)
|ref1 = <ref name="Pedigree">{{Cite web|和書|url=http://www.jbis.or.jp/horse/0000742976/pedigree/ |title=ディープインパクト 血統情報:5代血統表 |publisher=本軽種馬協会 |website=JBISサーチ |accessdate=2020-01-03}}</ref><ref>{{Cite web |url=https://www.equineline.com/Free-5X-Pedigree.cfm?page_state=ORDER_AND_CONFIRM&reference_number=7355659&registry=T&horse_name==Deep%20Impact%20(JPN)&dam_name=Wind%20in%20Her%20Hair%20(IRE)&foaling_year=2002&nicking_stats_indicator=Y |title=EQUINLINE Deep Impact(JPN) |accessdate=2015-05-24}}</ref>
|mlin = [[ダーレーアラビアン|ダーレーアラビアン系]] -(中略) - [[ヘイロー系]] - [[サンデーサイレンス系]]<!--出典を見たら本当は ダーレーアラビアン系-エクリプス系-ファラリス系-ネアルコ系-ターントゥ系-ヘイルトゥリーズン系-ヘイロー系-サンデーサイレンス系 になってまして、さすがに全部書くのもなあと思って中略しました。「サンデーサイレンス系」だけにしたい人がいるならその方の判断と責任で削ってください。(私は削りません)-->
|mlin = [[ダーレーアラビアン|ダーレーアラビアン系]] -(中略) - [[ヘイロー系]] - [[サンデーサイレンス系]]<!--出典を見たら本当は ダーレーアラビアン系-エクリプス系-ファラリス系-ネアルコ系-ターントゥ系-ヘイルトゥリーズン系-ヘイロー系-サンデーサイレンス系 になってまして、さすがに全部書くのもなあと思って中略しました。「サンデーサイレンス系」だけにしたい人がいるならその方の判断と責任で削ってください。(私は削りません)-->
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== 脚注 ==
== 脚注 ==
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=== 注釈 ===
=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
=== 出典 ===
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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
'''書籍'''
*青木修 「[http://www.b-t-c.or.jp/btc_p300/btcn/btcn66/btcn066-02.pdf ディープインパクトが教える“空を飛ぶ走り”のテクニック!-世界に通用する走りのテクニックとは?-]」 BTCニュース第67号、財団法人 軽種馬育成調教センター、2007年
*{{Cite journal|和書|
*NHK取材班 『三冠馬ディープインパクト 強さの秘密』 NHK出版、2006年 ISBN 414081103X
author = 青木修
*岡部幸雄・柴田政人・井崎脩五郎・[[鈴木淑子]] 「座談会 2005年競馬を振り返る」 『週刊Gallop臨時増刊 JRA重賞年鑑2005』、産業経済新聞社、2005年
|url = http://www.b-t-c.or.jp/btc_p300/btcn/btcn66/btcn066-02.pdf
*岡部幸雄・合田直弘・井崎脩五郎・鈴木淑子 「座談会 2006年競馬を振り返る」 『週刊Gallop臨時増刊 JRA重賞年鑑2006』、産業経済新聞社、2006年
|title = ディープインパクトが教える“空を飛ぶ走り”のテクニック!-世界に通用する走りのテクニックとは?-
*栗林阿裕子 『ディープインパクト―これからはじまる物語』 メタモル出版、2008年 ISBN 4895956504
|journal = BTCニュース第67号
*[[サラブレ]]編集部 『ディープインパクト 衝撃の軌跡』 エンターブレイン、2007年 ISBN 475773381X
|publisher = 財団法人 軽種馬育成調教センター
*[[島田明宏]] 『ありがとう、ディープインパクト―最強馬伝説完結』 廣済堂出版、2007年 ISBN 4331512150
|year = 2007
*[[島田明宏]] 『誰も書かなかった 武豊 決断』徳間書店、2014年 ISBN 9784198637910
|ref = 青木
*城崎哲 『カリスマ装蹄師西内荘の競馬技術―空飛ぶ蹄鉄をいかにデザインするか』 白夜書房、2007年 ISBN 9784861912689
}}
*週刊Gallop編集部 『Gallop臨時増刊 ディープインパクト 衝撃2冠までの足跡』 産業経済新聞社、2005年a
* {{Cite book|和書
*週刊Gallop編集部 『Gallop臨時増刊 ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル』 産業経済新聞社、2005年b
|author = NHK取材班
*週刊Gallop編集部 『Gallop臨時増刊 ファンが選んだ2005ベストレース』 産業経済新聞社、2006年a
*週刊Gallop編集部 『Gallop臨時増刊 ディープインパクト 凱旋門賞激走譜』 産業経済新聞社、2006年b
|title = 三冠馬ディープインパクト 強さの秘密
|publisher = [[NHK出版]]
*週刊Gallop編集部 『Gallop臨時増刊 さようならディープインパクト ありがとうターフを去ったHero&Heroine'06』 産業経済新聞社、2007年
|year = 2006
*優駿編集部 『優駿3月号増刊 TURF HERO 2005』 日本中央競馬会、2006年
|isbn = 414081103X
*優駿編集部 「未来に語り継ぎたい不滅の名馬たち」 『優駿』800号、日本中央競馬会、2010年
|ref = NHK取材班

}}
*{{Cite book|和書
|author = 岡部幸雄
|year = 2006
|title = 勝負勘
|publisher = [[角川書店]]
|series = [[角川oneテーマ21]]
|isbn = 4047100609
|ref = 岡部2006
}}
* {{Cite book|和書
|author = 栗林阿裕子
|title = ディープインパクト―これからはじまる物語
|publisher = メタモル出版
|year = 2008
|isbn = 4895956504
|ref = 栗林
}}
* {{Cite book|和書
|author = 兼目和明・大岡賢一郎
|title = 奇跡の名馬
|publisher = パレード
|year = 2010
|isbn = 4939061310
|ref = 兼目・大岡2010
}}
* {{Cite book|和書
|author = [[サラブレ]]編集部
|title = ディープインパクト 衝撃の軌跡
|publisher = エンターブレイン
|year = 2007
|isbn = 475773381X
|ref = サラブレ編集部
}}
* {{Cite book|和書
|author = サラブレ編集部(編)
|year = 2015
|title = サンデーサイレンスの時代
|publisher = エンターブレイン・ムック
|isbn = 404730770X
|ref = サラブレ編集部(編)2015
}}
* {{Cite book|和書
|author = [[島田明宏]]
|title = ありがとう、ディープインパクト―最強馬伝説完結
|publisher = 廣済堂出版
|year = 2007
|isbn = 4331512150
|ref = 島田2007
}}
* {{Cite book|和書
|author = 島田明宏
|year = 2007
|title = 武豊インタビュー集スペシャル 名馬篇
|series = 広済堂文庫 シ-8-1 ヒューマン文庫
|publisher = 広済堂出版
|isbn = 4331654117
|ref = 島田2007 名馬篇
}}
*{{Cite book|和書
|author = 島田明宏
|year = 2007
|title = 武豊インタビュー集スペシャル 勝負篇
|series = 広済堂文庫 シ-8-2 ヒューマン文庫
|publisher = 広済堂出版
|isbn = 4331654125
|ref = 島田2007 勝負篇
}}
* {{Cite book|和書
|author = 島田明宏
|title = 誰も書かなかった 武豊 決断
|publisher = 徳間書店
|year = 2014
|isbn = 4198637911
|ref = 島田2014
}}
**文庫版あり(徳間文庫、2017年)ISBN 4198942595
* {{Cite book|和書
|author = 城崎哲
|title = カリスマ装蹄師西内荘の競馬技術―空飛ぶ蹄鉄をいかにデザインするか
|publisher = 白夜書房
|series = 競馬王新書1
|year = 2007
|isbn = 4861912687
|ref = 城崎
}}
* {{Cite book|和書
|author = 武豊・[[オリビエ・ペリエ]]
|title = 武豊×オリビエ・ペリエ 勝つには理由(わけ)がある
|publisher = 小学館
|series = 小学館文庫
|year = 2006
|isbn = 4094080694
|ref = 武・ペリエ2006
}}
**2002年に発売された単行本版(ISBN 4093873984)を加筆の上で文庫化。
* {{Cite book|和書
|author = 平松さとし
|year = 2014
|title = 凱旋門賞に挑んだ日本の名馬たち―誰も書かなかった名勝負の舞台裏
|publisher = [[角川文庫]]
|isbn = 4046003669
|ref = 平松2014
}}
* {{Cite book|和書
|author = 藤田伸二
|year = 2013
|title = 騎手の一分 競馬界の真実
|publisher = [[講談社]]
|series = 講談社現代新書2210
|isbn = 4062882108
|ref = 藤田2013
}}
'''雑誌'''
* {{Cite book|和書
|author = 岡部幸雄・柴田政人・井崎脩五郎・[[鈴木淑子]]
|chapter = 座談会 2005年競馬を振り返る
|title = 週刊Gallop臨時増刊 JRA重賞年鑑2005
|publisher = 産業経済新聞社
|year = 2005
|ref = 岡部・柴田・井崎・鈴木2005
}}
* {{Cite book|和書
|author = 岡部幸雄・合田直弘・井崎脩五郎・鈴木淑子
|chapter = 座談会 2006年競馬を振り返る
|title = 週刊Gallop臨時増刊 JRA重賞年鑑2006
|publisher = 産業経済新聞社
|year = 2006
|ref = 岡部・合田・井崎・鈴木2006
}}
* {{Cite journal|和書
|year = 2010
|title = 未来に語り継ぎたい不滅の名馬たち
|journal = 優駿
|issue = 2010年8月号
|pages =
|publisher = 中央競馬ピーアール・センター
|ref = 優駿2010
}}
* {{Cite book|和書
|year = 2005
|title = ディープインパクト 衝撃2冠までの足跡
|publisher = 産業経済新聞社
|series = Gallop臨時増刊
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}}
* {{Cite book|和書
|year = 2005
|title = ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル
|publisher = 産業経済新聞社
|series = Gallop臨時増刊
|isbn =
|ref = ディープインパクト 衝撃3冠DVDメモリアル
}}
* {{Cite book|和書
|year = 2006
|title = ファンが選んだ2005ベストレース
|publisher = 産業経済新聞社
|series = Gallop臨時増刊
|isbn =
|ref = ファンが選んだ2005ベストレース
}}
* {{Cite journal|和書
|author =
|year = 2006
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|journal = 優駿3月号増刊 TURF HERO 2005
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|publisher = 中央競馬ピーアール・センター
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* {{Cite book|和書
|year = 2006
|title = ディープインパクト 凱旋門賞激走譜
|publisher = 産業経済新聞社
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}}
* {{Cite book|和書
|year = 2007
|title = さようならディープインパクト ありがとうターフを去ったHero&Heroine'06
|publisher = 産業経済新聞社
|series = Gallop臨時増刊
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* {{Cite journal|和書
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|journal = 優駿
|issue = 2015年1月号
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|publisher = 中央競馬ピーアール・センター
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* {{Cite book|和書
|year = 2018
|title = 21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト
|publisher = 産業経済新聞社
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|ref = 21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト
}}
* {{Cite book|和書
|year = 2019
|title = 追悼ディープインパクト
|publisher = 産業経済新聞社
|series = Gallop 21世紀の名馬臨時増刊
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* {{Cite journal|和書
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|journal = 優駿
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|publisher = 中央競馬ピーアール・センター
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* {{Cite journal|和書
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|journal = 優駿
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|publisher = 中央競馬ピーアール・センター
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* {{Cite journal|和書
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|journal = 優駿
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|publisher = 中央競馬ピーアール・センター
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}}
== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
{{Wikinews|ディープインパクト、競走馬から引退へ}}
* [http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/index_d_impact.html 気になる馬 ディープインパクト] - [[スポーツニッポン]]
*{{NHK放送史|D0009030330_00000|無敗の三冠 ディープインパクト}}
* {{競走馬成績|netkeiba=2002100816|yahoo=2002100816|jbis=0000742976|racingpost=636099}}
* {{Wayback|url=http://www.sponichi.co.jp/gamble/special/notice_horse/index_d_impact.html |title=気になる馬 ディープインパクト |date=20081014020224}} - [[スポーツニッポン]]{{競走馬成績|netkeiba=2002100816|yahoo=2002100816|jbis=0000742976|racingpost=636099/deep-impact}}
* {{競走馬のふるさと案内所|0000742976|ディープインパクト}}
* {{競走馬のふるさと案内所|0000742976|ディープインパクト}}
* [https://www.jra.go.jp/gallery/dendo/horse28.html ディープインパクト:競馬の殿堂] - JRA


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[[Category:2019年没]]
[[Category:サラブレッド]]
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[[Category:セレクトセール出身馬]]
[[Category:セレクトセール出身馬]]
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[[Category:競馬殿堂]]
[[Category:日本供用種牡馬]]
[[Category:日本供用種牡馬]]
[[Category:安楽死された競走馬]]

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ディープインパクト[1]
現役期間 2004年 - 2006年
欧字表記 Deep Impact[1]
香港表記 大震撼
品種 サラブレッド
性別
毛色 鹿毛
生誕 2002年3月25日
死没 2019年7月30日(17歳没)
登録日 2004年12月19日
抹消日 2006年12月25日[2]
サンデーサイレンス[1]
ウインドインハーヘア[1]
母の父 Alzao[1]
生国 日本の旗 日本北海道早来町
生産者 ノーザンファーム
馬主 金子真人
→金子真人ホールディングス(株)
調教師 池江泰郎栗東
調教助手 池江敏行[3][4]
厩務員 市川明彦[3][4]
競走成績
タイトル 中央競馬クラシック三冠(2005年)
JRA賞年度代表馬(2005年・2006年)
最優秀3歳牡馬(2005年)
最優秀4歳以上牡馬(2006年)
顕彰馬(2008年選出)
生涯成績 14戦12勝[1]
日本の旗中央競馬)13戦12勝
フランスの旗フランス)1戦0勝
獲得賞金 14億5455万1000円
WTRR L124 - E118 / 2005年[5]
L127 - E123 / 2006年[6]
勝ち鞍
GI 皐月賞 2005年
GI 東京優駿 2005年
GI 菊花賞 2005年
GI 天皇賞(春) 2006年
GI 宝塚記念 2006年
GI ジャパンC 2006年
GI 有馬記念 2006年
GII 弥生賞 2005年
GII 神戸新聞杯 2005年
GII 阪神大賞典 2006年
繁殖成績
タイトル 日本リーディングサイアー(2012-2022年)
日本リーディングBMS(2023年)
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ディープインパクト欧字名:Deep Impact2002年(平成14年)3月25日 - 2019年(令和元年)7月30日)は、日本サラブレッドである。

