ウクライナ国家親衛隊
ウクライナ国家親衛隊 Національна гвардія України | |
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ウクライナ国家親衛隊記章 | |
創設 |
1991年11月4日 - 2000年1月11日 2014年3月13日[1] |
国籍 | ウクライナ |
兵力 | 46,000人[2] |
上級部隊 | ウクライナ内務省 |
モットー | "Честь. Мужність. Закон."(名誉、勇気、規律) |
主な戦歴 |
ウクライナ紛争 (2014年-) ドンバス戦争 ロシアのウクライナ侵攻 |
指揮 | |
現司令官 | オレクサンドル・ピブネンコ中将 |
識別 | |
国家親衛隊旗 | |
旧国家親衛隊旗 | |
小エンブレム (車両等に描かれる) | |
バッジ | |
腕章 | |
帽章 | |
ウクライナ国家親衛隊(ウクライナこっかしんえいたい、ウクライナ語: Національна гвардія України、Natsionalna hvardiya Ukrayiny、略称NGU)は、ウクライナ内務省に属する国内軍組織。
歴史
[編集]1991年~2000年
[編集]ウクライナ国家親衛隊は、1991年のソビエト連邦崩壊に伴い、1991年11月4日付でウクライナ国内に駐屯するソ連国内軍部隊の一部を基にして編成された(同時期にウクライナ国内軍も、同じく旧ソ連国内軍部隊を基に編成された)。
ウクライナ国家親衛隊は、1992年に発生した沿ドニエストル紛争において、ウクライナとモルドバ(および沿ドニエストル共和国)の国境付近に展開し、ウクライナへの同紛争の飛び火に備えた。
また、1992年から1994年にかけて、クリミア州議会がウクライナからの独立を宣言したことに伴うクリミア危機においても、ウクライナ国家親衛隊はウクライナ国内軍と共にクリミア共和国の独立運動けん制に出動した[注 1]
1999年レオニード・クチマ大統領の政権下において、予算削減を主な理由として国家親衛隊の解散が決定された。正式には翌2000年1月11日付で解体され、配下の部隊は主にウクライナ国内軍(一部の部隊はウクライナ陸軍)に移管された。
2014年以降
[編集]2014年2月のウクライナ騒乱後、3月13日に最高議会において国家親衛隊法が成立し、ウクライナ国内軍を改編して創設された[1]。首都キーウ(キエフ)に司令部を置く。国民の生命と財産の保護、治安維持、対テロ、重要施設防護等を主な任務とし、ウクライナ軍と協力しての軍事作戦による武力侵略の撃退、領土防衛等も実施する[3]。
組織
[編集]ウクライナ国家親衛隊は、西部、北部、中部、東部、南部およびクリミアの6個作戦地域管区と国家親衛隊司令部直属部隊で構成される。なお、クリミア作戦地域司令部は管轄地域(クリミア自治共和国並びにセヴァストポリ)がクリミア併合によってロシアの実効支配下に置かれているため、書類上の編成となっている。
国家親衛隊司令部直轄部隊
[編集]- 国家親衛隊司令部(キーウ)
- 独立国家親衛隊司令部警護・支援大隊(キーウ)
- 第4即応旅団(ホストメリ)
- 第16独立砲兵旅団(ドニプロ)
- 国家親衛隊航空基地(オレクサンドリーヤ)
- 第1飛行隊 - Mi-8T/MT/MSB
- 第2飛行隊 - Mi-8T/MT/MSB、Mi-2MSB
- 第3飛行隊(ジュリャーヌィ空軍基地) - An-26、An-72V/P、An-74
- 無人機飛行隊 - フライアイ、RQ-11B、フューリー、KS-1
- オメガ対テロ特殊部隊(ノヴィ・ペトリフツィ)
- 共同通信センター(ノヴィ・ペトリフツィ)
- 独立特務無人航空機部隊タイフーン(キーウ)
重要産業・在外公館警備部隊
[編集]- 第22独立旅団(キーウ、ウクライナ国内に駐在する在外公館等の警備を担当)
- 第1大隊
- 第2大隊
- 第3大隊
- 第1国家重要施設防護連隊(ドニプロ。ユージュマシュ、ドニプロペトロウシク機械製作工場等の警備を担当)
- 第1小銃大隊
- 第2小銃大隊
- 第4小銃大隊
- 第2国家重要施設防護連隊(ショストカ)
- 第1歩兵大隊
