利用者:仏徳師/平成10年 142回
1月16日
[編集]○中川(昭)委員 橋本総理は、就任以来二年を経過されましたが、バブルの崩壊を初めとする過去の負の遺産を何とか解決しなきゃいけない、と同時に、力強い二十一世紀を目指して、六大改革を初めとする将来に向かっての大きな作業も今やられておるわけでありまして、二つながら大変大きな使命を連日果たされていることに心から敬意を表したいと思います。
そのかいがあってか、きょう、為替市場も、また株価も、特に株価が五百円以上上がっていると前場は聞いておりますけれども、マーケットもやはりきちっとやればきちっと評価をしてくれるのかな、今の時点ではそういうふうに言えるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、当面今やるべき一番大きな仕事は、すべての国民に関係のあります経済、金融を、いかに一日も早く健全な状態に力強く回復をさせていくかということだろうと思っております。
そういう意味で、今回の景気というのは、単なる循環型ではなくて、体力が弱っているとか体の一部の臓器がおかしいということだけではなくて、体全体をめぐっている血液あるいは血管そのものが大変傷んできている、それが今回の大きな大きな金融システム不安とか、あるいは景気が非常に悪いという、悪い意味の相乗効果になっているというふうに私は理解をしております。
したがいまして、財政改革にしても、世界経済のために日本経済が貢献できるという方向に向けましても、もちろん財政改革あるいは金融システムの安定、景気回復を含めて、これはもう密接不可分のものである、全体をよくしていかなければならないと思うのです。逆に言うと、一つがよくなれば連鎖的によくなっていくということも考えられると私は思っておるわけでありまして、そういう観点から質問を進めさせていただきたいと思います。
そこで、まず、今の経済の状況をどういうふうに見るかということでありますが、現時点で本年度の経済成長率は〇・一%、マイナスではないけれども、ほぼゼロに近いという状況。しかも、その内容を見ますと、非常に在庫がふえているでありますとか、あるいはまた物価が安定をしているといいましょうか、卸売物価、それから最近は消費者物価も含めまして、物価が下落をしている。
この物価が下落をしているというのは、実質成長率という観点から、普通、名目マイナス物価イコール実質的なとらえ方をしがちでありますから、そうしますと、物価がマイナスということになりますと、〇・一%といえどもふえているという数字が実質的に出てくるのですが、実は、物価がマイナスであるならば、名目成長率はマイナスであってもいい。
つまり、経済全体は実はしぼんでいても、物価のいたずらといいましょうか、計算の結果として実質成長率がプラスになっているというふうに結果的に見ざるを得ないのではないかという私は疑問を持つわけであります。もっと端的に申し上げますと、経済実態が収縮しているにもかかわらず、実質成長率はプラスを保っているという状況にもなりかねない。そうすると、数字の実態と経済の実態とが非常に変わってくると言わざるを得ないわけであります。
特に、家計の消費支出、あるいはまた住宅着工件数、さらには倒産件数、去年大きな倒産が幾つかありましたけれども、特に、ことしになってからも、私の地元の北海道なんかは、一億円とか二億円という、金額的には大きくないかもしれませんけれども、そういうものが連鎖しますと地域経済に非常に大きな影響を与える。そしてまた、特に釧路、根室といった漁業地帯では、漁業会社が相次いで倒産が続いている。これは地域経済にとって非常に大きな影響を与えておるわけでありまして、特に中央の新聞に載らないような倒産が実は地方で続発をしているというのが今の状況ではないかなというふうに思って、大変心配をしているところであります。
そういう意味で、昨年、七年目を迎えたという景気が悪い状態に、四月に消費税のアップがありました。三月に大きな駆け込み需要があって、その反動が私は今回の景気に大きな影響を与えていると考えておりますし、また七月以降、予期せぬアジアの金融危機、不安が発生いたしましたし、それらが相まちまして、十月、十一月以降、倒産も続いているし、経済指標がさらに悪くなっている、こういう認識を持っておるわけでありますが、その辺につきまして、まず経済企画庁長官に、その辺の認識をどうお考えになっているかを踏まえた上で、総理の御見解をお伺いいたしたいと思います。
○尾身国務大臣 経済の動向でございますが、設備投資は、設備過剰感が薄れてきたというようなことを背景といたしまして、製造業を中心に緩やかに増加をしているという現状でございます。それから、純輸出でありますが、これは増加傾向にある。しかしながら、住宅建設は、下げどまりの兆しは見られますけれども、依然として弱い動きが続いているということでございます。
それから、委員特に御指摘の個人消費につきましては、今年度当初は、先ほどのお話のとおり、消費税の引き上げに伴う駆け込み需要の反動減が四月以降ございまして、大きく減ったわけでありますけれども、その後、一時回復の動きが見られました。しかし、秋口にかけまして、相次ぐ金融機関の破綻あるいは株価の下落等を背景といたしまして、非常に弱い状況になってきております。十一月の実質消費支出で見ますと、前年同月比で二・一%減、それから小売販売額も同じく前年同月比で四・七%減というような数字でございまして、経済の先行きに対する家計の不透明感もございまして、弱含みに推移しているわけでございます。
景気全体としても、そういうわけで、足踏み状態とも言える状態でございますが、景気の先行き、あるいは特に金融システムに対する不安感が秋口から強くなってきたこと等を背景といたしまして、一層厳しさが増しているというふうに考えている次第でございます。
○橋本内閣総理大臣 今、経済企画庁長官から基本的な認識についてお話を申し上げましたが、その上で私から申し上げなければならないこと、それは、我が国では昨年の秋以来、北海道拓殖銀行など大手の金融機関が相次いで破綻をいたしました。これらの金融機関それぞれに、実はバブル当時安易な貸し付けを行う、その他それぞれに原因はあるわけでありますけれども、こうした中で、金融システムそのものに対する信頼感が低下をしている。同時に、貸し渋りと言われるように、資産を圧縮する動きも出ております。
こうした状況の中で不安感をお持ちになる方があることはやむを得ないことでありますけれども、多少消費に対して消極的になられる、あるいは企業によっては、事業展開を考えておられるにかかわらず、十分な資金が得られず思うように事業展開ができない、こうした現象が存在をいたします。
また、アジアでは、本当に昨年の夏以降、幾つかの国で通貨・金融市場に大きな変動が生じました。そして、現在もなおその激しい動きというものは続いておるわけであります。そして、その影響は非常に不安定な状況を出していることも間違いがありません。
そうした中で、昨日、IMFのカムドシュ専務理事とインドネシアのスハルト大統領との間で、インドネシアの通貨情勢に対応した、また経済情勢に対応したIMFとの間のパッケージが合意をされ、これが公表され、そしてインドネシアは、このIMFとの約束をきちんと守るという非常に強い姿勢を出されました。私は、これは非常に歓迎をしておりますし、日本としても、この点は非常に評価しながら、同時に長い友人として、既に第二線準備、我々は約束をしておるわけでありますけれども、こうした支援の仕組みも動かしていかなければならないと思います。
しかし、そういった状況の中で、各国ごとにそれぞれ状況は違いますけれども、経済状況が予想していた以上に深刻なものになっておることも否めません。御指摘のように、現在の状況というのは単なる景気循環で説明できるものではなく、金融システムの安定を確立すること、そして不安感を除いて、安心して消費や事業を行っていただけるような状態にする、あるいは貸し渋りに対する対応を果断に行いながら、平たい言い方で申しますなら、世の中にお金がスムーズに回るような、そういう状況にしていくことがまず重要なことだと考えております。
○中川(昭)委員 今の総理の御答弁につきましては後ほどまた個別に質問をさせていただきますが、経企庁長官からは、足踏みというのが今の内閣の景気の見方だと。足踏みというのはどういうことかというと、体は動いているけれども前に進んでいないということを足踏みというのだと思いますが、率直に言えば、実は体も硬直してしまって、そして前に行くどころか、だんだんその場で小さくなっているというふうな実感を私は持たざるを得ないのであります。
経企庁の地域経済動向を見ましても、ほとんどの地域で足踏みという表現が使われております。特に私の北海道、大手、世界的な二十行はつぶれないという国民の期待が、残念ながら経営の問題もあってこういう破綻という状況になったわけでありますけれども、これは実は極めて地域にとっては大きな大きな影響を与えております。
金融機関、特に北海道の二割から三割のウエートを占める金融機関でありますから、預金者の不安、そしてまた貸出先がそれによって、メーンバンク、拓銀がしっかりしていればこんなことにならなかったのにというような倒産の例が幾つかあるわけであります。それは、拓銀の不良資産、六月末時点で自己資本からの繰り入れを引きますと四千五百億円であったものが、十一月の破綻時点では結局八千四百億円の債務超過、つまり四千億ほどふえている。これは多分、拓銀が健全であったならばふえなかったであろう不良債権、あるいは拓銀の関連会社、系列会社ということも入っての数字の膨張だと思います。
拓銀がこの先スムーズに北洋銀行へ、東京の店舗等の、あるいは人員等のスムーズな移行をすることによって、随分とこれはまた北海道に対する景気の回復が力強いものに早期になっていくと期待をしておるわけでありまして、そのためにも、ひとつ大蔵当局には万全の体制をとっていただきたい。まだやるべきことがいっぱいあると思いますので、これは後ほど事務当局にその辺の状況を御説明いただきたいと思います。
とにかく私が申し上げたいのは、北海道が、拓銀の破綻によって極めて大きな経済的そして精神的なショックを受けた。
それで、こんな報道まであります。十一月二十二日、つまり拓銀が破綻をした日でありますけれども、北海道の新聞各紙に載っておりますが、学校、小学校、中学校の先生が不用意発言、一部の小中学校でありますけれども、ホームルームの時間に、拓銀が破綻した問題を議題にして、この中にお父さんが拓銀に勤めている人、いますか、手を挙げなさいと言って、手を挙げさせたという学校が二、三あったということが、こういう報道が各紙に出ておりました。
これは一部のことでありますから、全部ではないにいたしましても、教育委員会としては、プライバシーの問題だということで厳重注意ということでありますけれども、これはまさに、私は、これをやった教師の見識を疑いたいというふうにさえ、怒りすら覚えるわけでありますが、とにかくそのぐらいにみんなうろたえたということは事実なのであります。
それを、北海道のようなことを、ほかの地域に密着した大きな銀行がおかしくなることによって第二の北海道、あるいは日本全体が今の北海道化するなんということには絶対にさせてはならないというふうに思うわけでありますので、その辺を、拓銀に対する今後の処理、そしてまた今私が申し上げたことに対しまして、大蔵大臣、ひとつ御決意をお願いいたしたいと思います。
○三塚国務大臣 具体的な内容は政府委員からとさせていただきます。
拓銀の破綻は、お触れになりましたとおり、経営失敗が一つございました。それと、国際展開をいたしております我が国を代表する二十行については、何としても破綻しないように、リストラ、健全化に向けての努力をサポートする、こういうことで昨年努力をしてきたことは御案内のとおりでございます。
リストラの一環として、御承知のとおり、国際展開を拓銀はやめました。北海道に特化をして地域金融に献身しよう、こういう中で、第二の銀行であります北海道銀行との合体が……(中川(昭)委員「北洋銀行」と呼ぶ)いやいや最初、第二銀行の北海道銀行との合併が進むやに見えたのでありますが、これがうまくいかない、延期になるというところから、市場がこれを見放すという深刻な状態に相なりました。
しかし、北海道地域に対する影響力は極めて高い銀行でございましたから、北洋銀行との、営業譲渡を前提として、業務譲渡を前提として、話が進みまして、受け皿銀行として、北海道地域に対する金融が破綻、障害がありませんように努力をするということでございます。営業譲渡までの間、拓銀は今日も整然と営業が展開をされておるわけでありますが、そういう中で金融のスムーズな進行ができ得ますように、当局としても意を用いて努力をいたしております。
特に雇用の問題、極めて深刻でございますものですから、本件についても、労働省との提携、政府としても道庁との連携を保ちながらそのことについて努力を今傾注いたしておるところであります。東京地区における支店の譲渡についても、できるだけの努力を今行っておるというのが現状であります。
○中川(昭)委員 当局の方の御説明は結構でございます。
大蔵大臣から強い決意と、それからできるだけ早急に、ひとつ東京部門も含めて、すんなりと移行できるようにぜひとも御努力をお願いいたしたいと思います。
そういうことで、日本経済は非常に厳しい状況にある。しかし、それを乗り切るために、今まさに補正予算、金融システム安定等々、減税、さまざまな施策、規制緩和等々をやって、総合的に日本の景気をよくしていこうということでありますが、先ほど私がいろいろ例示を挙げました中で、一つ指摘しておきたいと思いますのは、個人の破産件数というものも非常に最近ふえてきておる。いわゆる自己破産ですね。
これはある民間の調査機関の数字でありますけれども、八五年からの数字ですが、八七、八八と一万件を切っておりますけれども、それが一万件になり二万件になり三万件になり、九五年には四万三千件、九六年には五万六千件、ことしはさらにふえるだろうと言われておりますから、こういう個人破産、これも慎重にやってくださいよということもありますし、また、うまくいけばその利便性もあるわけでありますけれども、個人破産なんというものの増加も大きな、今の景気動向をある意味ではあらわす一つの数字ではないかなと思います。
そこで、次に移りますが、アジア経済との関係について御質問いたしたいと思います。
先ほども申し上げましたように、アジアが世界の経済を引っ張っていっているんだ、成長のトップランナーだと言われていたのはつい最近のことでありましたが、システムそのものからくるドミノ的な各国にわたる相場の下落あるいは短期資金の流出、国家に対する信用の低下というものがもう連鎖的になってまいりました。これは、日本にとっても決して無関係なものではない。
総理は常々、アジア諸国はカリの群れが空を飛んでいくような形で飛んでいっておる。多分その先頭には日本がいたし、これからも、少なくとも中期的、長期的にも日本がその先頭に立って、アジアの力強い発展というものにみんなで頑張っていかなければならないというふうに考えておるわけであります。そしてまた、アジア経済の不振あるいは破綻が日本にも、こういう時期にもかかわらず、さらにマイナスの要因を与えておるわけであります。
今後のアジア諸国の経済あるいは金融の回復のために日本も協力すべきでありますし、総理もクリントン大統領と電話等で何回もこの問題について熱心に協議をされ、対策をお考えになっていらっしゃると聞いております。これ以上アジア通貨の切り下げ、切り下げ競争といいましょうか、切り下げによって、安値輸出競争みたいなものが始まりますと、これはまさに大恐慌の前のような状況になってくるわけでありまして、これを阻止するというのは、これは世界的にいっても、また総理御自身の御認識からいっても、断じて許すことはできないというふうに思います。これ以上のマイナスの連鎖は防がなければならないわけであります。
そこで、私は、外交当局と金融当局との密接な連携というものがこれからますます重要になってくると思いますけれども、その上で総理の御決断あるいは行動というものがあると思いますが、今後のアジアの通貨あるいはまた金融、そして諸国の発展に日本としてどのように対処していくのか、総理の御決意をお伺いしたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 まず一つ申し上げたいのは、マニラ・フレームと言われるアジアの金融に対する合意であります。これは文字どおり、昨年、この通貨混乱の中で、マニラにおいて結ばれた世界各国における一つの合意事項でありまして、これは今後とも我々は大事にしていかなければなりません。
同時に、いろいろな言い方をされる方がありますけれども、一番大事なことは何かといいますなら、それぞれの国に民間資本が引き続きこれからも投入される、供給されるということであります。しかし、それぞれの通貨の信認が揺らいでいる中では、民間資金はなかなかそこに出ていきません。ここにIMFとのフレームの合意というものが存在をし、IMFが一つの保証をきちんとつけることによって民間資金が引き続き供給されていくであろうという我々は期待を持つことができます。
金融の国際化、情報化が進んでおります中で、国境を越えた市場取引を通じて日本の金融システムというものは世界のマーケットと直結しています。それだけに、我が国の金融システムが安定をする、これは、この安定の確保というものは、アジア地域ばかりではなく、世界の金融市場にとりましても非常に重要なことになるわけです。
そして、今申し上げなければならないことは、どこの国であれ、為替の急激な大幅な変動というものは、どちらに振れる場合であっても、よい結果は生まないわけであります。そうした中で、アジア経済というものは、ある意味では日本の経済の動向に大きく左右される様相を持ちますし、我々もまた、アジアの経済が不安定であり不況であるならば、これに影響を受けることは当然のことであります。
それだけに、日本の経済を回復軌道に乗せていくこと、そして日本の金融システムの安定性を確保する、これはアジア経済のためにも離せないことであり、我々がその責任はきちんと負っていかなければならない、私は今そのように考えております。
○中川(昭)委員 ぜひ総理の御決意で、日米が共同して、先頭に立って、文字どおり、引き続きカリの群れが力強く羽ばたいていけるような体制にしていただきたいと思います。
次に、突然話は変わりますが、たんす預金なるものについて質問させていただきます。
たんす預金、つまり、家の中のたんすの奥に大事なお金をしまっておくという意味でありますが、昔から一つのお金の保管方法としてはあったのでありましょうが、今の金融経済情勢を見ますと、このたんす預金というものが、国民経済的に見て、無視できない状況になってきているのではないかと私は思っているわけであります。
個人のたんす預金もさることながら、金融機関が、先ほど総理もおっしゃられました貸し渋りという形で、たんす預金とは言わないでしょうけれども、金庫預金、自分のところの金庫にしまっておく。あるいは企業も、余裕資金を外に出さないで自分の金庫の中にしまっておく。個人でも、たんすというよりも小さな金庫を買ってということになるのだと思いますから、最近、金庫の売れ行きが物すごくいいという話も聞いたことがありますけれども、いずれにしても、お金が外に出ていかない。
なぜ出ていかないか。それは、一つには、相次ぐ金融機関の破綻によって、金融機関にお金を預けるのは果たして大丈夫なのか。これは後ほど総理の口からもはっきり御答弁をいただきますが、預金は全額保護をいたしますという今の態勢があるわけでありますから、これは、実は預金しても不安だということにはならないという万全の対策をとっておるわけであります。もう一方、金利が安いから預けても大したことにならない、普通預金ですけれども、〇・〇何%なんという金利ではしようがない。それと、もう一つは、将来への不安という問題もあるのだろうと思います。
