右派セクター
右派セクター Правий сектор | |
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右派セクターのロゴ | |
会長 | アンドレイ・タラセンコ |
成立年月日 | 2014年3月22日 |
本部所在地 | キーウ |
最高議会 |
1 / 423 (0%) |
党員・党友数 |
約10,000人 |
政治的思想・立場 |
右翼[1]-極右[2] 反共 反露[3] 親米 ウクライナ民族主義[3][4][2] 宗教保守主義[5] 欧州懐疑主義 |
公式サイト | pravyysektor.info |
右派セクター(うはセクター、ウクライナ語: Правий сектор、英語: Pravy/Pravyi sektor)は、ウクライナの民族主義者らで構成される極右政治団体・政党・準軍事組織。ロシアへの強硬な対抗姿勢で知られる。創設者はドミトリー・ヤロシ。現在の代表はアンドレイ・タラセンコ。
歴史
[編集]2013年11月に極右団体トライデントのリーダーであったドミトリー・ヤロシが中心となり、ウクライナの各極右組織を元に設立。ステパーン・バンデーラに代表されるような第二次世界大戦時の対ソ抵抗パルチザンであるウクライナ蜂起軍の伝統を引き継いでいる。北米を中心とした世界各地のウクライナ系移民からの支援も受けている。2014年3月22日に極右民族主義団体であるトライデント、ウクライナ民族会議 ― ウクライナ人民の自己防衛、ウクライナの愛国者、ウクライナ国民会議、ホワイトハンマーが合併し新政党を創設した。
2014年ウクライナ騒乱と暫定政権への参加
[編集]2014年ウクライナ騒乱では、反ヤヌコーヴィチ政権デモを独立広場(ユーロマイダン)および周辺で展開、暴力により警察側と対抗し、騒乱の中心的団体となり、ヤヌコーヴィチ政権打倒の原動力となった。党首のドミトリー・ヤロシはヤツェニュク暫定政権への入閣、ウクライナ国家安全保障・国防会議の副議長への就任を要請されたものの、閣内の反対や本人の固辞もあり、これは実現しなかった。なお、前身の極右団体トライデントのメンバーでもあるシェルヒー・クヴィットは教育科学大臣として暫定政権に入閣している。2014年3月上旬、ヤロシが北カフカスのイスラム系反政府指導者、ドク・ウマロフに対して連携を求める動きを示すと、ロシアは指導者のヤロシに対しテロ実行を呼びかけた罪などで起訴。国際刑事警察機構に対して国際手配をするよう要請したが、ウクライナ側はヤロシを逮捕し、他国に引き渡す根拠は無いとした。
2014年3月11日、右派セクターの中心人物でありウクライナ民族会議 ― ウクライナ人民の自己防衛のメンバーでもあったオレクサンドル・ムズィチコが西ウクライナのリウネで射殺された[6]。この事件をきっかけに、暫定政権はそれまでの擁護姿勢から一転、右派セクターを取り締まりの対象とする動きを見せるようになる。
3月22日、右派セクターは極右民族主義団体とともに新政党を創設、同年5月に予定される大統領選挙にヤロシを擁立すると発表した[7]。ただし、新政権内部でも右派セクターの過激な活動に危惧を示す政治家も存在するなど国民の支持を受けているとは言いがたく、3月時点の世論調査では、右派セクターの支持率は1%未満と低迷している[8]。
4月以降、暫定政権によって発足した国家親衛隊の志願兵として、ウクライナ東部での親露派鎮圧の目的のために活動拠点をそれまでのキエフから、東部のドニプロペトロウシクに移した[9]。
2015年末、新組織設立の準備のために創設者で党首のドミトリー・ヤロシが右派セクターを脱退[10]。その後2016年3月19日にアンドレイ・タラセンコがヤロシの後任として代表に就任した[11]。
主義・主張
[編集]国民国家の樹立を目指している。ドミトリー・ヤロシによると、国会に議席を持つ全ウクライナ連合「自由」(スヴォボーダ)と共通点が多い。また、ホモセクシャルに反対している。
武装組織
[編集]右派セクターは準軍事組織「ウクライナ義勇軍団」を保持しており、ユーロマイダンの終焉時に、内務省が保有する西ウクライナのリヴィウにある武器庫を使用している。
構成組織
[編集]- トライデント・・・ドミトリー・ヤロシがリーダーの右派セクターの主要構成組織。メンバーのシェルヒー・クビットが教育科学省大臣としてヤツェニュク暫定政権に入閣。
- ウクライナ民族会議 ― ウクライナ人民の自己防衛・・・殺害されたオレクサンドル・ムズィチコやジャーナリストのタチアナ・チョルノヴィルがメンバー。
- ウクライナの愛国者・・・西ウクライナのリヴィウ発祥だが、現在は親露派の多い東部ハルキウに拠点を置く極右反露の国家社会主義組織。
- ウクライナ国民会議
- ホワイトハンマー
出典
[編集]- ^ “How did Odessa's fire happen?”. BBC News (4 May 2014). 2020年8月3日閲覧。 “Hardline fans – known as 'ultras' – of both sides agreed to hold a joint march to support a united Ukraine.… Some were veteran supporters of Kiev's Maidan protest movement – the Maidan Self Defence Forces – and/or part of the right-wing Pravy Sektor (Rights Sector).”
- ^ a b Nordsieck, Wolfram (2014年). “Ukraine”. Parties and Elections in Europe. 12 June 2018時点のオリジナルよりアーカイブ。6 September 2018閲覧。
- ^ a b 右派セクター 露を敵視、深まる軋轢(産経ニュース)
- ^ “Profile: Ukraine's ultra-nationalist Right Sector”. BBC. (28 April 2014) 1 March 2015閲覧。
- ^ Andersen, Johannes Wamberg; Olena Goncharova; Stefan Huijboom (11 June 2015). “Equal rights for gays still distant dream in Ukraine”. Kyiv Post. オリジナルの12 June 2015時点におけるアーカイブ。
- ^ 「右派セクター」西ウクライナ地域調整役殺害される ロシアの声
- ^ “右派セクター、政党創設 大統領選に候補擁立 ウクライナ”. 産経新聞. (2014年3月24日) 2014年3月29日閲覧。
- ^ “ウクライナ:新政権が「右派セクター」取り締まりへ”. 毎日新聞社. (2014年3月28日) 2014年3月29日閲覧。
- ^ Ukraine’s far-right leader moves HQ to the east, forms new squadron RT TV News.
- ^ “Ukraine national group leader says he will create new 'national liberation movement'”. uatoday. (2015年12月29日)
- ^ “Right Sector declares ambitious plans to partake in elections”. (2016年3月23日)