国道193号
一般国道 | |
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国道193号 | |
地図 | |
総延長 | 159.3 km |
実延長 | 148.4 km |
現道 | 139.1 km |
制定年 | 1953年(昭和28年)指定(1975年(昭和50年)延伸) |
起点 | 香川県高松市 中新町交差点(北緯34度20分14.21秒 東経134度2分49.44秒 / 北緯34.3372806度 東経134.0470667度) |
主な 経由都市 |
徳島県美馬市、吉野川市 |
終点 | 徳島県海部郡海陽町 大里交差点(北緯33度36分6.45秒 東経134度21分4.80秒 / 北緯33.6017917度 東経134.3513333度) |
接続する 主な道路 (記法) |
国道11号 国道32号 国道377号 国道192号 国道492号 国道438号 国道195号 国道55号 |
■テンプレート(■ノート ■使い方) ■PJ道路 |
国道193号(こくどう193ごう)は、香川県高松市から徳島県海部郡海陽町に至る一般国道である。
概要
[編集]瀬戸内海側の香川県高松市にある国道11号上・中新町交差点を起点に、南へ讃岐山脈を越えて徳島平野西部に位置する徳島県美馬市を経て、四国山地の雲早山を越えて太平洋側の海部郡海陽町の国道55号交点へ至る、四国東部地域を南北方向に横断する一般国道の路線である。高松市北部の上天神町交差点から同市香南町岡までは、通称「空港通り」とよばれる高松空港へのアクセス道路として機能する。
徳島県内の土須峠(神山町 - 旧木沢村(現・那賀町))と霧越峠(旧上那賀町(現・那賀町) - 旧海南町(現・海陽町))の2つの未整備・未改良区間を残しており、一般国道の中でもいわゆる「酷道」とよばれている区間でもある[1]。土須峠は分断区間がある未開通国道でもあり、徳島県道253号山川海南線が分断区間の代替路となっている[1]。神山町から雲早峠へ向かう道は、日本最長の林道である剣山スーパー林道へのアクセス路としても機能する[1]。国道195号を交差してから南へ霧越峠を越える道筋は土佐中街道ともよばれ、林道区間が国道へと付け変わった道路である[1]。
路線データ
[編集]一般国道の路線を指定する政令[2][注釈 1] に基づく起終点および重要な経過地は次のとおり。
- 起点:高松市(中新町交差点 = 国道11号交点・国道32号・国道492号・香川県道33号高松善通寺線起点、国道30号・国道436号・香川県道43号中徳三谷高松線旧道・香川県道155号牟礼中新線終点)
- 終点:徳島県海部郡海南町[注釈 2](大里交差点 = 国道55号交点)
- 重要な経過地:香川県香川郡香川町[注釈 3]、同郡塩江町[注釈 4]、同県木田郡三木町、徳島県美馬郡穴吹町[注釈 5]、同県麻植郡山川町[注釈 6]、同県名西郡神山町、同県那賀郡上那賀町[注釈 7]
- 総延長 : 159.3 km(徳島県 126.3 km、香川県 32.9 km)重用延長を含む。[3][注釈 8]
- 重用延長 : 10.8 km(徳島県 7.8 km、香川県 3.0 km)[3][注釈 8]
- 未供用延長 : なし[3][注釈 8]
- 実延長 : 148.4 km(徳島県 118.5 km、香川県 29.9 km)[3][注釈 8]
- 指定区間:国道11号、国道192号と重複する区間(香川県高松市・中新町交差点(起点) - 上天神町交差点、徳島県美馬市・穴吹橋交差点 - 吉野川市・瀬詰交差点)[4]
歴史
[編集]年表
[編集]- 1936年(昭和11年)9月25日 - 香川県道4号(香川県高松市 - 香川県木田郡奥鹿村(現・三木町))、徳島県道5号(徳島県徳島市 - 徳島県美馬郡江原町(現・美馬市))[要出典]
- 1953年(昭和28年)5月18日 - 二級国道193号徳島高松線(徳島市 - 高松市)として指定施行[5]。
- 1965年(昭和40年)4月1日 - 道路法改正により一級・二級区分が廃止されて一般国道193号として指定施行[2]。
- 1972年(昭和47年)3月10日 - 徳島県が徳島県道21号山川海南線(当時、徳島県麻植郡山川町[注釈 6] - 徳島県海部郡海南町[注釈 2])を県道認定[要出典]。
- 1975年(昭和50年)4月1日 - 徳島県道21号を編入して終点側を延伸し、一般国道193号(高松市 - 徳島県海部郡海南町)として指定施行[6]。
災害
[編集]- 2004年(平成16年)7月30日から8月1日にかけての台風10号の豪雨により、木沢村(現:那賀町)で山腹崩壊が発生し、坂州木頭川にかかる符殿橋と加州谷橋や符殿トンネルが流出した。同箇所はさらなる崩壊の恐れがあるため、災害復旧としては異例の別ルートでの復旧工事が行われることとなり(木沢トンネル)、2007年(平成19年)4月27日に開通した。上那賀町(現:那賀町)海川でも2年以上にわたり通行止めになっていたが、2007年(平成19年)4月に復旧工事が終わり通行止めは解除された。
