アレスバローズ
アレスバローズ | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2018年CBC賞 | |||||||||
欧字表記 | Ares Barows[1] | ||||||||
品種 | サラブレッド | ||||||||
性別 | 牡 | ||||||||
毛色 | 黒鹿毛 | ||||||||
生誕 | 2012年5月14日(12歳) | ||||||||
登録日 | 2014年10月16日[2] | ||||||||
抹消日 | 2019年10月29日[2] | ||||||||
父 | ディープインパクト | ||||||||
母 | タイセイエトワール | ||||||||
母の父 | トニービン | ||||||||
生国 | 日本(北海道日高町) | ||||||||
生産者 | ヤナガワ牧場 | ||||||||
馬主 | 猪熊広次 | ||||||||
調教師 | 角田晃一(栗東) | ||||||||
競走成績 | |||||||||
生涯成績 | 34戦7勝 | ||||||||
獲得賞金 | 2億259万1000円 | ||||||||
|
アレスバローズ(英: Ares Barows[1])は、日本の競走馬。主な勝ち鞍は2018年のCBC賞(GIII)、北九州記念(GIII)。馬名の意味は「戦を司る神+冠名」[3]。
戦績
[編集]2012年5月14日、北海道日高町のヤナガワ牧場で誕生[1]。離乳後は後にGIを7勝する名馬キタサンブラックと同じ放牧地で育ったが、当歳時はキタサンブラックよりもアレスバローズの方が馬体、身のこなしが目立っており、評価は高かった[4]。ヤナガワ牧場代表の梁川正普も「この馬はモノが違う」と感じていたという[5]。
栗東・角田晃一厩舎に入厩し、2014年12月6日の新馬戦でデビューし、後に若葉ステークスを勝つアダムスブリッジの2着となる。2戦目は8着と大敗したが、距離を2000mから1600mに短縮した3戦目で一変して初勝利を挙げる。その後はしばらく勝利に恵まれなかったが、4歳4月の500万下条件戦で1年ぶりの勝利を挙げ、次戦の大日岳特別(1000万下)も制して連勝。以後、一貫してスプリント戦に出走を続ける。2017年12月の南総ステークス(1600万下)で1着となり、5歳暮れにして待望のオープン入りを果たした[6]。
2度目の重賞挑戦となった2018年のCBC賞では川田将雅と初コンビを組み、4番人気に推された。ゲートが開くと好スタートを切めて中団を進み、直線で鋭く抜け出して1分7秒0のレースレコードで優勝。6歳にして初の重賞制覇を果たした[5][7]。続く北九州記念では菱田裕二に乗り替わり、斤量が2キロ増えたこともあって6番人気に留まったが、直線で馬群を割って抜け出して2着ダイメイプリンセスに1馬身半差の完勝を収める。勝ち時計1分6秒6はアグネスワールドの日本レコードと0秒1と差のレースレコードで、CBC賞に続くの重賞連勝を達成した。鞍上の菱田は通算93戦目でのJRA重賞初勝利となった[4][8]。この重賞連勝により、2018年のサマースプリントシリーズの得点を計20ポイントとし、シリーズ王者の座を手にした[9]。6歳夏での才能開花について、管理する角田晃一は「以前はイレ込みとかがひどかったが、精神的に落ち着いてきました」と述べている[7]。
初のGI挑戦となったスプリンターズステークスでは直線で早々と失速して14着に大敗。鞍上の藤岡佑介は「直前の雨が痛かった」と馬場悪化を敗因に挙げた[10]。続く京阪杯でもうまく脚を溜められずに10着に沈んだ[11]、
7歳を迎えたシルクロードステークスでは17番枠と斤量57.5キロの条件ながら5着に入り、鞍上の川田も「これが次につながれば」とコメントした[12]。しかし、高松宮記念では3角で不利を受け、9着に終わる。騎乗した川田は「あれじゃ競馬になりません。かわいそうでした」とコメントした[13]。連覇を狙って出走したCBC賞は不良馬場の中、直線で最内を突いて伸び、勝ち馬レッドアンシェルからクビ差の2着と好走した[14]。北九州記念では1年ぶりに菱田が鞍上に復帰したが、ゲートを出て一歩目に躓いたことが響き、6着に終わった[15]。2年連続出走のスプリンターズステークスではスタートしてからの行きっぷりが悪く、10着に終わる[16]。そして、2019年10月29日付けでJRA競走馬登録を抹消し現役を引退した。引退後は北海道新冠町の優駿スタリオンステーションで種牡馬となった[17]。2021年より熊本の本田土寿牧場で繋養されている[18]。
競走成績
[編集]以下の内容はnetkeiba.comの情報[6]に基づく。
競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 距離(馬場) | 頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ (人気) |
着順 | タイム (上がり3F) |