競走馬として、2005年(平成17年)にシンボリルドルフ以来日本競馬史上2頭目となる、無敗での中央競馬クラシック三冠を達成、2006年(平成18年)には日本調教馬としては初めて芝部門・長距離部門で世界ランキング1位となった[6][7]

種牡馬としては2012年から2022年の11年連続日本リーディングサイアーであり[8]、日本、イギリスフランスアイルランドの4カ国でダービー馬を輩出[9]。国内クラシック競走を歴代最多の24勝、欧州クラシック競走を8勝するなど国内外で歴史的成功を収めた[10][9]。2020年には産駒のコントレイルが日本競馬史上3頭目の無敗での中央競馬クラシック三冠を達成し、世界初の父子2世代での無敗三冠[11][注 1]を達成した。

2005年JRA賞年度代表馬・最優秀3歳牡馬、2006年に年度代表馬・最優秀4歳以上牡馬を受賞し[12]2008年(平成20年)には顕彰馬に選出された[13]

多くの功績を残し[14][15]、『日本近代競馬の結晶』(後述[16]『日本競馬の至宝』『究極のサラブレッド』[17]などと称された、日本競馬史上最強と言われる競走馬の一頭である。

競走馬時代

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生い立ち

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ノーザンファーム時代

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2002年(平成14年)3月25日[注 2]北海道勇払郡早来町(現在の安平町)のノーザンファームで誕生。同期にはシーザリオカネヒキリラインクラフトインティライミヴァーミリアンが名を連ね[18]、ノーザンファーム場長の秋田博章は生まれたばかりの同馬を見て、体のバランスは良いと思ったが、ほかの馬と比較して目立って良い点があるとは感じなかったと語っている[19]

0歳時にセレクトセールに「ウインドインハーヘアの2002」として上場されたディープインパクトは、金子真人に7000万円で落札された[20][注 3]。馬体が薄かったことから上場されたサンデーサイレンス産駒14頭のうち9番目[注 4]の落札価格だった。購入した金子は「瞳の中に吸い込まれそうな感覚に襲われた」[23]と証言するほどこのときの瞳の輝きに衝撃を受け、また多くの人々に強い衝撃を与える馬になって欲しいという思いから「ディープインパクト」と名付けた[24]

ディープインパクトは0歳10月にノーザンファーム遠浅の1歳馬用の厩舎に移動した[25]。関節に不安があると判断されたため、遠浅に移動した翌日から「パドック」と呼ばれる小さな放牧地に入れられて運動を制限された。広い場所で放牧されるようになったのはそれから約1か月後だった[26]。ノーザンファーム場長の秋田は遠浅時代について、集団のリーダーではなかったものの、集団の先頭に立って走ろうとし、薄い身体的特徴の項目を参照)を擦り減らして血だらけになりながらも走るのをやめなかったと語っている[27]

1歳9月にはノーザンファーム早来に移り育成を受けた[25]。小柄で繊細な面があったため、女性スタッフが育成を担当した[27]。その育成担当スタッフやノーザンファーム場長の秋田は共にディープインパクトの柔軟性の高さを指摘している(身体的特徴の項目を参照)。一方で、柔軟性がありすぎるところや、小柄で非力なところを欠点として指摘する声もあった[28]

池江泰郎厩舎に入厩

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池江泰郎

ディープインパクトは2004年(平成16年)4月15日に早来町のホルスタイン市場で産地馬体審査を受けた[29]。そして同年9月8日栗東トレーニングセンター池江泰郎厩舎に入厩し[29]池江敏行調教助手と市川明彦厩務員が担当することになった。初めてディープインパクトを見た市川は、同馬が小柄でかわいらしい顔をしていたため牝馬でないかと思い本当に牡馬かどうか股を覗きこみ確認したという[30]

入厩して1か月が経過した10月、坂路の調教で初めてタイムを計ったときに、調教師の池江が58秒から59秒で走らせるように指示したが、これよりも速い54秒前半のタイムを出してきた。この時、きっとバテバテになってしまっているに違いないと調教助手の池江敏行が心配して駆け寄ったところ、ディープインパクトは「汗一つかいておらずケロっとしていた」といい[18]、このとき厩務員の市川は、「ただ者ではない」と思ったとのちに語っている[31]。その後12月に武豊騎乗でデビューすることが決定したため、デビュー戦4日前の調教で武が初めて騎乗することになった。池江敏行は武に「この馬、ひょっとしたらとんでもない馬かもしれないよ。久々に味わった、気持ちいいぐらいの背中なんだ」と言い[32]、武が騎乗したディープインパクトは栗東トレーニングセンターのCウッドコースを6ハロン81秒5、ラスト3ハロン38秒3、1ハロン12秒5という時計で走り、併せた馬に1.6秒先着した[32]。調教を終えると武は池江敏行に「敏行さん、この馬、ちょっとやばいかも」と興奮気味に話し[32]、翌年の活躍に期待した。

2歳 - 3歳(2004年 - 2005年)

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新馬戦から東京優駿まで
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2004年(平成16年)12月19日阪神競馬第5競走の2歳新馬戦(芝2000メートル)で武を据えてデビュー[33]。武は引退まで手綱を握ることとなる[34]。レースでは、上がり3ハロン33秒1の脚で、のちに金鯱賞マイラーズカップなど重賞4競走に優勝し安田記念で2着となるコンゴウリキシオー[35]に4馬身の差を付けて勝利[33]。レース前に池江敏行は武に対して「あまり派手に勝たせないでくれ」と願い出ており[18]、レース後厩務員の市川は、このデビュー戦の強い勝ち方に「派手にやってしまった」と消耗を心配したが、レース後すぐに息が戻っていたので「クラシックでも戦える」と思ったという[36]

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2004年 2歳新馬 JRA

島田明宏によると、このレースの翌週の水曜日、ある雑誌の企画で京都のシティホテルで行われた、ディープインパクトの新馬戦の11日前に香港で達成した海外通算100勝をメインテーマにしたインタビューを一通り終えたあとに、武の方から「ちょっと読者用に来年の楽しみな一頭を言うとしたら、先週デビューしたディープインパクトですね。これはみなさん覚えておいてください」と言ったという[37]

続く2戦目は2005年(平成17年)1月22日に、京都競馬場で行われた若駒ステークスだった。レース数日前、武は「すごいことになるから見ていてください」と対談相手に語っていた[38]。レースでは最後方から競馬をし、4コーナーに入っても先頭の馬から10馬身程度の差があったが、直線で一気に突き抜け5馬身差で勝利。武はこのレースについて「前が飛ばしすぎだと思ったからあわてることはありませんでした。捕まえられるだろうと思っていました」と振り返っている[39]。この若駒ステークスでの圧勝によって、早くも「三冠は確実」とまで言われる存在となった[40]

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2005年 若駒ステークス JRA

次走には皐月賞トライアルの第42回弥生賞に出走。武はこのレースを前にして、マスコミを通じてファンに向けて「競馬場に見に来る価値のある馬だと思います」とコメントした[41][42]。関東では初出走となったが、ハイセイコーを超える当競走史上最高の単勝支持率71.5パーセントを記録した[42]。レースでは2歳王者のマイネルレコルト京成杯を制したアドマイヤジャパン以下にクビ差ではあったものの鞭を一回も振るわずに[43]勝利し、クラシックの最有力馬に躍り出る。
レース後、武は勝利騎手インタビューで代表質問が終わった後、ディープの良さは何か、と問われると「負けないところです」と答えた[44]。また、3着に敗れたマイネルレコルト鞍上の後藤浩輝は、「ディープインパクトに並ばれた時、威圧感を感じました」とコメントした[45]

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2005年 弥生賞 JRA

第65回皐月賞では、単勝支持率が63.0パーセント(オッズは1.3倍)と1951年(昭和26年)のトキノミノルの73.3パーセントに次ぐ史上2位となった[46][47]。レース開始直後にいきなり躓き落馬寸前まで体勢を崩し、ほかの馬から4馬身ほど離れた最後方からの競馬になった。さらに向こう正面でローゼンクロイツと接触する場面があった。それでも、4コーナーでディープインパクトの気を抜く素振りを感じた武がレースで初めてを入れると[48]、直線では2着のシックスセンスに2馬身半の差をつけ勝利。フジテレビ系で実況を担当した塩原恒夫アナウンサーはゴール直後、「武豊、三冠馬との巡り合い」と五七五風にその勝利を讃えると同時に三冠を確実視するコメントを発した。無敗での皐月賞制覇は2001年のアグネスタキオン以来16頭目であり、また弥生賞勝ち馬の皐月賞制覇もアグネスタキオン以来の10頭目となった[46][47]。武は蛯名武五郎渡辺正人岡部幸雄と並ぶ皐月賞最多の3勝目を挙げ[注 5]、レース後の勝利騎手インタビューではディープインパクトの走りについて、

いや、もうパーフェクトですよ、ホントにね。走っていると言うより飛んでいる感じなんでね[49][50][16][51]

と答えた。当日の中山競馬場には前年を5000人近く上回る8万5146人が入場し[46][47][注 6]、売り上げも前年比100.3%の256億7616万600円を記録した[46]。レース後の記念撮影で武は競馬学校時代の1984年に無敗での三冠を達成したシンボリルドルフの主戦騎手・岡部幸雄が行ったパフォーマンスと同じ、指を1本立てて三冠取りをアピールした[52]

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2005年 皐月賞 JRA
2005年5月29日、東京競馬場にて、第72回東京優駿
東京優駿の優勝馬服を着せられたディープインパクト

5月29日の東京優駿では、当日の東京競馬場には前年比114.8パーセントとなる14万143人もの観衆が押し寄せた[53]。左回りのコースは初めてだったが、単勝支持率は73.4パーセント(オッズは1.1倍)とハイセイコーの持っていた当競走における単勝支持率最高記録を更新する人気となった[54][55]。スタートは皐月賞同様に出遅れ、道中は後方につけるも、4コーナーでは横に大きく広がった馬群の最外を通り、直線では1頭先に抜け出したインティライミに残り200メートル地点で並んでから同馬を突き放して5馬身の差をつけ、前年のキングカメハメハに並ぶ2分23秒3のレースレコードタイで優勝。1992年(平成4年)のミホノブルボン以来となる史上6頭目の無敗の二冠を達成した。オーナーの金子真人は前年のキングカメハメハに続いて馬主として史上初のダービー連覇を達成した[54][55][注 7]

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2005年 日本ダービー JRA

武は勝利騎手インタビューで「感動しています。この馬の強さに…」と言い、レース後の記念撮影では指を2本立てて二冠をアピールした。武によるとこのレースは「アクシデントさえなければ勝てるだろう」というぐらいの自信があったといい、「ディープの状態は万全でしたし、中山2000メートルから東京の2400メートルに舞台が変わることが、乗っている立場としては気持ち的には楽でした。前走の皐月賞で初めて目いっぱいの競馬をしたことで、ダービーではもっと走るだろうという思いもありましたね」と述べている[57][58]

そして翌日のスポーツニッポンの手記において、武はディープインパクトのことを英雄というニックネームで呼ぶことを自ら提案した[注 8][59]。対戦した騎手もその勝ち方を高く評価し、四位洋文は「サラブレッドの理想形」、ケント・デザーモは「セクレタリアトのようなレース運びだった」と語っている[60]

三冠達成、有馬記念での初黒星

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東京優駿の後は、まず栗東トレーニングセンターで調整されたが、7月10日札幌競馬場に移動し[61]、それから約2か月間は同競馬場で調整された[62]放牧に出さずに札幌競馬場で調整されたのは、厩舎での調整のリズムを変える必要がないことと、避暑ができるからであった[61]。札幌競馬場での調整では行きたがる気性を治すための調教もされた(性格・気性の項目を参照)。9月11日に栗東トレーニングセンターに戻り、その後は栗東で調整が行われた[62]

秋初戦となった神戸新聞杯は、91人の徹夜組も含めて前年比147.2%の4万6775人の観客が阪神競馬場に詰めかけた[63]。馬体重は前走の東京優駿と同じく448kgで[63]、単勝オッズは1.1倍で1番人気に支持された[64]。ディープインパクトはやや飛び上がるようにしてスタートを切り、道中は最後方から2番手の位置でレースを進めた[64]。正面スタンド前ではやや前に行きたがるところを見せたが2コーナーを回って向正面に入ったところでは完全に折り合い[64][注 9]、3コーナー過ぎで外に出たディープインパクトは手綱を持ったままの状態で加速し、直線入り口で大外から先頭に並びかけるとそこから瞬時に抜け出し、2着シックスセンスに2馬身半の差をつけて優勝した[65]。勝ちタイム1分58秒4はトウショウボーイが持つ従来の記録を塗り替える当時のレースレコードを記録した[66]。レース後、武は「本当に素晴らしい馬です。なんとかこの馬を三冠馬にしてやりたいですね」とコメントした[65]

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2005年 神戸新聞杯 JRA
2005年10月23日、京都競馬場にて、菊花賞
2005年10月23日、京都競馬場にて、菊花賞
第50回有馬記念(2005年12月25日、中山競馬場。ハーツクライの2着に敗れ、デビューからの連勝記録が「7」で途絶える)
第50回有馬記念(2005年12月25日、中山競馬場。ハーツクライの2着に敗れ、デビューからの連勝記録が「7」で途絶える)

エアメサイアで勝利した10月16日の秋華賞の勝利インタビューで武は、「来週に大きな仕事(ディープインパクトの三冠)が残っていますから。」と答えた。そして三冠のかかった2005年(平成17年)10月23日の第66回菊花賞では、京都競馬場には菊花賞の入場動員レコードとなる13万6701人(前年度比182.0パーセント)の観客が押し寄せた[67]。京都競馬場には863人の徹夜組を含む1万1936人のファンが午前7時20分の開門時に列を作り、JRAが先着100名に配布したディープインパクト像前での記念撮影整理券は7時30分に全てなくなり、300食限定の「めざせ三冠!!ディープインパクト号弁当」も7時45分に完売した[68]。ディープインパクトの単勝支持率は79.03パーセントとなり、単勝式オッズは1.0倍(100円元返し)となった。この単勝支持率は菊花賞としては1963年(昭和38年)のメイズイ(6着)の83.2パーセントに次ぐ史上2位[注 10][注 11]グレード制施行後の重賞としては当時史上最高の単勝支持率であった[注 12]