路線状況
[編集]高松市の空港通りは4車線の道路として整備は完了していることから、すでに旧国道193号の大部分は香川県道280号高松香川線(塩江街道)となっている。ただし、高松市香川町川東下から同市香川町安原下までの岩崎橋を経由する区間は、国道193号旧道のままとなっており、この区間は新旧の国道193号が並行する(2019年3月現在)。
空港通りの終わりとなる高松市塩江地区以南からは讃岐山脈を越える山道となる。カーブも多くなるが、徳島県美馬市穴吹町穴吹までの区間は、高松市と吉野川中流域を結ぶ幹線道路であり、交通量も多い[要出典]。美馬市の穴吹橋で吉野川を越えると、その南詰交差点で国道192号との重複区間となり、吉野川市まで吉野川沿いに東進する。吉野川市の瀬詰交差点で国道192号分岐から太平洋側の海陽町までの間は、四国山地を南北に縦断する山道になり、山肌を縫うように狭路が連続する蛇行した道路となる[注釈 9][9]。
倉羅峠を越え神山町に入り、上分川又で国道438号と交差したあと土須峠に向かうが、その途中の上分大中尾で国道193号指定区間は途切れる。道路はこのまま延長連続する形で続いているが、上分大中尾から町境の雲早隧道を越えて那賀町沢谷字釜ヶ谷の釜ヶ谷峡までの区間は国道193号に指定されておらず、徳島県道253号山川海南線となっている。この県道区間は狭隘路で、積雪等により冬季閉鎖される。
釜ヶ谷峡から徳島県那賀町掛盤の酷道区間は、崖の岩場に張り付くような自動車1台が通れるほどの険しい狭隘路で、釜ヶ谷峡付近に素掘りの「大釜隧道」がある[10]。那賀町日真出合の那賀川にかかる出合ゆず大橋からは国道195号との重複区間となる(案内標識は両国道が併記されている)。平谷地区大殿の交差点で195号と分岐後もしばらくは車線が確保された道路が続くが、海川地区の集落を過ぎると国道193号最大の難所、霧越峠区間に入る。峠を越えた後、海陽町小川西桑原から南は、海部川に沿った快走路となる。大里交差点で国道55号に接続して国道193号は終わる。
高松市 - 美馬市脇町間は将来香南脇道路として整備する計画がある。酷道区間も阿波海南道路として整備を促進中。
バイパス
[編集]通称
[編集]国道193号の酷道区間は、酷道愛好家の間では語呂合わせで「イクサ」の通称で親しまれている[12]。
- 空港通り(高松市)
- 塩江街道
- 曽江谷街道
- 木頭街道
重複区間
[編集]- 国道11号・国道32号(香川県高松市・中新町交差点(起点) - 高松市・上天神町交差点[注釈 10])
- 国道492号(香川県高松市中新町・中新町交差点(起点) - 徳島県美馬市穴吹町穴吹・穴吹橋交差点)
- 国道377号(香川県高松市香川町安原下・鮎滝交差点 - 徳島県美馬市脇町)
- 国道192号(徳島県美馬市穴吹町穴吹・穴吹橋交差点 - 吉野川市山川町前川・瀬詰交差点)
- 国道438号・国道439号(徳島県名西郡神山町上分)
- 国道195号(徳島県那賀郡那賀町日真・出合橋交差点 - 那賀郡那賀町大殿)
分断区間
[編集]徳島県名西郡神山町上分 - 那賀郡那賀町沢谷に1か所の分断区間があり、代替路として国道193号と変わらない舗装状態の徳島県道253号山川海南線で通過することができる[1]。この分断区間の県道253号が国道193号に付け替えられない理由については不明で、国道愛好家の間でも謎とされている[1]。
道路施設
[編集]橋梁
[編集]- 新岩崎橋(L=148 m、香東川)
- 穴吹橋(L=533.4 m、1990年(平成2年)完成、吉野川)
- 出合ゆず大橋(L=180 m、2017年(平成29年)完成、那賀川)
- 出合橋(L=137 m、1954年完成、那賀川 出合ゆず大橋の開通により現在は使用されていない)
- 吉野橋(L=235 m、1981年完成、海部川)
-
素掘のトンネル「大釜隧道」。現役の国道トンネルとしては非常に珍しい、掘りっぱなしの素掘りトンネルである[7]。
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木沢トンネル
-
出合橋
-
出合トンネル
トンネル
[編集]- 倉羅トンネル(L=2,700 m)*建設中
- 木沢トンネル(L=1,280 m、2007年完成)
- 出合トンネル(L=110 m、1956年完成)
- 十二弟子トンネル(L=827 m、1987年完成)
道の駅
[編集]- 香川県
- しおのえ(高松市)
地理
[編集]通過する自治体
[編集]交差する道路
[編集]- 香川県
