ウクライナ軍
ウクライナ軍 Збройні сили України | |
---|---|
ウクライナ軍の紋章 | |
ウクライナ軍の軍旗 | |
創設 | 1917年3月29日(ウクライナ人民共和国軍) |
再組織 | 1991年12月6日 |
派生組織 |
陸軍 無人システム部隊 |
本部 | ウクライナ国防省 |
指揮官 | |
大統領 | ウォロディミル・ゼレンスキー |
総司令官 | オレクサンドル・シルスキー[2] |
国防大臣 | ルステム・ウメロウ[3] |
参謀総長 | アナトリー・バルギレヴィチ |
総人員 | |
徴兵制度 |
男子のみ |
財政 | |
予算 |
1360億フリヴニャ 46億ユーロ (2020年)[8] |
軍費/GDP | 3% (2020年)[8] |
産業 | |
国内供給者 |
ウクロボロンプロム(ウクライナ軍需産業) ソビエト連邦(ソビエト連邦の崩壊に伴い承継) |
国外供給者 | |
関連項目 | |
歴史 | |
ウクライナ軍の階級 |
ウクライナ軍(ウクライナぐん、ウクライナ語: Збройні сили України [ЗСУ]; Zbroini syly Ukrainy [ZSU])は、ウクライナの軍隊。
概要
[編集]ソ連軍のキエフ軍管区、オデッサ軍管区、沿カルパチア軍管区、黒海艦隊等の部隊を継承した。正規軍の総兵力は推定20万9000人(2022年1月時点報道)で、ウクライナ紛争[9]とそれに続く2022年2月からのロシアによるウクライナ侵攻で実戦経験を持つ[10]。ロシアによる侵攻を受けてウクライナは総動員令を発して男性を徴兵しており、英国際戦略研究所『ミリタリー・バランス』などによると予備役を含めた総兵力は100万人を超え、うち約35万人が現役で軍務に就いているが、苦戦や兵器・補給の不足により脱走も相次いでいる[11]。
最高司令官はウクライナ大統領であり、軍組織のトップはウクライナ軍総司令官(2020年にウクライナ軍参謀総長から総司令官としての職務を分離して新設)が務める[12]。
12月6日が「ウクライナ軍記念日」に定められている[13]。
慢性的に装備品調達をめぐる汚職が行われているとされ、ロシアによるウクライナ侵攻の最中においても、欧州委員会などからの指摘を受けて特別監査が行われる[14]。
組織
[編集]軍種
[編集]ウクライナ軍は、陸軍、海軍、空軍、空中機動軍、特殊作戦軍、海兵隊の6軍種から成る。
- ウクライナ陸軍 (Сухопутні війська)
- ウクライナ海軍 (Військово-Морські Сили)
- ウクライナ空軍 (Повітряні Сили)
- ウクライナ空中機動軍 (Десантно-штурмові війська) - 1992年編成。
- ウクライナ特殊作戦軍 (Сили спеціальних операцій) - 2016年編成。
- ウクライナ海兵隊 (Корпус морської піхоти) - 2023年、海軍から独立[15]。
独立当初にはウクライナ防空軍が存在したが、2004年に空軍に編入され消滅した。
統制機構
[編集]主要基地所在地
[編集]- キーウ(ウクライナ首都、陸軍および特殊作戦軍)
- ハルキウ(陸軍および空軍)
- ヴィーンヌィツャ(空軍)
- オデッサ(クリミア半島失陥後のウクライナ黒海艦隊根拠地、海軍)
- ジトーミル(空中機動軍)
- ムィコラーイウ(海兵隊)
2022年ロシアのウクライナ侵攻
[編集]2022年ロシアのウクライナ侵攻に対しては、後述の準軍事組織が正規軍と連携して抗戦しているほか、ロシアへのサイバー攻撃を担うIT部隊[10]、外国人の義勇兵からなるウクライナ領土防衛部隊外国人軍団を編成した。また被占領地ではパルチザン活動が行なわれている[16]。
このほか、ウクライナ側で参戦しているロシア人もいる(「自由ロシア軍団」「ロシア義勇軍団」参照)。
また人員の不足を補うため、軍務経験のあるウクライナ人受刑者を懲罰部隊として前線に投入する案も検討されている[17]。
階級
[編集]ウクライナ軍の階級には、陸軍式と海軍式の2種類が存在する。海軍式階級は海上部隊勤務者のみが使用し、陸軍式階級はその他全ての軍種が使用する。なお2020年にNATOランクでOF-10(元帥級)に該当するウクライナ上級大将(Генерал армії України)が廃止され、OF-9(大将級)に該当する菱形4つ星の階級章を持つ大将(Генерал-полковник、しばしば准将と訳される)は直列4つ星の階級章を持つ大将(Генерал)に改められた。ただしオレクサンドル・シルスキーのように上級大将が廃止される前に昇任していた者については継続して上級大将の階級章を着用する[18]。
陸軍式階級
[編集]陸軍式階級 (Армійські звання) の一覧。
海軍式階級
[編集]海軍式階級 (Корабельні звання) の一覧。
- 士官:Офіцерський склад
- 下士官:Сержантський і старшинський склад
- 上級准尉:старший мічман
- 准尉:мічман
