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紀伊半島南東沖地震

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
三重県南東沖地震から転送)

紀伊半島南東沖地震(きいはんとうなんとうおきじしん)、または東海道沖地震(とうかいどうおきじしん)とは、2004年(平成16年)9月5日の19時7分と23時57分、9月7日8時29分(いずれもJST)に起きた地震である。いずれも、東南海地震の想定震源域の南側の海溝軸付近のフィリピン海プレート内で発生した逆断層型プレート内地震と考えられている[1]気象庁の地震震源地域区分で「紀伊半島沖」と「東海道沖」をまたぐように起こった。

この地震で死者は出なかったが、けが人が多数出たほか、沿岸部では津波が観測され、港の漁船が壊れるなどの被害があった。しかし、気象庁から津波警報が発せられたにもかかわらず、避難勧告を行わなかった自治体が多数あったうえ、実際に避難した住民もごく少数だったにもかかわらず、津波による人的被害が生じなかった。

2006年(平成18年)10月1日より、国内各地の震源名が変更になり、地震の起きた海域は「三重県南東沖」に改められているが、本記事では地震発生時の名称で記述する。

2004年9月5日19時7分8秒発生の地震

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紀伊半島南東沖地震
紀伊半島南東沖地震の位置(日本内)
紀伊半島南東沖地震
地震の震央の位置を示した地図
本震
発生日 2004年平成16年)9月5日
発生時刻 19時7分8秒(JST
震央 日本の旗 日本 紀伊半島南東沖
北緯33度1.9分
東経136度47.8分(北緯33度1.9分 東経136度47.8分 / 北緯33.0317度 東経136.7967度 / 33.0317; 136.7967
震源の深さ 38 km
規模    マグニチュード(M)7.1
最大震度    震度5弱:奈良県下北山村和歌山県新宮市
津波 63cm:神津島
地震の種類 プレート内地震逆断層型注1
注1:地震調査研究推進本部による。[1]
出典:特に注記がない場合は気象庁による。
プロジェクト:地球科学
プロジェクト:災害
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概要

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紀伊半島沖で地震が発生。津波注意報震源地に近い沿岸部に発表された。

  • 北緯33度1.9分、東経136度47.8分、M7.1、震源の深さ38km
  • 奈良県下北山村、和歌山県新宮市で震度5弱。関東地方から九州地方までの広い範囲で揺れを観測。
  • 揺れはさほど激しい揺れではなく、ゆっくりとした揺れが感じられた。2分近く同間隔の揺れが続いた。
  • メカニズム解[2]
    • 走向、傾斜、すべり角 (71, 56, 75)
    • 地震モーメントMo 9.8 * 1019Nm
    • Mw 7.3
    • 破壊継続時間(主破壊) 16秒
    • 破壊開始点の深さ 15 km
    • 食い違い Dmax 3.9 m

各地の震度

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震度 都道府県 観測点名
5弱 奈良県 下北山村寺垣内
和歌山県 新宮市新宮
4 岐阜県 岐阜山県市高木
愛知県 渥美町福江・名古屋南区鳴尾・西尾市寄住町・愛知美浜町河和
三重県 鈴鹿市西条・津市島崎町・津市西丸之内・松阪市高町・松阪市殿町・久居市東鷹跡町・香良洲町役場・玉城町田丸・二見町江・大山田村平田・熊野市井戸町・紀伊長島町長島・海山町相賀・紀宝町成川・紀和町板屋・鵜殿村役場
滋賀県 彦根市城町・近江八幡市桜宮町・中主町西河原
京都府 城陽市寺田・長岡京市開田・八幡市八幡・大山崎町円明寺・久御山町田井
大阪府 大阪西淀川区千船・八尾市本町・寝屋川市役所・大東市新町・箕面市粟生外院・柏原市安堂町・門真市中町・摂津市三島・東大阪市荒本北・四條畷市中野・堺市深井清水町・堺市石津西町・岸和田市岸城町・岸和田市役所・泉大津市東雲町・貝塚市畠中・泉佐野市市場・泉佐野市りんくう往来富田林市高辺台・松原市阿保・大阪和泉市府中町・藤井寺市岡・泉南市信達市場・大阪狭山市狭山・阪南市尾崎町・忠岡町忠岡東・大阪田尻町嘉祥寺・大阪太子町山田・大阪美原町黒山
奈良県 天理市川原城町・桜井市粟殿・都祁村針・奈良川西町結崎・三宅町伴堂・田原本町役場・大宇陀町迫間・菟田野町松井・奈良榛原町下井足・高取町観覚寺・新庄町柿本・広陵町南郷・奈良吉野町上市・大淀町桧垣本・黒滝村寺戸・奈良川上村迫・東吉野村小川
和歌山県 海南市日方・御坊市薗・粉河町粉河・那賀町名手市場・桃山町元・かつらぎ町丁ノ町・高野口町名倉・和歌山美浜町和田・和歌山川辺町土生・南部川村谷口・和歌山南部町芝・和歌山印南町印南・田辺市中屋敷町・和歌山白浜町湯崎・中辺路町栗栖川・上富田町朝来・串本町潮岬古座川町高池・熊野川町日足