レースでは好スタートを切ったものの、スタート後の最初の3コーナーから掛かってしまう。そのため武はディープインパクトを馬群の内側に入れ、前に行くのを防いだ。その後馬群中団で落ち着いたディープインパクトは、直線で先に抜け出していたアドマイヤジャパンを差し切り2馬身差をつけて優勝。シンボリルドルフ以来、21年ぶり史上2頭目の無敗での三冠馬となった[注 13]。なお、ゴール前での関西テレビ馬場鉄志アナウンサーの実況「世界のホースマンよ見てくれ!!これが日本近代競馬の結晶だ!![16][72][73]」は2006年(平成18年)のFNSアナウンス大賞を受賞した。そしてレース後の記念撮影では武が指を3本立てて三冠をアピールした(レースに関する詳細については第66回菊花賞を参照)。

映像外部リンク
2005年 菊花賞 JRA

3冠レースを全勝した内国産馬に2001年から1億円の褒賞金が贈られることになっていたため、ディープインパクトが初の対象馬となった[69][70]

菊花賞後、陣営はディープインパクトを年内にあと1レース出走させる方針を示したうえで、ジャパンカップ有馬記念のどちらに出走するかを検討し、最終的に有馬記念に出走させることを決定した[74]。事前のファン投票では16万297票を集めて1位となった[75]。レース当日の中山競馬場には前年比129.6パーセントとなる16万2409人もの大観衆[76]が押し寄せた。古馬とは初対決となったものの、単勝式オッズは1.3倍を記録した[77]。しかしレースでは、いつものように後方から進めるも、ハーツクライに半馬身及ばず2着に惜敗し、8戦目にして初黒星を喫した[77]。レース後、鞍上の武は「今日は飛ぶような走りではなかった。普通に走ってしまった」と初めての敗戦にショックを隠し切れないコメントを残している[78](レースに関する詳細については第50回有馬記念を参照)。

2005年(平成17年)の活躍をうけ、JRA賞では年度代表馬および最優秀3歳牡馬に選出された[12]。JRA賞選考委員会の記者投票では最優秀3歳牡馬では満票(291票)を、年度代表馬では285票を獲得した[79]関西競馬記者クラブ賞も受賞した[80]

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2005年 有馬記念 JRA

4歳(2006年)

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阪神大賞典から宝塚記念まで
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1月23日に行われた前年のJRA賞授賞式において、オーナーの金子が「夏にヨーロッパでいいレースがあれば使いたい」と発言し、海外遠征を行う意向が示された。海外遠征については2月、調教師の池江によって、春は阪神大賞典から天皇賞(春)へ向かい、天皇賞(春)の後にイギリスキングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークスフランス凱旋門賞のどちらに出走するか決定すると発表された[81]

2006年(平成18年)の初戦となった阪神大賞典は、88人の徹夜組も含めて前年比108.7%の3万3334人のファンが阪神競馬場に訪れ[82]、馬券の売り上げも前年比135.6%の57億1539万8700円を記録した[82]。3ヶ月の休み明け、ディープインパクトにとっては初めて背負う58kgの斤量、初めて体験する水を含んだ稍重馬場、直線で吹き付ける強い向かい風、菊花賞以来の3000メートルの長丁場での折り合いといった不安材料が懸念されたが単勝オッズは1.1倍で1番人気に支持された[83]

他馬とほぼ横並びのスタートを切り、1周目のスタンド前ではやや前に行きたがる素振りを見せたが[83]、2周目の向正面に差し掛かるところで折り合いがつき、逃げるトウカイトリックの15馬身ほど後ろを進んだ[83]。2周目の3コーナーで鞍上の武が手綱を持ったまま加速して先行馬との差を詰め、馬なりで4コーナーを回ると勢いの違いで先頭に並びかけ直線に入った[83]。武がステッキを右に持ち替えて肩鞭を入れるとさらに脚を伸ばして後続を突き放し[83]、ゴール前の100メートルほどは流すようにして2着に3馬身半の差を付けてゴールした[84]。レース後、武は「この馬の強さを改めて感じましたね。大きな夢がありますので、それにむかっていいスタートが切れました」とコメントした[84]

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2006年 阪神大賞典 JRA
2006年4月30日、京都競馬場にて、天皇賞(春)

4月30日の第133回天皇賞(春)では、単勝支持率は1940年にマルタケが記録した71.5%を上回り当競走史上最高となる73.5パーセント(オッズは1.1倍)を記録した[85][86][87]。スタートではまたも出遅れ、道中は最後方から2番手の位置で折り合いをつけて進んだ[85]。そして3コーナー手前の残り1000メートル地点からロングスパートを開始して[注 14]先行馬を交わしていくと、ゆっくり下ることがセオリーとされる下り坂でもスパートを続け、4コーナーで早くも先頭に立った[85]。直線では、出走馬中最速となる上がり3ハロン33秒5の脚を使ってそのまま先頭を維持し、2着のリンカーンに3馬身半の差をつけ優勝した[85]

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2006年 天皇賞(春) JRA

三冠馬の翌年春の天皇賞勝利は1985年のシンボリルドルフ以来2頭目であり[86][87]、勝ち時計の3分13秒4は芝3200mの世界レコードタイムで[89][90]1997年(平成9年)の第115回天皇賞においてマヤノトップガンが記録した3分14秒4のレースレコードを1秒更新した[85]。2着に入ったリンカーン(3着に5馬身差をつけ、かつ自らも従来のレコードタイムを上回る走破時計を出す[85])に騎乗した横山典弘が「(リンカーンは)生まれた時代が悪すぎた」[91]と言うほどの内容だった。武は「世界にこれ以上強い馬がいるのかな」と言い[88]、海外遠征での勝利に期待感を示した。レース後の記念撮影で武は指を4本立てて四冠をアピールした。この時記録した勝ち時計3分13秒4は、全兄ブラックタイドの仔であるキタサンブラックによって2017年、第155回天皇賞(春)にて破られるまでの11年間、コースレコードとして君臨し続けた。

天皇賞(春)の勝利により、5月7日に発表された世界統一ランキング上で、芝・超長距離部門[注 15]の世界ランク1位となった[92][93]。翌5月8日、調教師の池江が凱旋門賞出走に向けた海外遠征プランを発表[注 16][29]、その前哨戦として6月25日に京都競馬場で開催される第47回宝塚記念[注 17]に出走することとなった。

事前に行われたファン投票では8万9864票を集め1位となり[95]、単勝支持率も天皇賞(春)に続いて1961年にシーザーが記録した72.4%を上回るレース史上最高の75.2パーセント(オッズは1.1倍)をマークした[96][97][98]。また、ディープインパクトはこのレースでデビューからJRA競走(サラ系平地)11戦連続で1番人気に支持され、歴代1位のハイセイコーに並んだ[97][98][注 18]。当日の京都競馬場は雨で稍重の馬場状態であったが、道中後方2番手追走から残り700メートル地点で進出を開始すると、直線では馬場外目を伸び、2着のナリタセンチュリーに4馬身差を付け優勝した[96]。そして同競走を優勝したことで史上7頭目、史上最速での(収得賞金額)10億円馬となった[注 19]。レース後の記念撮影で武は指を5本立てて五冠をアピールした。宝塚記念優勝を受けて、7月10日付の世界ランキングでは芝長距離部門[注 20]で世界1位となった[99]。これは日本調教馬としては史上初のことである[100]

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2006年 宝塚記念 JRA
凱旋門賞
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本馬場入場するディープインパクト(第85回凱旋門賞)
本馬場入場するディープインパクト(第85回凱旋門賞)
ディープインパクトの応援幕を張るファン
ディープインパクトの応援幕を張るファン

凱旋門賞の行われるフランスに出発する前の2006年(平成18年)7月2日、たてがみの生え際にマイクロチップが埋め込まれた[101][102]。これはフランスでは2006年からすべての出走馬にマイクロチップを埋め込むことが義務付けられているからである。日本では2007年(平成19年)に産まれてくる産駒から個体識別のためにマイクロチップを埋め込むことが義務付けられたが(2006年(平成18年)に産まれた産駒や現役馬は順次導入)、ディープインパクトはこれに先立ち日本産馬としてはマイクロチップの埋め込み導入第1号となった[103]。翌3日には金子真人、池江泰郎、武がフランスへ視察に訪れ、滞在先がカルロス・ラフォンパリアス厩舎になることが決まった[104][102][注 21]同月19日にはJRAからフランス遠征に際する出国予定日や帰国予定日が発表され、帯同馬が、金子が所有する3勝馬、ピカレスクコートに決まったことも報じられた[104][102]

20日には国際競馬統括機関連盟が発表した「トップ50ワールドリーディングホース」の1月1日から7月10日までの集計で125ポンドの評価を獲得し、ランキングが設立された2003年以降、日本馬として初めて世界1位となった[104][注 22]

ディープインパクトは8月2日から美浦トレーニングセンターに滞在してピカレスクコートとともに検疫を受け[101]、翌3日から8日まで美浦で調整が行われた[104]。9日、台風の影響で約2時間遅れとなった午前10時33分、成田国際空港から日本航空6461便で出国し、現地時間9日午後2時56分にフランス・パリのシャルル・ド・ゴール空港に到着した[101][104][注 23]。飛行機には、池江敏行、市川、ピカレスクコートの調教助手である大久保秀信。シャンティーで厩務員の経験があり、フランスで通訳兼運転手を担う西森輝夫の4人であった[102]。フランスでは4DKのアパートを借り、その4人で凱旋門賞当日まで滞在することとなった[102]

ディープインパクトは、空港から検疫を受け、馬運車で40分ほど移動、午後5時過ぎにカルロス・ラフォンパリアス厩舎に到着した[102]。ドーヴィル競馬場で参戦していた武も駆けつけ、翌日には池江も合流した[102]。日本から持ち込んだ飼い葉を使用し、飲み水は持参した浄水器によって現地の水が途中から用いられた[105]。調教は、厩舎の奥にあるエーグル調教場にて行われた。日本で主に使用していたウッドチップコースがなく、ダートコースを代用する予定であった[105]。しかしダートコースは雨で状態が悪くなり、クッション性に富み天候の影響を受けにくいファイバーサンドコースに切り替えられた。8月末、雨が続いてファイバーサンドコースも次第にクッション性が失われ、再びダートコースに舞い戻ることとなった[105]

9月13日には主催者のフランスギャロの許可を受け[104]、凱旋門賞が開催されるロンシャン競馬場でスクーリングを兼ねた調教が行われた[101][104]。ピカレスクコートにラフォンパリアス厩舎の1頭を加えた計3頭で、装鞍所からパドックに向かい、本番と同じ2400メートルをダク、キャンターで駆けた[106]。先行するラフォンパリアス厩舎の1頭をリードホースと見立てて、直線で外から追い出してリードホースに2馬身先着した[105][106]。軍土門隼夫によると、調教は「理想的な『予行演習』」だったという[105]。約80人の報道陣が集まり、日本人はその半数を占めた[105]。フランスの専門紙であるパリチュルフは、スクーリングを一面で扱い「ディープインパクト その時が始まろうとしている」との見出しが掲載された[105]

10月1日の凱旋門賞は、前年の同競走の優勝馬ハリケーンラン、前年のブリーダーズカップ・ターフの優勝馬シロッコ、そしてディープインパクトの古馬3頭が「三強」を形成した。直前の各ブックメーカーのオッズではこの3頭が上位人気を占め、中にはディープインパクトを単独で1番人気に推すところもあった[107]。この3頭と対戦するのを他陣営が嫌ったためか[108]、レースは8頭という史上2番目の少頭数で行われることになった。それまで欧州調教馬以外勝ったことのない凱旋門賞だが、現地のメディアやファンからは「今回はディープインパクトに勝たれても仕方ない」という諦めムードさえ見られた[109]。ロンシャン競馬場内では、日本人がディープインパクトの単勝馬券を多数購入したため、一時は1.1倍という断然の1番人気となった(最終的なオッズは1.5倍)[110]

事前の申し入れによりゲートには最後に収まった[111]。好スタートを切り、今までの控える競馬とは違い道中2 - 3番手でレースを進めると、残り400メートル地点でいったん先頭となったが、残り100メートル地点でレイルリンクに、さらにゴール直前でプライドにも交わされて3位入線に終わった[111]。敗因として武は「直線を向いてからハミを取らなかった。ギアが一段上がらなかった」と語っている[112]

そのほか競馬関係者もこの敗戦を分析し、岡部幸雄と柴田政人斤量とヨーロッパ特有の重い馬場を敗因として挙げ[113][114]、さらに岡部は現地のレースを1回経験させておいたほうが良かったとの見解も示している[115]。また、江面弘也はフランスのアンドレ・ファーブル厩舎の3頭[注 24]に囲まれながらレースを進めざるを得なかったことを指摘し、ディープインパクトは「『なにをしてでも勝たなければいけないフランス』に負けた」としている[116](レースに関する詳細は第85回凱旋門賞及びディープインパクト禁止薬物検出事件を参照)。

日本帰国からジャパンカップまで
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ディープインパクトは10月4日にフランスから日本に帰国し、千葉県白井市競馬学校で検疫が行われた[101]。その後は、滋賀県のグリーンウッド・トレーニングにて3週間の着地検査を行う予定であったが、調教師の池江によって10月29日天皇賞(秋)にて復帰することが決まり、規定により同競走が開催される東京競馬場で着地検査が行われた[117]

10月11日には2006年(平成18年)限りで現役を引退することが発表され、51億円(8500万円×60株)のシンジケートが組まれ種牡馬となることが決定[118][注 25]。当時日本で最高価格となるシンジゲートが組まれた[117]。午後3時から東京競馬場の事務所にて池江の会見が行われた[117]。池江はこれまでに引退について話したことはなく、「寝耳に水[117]」の状態であった。

しかし、引退発表から数日後の10月19日、凱旋門賞のレース後に実施された理化学検査でフランス競馬における禁止薬物イプラトロピウムが検出されたことがJRAによって発表された[119]。そして11月16日、正式に凱旋門賞失格が通告された[119](禁止薬物問題についてはディープインパクト禁止薬物検出事件を参照)。

天皇賞(秋)は、帰国して日が浅い中で出走させるのは馬がかわいそうだということで回避が決定され[注 26][120]、日本国内での復帰初戦はジャパンカップにずれ込むこととなった。

