カンナカッタラ経
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『カンナカッタラ経』[1](カンナカッタラきょう、巴: Kaṇṇakatthala-sutta, カンナカッタラ・スッタ)とは、パーリ仏典経蔵中部に収録されている第90経。『普棘刺林経』(ふこくしりんきょう)[2]、『一切智経』(いっさいちきょう)[3]とも。
類似の伝統漢訳経典としては、『中阿含経』(大正蔵26)の第212経「一切智経」がある。
カンナカッタラ(普棘刺林)にて、釈迦とアーナンダが、コーサラ国王パセーナディ等に仏法を説く。
構成
[編集]登場人物
[編集]場面設定
[編集]ある時、釈迦は、ウルンニャーのカンナカッタラ(普棘刺林)鹿苑に滞在していた。
そこにコーサラ国のパセーナディ王たちが訪れ、釈迦が「一切智」(あらゆる智)を持った者だという風聞を聞いたが本当かと問う。
釈迦はそれは誤りであると答える。パセーナディ王が将軍ヴィドゥーダバに風聞の出処を尋ねると、将軍は婆羅門アーカーサゴッタが風聞の出処だと答える。
王は釈迦に、階級制度(カースト)が絶対的なものかどうか問う。釈迦は5つの善を挙げ、それが獲得・維持されている間は階級的区別は失われるが、その5つの善が失われると階級的区別と抑圧・隷属が生じること、またその5つの善を獲得することで解脱に至るし、解脱の境地は出身階級など関係無く平等であると説く。
将軍ヴィドゥーダバが、釈迦に神々(諸天)の存在とその善悪を問うと、釈迦の代わりにアーナンダが、善神は上方に、悪神は下方にいること、上方から下方は見えるが、下方からは上方は見えないことなどを説く。
王たちは歓喜して帰っていく。