津波

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観測値は検潮所による。

9月5日23時57分17秒発生の地震

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紀伊半島南東沖地震
紀伊半島南東沖地震の位置(日本内)
紀伊半島南東沖地震
地震の震央の位置を示した地図
本震
発生日 2004年平成16年)9月5日
発生時刻 23時57分17秒(JST
震央 日本の旗 日本 紀伊半島南東沖
北緯33度8.2分
東経137度8.4分(北緯33度8.2分 東経137度8.4分 / 北緯33.1367度 東経137.1400度 / 33.1367; 137.1400
震源の深さ 44 km
規模    マグニチュード(M)7.4
最大震度    震度5弱:三重県香良洲町(現・津市)、松阪市奈良県下北山村和歌山県新宮市
津波 93cm:神津島
地震の種類 プレート内地震逆断層型注1
被害
死傷者数 負傷者36人注2
注1:地震調査研究推進本部による。[1]
注2:負傷者は本震によるもののみ。
出典:特に注記がない場合は気象庁による。
プロジェクト:地球科学
プロジェクト:災害
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概要

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19時7分の地震のやや東(東海道沖)で地震発生。この地震で翌9月6日0時03分頃に愛知県外海、三重県南部、和歌山県に津波警報が発表され緊急警報放送が出された。(NHKのみ[3]

  • 北緯33度8.2分、東経137度8.4分、M7.4、震源の深さ44km
  • 三重県松阪市香良洲町(現:津市)、和歌山県新宮市、奈良県下北山村で震度5弱を観測。
  • 名古屋をはじめ広い範囲で震度4を観測。
  • 宮城県から熊本県までの広い範囲で揺れを観測し、震度1以上を観測した地点は当時の震度観測網の約半数に当たるおよそ1800に上った。
  • 19時7分の地震と揺れ方はほぼ同じ。
  • メカニズム解[4]
    • 走向、傾斜、すべり角 (135, 40, 123)
    • 地震モーメントMo 1.7* 1020Nm
    • Mw 7.4
    • 破壊継続時間(主破壊) 30秒
    • 破壊開始点の深さ 10 km
    • 食い違い Dmax 6.5 m

各地の震度

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震度 都道府県 観測点名
5弱 三重県 松阪市殿町・香良洲町役場
奈良県 下北山村寺垣内
和歌山県 新宮市新宮
4
福井県 福井三方町中央・高浜町宮崎
岐阜県 大垣市丸の内・海津町高須・岐阜平田町今尾・輪之内町四郷・安八町氷取・岐阜山県市高木
静岡県 下田市東本郷・河津町田中
愛知県 作手村高里・愛知御津町西方・渥美町福江・田原市赤羽根町赤土・名古屋瑞穂区塩入町・名古屋熱田区一番・名古屋中川区東春田・名古屋港区金城ふ頭・名古屋港区春田野・名古屋港区善進本町・名古屋南区鳴尾・半田市東洋町・碧南市松本町・刈谷市寿町・豊田市長興寺・安城市横山町・西尾市寄住町・常滑市新開町・知立市弘法町・高浜市稗田町・祖父江町上牧・平和町横池・蟹江町蟹江本町・十四山村神戸新田・飛島村飛島新田・弥富町前ヶ須新田・佐屋町稲葉・立田村石田・阿久比町卯坂・南知多町豊浜・愛知美浜町河和・武豊町長尾山・一色町一色・幡豆町西幡豆・愛知三好町三好・小原村大草
三重県 四日市市日永・四日市市諏訪町・鈴鹿市西条・多度町多度・三重長島町松ヶ島・川越町豊田一色・いなべ市北勢町阿下喜・津市島崎町・津市西丸之内・伊勢市岩淵・松阪市高町・上野市緑ヶ丘本町・上野市丸之内・名張市鴻之台・亀山市本丸町・久居市東鷹跡町・河芸町浜田・芸濃町椋本・安濃町川西・一志町田尻・白山町川口・三重嬉野町須賀・美杉村八知・三重明和町馬之上・玉城町田丸・二見町江・小俣町元町・御薗村長屋・伊賀町下柘植・阿山町馬場・大山田村平田・浜島町浜島磯部町迫間・尾鷲市南陽町・紀伊長島町長島・海山町相賀・三重御浜町阿田和・紀宝町成川・紀和町板屋・鵜殿村役場
滋賀県 彦根市城町・彦根市元町・愛東町下中野・秦荘町安孫子・滋賀豊郷町石畑・多賀町多賀・米原町下多良・虎姫町五村・びわ町落合・西浅井町大浦・大津市南郷・近江八幡市桜宮町・栗東市安養寺・中主町西河原・石部町石部中央・信楽町長野・滋賀蒲生町市子川原・滋賀日野町河原・滋賀竜王町小口・能登川町躰光寺
京都府 京丹後市網野町・城陽市寺田・八幡市八幡・大山崎町円明寺・久御山町田井・京田辺市田辺・井手町井手・木津町木津・八木町八木
大阪府 大阪此花区春日出北・大阪西淀川区千船・大阪中央区大手前・八尾市本町・寝屋川市役所・大東市新町・箕面市粟生外院・門真市中町・四條畷市中野・交野市私部島本町若山台・能勢町宿野・堺市深井清水町・堺市石津西町・岸和田市岸城町・岸和田市役所・貝塚市畠中・泉佐野市市場・泉佐野市りんくう往来・富田林市本町・富田林市高辺台・河内長野市原町・松原市阿保・大阪和泉市府中町・羽曳野市誉田・高石市加茂・藤井寺市岡・泉南市信達市場・大阪狭山市狭山・阪南市尾崎町・忠岡町忠岡東・熊取町野田・大阪田尻町嘉祥寺・大阪岬町深日・大阪太子町山田・大阪美原町黒山
兵庫県 津名町志筑
奈良県 奈良市半田開町・奈良市二条大路南・大和高田市大中・大和郡山市北郡山町・天理市川原城町・桜井市粟殿・五條市本町・御所市役所・香芝市本町・都祁村針・安堵町東安堵・奈良川西町結崎・三宅町伴堂・田原本町役場・大宇陀町迫間・菟田野町松井・奈良榛原町下井足・曽爾村今井・御杖村菅野・高取町観覚寺・新庄町柿本・広陵町南郷・奈良吉野町上市・黒滝村寺戸・天川村沢谷・奈良川上村迫・東吉野村小川
和歌山県 和歌山市男野芝・海南市日方・橋本市東家・有田市箕島・御坊市薗・粉河町粉河・那賀町名手市場・桃山町元・かつらぎ町丁ノ町・高野口町名倉・和歌山高野町高野山・和歌山川辺町土生・南部川村谷口・和歌山南部町芝・田辺市中屋敷町・和歌山白浜町湯崎・中辺路町栗栖川・上富田町朝来・日置川町日置・串本町潮岬・古座川町高池・熊野川町日足・和歌山本宮町本宮
鳥取県 鳥取市吉方・福部村細川