- 第2歩兵大隊
- 第3歩兵大隊
- 砲兵大隊
- 高射ミサイル大隊
- 第4国家重要施設防護連隊(パウロフラード。パウロフラード化学工場、パウロフラード機械工場、ハルキウ物理技術研究所等の警備を担当)
- 第1小銃大隊
- 第2小銃大隊
- 第3小銃大隊
原子力関連施設警備部隊
[編集]- 第1独立原子力発電所防護大隊(スラブチッチ、チェルノブイリ原子力発電所およびチェルノブイリ立入禁止区域の警備を担当)
- 第2独立原子力発電所防護大隊(エネルホダル、ザポリージャ原子力発電所の警備を担当)
- 第3独立原子力発電所防護大隊(ネティシン、フメリニツキー原子力発電所の警備を担当)
- 第4独立原子力発電所防護大隊(ユズノウクラインスク、南ウクライナ原子力発電所の警備を担当)
- 第5独立原子力発電所防護大隊(バラシュ、リウネ原子力発電所の警備を担当)
- スコーピオン特殊部隊分遣隊(キーウ、上記5か所の原子力発電所のほか、原子炉を有する研究施設や、核燃料・放射性物資の輸送時の防護を担当)
西部作戦地域司令部
[編集]北部作戦地域司令部
[編集]- 北部作戦地域司令部(キーウ)
中部作戦地域司令部
[編集]- 中部作戦地域司令部(ドニプロ)
- 第21独立治安防護旅団(クルィヴィーイ・リーフ)
- 第31旅団(ドニプロ)
- 第17旅団(ポルタヴァ)
- 第14独立大隊(ドニプロ)
- 第26独立大隊(クレメンチューク)
- 無人機群
- 予備役衛生中隊
東部作戦地域司令部
[編集]- 東部作戦地域司令部(ハルキウ)
- 第3特務旅団(ハルキウ)
- 第5独立旅団(ハルキウ)
- 第12特務旅団アゾフ(マリウポリ)
- 第1特務大隊
- 第2特務大隊
- 戦車大隊
- 砲兵大隊
- 高射ミサイル大隊
- 第13「ハルティヤ」特務旅団(ハルキウ州)
- 第18旅団(スラヴャンスク)
- 第11独立大隊(スームィ)
- 無人機群
- 予備役衛生中隊
- 訓練センター
南部作戦地域司令部
[編集]クリミア地域作戦司令部
[編集]教育・訓練機関
[編集]- ウクライナ国家親衛隊士官学校(ハルキウ)
- ウクライナ国家親衛隊訓練センター(ゾーロチウ)
廃止された部隊
[編集]- 第12特務旅団(マリウポリ):元・東部作戦地域司令部隷下。2023年にアゾフ連隊の旅団への増強改変時に、第12特務旅団の名称をアゾフ旅団に譲り渡して解隊。
- ベガ特殊部隊分遣隊(リヴィウ):元・西部作戦地域司令部隷下。2018年解隊。
- アレス特殊部隊分遣隊(ハルキウ):元・東部作戦地域司令部隷下。2022年秋にオメガ部隊に吸収合併される形で解隊。
装備
[編集]火砲・ロケット
[編集]名称 | 画像 | 製造国 | 種別 | 備考 |
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DRTG-73 | ブルガリア | 対戦車ロケット擲弾発射器 | ||
PSRL-1 | アメリカ合衆国 | 対戦車ロケット擲弾発射器 | ||
SPG-9 | ソビエト連邦 | 無反動砲 | ||
82mm迫撃砲KBA-48M | ウクライナ | 迫撃砲 | ||
120mm迫撃砲2S12 | ソビエト連邦 | 迫撃砲 | ||
D-30 122mm榴弾砲 | ソビエト連邦 | 榴弾砲 | ||
ZU-23-2 | ソビエト連邦 | 対空機関砲 |
ミサイル
[編集]名称 | 画像 | 製造国 | 種別 | 備考 |
---|---|---|---|---|
9K38 | ソビエト連邦 | 携帯式地対空ミサイル | ||
RK-2 ステューフナ-P | ウクライナ | 対戦車ミサイル | ||
バリア | ウクライナ | 対戦車ミサイル | ||
RK-3 コルサル | ウクライナ | 対戦車ミサイル |
装甲車両
[編集]名称 | 画像 | 製造国 | 種別 | 備考 |
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T-64B/BV/B1V/B1M | ウクライナ | 主力戦車 | ||
T-72B/M1 | ソビエト連邦 | 主力戦車 | ||
BTR-7 | ウクライナ | 装甲兵員輸送車 | ||