- 国道11号(高松市・上天神町交差点)(※国道11号重複 = 国道32号)
- 香川県道12号三木国分寺線(高松市・三名町交差点) - 渋滞情報でしばしば登場する。
- 香川県道45号高松空港線(高松市香南町岡) - 「空港通り」はここまで
- 国道377号(高松市・鮎滝交差点) - 4車線区間はここまで
- 徳島県
- 国道377号(美馬市脇町清水)
- 香川県道・徳島県道105号多和脇線(美馬市・落合橋西詰交差点)
- 脇町IC - 徳島自動車道(美馬市)
- 徳島県道12号鳴門池田線(美馬市脇町・拝原交差点)
- 国道192号・国道492号(美馬市穴吹町穴吹・穴吹橋交差点)
- 国道192号、香川県道・徳島県道3号志度山川線(吉野川市山川町前川・瀬詰交差点)
- 国道438号(名西郡神山町上分)
- 国道195号(那賀郡那賀町・出合橋交差点)
- 国道195号(那賀町大殿)
- 徳島県道37号牟岐海南線(海部郡海陽町小川)
- 国道55号(海部郡海陽町大里・大里交差点)
沿線
[編集]- 高松市香川総合体育館
- ホタルと文化の里
- 塩江温泉
- 夏子ダム(夏子休憩所)
- 美郷ほたる館
- 岳人の森キャンプ場
峠
[編集]- 香川県
- 徳島県
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 一般国道の路線を指定する政令の最終改正日である2004年3月19日の政令(平成16年3月19日政令第50号)に基づく表記。
- ^ a b 2006年3月31日に3町が合併して海部郡海陽町発足。
- ^ 2006年1月10日に高松市へ編入。
- ^ 2005年9月26日に高松市へ編入。
- ^ 2005年3月1日に3町1村が合併して美馬市発足。
- ^ a b 2004年10月1日に3町1村が合併して吉野川市発足。
- ^ 2005年3月1日に3町2村が合併して那賀郡那賀町発足。
- ^ a b c d e f g 2022年3月31日現在
- ^ この区間が美郷を経由するルートになったのは、地元出身の代議士後藤田正晴の意向によるものと言われ、「後藤田道路」と呼ばれることがある[8]。
- ^ このため案内標識等に193号の路線番号が表示されるのは上天神交差点以遠となる
出典
[編集]- ^ a b c d e f 松波成行 2008, p. 64.
- ^ a b “一般国道の路線を指定する政令(昭和40年3月29日政令第58号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2012年9月29日閲覧。
- ^ a b c d e f g “表26 一般国道の路線別、都道府県別道路現況” (XLS). 道路統計年報2023. 国土交通省道路局. 2024年4月11日閲覧。
- ^ “一般国道の指定区間を指定する政令(昭和33年6月2日政令第164号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2012年9月29日閲覧。
- ^ ウィキソースには、二級国道の路線を指定する政令(昭和28年5月18日政令第96号)の原文があります。
- ^ “一般国道の路線を指定する政令の一部を改正する政令(昭和49年11月12日政令第364号)”. 法庫. 2013年2月26日閲覧。
- ^ a b 鹿取茂雄 2018, p. 71.
- ^ 坂東弘平『後藤田正晴・全人像』行政問題研究所、1983年、240頁。ISBN 978-4905786283。
- ^ 鹿取茂雄 2018, p. 70.
- ^ 鹿取茂雄 2019, pp. 70–71.
- ^ “一般国道193号「皆ノ瀬工区」が完成しました”. 徳島県. 2015年3月4日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 鹿取茂雄 2018, pp. 70–71.
参考文献
[編集]- 鹿取茂雄(著)、磯部祥行(編)「国道193号〈未開通区間〉」『酷道大百科』〈ブルーガイド・グラフィック〉、実業之日本社、2018年12月28日、70 - 71頁、ISBN 978-4-408-06392-8。
- 松波成行「国道193号」『酷道をゆく』、イカロス出版、2008年3月20日、64頁、ISBN 978-4-86320-025-8。
関連項目
[編集]- 日本の一般国道一覧
- 四国地方の道路一覧
- 香川県道280号高松香川線(旧国道193号)
外部リンク
[編集]- 国土交通省四国地方整備局
- 香川県
- 徳島県
- 西部総合県民局県土整備部:美馬市の指定区間外を管理。
- 東部県土整備局:吉野川市 - 名西郡神山町の指定区間外を管理。
- 南部総合県民局県土整備部:那賀郡那賀町 - 海部郡海南町の区間を管理。