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「第5代総選挙 (大韓民国)」の版間の差分

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2023年9月24日 (日) 02:53時点における版

第五代総選
旧国会議事堂庁舎(~1975年。1935年京城府民館として建設)。現在はソウル特別市議会の議会庁舎として使用。
各種表記
ハングル 제5대 총선
漢字 第五代總選
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第5代総選挙(だい5だいそうせんきょ)は、韓国における国会議員を選出するため第二共和国時代の1960年7月29日に行われた選挙である。本稿では改めて行なわれた第4代大統領選挙(国会議員による間接選挙)についても記述する。尚、韓国では「第○回」ではなく「第○代」と選挙回数を数える。また名称も「総選挙」(총선거)ではなく、「総選」(총선)と表記するのが一般的である。

概要

第一共和国大統領である李承晩四月革命で退陣した後、1960年6月15日責任内閣制への憲法改正が実施された後で、民議院参議院の選挙が同時に行われた。尚、参議院については李承晩時代の1952年7月の憲法改正で導入はされてはいたが、選挙は実施されておらず、今回がはじめての選挙となった。選挙の結果、民議院と参議院の両院で民主党が多数派を占める結果となった。

基礎データ

今回の選挙から選挙権は満21歳から満20歳に引き下げられた。

  • 大統領権限代行許政国務総理。李承晩が退陣した後、第二共和国が発足するまでの過渡政府を担った。
  • 議席数
民議院:233議席
参議院:58議席
  • 選挙制度
民議院:小選挙区制
参議院:ソウル特別市と道を選挙区単位とした大選挙区制制限連記制
  • 立候補者
民議院:1,563名
参議院:201名
  • 選挙人数:11,593,432名

選挙結果

総投票者数:9,778,921名
有効票数:9,077,835票(民議院)
民議院と参議院の党派別議席数と得票
党派 民議院 参議院
得票数 得票率
(%)
議席数 議席率
(%)
得票数 得票率
(%)
議席数 議席率
(%)
民主党민주당 3,786,401 41.7 175 75.1 8,195,543 39.0 31 53.4
社会大衆党사회대중당 541,021 6.0 4 1.7 516,346 2.5 1 1.7
自由党자유당 249,960 2.7 2 0.9 1,248,753 5.9 4 6.9
韓国社会党한국사회당 57,965 0.6 1 0.4 191,643 0.9 1 1.7
統一党통일당 17,293 0.2 1 0.4 0 0.0
韓国独立党한국독립당 26,649 0.3 0 0.0 28,436 0.1 0 0.0
諸派(기타 149,366 1.6 1 0.4 476,122 2.3 1 1.7
無所属무소속 4,249,180 46.8 49 21.1 10,349,763 49.3 20 34.6
合計 9,077,835 233 21,006,606 58
女性の当選者、民議院1名(民主党1名)比率0.4%[1]
出所:尹景徹『分断後の韓国政治-1945~1986-』(木鐸社)、韓国中央選挙管理委員会「歴代選挙情報システム」、"<表8-3>第5代国会議員総選挙"金浩鎮『韓国政治の研究』李健雨訳(三一書房)。参議院は『大韓民国国会60年史』193頁“〈정당별 의석수 및 득표현황〉(政党別議席数および得票現況)”と「大韓民国国会ホームページ」の「国会紹介」内「政党別議席及び得票現況」を参考。なお参議院は一人の有権者が複数候補に投票できる制限連記制を採っているため、得票数の合計は選挙人数を上回っている。
解説

自由党が事実上崩壊し、政治的空白状態の中で群小政党が乱立する中での選挙戦となったが、結果は民主党の一人勝ちであった。当選者数で2位となった無所属当選者の多くは、民主党候補者の公薦(公認)漏れだったため、大部分が国会開院と同時に民主党に入党した。13選挙区で不正が摘発され、直ちに再選挙が実施されるなど、不正が横行した第一共和国時代とは打って変わって、自由で公正な雰囲気の中で選挙は行なわれた。進歩党事件以後影を潜めていた革新勢力は、四月革命以後政治の第一線に踊り出て、社会大衆党や韓国社会党を結成して選挙に挑んだが、準備期間が短く十分な選挙体制を組めなかったため、民議院で233議席中5議席、参議院で58議席中2議席と惨敗した。