本来の健全な経済では、個人にしろ企業にしろ、お金を金融機関に預けて、そこから利息をもらう。そして、預かった金融機関はしっかりと貸し出しをやって、そこに金利がまた発生するわけでありまして、必要な企業やその他の経済活動が有効にそのお金を使うことによって経済活動に資する、これが信用創造ということで、百万円なら百万円のお金が、金融機関を通じて回ることによって何倍にもその価値が生まれていくというのが、本来の健全な経済下における信用創造であります。
ところが、今は百万円はたんすの中にあるきりでありますから、もちろん百万円は百万円でありますけれども、国民経済的に言うと、これはもう全く意味のないお金、死んだお金としか言わざるを得ないわけであります。
そのシステムの中にお金を入れることによって、そのお金が何倍もの効果を生んでいくということによって、資本主義経済といいましょうか自由主義経済が成り立っている、信用経済というものが成り立っているわけでありますが、今は全く逆。信用収縮、いわゆるデフレーションという状況、空気が抜けてしぼんでいく状況が今あるというふうに思うわけであります。
何としてもこの収縮という状況をストップさせなければならない。先ほど総理もおっしゃっておられました。しかし、まだ大丈夫だから預けなさいと言っても、それだけではなかなか国民もそう簡単には、じゃ、たんすの中から全部金融機関に預けますかということにはならない。つまり、現在の雇用あるいは将来に対する不安というものも、やはりたんす預金になる一つの原因だというふうに考えられるわけであります。
そこで、こういう信用収縮という異常な状態から早く健全な信用創造状態に戻すためにも、今申し上げた雇用の不安あるいは将来に対する不安をぬぐうために、社会保障的なものも含めて、あるいはまた今回の金融システム安定化の対策も含めまして、補正予算、減税、あらゆる対策を今一生懸命やることによって、早くこういう金融収縮状態、マイナスの連鎖、収縮の連鎖が一日も早くストップして、正常な状態になるようにすべきだ。
これは緊急な課題だと思いますが、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 非常に大きな問題を提起されましたけれども、金利の水準というものは日銀の専管事項でありますから、私は、客観的な事実だけをこれについては申し上げたいと思うのです。
これは間違いなく、よく言われますように、低い金利が設備投資とか住宅取得を助けて景気を下支えする、その面から国民の皆さんの所得を支えていることは事実だ、これが今までよく申し上げてきた答え方であります。その事実の上で、低金利というものの中で貯蓄に対する利子が少なくなる、議員が御指摘になりましたとおりであります。
そして、その影響を受けておられる方々に対しては、本当にお気の毒だということを我々自身感じますし、同時に、そういうところから、今議員が御指摘になるように、たんす預金といった形で市場のメカニズムに乗ってこないお金がふえているとすれば、これは我々としては本当に深刻に受けとめなければなりません。
今議員御自身から御指摘がありましたように、個人消費というものが経済的需要の中で最も大きい部分でありますし、景気を回復していくためには、どんなことがあっても力強い個人消費というものが不可欠です。
そして、今の状況の中で、その個人消費のためにも金融システムの信頼性を確保するということがまず必要になります。そして、私どもは、三十兆円の公的資金を活用できるようにして、同時に、預金は完全に保護いたしますということを申し上げて、金融システム安定化に対する信頼確保の努力を今鋭意行っております。と同時に、二兆円の所得・住民税減税というものをできるだけ早く実施したい、二月からでも実施させていただきたい、国会にもお願いを申し上げているわけであります。
同時に、議員が御指摘になりましたような、将来への不安というものからのたんす預金といいますか、そういうものも、これは私はあるかもしれないと今お話を聞きながらも思います。そうした場合に、社会保障が果たす役割は何だ。これは、まさにセーフティーネットの役なんです。
そうすると、そのセーフティーネットというのは、将来にわたって安定した、国民が安心していただけるような制度を構築することが極めて重要になります。今、昨年介護保険をシステムとしてお認めをいただき社会保障の構造改革を進めているのも、まさにセーフティーネットとしての役割が将来ともに維持できるようにということでありまして、私どもは、決して国民にむだ遣いをしてくださいとお願いをするつもりはありませんけれども、必要な国民の消費というものがこの国の将来にとって必要なんですということは改めて申し上げたいと思います。
○中川(昭)委員 総理が最後に、むだ遣いをしろとは言わないけれども安心してくださいという御答弁は、後ほどの質問の中でいただこうと実は思っていたわけでありますが……(橋本内閣総理大臣「何遍でもいたします」と呼ぶ)何遍でもこれはお答えをいただきたい、重要なポイントだと思いますので。
今総理から、冒頭、低金利というものの意味というものをおっしゃいました。確かに高金利には高金利のプラスマイナスがありますし、低金利には低金利のプラスもマイナスもある。総理は、現在の低金利、これだけ景気が悪いんだから企業活動を助けるために低金利、これはもう当然のことだろうと思います。しかし、これだけ長い間低金利が続きますと、国際的に言っても、日米の金利差あるいはアジア諸国との金利差等でどんどんお金が海外に行ってしまうということもありますし、言うまでもないことですが、金利を生活の糧としておる国民の皆さんにはこれは大打撃であります。
そういう意味で、公定歩合は〇・五、あるいは預金金利が〇・何%という時代が何年も続いておるわけでありますが、この際思い切って、例えば一千二百兆円の個人資産のうちの半分以上が預貯金というふうに聞いておりますから、これ、一%上げたら六兆円国民にお金が入ってくる。まあ、六兆円減税なんということを言っている人がいるようでありますが、財源の裏づけのない無責任な私は議論だと思いますけれども、しかし、仮に金利を一%上げればそれと同じような効果が、政府サイドのコストはゼロでできるという理論も一方では成り立つわけであります。
これは、先ほど申し上げたように、上げようが下げようがプラスマイナス両方ありますから、あえて総理の御答弁はいただかないことにいたしますが、低金利政策というものも、総理はいい面もあるとおっしゃいましたが、景気に与える悪い面もありますよということも私は認識をさせていただきたいと思います。
次に、いわゆるマーケットというものを、総理、政府はどういうふうに認識されているかということについて、お伺いをしたいと思います。
為替マーケット、株式マーケット、その他いろいろマーケットがありますが、とにかく今マーケット、一喜一憂、きょうは一喜でございまして、総理の施策、党の施策が評価されて五百円以上株価が上がっているということで一喜の方でありますが、とにかく一喜一憂を繰り返している。
しかし、マーケット、為替あるいは株式のマーケットだけが日本の経済状態を全部左右する。しかも、その左右する人たちは日本経済のためにやっているのではなくて、全部とは言いませんけれども、それでお仕事をされている人は、とにかくもうけなきゃいかぬ、もうけるためにはいろいろなことを言ったりやったりして、そしてその中でもうけを出そうとしておる、国民経済にプラスになるかとかそんなことは一切考えていない。本当に、市場の暴力という言葉が最近出ておりますけれども、とにかく無責任といいましょうか、自分のもうけのためだけにマーケットを動かし、それに政府が関心を持たざるを得ない状況になってきております。
株価平均なんていうのも、二百二十五社ぐらいの、代表的な企業でありますけれども、全体から見ればごく一部の株価の平均。その中には超優良企業もあれば不振企業もあって、極端に言えば、株価はもう二極化しているというふうに言っている人すらおるわけであります。
したがって、株価安定あるいは株価が健全に上昇していくということはもちろん大事なことであります。必要なことであります。しかし一方で、マーケットのことはマーケットに聞けとか、あるいはマーケットが退場を命じたんだということを、少なくとも政府の経済や金融を預かる責任者の立場の方が軽々には申すべきではないというふうに私は思うわけであります。
マーケットがなすがままでいいんだということであれば、何のために政策を打っているんだということになります。健全な株式市場の発展、健全な金融取引、為替取引というものをつくり上げていくために、政府として、総理みずから、大蔵大臣みずから大変な御努力をされていると私は認識をしておるわけであります。
マーケットは、弱い者を見つけて攻撃してもうけるというのが常でありますから、それに対して、政府としては国家の意思というものをはっきりとマーケットにぶつける、それが私は、アジアに対してもアメリカに対しても、信頼される大きなサインになっていくと思いますので、こういう私の考え方に対して、総理はどのようにお考えになっていらっしゃるか、御答弁をお願いいたしたいと存じます。
○橋本内閣総理大臣 今議員は非常に極端な表現をところどころ選ばれましたけれども、私は、マーケットの動向というものはやはり常に注視をしておくべきものであると思っておりますし、その限りにおいて、マーケットの動きというものは、国際経済の中におきましても、日本自身におきましても、それなりの必要性を持つものだと思っております。
その上で、例えば風評被害という言葉がこのごろよく出てまいります。意図的な市場操作というものは、これは許されていいものではないと私は思います。同時に、マーケットが評価をされる施策だけが国の政策として必要なものばかりではないことも、また事実であります。マーケットにとってはうれしくない、しかし国としてはやらなければならないという政策も存在をいたします。
ですから、私どもがそのときそのときの状況を見ながら適切な施策を選択するという意味では、やはりマーケットというものは注視をしていくべきもの、ただし、それがすべてではないよという御指摘は、私もそのとおりに思います。
今回、特別減税を含む予算、税制面の措置、あるいは金融システム安定化のための三十兆円の公的資金の活用、こうしたものについては、いろいろな御意見がありますけれども、市場は既にこれを織り込んでいるわけでありますから、むしろ今度は、その織り込んだものがなかなか手元に届かないということで混乱を生じさせないように、今私は、本当にその意味では、政府が市場に対して送った内容はきちんとそのとおりに届けられることが大事だと思っております。
先般、本会議でも同様の趣旨で御答弁を申し上げたところですが、補正予算、関連する法律案、さらには次年度予算等が、適切な時期にきちんと市場に現実のものとして使える状態で届けられるように、これは本当に心からそう願っております。また、そういうことが、私は、不透明感をなくしていく上でも大事なことだ、そのように思います。
○中川(昭)委員 私が申し上げたかったのは、マーケットは関係ないよということもおかしいし、マーケットだけを重視することもおかしいという意味で総理の御答弁があったと私も思いますので、ありがとうございました。
先ほど、冒頭、総理からも御指摘のありました金融機関の貸し渋りという問題について、御質問したいと思います。
貸し渋り、銀行が貸さない、けしからぬ、だから非常に厳しいんだということで、年末をどうしのいでいくか、あるいは今後どうしていくかという大きな問題があります。
これは、逆の言い方をすると、金融機関がこういう厳しい状況でありますから、金融機関側から見ると、貸し渋りというのは、ある意味では自分たちのリストラ策だというふうにも言えるのだと言っている人がおります。つまり、自分の経営体質を強化する、例のBIS基準あるいは国内四%基準をクリアするという健全性、さらには、こういう御時世ですから、優良取引先にお金をお貸しする、危ないところには貸せないという、これは銀行の論理であるわけであります。
しかし、国民経済的に見れば、先ほどのたんす預金じゃありませんけれども、たんす預金するよりは消費に回していただいた方が一番いいと私は思うのでありますけれども、消費にも行かないということであれば、安定した金融システムの中で、金融機関の流れの中に、システムの流れの中にそのお金がどんどん入っていくのが健全だと思いますが、金融機関の方は、今言ったような状況で、非常に、貸したくても貸せない。
特に、円安という状況で、海外資産までまた膨らんじゃって、分母がふえちゃうというような状況で、来年度からはいわゆる国際的BIS八%という問題もあるわけでありまして、そういう中で、この貸し渋りというものが今の金融システム、経済に与える影響が極めて大きい。きょうの新聞によりますと、現在の貸し渋りで経済成長率を一%下げる効果といいましょうか、影響がある。これで、〇・一がさらにまた下がるという要素にもなりかねないわけであります。
やはり、お金というのはぐるぐる回ってこそ初めてお金なんであると先ほども申し上げましたが、去年の十一月にばたばたと大手金融機関がいろいろな形で破綻をいたしました。単純に考えますと、三洋証券の資金繰りがだめになって、山一がコールの出し手から借り手になって、それで、拓銀がつぶれて、そして山一もとうとうおかしくなった、そして北海道は今めちゃくちゃになっておる、こういう一本の線でつながってしまうわけであります。そのぐらいに金融機関同士のやりとりというものが非常に微妙になってきておる。金融機関がたんす預金をやっていると先ほど申し上げたのは、そういうことにも関連しておるわけであります。
ですから、この際、後で具体的に申し上げますけれども、一つの大きなポイントは、私は、優先株等の自己資本の充実だろうと思います。金融システム安定化法案のところでもう一度優先株についてはお伺いしますが、これも新聞報道でありますけれども、大手十九行で現在授権されておる優先株の発行限度は、二兆六千億余力がまだあるそうであります。これと同額ティア2を乗っけると、全体で二十五倍になりますから六十五兆円。つまり、今の状態で余っている優先株を全部発行すると、価格とかいろいろ条件はありますけれども、ティア1とティア2と、ティア2も同じ分ふやしていくと、六十五兆円分融資することができるというような試算も出ておりました。
やはり私は、この貸し渋りというものをどうやってなくしていったらいいか。今申し上げたように、金融機関には金融機関の理屈がある。しかし、何よりも、借りる方は、先ほどの拓銀じゃありませんけれども、ちょっと助けてくれたらいいのに、ちょっとお金を貸してくれないばかりに経営が苦しくなる、倒産になるという状況、極めてボーダーのところで、ちょっとちょっとというところが会社の運命を決めてしまうというのは、私は大変問題だろうと思います。
政府としては、今回の対策で、信用保証も含めて二十五兆円の融資対策をとっておられる。しかし、これも緊急な重要な措置ではありますけれども、本来であれば、これは民間が第一義的にやるべき問題であろうと思いますし、これは、民間が心配だから公的な機関に行って、お金が集まって、それで公的な機関から、財投を通じて政府系金融機関から出るということであります。
極端に言えば、民間のお金が政府の方に流れていって、政府の窓口から出てくる、こういうふうにも言えなくもないわけでありまして、私は、本来的なものではない、あくまでも緊急的な措置だと思いますけれども、この貸し渋りに対しまして、先ほど総理からちょっと言及されましたけれども、改めて、この問題に対しての取り組み、つまり金融システム安定化法がこれを大きく打開するのだというふうに期待をしておりますので、御決意をお願いいたします。
○橋本内閣総理大臣 まさに、本質的な部分は、金融機関の自己資本を増強することにより、確実に分子の部分も大きくしていく、それだけの貸し付け余力を拡大していくということに尽きるのだと思います。
ただ、現実の状況としては、我々の身近におきましても、現実の貸し渋りというものの中で苦しんでいる人々の話を聞く機会がふえております。そうした中で、今議員は、こちらから回るものがこちら側に、言いかえれば、民間の金融機関に預金をしていただければ民間の金融の中で資金供給が行われる、それが、国の方にお預けをいただき、それが財投として政府系金融機関から出てくるんだからと言われましたが、まさにそうなんですけれども、今は、私は、その政府系金融機関を最大限に使ってでもこの貸し渋りという状況に対応する必要があると思っております。
そして、それは従来は中小企業だけでしたが、それを中堅企業まで広げたのも、そして政府系金融機関に新たな融資制度を創設することで信用保証と合わせて総額二十五兆という枠をとりましたのも、このときにこそ、こういうときにこそ政府系金融機関はその責任を果たせ、役割をきちんと果たしていくことでその責任にこたえていく。
しかし、本筋としては、やはり民間金融機関が資金供給の円滑化にかけて一層努力をされることを期待する、同時に、国内基準適用行に対する早期是正措置の運用を弾力化いたしましたけれども、こうしたことによって金融機関の融資対応力の強化に努める、これが本筋だと思います。そして、そういう意味で三十兆円の中に線引きをし、預金者の完全な保護とあわせて対応を考えているのも御理解をいただきたいと思うのです。
○中川(昭)委員 次に、金融機関のいわゆる不良債権についてお伺いいたしたいと思います。
新聞、テレビ等、特にテレビのニュースショーのおもしろおかしい報道によりますと、日本の金融機関は二十八兆円しか不良債権がないと常々言っていたのに、よく調べてみたらというか、やっと白状した数字が七十五兆円、三・何倍、三・五倍もあったじゃないかというような説明をしております。
本来これは、二十八兆円という数字と七十五兆円という数字は、基本的に質の違う、また目的の違う数字だと思います。その辺を大蔵大臣からよく御説明をいただきたいと思いますし、今後もこの試験的にやった、私は結論から申し上げると、個別的にこの数字、七十五兆円のベースになった経営の判断に基づく数字を個別に出すことは考えていないと思いますし、私も出すべきではないと思っております。
企業の経営の秘密というものも一方ではあるわけですから、ディスクロージャーと同時に、企業経営の秘密というものも合法的な範囲内で当然あるわけでありますから、今後全体的な数字としてこれを続けていかれるのかということも含めまして、ひとつ大蔵大臣から御説明をいただきたいと思います。
○三塚国務大臣 御案内のとおり、全銀協、全国銀行協会統一基準によって不良債権の発表を半期ごとにやらせていただいておるところでございます。既に昨年九月の締めでは二十八兆円、こういうふうに公示をいたしたところでございます。これは六カ月以上の延滞債権等、客観的に比較いたしたものであります。全銀協統一開示基準と言っております。
これに対し、今回発表いたしました七十七兆円は、発表を見ておられる方はおわかりかと思うのでございますが、各金融機関が実際の回収可能性に着目して分類をした自己査定結果についての公表であります。といいますのは、初めて当局が、みずから出してみてくださいという四分類の基準を明示いたしまして、集計をして発表いたしたということでございます。
御指摘のとおり、試行段階であります。比較可能性等の問題はありますけれども、今般の公的資金の活用を含む金融システム安定化のための緊急対策、大変な御議論を御展開いただくものと考えておるわけでございますが、国会の御議論の参考に資する観点から、集計し公表いたしました。
したがいまして、七十七兆円の中には、全銀協統一基準による公表不良債権の定義から外れていましても、実質的に見て回収が多少なりとも問題がある債権は幅広く含まれるということになりました。一般に、公表不良債権の額より多くなるものと考えられた結果がこうなりました。