津波

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観測値は検潮所による。

報道への対応

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NHKでは、9月6日午前0時03分に緊急警報放送を出した[5]。また、独立U局の三重テレビテレビ和歌山は番組の途中に地震関連を放送した。

9月7日8時29分36秒発生の地震

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9月5日23時57分の地震のやや東で地震発生。最大の余震である。

  • 北緯33度12.5分、東経137度17.5分、M6.5、震源の深さ41km
  • 静岡県河津町、三重県松阪市、香良洲町(現:津市)、兵庫県津名町(現:淡路市)、奈良県下北山村、和歌山県新宮市、那賀町(現:紀の川市)で最大震度4を記録した。
  • 各地でゆっくりとした揺れが感じられたが、揺れは1分ほどでおさまった。
  • メカニズム解[2]
    • 走向、傾斜、すべり角 (266, 50, 99)
    • 地震モーメントMo 1.1 * 1019Nm
    • Mw 6.6
    • 破壊継続時間(主破壊) 13秒
    • 破壊開始点の深さ 25 km
    • 食い違い Dmax 1.3 m

各地の震度

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震度 都道府県 観測点名
4 静岡県 河津町田中
三重県 松阪市高町・松阪市殿町・香良洲町役場
兵庫県 津名町志筑
奈良県 下北山村寺垣内
和歌山県 新宮市新宮・那賀町名手市場

津波

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  • 津波予報は発表されなかった。

1984年の地震

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1984年1月1日にも北緯33度37.4分 東経136度50.3分 / 北緯33.6233度 東経136.8383度 / 33.6233; 136.8383の深さ388 kmでM 7.0の地震が発生しており、いわき・宇都宮・館山・東京・横浜で震度4を観測し[6]、負傷者が1名出ている[7]

脚注

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  1. ^ a b c 9月5日 紀伊半島南東沖の地震”. 地震調査研究推進本部. 2012年7月31日閲覧。
  2. ^ a b EIC地震学ノート No.152
  3. ^ この時には緊急警報放送発報前に緊急ニュースを担当したキャスターが、「今、津波警報が出ました。今、先ほどの地震で津波警報が出ました。」とアナウンスしている。
  4. ^ EIC地震学ノート No.153
  5. ^ 全13波緊急警報放送 <チャイムQF付き> 「和歌山沖震源の震度5弱の地震で津波警報」 - NHKクロニクル
  6. ^ 震度データベース検索 気象庁、2024年5月15日確認
  7. ^ 吉田弘ほか最近の顕著な地震の表 (1981年-1990年) 験震時報第60巻 (1997) 52 - 65頁

関連項目

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外部リンク

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