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メジロドーベル

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メジロドーベル
1999年11月21日 東京競馬場(引退式)
品種 サラブレッド
性別
毛色 鹿毛
生誕 1994年5月6日
メジロライアン
メジロビューティー
母の父 パーソロン
生国 日本の旗 日本北海道伊達市
生産者 メジロ牧場
馬主 (有)メジロ牧場
調教師 大久保洋吉美浦
厩務員 堀口良吉[1]→安瀬良一
競走成績
生涯成績 21戦10勝
獲得賞金 7億3342万2000円
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メジロドーベル日本の元競走馬繁殖牝馬メジロライアンの初年度産駒である。全レースで吉田豊が騎乗した。

※競走馬時代の馬齢は旧表記(数え年)で統一する。

デビュー前

母メジロビューティーの特殊な血液型

メジロドーベルの1歳上の兄には父サンデーサイレンスの産駒がいたが、生まれてすぐに黄疸が出てしまった。そして、そのサンデーサイレンス産駒は度重なる輸血の結果、感染症を併発して命を落とすことになったため、母メジロビューティーの血液は検査に出されることになった。

検査の結果、メジロビューティーの血液型は特殊であり、その血液型と適合するのは日本の種牡馬の約22パーセントだけであることが判明した。しかし、その結果が出た時点で、メジロビューティーはメジロライアンの仔を宿していた。メジロライアンは「22パーセント」のなかには含まれていなかった。その仔がメジロドーベルであった。

母と父の血液型が不適合であると、免疫力をつけるまでは母からの乳を飲むことができない(不適合の母から乳をもらうと死に至る場合もある)。しかし、馬は初乳を飲むことによって初めて免疫力をつけることができるため、メジロドーベルは同じ時期に出産を控えていた片目の見えないメジロローラントから初乳をもらうことになった。

当歳時の骨折

当歳時、放牧中に手術が必要なほどの重度の骨折をしてしまい、治療のため約1か月間にわたって馬房内で過ごすことを余儀なくされた。遊びたい盛りの時期に馬房から出られなかったという辛い経験が、競走生活での勝負根性を養ったといわれている。

戦績

3歳時(1996年)はデビュー戦の新馬戦を勝ったあと、2戦目の新潟3歳ステークスこそ5着に敗れたものの、その後3連勝で阪神3歳牝馬ステークスを制した(吉田豊にとっても重賞初勝利)。破った相手のなかには、のちに海外G1を制するシーキングザパールも含まれていた。この年のJRA賞最優秀3歳牝馬(旧称。現在のJRA賞最優秀2歳牝馬)を受賞。

4歳の牝馬三冠競走第1戦桜花賞は、キョウエイマーチのスピードにかなわず2着。しかし優駿牝馬秋華賞と快勝し、この年のJRA賞最優秀4歳牝馬(旧称。現在のJRA賞最優秀3歳牝馬)、JRA賞最優秀父内国産馬を受賞。なお、秋初戦で4歳牝馬としては異例といえるオールカマーに出走し、勝利を収めている。

5歳の春は中・長距離路線で牡馬と対戦したが精彩を欠いた。しかし、秋初戦の府中牝馬ステークスで復活、エリザベス女王杯では、前年の年度代表馬エアグルーヴらを破って優勝。4つめのGIタイトルを獲得した。この年のJRA賞最優秀5歳以上牝馬(旧称。現在のJRA賞最優秀4歳以上牝馬)を受賞した。

6歳の春にはハンデキャップ競走中山牝馬ステークスに出走。58.5キログラム(牡馬で60.5キログラムに相当)の負担重量を科されたが2着に敗れ、レース後に故障のため休養を余儀なくされた。秋に復帰するが毎日王冠で6着に敗れる。しかしエリザベス女王杯では一世代下のオークス馬エリモエクセル、二冠馬ファレノプシスらを退け勝利し、史上初の連覇を達成した(現在までにエリザベス女王杯を連覇したのはメジロドーベルのほかアドマイヤグルーヴスノーフェアリーの3頭がいる)。前年に続いてJRA賞最優秀5歳以上牝馬(同)を受賞、史上初の4年連続のJRA賞受賞となった。これを置き土産に現役を引退した。

牝馬限定戦では8勝・2着2回・3着1回・着外なし、という無類の強さを誇りながら、牡馬相手にGIを勝つことはなかった(GIIは4歳時にオールカマーを勝利)。当時の牝馬としては最多のGI5勝、4年連続GI勝利(ほかにはメジロマックイーンアグネスデジタルアドマイヤドンユートピアブルーコンコルドウオッカヴァーミリアンブエナビスタ)という実績を残している。