また、ここの七十七兆円の中には、回収不能な債権等のほかにも、債権管理上注意を怠らなければ損失が発生しない債権、こういう位置づけのものが第二分類のところに出ておるわけでございますが、これが第二分類の中で多く含まれておりまして、七十七兆という集計は二分類、三分類、四分類。
ちなみに申し上げます。二分類は、各金融機関において債権管理上注意を怠らなければ、リスク管理をきっちりやっておりますならば損失が発生しない債権が多数含まれておるというところで、自主判断を金融機関に任せましたのが第二分類でございます。六十五兆二千八百九十億円となっております。そして第三分類は、回収に重大な懸念があるものという認定のもとで出させましたのが、八兆七千二百四十億円であります。そして第四分類は、回収不可能、ロスになりますという部分は二兆六千九百億円、こういうことで、この集計が七十六兆七千億円、いわゆる七十七兆というところに絞られるところでございます。
こういうことの観点から、まさに先ほど申し上げましたとおり、国会の御論議の資料として真剣にこの点がただされていき、その実態が明確になってまいりますと、我が国の金融システム安定のために、不良債権が最大のものであると。これが五十兆円であったり、八十兆円であったり、百兆円でと、いろいろ風説が飛んでおる中で、みずから出したというところに基本的な重みがありますし、出した責任もあるわけでございますから、そういう点で出させていただいたところでございます。
いずれにいたしましても、二十八兆円と七十七兆円は、基準のとらえ方が異なっておるということを御理解をいただきます。金融安定化策の議論の材料としてぜひとも御活用いただき、議論を賜りたいと存じます。
○中川(昭)委員 今後どうしたらいいですか。
○三塚国務大臣 今後につきましては、さらにこの論議の中で、論議を踏まえ、当局として、指導というんでしょうか要請というんでしょうか、当然ながら金融機関として信頼を得るためにはみずからやらなければならぬことでありますから、そういう方向に行くように期待をしながら、サポートをしてまいりたい、こう思っております。
○中川(昭)委員 今大蔵大臣がおっしゃられたように、七十六兆、まあ七十七兆のうち、六十五兆が第二分類。第二分類は、今おっしゃられたように、個々の経営判断できちっとできますよというものもあれば、いや、なかなか厳しいですよというものまで、結構幅広いものがあるわけでありますから、これは冒頭申し上げたように、経済がよくなれば、あるいは地価の底値感が超えて、さあ、そろそろ地価は上がっていくぞみたいな雰囲気が出てくれば、有担保主義の日本の金融貸し出しでありますし、その大宗は不動産でありますから、これから先、地価はどんどん反転上昇してくるぞみたいな雰囲気になれば、たちまちこの不良資産というものは大きく、極端に言えば変わってくるという、極めて変動的な、逆の部分ももちろん考えられますけれども、そういうものだろうと思いますから、そういう観点からも、景気回復あるいは減税、いろいろな対策がセットで必要になってくるということだろうと思います。
この際申し上げますけれども、財政改革も、私は経済の発展あっての財政改革だと思いますので、そういう意味でも、今回のいろいろな諸問題はそれぞれ密接不可分だというふうに考えております。
さて、そういう中で、先ほどからいろいろ話を申し上げておりました金融システムの安定のための対策という法案がこれから審議をされるわけでありますが、大蔵省がこういうパンフレットをつくっております。法律ができる前にこういうパンフレットをつくるというのは極めて珍しいことでありますけれども、国民一人一人に全く無関係ではない、借り手からいっても預金者からいっても、多くの国民に大きな関心のある問題でありますから、こういうパンフレットを、国民の皆さんに審議の段階でよく理解をしていただく、法案を審議するに当たっての参考資料として国民に見てもらうという意味で極めて意味のある資料だという意味で、このパンフレットに基づいて質問をさせていただきたいと思います。ここには多くの国民の素朴な疑問に対する回答もあります。
そこで、石崎岳議員にお手伝いをいただきまして、このパンフレットそのままをパネルにいたしましたので、これに基づいてひとつ質問をさせていただきたいと思います。大事な法案、政府・与党一体となって一日も早く上げなければいけない法案を国民の理解の中で一緒になって御議論をいただくということは、私は極めていいことだと思いますので、私はそういう方針でこれから質問をさせていただきたいと思います。
まず、今回のこのスキームでありますけれども、二十兆円の日銀等からの融資を受ける、それに対して政府が保証します、そして十兆円交付国債で、これはいつでも現金化できますというスキームになっておりますが、この右の下の十兆、二十兆、三十兆というスキームでありますが、預金の全額保護に十兆円使われます、それから、十兆の交付国債のうちの七兆円を預金の全額保護のために使いますということでありますが、この日銀等からの政府保証と交付国債を現金化することによって得られる七兆円というものの違い、順序、それについてまず御説明をいただきたいと思います。
○山口政府委員 お答え申し上げます。
預金の全額保護のための業務を行う特例業務勘定におきましては、七兆円の国債につきまして、金融機関の破綻処理に際し、保険料では賄えない債務超過相当分に対する資金贈与などに充て、十兆円の政府保証限度枠が付されている日銀等からの借入金につきましては、資金繰りとしての性格を踏まえ、破綻金融機関の資産の買い取り等の資金に活用することが考えられます。
他方、優先株等の引き受け等を行う金融危機管理勘定におきましては、三兆円の国債については、優先株等の引き受け及び引き受けた優先株等の売却等に伴う損失が発生した場合その損失の補てんに充て、十兆円の政府保証枠が付されている日銀等からの借入金などについては、資金繰りとしての性格を踏まえまして、優先株等の資産の買い取り資金に活用することが考えられます。
以上でございます。
○中川(昭)委員 パンフレットに基づいて説明していただきたいと思うのと、私は金融危機管理勘定についてはまだ聞いてないのですよね。
それで、クエスチョン一、経営の悪い金融機関を救うため、私たちの税金が使われちゃうのですかと。税金が使われるか使われないかは後でまた出てきますから、この際、経営の悪い金融機関とは一体何なんだろうか。
銀行あるいは金融機関、今いろいろな言い方があります。優良、健全、不振、不良、問題、破綻、あるいはうわさベースの話、さらには、今はいいけれども将来悪くなるかもしれない、あるいはまた、今は若干よくないけれどもこのスキームによってよくなる。そういう意味で、悪いという表現は非常にわかりやすいですけれども、こういう大事な国民的な公的なお金を投入する以上は、その悪いという意味の定義をある程度はっきりしておかなければいけないと思うんです。
やはり銀行に税金を使う。何か赤旗によると、一家四人で百万円の税金を銀行につぎ込むんだみたいな報道がされておるようでありますけれども、私はやはり、自分の預けている銀行あるいは信金あるいはまた農協、これはやはりみんな心配です、気になります。元気になってもらいたいと思うわけでありますから、ここで言う悪いというのは、もう少し具体的に、大臣、ひとつ御説明いただけますでしょうか。
○三塚国務大臣 これは、悪いというのは悪いという。客観的な基準は何かということになりますと、銀行検査部の検査の結果を見てやらなければならない。風説によってあそこは悪いんだろうということで、悪いという決めつけ方が難しい、こう思いますから、悪いというものは悪いということを前段申し上げましたことであります。
しかし、三党が示した基準、それを、閣法でございますから大蔵が中心となりまして、最終の詰めをほぼ完了しつつあるかな、提案できる段階まで参りました。その内容によりますと、審査委員会ができます。その審査委員会が状態を審査をして決めるということになって、そこで初めて判定が出る、こういうことであります。
○中川(昭)委員 悪いから悪いんだということは非常にわかりやすいんですけれども、実は全国に数千ある金融機関の中で、微妙な仕分けですね。さっきも申し上げたように、三洋から山一に至る破綻は一連のものであったわけでありますから、自分が悪くなくても、とばっちりが来る。ある日の資金繰りで突然おかしくなるということも十分考えられます。あるいは、ある日の資金繰りでもって、そこでもってぐっと体力を、乗り切ってよくなることもあります。
そこで、悪いという意味、それから全額預金を保護しますとありますけれども、この全額保護するというのは利息も含めてでしょうか。あるいは、預金以外の金融商品、例えば外貨預金とか金銭信託とか金融債とかいったものも含めて保護されているんでしょうか。御答弁をお願いいたします。
○山口政府委員 預金者の保護の形につきましては、現在の金融三法によりまして、特例的な業務を行うことができることになっています。二〇〇一年の三月までは、預金につきましては全額保護、これは利息も含みますし、あるいはもともと対象に予定しておりませんでした今おっしゃったような外貨預金、公金預金等も全部保護し得る形にしてあります。したがって、そういうものも全部保護するための財源としての性格を持たせるというものでございます。(中川(昭)委員「利息も」と呼ぶ)利息も入ります。(中川(昭)委員「利息も入る」と呼ぶ)はい、入ります。
○中川(昭)委員 今度は、全体のスキームの右側の方の、さっきの金融危機管理勘定の方でありますが、これがいわゆる金融システム安定のために、金融機関に優先株等でお金を出資する、あるいはまた債券を買うということでありますけれども、優先株等ということで、劣後債、劣後ローンということでありますが、いわゆる公的なお金で民間金融機関の株を買うということは、やはりこれは慎重を期さなければいけないと思います。当然のことだと思います。
それは、先ほど大臣からもおっしゃられた審査委員会の審査、あるいはその後の議事の公表、いろいろ手続が厳重になっておるわけでありますが、一つは、これはやはり先ほど申し上げたように、ある日一日の資金繰りによって金融機関がよくなったりおかしくなったりするわけでありますから、この審査機関がきちっと機能を果たすためには、迅速性、スピードというものが極めて私は要求されると思います。それに十分たえ得るようになっているのか。
それからもう一つ。これはクエスチョンの四ですけれども、金融機関の側、優先株を発行する立場から見ますと、これはやはり申請をして、そして承認を受けるに当たって計画書を出さなければいけないということで、ある意味ではお上に契約書を出すという非常にややこしい作業があります。
さらには、優先株が認められますと、これはそれ以外の株主、特に一般株主から見れば、株数がふえるわけでありますから一株当たりのいわゆるROEが下がってしまう。それでなくても、アメリカの十分の一と言われている日本の金融機関の一株当たり利益であります。こういうこと等を考えますと、株価の下落要因になる。株主重視の観点からはいかがなものか。その結果として、トータルとして、いわゆる格付機関の格付というものにもいい影響を与えないのではないか。
さらには、定款の中に、優先株を発行できることがまだ定款にない金融機関もあります。これは、臨時株主総会を開いて、価格あるいは発行限度を含めて優先株を発行する権限を株主から授与されるわけで、これには一、二カ月がかかると言われております。我々、当面の大きな山は三月末だという認識に立っておるわけでありますから、それから逆算すると、果たしてこのスキーム、できるだけ早く法案が成立したとしても三月には間に合うのか。
これらの諸点について、御質問したいと思います。
○山口政府委員 お答え申し上げます。
おっしゃるとおり、この対応策につきましては、現下の経済情勢、金融を取り巻く環境、期末のBIS規制の問題等を考えますと、極めて迅速に対応する必要があるわけでございます。したがいまして、いろいろ申請が出てきたときには速やかに対応できるような仕組みを早急に構築する必要があると考えて、全力を挙げてまいりたいと思っております。
それから、株数がふえる等の問題につきましては、優先株だけではございません、今回対応を考えておりますのは、そうした場合には劣後債あるいは劣後ローンという自己資本を充実する他の手段も用意してございますので、それをぜひ活用していただければと思うわけでございます。
○中川(昭)委員 もちろん緊急性あるいは経営判断でもって、優先株ではなくて劣後債、劣後ローンということもありますが、劣後債を発行するに当たっても、金利条件とかいろいろな条件、また非常に手数のかかる微妙な問題もありますから、ぜひそのこともひとつ、これは緊急性というものが、さっき言ったようにスピードというものが一番要求される大きなポイントだと思います。
私は、今回のこのスキーム、決して三十兆円の税金を投入するなんというものではない。少なくともこのスキームでおさまっていれば、政府保証の十兆、十兆、合計二十兆が、保証が履行される。つまり、一般会計からの繰り入れが行われる可能性は極めて少ない、ほとんどないと言ってもいいと私は思っておるわけであります、資金繰りの問題でございますから。そして、仮に贈与、融資等でロスが出たときには、七兆円で見ますと。
あるいは、優先株につきましても、これは株ですから上がったり下がったりするわけでありますが、これはやはり今、優先株、劣後債を引き受けてもいいですよという銀行がちらほら出始めております。そういう中で参考になるのがアメリカの例だと思いますけれども、アメリカが過去、こういう形で金融システムを安定化させたことがありますが、アメリカの場合、特に優先株を買い入れるときに、どういう状況であって、結果的にどうなったのかということを簡潔に御説明いただきたいと思います。
○山口政府委員 米国におきましては、一九三〇年の初めのころですから三二年、三三年、三四年のころに、大量の優先株の引き受けあるいは債券の引き受けをやっております。結果としましては、政府の方が黒字になったという、持ち出しは逆になかったというふうなことが記録に残っております。
○中川(昭)委員 やりようによっては、あるいは過去の参考例としては、アメリカは、いろいろいいところも悪いところも引き受けたけれども、結果的には勘定は黒字になって終わったということであります。
このシステムは預金者保護というのが最終判断でありますけれども、預金者保護になるためには、金融機関が破綻したりあるいは営業譲渡をしたりということで物すごくコストがかかる。したがって、預金者保護というのがある意味では一番コストのかかるものでありますから、金融システムを安定化させるためのこの危機管理勘定からの優先株等の引き受けというものの方がはるかにコストが安い、そして迅速だろうと私は思うわけであります。
以上の質問、やりとりを踏まえて、総理の御見解をお伺いいたしたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 確かに、金融機関が破綻をしその預金を全額保護するという事態の積み重ねというものは、事務的なコストも相当なものですし、かかる費用というものも非常に大きなものになることは間違いがありません。 今回の金融安定化対策、既に議員が御指摘のように、十兆円の国債と二十兆円の政府保証、その限度額の合計、合わせて三十兆円の公的資金を活用する仕組みになっている。そして、まさに御指摘のとおり、その三十兆円というのを丸々使ってしまうというものではないわけです。 例えば、その国債十兆円のうちの七兆円は預金の全額保護に充てるわけですから、これは金融機関がしっかりしていればそれはオーバーしていきません。あるいはどの程度の資金が必要になるかというのは、まさにその破綻状況その他で全然違ってきます。同時に、優先株などの取得につきましても、経営に失敗し破綻している、あるいは破綻に直面しているそういう金融機関など、損失が出る可能性の高いものは対象とすべきではないのです。 ですから、三十兆円のうちには、むしろ金融システムの安定という要素が確保された暁には返ってくる、そういう性格のお金が多く含まれているということをぜひ御理解いただかなきゃなりません。そういう意味では、議員が今御指摘になりましたように、安全性の高いといいますか安定性が高いといいますか、よりコストを少なくしてシステムの安定化が早期に実現し得る仕組み、私どもはそのように考えて、御審議をお願いしたいと考えております。 ○中川(昭)委員 これこそまさにスピード、一日も早い成立、実施ということでありますので、我々としても全力を挙げて審議をしていきたいと思います。 補正予算、減税、ちょっと時間の関係で、まとめて御質問をいたします。 景気回復のために、事業費一兆円規模あるいはゼロ国一・五兆円という公共事業を含めた補正予算が今回の審議で行われるわけでありますが、特に公共事業に当たっては、公共事業の伸び率が非常に例年に比べて悪い、少ない。特に地方における影響が大きい。私の地元の建設業協会の新年会でのあいさつというのは、来年の新年会には一体何社残れるでしょうねというのが協会長さんのあいさつでありまして、みんな、冗談半分で聞いている人はだれもいなかったというぐらいの状況であります。 したがって、この公共事業も、予算を一日も早く上げることによって、一日も早い施行ということにしていただく配慮が必要でありますし、特に中小零細さらには地方というものに十分御配慮をいただいて執行していただくことを、この際お願いだけさせていただきたいと思います。大蔵大臣もお願いいたします。 税について、一問、御質問をいたします。 今回の減税は、総理の御決断によって二兆円減税ということを年末ぎりぎりになってやって、事務当局も年末年始なしの作業で進めてきておるわけでありますが、今回の減税の特徴、つまり、できるだけ早い時期にやろう、二月からやろう、さらには一定額まで定額でもってやっていきますよということ等が特徴であります。 そういう意味で、なぜそういうふうにしたのかということについての御説明と、よく言われているのは給与所得者とか源泉徴収者でありますけれども、対象はほかにもどういう方がいて、どのぐらいの人にこの恩恵があるのかということを、説明をお願いいたしたいと思います。 ○薄井政府委員 十年度分所得税についての特別減税についての御質問でございます。 今回、十二月末に決めたものではございますが、景気の実情を考えまして、直ちにこれが適用できるようにということで、法律をこれから御審議いただかなければなりませんので、二月からでも実施できるようにということで工夫をしたものでございます。 年末調整が既に終わっておりますので、十年分所得税についてさせていただきます。そういたしますと、源泉徴収は一月から始まっておりますけれども、法律が通っておりませんので、法律を通していただけるならば、二月からの源泉徴収で対応させていただく。そういたしますと、四千七百万人からのサラリーマンの減税が二月から始まるということになります。年金所得者の方も同じように、これは二月の支給のときに対応ができると思っております。 事業所得者の場合は、まだ所得が発生し始めたところで、一年かかりますので、これは来年ということになってしまいますが、それでは遅過ぎるということで、七月に予定納税があります、このときに対応させていただきたいと思っております。 ○中川(昭)委員 とにかく、景気回復のためにもできるだけ早く減税をやるということで目いっぱい、これはもう理論的にも可能な限りということで二月実行ということでありますから、ぜひとも今月中に法律を上げていかなければならないわけであります。 そしてまた、減税で戻ってきた分については、これは私の全く個人的な考えなんですけれども、ぜひこれは有効な需要に回していただきたい。