- 船長兵曹長:головний корабельний старшина
- 兵曹長:головний старшина
- 一級兵曹:старшина 1 статті
- 二級兵曹:старшина 2 статті
- 兵:Рядовий склад
- 上等海兵:старший матрос
- 海兵:матрос
準軍事組織
[編集]ウクライナには、ウクライナ軍以外にも、各省庁が管轄する準軍事組織が存在する。
- ウクライナ内務省
- ウクライナ社会基盤省
- ウクライナ保安庁(SBU)
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 「ウクライナ市民 防衛隊に志願増/ロシア脅威に愛国心触発」『北海道新聞』朝刊2022年2月6日国際面掲載の共同通信記事
- ^ “Volodymyr Zelenskiy fires top Ukraine army commander”. 2024年2月9日閲覧。
- ^ “ウクライナ国防相交代 議会が承認”. 産経新聞. (2023年9月6日) 2023年9月7日閲覧。
- ^ "Стаття 15. Призовний вік. Призов громадян України на строкову військову службу. На строкову військову службу в мирний час призиваються придатні для цього за станом здоров'я громадяни України чоловічої статі, яким до дня відправлення у військові частини виповнилося 18 років"
Закон № 2232-XII від 25 March 1992 "Про військовий обов'язок і військову службу" (ред. від 15 January 2015) - ^ “Number of births in the United States from 1990 to 2016 (in millions)”. Statista (2018年). 7 November 2018時点のオリジナルよりアーカイブ。6 November 2018閲覧。
- ^ a b The Military Balance 2022. en:International Institute for Strategic Studies. (February 2022). ISBN 9781000620030
- ^ “Чисельність ЗСУ і витрати на утримання в 2021 році”. Ukrainian Military Pages. 31 January 2022閲覧。
- ^ a b “У 2020 році на безпеку і оборону витратять більше ніж у 2019 – Гончарук”. Українська Правда
- ^ 「侵攻想定 構えるウクライナ/国民過半数 防衛隊の参加意欲」『北海道新聞』朝刊2022年1月28日国際面掲載の共同通信記事
- ^ a b 「ウクライナIT部隊 サイバー戦線で反撃」『毎日新聞』朝刊2022年3月2日(国際面)同日閲覧
- ^ 「ウクライナ兵 脱走6万人/英報道 勝利見えず 今年急増」『毎日新聞』朝刊2024年12月5日(国際面)
- ^ “Zelensky appoints Khomchak Chief Commander of Armed Forces, Korniychuk Chief of General Staff”. Interfax-Ukraine (2020年3月28日). 2022年1月23日閲覧。
- ^ 山田外務副大臣によるウクライナ軍記念日レセプション出席 日本国外務省(2022年12月7日)2023年1月4日閲覧
- ^ “装備品調達に関する内部監査実施へ ウクライナ国防相”. CNN (2023年2月26日). 2023年2月6日閲覧。
- ^ ウクライナ軍に海兵隊創設へ mil.in.ua
- ^ 「ウクライナ南部でパルチザン激化 露支配弱体化へ」産経新聞ニュース(2022年8月19日)2023年1月4日閲覧
- ^ “「戦闘の前線で罪償える」ウクライナ大統領、軍事経験ある受刑者釈放”. 朝日新聞デジタル. 2022年2月28日閲覧。
- ^ затвердження Змін до Правил носіння військової форми одягу та знаків розрізнення військовослужбовцями Збройних Сил України, Державної спеціальної служби транспорту та ліцеїстами військових ліцеїв
関連項目
[編集]- 国家キーウ設計局ルーチ(ルーチ設計局):兵器開発
- ウクライナの大量破壊兵器:ソビエト崩壊時点で世界第三位の核兵器保有国であった。