BTR-3 | ウクライナ | 装甲兵員輸送車 | ||
BTR-4 | ウクライナ | 装甲兵員輸送車 | ||
BTR-80 | ソビエト連邦 | 装甲兵員輸送車 | ドンバス戦争でロシア連邦軍より鹵獲[4]。 | |
KrAZ クーガー | ウクライナ | 装輪装甲車 | ||
KrAZ スパルタン | ウクライナ | 装輪装甲車 | ||
KrAZ コブラ | ウクライナ | 装輪装甲車 | ||
コザック2 | ウクライナ | 装輪装甲車 | ||
ノヴァトール | ウクライナ | 装輪装甲車 | ||
KrAZ シュレック・ワン | ウクライナ | MRAP | ||
ヴァルタ | ウクライナ | 装輪装甲車 | ||
KrAZ-6322 NMRV-A | ウクライナ | 装甲トラック |
歴代司令官
[編集]2014年以降
[編集]代 | 氏名 | 階級 | 在任期間 | 出身校 | 前職 |
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1 | ステパン・ポトラック[5] | 中将 | 2014.04.15 - 2014.10.14 | ウクライナ国防大学校 | 国内軍司令官 |
2 | オレクサンドル・クリベンコ | 中将 | 2014.10.14 - 2015.02.06 | オムスク高等諸兵科連合軍指揮官学校 | 国家親衛隊副司令官 |
3 | ミコラ・バーラン | 中将 | 2015.02.06 - 2015.12.30 | ウクライナ国家親衛隊士官学校 | 国家親衛隊副司令官 |
4 | ユーリー・アレロフ | 中将 | 2015.12.30 - 2019.05.07 | ウクライナ国防大学校 | 南部作戦地域管区司令官 |
5 | ミコラ・バーラン | 中将 | 2019.05.07 - 2022.01.27 | ウクライナ国家親衛隊士官学校 | 国家親衛隊副司令官 |
6 | ユーリー・レビド | 中将 | 2022.02.25 - 2023.07.08 | ウクライナ国防大学校 | 東部作戦地域管区司令官 |
7 | オレクサンドル・ピブネンコ | 中将 | 2023.07.08 - | ウクライナ国防大学校 | 東部作戦地域管区司令官 |
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ この時はクリミア独立を支援していたロシアが、第一次チェチェン紛争におけるチェチェン共和国の独立を断固認めない強圧姿勢と、クリミア共和国独立支援のダブルスタンダードを非難されたことで手を引いたこともあり、1995年のウクライナ憲法制定時にクリミア半島へクリミア自治共和国として自治権を付与することで双方の妥協が成立した。
出典
[編集]- ^ a b “Ukraine: National Guard Restored”. Library of Congress (2014年4月4日). 2020年6月15日閲覧。
- ^ Avakov announces large-scale "cleansing" among generals UNIAN (2016-08-17)
- ^ “Завдання”. НАЦІОНАЛЬНА ГВАРДІЯ УКРАЇНИ. 2022年1月2日閲覧。
- ^ “На Донеччині бійці Нацгвардії захопили російський БТР-80”. UNIAN. (2014年6月20日)
- ^ “Parliament appoints Poltorak as commander of National Guard of Ukraine”. インテルファクス通信 (2014年4月15日). 2022年1月2日閲覧。
関連項目
[編集]- ウクライナ国家警察 - ウクライナの一般警察。2015年に民警(ミリーツィヤ)より再編。
- ロシア国家親衛隊
- ベラルーシ国内軍
- 州兵
外部リンク
[編集]- ウクライナ国家親衛隊(公式サイト)
- Ukrainian Military Pages - 組織構造
- ミリタリー・ランド - 組織構造