迎えた11月26日のジャパンカップでは2005年の有馬記念以来のハーツクライとの再戦となった。同競走は海外からは当年のカルティエ賞年度代表馬ウィジャボードを含む2頭しか出走せず、日本馬を合わせても11頭しかいないという、ジャパンカップとしては少数立てのレースとなった。単勝オッズ1.3倍の1番人気に推され、単勝支持率は61.2パーセントを占めた。日本国内で走ったレースの中ではもっとも低かったが、2000年にテイエムオペラオーが記録した50.5%を上回るジャパンカップ史上最高の支持率だった[121][122]。レースはスローペースとなったが、ディープインパクトは終始最後方で待機し道中を進めた。そして直線に向くと内に入った他馬を大外から一気に捲り、ドリームパスポートに2馬身差をつけ優勝した。ラジオNIKKEI所属のアナウンサー・中野雷太はゴールの瞬間、凱旋門賞敗戦後にディープインパクトが「悪役に転じた」ことなどを踏まえて、「全てを振り切って、ディープインパクトゴールイン」と実況した[123]。3着ウィジャボードに騎乗したランフランコ・デットーリは、そのパフォーマンスに「ファンタスティック・ホース」と評した[124]。後に武はこう振り返っている。

映像外部リンク
2006年 ジャパンカップ JRA
ディープのレースでプレッシャーがかかったものがあったとしたら、あのジャパンCです[124]

レース後、武はスタンド前のインタビューで「飛びましたね」と語り、スタンドの観客を沸かせた[124]。観客の反応に対し、武は「心から嬉しくなった」という[124]。表彰式に出るときに武はファンといっしょになって万歳三唱をした。記念撮影では武の5本指にオーナーの金子の1本指が加わって六冠を表す6本指ができた。一方、再戦ムードを盛り上げたハーツクライは、レース前から陣営が明らかにしていた喘鳴症(喉鳴り)が進行しており、見せ場なく10着に敗れた。

有馬記念
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2006年12月24日、中山競馬場にて、有馬記念

そして12月24日、引退レースとなる有馬記念に出走した。事前に行われたファン投票では11万9940票を集め[125]2年連続1位、かつファン投票で選ぶレースとしては3レース連続で(2005年有馬記念[75]・2006年宝塚記念[95]・2006年有馬記念[125])1位となった。単勝支持率は70.1パーセント(オッズ1.2倍)で、1957年(昭和32年)にハクチカラが記録した76.1パーセントに次ぐ史上2位となった[126][127]。レースでは道中後方3番手につけ、3コーナーから追い出して直線で早々と先頭に立つと、最後は流しながらも2着ポップロックに3馬身の差をつける圧勝で、有終の美を飾った[128]。武が「生涯最高のレースができた」[129]「今までにないくらい、強烈な『飛び』だった」[130]と言うほどのレース内容だった。

映像外部リンク
2006年 有馬記念 JRA

このレースの勝利でシンボリルドルフ・テイエムオペラオーに並ぶ史上3頭目(当時[注 27])の中央競馬GI7勝の最多タイ記録を達成し[128]、獲得賞金は14億5155万1000円となりテイエムオペラオーに次ぐ単独2位にランクインした[注 28]。2006年1年間では7億7148万8000円を獲得し[126][127]、84年,85年のシンボリルドルフ、98年,99年のスペシャルウィークに続く3頭目のグレード制導入以降2年連続JRA年間獲得賞金1位馬となった[126][127]

父・サンデーサイレンスにとってはこのレースでゼンノロブロイ、ハーツクライに続いて産駒による同レース三連覇を達成し、ヒンドスタンと並ぶ同レース最多の4勝を達成した[126][127][注 29]。池江泰郎にとっては87年のメジロデュレン以来、武にとっては90年のオグリキャップ以来16年ぶりとなる有馬記念2勝目を挙げた[126][127]。この後ウイニングランは行われなかったが、その理由について武は、ゴールを過ぎてから走るのを嫌がったためだと語っている[131]。記念撮影では武の5本指にオーナーの金子の2本指が加わって七冠を表す7本指ができた(レースに関する詳細については第51回有馬記念を参照)。

当日の全競走が終了したあとに引退式が行われた。約5万人[132]のファンが見守る中、厩務員の市川と調教助手の池江に曳かれながら、武を背に同日の有馬記念のゼッケンを付けて登場した。

世界ランキングでは、夏から秋にかけては一時的に順位を落としたものの、有馬記念の優勝によって、最終的な2006年通年の世界ランキング4位となった[6][7]。JRA賞でも年度代表馬および最優秀4歳以上牡馬に選出された[12]。年度代表馬は2年連続の受賞だった[注 30]。JRA賞選考委員会の記者投票では総得票数289票のうち年度代表馬で287票、最優秀4歳以上牡馬で288票を獲得した[133]。前年に続き関西競馬記者クラブ賞も受賞した[80]

競走成績

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以下の内容は、netkeiba.com[34]およびGENYcourses[134]の情報に基づく。

競走日 競馬場 競走名 距離馬場


オッズ
(人気)
着順 騎手 斤量
[kg]
タイム
(上がり3F)
着差 1着馬(2着馬) 馬体重
[kg]
2004. 12.19 阪神 2歳新馬 芝2000m(良) 9 4 4 1.1(1人) 1着 武豊 55 02:03.8 (33.1) -0.7 コンゴウリキシオー 452
2005. 01.22 京都 若駒S OP 芝2000m(良) 7 4 4 1.1(1人) 1着 武豊 56 02:00.8 (33.6) -0.9 (ケイアイヘネシー) 450
03.06 中山 弥生賞 GII 芝2000m(良) 10 8 10 1.2(1人) 1着 武豊 56 02:02.2 (34.1) -0.0 アドマイヤジャパン 446
04.17 中山 皐月賞 GI 芝2000m(良) 18 7 14 1.3(1人) 1着 武豊 57 01:59.2 (34.0) -0.4 シックスセンス 444
05.29 東京 東京優駿 GI 芝2400m(良) 18 3 5 1.1(1人) 1着 武豊 57 02:23.3 (33.4) -0.8 インティライミ 448
09.25 阪神 神戸新聞杯 GII 芝2000m(良) 13 6 9 1.1(1人) 1着 武豊 56 R1:58.4(34.1) -0.4 (シックスセンス) 448
10.23 京都 菊花賞 GI 芝3000m(良) 16 4 7 1.0(1人) 1着 武豊 57 03:04.6 (33.3) -0.3 (アドマイヤジャパン) 444
12.25 中山 有馬記念 GI 芝2500m(良) 16 3 6 1.3(1人) 2着 武豊 55 02:32.0 (34.6) -0.1 ハーツクライ 440
2006. 03.19 阪神 阪神大賞典 GII 芝3000m(稍) 9 2 2 1.1(1人) 1着 武豊 58 03:08.8 (36.8) -0.6 トウカイトリック 442
04.30 京都 天皇賞(春) GI 芝3200m(良) 17 4 7 1.1(1人) 1着 武豊 58 R3:13.4 (33.5) -0.7 リンカーン 438
06.25 京都 宝塚記念 GI 芝2200m(稍) 13 6 8 1.1(1人) 1着 武豊 58 02:13.0 (34.9) -0.7 ナリタセンチュリー 442
10.01 ロンシャン 凱旋門賞 G1 芝2400m(Bon[134][‡ 1] 8 1 1.5(1人)[‡ 2] 失格[119] 武豊 59.5 3位入線[112] Rail Link
11.26 東京 ジャパンC GI 芝2400m(良) 11 6 6 1.3(1人) 1着 武豊 57 02:25.1 (33.5) -0.3 ドリームパスポート 436
12.24 中山 有馬記念 GI 芝2500m(良) 14 3 4 1.2(1人) 1着 武豊 57 02:31.9 (33.8) -0.5 ポップロック 438
  • タイム欄のRはレコード勝ちを示す。
  • 競走成績表注釈
  1. ^ 日本語では一般的に「稍重」に相当する。JBISサーチでは「稍重」[135]、netkeiba.comでは「良」[136]と表記している。詳細は馬場状態を参照。
  2. ^ 日本国外では、複数の事業者(ブックメーカー)が自由に馬券を販売できるため、業者ごとに倍率は異なり、人気とは連動しない。ここではロンシャン競馬場内の倍率[110]を示す。(フランスはパリミュチュエル方式を採用しており、競馬場内で馬券を買う限りにおいては人気と倍率は連動する。)

種牡馬時代

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産駒デビューまで(2007年 - 2009年)

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2007年5月11日、社台スタリオンステーションにて

2006年(平成18年)12月25日付で競走馬登録が抹消され、2007年(平成19年)から北海道勇払郡安平町の社台スタリオンステーションで種牡馬となった。種牡馬入りのために金子真人から買い戻した金額はセリ時の約73倍にあたる51億円であった[137]。それからディープインパクトは、父サンデーサイレンスやノーザンテーストリアルシャダイが過ごした「功労馬厩舎」と呼ばれている厩舎で過ごすことになった[138]。同スタリオンでの担当厩務員はノーザンテーストを担当していた森田敬治である[139]

2007年(平成19年)2月14日には社台スタリオンステーションで引退後初めての一般公開が行われ、会場には約1200人のファンが集まった[140]。以後は同スタリオンで繋養される他の内国産種牡馬と同様、放牧地にいる間の一般見学が可能になっているが、本馬にのみ専門の警備員が付き添う形になっている。

初年度(2007年)の種付料は当時の日本で繋養される種牡馬としては最高額となる1200万円であった。初年度は日本国内の新種牡馬の中では最多となる206頭に種付けを行い[141]2008年(平成20年)1月9日には初産駒が鳥井牧場で誕生した(牝馬。母ロングディライト)[注 31][142]

2008年(平成20年)7月15日7月16日に行われたセレクトセール2008当歳馬セールにて産駒が初めてセリに出され、2日間で総勢36頭が登場して31頭が落札された[144]。最高落札価格馬は初日に登場したビワハイジの2008で、2億2000万円という高値で島川隆哉に落札された[144][注 32]。最終的にこの2日間で産駒の総売却額は19億1000万円、1頭平均売却額約6161万円となり、2006年(平成18年)にキングカメハメハが記録した新種牡馬産駒の総売却額17億4500万円、1頭平均売却額約5629万円の記録を更新し、売却頭数31頭は2006年(平成18年)のキングカメハメハと同数となった[144]

産駒デビュー後(2010年 - )

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2010年

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2010年(平成22年)に初年度産駒がデビューした。6月26日福島競馬場で行われたメイクデビュー福島にてサイレントソニックが勝利し、産駒の中央競馬初勝利を記録した[146]。その後も産駒の勝利数は順調に増え続け、11月21日京都競馬場で行われた2歳未勝利戦でボレアスが勝利し、産駒26頭目の勝ち馬となり、2005年(平成17年)にアグネスタキオンが記録した25頭を抜きJRA2歳新種牡馬の勝馬頭数の新記録を達成[147]

11月27日には京都競馬場で行われた2歳未勝利戦でハッピーグラスが勝利して、産駒のJRA通算勝利数が31勝となった[148]。これにより、父サンデーサイレンスが持っていた種牡馬供用初年度のJRA通算勝利数30勝の記録を16年ぶりに更新[148]。12月25日には阪神競馬場で行われたラジオNIKKEI杯2歳ステークスダノンバラードが1着になり、産駒初の重賞制覇となった[149]

最終的に初年度産駒がJRAの2歳戦で41勝し、総獲得賞金5億3704万3000円をあげた結果、2010年度のJRA2歳リーディングサイアーに輝いた。なお、この産駒出走初年度の総獲得賞金記録も、サンデーサイレンスが持っていた4億9062万5000円の記録を16年ぶりに更新することとなった[150]

2011年

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2011年(平成23年)にはマルセリーナ桜花賞を制し、産駒のGI競走およびクラシック初制覇を果たした[151]。また、リアルインパクトGI格付け以降では初めてとなる、3歳馬による安田記念優勝を果たした[152]。さらに阪神ジュベナイルフィリーズではジョワドヴィーヴルが史上初のデビュー2戦目でのGI制覇を達成している[153]10月22日には産駒がJRA年間100勝を達成したが、産駒がデビューして2年目の同日における達成は最速記録だった[注 33][154]

JRAのサイアーランキングではキングカメハメハに次ぐ2位(中央競馬と地方競馬の合算(以下、「全国」と記述)では4位)、2歳部門ではJRAと全国でともに2年連続でリーディングサイアーとなった。

2012年

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2012年(平成24年)には、ジェンティルドンナが桜花賞、優駿牝馬(オークス)、秋華賞を制し牝馬三冠を達成し[155]、さらに3歳牝馬として初めてジャパンカップも制した[156]。また、東京優駿ではディープブリランテが優勝した[157]

フランスではグロット賞 (G3) をビューティーパーラー (Beauty Parlour) が勝利し、産駒初の日本国外重賞初制覇を達成[158]。同馬は続くプール・デッセ・デ・プーリッシュ(フランス1000ギニー) (G1) にも勝利し、日本国外のG1競走初制覇も果たした[159]。最終的には産駒がGI・5勝を含む重賞18勝を挙げるなど活躍し、初のJRAと全国のリーディングサイアーに輝いた。

産駒はJRAで216勝を挙げ、これはキングカメハメハの184勝(2011年)を塗り替える、内国産種牡馬のJRA年間勝利数の新記録である[160]。また、JRAと全国の2歳リーディングサイアーの座も獲得した。これらの産駒の活躍で翌2013年の種付料は、種付時までに全納のみで1,500万円(不受胎時全額返還)にまで値上げされたが、すぐにBOOK FULLとなるなど、サンデーサイレンスの後継種牡馬の筆頭と目されていた[161]

2013年

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2013年(平成25年)の桜花賞をアユサンが制して産駒の同競走3連覇を達成した[162][注 34]。ジャパンカップではジェンティルドンナが同競走史上初の連覇を達成した[164]。他にも、ヴィルシーナヴィクトリアマイル[157]キズナが東京優駿に[165]トーセンラーマイルチャンピオンシップ[166][注 35]勝利。キズナは凱旋門賞制覇を目指しフランスに遠征も行い、前哨戦となるニエル賞(G2)に優勝した[168](本番の凱旋門賞は4着[169])。

これらの産駒の活躍により、2年連続でJRAリーディングサイアーと全国リーディングサイアーを、4年連続でJRA・全国2歳リーディングサイアーを獲得した。

2014年

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2014年(平成26年)は、ドバイシーマクラシックをジェンティルドンナが制し[170]、産駒の日本調教馬として初の日本国外G1制覇を達成した。桜花賞ではハープスターが勝利し[171]、産駒の同競走4連覇を達成[172][注 36]。また、阪神ジュベナイルフィリーズはショウナンアデラ[171]朝日杯フューチュリティステークスダノンプラチナ[171]勝利し、2009年のキングカメハメハ産駒(アパパネローズキングダム)以来の2歳GI両競走制覇となった[173]。さらに中山大障害ではレッドキングダムが制して産駒のJ・GI初制覇を達成した[174]

