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アカデミー国際長編映画賞イタリア代表作品の一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イタリアの映画監督であるフェデリコ・フェリーニアカデミー国際長編映画賞(外国語映画賞)を4回受賞している。

本項目は、アカデミー国際長編映画賞[nb 1]へ出品されたイタリアの映画作品の一覧である。アカデミー国際長編映画賞はアメリカ合衆国映画芸術科学アカデミー(AMPAS)が主催し、アメリカ合衆国以外の国で製作され、主要な会話が英語以外で占められた長編映画を対象としている[3]。1947年から1955年までのあいだAMPASはアメリカ合衆国内で公開された優れた外国語映画に対し、アカデミー名誉賞を贈っていた。その際には他の候補作品と競い合うという方式ではなく、アカデミー理事会の投票により受賞作のみが選出されていた[4]。この期間中、3本のイタリア映画に名誉賞が贈られた。1956年のアカデミー賞で非英語作品を対象とした外国語映画賞が導入され、以後常設されている[5]

2020年までに27本の映画がノミネートに至っており、そのうち10本が受賞している[6]。受賞10回という数は全世界で最多であり、またノミネート27回はフランスの34回に次いで2番目の多さである[7]。イタリアの監督では、フェデリコ・フェリーニヴィットリオ・デ・シーカが複数回受賞している。フェリーニは『』、『カビリアの夜』、『8 1/2』、『フェリーニのアマルコルド』で計4回外国語映画賞を受賞しており、これは史上最多である。また、この他に3本がイタリア代表として出品されているが、ノミネートには至っていない[8]。デ・シーカは『靴みがき (映画)』と『自転車泥棒』で名誉賞、『昨日・今日・明日』と『悲しみの青春』で外国語映画賞を受賞している。また『ああ結婚』がノミネートされた[9][10][11]

代表作

[編集]

1956年よりAMPASは外国語映画賞を設置し、各国のその年最高の映画を招待している。外国語映画賞委員会はプロセスを監視し、すべての応募作品を評価する。その後、委員会は5つのノミネート作品を決定するために秘密投票を行う。外国語映画賞が設置される以前は、アメリカ合衆国で公開された外国語映画にアカデミー理事会が投票しており、各国が代表作を出品するという形式ではなかった。