着差 | 騎手 | 斤量 [kg] |
1着馬(2着馬) | 馬体重 [kg] |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2014.12. 6 | 阪神 | 2歳新馬 | 芝2000m(良) | 8 | 8 | 8 | 5.4 (4人) | 2着 | 2:07.0(34.2) | 0.1 | 浜中俊 | 55 | アダムスブリッジ | 478 | |
2015. 1. 5 | 京都 | 3歳未勝利 | 芝2000m(良) | 16 | 6 | 11 | 8.5 (5人) | 8着 | 2:01.9(35.1) | 0.8 | 菱田裕二 | 56 | サトノラーゼン | 470 | |
4.12 | 阪神 | 3歳未勝利 | 芝1600m(稍) | 18 | 6 | 11 | 3.4 (1人) | 1着 | 1:36.7(34.9) | -0.0 | 浜中俊 | 56 | (サンクボヌール) | 472 | |
10.17 | 新潟 | 松浜特別 | 500万下 | 芝1600m(良) | 18 | 7 | 14 | 6.2 (2人) | 5着 | 1:34.4(33.3) | 0.4 | 吉田隼人 | 55 | オンタケハート | 488 |
11. 1 | 京都 | 3歳上500万下 | 芝1600m(良) | 18 | 3 | 5 | 7.6 (4人) | 16着 | 1.35.3(35.8) | 1.2 | 鮫島良太 | 55 | ネオスターダム | 486 | |
2016. 1.16 | 中京 | 庄内川特別 | 500万下 | 芝1400m(良) | 18 | 6 | 12 | 8.6 (5人) | 3着 | 1:21.1(34.2) | 0.1 | 吉田隼人 | 55 | ダノンブライト | 494 |
2.27 | 小倉 | 合馬特別 | 500万下 | 芝1200m(稍) | 18 | 2 | 4 | 3.6 (1人) | 5着 | 1:08.5(35.6) | 0.3 | 吉田隼人 | 57 | リッパーザウィン | 492 |
3.27 | 中京 | 4歳上500万下 | 芝1200m(良) | 18 | 7 | 14 | 6.4 (3人) | 2着 | 1:07.5(33.4) | 0.2 | C.ルメール | 57 | ロイヤルストリート | 488 | |
4.23 | 福島 | 4歳上500万下 | 芝1200m(良) | 16 | 2 | 3 | 2.8 (1人) | 1着 | 1:08.5(34.3) | -0.3 | 藤岡佑介 | 57 | (アズマクィーン) | 484 | |
5.21 | 新潟 | 大日岳特別 | 1000万下 | 芝1200m(良) | 16 | 8 | 15 | 3.3 (1人) | 1着 | 1:09.0(33.8) | -0.3 | 菱田裕二 | 57 | (ツクバジャパン) | 484 |
6.26 | 阪神 | 皆生特別 | 1000万下 | 芝1200m(稍) | 16 | 4 | 7 | 3.8 (1人) | 2着 | 1:09.7(35.2) | 0.2 | 浜中俊 | 57 | キーナンバー | 480 |
8.14 | 小倉 | 西部日刊スポーツ杯 | 1000万下 | 芝1200m(良) | 18 | 8 | 18 | 5.1 (3人) | 3着 | 1:08.6(34.2) | 0.2 | 浜中俊 | 57 | レーヴムーン | 486 |
9. 4 | 新潟 | 飯豊特別 | 1000万下 | 芝1200m(良) | 13 | 3 | 3 | 2.4 (1人) | 7着 | 1:08.8(34.6) | 0.7 | M.デムーロ | 57 | ダイワダッチェス | 484 |
11. 5 | 福島 | 河北新報杯 | 1000万下 | 芝1200m(良) | 15 | 5 | 10 | 4.9 (2人) | 3着 | 1:08.2(34.1) | 0.0 | 菱田裕二 | 57 | キングハート | 488 |
12. 4 | 阪神 | 3歳上1000万下 | 芝1200m(稍) | 16 | 3 | 6 | 3.9 (1人) | 7着 | 1:10.7(35.8) | 0.9 | 秋山真一郎 | 57 | サザンライツ | 490 | |
2017. 2.13 | 小倉 | 帆柱山特別 | 1000万下 | 芝1200m(良) | 12 | 8 | 12 | 3.4 (2人) | 1着 | 1:08.5(34.2) | -0.2 | 菱田裕二 | 57 | (シゲルノコギリザメ) | 496 |
4. 2 | 中山 | 船橋市80周年記念 | 1600万下 | 芝1200m(良) | 16 | 8 | 15 | 13.7 (7人) | 6着 | 1:09.1(34.3) | 0.2 | 菱田裕二 | 57 | アルティマブラッド | 486 |
