月極域探査ミッション
月極域探査ミッション | |
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所属 |
インド宇宙機関 (ISRO) 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) |
公式ページ | 月極域探査ミッション(LUPEX) |
状態 | 開発中 |
目的 | 月の水資源の探査 |
観測対象 | 月 |
計画の期間 | 3ヶ月以上 |
打上げ機 | H3ロケット(予定) |
打上げ日時 | 2026年(予定) |
物理的特長 | |
姿勢制御方式 | 3軸姿勢制御 |
軌道要素 | |
周回対象 | 月 |
搭載機器 | |
LTGA | 熱重量分析計 |
TRITON | 多反射リフレクトロン型TOF質量分析計 |
ADORE | レーザー微量水分・同位体分析装置 |
HNDG | 試料ハンドリング部 |
ISAP | ISRO試料分析装置 |
ALIS | 近赤外画像分光装置 |
NS | 中性子検出器 |
GPR | 地中レーダ |
EMS-L | 表層分圧計 |
MIR | 中間赤外画像分光装置 |
月極域探査ミッション(つききょくいきたんさミッション、LUPEX, Lunar Polar Exploration Mission、ルペックス)はインド宇宙機関 (ISRO)と宇宙航空研究開発機構 (JAXA)が共同で開発している月探査機である。月の南極付近へ着陸し[1]、探査車で水の探索を行う。2023年現在、2026年の打ち上げが予定されている[2]。
概要
[編集]近年の探査機による観測により、月では極域の地面などで水の存在が示唆されている。しかしこれらはすべてリモートセンシングによる観測で調べられたものであり、現地で直接水を見つけた事例はまだなく、その存在量も明らかになっていない。仮に月に水が利用可能な形で存在している場合、それを資源として採掘すれば宇宙船の燃料などに使うことができ、将来の有人月面基地の開発に大いに役立つことが期待されている。LUPEXは世界に先んじて月面で水を観測することを目指している。この他にLUPEXは月表層大気の揮発性成分の観測や着陸地点の元素の濃度・分布を観測する[3]。本プロジェクトにおいてJAXAはロケットによる打ち上げとローバ、ISROは着陸機をそれぞれ担当している。
2016年、JAXAとISROは宇宙分野の協力促進に関する了解覚書を締結した。この枠組みの中で日印共同の月探査機が検討され[4]、2017年11月にインドベンガルールで開催された第24回アジア太平洋地域宇宙機関会議にて初めてLUPEXが公表された[5][6]。同年12月には両機関の間で月極域探査の検討に関する実施取決めが締結された[7]。2018年3月にJAXAとISROはフィージビリティスタディの共同レポートを作成し[8]、10月に安倍・モディ両首相が会談した際のビジョンステートメントにも月極域探査ミッションが盛り込まれた[9]。2018年12月、JAXAとISROは共同ミッション定義審査 (JMDR) を実施した[10]。
月極域探査ミッションはチャンドラヤーン2号が着陸に失敗した以前は「チャンドラヤーン3号」とも呼ばれていた[注 1]。
探査機
[編集]LUPEX着陸機
[編集]LUPEX着陸機はISROが担当し、2023年に打ち上げたチャンドラヤーン3号をもとに開発される。電力は太陽電池によって賄われるが、着陸予定地である月の極域での日照を考慮し着陸機から垂直に伸展する太陽電池タワーが取り付けられる[11]。着陸機の太陽電池やバッテリーには日本が提供するものもある。またJAXAが2024年に小型月着陸実証機SLIMで実証した月面へのピンポイント着陸技術はLUPEXに実装されるため、着陸機の航法誘導センサーと誘導アルゴリズムも日本が担当する[1]。
2023年の時点では着陸機への搭載が確定した科学観測機器はないものの、インド物理学研究所 (PRL) はLUMEX (月微小隕石実験) 、LEDEX (月静電ダスト実験) などの搭載を提案している[12]。
LUPEXローバ
[編集]LUPEXローバはJAXAが担当し、月面着陸後に10km以上移動して土壌に水が含まれていないか探索を行う[13]。4脚のクローラで走行するため、傾斜のある地形も踏破することができる。また深さ1.5mまで掘削できるドリルを装備している。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b “国際協力による月探査計画への参画に向けて 参考資料”. 宇宙政策委員会 宇宙科学・探査小委員会 (2022年9月5日). 2024年1月2日閲覧。
- ^ “Chandrayaan-3: The race to unravel the mysteries of Moon's south pole” (英語). BBC (2023年8月23日). 2024年1月2日閲覧。
- ^ “月極域探査機(LUPEX)について”. 宇宙開発利用部会 (2024年4月24日). 2024年6月10日閲覧。
- ^ “平成29年12月理事長定例記者会見”. JAXA (2017年12月8日). 2024年1月2日閲覧。
- ^ “JAXA Space Exploration Current and Future Activities” (英語). アジア太平洋地域宇宙機関会議 (2017年11月17日). 2024年1月2日閲覧。
- ^ “ISRO, JAXA to collaborate on future lunar missions” (英語). The Indian Express (2017年11月19日). 2024年1月2日閲覧。
- ^ “国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)とインド宇宙研究機関(ISRO)の月極域探査の検討に関する実施取決めの締結について”. JAXA (2017年12月6日). 2024年1月2日閲覧。
- ^ “India-Japan Development Cooperation in the Indo-Pacific, including Africa” (英語). 外務省 (2018年). 2024年1月2日閲覧。
- ^ “日印ビジョンステートメント”. 外務省 (2018年10月29日). 2024年1月2日閲覧。
- ^ “PROGRESS OF LUNAR POLAR EXPLORATION MISSION”. 国際宇宙会議 (2020年10月12日). 2023年1月2日閲覧。
- ^ “月極域探査ミッションの検討状況”. JAXA (2018年1月9日). 2024年1月2日閲覧。
- ^ “ISRO-JAXA LUPEX Rover” (英語). 物理学研究所. 2024年1月2日閲覧。
- ^ “探査車開発に日本の技術力…[月で暮らす]<下>”. 読売新聞 (2023年1月22日). 2024年1月2日閲覧。
注釈
[編集]- ^ チャンドラヤーン2号は着陸に失敗したため、同一設計のチャンドラヤーン3号の開発が2019年に発表され、LUPEXより先に月面着陸に成功した。なおISROは月サンプルリターンミッションのチャンドラヤーン4号も構想している。
関連項目
[編集]- 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
- インド宇宙機関(ISRO)