以下は、イタリアの代表作品の一覧である。


(授賞式)
日本語題 出品時の英題 原題 監督 結果
1947
(20回)
靴みがき (映画) Shoeshine Sciuscià ヴィットリオ・デ・シーカ 名誉賞受賞
1949
(第22回)
自転車泥棒 The Bicycle Thief Ladri di biciclette ヴィットリオ・デ・シーカ 名誉賞受賞
1950
(第23回)
鉄格子の彼方 The Walls of Malapaga Le mura di Malapaga ルネ・クレマン 名誉賞受賞
1956
(第29回)
La Strada La strada フェデリコ・フェリーニ 外国語映画賞受賞
1957
(第30回)
カビリアの夜 Nights of Cabiria Le notti di Cabiria フェデリコ・フェリーニ 外国語映画賞受賞
1958
(第31回)
いつもの見知らぬ男たち Big Deal on Madonna Street I soliti ignoti マリオ・モニチェリ ノミネート
1959
(第32回)
戦争・はだかの兵隊 The Great War La grande guerra マリオ・モニチェリ ノミネート
1960
(第33回)
ゼロ地帯 Kapò Kapò ジッロ・ポンテコルヴォ ノミネート
1961
(第34回)
La Notte La Notte ミケランジェロ・アントニオーニ 落選
1962
(第35回)
祖国は誰れのものぞ The Four Days of Naples Le quattro giornate di Napoli ナンニ・ロイ ノミネート
1963
(第36回)
8 1/2 Otto e mezzo フェデリコ・フェリーニ 外国語映画賞受賞
1964
(第37回)
昨日・今日・明日 Yesterday, Today and Tomorrow Ieri, oggi, domani ヴィットリオ・デ・シーカ 外国語映画賞受賞
1965
(第38回)
ああ結婚 Marriage Italian-Style Matrimonio all'Italiana ヴィットリオ・デ・シーカ ノミネート
1966
(第39回)
アルジェの戦い The Battle of Algiers La Battaglia di Algeri ジッロ・ポンテコルヴォ ノミネート
1967
(第40回)
中国は近い China is Near La Cina è vicina マルコ・ベロッキオ 落選
1968
(第41回)
結婚大追跡 The Girl with the Pistol La ragazza con la pistola マリオ・モニチェリ ノミネート
1969
(第42回)
サテリコン Satyricon Fellini Satyricon フェデリコ・フェリーニ 落選
1970
(第43回)
殺人捜査 Investigation of a Citizen Above Suspicion Indagine su un cittadino al di sopra di ogni sospetto エリオ・ペトリ 外国語映画賞受賞
1971
(第44回)
悲しみの青春 The Garden of the Finzi-Continis Il Giardino dei Finzi-Contini ヴィットリオ・デ・シーカ 外国語映画賞受賞
1972
(第45回)
フェリーニのローマ Roma Roma フェデリコ・フェリーニ 落選
1974
(第47回)
フェリーニのアマルコルド Amarcord Amarcord フェデリコ・フェリーニ 外国語映画賞受賞
1975
(第48回)
女の香り Scent of a Woman Profumo di donna ディーノ・リージ ノミネート
1976
(第49回)
セブン・ビューティーズ Seven Beauties Pasqualino Settebellezze リナ・ウェルトミューラー ノミネート
1977
(第50回)
特別な一日 A Special Day Una giornata particolare エットーレ・スコラ ノミネート
1978
(第51回)
新怪物たち Viva Italia! I nuovi mostri マリオ・モニチェリ
ディーノ・リージ
エットーレ・スコラ
ノミネート
1979
(第52回)
To Forget Venice Dimenticare Venezia フランコ・ブルザーティ ノミネート
1981
(第54回)
Three Brothers Tre Fratelli フランチェスコ・ロージ ノミネート
1982
(第55回)
サン★ロレンツォの夜 The Night of the Shooting Stars La notte di San Lorenzo パオロ・タヴィアーニ
ヴィットリオ・タヴィアーニ
落選
1983
(第56回)
そして船は行く And the Ship Sails On E la nave va フェデリコ・フェリーニ 落選
1984
(第57回)
Where's Picone? Mi manda Picone ナンニ・ロイ 落選
1985
(第58回)
マカロニ Macaroni Maccheroni エットーレ・スコラ 落選
1986
(第59回)
流されて2 Summer Night with Greek Profile, Almond Eyes and Scent of Basil Notte d'estate con profilo greco, occhi a mandorla e odore di basilico リナ・ウェルトミューラー 落選
1987
(第60回)