その他にも、ミッキーアイルNHKマイルカップ[171]、ヴィルシーナ(ヴィクトリアマイル)[157]ショウナンパンドラ(秋華賞)[171]スピルバーグ(天皇賞(秋))[注 37][157]ラキシスエリザベス女王杯[注 38][165]ダノンシャークマイルチャンピオンシップ[166]、ジェンティルドンナ(有馬記念)[157]がGI競走に優勝した。

重賞競走では、京都牝馬Sをウリウリが勝ち、産駒のJRA重賞競走通算50勝を達成[176]。さらにスワンステークスをミッキーアイルが制して産駒重賞勝ち数が72勝となり、フジキセキを抜いて内国産種牡馬のJRA重賞勝利数歴代1位となった[177]

JRAでの年間記録のうち、勝利数(232勝)[178]、重賞勝利数(37勝)[178]、GI勝利数(11勝)[179]、獲得賞金(67億6270万円)[178]で自己最高を記録し[注 39]、3年連続でJRAおよび全国リーディングサイアーを、5年連続で2歳リーディングサイアーを獲得した。なお、重賞勝利数はサンデーサイレンス産駒の38勝(2003年)に次ぐ歴代2位、GI勝利数は歴代1位である[179]

2015年

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2015年(平成27年)は、ミッキークイーンが優駿牝馬に優勝[180]。また同馬による10月19日の秋華賞の勝利は、産駒によるJRA重賞通算100勝を達成。史上最速での更新であった(史上3頭目[注 40]、5年3カ月29日)[181]

他にもマリアライト(エリザベス女王杯)[171]、ショウナンパンドラ(ジャパンカップ)[171]GI競走に優勝し、さらにリアルインパクトはジョージライダーステークス[182]エイシンヒカリ香港カップ[183]で海外G1勝利を果たした。函館2歳ステークスブランボヌールが制したことにより、グレード制を導入した1984年以降で8頭目となるJRA全10場重賞制覇を達成した[184]。10月12日にラベンダーヴァレイが勝利し、産駒によるJRA通算1000勝を史上最速で達成した(史上17頭目、5年3カ月23日)[185]

獲得賞金(JRAにて69億701万5000円)で自己最高記録を更新し[178]、4年連続でJRA・全国リーディングサイアーを獲得した。一方で2歳成績ではダイワメジャー(6億5980万9000円)に次ぐ2位(6億228万円)に終わった。

2016年

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2016年(平成28年)は、ディーマジェスティ(皐月賞)[186]、シンハライト(優駿牝馬)[186]、マカヒキ(東京優駿)[186]、マリアライト(宝塚記念[171]ヴィブロス(秋華賞)[186]サトノダイヤモンド菊花賞、有馬記念)[186]、ミッキーアイル(マイルチャンピオンシップ)[171]サトノアレス(朝日杯フューチュリティステークス)[187]が国内のGI競走に優勝した。菊花賞を制したことにより、同産駒は史上初の3歳GI完全制覇を達成した[188]

また、中日新聞杯をサトノノブレスが制して新記録となる6週連続JRA重賞勝利を達成し[189]、後に7週連続まで記録をのばした[190]。海外ではリアルスティールドバイターフ[191]、エイシンヒカリがイスパーン賞[192]G1を制覇、マカヒキはニエル賞(G2)を勝利した[193]

獲得賞金(JRAにて73億7053万1000円)で自己最高記録を更新し[178]、5年連続でJRA・全国リーディングサイアーを獲得した。また、JRA・全国2歳リーディングサイアーを2年ぶりに獲得した。

2017年

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2017年(平成29年)は、皐月賞でアルアイン[187]、安田記念でサトノアラジン[171]、朝日杯フューチュリティステークスでダノンプレミアム[194]GI制覇を果たした。海外ではドバイターフをヴィブロスが制し、産駒の同競走連覇を達成した[195]。また、日本で生産され離乳後にアイルランドに渡ったサクソンウォリアー(Saxon Warrior)がイギリスのレーシングポストトロフィー(G1)を勝利し、産駒初のイギリスG1制覇を果たすと同時に、日本産馬初のイギリスG1制覇を成し遂げた[196]。2016年にオーストラリアに移籍したトーセンスターダム(Tosen Stardom)は、トゥーラックハンデキャップ[197]エミレーツステークス[198]の2つのG1を勝利した。

11月19日にフランツが勝利し、産駒によるJRA通算1500勝を史上最速で達成した(史上6頭目、7年5カ月0日)[199]

JRA年間勝利数(251勝)で自己最高記録を更新し[178]、6年連続でJRA・全国リーディングサイアーを、2年連続でJRA・全国2歳リーディングサイアーを獲得した。なお2歳戦では勝馬数50、勝利数57を記録し、サンデーサイレンスが2004年に記録した勝馬数47、勝利数54のJRA記録を13年ぶりに更新した[200]。また、セダブリランテスラジオNIKKEI賞に勝利し父の父として[201]キセキが菊花賞に勝利し母の父として[202]初めて重賞勝ち馬を送り出し、孫の代からも活躍馬が現れ始めていた。

2018年

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2018年(平成30年)は、ケイアイノーテック(NHKマイルカップ)[194]ジュールポレール(ヴィクトリアマイル)[186]ワグネリアン(東京優駿)[194]フィエールマン(菊花賞)[194]ダノンファンタジー(阪神ジュベナイルフィリーズ)[203]がJRAのGI競走に優勝した。また、アンジュデジールJBCレディスクラシックに優勝し、産駒のダートGI競走初勝利となった[204]

海外調教馬も活躍し、サクソンウォリアーがイギリス2000ギニーを優勝し、日本産馬初のイギリスクラシック制覇を達成した[205]。また、フランス調教馬のスタディオブマン(Study of Man)がジョッケクルブ賞(フランスダービー)を優勝し、同年の日本ダービーの勝ち馬ワグネリアンと合わせて2ヶ国のダービー制覇を達成した[206]

JRA年間勝利数(265勝)で自己最高記録を更新し[178]、7年連続でJRA・全国リーディングサイアーを、3年連続でJRA・全国2歳リーディングサイアーを獲得した。

2019年

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2019年(平成31年、令和元年)は、アルアイン(大阪杯[187]グランアレグリア(桜花賞)[203]、フィエールマン(天皇賞(春))[194]ラヴズオンリーユー(優駿牝馬)[203]ロジャーバローズ(東京優駿)[203]ワールドプレミア(菊花賞)[203][注 41]コントレイルホープフルステークス[208]が国内のGI競走に勝利し、グローリーヴェイズ香港ヴァーズで優勝した[209]。フィエールマンが天皇賞(春)を制したことにより、種牡馬史上4頭目の八大競走完全制覇を達成した[210]

海外調教馬のフィアースインパクトFierce Impact)が、トゥーラックハンデキャップ[211]カンタラステークス[212]の2つのG1を勝利した。10月8日にダノンキングリーが勝利し、産駒によるJRA通算2000勝を史上最速で達成した(史上2頭目、9年3カ月17日)[213]。10月26日にセントオブゴールドが勝利したことにより、2015年2月7日から247週連続でJRAレースを勝利し、サンデーサイレンスの持つJRA記録(246週、2002年3月9日~2006年11月26日)を更新した[214]

7月30日、頸椎骨折により安楽死処置が取られ、死亡した(骨折により安楽死を参照)[215][216]

獲得賞金(76億8176万8000円)で自己最高を記録し[178]、8年連続でJRA・全国リーディングサイアーを、4年連続でJRA・全国2歳リーディングサイアーを獲得した。

2020年

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2020年(令和2年)は、コントレイル(皐月賞、東京優駿、菊花賞)[208]、フィエールマン(天皇賞(春))[194]、グランアレグリア(安田記念、スプリンターズステークス、マイルチャンピオンシップ)[203]が国内のGI競走に勝利している。コントレイルは無敗で牡馬クラシック三冠を制し、親子2代で無敗の牡馬クラシック三冠を達成[217]。また、グランアレグリアがスプリンターズステークスを制したことにより、産駒初のスプリントGI制覇となり[218]、JRAの平地芝G1競走で産駒が制していないのは高松宮記念のみとなった[219](障害競走も含めると中山グランドジャンプの計2競走)。また、海外調教馬のファンシーブルー(Fancy Blue)がディアヌ賞(フランスオークス)(G1)[220]ナッソーステークス(G1)[221]を勝利し、フィアースインパクト(Fierce Impact)がマカイビーディーヴァステークス(G1)[222]を勝利して2019/2020シーズンのオーストラリアの最優秀中距離馬を受賞した[223]

リアルインパクトの産駒で、孫にあたるラウダシオンがNHKマイルカップを勝利[224]。12月5日、中京4Rでモーソンピークが1着となり、産駒のJRA通算勝利が2300勝に到達した。これは父・サンデーサイレンスに次いで2番目の記録達成で、父の11年3ヶ月29日を上回る10年5ヶ月16日での史上最速の達成である[225]

獲得賞金(79億5291万2000円)で自己最高を記録し[178]、9年連続でJRA・全国リーディングサイアーを[226]、5年連続でJRA・全国2歳リーディングサイアーを獲得した[227]

2021年

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2021年(令和3年)はレイパパレが大阪杯を制覇し、史上初の無敗での大阪杯制覇を達成した他、シャフリヤールが東京優駿を制し、産駒4連覇を達成するとともに、産駒の東京優駿勝利記録で歴代1位になった。海外ではスノーフォール英オークスをレース史上最大着差である16馬身差の圧勝で制した[228]。同馬は次走の愛オークスも制し、史上15頭目の英愛オークスダブル制覇を成し遂げた[228]。またこの勝利で産駒初のアイルランドG1初制覇をクラシック制覇で果たすと同時に、欧州主要3ヶ国のオークス制覇を達成した[228]

5月15日、東京5Rでシテフローラルが勝利して、産駒のJRA通算勝利数が2400勝に到達した。父・サンデーサイレンスに次いで史上2番目の記録達成で、父の記録11年7ヶ月26日を上回る10年10ヶ月26日での達成は史上最速である[229]

11月6日(現地時間)、アメリカデルマー競馬場で行われたブリーダーズカップ・フィリー&メアターフラヴズオンリーユーが勝利。産駒初、そして日本調教馬初のブリーダーズカップ制覇を果たした[230]

11月21日、東京3Rでグランスラムアスクが勝利して、産駒のJRA通算勝利が2500勝に到達した。これは父・サンデーサイレンスに次いで2番目の記録達成で、父の12年0ヶ月7日を上回る11年5ヶ月2日での達成は史上最速である[231]

2022年

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2022年(令和4年)の弥生賞ディープインパクト記念で唯一の産駒で出走したアスクビクターモアが勝利し父・サンデーサイレンスの記録を超え7勝目を記録し出走機会6連覇を達成した[232]。同馬は10月に行われた菊花賞を制し、同一産駒で5勝目。12世代にわたってクラシックホースを輩出する快挙を成し遂げた。ドバイシーマクラシックをシャフリヤールが制し、史上初のダービー馬による海外G1制覇を達成した。さらに大阪杯をそれまで重賞未勝利だったポタジェが勝利した。

この年、2歳を迎えたラストクロップの世代からは、アイルランド調教馬のオーギュストロダン(Auguste Rodin)がイギリスのフューチュリティトロフィーを制し、13世代目からのG1級競走優勝馬を輩出した。

2023年

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ラストクロップとなった12頭(日本国内6頭、海外6頭[233])のうち、ライトクオンタムシンザン記念を勝利し、JRAにおいても全世代の産駒で重賞勝利を達成した。東京優駿の出走馬はなかったが、海外でオーギュストロダンイギリスダービーを制覇し、産駒による日・英・仏三か国のダービー制覇を達成[234]。これによりデビューした13世代すべてでクラシック競走(日・英・仏・愛)優勝馬を輩出した[235]。オーギュストロダンはさらにアイリッシュダービーも制覇し、産駒による日・英・仏・愛四か国のダービー制覇を達成した[9]

10月1日、阪神競馬場で行われたポートアイランドステークスで、ドーブネが勝利し産駒のJRAの勝利数が2749勝目となり、JRA記録であるサンデーサイレンスの勝利数に並んだ[236]。この記録は、サンデーサイレンスの15年6か月19日を上回る13年3か月12日で達成された[237]。翌週10月8日、京都競馬場で行われた障害オープンの競走で、ロックユーが1着となって、JRA通算2750勝となり、サンデーサイレンスが持っていた産駒最多勝記録を超えて、新記録を打ち立てた[238]

現役競走馬の産駒が少なくなったため、この年はリーディングサイアーを12年ぶりに逃した。但し母父としてはリーディングを獲得し、持込馬を除くと内国産馬46年ぶりのリーディングブルードメアサイアーとなった[注 42]

骨折により安楽死

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2019年は例年通り2月のシーズン開始から交配を行っていたが、3月末になって首に痛みが出たため大事を取って種付けを中止した[239]。残りシーズンの種付けは行わず、翌春に誕生予定の産駒は20頭前後になる見通しとなった[239]。当初、首の痛みに対して検査、治療を試みたが痛みの原因が不明であった[240]。そのため、アメリカ合衆国から専門の獣医師を呼びコンピュータ断層撮影 (CT)を行ったところ頸椎に不具合があることが判明した[240]。7月8日・9日に開催されたセレクトセールにて検査を受けて、手術を実施することが公表された[240]

7月28日、患部の頸椎と頸椎の間を固定するという日本で初めての手術が行われ[241]、術後の経過は安定していたが、翌29日午前に突如起立不能の状態となった[215]。翌30日早朝のレントゲン検査で手術箇所とは別に頸椎骨折が判明[215]。回復が見込めないと診断されたことから、同日、安楽死の措置が執られた[215][216]。17歳没。

東京競馬場に設置された献花台

訃報を受け、JRAは8月3・4日の新潟・小倉・札幌の第11レース[242]を「追悼競走」とし、「ディープインパクト追悼競走」の副題を付して開催[243]。全国の競馬場および東京競馬場内にある競馬博物館では記帳台と献花台が、全国のウインズ (WINS)およびGate J. (新橋・心斎橋の2か所)において記帳台が設置された[243]。実施された8月3日から9月1日までに、1834件の献花、3万9243件の記帳が集まり、後日オーナーの金子真人に届けられた[244]。さらに、2019年11月24日の開催は「ディープインパクトメモリアルデー」と銘打ち実施され、この日に行われたジャパンカップには「ディープインパクトメモリアル」の副題が付けられた[245](詳細は第39回ジャパンカップを参照)。