これも、そのままたんすの中にしまわれたのでは何の意味もない。国民経済的に見て何の意味もないということでありますから、ぜひ、先ほどのたんす預金じゃありませんけれども、この際思い切ってお子さんのために何か文学全集を買うとか、あるいはおじいちゃん、おばあちゃんの健康に役立つものを何か買うというような形で、有効な需要にひとつ使っていただくことが、二兆円の減税が逆に何兆円かの需要創出効果、そして税収に回ってくるというふうに思うわけであります。 これと関連しまして、最後でありますけれども、総理におかれましては、先ほどの二兆円減税の御決断と同様に、今後、今総理はやるべきことがたくさんありますし、それぞれ重要ですから、それを一日も早く全力を挙げてやっていく。やっていって、景気がよくなる、金融システムが安定する、これがもう目的でありますけれども、景気も経済も生き物でありますから、そのときにまた突発的なことがあったりなんかして、それでもさらに厳しいということになったときには、さらなる財政の追加措置、あるいは減税の継続といった問題も最初から排除することなく、今回の対策をもって打ちどめだということではない柔軟な姿勢で、今後のリーダーシップ、政権運営をやっていただきたいと思います。 今回、いろいろ一喜一憂するような政策と実体経済との間の関係がありました。私は、これからの政府というのは、ますます説明責任というものが大事になってくるんだろうと思います。これだけいいことをやりましたと言っても、きょう……(発言する者あり)わかっているよと後ろから話がありましたが、わかっていることでも、こうやってテレビの前で総理の口から、大蔵大臣の口から直接国民に語りかける、あるいは、こういうものは、国会の法案の議論のときに、国民にも一緒にこれでもって考えてもらうということも必要だと思います。スピードというものが大事であります。 さらには柔軟性ということで、今も申し上げましたように、基本的な六大改革というのは、これはもう中長期的な最大の目標でありますが、しかし日々の状況に対応する政策に対応していくという柔軟性と基本公約とは、決して私は矛盾はしないと思います。同時に存在できるものだと思います。 そういう意味で、一日も早い景気の回復、あるいは金融システム安定のために、総理のリーダーシップと果断な御決意のもとで、スピードとメリット、それから柔軟性と透明性というものをぜひ重視した形で、これから自信を持ってリーダーシップを発揮して政権に取り組んでいただきたいと思いますので、先ほどいろいろ申し上げたことも含めまして、何か物を、使ってくれということも申し上げましたけれども、それも含めまして、最後に総理の御決意をお伺いしまして、私の質問を終わらせていただきます。 ○橋本内閣総理大臣 いろいろな角度から御意見をいただきましたが、中川議員のお話、要するに、縮み志向になるな、そしてそれだけの、むしろ消費を拡大できるだけの自信を国民に持っていただくように努めろということだと思います。そうしたことを念頭に置きながら、これからも努力をしていきたい、そのように思います。 ○中川(昭)委員 ありがとうございました。
○海江田委員 おはようございます。民友連を代表しまして、質問をさせていただきます。
総理は、昨年十二月十七日の午前、緊急の記者会見をやりまして、二兆円の減税を発表されたわけでございますが、私ども、民友連の前の民主党、もちろん民主党はまだございますけれども、この特別減税の継続を主張をしておりましたので、これはもう歓迎すべきことでございます。ただ、私は、財政構造改革特別委員会で総理とも何度も質問をさせていただきましたので、やはり、この二兆円の減税ということを聞きましたとき、一瞬耳を疑ったといいますか、寝耳に水といいますか、そういう気持ちがしたのは事実でございます。
この減税と財政構造改革のお話でございますが、当時、私どもは減税を主張していたわけでございますが、総理は、減税はできない、しかし、景気回復と財政構造改革というのは決して二律背反するものではなくて、これは同時に進めていくことができるということは、その当時からおっしゃっていたと思います。
その財政構造改革と景気回復の二つは二律背反するものではないということは、また昨日の当委員会でも出ましたが、財政構造改革特別委員会のところでは、減税はできない、減税はできないけれども、景気回復と財政構造の改革は二律背反するものではないという論理立てですね、それが今度は、減税をやって、そしてしかも景気回復と財政構造改革は両立できるんだというふうに変わっていったと思うのです。
私は、やはり減税のあるとなしとで随分財政改革に与える影響というものは大きいと思いますので、減税をやりながらもなお財政構造改革に資することができるんだとおっしゃられるその理由というのですか、こういう仕掛けがあるから、実は減税をやって景気回復をやって、しかもそれが財政構造改革につながるんだという、そこのお話をいただきたいなと思います。
○橋本内閣総理大臣 ここしばらくの間、国会において行われました御議論、振り返ってみますと、一時期は、公共事業は悪と言うに近い御論議がございました。
そして、私どもは、その公共事業というものが一定の役割を果たしているということを申し上げてまいったことも御承知のとおりであります。
そして、議員から御指摘ありましたように、減税という御要求に対して、難しいということを私は確かに申し上げてまいりました。そしてそれは、現時点の経済また財政の現況を考えるとき、その減税財源というものは、その多くを、特に当時求められておりました減税の形態からいきますと、これを赤字国債に財源を求めざるを得ない、この選択は大変難しい。難しいということを私は繰り返して申し上げた、これを否定するものではありません。
しかし同時に、今回、今は補正予算でありますけれども、次年度予算と並行して御審議をいただくことになります次年度の税制改正の中におきましても、法人課税あるいは有価証券取引税、地価税等について改正を行っております。
私は、減税を全くしないというような言い方をしたことはないと思います。ただ、それはまさに、入るを図り出るを制する、よく言われます昔からの言葉がございますけれども、そのバランスの中で今回も政策減税を行っておることは御承知のとおりであり、減税というものを全く否定したということはないと思います。
同時に、まさに財政構造改革というものは、中期のスパン、二〇〇三年という我々は一つの時期を設定しておりますけれども、その間において臨機の対応をすることまでを全く放てきし、何ら起こり得る情勢に対して対応をしないということを申し上げたとは私は思いません。まさに私自身、ASEANプラス1、プラス3の帰途に、ここで特別減税を復活することが必要という判断をし、翌日、関係閣僚、与党それぞれに諮り、これを決定をしたことも事実であります。
○海江田委員 今、総理はかなり率直にお話しいただいたと思いますが、幾つかの論点が出てきたと思います。ASEANの方はちょっと後でお話をさせていただきます。
一つは減税の財源で、とりわけこの所得税の減税になりますと赤字公債に頼らざるを得ない、これがやはり財政構造改革の議論をしておったときはなかなか難しい問題であったという問題点、それからもう一つは、中期のスパンで考えなければいけないというお話と、この二つだろうと思うのですね。私は、まさにその赤字公債に財源を求めざるを得ないというところが、実はこの財政構造改革法と一番抵触する部分だろうと思うのですね。
これはもうもちろん私が繰り返すまでもありませんけれども、財政構造改革法というのは、まさにその赤字公債を二〇〇三年度までにゼロにするという、それから赤字財政をGDPの三%にする、この二つですね。その前者の赤字公債をゼロにするというところと、やはり今回これだけ減税を、所得税の減税二兆円をやることによりまして、補正の中に赤字公債を一兆四百八十億円新規に発行ということになりましたね。当初で七兆五千億でしたから、これによって八兆五千百八十億円という数字になりますが、ここのところをやはりどういうふうに二〇〇三年までにゼロにしていくのかということは大変難しい。
これまでも難しかったわけですけれども、毎年毎年一兆二千五百億ずつですか、削減をしていくという仮定計算がございますけれども、これがさらに難しいことになってきたということで、そこのところの新たな計算ですか、私どもがもう何度もいただきました表の中でこういう計算表があるわけですよね。これは当然のことながら、もう新しく置きかわっているわけですか。どうですか。
○橋本内閣総理大臣 今、大蔵大臣に確認をした上で御答弁を申し上げますが、当然ながら変化をいたしております。
○海江田委員 では、その変化の中を教えてください。
○涌井政府委員 昨年秋の構造改革法案の御審議の際に御提出しました試算につきましては、十年度当初予算の計数を踏まえて、ただいま資料作成中でございます。
○海江田委員 資料作成中ということでございますが、本来でしたら、これはまさに減税で一番影響を与えるところでございますから、本委員会にもう既に配られていなければいけないのですね。
それが、今総理と大蔵大臣は、当然のことながらつくっておるとおっしゃる。それは当然のことだろうと思います、政治家とすれば。当然それが出ていなければ議論ができないわけですから。ところが、事務方はまだつくっていないということであります。これは一日も早く、まさにこの減税の絡んでいます、この補正予算の審議中にそれはやはりつくっていただきませんと議論ができませんので。
アバウトな計算でいえば、今もお話をしましたけれども、一兆四百八十億円赤字公債がふえたわけですから、それによって、当初でしたら、この表によりますと毎年一兆二千五百億円で計算ということになるのです。私がきのう、資料がありませんから自分で計算しましたら、単純計算をすれば一兆四千二百億円という計算ですけれども、それがいいのかどうなのかということも含めまして、これは非常に単純な計算ですから。
それから、これはもちろん要調整額だとかいうことを全然抜きにした話ですし、それから成長率も一・七五から三・五の範囲内でという話でやっておりますから、そういうものがどういうふうになったのか。当然のことながら、これは出ていなければおかしな話でございますから、これはぜひ出していただきたいということでございます。それを委員長から大蔵省にお願いをします。
○松永委員長 涌井主計局長、もう一回詳しく説明してください。いつできるかということも含めて。
○涌井政府委員 お答え申し上げます。
資料全体につきましては、今鋭意作業中でございます。
ただ、赤字国債の数字につきましては、単純にこれは二〇〇三年までゼロということでございますから、昨年出しました毎年度一兆二千五百億が、さらに毎年度約二千億程度削減幅が大きくなるということになろうかと思います。
○海江田委員 それから、当然のことながら、財政健全化の目標もありますから、財政赤字の対GDP比三%にするという場合、今まででしたら一年当たり国債の部分で〇・二五%の改善でよかったわけですけれども、これがどういう数字になるのかということ、この二つの表がありませんと、本当のことを言いまして議論にならないのですね、これは。そういうものが今現在出ていないということ、これは一日も早く出していただきたいと思います。
いずれにしましても、これはもうこれまでの財政赤字のゼロにする計画にさらに上積みになったということは事実でありますので、これまで以上にそういう意味では厳しくなったということは、私は当然のことながら、これは委員長、資料としてこの委員会に出していただけると……。
○松永委員長 もう一回、主計局長、いつ出せるような状況になるかどうか、正確に答えてください。
○海江田委員 期日を、いつ出てくるのか、それだけちょっと。
○松永委員長 主計局長、いつできる。
○涌井政府委員 作業につきましてはただいま行っているところでございますが、また当委員会とも御相談して、提出時期を決めていただきたいと思います。
○松永委員長 それでは、海江田委員、十二時二十分から理事会を開きますので、その理事会の席までに、いつ出るかということも聞いておきまして、理事会で諮って対応します。
○海江田委員 どこまで話したか、まあ厳しくなることは事実でございますから、それだけの覚悟をしなければいけないということでございます。
ただ、話を戻しまして、総理が十二月の十七日に、二兆円の減税をやるというお話があったときに、私は最初に若干耳を疑いましたけれども、その後に考えたことは何かといいますと、実は、従来の私どもの主張であります赤字公債と建設公債の区別をもうなくしてしまえば、この話というのは非常にすっきりと納得のいく、あるいはいろいろ議論をする場合に非常に整合性のある理屈立てになるかなというような感じを持ったわけでございますね。
この建設公債と赤字公債の区別をなくすということは、私自身も財政構造改革の委員会で質問をさせていただきましたし、同じ民主党の生方議員も質問をしました。生方議員が質問をしたときに、総理は大変時宜にかなった議論であるということをお話をされましたけれども、時宜にかなったというのは、非常にタイミングのいい話だ、議論をするのなら今だということだろうと思うわけでございます。
私は、総理が減税をやる、とりわけ所得税の減税をやるというとき、やはりそれが、一番ネックになったのがまさに赤字公債の発行の問題であるということを今正直にお話しになりましたから、この問題を解決をするのには、まさにその赤字と建設の区別をなくすことが一番手っ取り早いんじゃないだろうか。手っ取り早いといいますか、それによって初めて財政構造改革法との整合性というものが図れるのではないだろうかというふうに考えるのですが、いかがでしょうか。
○橋本内閣総理大臣 確かに、生方議員からこの問題が提起をされましたとき、私は時宜にかなったということを申し上げました。その上で、これを正面切って公式なお答えをするとすれば、財政法上のお答えを申し上げなければならなくなります。そして、財政法上、健全財政主義という原則のもとに、負担の世代間公平という考え方に立って、公共事業等について例外的に建設公債の発行を認めている、こうした原則から離れて、建設公債とは基本的な相違のある特例公債との区別をなくすことには特に慎重であらねばならない、こうした公式のお答えを申し上げることにならざるを得ません。
しかし同時に、例えば六十カ年という年数の国債、建設国債のみが本当にいいのだろうか、より期間を短縮した、そして機動的に対応し得る、また、六十年も存在し続けるものではないものに対する公債による対応というものはできないものなのか、そういった思いがあることも私は隠しません。
○海江田委員 六十年でない償還も考えた国債ということのお話がございまして、これも新しい一つのこれからの考え方だろうと思いますね。
総理が一番よく覚えていらっしゃると思いますけれども、自民党も、その昔、いわゆる情報産業なんかに対する投資、景気対策のため、それを建設公債で充てられないだろうかということを検討したことがあるというふうに聞いておりますが、そのとき、結果的にだめになりました。たしか七年ぐらい前ですかね、もうちょっと前ですかね、五年から七年ぐらい前だろうと思います。
やはりあの時点で、本当のことを言いますと、そういう情報産業に対する情報インフラというものを整備しておくと、二十一世紀の日本というのは随分明るいものになったのではないだろうかというような気もしております。やはり今の、六十年で償還をしなきゃいけない、六十年の耐用年数がなければいけないという、この建設公債の縛りがあることによって随分財政出動というものの幅が狭められております。
それから、何といっても、これは大蔵委員会で議論したところですので総理はお聞きになっていないかもしれませんけれども、私が言いましたのは、確かに発行するところでは建設と赤字公債、特例公債は非常に区別をはっきりしておるわけですけれども、実はそれの償還の方はもう全部一緒にひっくるめまして特別会計で、財政整理基金の特別会計のところでやっている。
しかも、赤字公債の発行残高がふえましたから、全体の残高のもう三分の一がその六十年の裏づけのない、それこそ赤字公債になっているわけですね。それを全部ひっくるめて、それで六十分の一で償還をしているわけですから、これはやはりおかしな話でありまして、その赤字公債が本当に十分の一でありますとか五分の一でありますとか、そういう時期ならまだしも、もう残高の三分の一になってそれを全部ひっくるめてという話からいうと、やはりこの特別会計のあり方そのものも考えていかなければいけないというふうに私は考えます。
今、六十年の期間をもう少し短くした方法はないだろうかというようなお話もございましたけれども、ただ一番わかりやすいのは、建設と赤字をなくして、これは世界の国々でもそういうふうにやっております。ドイツと日本だけですか、残っております。ドイツも一部であります。
そういう状況でありますので、これはいろいろな意味でのグローバル化ということも叫ばれておるときでありますから、これは今すぐ区別をなくすということは言えないかもしれませんけれども、やはりこれはまさに時宜にかなった議論であって、大いに議論をして、そして、それによっては財政構造改革法だって私は見直しをしたっていいと思うのです、まずその前に財政法の見直しをするわけでございますけれども。
財政構造改革法というのも、先ほど総理もちょっと言いました中期というものをどのくらいにとるかという問題。今二〇〇三年ということで後ろを決めておりますけれども、これは我が党は、菅さんなんかも、何も二〇〇三年にこだわらなくて、もう少し延ばしてもいいのじゃないですかというようなことも提案をしておるわけですから、やはりそういうことも含めて、財政法、財政構造改革法、この赤字公債と建設公債の問題から入っていって、すぐ見直すということは言えないかもしれませんけれども、少しお考えになってもいいのじゃないですかね。いかがでしょうか。
○橋本内閣総理大臣 今私は、公式のお尋ねがあればこうお答えをしなければなりませんという前提で私なりに問題意識を率直に申し上げました。私は、議論を深めていただくことに何ら異論があるものではありません。
○海江田委員 議論をやってほしいということですから、そういう意味ではある程度柔軟性があるというふうに理解をしますが、実はこの委員会で大きな問題になっております減税の恒久化の問題も、私はこの赤字公債と建設公債の区別をなくすという議論を抜きにしては語れないと思うのですね。
私は、総理がきのうの委員会でも、減税の恒久化ということについては、そういう必要性の起きないように努力をしようというような言い方を、非常に巧みな言い方をしておられました。私は、その前に代表質問を聞いておったときは、もう少し前向きな、あの代表質問の後、新聞が一斉に、総理は減税の継続に含みとかその可能性があるとかいうことを非常に大きな見出しにしましたね。私はそのとおりだと思う、あの演説を聞いておりますと。
それによって、実は株価なんかも随分高くなったわけです。追加措置が出てくるということで非常に買われたわけです。総理もおっしゃっておるように、市場はそういう追加措置というものを織り込み済みだということでございますが、その追加措置を、減税を恒久化するためには、この赤字公債と建設公債の区別をなくさないと私はできないのじゃないかというふうに考えております。それは、先ほどもちょっとお話をしました。
それから、まだ詳しい数字は出てきておりませんが、この数字が出てきたときに、財政事情のこの試算の数字が出てきておりませんが、非常に単純な計算をやりましても、赤字公債の部分について見ると、先ほどもお話をしましたけれども、毎年毎年一兆二千五百億円の減額のところに、さらに二千五百億ぐらいの減額の目標ができたわけですから。これはことし一年の話ですからね。たったことし一年についてもそれだけふえてくるわけですから、これを恒久化しようということになったらさらにこの数字が膨らんでくるわけですね。