ラ・ファミリア The Family La famiglia エットーレ・スコラ ノミネート
1988
(第61回)
聖なる酔っぱらいの伝説 The Legend of the Holy Drinker La leggenda del santo bevitore エルマンノ・オルミ 落選
1989
(第62回)
ニュー・シネマ・パラダイス Cinema Paradiso Nuovo Cinema Paradiso ジュゼッペ・トルナトーレ 外国語映画賞受賞
1990
(第63回)
宣告 Open Doors Porte Aperte ジャンニ・アメリオ ノミネート
1991
(第64回)
エーゲ海の天使 Mediterraneo Mediterraneo ガブリエレ・サルヴァトレス 外国語映画賞受賞
1992
(第65回)
小さな旅人 The Stolen Children Il ladro di bambini ジャンニ・アメリオ 落選
1993
(第66回)
かぼちゃ大王 The Great Pumpkin Il grande cocomero フランチェスカ・アルキブージ 落選
1994
(第67回)
Lamerica Lamerica ジャンニ・アメリオ 落選
1995
(第68回)
明日を夢見て The Star Maker L'uomo delle stelle ジュゼッペ・トルナトーレ ノミネート
1996
(第69回)
My Generation La mia generazione ウィルマ・ラバーテ 落選
1997
(第70回)
恋は結婚式の後で… The Best Man Il testimone dello sposo プピ・アヴァティ 落選
1998
(第71回)
ライフ・イズ・ビューティフル Life Is Beautiful La vita è bella ロベルト・ベニーニ 外国語映画賞受賞
1999
(第72回)
もうひとつの世界 Not of This World Fuori dal mondo ジュゼッペ・ピッチョーニ 落選
2000
(第73回)
ペッピーノの百歩 The Hundred Steps I cento passi マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ 落選
2001
(第74回)
息子の部屋 The Son's Room La stanza del figlio ナンニ・モレッティ 落選
2002
(第75回)
ピノッキオ Pinocchio Pinocchio ロベルト・ベニーニ 落選
2003
(第76回)
ぼくは怖くない I'm Not Scared Io non ho paura ガブリエレ・サルヴァトレス 落選
2004
(第77回)
家の鍵 The Keys to the House Le chiavi di casa ジャンニ・アメリオ 落選
2005
(第78回)
心の中の獣 Don't Tell La bestia nel cuore クリスチナ・コメンチーニ ノミネート
2006
(第79回)
新世界英語版 [12] Golden Door Nuovomondo エマヌエーレ・クリアレーゼ 落選
2007
(第80回)
題名のない子守唄 The Unknown La sconosciuta ジュゼッペ・トルナトーレ 最終選考
2008
(第81回)
ゴモラ Gomorrah Gomorra マッテオ・ガローネ 落選
2009
(第82回)
シチリア!シチリア! Baarìa Baarìa ジュゼッペ・トルナトーレ 落選
2010
(第83回)
はじめての大切なもの The First Beautiful Thing[13] La prima cosa bella パオロ・ヴィルズィ 落選[14]
2011
(第84回)
大陸 Terraferma[15] Terraferma エマヌエーレ・クリアレーゼ 落選
2012
(第85回)
塀の中のジュリアス・シーザー Caesar Must Die[16] Cesare deve morire パオロ・タヴィアーニ
ヴィットリオ・タヴィアーニ
落選
2013
(第86回)
グレート・ビューティー/追憶のローマ The Great Beauty[17] La grande bellezza パオロ・ソレンティーノ 外国語映画賞受賞
2014
(第87回)
人間の値打ち Human Capital[18] Il capitale umano パオロ・ヴィルズィ 落選
2015
(第88回)
Don't Be Bad[19] Non essere cattivo クラウディオ・カリガリ英語版 落選
2016
(第89回)
海は燃えている〜イタリア最南端の小さな島〜 Fire at Sea[20] Fuocoammare ジャンフランコ・ロージ 落選
2017
(第90回)
チャンブラにて A Ciambra[21] A Ciambra ジョナス・カルピニャーノ 落選
2018
(第91回)
ドッグマン Dogman[22] Dogman マッテオ・ガローネ 落選
2019
(第92回)
シチリアーノ 裏切りの美学 The Traitor[23] Il traditore マルコ・ベロッキオ 落選
2020
(第93回)
国境の夜想曲英語版 Notturno[24] Notturno ジャンフランコ・ロージ 落選
2021
(第94回)
Hand of God -神の手が触れた日- The Hand of God[25] È stata la mano di Dio パオロ・ソレンティーノ ノミネート[26]
2022
(第95回)
ノスタルジア英語版 Nostalgia[27] Nostalgia マリオ・マルトーネ 落選