フランスでもディープインパクト死亡のニュースは報じられた[246]。パリチュルフ紙は訃報を受けた翌日、凱旋門賞出走時の写真とともに記事を一面で掲載し、「真のアイドル」と報じた[246]。ジュールドギャロ紙は「Sayonara,Deep Impact」の見出しでトップ扱いで報道し、「日本において競走馬という枠を超えた特別な存在だった」と説明した[246]

競走馬としての特徴

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レーススタイル

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後方待機からの強烈な追い込みが身上であった。道中は中団から後方につけ、3 - 4コーナーから一気にまくりあげて他馬をごぼう抜きするというレーススタイルでGI競走7勝を挙げた。主戦騎手の武豊は、新馬戦の追い切りの際に少しスピードがありすぎると感じたため、ゆったりとしたレースをさせるようにしたと述べている[247]。また、ゲートの中でじっとしているのが嫌いで落ち着きがなかったため、スタートが上手くできず出遅れることが多かったことも、追い込みという脚質になった一因だとされている[248]

ディープインパクトの強みは優れた瞬発力とスピード、そして末脚の持続力である。実際、上がり3ハロンのタイムは日本国内の競走では全競走で出走馬中最速であり、東京優駿(当時)、菊花賞、天皇賞(春)、ジャパンカップ、有馬記念(4歳時)などでは史上最速であった。また、天皇賞(春)ではいつも通りの後方待機策から残り600メートル付近で早くも先頭に立ったにもかかわらずそのまま押し切っており、そのトップスピードの持続力は卓越していた。武は東京優駿後のインタビューで「この馬は瞬発力が続くんです。ド〜ンとゴールまでそのまま行く」と答えている[249][250]。調教師の池江泰郎も、瞬発力に優れ、しかも長くいい脚を使うのはディープインパクトの強さを感じるところだと述べている[251]

反面、ほかの馬と馬体を併せるレースとなった弥生賞ではクビ差とディープインパクトにしては僅差での勝利、同じようにほかの馬と馬体を併せる形となった凱旋門賞では3位入線と敗れている。調教助手の池江敏行はこのことに関して、「馬体を併せると、本気で走らない気がする」とディープインパクトの引退後に語っている[252]

身体的特徴

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ディープインパクトはレース時の体重が436 - 452キログラムで、サラブレッドとしては小柄な体型である。デビュー戦の452キログラムがもっとも重く、最低体重を記録したのは引退レースの1戦前であるジャパンカップだった。出走したGI競走の中でも、皐月賞・菊花賞・有馬記念(2005年)・ジャパンカップ・有馬記念(2006年)では出走馬の中で最低の馬体重だった[253][注 43]。馬体が小さいため、当初は他馬に揉まれ弱いという声もあったが、他馬に揉まれながらも皐月賞に勝利したあとは「大型馬よりも故障のリスクが小さい」と馬体の小ささが肯定的に見られるようになった[254][255]。種牡馬入りのときの健康チェックでは体高(キ甲=首と背の境から足元まで)が164センチメートルだったが、社台スタリオンステーションの徳武英介は、父サンデーサイレンスと同じサイズで体格的に種付けは心配ないと述べている[256]

島田明宏によるとディープインパクトは「意外にも食いしん坊」と評している[257]。島田は2005年の夏における札幌での調整に密着した際、馬房の左に飼い葉桶、右に水桶を吊るし、その下に市川が青草の束を置くと、ディープインパクトは飼い葉桶から顔を上げ、水桶から水を飲み、次に青草を少し食べてまた飼い葉桶の飼料、という「三角食べ」をし、食欲は旺盛でも食べても太らないのはこの食べ方によるところが大きいのではないかと述べている[257]

馬体に関しては、バランスの良さを指摘する声もある。共同通信社の永井晴二はディープインパクトの馬体について、「ボリューム感に欠ける」ものの、「よく見ると実にバランスの取れた馬体」をしていて「すべてがコンパクトにまとまっている」と評している[258]サラブレッドクラブ・ラフィアン前代表の岡田繁幸は、「お尻のつく位置や骨の太さなど、すべてのバランスがいい」と述べている[259]

また、体の柔らかさも指摘されている。ノーザンファーム早来時代に育成を担当したスタッフは、「やわらかくて、ゴム鞠のように弾むようなバネがあった」と証言している[28]。また、同ファーム場長の秋田博章もディープインパクトが坂路を走る様子を見て、今まで見たことがないような柔軟性があり、まるで「ネコ科の動物」が走っているようだったと語っている[260]装蹄師西内荘は、犬や猫などのように後ろ脚で耳を掻くことができるほど体が柔らかいと発言している[注 44][261]。サラブレッドクラブ・ラフィアンの岡田は「筋肉の質がよくて柔軟性に富んでいる」と述べ、そのため伸び縮みが自在になると考察している[259]。武はその柔軟性の高さを「チーター」にたとえている[262]

さらに、GI馬に共通した特徴である薄い蹄を持っている[263]。皐月賞までは順調に勝ち進んだものの、東京優駿に向かうにあたってこの点が問題になった。蹄が薄い馬の場合、蹄鉄で固定すると馬がストレスを感じるためである[264]。また、皐月賞が終わると蹄もボロボロになり、釘を打てる場所がなくなっていた[265]。そこで装蹄師の西内は、新しい方法で蹄鉄を装着して東京優駿に臨むことにした[266]。それは、装締によって蹄に負担がかからないように従来の釘による装締を止め、クッションの役割を果たすシューライナーを蹄に貼り、その上にエクイロックスという特殊な接着剤で蹄鉄を蹄に装着する方法であった[264][265]。ディープインパクトはこの方法により装着された蹄鉄で東京優駿に勝利した。

走る時の特徴

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装蹄師の西内はディープインパクトの蹄鉄の減りがほかの馬に比べて遅いことを証言している[267]。実際、かつて武が主戦騎手として騎乗したエアシャカールアグネスワールドがそれぞれ2週間使用した蹄鉄とディープインパクトが3週間使用した蹄鉄を比較すると、ディープインパクトの蹄鉄の方が減りが少なかった[268]。西内はその理由として、ディープインパクトの地面をがっちりと捕まえる走り方を挙げている。西内によれば、本来競走能力の高い馬は蹄鉄の減りが早いのだが、ディープインパクトの場合はそのような走法のために摩擦が少なく蹄鉄が減りにくいという[267]。NHKスペシャル「ディープインパクト〜無敗の3冠馬はこうして生まれた〜」によれば、ディープインパクトはその柔軟性から後ろ脚を平均的なサラブレッドより前、重心の真下に着く事が出来る。よって、無駄無く力強い推進力が生み出され、蹄鉄の減り・脚元への負担が少ないと結論付け、ディープインパクトを「軽量ボディに大排気量のエンジンを搭載したスポーツカー」と表現した[16]。岡田繁幸はディープインパクトの蹄鉄が偏りなく摩耗することについて、「着地した脚がそのまま上体を乗せて、体が前に伸びきるまで前に運ぶからです」と述べている[269]

心肺機能が他の馬より優れていることも強さの一つとして挙げられている。まず、心拍数が最大になったときの血液のスピードを「VHRmax」(単位はm/s (メートル毎秒))、ゴール直後から心拍数が100を切るまでの時間を「HR100」といい、前者は持久力を、後者は回復力を示すものである(前者は数値が大きければ大きいほど、後者は数値が少なければ少ないほどよい)。3歳以上の馬のVHRmaxの平均は14.6であるのに対し、ディープインパクトはデビューの時点で16.3を示した[270]。HR100も一般的な3歳馬は10分以上かかるが、皐月賞のときにディープインパクトが記録したのは2分42秒であった[271]

JRA競走馬総合研究所が菊花賞でのディープインパクトの走りを研究したところによると、武の「走っていると言うより飛んでいる感じ」という言葉に反して、三冠を達成した菊花賞でのラスト100メートルの走りを検証したところ、ディープインパクトは4本の脚がすべて地面についていない時(エアボーン)の時間がほかの他の馬の平均である0.134秒よりも短く、0.124秒だった[272]。しかし、その間の移動距離は長く、他の馬の平均が2.43メートルであるのに対し、ディープインパクトは2.63メートルだった[273][274][275][272]。同研究所は、飛ぶことによって馬体の上下動に余計な力を使ってしまい、そのうえ前へ進む力も継ぎ足せなくなるため、エアボーンの時間が短いことは速く走るためのメリットだと説明している[276][277]。また、2本の脚が同時に地面に着いている時間が少ないことも明らかになった。この脚と脚が同時に着いている時間が短いという特徴はアメリカの三冠馬セクレタリアトにも見られることから、速く走る馬の特徴なのではないかと同研究所の高橋敏之は推測した[261]

さらに同研究所は、走るときに後肢を大きく前方へ振り出していること(それによって後肢を後方に引き戻す速度が上がり、着地するときの制御力も小さくなる)などをディープインパクトの効率的な走りの特徴として挙げている[261]。同研究所は、ディープインパクトの走りには「強いウマ、速いウマの走りのテクニックが凝縮されて」おり、「空を飛んでいる」と武が言ったのは、ディープインパクトが馬体の上下動を抑えて重心を低くしたスムーズな走行をしているからだと研究結果をまとめている[278]。岡部幸雄はかつてトウカイテイオーで勝利した1992年の大阪杯で「雲の上を走っている」と感じたといい、「"飛ぶ"という言葉は、馬に無駄な動きが一切ないということだと思う。滞空時間というより、上下だけでなく左右にもブレがないからスーッとそのまま飛んでいる感じになるのだろう。テイオーも上下のブレが非常に少ない馬で、バネの利いたフットワークが素晴らしかった。背中に乗っていても全く揺れがなく、どこまでも一直線に走っているイメージだった。心地よいという乗り味という意味では、2頭は似ている部分が多かったと思う」と述べている[269]

気性・性格・知能の特徴

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武豊は「走ろうとする気持ちが強すぎるので、乗る立場からすれば難しい馬」[248]「この馬が本気で行きだしたら止めるのは容易じゃない」[279]と語っている。3歳時はほかの馬が前を走っていると調教でも追い抜こうとして抑えるのに苦労するほどで、さらに調教で馬場に出るときに尻っ跳ねをする癖があった[280]パドックでもうるさい様子を見せており、とくに東京優駿では焦れ込んで馬場入りのときと同じように尻っ跳ねをする仕草もした。3歳夏の札幌競馬場でのトレーニングでは、これらの癖を直すための調教もされた。このトレーニングが功を奏したのか、その後はある程度改善され、4歳時の有馬記念前の調教では他馬に反応することも尻っ跳ねをすることもなくなった[281]

普段は人懐っこくておとなしく、厩舎では「お坊ちゃまくん」のニックネームで呼ばれていた[282]。「素直な性格」[283]で「天然」[284]だと厩務員の市川は述べている。調教師の池江はディープインパクトを「とてもおとなしい」馬だと言い、さらに「人間が好き」で「優しい馬」だと表現している[285]。競走馬時代の担当の獣医師も、ディープインパクトは「性格が気さく」であり、これほど性格が良い馬はそういないと語っている[286]。種牡馬となってからの担当厩務員である森田敬治は、自分が人間よりも上の立場だということを誇示したがるほかの種牡馬と違って、ディープインパクトは人間と対等の立場で接してくると証言している[287]

非常に利口な馬でもあり、調教助手の池江敏行によると、普通の馬が10回で覚えることをディープインパクトは2、3回で覚えてしまうという[288]。武も頭の良さは認めており、菊花賞でディープインパクトが一周目のホームストレッチでかかってしまったのは、頭が良いので3コーナーから4コーナーにかけてスパートをかけることを覚えているために、一周目のゴール板を正規のゴールと勘違いしてしまった(=そこまでに先頭に立たなければならないと勘違いした)からだと証言している[289]

評価

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公式レーティングによる評価

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2005年のワールド・サラブレッド・レースホース・ランキングでは長距離(ロング:Long - 2101メートル - 2700メートル)でのパフォーマンスが124ポンドと評価された[290]。ほかの距離区分も含め総合9位、3歳馬の中では4位にランクされた。超長距離においては118ポンドに評価され、この距離区分では世界1位となった。

2006年の同ランキングでは長距離で127ポンドに評価され[291]インヴァソールバーナーディニディスクリートキャットに続く総合4位タイ、芝部門ではレイルリンク・ジョージワシントンと並び世界1位タイにランクされた。ちなみに当時は1999年におけるエルコンドルパサーの134ポンドに次ぐ日本調教馬歴代2位のレイティングであった。超長距離部門では123ポンドに評価され前年と同様、世界1位だった。

また、2006年7月10日にIFHA(国際競馬統括機関連盟)から発表された「トップ50ワールドリーディングホース」の2006年1月1日から7月10日までの集計分では125ポンドに評価された[292]。このレイティングにより、集計期間内にタタソールズゴールドカップG1)に勝利していたハリケーンラン、また、同じく集計期間内にコロネーションカップG1)を制していたシロッコと並び、ランキングが設立された2003年以降、日本馬として初めて世界1位にランクされた。

競馬関係者による評価

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ディープインパクトを管理した調教師の池江泰郎は、3歳春の時点で同馬を「理想的なサラブレッド」と言い、長所として騎手の指示に対する反応の良さを挙げている[293]。14戦全てに騎乗した武豊は、弥生賞後のインタビューにおいて同馬の長所は何かという質問に対して負けないところだと答えている[44]。その後武は、負けないという意味は「すべての面でほかの馬を圧倒している」ということだと発言している[294]。ダービー後のインタビューでは「ぼくはずっとこういう馬を探していた、という感じ。」と表現し[295]、後に改めてその発言の意味を具体的に聞かれ「すごくシンプルに、走るのが速い馬。スピードがあるとか、持久力があるとか、全てを通り越して、圧倒的に足の速い馬が現れるのを待っていた。」「(自身が騎乗した)オグリキャップスペシャルウィークサイレンススズカも速かったけど、それとはまた感じの違う速さ。どっちが上とかじゃなく。」と答えている[296]。ほかにも武は「ディープインパクトがフランスで調教されていたら、たぶんフランスでデビューして、フランスダービーとかを普通に勝っていたでしょうね。「オリビエ(・ペリエ)あたりが乗って」とも語り[297]、ディープインパクトの現役時代は自身が海外遠征へ出向いた際にオリビエ・ペリエやクリストフ・ルメールが、ジョッキールームで現地の騎手に「日本にはディープインパクトという凄い馬がいて、最後の直線だけで全部負かしてしまって…」と熱心に語っていたという[298]