そうなってくると、これは果たしてできるんですかね。減税の恒久化と、今のままの、赤字公債と建設公債を截然と区別をして赤字公債を二〇〇三年までにゼロにするという考え方が成り立つものですかね。私は、それは今のままでは成り立たない。よほど大幅にそのほかの歳出をカットすればできるかもしれない。
だけれども、歳出自体が、もちろん一部公共事業などの中には経費が高いとかいろいろなむだもございますけれども、それは随分今度の財政構造改革法でぎりぎりぎりぎりにキャップもかけまして削減をしていったはずなんですよ。そこからさらに恒久減税をやって、しかもその財源を二〇〇三年までに、赤字公債、最初は赤字公債でしょうけれども、その赤字公債を二〇〇三年までにゼロにするという目標が果たして成り立つものでしょうかね、これは。そこはぜひおっしゃってください。
○橋本内閣総理大臣 先ほどから、先ほどからというより先ほども申し上げたことでありますけれども、今、財政構造改革法が通過、成立をさせていただきました後、最初の予算、すなわち平成十年度予算編成をいたしました。そして、その中でも非常に苦労しながら、それぞれの施策の見直しを進め、制度改正を織り込み、本予算を編成したわけであります。そして、であるがゆえに、私は、赤字公債を財源とする減税は難しいという言葉をずっと申し上げてまいりました。その難しさを私は否定しているわけでもありませんし、軽視をしているわけでもありません。
しかし同時に、財政構造改革というものの必要性も私は認めていただけると思います。そして、今例えば公共事業にキャップをかけたというお話が出ました。その結果として、よりスリムな査定が行われていると私は思いますし、当然ながら優先度のチェックも今まで以上に厳しい、今までだってやっていたはずです、より厳しいチェックが働いている、そう考えております。そして私は、難しいという言葉を使って申し上げてきたと思います。
○海江田委員 私が言っておりますのも、財政構造改革を否定するものではもちろんありませんし、財政構造改革というものとそれから景気回復というのは、私も両立をすると思っております。
ただ、昨年成立をしました財政構造改革法ですね、これは与党の中にも随分批判のあった内容だと思いまして、私は、これは金甌無欠なものだとは全く考えていないのですね。むしろこれを若干、本当の意味での財政構造改革を成功させ、しかも景気回復を図りつつ財政構造改革を成立させるためには、一度決まった法律ではありますけれども、これをかなり柔軟に考えまして、やはり実現不可能なところは、あるいは肝心の景気を押し殺してしまいそうな部分というのは、もう一度改むるにはばかることなかれではないだろうか。
そして、もし財政構造改革法、決まったばかりでございますけれども、これを改めるとしたら、その一つのポイントというのは、まさに財政法と絡んだところの赤字公債と建設公債のところだ。
この赤字公債と建設公債のところの区別を一緒にして、そして総体で国債を管理をしていく。国債の残高をこのくらいにしていく、あるいは新規の発行をこのくらいにしていくということでやりますと、総理が行いましたこの二兆円の減税の話も、それから、これからやはりマーケットは期待をしておる、あるいはきのうから出ておる織り込み済みということでいえば、もう減税の継続というのは、これは織り込み済みの話なんですよ。それがもう一度、いわゆる財政構造改革法のところに縛られてしまってそれができないということになったら、そこでかなりまた失望というものが出てくるわけです。
私は、やはりそういう問題を回避する意味でも、この二つの区別を、赤字公債と建設公債の区別をなくすということが一つ。それからもう一つは、やはり二〇〇三年というのは、何が何でも二〇〇三年でなきゃならないのかということについても若干考えてみる必要があるのではないだろうか、そういうふうに考えておるわけでございます。
何が何でも二〇〇三年なのか。あるいは財政構造改革法というのも本当に、これから少なくとも二〇〇三年までとか集中改革の最初の三年間とか、何が何でもあの法律をそれこそ守っていくんだと。欠点の一つもない、さっきちょっと難しい表現をしました、金甌無欠というのですか、そういうようなものだというような認識を持っておるのかどうなのかということをお聞かせいただきたいと思います。
○橋本内閣総理大臣 一瞬、金甌無欠という表現が出ましたとき、非常に懐かしい用語を用いられたという感じとともに、平成九年度そして十年度、今、補正予算とともに本予算を御審議いただこうとしておるわけでありますが、昨日国会に提出をいたしました平成十年度予算、これは今、法人、金融、土地などの減税等によりまして、当然のことながら大幅な歳入の減収が見込まれる、その中におきまして、公債減額について一兆一千五百億円、特例公債につきましても三千四百億円の減額を達成しつつ予算編成を行いました。
これは、現下の経済金融情勢を考えますと、財政構造改革法が成立後初めての予算としてはしかるべき減額を立てられた、そう考えておりますし、今議員からも御指摘がありますように、その一歩を踏み出しましたけれども、いずれにしても、特例公債依存からの脱却等の目標というものは容易に達成されるものではない、今後ともやはりそうした意識は持ち続けなければならないというのは、私はお互いに考えておくべきことだと思います。
その上で、であればこそという言葉を用いてはいけないのかもしれませんが、私は、その生方議員の展開をされましたときにも、時宜に適したという言葉を確かに用いた記憶がございますし、こうした御議論を深めていただく、それに何ら異論はないということも申し上げてまいりました。
同時に、その二〇〇三年という時期設定、これは、与党三党の中におけるさまざまな論議の中からこれを設定したものでありますし、集中改革期間という発想もその議論の中からまとめ上げたものでありますが、その後において起きております変化、言いかえれば大規模金融機関の破綻あるいはアジアの経済情勢というものを何ら、少なくとも表面化してはおりませんでしたから、そういう中でまとめた議論であることも、これは御指摘を受ける前に事実として申し上げておきます。
そして同時に、やはり本来目指している方向というものは間違っているものではない、であればこそ国会においても私は御承認をいただき、スタートをさせたと考えておりますし、その限りにおいて、その範囲内でできる努力というのが今政府に与えられた権能であろう、私はそのように思います。
○海江田委員 ちょっと後ろの方が。議論をしてください、議論をしてくださいということはよくわかるので、その議論をしてくださいとおっしゃっている、その背景の総理の思いというのもよくわかるわけでありますが、やはりそこは、内閣を統括して日本を引っ張っていく総理としては、議論をしてくださいというお話だけじゃなしに、二兆円のときはあれだけ勇気を持っておやりになったわけですから、今度のこの措置につきましても、二兆円を一回やったわけですから、それをどうやってきちっと景気回復に結びつけをしていくのかというところでいうと、やはりさらにもう一歩の詰めが必要であります。
その詰めが、私は、まさにこの財政構造改革法の見直し、まあ見直しと言ってしまうと抵抗があるかもしれませんけれども、とりわけ二〇〇三年の部分とそれから建設と赤字の公債の区別のところ、見直しというよりも、これは改正と言えばいいのかもしれませんけれども、やはりそういうこともお考えになった方がいいのではないだろうかということを先ほど来るるお話をしておるわけでございます。
これは引き続き本予算のところでも大いに議論をさせていただきますので、本予算はとにかく予算書が出てこないことには議論ができないわけですから、これは一日も早く出していただかなければいけないと思います。(橋本内閣総理大臣「予算書は提出してあります」と呼ぶ)もう提出してありますか。では、細かなところでございますけれども。
それから、さっきのアジアの通貨危機の問題ですね。きのうも減税の中で、一つの踏み切るきっかけになったのはアジアの通貨危機があったからだということをおっしゃっていましたけれども、このアジアの通貨危機の日本経済に与える影響というのは、これはいろいろな形で言われておるんですね。被害が極めて軽微だというような言い方と、それから昨日あたりの総理の話を伺っておりますと、これはやはりかなり深刻なものだというような受け取り方と。
これは実際のところ、これは経企庁になりますか、アジアの通貨危機というものが日本経済に与える影響というものをどういうふうに見ておられるのかということをお話しいただきたいと思います。
○尾身国務大臣 アジアの経済状況でございますが、昨年夏以降、幾つかの国で金融・通貨市場に大きな変動が生じておりまして、通貨価値が下落をし、企業倒産がふえている、あるいは生産調整を余儀なくされている、株価も急落など、不安定な状況にございます。各国とも状況は異なりますけれども、経済状況が相当深刻なものになっているわけでございます。
我が国に対する影響でございますが、幾つかに分けまして考えますと、アジアの諸国に対します輸出それからアジア諸国からの輸入、それからアジア諸国向けの債権の不良債権化という問題、さらには進出企業の収益の悪化というようなことを通じまして、日本経済にも悪影響を及ぼすことが懸念をされているわけでございます。
これらの影響のうち、特に輸出の動向でございますが、ASEAN四カ国、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン向けの輸出でございますが、昨年の四―六月、前年同期比で一三%増でございましたが、七―九月には三・六%増に増加率が低下をし、十月には一・〇のマイナス、十一月には一一・四%減と減少に転じております。韓国向けの輸出も、四―六月は二・八%増でございましたが、七―九月で七・八%減、十月は四・八%増になりましたが、十一月はまた七・二%減ということで、総じて減少傾向にございます。
これらの国々の我が国の輸出入全体に占める割合でございますが、ASEAN四カ国で輸出入とも大体一二%、それから韓国向けが、輸出が七%、輸入が四・六ですから五%ということになっておりまして、そんなに大きい比率ではございませんが、しかし、これらの輸出入の動向を注意深く見守っていく必要があると考えております。
それから、邦銀、日本関係銀行のアジア向け融資でございますが、景気の減退が懸念されておりますタイ、インドネシア、韓国向けの融資がかなりございまして、ASEAN四カ国で七百三十五億ドル、韓国向けが二百三十七億ドルということになっております。
さらに直接投資でございますが、タイで累積残高が三兆七千億、インドネシアが同じく一兆三千億、韓国が同じく円ベースでございますが一兆円ということで、日本からの直接投資がかなりの額になっておりまして、アジア経済が大幅に減速するという事態になりますと、これらの邦銀の債権の不良債権化や、あるいは現地に進出している企業の収益悪化というようなことが問題になる可能性もあるわけでございます。
しかしながら、これらのアジア諸国の経済のファンダメンタルズ、潜在的な成長力はかなり高いというふうに考えておりますので、私ども、IMFを中心とした支援の枠組みの中で積極的に対応をし、このアジア経済が本来の活力を取り戻すよう全力を尽くしてまいりたいと考えている次第でございます。
○海江田委員 今、多方面にわたって、私が聞きたいことはほとんどその中に入っておりました。ただ、若干、例えば日本の金融機関の対アジア、ASEANとプラス韓国でよろしゅうございますが、融資額はわかったわけですけれども、実際そこのどのくらいが焦げつくかとか、これはまだ今現在ではなかなかわかりにくい話でございます。円ベースにしまして、十兆とまではいかないでしょうけれども、五兆とか七兆とか、そのくらいはやはり可能性があるなということもある程度覚悟しておかなければいけないのかなというふうに思ったりもいたします。
それから、貿易の場合でも、対ASEANでいうと、前年比大体十何%伸びていたのが、それがゼロになったという仮定で計算をしてみましても、輸出自体が、日本からの輸出ですね、これがGDPの中に占める比率というのは大体一〇%ぐらいですから、その一〇%のところが、去年伸びた分が減ってどういうふうになるかとかいう計算をすると、輸出の伸びというのは、ことし、九八年度に限って言うと、やはり前半に若干影響が出てくるということだろうと思いますけれども、それ自体はそれほど大きくないかなとか、幾つかいろいろな数字が出てくると思うのですね。
あともう一つ、これは尾身長官にお尋ねをするのか、あるいは大蔵大臣になるのか。
日本が既に支援策を決めましたね、これは総理もよく御存じだろうと思いますけれども。ただ、支援策の中で一つお尋ねをしたいのは、タイへの資金援助、これは輸銀の資金を使ったということ。それから、いわゆる第二線資金という、インドネシアと韓国でございますが、これはどこからの資金を使っておるのですか。額と、それからその資金の出どころというのをお話しいただきたいと思います。
○黒田政府委員 事実に関するお尋ねでございますので、私の方から簡単に御説明申し上げます。
委員御指摘のとおり、タイに対する我が国の支援は四十億ドルでございましたが、これはいわば第一線的な支援でございますので、輸出入銀行から支援をいたしました。
インドネシアと韓国に対しましては、第二線準備的支援ということで、御指摘のとおりでございまして、これはまだ実施しておりませんけれども、そういう準備をしておりまして、これは外貨で、我が国の外為特会からの短期のスワップという形でドルを供給するという予定になっております。
額を申し上げますと、インドネシアに対しましては五十億ドル、それから韓国に対しましては百億ドルを限度とするという考えで臨んでおります。
○海江田委員 外為特会からそういう形でドルのスワップにしてということ、もちろんまだ発生していませんが、ただ、これもなかなか見方が難しいところであります。きのうあたりは一段落しましたけれども、まだまだこれから深刻化する可能性もあるわけです。そうなった場合、従来の外為特会の運用からすると、かなりこれは特異、特例な運用ではないですか、いかがですか。
○黒田政府委員 先ほど申し上げましたとおり、我が国の外為特会の持っております外貨、ドルを相手国の通貨とスワップするわけでございます。これは直物で売って先物で買い戻すという売買でございまして、従来から外為特会としてはそういう取引ができることになっております。
それから、そう多くあったという取引でないことは事実でございますけれども、普通に貸す場合と違いまして、スワップで相手国の通貨を取得いたしますので、それから、買い戻すときの価格も決めておりますので、為替リスクといったものは存在しないということになろうかと思います。
○海江田委員 わかりました。ただ、予約はつけられるわけですか、ちゃんと。つけているわけですね、これは。ああ、なるほどね。
そこのところをやはりしっかりしていただきませんと、やはりこの外為特会もなかなか見えにくい資金でありますので、その資金繰りがどうなっているのか、あるいは一部には評価損なども出ているというふうなことも聞いておりますので、この評価損が一体どういうふうになっておるのか、どのくらいに膨らんでおるのかというようなことも、とりわけこれから、第二線級ですから、まだ実際一線には出ていないわけですけれども、やはりそれだけの覚悟をしておかなければいけないということになると思いますので、これは本当に適宜適切な情報公開というものが必要だろうと思います。
それからもう一つ、そういう形でタイ、インドネシア、韓国、それぞれ資金援助の形を決めたわけでございますが、これは新聞報道などを通じて見ておりますと、昨年の秋口には、三塚大蔵大臣もバンコクに行きまして、そしてここでアジア通貨基金、AMFというものの構想があった。ところが、いつの間にかそのAMFの構想というものが立ち消えになりまして、そしてIMFが前面に出た処理になった。
十一月ぐらいが大きな転換点だったというふうに報道等では報じられているわけでございますが、ここのてんまつといいますか、どうしてAMFという構想が出てきて、そこに我が国が、かなり三塚大蔵大臣は積極的な発言も九月時点ではされておるように承っておりますが、その積極的な発言をされておったAMFの構想が急激にしぼんでしまって、そしてIMFに、後をついていくといいますか、IMFの枠の中で日本が資金を出すというようなお話になったのか、できたら三塚大蔵大臣からお話をいただきたいと思います。
○三塚国務大臣 経過は委員御指摘のとおりであります。
ただ、内容的に申し上げますと、IMFの仕事、役割というものは、御案内の、世界通貨安定、マクロ経済の活性、こういうことであります。タイ国に発しましたバーツ危機に対しまして、まずASEANと、アジアの日本でありますから、当然のことながらバイの会談も行われたところであります。早速の要請でございました。
そういう中で、全体を動かして、世界的な中で一国の通貨を安定させるということがポイントでございますから、我が国としてもIMFに要請、サポート申し上げました。当然タイ国に対しましても、IMFを除いてお国の通貨安定は期しがたい、経済の安定も期しがたい、よって、政府の決定を経てIMFに正式に申し込んでほしい、こういうことで申し込ませたところでございます。
その際、東京で会議を開き、ASEANはASEAN、アジアはアジアということで助け合おうという、自然発生的に各国代表から声が出ました。日本が中心となってその枠組みをつくる、IMFから除外するわけではない、まず自主的に自助努力をアジアはアジアでということでございました。
しかし、やはり全体的な流れの中で取り組みますことが大事なものでございますから、日米の関係もこれあり、当然、米国との相談もさせていただき、米国も最大の関心を持つ、こういうことであり、ヨーロッパもそうでございました。
その後行われましたG7の会議におきまして、世界的な機関は機関として大事にしながら、世界銀行もある、アジア銀行もありますものでございますから、これを補完する意味で、アジアはアジアとして今後の通貨安定、経済発展のために協調をしましょう、こういう枠組みに統一をいたしたところであります。これがマニラ・フレームということで、首脳が出て、橋本首相も出、取り決めた。その前に、バンクーバーでしたが、APECの首脳会議と、二回にわたって、そっちが先でありますけれども、取り組まさせていただいたという経過でございます。
○海江田委員 実際の交渉の経緯というのはなかなかつまびらかにできない部分があるかもしれませんが、外から見ておりますとどういう印象を受けるかというと、おっしゃるように、最初のAMFの、アジア通貨基金の構想が出てきたのは確かにマハティールさんなんかで、自然発生的に出てきたという話はそのとおりだろうと思いますが、そこで日本もやはりアジアの兄貴分としまして、昨日来言われたガンかカリか、ガンとカリは同じか違うのか、私もよくわからないのですが、皆さんそれぞれの言い方があるようですが、そこのフロントランナーとしての責任があるのではないだろうかということで、このAMFの構想を打ち出されたと。
それで、それは少し中長期的に見ますと、やはり円の国際化という問題とも密接に絡んでいるのではないだろうかというような考え方が、当然のことながら私はバックにあったと思うのですね。それが、アメリカがそれではいかぬということでそのAMFの構想というものを打ち消しをして、結果的にIMFに統一をされるということになった。やはりそこで、日本が失ったアジアからの信頼でありますとか、あるいは世界が日本を見ていた目というものは、あのメキシコ危機のときは何といってもアメリカが前面に出てきて、そして一年で解決をしてアメリカはよくやったという評価につながったわけでございます。