脚注

[編集]
  1. ^ この部門は以前は「外国語映画賞」と呼ばれていたが、アカデミーが「外国」という言葉が時代にそぐわないと判断したために2019年4月に国際長編映画賞に変更された[1][2]

参考文献

[編集]
  1. ^ Academy announces rules for 92nd Oscars”. Academy of Motion Picture Arts and Sciences. 12 July 2019閲覧。
  2. ^ Academy Announces Rule Changes For 92nd Oscars”. Forbes. 12 July 2019閲覧。
  3. ^ Special Rules for the Best Foreign Language Film Award”. Academy of Motion Picture Arts and Sciences. 2008年1月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年6月18日閲覧。
  4. ^ History of the Academy Awards – Page 1”. Academy of Motion Picture Arts and Sciences. 2008年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年6月18日閲覧。
  5. ^ History of the Academy Awards – Page 2”. Academy of Motion Picture Arts and Sciences. 2008年4月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年6月18日閲覧。
  6. ^ Variety Staff (2007年3月1日). “Best Foreign Film”. Variety. 2012年12月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年7月13日閲覧。
  7. ^ Foreign Language Film Facts”. Academy of Motion Picture Arts and Sciences (2008年3月8日). 2007年6月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年6月18日閲覧。
  8. ^ Federico Fellini – Awards”. Moviefone. 2008年6月18日閲覧。
  9. ^ Harmetz, Aljean (1989年2月21日). “Nomination Intricacies For Foreign-Film Oscar”. New York Times. 2008年6月18日閲覧。
  10. ^ The Bicycle Thief (1949) – Awards & Nominations”. MSN. 2008年6月18日閲覧。
  11. ^ Vittorio De Sica – Awards”. Moviefone. 2008年6月18日閲覧。
  12. ^ 「イタリア映画祭2007」(第7回) での上映題 イタリア映画祭2007 公式ホームページ”. 朝日新聞デジタル. 2022年3月16日閲覧。
  13. ^ Virzì’s The First Beautiful Thing sets out to conquer Hollywood”. cineuropa. 2010年10月3日閲覧。
  14. ^ 9 Foreign Language Films Continue to Oscar Race”. oscars.org. 2011年1月19日閲覧。
  15. ^ 63 Countries Vie for 2011 Foreign Language Film Oscar”. oscars.org. 2011年10月14日閲覧。
  16. ^ “L'Italia candida agli Oscar il film dei fratelli Taviani”. Gazzetta di Parma (Gazzetta di Parma). (26 September 2012). http://www.gazzettadiparma.it/primapagina/dettaglio/4/152232/LItalia_candida_agli_Oscar_il_film_dei_fratelli_Taviani.html 26 September 2012閲覧。 
  17. ^ Italy Picks Sorrentino's “Beauty” As Its Oscar Contender”. Variety. 2013年11月18日閲覧。
  18. ^ Oscars: Italy Selects 'Human Capital' for Foreign-Language Category”. Hollywood Reporter. 24 September 2014閲覧。
  19. ^ Anderson, Ariston (28 September 2015). “Oscars: Italy Submits ‘Non Essere Cattivo’ for Foreign-Language Category”. The Hollywood Reporter. 28 September 2015閲覧。
  20. ^ Anderson, Ariston (2016年9月26日). “Oscars: Italy Selects 'Fire at Sea' for Foreign-Language Category”. The Hollywood Reporter. 2017年6月18日閲覧。
  21. ^ Vivarelli, Nick (26 September 2017). “Jonas Carpignano’s ‘A Ciambra’ Is Italy’s Oscar Contender”. Variety. 26 September 2017閲覧。
  22. ^ Anderson, Ariston (25 September 2018). “Oscars: Italy Selects 'Dogman' for Foreign-Language Category”. The Hollywood Reporter. 25 September 2018閲覧。
  23. ^ L'Italia punta su 'Il traditore' di Bellocchio e Favino per la corsa agli Oscar”. La Repubblica (24 September 2019). 24 September 2019閲覧。
  24. ^ 93° ACADEMY AWARDS: "NOTTURNO" È IL FILM DESIGNATO A RAPPRESENTARE L'ITALIA NELLA CATEGORIA CHE PREMIA IL FILM INTERNAZIONALE”. Anica (24 November 2020). 24 November 2020閲覧。
  25. ^ Oscar 94^ Edizione: "È stata la mano di Dio" È il film Italiano designato per la categoria "International Feature Film Award"”. ANICA (26 October 2020). 26 October 2020閲覧。
  26. ^ Oscars: Full List of Nominations”. The Hollywood Reporter. 8 February 2022閲覧。
  27. ^ Oscar 2023, 'Nostalgia' di Mario Martone film italiano in concorso”. Adnkronos (26 September 2022). 26 September 2022閲覧。

関連項目

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外部リンク

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