菊花賞で無敗の三冠馬となったディープインパクトだが、同じ無敗の三冠馬のシンボリルドルフとの比較という点においては、同馬の主戦騎手だった岡部幸雄が「ルドルフのほうが強い。ルドルフは競馬のすべてを知り尽くしていた」、「終始馬体を併せる作戦を取ればルドルフなら勝てる」と答えており、ディープインパクトにはシンボリルドルフに匹敵する能力があるとしつつ、欠点の少なさにおいてはシンボリルドルフの方が上[注 45]であると評している[299]。しかし同時に、自ら「ディープインパクトの追っかけ」[300]と言うほどのファンでもあり、凱旋門賞のときは声を荒らげて応援していた。一方、ノーザンファーム場長の秋田博章は、「ルドルフはソツのないレース巧者」で「優等生という印象」と言ったうえで、「ディープの強さは並ぶ間もない圧倒的なもの」と発言し、「一枚上」だと評価した[301]柴田政人の場合は菊花賞のあとに「ルドルフを超えたというよりもすごい馬が現れたと感じている。潜在能力がまさにケタ違い」と評している[302]

安藤勝己は最も印象に残っているディープインパクトのレースに新馬戦を挙げており、その理由は「レース終わってユタカちゃんがG1制した時でも見せない表情で興奮してた」というものであり、「伝説を残すってその時点で確信した」と述べている[303]。また、「キンカメでダービーを勝たせてもらって、その翌年にディープのようなスーパーホースが出てくるとは思わなかった」といい、「セレクトセール出身で、実績で産駒でその価値を高めて、日本競馬のレベルを飛躍的に押し上げた」と述べている[304]。尚安藤は後年騎乗にあたってディープインパクトはレースぶりが独特なので自分は苦手だと語っている。

コンゴウリキシオーやフサイチアウステル等で対戦経験のある藤田伸二は、著書「騎手の一分」の第3章「強い馬とは何か」の中で「別格だったディープインパクト」という項目を設け、「積んでいるエンジンが全く違った。」、「騎手の腕なんて関係なく、誰が乗っても勝てる馬だった。」[注 46]「ディープと同じレースに出走する時はみんなディープの2着を狙っていた。」と述懐している[305]

オリビエ・ペリエは2008年にメイショウサムソンが前哨戦を使わずに凱旋門賞に挑戦することが報道された際に、現地の記者から「なぜ日本の馬は休み明けで使いたがるのか」と質問された際にディープインパクトの名前を挙げて「日本のトップホースは充分に凱旋門賞を勝てるだけのレベルにある。ただ、このレースは休み明けで勝てるほど甘いものではない」と前置きしたうえで、「僕はいまでもディープインパクトは一回叩いていれば勝てたと思っているんだ」と質問に答えている[306]

競馬評論家の井崎脩五郎は、ディープインパクトの新馬戦の翌日に行われたイベントで「今まで(=数十年間)見てきた中で、一番『これは強い』と思ったレースは?」と振られ「昨日のディープインパクトの新馬戦」と答えた。その後井崎は、ディープインパクトのことを「競馬史上の最強馬」ではないかと発言した。その理由として、名馬のレースで「なんだこれ!?」と感じるのは1頭に1回だが、ディープインパクトの場合は新馬戦と2戦目の若駒ステークスの2回連続でそう感じたことを挙げている[307]

また、競馬評論家の合田直弘は日本国外にもディープインパクトを高く評価している競馬記者が複数存在することを証言している。合田が指摘しているように、イギリスのレーシング・ポスト紙は2006年のワールド・サラブレッド・レースホース・ランキングのレイティングが日本の競馬のレベルを低く見すぎていて保守的であると不満を唱え、独自のレイティングでディープインパクトを133ポンドで世界一にしている。合田によると、香港にも「35年間競馬を見てきた中でディープインパクトは一番印象的だった馬」と述べ、ディープインパクトに高評価を与えた記者がいるという[308]

投票による評価

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2008年(平成20年)5月8日、平成20年度顕彰馬選出投票において競馬担当記者による投票で186票中164票(得票率86.6パーセント)を獲得し、28頭目の顕彰馬(競馬殿堂入り)に選出された[13]。それを記念してJRA競馬博物館の1階メモリアルホールにおいて「祝 ディープインパクト号殿堂入り記念展」が5月17日より開催され、馬主服の複製や東京優駿とジャパンカップ優勝時に装着した蹄鉄などが展示された[309]

2010年(平成22年)5月2日に京都競馬場で第12競走として開催されるJRAプレミアムレース「京都ゴールデンプレミアム」の人気投票において当馬が最多得票を獲得し、「ディープインパクトメモリアル」の副名称を付与して開催された[310]

競馬雑誌『優駿』(2010年8月号)が同誌の創刊800号を記念して読者・ライター・評論家・編集者の投票により決定した「未来に語り継ぎたい不滅の名馬たち The Greatest Horses 100」のランキングでは、読者部門とライター・評論家・編集者部門でともに第1位に選ばれ、この2つを合計した総合部門では14074ポイントを獲得し第1位となった[311]。なお読者部門では、10代から60代以上のすべての世代で第1位に選ばれている[312]

競走馬時代には、出走したJRA主催の全競走において単勝式馬券で1倍台の1番人気に支持された[34]。その中でもGI競走では、東京優駿・天皇賞(春)・宝塚記念・ジャパンカップで史上最高の単勝支持率、皐月賞・菊花賞・有馬記念(2006年)で史上2位となる単勝支持率を記録した。

各方面への影響

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社会現象となる

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現役競走馬時代、ディープインパクトの存在は社会現象と言われ[67][313]、高い注目を集めた。NHK中継された2006年の凱旋門賞の平均視聴率は関東で16.4パーセント、関西で19.7パーセントを記録し、また瞬間最高視聴率は関東で22.6パーセント、関西で28.5パーセントを記録した[110]

2005年10月23日、三冠達成が懸かった第66回菊花賞では、普段は別番組として放送され、レース映像しか共有しない関西テレビ『ドリーム競馬』とフジテレビ『スーパー競馬』が初めて共同制作の形式を取り、ディープインパクトが特別な存在であることを印象づけた。

そのような高い注目と相まって、競馬専門誌やスポーツ新聞だけでなく一般の新聞・雑誌・テレビ番組などのメディアもその存在を取り上げた。JRAに対する取材の申し込みは例年の10倍に及んだ[314]。三冠達成後の2005年10月29日にはNHKスペシャルで「ディープインパクト〜無敗の3冠馬はこうして生まれた〜」が放送された。なお、同番組は2005年のJRA賞馬事文化賞を受賞した。漫画雑誌でも取り上げられ、ハイセイコーのときと同様にグラビアを飾ったことや(『週刊ヤングサンデー』2006年15号)、凱旋門賞の前に『週刊少年チャンピオン』でディープインパクトの物語が短期集中連載された[注 47]ことがある。競走馬引退後の2007年4月には、サントリーフーズボス」のCMトミー・リー・ジョーンズと共演している[315]。このCMではジョーンズが扮する「宇宙人ジョーンズ」がディープインパクトの鼻面を撫でるシーンが登場し、ディープインパクトに対しては「ディープインパクト(本物)」というテロップがつけられている[316]

現役競走馬時代の2005年と2006年には、その年を代表する存在として扱われることもあった。2005年には新語・流行語大賞の候補語60語にノミネートされた[317]。また、2005年の『日経MJ』のヒット商品番付では「西関脇」に番付された[318]

このような現役競走馬時代の知名度、人気から競走馬引退後もJRAによるプロモーションに活用されている。 2012年(平成24年)にJRAが近代競馬150周年を記念して制作したテレビCM「次の夢へ」(60秒版)では、ディープインパクトの出走シーンがCM内で使用されていた。また、2013年(平成25年)のJRAのテレビCMシリーズ「The LEGEND」では、天皇賞(春)のプロモーションの際に、同競走の歴代優勝馬の一頭としてディープインパクトが登場した。翌2014年(平成26年)の「The GI story」でも、東京優駿のプロモーションにおいて同馬が登場した。

経済的影響

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サッポロ生ビール<黒ラベル>第52回有馬記念缶。2006年第51回優勝馬ディープインパクトのイラスト。

関西大学大学院教授の宮本勝浩は、ディープインパクトが出走したGI競走と出走していない前年の同じGI競走の入場者数や売り上げなどを比較し、その増加分から同馬によってもたらされた経済波及効果を試算し、その結果経済波及効果は262億円と推定された。これは、この年セ・リーグを制した中日ドラゴンズの優勝の経済効果を共立総合研究所(岐阜県)が約200億円、新庄剛志を中心としてパ・リーグを制し、同年の中日との日本シリーズを制して日本一に輝いた北海道日本ハムファイターズの経済効果についても北海道未来総研が約220億円と試算している。宮本は「1頭の馬が70人を超える2つのプロ野球球団のV効果を、ともに上回っているのは驚異的なこと」と述べ、今回の試算では新聞、雑誌、テレビなどの広告宣伝効果は計測しておらず「それらを推定すると、ディープの経済効果はさらに膨大な金額に膨れ上がるでしょう」という[319]

関連商品はよく売れ、同馬の関連商品によって2005年の競馬グッズの売り上げが前年より10パーセント増加したと中央競馬ピーアール・センターの職員は語っている[320]。なお、同センターが販売する競馬グッズの売り上げの3分の1が同馬の関連商品だった[321]。関連「商品」ではないが、単勝馬券を払い戻さずに取っておくファンも多数存在する。同馬が日本国内で出走した全13レースのうちで単勝馬券の未払い率が最高となったのは引退レースである2006年の有馬記念で、同競走の単勝馬券の未払い率は9.1パーセント(通常は0.3パーセント)を記録した。また、13レースの単勝馬券の未払い額は合計で2億8731万6370円となった[322]。単勝馬券がインターネットオークションで取引され、1万円以上の値がつくこともあった[323]

一般企業がディープインパクトとのタイアップ商品を売り出すこともあった。東京都中央区にある銀座松坂屋ではディープインパクトの福袋まで発売された。また菊花賞と宝塚記念のときには京阪電気鉄道乗車カードである「スルッとKANSAI Kカード」でディープインパクトが図案となっているカードが発行された[注 48]。引退後の2007年1月24日には、ディープインパクトの応援歌「翔んでディープインパクト」(歌:和田青児)が発売された[324]。またこの年にサッポロビールは前年の有馬記念優勝を記念した缶ビールを発売した[325]。2015年にはスペインの名窯リヤドロ社が同馬の精巧な陶人形を日本限定で3000体発売した。

交通面への影響

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菊花賞当日のレース終了後、京都競馬場の最寄り駅である京阪本線淀駅ではディープインパクトの三冠達成を見てから帰宅した競馬ファンでプラットホームが混雑し、急行列車の臨時停車や臨時列車を大増発した。それでも捌き切れずにホーム上の安全性確保と混雑緩和の観点から急遽特急列車を4本のみ臨時停車させた[326]

ファンの少年の自殺

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2006年10月11日に福岡中2いじめ自殺事件が発生。その少年が残した遺書に「生まれかわったらディープインパクトの子供で最強になりたい」と記されていたことが報道された。この報道を受け、蹄鉄製造会社の社長がディープインパクトが使用していたものと同型の蹄鉄を遺族に贈呈し、主戦騎手である武豊が色紙を中学生とその遺族に贈ったことが話題になった[327]

対戦した競走馬の故障

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ディープインパクトが勝ったGI競走の2着馬は7頭いるが、うち6頭(シックスセンスインティライミアドマイヤジャパンリンカーンナリタセンチュリードリームパスポート)がそこから1年以内に故障を発症している。これら2着馬の故障続出の事実は現役当時「ディープインパクトの呪い」として週刊誌で取り上げられた[328]。日本国内で唯一ディープインパクトに勝利したハーツクライも、先述の通り、その翌年に喘鳴症を発症し引退に追い込まれている。また、凱旋門賞でディープインパクトを破ったレイルリンクも翌年骨折、さらには腱を痛めて引退している。

唯一、健常な競走馬生活を送ったのはポップロックで、のちにアイルランドにレースの場を移して2010年(9歳)まで現役を続けたが、最後にはレース中に屈腱炎を発症して引退となり、「ディープインパクトの(GI競走)2着馬はGIを勝つことができない」というもう一つのジンクスについても打ち破ることは叶わなかった。

種牡馬成績

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種付料の推移

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種付料(万円) 増減 種付頭数[329]  出産頭数[329]
2007年 1200[330] - 215 152
2008年 1200[331] 0 232 161
2009年 1000[331] 減少 200 171 118
2010年 900[332] 減少 100 219 140
2011年 1000[332] 増加 100 229 151
2012年 1000[332] 0 246 159
2013年 1500[332] 増加 500 262 181
2014年 2000[332] 増加 500 255 176
2015年 2500[332] 増加 500 261 157
2016年 3000[332] 増加 500 243 162
2017年 3000[332] 0 241 144
2018年 4000[332] 増加 1000 197 113
2019年 4000[332] 0 24 7

年度別成績

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総合 (中央+地方) 中央
出走 勝利 順位 AEI 収得賞金 出走 勝利 順位 AEI 収得賞金
頭数 回数 頭数 回数 頭数 回数 頭数 回数
2010年 74 189 35 43 40 1.87 5億4074万3000円 74 187 34 41 35 1.17 5億3704万3000円
2011年 210 960 111 150 4 3.09 24億8904万7500円 206 879 100 135 2 1.95 24億5909万4000円
2012年 317 1664 168 269 1 4.23 50億4532万3000円 296 1389 145 216 1 2.88 50億3164万3000円
2013年 364 1876 171 243 1 3.89 54億0838万2500円 342 1586 152 203 1 2.67 54億6122万5000円
2014年 432 2297 190 280 1 3.86 65億9287万3000円 406 1928 162 232 1 2.74 67億6270万円
2015年 467 2665 202 314 1 3.63 69億0405万9000円 440 2053 161 224 1 2.55 69億701万5000円
2016年 471 2671 186 304 1 3.72 73億2503万4000円 423 1914 158 230 1 2.80 73億7053万1000円
2017年 510 2715 235 346 1 2.70 58億9099万8000円 462 2025 194 251 1 2.02 58億3915万9000円
2018年 520 2668 237 348 1 3.11 67億9865万3000円 475 2063 193 265 1 2.29 67億7704万2000円
2019年 510 2518 241 345 1 3.63 77億0166万2000円 461 1906 199 257 1 2.70 76億8176万8000円
2020年 519 2726 224 341 1 3.67 79億7540万8500円 472 1991 184 257 1 2.72 79億5291万2000円
2021年 506 2599 202 307 1 3.21 68億7672万1500円 150 1838 159 213 1 2.41 68億1080万6000円
2022年 394 2240 154 220 1 2.48 43億1506万3000円 331 1444 115 148 1 1.98 41億9828万8000円
2023年 244 1520 88 128 5 2.80 31億1201万8000円 191 786 57 69 5 2.41 30億1915万9000円