第5代民議院選挙地域別結果
定数 党派
民主党 社大党 自由党 社会党 統一党 諸派 無所属
ソウル特別市 16 15 1
京畿道 25 14 11
忠清北道 13 9 1 3
忠清南道 22 18 4
全羅北道 24 18 1 5
全羅南道 32 29 1 2
慶尚北道 38 28 1 9
慶尚南道 40 31 1 1 7
江原道  20 12 1 1 6
済州道 3 1 1 1
合計 233 175 4 2 1 1 1 49
出所:" 政黨團體別議員定數 對 當選者比率表"、(韓國)中央選擧管理委員會編『大韓民國選擧史』(中央選擧管理委員會)828頁。
初代参議院選挙地域別結果
定数 党派別
民主党 自由党 社大党 社会党 諸派 無所属
ソウル特別市 6 4 2
京畿道 6 3 1 2
忠清北道 4 3 1
忠清南道 6 2 1 1 2
全羅北道 6 4 2
全羅南道 8 4 1 3
慶尚北道 8 3 1 4
慶尚南道 8 4 1 3
江原道 4 3 1
済州道 2 1 1
58 31 4 1 1 1 20
出所:" 政黨團體別 對 當選者數比率表" 前掲書847頁。

第4代大統領選挙

大韓民国大統領選挙 (1960年8月)
大韓民国
1960年3月 ←
1960年8月12日
→ 1963年

 
候補者 尹潽善 金昌淑
政党 民主党 無所属
獲得選挙人 208 29
得票率 82.2% 11.5%

選挙前大統領

許政 (大統領代行)
民主党

選出大統領

尹潽善
民主党

総選挙後の8月12日に開かれた民議院参議院の両院合同会議で、第4代大統領選挙が実施された。選挙の結果、民主党旧派[2]の指導者である尹潽善議員を圧倒的多数で大統領に選出した。

大統領選挙
候補者別得票数[3][4]
当落 候補者 得票数
当選 尹潽善 208 82.2
金昌淑 29 11.5
卞榮泰 3 1.2
許政 2 0.8
金度演 2 0.8

大統領選挙後の8月16日、尹潽善大統領は旧派の領袖である金度演を国務総理に指名し民議院に対し承認を求めた。しかし翌17日に行われた投票では賛成111票、反対112票、無効1票で承認は否決された。そのため民主党新派[5]の領袖である張勉を国務総理に指名、19日の民議院において行われた承認投票で可決され、国務総理に就任した。組閣に関し張勉国務総理が、内閣閣僚から旧派を排除し、新派一色で構成しようとしたことで、民主党内の新派と旧派の争いが激化した。結局、旧派は民主党を離脱して1960年10月18日新民党第三共和国第四共和国新民党とは直接の関係は無い)を結成した。