5. 6 | 新潟 | 駿風S | 1600万下 | 芝1000m(重) | 16 | 8 | 16 | 5.2 (3人) | 3着 | 0:56.7(34.1) | 0.3 | 菱田裕二 | 57 | プレイズエターナル | 496 |
7. 1 | 福島 | テレビユー福島賞 | 1600万下 | 芝1200m(良) | 16 | 5 | 10 | 8.2 (2人) | 2着 | 1:07.7(34.1) | 0.1 | 菱田裕二 | 57 | ワンスインナムーン | 458 |
7.30 | 小倉 | 佐世保S | 1600万下 | 芝1200m(良) | 16 | 6 | 12 | 6.5 (4人) | 5着 | 1:07.9(33.7) | 0.2 | 菱田裕二 | 57 | ダイアナヘイロー | 492 |
11. 4 | 福島 | みちのくS | 1600万下 | 芝1200m(良) | 16 | 4 | 8 | 2.7 (1人) | 10着 | 1:09.4(35.5) | 0.4 | 菱田裕二 | 57 | ユキノアイオロス | 492 |
12.17 | 中山 | 南総S | 1600万下 | 芝1200m(良) | 16 | 6 | 11 | 2.3 (1人) | 1着 | 1:08.4(34.4) | -0.2 | M.デムーロ | 56 | (ロードセレリティ) | 490 |
2018. 1.28 | 京都 | シルクロードS | GIII | 芝1200m(良) | 18 | 1 | 2 | 4.9 (2人) | 11着 | 1:09.1(34.2) | 0.8 | M.デムーロ | 54 | ファインニードル | 504 |
4. 8 | 中山 | 春雷S | OP | 芝1200m(良) | 16 | 1 | 2 | 12.1 (5人) | 4着 | 1:07.7(33.4) | 0.3 | 津村明秀 | 54 | ペイシャフェリシタ | 494 |
5. 6 | 京都 | 鞍馬S | OP | 芝1200m(良) | 15 | 4 | 7 | 8.2 (4人) | 5着 | 1:08.3(32.4) | 0.3 | 四位洋文 | 56 | ティーハーフ | 492 |
7. 1 | 中京 | CBC賞 | GIII | 芝1200m(良) | 18 | 4 | 8 | 9.1 (4人) | 1着 | 1:07.0(33.2) | -0.2 | 川田将雅 | 54 | (ナガラフラワー) | 490 |
8.19 | 小倉 | 北九州記念 | GIII | 芝1200m(良) | 17 | 3 | 5 | 8.7 (6人) | 1着 | 1:06.6(33.5) | -0.2 | 菱田裕二 | 56 | (ダイメイプリンセス) | 490 |
9.30 | 中山 | スプリンターズS | GI | 芝1200m(稍) | 16 | 3 | 5 | 13.5 (6人) | 14着 | 1:09.5(35.8) | 1.2 | 藤岡佑介 | 57 | ファインニードル | 492 |
11.25 | 京都 | 京阪杯 | GIII | 芝1200m(良) | 18 | 2 | 4 | 6.5 (3人) | 10着 | 1:08.7(34.2) | 0.7 | 藤岡佑介 | 57 | ダノンスマッシュ | 496 |
2019. 1.27 | 京都 | シルクロードS | GIII | 芝1200m(良) | 18 | 8 | 17 | 37.1(10人) | 5着 | 1:08.7(34.3) | 0.4 | 川田将雅 | 57.5 | ダノンスマッシュ | 504 |
3.24 | 中京 | 高松宮記念 | GI | 芝1200m(良) | 18 | 3 | 6 | 14.2 (7人) | 9着 | 1:08.0(34.2) | 0.7 | 川田将雅 | 57 | ミスターメロディ | 500 |
6.30 | 中京 | CBC賞 | GIII | 芝1200m(不) | 13 | 4 | 4 | 11.6 (7人) | 2着 | 1:09.8(34.4) | 0.0 | 川田将雅 | 57.5 | レッドアンシェル | 496 |
8.18 | 小倉 | 北九州記念 | GIII | 芝1200m(良) | 18 | 2 | 3 | 11.5 (6人) | 6着 | 1:08.6(34.4) | 0.4 | 菱田裕二 | 57.5 | ダイメイプリンセス | 492 |
9.29 | 中山 | スプリンターズS | GI | 芝1200m(良) | 16 | 1 | 1 | 55.0(11人) | 10着 | 1:08.0(33.9) | 0.9 | 菱田裕二 | 57 | タワーオブロンドン | 484 |
血統表
[編集]アレスバローズの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | サンデーサイレンス系 |
[§ 2] | ||
父 ディープインパクト 2002 鹿毛 |
父の父 *サンデーサイレンスSunday Silence 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason | |
Cosmah | ||||
Wishing Well | Understanding | |||
Mountain Flower | ||||
父の母 *ウインドインハーヘアWind in Her Hair 1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | ||
Lady Rebecca | ||||
Burghclere | Busted | |||
Highclere | ||||
母 タイセイエトワール 2000 鹿毛 |
*トニービン Tony Bin 1983 鹿毛 |
*カンパラ | Kalamoun | |
State Pension | ||||
Severn Bridge | Hornbeam | |||
Priddy Fair | ||||
母の母 エンスラーリング1996 鹿毛 |
*ヘクタープロテクター | Woodman | ||
Korveya | ||||
*エンスラーリングレイディ | El Gran Senor | |||
Enthraller | ||||
母系(F-No.) | (FN:17-b) | [§ 3] | ||
5代内の近親交配 | Northern Dancer5×5=6.25%、Goofed5×5=6.25% | [§ 4] | ||
出典 |
- 母タイセイエトワールは現役時代に中央で4勝[21]。
- 4代母エンスラーは名種牡馬リファールの半妹で、その娘エンスラーリングレイディは1992年にヤナガワ牧場に輸入された。本馬の祖母エンスラーリングはエンスラーリングレイディが唯一残した後継牝馬である[4]。
- そのほかの近親はグーフド#主なファミリーラインを参照。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c アレスバローズ JBISサーチ
- ^ a b 競走馬情報:アレスバローズ 2020年1月3日閲覧
- ^ 競走馬登録馬名簿・馬名意味. JRA. 2018年9月22日閲覧
- ^ a b c 2018年08月19日 北九州記念 G3. 競走馬のふるさと案内所. 2018年9月26日閲覧
- ^ a b 2018年07月01日 CBC賞 G3. 競走馬のふるさと案内所. 2018年9月26日閲覧
- ^ a b “アレスバローズ”. netkeiba.com. 株式会社ネットドリーマーズ. 2018年9月26日閲覧。
- ^ a b 【CBC賞】アレスバローズ、レースレコードで決めた!目指すは夏の短距離王. デイリースポーツ(2018年7月2日付). 2018年9月26日閲覧
- ^ 【北九州記念】アレスバローズ、レースレコードで重賞連勝!菱田騎手はうれしい初タイトル. スポーツ報知(2018年8月19日付). 2018年9月26日閲覧
- ^ 【JRA】夏王者アレスバローズ、スプリンターズSの鞍上は藤岡佑介騎手に. netkeiba.com(2018年9月22日付). 2018年9月26日閲覧
- ^ 【スプリンターズS】アレスバローズは14着 藤岡佑「直前の雨が痛かった」. サンケイスポーツ(2018年9月30日付). 2018年10月2日閲覧
- ^ 【京阪杯】3番人気アレスバローズは10着に沈む. スポーツ報知(2018年11月25日付). 2019年1月6日閲覧
- ^ 【シルクロードS】ハンデ57・5キロ、17番枠のアレスバローズは5着. スポーツ報知(2019年1月27日付). 2019年1月27日閲覧
- ^ “【高松宮記念】アレスバローズ不利に泣き9着 川田連覇ならず「あれじゃ競馬になりません」”. サンケイスポーツ (2019年3月24日). 2019年9月28日閲覧。
- ^ “【CBC賞】アレスバローズは悔しい首差2着 川田「着差が着差だけに…」”. スポーツ報知 (2019年6月30日). 2019年9月28日閲覧。
- ^ “【北九州記念】昨年覇者アレスバローズは6着 菱田「ゲートを出て一歩目でつまずいて…」”. スポーツ報知 (2019年8月18日). 2019年9月28日閲覧。
- ^ スポーツ報知 (2019年9月29日). “【スプリンターズS】G1馬セイウンコウセイは12着どまり 幸「力を出し切れなかった」”. 2019年9月29日閲覧。
- ^ “アレスバローズ号が競走馬登録抹消”. 日本中央競馬会 (2019年10月30日). 2019年10月31日閲覧。
- ^ “アレスバローズが九州・熊本へ移動”. 競馬ブックweb. ケイバブック (2020年8月26日). 2021年8月14日閲覧。
- ^ a b c 血統情報:5代血統表|アレスバローズ JBISサーチ.2018年9月26日閲覧
- ^ “アレスバローズの種牡馬情報”. 競馬ラボ. 2020年7月3日閲覧。
- ^ タイセイエトワールの血統表 | 競走馬データ. netkeiba.com. 2018年9月26日閲覧