主な産駒

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GI級競走優勝馬

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太字はGI競走、競走名の前の国旗は開催国 (日本以外の場合に明記)、日本国外調教馬の馬名はカタカナ+英字で明記

グレード制重賞優勝馬

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競走名の前の国旗は開催国、日本国外調教馬の馬名はカタカナ+英字で明記

地方重賞優勝馬

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地方競馬限定格付けの重賞勝利馬。

母の父としての産駒

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太字はGI競走、競走名の前の国旗は開催国 (日本以外の場合に明記)、日本国外調教馬の馬名はカタカナ+英字で明記

弥生賞ディープインパクト記念

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ディープインパクトの死去を受けて、同馬の競走馬時代と種牡馬時代の活躍を称えるため、JRAは例年3月に行う「報知杯弥生賞」を2020年から「報知杯弥生賞ディープインパクト記念」と改称することを決めた[368][注 51]。弥生賞は、重賞初制覇の舞台であり、その後は無敗で三冠馬を達成したため「この一戦こそがディープの冠を付すにふさわしい」と決まったという[368]。サラブレッド競走馬の名前を冠したJRA重賞の誕生は、52年ぶりで、セントライト記念(1947年採用)、シンザン記念(1967年採用)とともに3競走目となった[368][注 52]

「弥生賞ディープインパクト記念」の名称で初めて行われた2020年は、武豊がディープインパクトを父に持つサトノフラッグに騎乗し勝利を挙げた[370]

血統

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血統背景

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父・サンデーサイレンス 母・ウインドインハーヘア
父・サンデーサイレンス
母・ウインドインハーヘア

父サンデーサイレンスはケンタッキーダービーブリーダーズカップ・クラシックを制した競走馬。13年連続で日本のリーディングサイアーに輝き、GI馬を多数輩出するなど、日本競馬史上に残る種牡馬である。

ウインドインハーヘアは競走馬時代にドイツG1のアラルポカルに優勝し、エプソムオークスでも2着に入る活躍をした[371]

半姉に、5歳の6月という遅いデビューながらデビューから無傷の5連勝をし、2003年のスプリンターズステークスで4着に入ったレディブロンド(父Seeking the Gold、6戦5勝)[372]、全兄に2004年のスプリングステークスを制したブラックタイド[373]、全弟に2005年の東京スポーツ杯2歳ステークス3着のオンファイア[374]、半弟に2006年のホープフルステークスを制したニュービギニング(父アグネスタキオン[375]がいる。また、レディブロンドの子に帝王賞を制したゴルトブリッツ、孫に東京優駿や天皇賞(秋)に優勝したレイデオロがいる[376]。そのほかでは半妹ランズエッジの孫にホープフルステークス勝ち馬のレガレイラ桜花賞勝ち馬のステレンボッシュ菊花賞セントライト記念勝ち馬のアーバンシックがいる。

曾祖母ハイクレア (Highclere) はエリザベス2世が所有し、1000ギニーディアヌ賞(フランスオークス)を勝ちキングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークスで2着に入った名牝だった[377]。このハイクレアの一族には1989年エプソムダービーなどを制したナシュワン (Nashwan) [378]、2002年のドバイシーマクラシックなどに勝ったネイエフ (Nayef)[379] がいるほか、種牡馬として日本に輸入されたミルフォード[380]、2003年のNHKマイルカップなどを制したウインクリューガー[381]、2006年のマーメイドステークスを制したソリッドプラチナム[382]といった日本で活躍した競走馬もいる(そのほか近親の活躍馬はハイクレア一族の項目を参照)。

血統表

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ディープインパクト血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 ダーレーアラビアン系 -(中略) - ヘイロー系 - サンデーサイレンス系
[§ 2]

*サンデーサイレンス
Sunday Silence
1986 青鹿毛
アメリカ
父の父
Halo
1969 黒鹿毛
アメリカ
Hail to Reason
1958
Turn-to
Nothirdchance
Cosmah
1953
Cosmic Bomb
Almahmoud
父の母
Wishing Well
1975 鹿毛
アメリカ
Understanding
1963
Promised Land
Pretty Ways
Mountain Flower
1964
Montparnasse
Edelweiss

*ウインドインハーヘア
Wind in Her Hair
1991 鹿毛
アイルランド
Alzao
1980 鹿毛
アメリカ
Lyphard
1969
Northern Dancer
Goofed
Lady Rebecca
1971
Sir Ivor
Pocahontas
母の母
Burghclere
1977 鹿毛
イギリス
Busted
1963
Crepello
Sans Le Sou
Highclere
1971
Queen's Hussar
Highlight
母系(F-No.) 2号族(FN:2-f) [§ 3]
5代内の近親交配 5代内アウトブリード [§ 4]
出典
  1. ^ [383][384]
  2. ^ 『エンターブレインムック 馬券に活かす!系統別血統ガイド』エンターブレイン,2010,ISBN 978-4-04-726979-8,p4,p23,p62,
  3. ^ [383]
  4. ^ [383]


脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ アメリカ三冠ではギャラントフォックスオマハの父子が三冠を達成しているが、どちらもデビュー戦にて敗戦している。
  2. ^ 父サンデーサイレンスも1986年(昭和61年)の同じ日に生まれている。
  3. ^ 吉田勝己によると、金子以外に本馬の落札希望者はおらず、金子の「ひと声」で落札されたという[21][22]
  4. ^ トップはダンシングキイの2002(のちのトーセンダンス)の3億5000万円[20]
  5. ^ 他の2勝は1993年のナリタタイシン、2000年のエアシャカールでの勝利。最多勝記録は2015年にミルコ・デムーロドゥラメンテで4勝目を挙げて更新した[46][47]
  6. ^ 前年比106.2%[46][47]
  7. ^ 2011年・2012年にはサンデーレーシングがクラブ法人の馬主として初となる東京優駿連覇を達成している(2011年オルフェーヴル、2012年ディープブリランテ[56]
  8. ^ その理由として武豊は、苦境に立たされそうな場面で必ず自分やファンを救い、さらに売り上げの増加という点で競馬界も救ってくれたからだと述べている[59]
  9. ^ 武は長距離戦の道中のように馬銜を長手綱にして折り合いをつけていた[64]
  10. ^ 菊花賞優勝馬としては1943年(昭和18年)のクリフジの75.0パーセントを超える史上最高支持率となった[69][70]
  11. ^ このため、2番人気の馬であったシックスセンスの単勝オッズが2番人気馬としては極めて異例である20倍を超えたオッズが付くこととなった(20.7倍)。2番人気の馬が20倍を超えるオッズとなるのは世界的に見ても極めて少ない事例である。
  12. ^ 2011年のチューリップ賞レーヴディソールが単勝支持率81.4パーセントを記録し、これを更新した[71]
  13. ^ 無敗での菊花賞優勝は1939年のクリフジ、シンボリルドルフに続いて史上3頭目[69][70]
  14. ^ 武豊はこのロングスパートを、ほかの馬が動かなかったために行ったとしている[88]
  15. ^ 「超長距離部門(Extended)」は2701メートル以上の距離をさす。
  16. ^ キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークスでなく凱旋門賞が選ばれたことについて調教師の池江は、前者が行われるアスコット競馬場よりも後者が行われるロンシャン競馬場の方が平坦なコースであることから後者を選んだと述べている[94]
  17. ^ 宝塚記念は例年阪神競馬場で施行されるが、この年は阪神競馬場が芝コースの外回りの新設工事中だったため京都競馬場で代替開催となった。
  18. ^ ハイセイコーは地方競馬時代の6戦も含めると17戦連続[97][98]
  19. ^ 京都競馬場GⅠ3勝はメジロマックイーンライスシャワーメジロドーベルに次いで史上4頭目、かつ2024年現在も歴代最多タイ
  20. ^ 「長距離部門(Long)」は2101-2700メートル。
  21. ^ 理由として池江は、1997年にサクラローレルのフランス遠征にて滞在を受け入れていたこと。厩舎から森の中にある調教場までに道路を横断しなくて済む立地であることとしている。[102]
  22. ^ ハリケーンランシロッコが同率[104]
  23. ^ 所属する栗東トレーニングセンターから近い関西国際空港ではなく、成田国際空港を使用したのは、航空便の数が多くトラブルへの対応が容易であったからであった[102]。2004年の凱旋門賞に出走したタップダンスシチーが、予定の便が欠航するなどスケジュールを大幅に変更せざるを得ない状態だった反省である[102]
  24. ^ レイルリンク、ハリケーンラン、シロッコの3頭。
  25. ^ 池江泰郎は、朝の調教の後、金子に報告の電話を行う際に、金子から年内の引退が伝えられた。[117]
  26. ^ 池江泰郎は、回避と禁止薬物検出は関係ないとしている。[117]
  27. ^ のちにウオッカキタサンブラックも達成。
  28. ^ 2017年にキタサンブラックが1位となったため3位に後退[126][127]
  29. ^ 2001年の同レースをマンハッタンカフェが優勝。翌2007年はマツリダゴッホが同レースを優勝したため、単独最多の5勝を達成した[126][127]
  30. ^ 2002年・2003年のシンボリクリスエス以来の2頭目。啓衆社賞・優駿賞時代も含めると5頭目。
  31. ^ この馬はオースミが購買[142]。ナリタカサブランカと名付けられ栗東の沖芳夫厩舎に入厩した[143]
  32. ^ 後にこの馬はトーセンレーヴの名が付けられている[145]
  33. ^ 産駒がデビューして2年目でのJRA年間100勝の達成は1995年(平成7年)のサンデーサイレンス、2008年(平成20年)のシンボリクリスエス、2009年(平成21年)のキングカメハメハ以来のことだった。
  34. ^ 桜花賞での同一種牡馬の産駒による3連覇は史上初であり[163]、同一クラシック競走における3連覇は2003年(平成15年)から2005年(平成17年)にかけて産駒が皐月賞を制したサンデーサイレンス以来6度目である[162]
  35. ^ この勝利によって、ディープインパクトの主戦騎手を務めた武豊がG1通算100勝(中央、地方、国外合わせて)を達成した[167]
  36. ^ 産駒の同一クラシック競走4連覇はパーソロンが優駿牝馬4連覇(1971年カネヒムロ、1972年タケフブキ、1973年ナスノチグサ、1974年トウコウエルザ)を達成して以来となる[172]
  37. ^ この勝利によって、産駒による東京競馬場で施行される芝GIレースの完全制覇を達成。
  38. ^ この勝利によって、産駒によるJRAの牝馬限定GI完全制覇を達成[175]
  39. ^ 内国産種牡馬の最高記録でもある。
  40. ^ サンデーサイレンス(311勝)、ヒンドスタン(113勝)、ディープインパクト
  41. ^ 武は、この勝利で最年長菊花賞優勝騎手となったと同時に、「昭和」「平成」「令和」と3つの元号で勝利した[207]
  42. ^ 1977年のトサミドリ以来
  43. ^ 2006年の有馬記念での最重量馬である13着のウインジェネラーレとは118キログラム(556kg)の差があった[253]
  44. ^ 同じ三冠馬のミスターシービーにもそのような特徴があったといわれている(同馬の記事を参照)。
  45. ^ ディープインパクトにはスタートの拙劣さや気性面に問題があると指摘している。
  46. ^ 自身が現役引退後に出演したTBSテレビジョブチューン(2016年1月23日放送分)」においても当内容と同様の発言をしている。
  47. ^ 作者は以前同誌で競馬漫画『優駿の門』を連載していたやまさき拓味で、『優駿の門 特別篇』として掲載された。のちに単行本化され、少年チャンピオン・コミックスから発売された。
  48. ^ 図柄となった写真はスポーツ報知の協力であった。カードには菊花賞時は「夢舞台、淀へ」、宝塚記念時は「淀から凱旋門賞へ」と記載されていた。
  49. ^ 2016年にJRAからオーストラリアへ移籍。G1初勝利はオーストラリア移籍後のため、日本国外調教馬として扱う[197]
  50. ^ 2018年に香港へ移籍し、それに伴いStimulationと改名した[348]
  51. ^ 2020年度の開催日程全体の正式発表は2019年10月21日だったが[369]、それに先立って弥生賞の改称の件は10月上旬から報じられていた[368]
  52. ^ このほか、現存の競走のうち、副称としては共同通信杯トキノミノル記念)がある。既に現存しない競走としては、カブトヤマ記念(1947年 - 2003年)やクモハタ記念(1951年 - 1980年)がある。サラブレッド以外の競走馬では、アングロアラブ競走馬の名馬の名をとったタマツバキ記念セイユウ記念シュンエイ記念があったが、いずれも廃止されている[368]。JRA以外の日本国内の競走では、オグリキャップ記念などがある[368]

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f ディープインパクト”. JBISサーチ. 日本軽種馬協会. 2021年6月22日閲覧。
  2. ^ ディープインパクト、25日付けで競走馬登録を抹消”. ラジオNIKKEI. 2022年4月23日閲覧。
  3. ^ a b 21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト、73頁。
  4. ^ a b 追悼ディープインパクト、87頁。
  5. ^ 国際競馬統括機関連盟 (IFHA) 2005年12月31日付 The World Thouroughbred Racehorse Rankings 2016年10月10日閲覧。
  6. ^ a b c 国際競馬統括機関連盟 (IFHA) 2006年12月31日付 The World Thouroughbred Racehorse Rankings 2016年4月2日閲覧。
  7. ^ a b 国際競馬統括機関連盟(IFHA) The IFHA WORLD THOROUGHBRED RACEHORSE RANKINGS for 2006 2016年4月2日閲覧。
  8. ^ 種牡馬情報:種牡馬成績 |ディープインパクト”. JBISサーチ. 日本軽種馬協会. 2020年1月1日閲覧。
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  • 『さようならディープインパクト ありがとうターフを去ったHero&Heroine'06』産業経済新聞社〈Gallop臨時増刊〉、2007年。 
  • 『優駿』2015年1月号、中央競馬ピーアール・センター。 
  • 『21世紀の名馬Vol.5 ディープインパクト』産業経済新聞社〈Gallop臨時増刊〉、2018年。 
  • 『追悼ディープインパクト』産業経済新聞社〈Gallop 21世紀の名馬臨時増刊〉、2019年。 
  • 『優駿』2019年9月号、中央競馬ピーアール・センター。 
  • 『優駿』2020年2月号、中央競馬ピーアール・センター。 
  • 『優駿』2020年10月号、中央競馬ピーアール・センター。 

外部リンク

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