当選議員

民議院

 民主党   自由党   社会大衆党   韓国社会党   統一党   憲政同志会   無所属 

ソウル特別市 鍾路区 尹潽善 鍾路区 韓根祖 中区 朱耀翰 中区 鄭一亨 龍山区 張勉
龍山区 金元万 城東区 劉聖権 城東区 洪龍駿 東大門区 閔寛植 東大門区 李栄俊
城北区 徐範錫 西大門区 金度演 西大門区 金山 麻浦区 金相敦 永登浦区 尹明運
永登浦区 金錫源
京畿道 仁川市 金載坤 仁川市 郭尚勲 仁川市 金勲 水原市 洪吉善 高陽郡 柳光烈
広州郡 申河均 楊州郡 姜永薫 楊州郡 姜昇求 漣川郡 許爀 抱川郡 金永求
加平郡 洪翼杓 楊平郡 千世基 驪州郡 朴周運 利川郡 崔夏永 龍仁郡 金允植
安城郡 金甲洙 平沢郡 李炳憲 華城郡 朴商黙 華城郡 徐泰源 始興郡 李載灐
富川郡 朴済煥 金浦郡 鄭濬 江華郡 尹在根 坡州郡 黄仁元 甕津郡 孫致浩
江原道 春川市 桂珖淳 原州市 朴忠模 江陵市 金命潤 春城郡 李燦雨 洪川郡 李在鶴
横城郡 梁徳仁 原城郡 尹吉重 寧越郡 太完善 平昌郡 張春根 旌善郡 申仁雨
鉄原郡 黄鶴性 金化郡 申基福 華川郡 金俊燮 楊口郡 金在淳 麟蹄郡 全亨山
高城郡 金応祚 襄陽郡 咸鍾贇 溟州郡 崔駿吉 三陟郡 崔慶植 蔚珍郡 金光俊
忠清北道 清州市 李敏雨 忠州市 金基喆 清原郡 申正浩 清原郡 金昌洙 報恩郡 朴起鍾
沃川郡 申珏休 永同郡 閔壮植 鎮川郡 李忠煥 槐山郡 安東濬 陰城郡 李丁錫
中原郡 鄭商熙 堤川郡 李泰鎔 丹陽郡 趙鍾淏
忠清南道 大田市 兪鎮霊 大田市 陳馨夏 大徳郡 朴炳培 燕岐郡 成泰慶 公州郡 朴忠植
公州郡 金学俊 論山郡 金千洙 論山郡 尹潭 扶余郡 李錫基 扶余郡 李鍾純
舒川郡 禹熙昌 保寧郡 金永善 青陽郡 李相喆 洪城郡 金英煥 礼山郡 成元慶
瑞山郡 張慶淳 瑞山郡 安万福 唐津郡 李奎栄 唐津郡 朴準璇 牙山郡 成耆善
天安郡 洪椿植 天安郡 李相敦
全羅北道 全州市 柳青 全州市 李哲承 群山市 金判述 裡里市 李春基 完州郡 李貞遠
完州郡 裵聖基 鎮安郡 全烋相 錦山郡 柳珍山 茂朱郡 申鉉燉 長水郡 宋泳璿
任実郡 韓相駿 南原郡 朴煥生 南原郡 尹正九 淳昌郡 洪英基 井邑郡 羅容均
井邑郡 宋能云 高敞郡 柳津 高敞郡 金相欽 扶安郡 宋乙相 金堤郡 趙漢栢
金堤郡 尹済述 沃溝郡 梁一東 益山郡 曺圭琬 益山郡 尹宅重
全羅南道 光州市 鄭成太 光州市 金容煥 光州市 李必善 木浦市 金文玉 麗水市 鄭在浣
順天市 尹亨南 光山郡 高夢尤 潭陽郡 金東鎬 谷城郡 尹鄒燮 求礼郡 高奇峯
光陽郡 金錫柱 麗川郡 金佑枰 昇州郡 趙淵夏 高興郡 朴亨根 高興郡 徐珉濠
宝城郡 李晶来 和順郡 朴珉基 長興郡 高永完 康津郡 梁炳日 海南郡 洪珖杓
海南郡 金采庸 霊岩郡 金俊淵 務安郡 金玉衡 務安郡 劉沃祐 務安郡 朱燾允
羅州郡 鄭文采 羅州郡 李京 咸平郡 金義沢 霊光郡 曺泳珪 長城郡 金炳洙
莞島郡 金善太 珍島郡 朴熺洙
慶尚北道 大邱市 徐東辰 大邱市 徐相日 大邱市 林文碩 大邱市 曺在千 大邱市 曺逸煥
大邱市 蒋穎模 浦項市 李相冕 金泉市 金洗栄 慶州市 呉正国 達城郡 朴浚圭
軍威郡 文命浩 義城郡 呉相稙 義城郡 禹弘矩 安東郡 金始顕 安東郡 朴海充
青松郡 沈吉燮 英陽郡 朴鍾吉 盈徳郡 金永修 迎日郡 崔泰能 迎日郡 崔海鎔
月城郡 金鍾海 月城郡 黄漢洙 永川郡 趙憲秀 永川郡 権仲敦 慶山郡 朴海禎
清道郡 金濬泰 高霊郡 郭泰珍 星州郡 朱秉煥 漆谷郡 張沢相 金陵郡 禹燉珪
善山郡 申駿遠 尚州郡 洪正杓 尚州郡 金基玲 聞慶郡 李炳夏 醴泉郡 玄錫虎
栄州郡 黄虎栄 奉化郡 崔泳斗 鬱陵郡 田石鳳
慶尚南道 釜山市中区 金応柱 釜山市西区 金泳三 釜山市西区 金東郁 釜山市影島区 崔成旭 釜山市影島区 李晩雨
釜山市東区 朴順天 釜山市東区 李鍾麟 釜山市釜山鎮区 李鍾南 釜山市釜山鎮区 朴瓚鉉 釜山市東萊区 金命洙
馬山市 鄭南奎 晋州市 金溶珍 忠武市 崔天 鎮海市 金秉鎮 三千浦市 李在賢
晋陽郡 黄南八 宜寧郡 姜鳳龍 咸安郡 韓鍾建 昌寧郡 朴基玎 密陽郡 白南薫
密陽郡 朴権熙 梁山郡 林基台 蔚山郡 崔泳謹 蔚山郡 鄭海永 東萊郡 趙一載
金海郡 崔瑗浩 金海郡 徐正元 昌原郡 李良鎬 昌原郡 金奉才 統営郡 徐廷貴
巨済郡 尹炳漢 固城郡 崔奭林 泗川郡 鄭憲柱 南海郡 崔致煥 河東郡 尹鍾寿
山清郡 曺明煥 咸陽郡 鄭俊鉉 居昌郡 慎重夏 陜川郡 李尚信 陜川郡 鄭吉永
済州道 済州市 高湛龍 北済州郡 洪文中 南済州郡 金成淑