やはり今度のアジアの危機に際して、日本がそういう意味では、先ほど来お話のありましたように、確かに資金を出す、もう既に出した、あるいはこれから何か一たん事があったときに出すための準備はしているということでありますが、それが本当に円の国際化でありますとか、それからアジアのとりわけ経済の問題を日本がしっかりしてこれを支えていくんだというような評価につながっていかないと、お金を出すだけになってしまうのではないだろうかというふうな考え方もあるわけでございます。
それに対して、いや、そうじゃないんだということがはっきり言えるのかどうなのか、お聞かせ願いたいと思います。
○三塚国務大臣 ここのところ、我が国とASEANの関係は極めて緊密でありますことは、御承知のとおりであります。同時に、世界の中で最も発展可能性、成長率の高い地域がアジアでありますことも御案内のとおりであります。貯金率も、我が国だけではなく、アジア諸国も四〇%前後でございます。勤勉であります。それで資源国であります。人口が多うございます。こういうことの中で主要な役割を果たしてまいってきたことも事実であります。
そういう中で、タイ・バーツの不安定、危機が訪れましたときに、率先してこの支援体制を決しましたのも日本でございました。前段申し上げましたとおり、IMFと直ちに連携をとりながら協調体制に入ったわけでございまして、我が国のイニシアによりまして、ASEANの諸国、香港、中国まで参加をいただき、支援体制をしかさせていただきました。それがAMFへの一つのきっかけになったことも事実であります。
そしてインドネシア、インドネシアに対しましても、いち早く相談を、首脳にも、私のところにもあったわけでございまして、それについて、ASEANの大国でもこれあり、あそこに通貨不安が、危機が訪れますと、ASEANが大変な状態になり、アジアが大変になり、我が国にも押し寄せてきますものでありますから、そういう点で全力を尽くさせていただいたところであります。
海江田委員言われますように、円の国際通貨化というのは、国家とすれば、また政府とすれば、また日本人とすれば、そういう時代があってもいいのではないかという願いがあったことは事実であります。しかしながら、ストレートにそれを行うことによって世界通貨の協調が行われ得ないということになってはいけませんものでありますから、APECにはいつも米国が参加をするという常連になってきておることでございますから、連携を深めながらということで、両々相まちまして取り組む。
しかし、通貨対策ということであれば、IMFを中心に、AMFは補完的な立場の中でしっかりとサポートしていく。先々アジアがそれだけの可能性のある地域でございますから、そのときはそのときとしても、連携を深めて、協調、そして共存共栄、こんな理念の中で取り進められたもの、こういうことであります。
○海江田委員 いずれにしましても、AMFの構想が挫折をしたということは、やはりまだまだ円の国際化ということにはほど遠いのではないだろうか。あるいはアメリカなんか、非常にストレートな物の言い方をすれば、日本は、あなたそんなことを言うけれども自分のところに問題があるんじゃないの、自分のところの問題を解決してから、アジアの中の兄貴分だとかなんだとか言ってくれというようなニュアンスの考え方がやはり基本的にはあるのではないだろうか。
そういうことは、このAMF構想の、まあ私はあえて挫折と言わせていただきますけれども、その中からやはり我が国としては教訓化をしておかなければいけないのではないだろうか、そういうふうに思います。その意味で、このいわゆる日本の金融システムの安定というものは非常に大事なわけでございます。
日銀総裁にもお越しいただいておりますが、お聞きしたいのは二つございまして、一点は、今回かなり大量の資金を、まあこれはもちろん、まだ全部を一度に出すという話ではございません、先ほどの第二線配備と同じような考え方の部分もございますけれども、やはりこれから金融機関の破綻に、とりわけ一般の金融機関の破綻にまでも公的支援を行うということになりますと、結局、その公的支援したお金が市場に出ていって、流動性がかなり強まってくるのではないだろうかということは、私は昨年もそういう可能性というものを指摘をしたわけでございますが、今度の場合、やはり規模がかなり大きくなってまいりますから、これが過剰流動性になりはしないだろうかというおそれ、これに対して日銀はどういうふうな見方をとっているのかということが一点。
それからもう一つは、これは日銀の総裁にお答えをいただくのは難しいお話かもしれませんけれども、私は、今の銀行の預金金利というものが異常に低いと。もちろん自由金利でございますから、市場が金利をつけるということが大原則になっておりますけれども、ただやはり、例えば一年物に預けをしまして〇・二%とか〇・三%とか、しかも、何か〇・二とか〇・三だとかいうと、それが当たり前のようになってしまいますけれども、実はこれは、公定歩合が〇・五ですから、公定歩合よりさらに低いわけですよね。
これまで私が調べた限りでは、金利が上下したときがありますけれども、例えば一年物の定期預金の金利が公定歩合以下であるというのは、公定歩合が今度〇・五になって、二年ぐらい前に初めてそうなって、それ以前というのは、ずっと二十年ぐらい調べてみましたけれども、公定歩合以下というのはないのですよね。
そういうものを、自由市場で市場が決める金利だから、そうやって公定歩合以下の預金の金利にしておって、一年物の定期の金利にしておいて、それでいいということなのか、全く問題がないのかどうなのか、やはりこれは少し異常だよという認識をお持ちなのかどうなのか、その二点についてお尋ねをしたいわけでございます。
○松下参考人 初めの御質問の、私どもが金融機関の破綻処理等に関して出しておりますいわゆる日銀特融が非常に大きな金額に上って、これが国内の流動性の過剰を招く心配がないかどうかという点でございますけれども、御指摘のように、日銀の特融は現状三兆円を超える金額に達しておりますけれども、それらの資金がすべて、各いろいろの機関の決済その他に用いられまして、その出合いのしりは最終的には市場の中で決済されてまいるわけでございます。その市場に最後集まってまいります我が国の決済用のもろもろの資金の需給を私どもは日々観察をいたしまして、その量の調節をいたしております。
この調節によりまして、全体の資金量につきまして市場が必要とする適正な水準に維持をするというやり方で調整をいたしておりますので、私どもの操作で、特融によりまして過剰流動性が一般化するというような心配がないように実施をしているところでございます。
もう一つ、金利と預金金利の関係でございますが、預金金利は自由化されておりますので、市場におきます調達金利をにらみながら各金融機関が決定をいたしてまいります。
現状、公定歩合との関係で申しますと、市場におきます短期の金利水準が相当低下をいたしておりまして、むしろ公定歩合の水準をさらに下回るというような状況もございます。そういった状態をもとにいたしまして、各金融機関が資金吸収のための政策に基づいて金利を決定してまいるのでございますけれども、自然そのことが預金金利の低さを招いているわけでございます。
私どもとしましては、この預金金利の低さというものが貸出金利の水準に反映をいたしまして、これによりまして日本の一般の企業の収益を支え、またひいては雇用者所得の下支えになっている、その効果を期待しながら、現在の低金利を維持しているところでございます。
もちろん、個々の家計におきましては金利収入は大きな割合を占めておりまして、家計では、この金利の、債務の負担の大体倍ぐらいの確定金利を生む金融資産をお持ちでございますから、ここでの収入が減少するということは、私どもも預金金利に依存されることの大きい家計等につきましては、甚だお気の毒な事態であるということを十分認識いたしておりますが、何より当面はこの停滞色の強い景気の下支えをいたしまして全体の景気を強くする、その経済を強くすることを通じて、家計にそれが将来よい影響を及ぼすように期待をするということでございます。
○海江田委員 今総裁がおっしゃったように、確かに短期の金利は非常に下がっておることは事実でございますけれども、じゃ、その反面本当に貸し出しの金利が下がっているかというと、これはそれほど下がっていないわけですよね。今ここに表もつくっておりますけれども、長プラで調べておる数字でございますけれども、いわゆる預金、預かり金に対する金利と、それから貸し出しに対する金利でいうと、それほどやはり下がっていません。むしろそれは拡大をしておりますよ、これははっきり言って。
それが実は金融機関の業務純益になって、その業務純益がいわゆる不良債権の償却につながっているということでありますから、やはりここは、幾度も議論のあるところでございますけれども、短期金利が下がって、それによって市場からの調達の資金が下がって、それに連動しまして預金の金利なんかも下がって、結果的に全体の資金の調達のコストが安くなったら、やはりそこは貸し出しの金利にきちっと反映をするような仕組みにしなければいけない。
あるいは、必要以上の金利の低下というものに対して、預金に対する金利の低くなるものに対して、自由金利だからといって全くそれで構わないのだということになるのかどうなのか。ここはやはりよく見ておいて、あるいは国会などでもそういう議論を十分することによって、一つの圧力というものを、これは場合によっては金融機関にもかけていかなければいけないのじゃないか。私は、この最近の金利の低さというのはやはりちょっと異常でありますし、それは自由金利だからということでそのままほっておいていい話にはならないというふうに思っておるのです。
それから、特にこれから金融機関が本当にビッグバンで国際的な競争力なんかをつけていくためには、いわゆる利ざやの収益だけではやっていくことができないわけでありますから、金融機関のそういう収益の構造そのものを変えていかなければいけない。それが非常に安易に利ざやがとれて、それで純益が上がっていくというようなことでは、本当の意味で、長い目で、中長期的な目で見たときに、果たして日本の金融機関の健全性というものに資することになるのかどうなのかということ、大変大きな疑問を持っておりますので、また機会がありましたら議論をさせていただきたいと思います。
既に私、持ち時間をオーバーしてしまいましたので、後の生方委員にかわります。どうもありがとうございました。
1月20日(1)
[編集]○西川(知)委員 改革クラブの西川知雄でございます。本日は、平和・改革を代表しまして、総理以下、皆様に御質問をしたいと思います。 本日の私の主な質問点と申しますのは、今まで、景気対策、減税、赤字公債、ウルグアイ・ラウンド、公的資金導入等々の現下の問題につきまして、財革法の審議のときに、各大臣、総理を含めましていろいろな見解を述べられております。私は、その詳細について、私もその委員をさせていただいておりましたこともありまして、また、質問をするということでその議事録を何度か読ませていただきました。 その結果、補正予算に組まれているいろいろな今申しました各課題について、政府、総理の方針が非常に異なっているということでございますので、その異なっている理由、これをまず明らかにし、そして、その理由というものが本当に理由として成立しているのかということについて、皆さんの前で検証をしていきたいというふうに思います。 まず、総理は、今回の財革法と景気対策等の関連につきまして、このように述べられております。これはことしの十三日の本会議での発言でございますが、減税につきまして、夏以降のアジアの通貨・金融不安、秋以降の我が国の金融機関の経営問題などの影響によって家計、企業の景況感の悪化が見られる、そこで、国民の不安を払拭するために臨機応変に対応することこそが国政を預かる者としての責務と考え、特別減税の実施を決断いたしました、そういうふうに述べられております。 ところで、一月十九日、きのうの本予算委員会での質問に答えられまして、今度は、十一月末のバンクーバーでのAPECの会議から、クアラルンプールでのASEANプラス1との間に、アジアの状況というものが極めて加速的に深刻になったということを今度の特別減税の理由とされております。 一月十三日は、夏以降のアジアの通貨・金融不安及び秋以降の我が国の金融機関の経営問題ということが減税をする理由だというふうにおっしゃいましたが、一月十九日では別の理由をつけられております。これはどういうことか御説明をぜひ願いたいと思います。 ○橋本内閣総理大臣 別の理由を申し上げてなどおりません。 もしそういう角度からのお問い合わせでありますならば、実は、私自身がアジアの通貨に不安を持ち始めましたのは春先のことでありまして、そして、日米首脳会談もその後、あるいは日豪、日・ニュージーランド等もございましたり、デンバーのサミットもございました。そして、アジア通貨についての問題を提起しようとしましたが、必ずしもそういう雰囲気になりません状態が続きました。 そして、バーツ危機が起き、それ以来、各地域におきましてそれが波及をし、さまざまな影響をアジア経済の中にもたらしてまいりました。我が国におきましても、大規模な金融機関の破綻が相次ぎました。そういうプロセスの中で、バンクーバーのAPEC非公式首脳会合が行われました。そのときには、ちょうど我が国の山一証券が破綻を示した直後でありまして、むしろその時点では、海外でも積極的に営業を展開しておりました山一証券の破綻というものが海外経済に不安を与えないようにする、私はそういう努力をAPECでもいたしましたし、また、それはそれなりにおさまっていったと思います。 そして、その時点におきまして、既にアジア経済は私ども相当深刻なものと予測をしておりましたけれども、例えば、ちょっと例えばは取り消させていただきましょう、他国の中を一定以上申し上げることは控えるべきと存じます。ただ、相当な通貨の下落に悩んでおられた国の中でも、その時点でIMFに支援を要請するとは考えておられない国もございました。あるいは、APECの段階におきましては、IMFの戦略そのものに対して疑念を呈しておられた国もございました。 クアラルンプールに参りましたときには、むしろそうした雰囲気は消えており、IMFの構造調整プログラムを結ぶことによって、いかに自国の通貨を安定させ、経済を安定させるかという考え方の中において、それぞれの国の市場にいかにして民間資金を呼び戻すかという考え方に変わっておった。それぐらいの大きな変化が続いた時期であります。 ○西川(知)委員 今の御説明はよくわかりますが、総理は、九七年の十月三十一日に、財革法の審議の過程でこのように述べられております。すなわち、減税をして景気拡大をする、これは公債を増発させることになって、こういうようなやり方はもう限界に来ていると。難しいというのではなくて「限界に来ている」という言葉を総理は使われました。これは夏以降、十月三十一日のことです。 APECの話は横に置きまして、一月十三日の本会議での答弁では、夏以降のアジアの通貨・金融不安、秋以降の我が国の金融機関の経営問題等々を勘案して減税をしたというふうにおっしゃっております。ところが、既にもう十月三十一日、夏を過ぎたころ、すなわちもうアジアの通貨・金融不安がわかっていたころ、このころに、減税はしないというようなことをおっしゃっているわけです。 これは、一月十三日の理由が、なぜ今まで減税をしなかったのに今度減税をしたかという理由を挙げられておりますが、それは理由にはなっていないのではないかというふうに私は考えるわけですけれども、その点についてはどのように御説明をいただけますでしょうか。 ○橋本内閣総理大臣 私の手元に、さまざまな委員会、あるいはその他の本会議等における答弁の幾つかがございます。そして、私は、なかなか容易ではないという言葉をいつも使っておるのではないでしょうか。要するに、特例公債を発行せざるを得ない状況の中で財源を特例債に依存する、なかなか容易ではない、そのように申し上げておると存じます。そして、私がどうお答えをするか、それは、御質問がどういう形でなされたかでそれなりに言葉は変化しているかもしれませんが、容易ではありませんと申し上げてきたことは間違いないのです。 同時に、今も私は、他国の状況を云々すること、それが市場に与える影響を懸念いたしますから、例えばと言いかけて取り消させていただきました。そうした配慮というものは常に必要なものだと思っております。 ○西川(知)委員 それでは総理は、次の発言、これは大蔵大臣の発言ですが、これをどのように解釈されるか、お答え願えればと思います。 大蔵大臣は、去年の十月二十四日、減税等について、またそれにかかわる赤字公債の発行について、このように答えられております。これは財革法の基本にぶつかり、できない、特例公債発行は財政構造改革推進の特別法の基本にぶつかる、このように明言をされているわけです。 このような発言を総理はどのように考えられるか、どのように説明されるか、お答え願いたいと思います。 ○橋本内閣総理大臣 これは、その前にどういう御質問があったかによっても変わると思いますけれども、基本的に、その答弁をされた三塚大蔵大臣がおられますから、私は三塚大蔵大臣の発言をそのままそのとき聞いておったのだと思います。私は、その前後のやりとりの中で、三塚大臣の答弁をそのとおりに聞いていたと思います。 ○西川(知)委員 私は、今のお話を聞きますと、そのコンテクストによって違うというお話なので、少し御説明をいたします。これは十月二十四日、中野清委員の質問に対しての大蔵大臣の答弁でございます。 自民党さんも、今日の景気状況の問題を含めまして緊急国民対策を発表されている、やはり当然今の状況に対する党としての対応だろう、内容は別にしまして、それはそれなりに評価せざるを得ないだろうと思います、その点について、大蔵大臣、これをどういうふうに考えていらっしゃるか、こういう質問です。 ここで三塚大蔵大臣は、もう毎回、減税については申し上げております、財政構造改革に当たりまして、赤字体質からの脱却、三%の達成、こういうことでありますから、赤字公債に頼らざるを得ない税制改革については御辛抱を願う、こういうことであります、というふうにお答えになっております。 もう一つ。 尾身長官は、この点についていろんな回答をされております。私、経企庁の方に、尾身長官によく議事録を読んでおいていただきたいというふうに申し上げましたので、お読みになっていることと思いますが、赤字公債を出して消費を促進するための減税はしない、これは不適切である、十月二十七日と十月三十一日に述べられております。 また、こういうことをおっしゃっております。これは詳しく読み上げても結構なんですが、政府支出を削減して、すなわち財政構造改革の法律に基づいて政府支出を削減し、そして所得税減税をする、二兆円なら二兆円の所得税減税をすると、逆に景気にマイナスになる。まさに、財政構造改革をやって減税をすると景気にマイナスになるというふうに、十月二十七日にお答えになっております。 さらに、減税で景気対策はうまくいかないということを十月二十三日におっしゃっております。また、減税の乗数効果は大変薄い、少ない、こういうことの発言を十月二十一日と十月三十一日になされています。こういう発言が尾身長官からもありました。 大蔵大臣も、先ほど私が紹介しましたように、特例公債発行ということに基づくやり方というようなものは財革法の基本にぶつかるというふうにおっしゃっております。これは、現在のアジアの危機があるとか国際環境は変わったからということには無関係に、そういうふうにおっしゃっているわけです。 これについて、総理、閣内でいろいろな不一致があるわけですが、どのように御説明なされますか。 ○尾身国務大臣 経済の実態の話は別といたしまして、財政支出一単位と減税一単位を両方同時にやった場合にどういう景気効果があるかという点につきましては、私は、財政支出の方が、そのまま一回は需要につながるわけでございますので、トータルとしての景気に対する効果はプラスであるということを申し上げましたし、今もその考え方に変わりはございません。 それから、今度は経済全体のお話をさせていただきますが、我が国経済、バブル後、累次の経済対策をいわゆる財政出動という格好でやってまいりましたけれども、しかしこれ自体、景気の下支えをかなりやりましたけれども、なかなか力強い景気回復の軌道に乗ってこなかったわけでございます。その原因といたしまして、我が国経済に構造的要因があるということを何回も申し上げてまいりました。 簡単にお話をいたしますと、一つは、バブルの後遺症である不良債権問題の処理ができていないということ。それからもう一つは、日本的な古い経済システムが制度疲労を起こした、このことはまた規制緩和につながるわけでございますが、そういう点を申し上げました。それからもう一つは、企業が国を選ぶ時代において、産業の空洞化という現象が起こってきている。そういう構造的な要因で、いわゆる財政出動で景気を上げるということにはなかなか限界があるということを申し上げました。 そこで、これからの経済の運営の根本は、むしろ、規制緩和を進め、あるいは土地の流動化を進め、そして民間需要中心、民間活力中心の安定成長軌道に乗せていくことが大切であるというふうに申し上げて、やってまいりました。 十一月の「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」におきましても、そのような考え方に基づいて、規制緩和を中心として、民間活力が十分発揮できるような体制をつくり上げる、そういう体制をつくり上げることが政府の大事な役であるという考え方でやってきたところでございます。それから、十二月の税制改正等におきましても、例えば土地譲渡益の重課税制度の完全な撤廃、それから企業減税、有価証券取引税の減税、あるいは地価税の凍結等の措置をとりまして、民間活力中心の経済体質に持っていくような体制を整備する、そういうことに重点を置いて対策をとってきたところでございます。 そしてその間、秋口以降になりまして、いわゆる金融機関の破綻が起こりまして、我が国の金融システム全体に対する不信感といいますか不安感といいますか、そういうものが大変に強くなってまいりまして、ファンダメンタルズ、経済の実態の方はそう悪くなかった状況のもとにおきましても、いわゆる金融システム不安から、そのファンダメンタルズの方に悪影響があるということになってまいりました。 他方、アジアの経済の状況が、先ほど来お話にありますように、その深刻さが極めて大きくなり、そして、幾つかの国に波及をするというような実態になってきたわけでございます。 私どもは、実は去年の暮れに決めましたいろいろな対策、税制の問題とか、あるいは規制緩和の問題とか、今度の国会に全部出しているわけでございます。そこで、税制改正の問題にいたしましても、規制緩和の問題にいたしましても、今度の通常国会で議論をしていただくわけでございますから、それが本当に実現されるのには時間がかかる。例えば、三月とか四月とか五月という期間にかかってくる。これが本当に実現されるまではそこの期間にまでかかってくるというふうに考えております。 それからもう一つは、いわゆる四月一日の早期是正措置に対応して、銀行の貸し渋りという現象が極めて深刻になってまいりました。(発言する者あり)いや、これは大事な話ですから聞いてください、なぜ変わってきているかということですから。そういう状況に対して、固定資産の評価がえの問題とか、あるいは早期是正措置そのものの弾力的運用の問題とか、あるいは中小関係の金融機関等に対する対策もいろいろやったところでございます。 しかし、いずれにしても、その貸し渋りという問題は一―三月続きます、問題点として続いている。そして他方、いろいろな規制緩和等による民間活力中心の経済への転換の政策の実際の実施は、四月前後に行われてくるという状況でございます。そういう状況の中で、一月―三月というのは日本の経済にとって大変に大事な時期であるというふうに考えている次第でございます。 そういう状況のもとで、総理がアジアの状況等を踏まえ、金融機関の不安感等の問題も踏まえまして、一―三月に対する経済のカンフル剤的な意味におきます対策としてこの特別減税を御決断いただきましたこと、私、経済の運営に責任を持っている者として、大変適宜適切な措置であるというふうに考えている次第でございます。 ○西川(知)委員 総理にお答え願う前に、もう一度、一つだけポイントを挙げて言います。 私は何が申し上げたいかといいますと、三塚大蔵大臣、尾身経済企画庁長官のおっしゃっていること、その理由づけというものと、今橋本総理がおっしゃっている理由づけというものとが食い違っている。すなわち、閣内不統一ではないかということを私は申し上げたいんです。 そこで、尾身長官は、いろいろな発言をされて、いろいろなことをすべて反論されようと思うので長くなったと思うのですが、一つだけ重要なことを申し上げます。それは、十月二十七日の答弁でございます。ここでは明らかにこういうふうにおっしゃっています。 「いろんな政府支出を削減をして、その財源で所得減税をして消費を活性化すべきであるというような意見も聞かれるところでございます。」これに関して、こういうことをおっしゃっています。「政府支出も、ある意味でいいますと政府の財貨・サービス購入という点で、それ自体支出になっているわけでございまして、いろんな形で国民の懐に入るということでございますから、しかも、政府の財貨・サービス購入は一回買ったその限りにおいても既に需要となるということでございますから、」次が重要なのですが、「政府支出を削減をしてそして所得減税をするということは、それをセットでやった場合に、私は、むしろ景気対策としてはプラスよりもマイナスの効果の方が大きいのではないかというふうに考えている次第でございます。」ということをおっしゃっているわけです。 だから、これは、アジアの景気が変わったとか金融不安が起きたとかいうことと関係なく、理論的に、論理として、政府支出をカットしてしかも減税をやれば景気にマイナスだというふうにおっしゃっているのです。 総理、今マイナスのことをやろうと経企庁長官はされておるのでしょうか。これは政府自体の問題でございますから、経企庁長官はちょこっと答えていただきまして、総理に全体としてどうかということを長くお答え願いたいと思います。 ○尾身国務大臣 今おっしゃいましたこと、政府の財貨・サービスの購入は一回限りでありますが、まず需要になります。それからいわゆる乗数効果が起こってくる。それに対して、減税は、一遍懐に入った上で、貯蓄率もあって、貯蓄をされた残りが使われるということでありますから、当然、経済に対する効果としては、同じ金額を同時にやった場合には、いわゆる財政支出、政府の財貨・サービス購入の方が経済に対する影響としてはプラスであるということについては、前に申し上げたとおりの意見でございまして、これは経済の常識であると私は思っております。 ただ、総理が決断されましたのは、既に予算案も決まって、政府の財貨・サービス購入が決まっている段階で、プラスのカンフル注射として、三月期までの間に、二月ごろ法律が順調にいきますれば出るわけでございますが、そういう追加的な景気刺激策をやっていただくという意味で、景気に対する大きなる景気刺激効果になるという意味でプラスである、それ自体がプラスである、そういうふうに申し上げたわけでございます。 ○橋本内閣総理大臣 どうももう一つ、私には、議員が言われようとしていることがわかっておらないのかもしれません。 まさに、前の臨時国会におきまして、政府として、景気回復に従来のような力強さを感じることができない、それは構造的な問題のあらわれ、今後の経済運営の基本を、安易に財政に頼らず、民間需要中心の自律的な安定成長を図っていくことである、そのような考え方を表明してまいりましたし、そのような観点から、十一月十八日、経企庁長官も今引用いたしましたように、規制緩和を中心とした経済構造改革、あるいは土地の取引活性化、有効活用等に重点を置いた「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」を取りまとめてまいりました。 同時に、一方で、アジアの通貨と金融不安、あるいは我が国の金融機関の経営などの問題、影響によりまして、家計、企業の景況感の悪化が見られる中で、私は、これが必要な措置と考えて特別減税の実施を決断いたしました。 そして同時に、今御審議をいただいておりますように、特別減税だけでなく、補正予算の中におきましても、ゼロ国債を利用いたしました公共事業面での措置、金融システム安定化対策、あるいは法人税、地価税、有取税など十年度予算関連の税制改正等を御審議いただこうとしております。 消費には金融システムの状況が影響しておることもあろうと思います。減税も金融システム安定化による信頼回復と相まって効果を生ずると考えている、そういうふうにお答えを申し上げてきていることが、別に私は、違う違うと言われますけれども、違っていないと思うのですが。 ○西川(知)委員 論点は二つあります。 前提は、減税をしないところから減税をするに変わった。では、どういうことか。それには理由があるはずです。その理由として総理は、夏以降のアジアの通貨の金融不安とか、秋以降の我が国の金融機関の経営問題について、それが主な理由だというふうにお答えになりました。しかしながら、私は、それは理由になっていないということをまず申し上げたわけです。 なぜかと申しますと、総理は、既に十月三十一日、秋です、秋に、減税をして景気拡大し、公債増発する、こういうやり方というのはもう限界に来ているということをおっしゃったわけです。だから、夏の話は理由には全然ならないわけです。これが第一点。 第二点は、尾身長官の話でございます。尾身長官の話というのは、いろいろな状況が変化するとかそんなことは無関係で、そもそも減税というものはよくない、しかも、財政支出をカットした上でしかも所得税減税をするのは景気にマイナスだ、だから、状況がいかに変わろうとも減税施策というものはとるべきでないというふうに尾身長官はおっしゃったわけです。 尾身長官の今の回答はちょっと抜けておりまして、尾身長官はこういうふうにおっしゃったのです。「政府支出を削減をしてそして所得減税をするということは、それをセットでやった場合」、今セットでやっているわけですよ、「セットでやった場合に、私は、むしろ景気対策としてはプラスよりもマイナスの効果の方が大きいのではないかというふうに考えている次第でございます。」というふうに、経済の、景気立て直しの中心者だとおっしゃった、責任者だとおっしゃった尾身長官がおっしゃったわけです。 だからこれは、そもそも減税ということがよくないんだということをおっしゃっているのじゃないか。総理の言われたこと、減税しないから、減税をする、その理由はこうこうだという論理、これは私は先ほど指摘しましたように違うのじゃないか、その理由にはなっていないのじゃないかということを一つ挙げましたが、それよりもむしろ、理論的にそういうセットをすることはだめだというふうにおっしゃっている。これはそもそも今の経済施策というものはよくないということをおっしゃっているんじゃないか、それは閣内不統一じゃないですかということを私は申し上げたわけです。 ○尾身国務大臣 減税といわゆる政府の財政支出との関係につきましては、先ほど申し上げたとおりの考え方でございます。 私は、総理がアジアの会議から帰ってこられて、減税を、所得課税の特別減税を決められました。しかし、その結果といたしまして、当初考えていたよりも赤字国債の発行額がそれに見合うだけ大きくなったというふうに私は理解をしております。 したがいまして、これは減税だけを単独にやったということでございまして、その限りにおきましては、私は、景気に対しては大きなるプラス効果がある、そういうふうな意味で総理の御判断に対しまして敬意を表している次第でございます。 ○西川(知)委員 ということは、今さっき私が読み上げた十月二十七日の尾身経済企画庁長官の公的な発言と違う。全く方向が転換されたのか、前の理論は間違っていたのか、そうだ、そういうことでよろしいのですね。 ○尾身国務大臣 どうも全く誤解をされているようでございまして、財政支出とそれから同じ額の減税を同時に行った場合には、財政支出の方が全般として乗数効果が大きい、経済に対する波及効果が大きいという意味で、景気に対してはプラス効果よりもマイナス効果が大きいということを私は……(西川(知)委員「違いますよ」と呼ぶ)いやいや、議事録そのとおりでしょう、今申し上げたとおりですよ。そのとおりのことを申し上げたわけで、変わっておりませんですよ。変わっておりません。 そして、総理の御決定いただいた減税の問題は、いろいろな状況を勘案し、アジアの状況あるいは金融システム等の状況を勘案して御決定をいただいたわけでございますが、一応大体、財政縮減、方向が決まっていた、来年度予算がほとんど決まっていたわけでございますが、その前に補正予算として予定をしていたものに対して、赤字の額、国債発行額をふやすという形で減税をしていただいたというふうに私は理解をしておりまして、そのこと自体は、大変大事な時期のことしの二月、三月に消費者の懐が豊かになる、そしてまた、経済の先行きに対する安心感が出てくるという意味で、経済に対する非常に大きなプラス効果があった。 そしてまた同時に、何回も総理も申し上げておりますように、経済は生き物でございますから、財政再建の路線そのものは維持しつつも、その状況に応じて適宜適切な対応をとるということが必要でございまして、そういう意味においても適切なる御判断であったというふうに考えております。 ○西川(知)委員 私はちょっと今の発言は、いろいろな発言を尾身長官はされておりまして、乗数効果が、例えば減税の場合であると一年目は〇・四五、二年目が〇・四六、三年間で一・二六しかならないとか、政府支出よりも効果として乗数効果はよくないというような発言をされたのは、それは十月三十一日のことです。 私が言っているのはそれじゃなくて、十月二十七日に、財革法に基づく政府の支出をカットしてそして減税をするということは、これをセットでやったら景気に悪い、マイナスだとおっしゃったことを今現在ここでこれからやろうとしているのじゃないか。補正予算も、この中に、減税の中に入っております。 ですから、そういうことをやろうとされていること、こういうことを本当に、経企庁長官が景気にマイナスであろうと言うことを総理はやろうとされているのかどうか、これが私は不思議でならない、こういうことでございます。 すなわち、前から言っていたこと、私は何を言いたいかというと、政治というのは、要するに、政策が変わったら、どういう理由で変わったのか、それを明確に国民の前にしなければなりません。そして、我々に対しても十二分にわかるように説明をしていただきたい。説明は私は十二分に受けていないと思います。 さっき言いましたように、減税をするという理論について、総理の夏の発言も理由になっていない。もう十月の、秋の終わりごろにそういうことをおっしゃっているわけです。そして今、経企庁長官のおっしゃったことは、そもそも、どんな理由が、状況が変更されたにしても、そういうセットでやること自体は論理的に景気がマイナスになるということをおっしゃっているわけです。それが今度セットでやろうとしているわけですから、何でそれがプラスなのか、これを説明していただきたい。景気にマイナスになるようなことをやられるのかどうか、これを説明していただきたい。 ○橋本内閣総理大臣 先ほど来伺っておりまして、同時に今私なりに一生懸命に思い出しておりますけれども、私自身、確かに間違いなく、赤字国債をベースに減税を行うということはなかなか容易ではないということはずっと申し上げてまいりました。その容易ではない決断をしなければならないだけの状況と判断をしたということでありますが、同時に私は、先ほどから議員が言われますように、経企庁長官が減税が景気にマイナスだという発言をされたということはないと思います。今伺っておりましても……(西川(知)委員「そういうふうに、議事録が間違っていなければそうです」と呼ぶ)いやいや、ですから、もう少し経企庁長官の御説明もお聞きをいただきたいと存じます。 ○西川(知)委員 私は、この記録が間違っていたら別ですけれども、記録に書いてあるのは、政府支出を削減をしてそして所得税減税をするということは、それをセットでやった場合に、私はむしろ景気対策としてはプラスよりもマイナスの効果の方が大きいのではないか、こうおっしゃっているのですね。 だから、乗数効果が財政支出と減税でどちらが大きいか少ないかという議論じゃなくて、財政支出を削減して減税をやれば、このセットでやればこれはマイナスだ、景気にはマイナスだということをおっしゃっていたのですよ。おっしゃっていた、これは議事録にちゃんと書いてありますから。これを今政策としてやろうとするのはどういう理由ですかということを御説明願いたい。 ○尾身国務大臣 財政支出削減、財政構造改革法案は、いろいろな説明がありますが、要するに財政支出を削減して財政の健全化を図るという考え方であると思っております。財政支出削減そのものは、景気という点だけから見れば私はプラスにはならない、マイナスになる、これははっきりしていると思います。しかしながら、日本の将来を考えた上で財政支出を削減しなければならない、そして財政構造改革をしなければならないということで、財政構造改革法案が昨年通ったわけであります。そして、その考え方のもとで予算編成作業が行われていたわけであります。 そして、そういう考え方のもとで予算編成作業が行われているときに、補正予算においてこの緊急の対策として総理が、これは財源は財政支出削減ではありません、私は財源は国債であるというふうに考えております、この経済の状況を踏まえて国債を財源として減税をしていただいたということは、そのこと自体、大きに景気に対してプラスの効果がある、そういうふうに理解をしているわけでございます。 ○西川(知)委員 今の発言は、十月三十一日、十月二十七日に尾身長官がこのように発言されていることと全く逆です。赤字国債を出して消費を促進するための減税はしない、不適切である、こうおっしゃっていますが、これは意見が変わられたということですか。 ○尾身国務大臣 そのことについて先ほど長々と説明したということでございましたのですが、昨年申しましたときに、数次にわたるいわゆる財政出動の状況のもとにおいて、経済が下支えは受けたものの余り大きな回復に入らなかったのは、構造的な要因が三つあって、そして、先ほど申し上げましたので繰り返しませんが、バブルの問題、あるいは日本的経済システムの制度疲労の問題、それから産業空洞化の問題等があって、むしろ民間活力中心の経済構造に変えていくような、規制緩和とか、あるいは土地税制とか、あるいは有価証券取引税、法人課税の減税とか、そういうことをやって構造改革を進めていくことが大事である、そういうことで政策をやってきたわけでございます。 そういう中におきましてアジアの問題が生じ、そして金融システムの不安の問題が生じ、そして、構造改革的な経済政策は、何といいましても、法律を通し予算を通すという意味において、実際に発動されますには時間がかかる。いわば薬を飲むことを決めて、薬自体は今のどを通っているわけでありますが、胃に回ってこれが全部消化されて体に回るのに四月、五月ぐらいまでかかる。 しかもその間に、いわゆる早期是正措置という中でクレジットクランチというような問題も生じている二月、三月、一月、その一番大事な時期に、いわゆるカンフル剤的な意味において所得減税をやっていただくことは、景気に大きなプラスがあるという意味で、大いにこの決断を評価しているということを申し上げているわけでございます。 ○西川(知)委員 総理、今の尾身長官の発言について、総理も同意見でございましょうか。 私が申し上げたのは、尾身長官は、赤字国債を出して消費を促進するための減税はしない、不適切だというふうに十月二十七日と三十一日におっしゃった。きょう、そういうことはやりますというふうにおっしゃいました。そして、今御説明をされたのです。そして、その説明というのは十二分に説得力のある理由であるというふうにお思いになるかどうか、これを確認させていただきたいと思います。 ○橋本内閣総理大臣 私は、経企庁長官はその職責にふさわしく、みずからの説明の努力をきちんとしておると思います。 ○西川(知)委員 そこで、もう一つ総理にお聞きしたいのですが、今回の補正予算では、特別減税等に加えて、災害復旧事業などの約一兆円規模の公共工事を追加して、そして景気に最大限の配慮をしたというふうに総理はお答えになっております。 去年の十月二十二日に、三塚大蔵大臣は、景気対策は当初予算で行うというふうに発言をされました。その発言と異なるのではないでしょうか、総理。 ○橋本内閣総理大臣 今、大蔵大臣がそのときどう述べられたか私存じませんけれども、財政法に照らして不当な支出を計上しているとは思いませんし、確かに、公共事業等約一兆円、これは災害復旧等それぞれの理由があるものを計上している。そして、それが景気にプラスになることを願っておることは間違いありません。 ○西川(知)委員 これは、経済状態が変わったから、そのときには景気対策として補正予算を組む、そういうようなことをおっしゃっていたわけではなく、三塚大蔵大臣は、論理的に、理論として、また政策として、景気対策は当初予算で行うというふうにおっしゃったわけです。これは、理由のいかんを問わず、景気対策は当初予算でやるということを大蔵大臣が明言されたわけですから、景気対策を総理が今度補正予算でとったということと全く異なっている。 その説明をどういうふうに、そのときの経済状況では当初予算で景気対策をする、補正予算ではしないということをおっしゃっていれば別ですけれども、そういう条件抜きで明言して、景気対策は当初予算で行うというふうに十月二十二日におっしゃったのです。議事録の三十七ページと、同趣旨が三ページにありますから見ていただきたいのですけれども、それと今やっていることとは違うのじゃないですか。 ○三塚国務大臣 財政法二十九条は、緊要な場合にこれを計上する、こう申し上げてまいりました。それと、米対策という緊急な問題が出たことは御案内のとおり。ですから、緊急対策、それが出る、災害対策、これも出る。それで、それをもって経済政策、対策と言っても過言ではないわけでしょう。 それで、当初予算と申し上げましたのは、ウルグアイ・ラウンドの問題については当初予算で行うことという意味は私は何回か申し上げました。しかし同時に、本予算については農水大臣と大蔵大臣の協議の上これを決するという申し合わせが、昨年六月三日の財政構造改革法原案をつくる取りまとめの中で、総理指示としてこれに出されたわけでございますから、そのことでこれに対応をしたのが一千七百億円余の、マスコミはウルグアイ・ラウンド対策と言っておりますが、私は、農業振興の危機対策、こういうことで計上を認めたところであります。 ○西川(知)委員 そろそろ個別の議論については斉藤議員に時間を譲らないといけませんので、これ以上きょうのところはやりません。 私が何を申し上げたかったかといいますと、やはり、政治、政策というものは信頼感がないといけません。そして、その信頼感というのは、政策が変わったら、何で変わったんだ、どういう理由で変わったんだということを国民の前に、そして我々にも、わかるように明確にしてほしい。しかも、ある大臣はこう言った、また別の大臣は違うことを言った、そして決定された方策というのはまたそれぞれの言ったこととは違う、そういうことでは、一体国民はどの政策を信じて、そしてその政策によるどういう将来を自分の頭で描けるか、こういうことが私は非常に今国民が不安に思っていることだと思います。 経済状況に従って政策は変わる、それは一つの理由で、それはそれでいいと思います。そうしたら、そういう理由であると、どういうふうに経済状況が変わったのかということを論理的にわかりやすく説明をしていただきたい。そういうふうな、理論的に景気対策は当初予算で行うとか、財政支出と減税をセットでやったら景気にマイナスである、そういうことを何の条件もつけないで言っておきながら、くるっと変わって違うことをやる。これでは国民が納得しないし、政治に対する信頼もなくなるのではないかということを申し上げまして、私の質問を終わります。
○石井(一)委員 よろしくお願いします。
先ほど官房長官から、二月二十八日に引き続いて二回目の官房長官発言、閣僚の発言に対する陳謝の発言がございましたが、何を言っているのかよくわかりません。小泉大臣の発言は、閣議で結論を得たことではないので、閣内の意見が不統一であるとの印象をも与えかねない、閣僚は閣議の場において所見を述べることは当然としても、本会議場において所管外のことに断定的に物を申し上げたことは慎重さを欠いた、したがって、国会運営に支障を生ずることのないよう、小泉大臣を初め全閣僚に対して厳重な注意をした、こういうことを言っておられるようでございますけれども、私たちが予算の理事会におきましても、またこの委員会におきましても、
常に求めておりますものは、郵政三事業の民営化に対する橋本内閣の統一見解ということであります。あたかも閣内の意見が不統一との印象を与えかねないということを官房長官みずからが言っておられるこのことに対して、非常に重要な問題であります。
内閣としての統一見解を出してほしい。私は、出すのが当然だと思います。決して無理な要求をしておるものではないと思いますので、あえてこの見解を求めたいと思います。
○梶山国務大臣 冒頭における官房長官としての発言についての御意見でございますが、この発言については、まさに発言そのとおりでございます。どうか御理解をちょうだいしたいと思います。
なお、郵政三事業における統一見解ということでございますが、今御承知のとおり、行財政改革を初めとする諸問題の改革を、強力に、しかも迅速に行っているさなかでございます。そのさなかにありまして、その一環である郵政三事業、ないしは財投のあり方、当然その中の視点に入ってくるものでありまして、まだ結論を出すに至っていないという現実を御了承を願いたいと思います。
平成25年3月15日 経済産業委員会 ○塩谷委員 自由民主党の塩谷立でございます。 政権発足後二カ月半余りたっているわけですが、おくればせながら、茂木大臣、就任おめでとうございます。 私も、七、八年ぶりに経産の筆頭をやらせてもらいまして、また新たなスタートだなという気持ちで頑張ってまいりたいと思います。 いずれにしましても、我々、三年数カ月の野党時代、大臣とは、三役としていろいろ御協力をしていただいたわけでございますが、振り返ってみますと、安倍総裁が発足した去年の九月以降、我が党としても、日本の厳しい経済に対する危機感を持って、日本経済再生本部を立ち上げて、その中で、茂木大臣が事務総長として中心的な役割をしてまとめていただいた、それを今まさに実行しているということだと思っておりますので、大臣就任も本当に適任だということで、大いに御活躍を期待申し上げたいと思います。 まずは、大震災からの復興と経済再生第一ということで、安倍政権が三本の矢を掲げてスタートいたしました。大胆な金融緩和、そして機動的な財政政策、さらには民間投資を喚起する成長戦略、これを発信して、それに呼応してまさに市場が反応したわけでございまして、円安、そして株高、一気にその方向に向かって進行して、現在に至っているわけでございます。 いわゆるアベノミクスと言われる点も、内外から高い評価を受けていると同時に、いろいろな懸念事項もありますが、まず、前向きにしっかり日本経済を再生するということが大きな目標であって、その国民の期待感、これは大変大きいものがありますので、我々は、政府そして与党としても、その期待に応えるべく、そして実体経済につなげることが使命だと思っておりますので、経済産業委員会としても大きな役割を担っていると思っているわけでございます。 そういう中で、やはり中心的な役割を担っていただく経済産業大臣、日本再生へ向ける大臣としての決意を改めて伺いたいと思います。 ○茂木国務大臣 塩谷理事とは、一昨年、昨年と、党の執行部として、総務会長、政調会長として、経済政策、そしてまた政権公約の取りまとめ等々に一緒に当たってきたわけでありますが、まさに経済の再生、景気の回復が一丁目一番地。 安倍政権が発足して二カ月半たつわけでありますが、株価の方も大幅に上昇いたしまして、円高も是正されつつあるわけであります。 衆議院が解散になりましたのが昨年の十一月十六日でありますが、そのときから比べますと、株価の方は四割上昇いたしております。先週にはリーマン・ショック前のレベルまで回復している。また、為替につきましても、対ドルで二割円安ということでありまして、足元九十五円から六円で推移しておりまして、日本企業の輸出競争力の回復にも貢献しているのではないかな、こんなふうに思っております。 今後でありますけれども、これを、持続的な個人消費の拡大であったりとか民需主導の投資拡大、こういったものにつなげていくことが必要だと考えております。アベノミクス三本の矢、大胆な金融緩和、そして機動的な財政運営、さらには民間投資を喚起する成長戦略。これからしっかりした成長戦略をつくっていく、このことが特に重要になってくると考えております。 この点につきましては、政府に新たに設置されました日本経済再生本部、そしてそのもとに置かれました産業競争力会議、ここで検討を進めまして、六月には中間取りまとめをしたいと思っておりますが、六月を待つのではなくて、もう出てきたこと、やるべきことがはっきりしたことは順次立案し実行していく、こういった形で、速やかな経済対策を進めてまいりたいと考えております。
○塩谷委員 今、大臣お話しいただいたように、これからの日本の社会、超高齢化社会、少子化時代、人口減少時代あるいは成熟社会という中で、我が国がどういう方向を目指すのかということがまずはやはり明確に示されることが大事だと思っておりますので、健康な、そして課題先進国として、我が国がいろいろな課題を乗り越えて、むしろ、我が国だけではなくて、地球全体、世界に貢献するという観点からも、しっかりと取り組んでいくことが必要であると思うわけでございます。
今回の経済再生、それが単に経済のみならず、やはり広い分野からそういう視点を持って取り組んでいただくことが大事だと思っておりますので、ぜひこの実効性を期待していきたいと思っております。
私も、党の方では財務委員長という立場で、財政の立て直しを今やっているわけでございます。野党時代に大変借金をしましたので、それを何年計画で立て直すかというような立場で、今、企業を回ったりお願いをしておるんですが、このアベノミクスで非常に雰囲気がいいんです。
しかしながら、地元へ帰ると、全くそんな雰囲気がない。ここが問題でありまして、やはり、日本の産業を支える中小企業、特に小規模企業、この存在は大変重要でございますので、私は一方でその点を心配するわけでございます。
喫緊の課題として、この三月に金融円滑化法が終了して、まずはこれに対する対策をどうするかということ。いろいろな議論がありますが、この点。それから、きのうあたりも、大企業の、ベアはないまでも一時金で賃金に大分貢献していただくという話がありますが、やはり、中小企業の賃金をどう考えているか。大臣、この点は非常に重要な点だと思いますので、そのお考えをお伺いしたいと思います。
○茂木国務大臣 確かに、塩谷理事の御指摘のとおり、大企業においては、相当いい流れというのが見えてきたような気がいたします。
今週の春闘を見ましても、例えば自動車産業、全てが賃上げ、満額回答、こういう状態になり、業績も上がってきております。
しかし、その一方で、御指摘の地域地域の中小企業、小規模事業者、全国で四百二十万社、これがまさに地域経済そして地域の雇用を担っているわけでありまして、この元気を取り戻す、このことが本当の意味での日本経済の再生にとっては必要だ、そんなふうに思っております。
そういった中で、この三月に金融円滑化法が期限を迎えるわけであります。この円滑化法、これまでに利用事業者が三十万社から四十万社に上るということでありまして、多くの中小企業、小規模事業者の資金繰りの下支えに寄与してきた、こんなふうに考えております。
しかし、その一方で、そこの三十万社、四十万社の中には、事業再生が必要な事業者が五万社から六万社ぐらいある、こんなようにされておりまして、こういった中小企業、小規模事業者の経営改善の取り組み、これを徹底支援することがこれからは必要だ、こんなふうに考えております。
このため、今回の補正予算におきましては、全国二万社を対象といたしまして、経営改善計画等の策定支援であったりとか、また中小企業再生支援協議会の取り組みの強化等を盛り込んでおりまして、中小企業、小規模事業者の経営改善を徹底的に促進していきたいと考えております。さらに、こういった経営支援とあわせまして、公的金融等によりまして十兆円超の資金供給を実施していく予定であります。
さらには、三月六日には、私を本部長といたします中小企業・小規模事業者経営改善支援対策本部を経済産業省内に設置いたしまして、中小企業再生支援協議会、認定支援機関や政策金融機関等の関係機関が一体になって、こういった中小企業、さらには中小企業の九割を占める小規模事業者が元気になるような対策をしっかりと進めていきたいと思っております。
○秋元委員 自由民主党の秋元司でございます。
このたび、参議院の方から衆議院にやってまいりまして、常任委員会で初めての質問になります。このような機会をいただきまして、ありがとうございました。
早速質問をさせていただきたいと思います。
まずは、先般、茂木大臣を初め各副大臣、政務官から所信をいただいたわけでございますが、私は非常に、ビジュアル系政務三役なのかな、そんなふうにも思わせていただいたところでございまして、当然中身もしっかりしていらっしゃるわけでございますけれども、しっかりこの政務三役でタッグを組んで頑張っていただきたいな、そんな思いでもあります。
さて、本題に移ります。
先ほどは塩谷理事の方から、経済産業全般、そして日本経済を、まさにアベノミクス、この政策によってしっかりと底上げして、もう一度元気な日本をつくっていくべきではないか、そういった視点から質問があったところであります。
本当にアベノミクスはいい形で推移しているわけでございまして、ことしは特に、さまざまなところの新年会に行きましたけれども、多くの皆さんの顔が明るいという印象でございまして、景気の気とは気分の気とよく言われることでございますけれども、まさにこの気分の気が非常によくなってきた。一カ月、二カ月でこんなにも周りの雰囲気というのは変わるものなのかなということを、今改めて私は感じているところでございます。
やはり、これをしっかり、実体経済をどこまでこの期待に近づけていくか、これがこれからの一番大事なところであると思いますので、きょうは、そういった観点から幾つか質問をさせていただきたいと思います。
先ほど茂木大臣から、今の日本の経済状況について、特に大手におきましては、株が上がっていっている状況、そしてまた円安が進行している状況の中で、所得収支もアップしているということでございますから、収益が上がってきた。株価も四割という非常にいい話で、大手においては、賃上げ満額回答、またボーナスは非常に期待ができるという声が出てきているところでございます。これは本当に喜ばしい話であるんです。
一方、先ほどの塩谷理事のお話でもございましたけれども、やはり中小企業、または小規模事業者、とりわけ地域経済を取り巻く環境というのは決してまだまだよくない。ここまで、我々は、景気回復の波をしっかり地域経済まで波及させて、そしてその果実をそういった皆さんがしっかりととれる、そこまで手を緩めずに政策を行っていかなくちゃいけないと思う、そんなところでございます。
どこに行きましても、とにかくことしはいいなという雰囲気があるので、決して否定的な声は聞かれないんですが、しかし、心配の声というのはやはりあります。
これはもう御案内のとおり、これだけ急激に円安が進んでいるわけでございますから、輸入価格は当然上がるわけでありまして、とりわけ、一昨年の三・一一の東日本大震災により、いわゆる原発がこういった事故になることによってエネルギー政策が見直しを迫られたということもあり、今、現実問題、油またはLNG等の輸入に頼っている反面、輸入価格も上がる中で非常にエネルギーの高騰も心配され、特に、先ほど申し上げた中小零細企業、そしてまた小規模事業者等のいわゆる生産性の低下というのは否めない点があろうかと思います。
そういった中で、どういった面で後押しできるかということで、もう既に補正予算は通ったわけでございますが、補正予算においては、さまざまな中小企業、小規模事業者に対する支援策は盛り込まれております。ですからこそ、これが着実に実行され、特に地域活性化については、いわゆる商店街におけるさまざまな後押し、商店街の頑張りを後押しする支援事業、またはインフラ整備等々の資金も入っておりますから、これが有効的に実行されることが一番望ましいと私は思っておりますけれども、あとは、最終的には、企業そのものがどう自己努力をしていくかというところなんです。
やはり、これまでの長い約十五年間のデフレの中で、本当に中小零細企業は冷え込んでしまっています。これまで毎年のようにいわゆる過去の貯蓄を食い潰しながらやってきたという声がありますけれども、当然もうその貯蓄は限界に達してきて、倒れてしまったところもあるわけでございますが、ようやくこの暗いトンネルから抜け出して、明るい光が見えてきたことによって、そういった事業者の担い手の皆さんも、いま一つ勝負で、何か仕掛けようと思う方が大分出てきたので、ここをどう後押しできるかというのが、最後、我々の仕事なのかなと思っているわけであります。
その際、やはり、金融環境をどう整えるかというのが非常に大事な問題になります。残念ながら、中小企業、零細企業、特に小規模事業者の金融環境というのはますます実は厳しくなっていることがあって、今回いろいろな支援策があって、政策融資もあるんですけれども、ちょっといろいろと勝負しようと思って相談に行ったんだけれども、今はもう総枠がいっぱいだから保証協会等もなかなか新しいエクイティーの保証はできませんよということを言われたり、現実、自分たちが意欲を持っていこうとすると出ばなをくじかれるということが多々言われているわけであります。
その中小企業、零細企業にとっての金融環境について、どのような認識を持っていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。
○鈴木政府参考人 先生の御指摘のとおり、資金繰りの例えばDIといいますか、どの程度の緩和になっているかということを見ますと、やはりまだマイナスの二〇%が続いております。リーマン・ショック直後よりはずっと改善はしてきておりますけれども、やはりまだ資金環境は非常に厳しいと思っております。
加えまして、今先生御指摘のとおり、これから頑張ろうというときにどのように御支援するのか、そこで本当に御支援できませんと意味がないと私どもは思っております。
したがいまして、今回も、先ほど大臣から御答弁させていただきました十兆円の金融措置がございますけれども、これ以外にもさまざまなものを私どもは活用いたしまして、ぜひ前向きの動きを、背中を押せるようにしたいと思っております。
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