補欠選挙

日付 選挙区 当選者 当選政党 欠員 欠員政党 欠員事由
1960 10.10 ソウル鍾路区 銭鎮漢 無所属 尹潽善 民主党 大統領に選出
京畿道楊州郡 趙尹衡 民主党 姜永薫 民主党 死去
12.30 京畿道甕津郡 張翼鉉 無所属 孫致浩 無所属 当選無効
1961 2.10 ソウル麻浦区 申相楚 民主党 金相敦 民主党 ソウル市長選へ出馬
京畿道金浦郡 許佶 民主党 鄭濬 無所属 辞職
4.24 京畿道利川郡 白斗鎮 無所属 崔夏永 無所属 反民主行為者公民権制限法違反により議員職喪失
江原道洪川郡 李教善 無所属 李在鶴 無所属 反民主行為者公民権制限法違反により議員職喪失
忠清南道公州郡 厳大燮 民主党 朴忠植 無所属 当選無効
慶尚南道固城郡 金基鎔 無所属 崔奭林 自由党 当選無効
5.13 江原道麟蹄郡 金大中 民主党 全亨山 自由党 反民主行為者公民権制限法違反により議員職喪失
忠清北道槐山郡 金思万 民主党 安東濬 無所属 反民主行為者公民権制限法違反により議員職喪失
忠清北道陰城郡 鄭寅笑 無所属 李丁錫 無所属 反民主行為者公民権制限法違反により議員職喪失
全羅北道井邑郡 金声煥 無所属 宋能云 無所属 反民主行為者公民権制限法違反により議員職喪失
慶尚南道南海郡 金鍾吉 民主党 崔致煥 無所属 反民主行為者公民権制限法違反により議員職喪失
  • 1961年5月13日の補欠選挙で当選した金大中を含む5人は3日後の5・16軍事クーデターにより失職したため、任期は3日しかなかった。これは韓国の憲政史上の国会議員の最短任期となる。なお、金大中以外の4人はその後に国会議員に当選したことがなかった[6]

参議院

 民主党   自由党   社会大衆党   韓国社会党   革新同志会総連盟   無所属 

ソウル特別市 白楽濬 韓通淑 金東鳴 李仁 高羲東 全用淳
京畿道 呂運弘 鄭楽弼 申義湜 河相勲 金龍星 李教善
江原道 鄭順応 金大植 金秉魯 金振九
忠清北道 朴己云 宋必満 朴瓚熙 呉範秀
忠清南道 李範奭 沈宗錫 李範昇 李勲求 鄭兢謨 韓光錫
全羅北道 蘇宣奎 姜沢秀 宋邦鏞 梁春根 厳秉学 厳敏永
全羅南道 黄聖秀 曺国鉉 金南中 李南圭 朴哲雄 丁文甲 崔相彩 梁会英
慶尚北道 白南檍 李孝祥 宋寛洙 崔熙松 李源万 権東哲 金長渉 崔達喜
慶尚南道 安浩相 呉緯泳 金龍周 薛昌洙 尹致衡 金炯斗 鄭相九 金達範
済州道 康才良 康慶玉

脚注

  1. ^ 春木育美『現代韓国と女性』新幹社、158頁“表5-1「歴代女性国会議員数」”、166頁
  2. ^ 解放直後に結成された韓国民主党の系譜を汲む政治家のグループ。後に大統領となる金泳三は旧派に属していた。
  3. ^ 金浩鎮『韓国政治の研究』李健雨訳、三一書房、243頁の"<別添表3>歴代大統領選挙"を参考にして作成した。
  4. ^ 森山茂徳『韓国現代政治』東京大学出版会、186~187頁“ 「表5 歴代大統領選挙」”
  5. ^ 新派は李承晩政権初期にテクノクラートとして政権内部で活躍し、その後李承晩と袂を分かった人々を中心としたグループである。やはり後に韓国大統領となる金大中は新派に属していた。
  6. ^ 의회정치 60년, 선량들이 낳은 진기록|신동아” (朝鮮語). 신동아 (2008年8月4日). 2023年9月15日閲覧。

参考文献・サイト

関連項目