競走成績

年月日 競馬場 競走名


オッズ
(人気)
着順 騎手 斤量
(kg)
距離馬場 タイム
上り3F
着差 勝ち馬/(2着馬)
1996. 7. 13 新潟 3歳新馬 13 4 4 8.3(4人) 1着 吉田豊 52 芝1000m(良) 58.2 (34.4) -0.5 (セントラルハイジ)
9. 1 中山 新潟3歳S GIII 12 5 5 7.7(3人) 5着 吉田豊 53 芝1200m(良) 1:11.4 (37.4) 1.1 パーソナリティワン
10. 6 東京 サフラン賞 500万 10 2 2 2.2(1人) 1着 吉田豊 53 芝1400m(良) 1:23.5 (34.8) -0.4 スカイバロン
10. 27 東京 いちょうS OP 10 7 7 2.4(2人) 1着 吉田豊 54 芝1600m(良) 1:35.0 (35.7) -0.4 ダイワアンジェラ
12. 1 阪神 阪神3歳牝馬S GI 10 6 6 5.8(2人) 1着 吉田豊 53 芝1600m(良) R1:34.6 (36.7) -0.3 シーズプリンセス
1997. 3 1 阪神 チューリップ賞 GIII 10 6 6 1.3(1人) 3着 吉田豊 54 芝1600m(稍) 1:38.1 (36.2) 0.4 オレンジピール
4. 6 阪神 桜花賞 GI 18 8 16 3.4(2人) 2着 吉田豊 55 芝1600m(不) 1:37.6 (37.8) 0.7 キョウエイマーチ
5. 25 東京 優駿牝馬 GI 16 8 16 2.9(2人) 1着 吉田豊 55 芝2400m(重) 2:27.7 (36.4) -0.4 ナナヨーウイング
9. 14 中山 オールカマー GII 9 6 6 2.1(1人) 1着 吉田豊 55 芝2200m(良) 2:16.6 (35.9) -0.2 ヤシマソブリン
10. 19 京都 秋華賞 GI 18 5 10 1.7(1人) 1着 吉田豊 55 芝2000m(良) 2:00.1 (35.1) -0.4 (キョウエイマーチ)
12. 21 中山 有馬記念 GI 16 8 15 4.6(3人) 8着 吉田豊 53 芝2500m(良) 2:36.0 (38.3) 1.2 シルクジャスティス
1998. 1. 25 京都 日経新春杯 GII 16 6 11 2.4(1人) 8着 吉田豊 56 芝2400m(良) 2:27.3 (35.8) 1.0 エリモダンディー
4. 5 阪神 産経大阪杯 GII 9 4 4 8.4(3人) 2着 吉田豊 56 芝2000m(良) 2:01.4 (34.2) 0.1 エアグルーヴ
6. 13 東京 目黒記念 GII 13 5 6 3.0(2人) 5着 吉田豊 56 芝2500m(重) 2:35.8 (37.2) 0.8 ゴーイングスズカ
7. 12 阪神 宝塚記念 GI 13 3 3 23.3(6人) 5着 吉田豊 56 芝2200m(良) 2:12.4 (35.9) 0.5 サイレンススズカ
10. 18 東京 府中牝馬S GIII 11 8 10 1.7(1人) 1着 吉田豊 58 芝1800m(重) 1:49.3 (36.1) 0.0 グレースアドマイヤ
11. 15 京都 エリザベス女王杯 GI 14 1 1 4.6(2人) 1着 吉田豊 56 芝2200m(良) 2:12.8 (33.5) -0.2 ランフォザドリーム
12. 27 中山 有馬記念 GI 16 7 14 20.8(7人) 9着 吉田豊 55 芝2500m(良) 2:33.2 (37.1) 1.1 グラスワンダー
1999. 2. 28 中山 中山牝馬S GIII 11 8 11 2.2(1人) 2着 吉田豊 58.5 芝1800m(良) 1:48.7 (36.0) 0.3 ナリタルナパーク
10. 10 東京 毎日王冠 GII 10 1 1 22.7(7人) 6着 吉田豊 57 芝1800m(良) 1:46.4 (35.2) 0.6 グラスワンダー
11. 14 京都 エリザベス女王杯 GI 18 3 6 3.9(2人) 1着 吉田豊 56 芝2200m(良) 2:13.5 (34.8) -0.1 フサイチエアデール

表彰

  • 1996年(5戦4勝) - JRA賞最優秀3歳牝馬
  • 1997年(6戦3勝) - JRA賞最優秀4歳牝馬、最優秀父内国産馬
  • 1998年(7戦2勝) - JRA賞最優秀5歳以上牝馬
  • 1999年(3戦1勝) - JRA賞最優秀5歳以上牝馬

特徴

おもに中距離のレースで活躍し、クラシックディスタンスでも変わらぬ強さを発揮したが、管理調教師の大久保洋吉は「体型や気性からして、本質的にはマイラー」と評している。大久保は早いうちからメジロドーベルが持つスピード能力を高く評価しており、同世代の快速牝馬として知られたシーキングザパールを強く意識していたという。また、「全盛期に一度、一線級の牡馬とマイルのレースで走らせてみたかった」とも述べている。

親子三代GI制覇(国内)

メジロドーベルは親子三代GI(級)制覇を達成したが、2010年12月19日現在、本馬を含め下記の7組が達成している。(グレード制制定前については八大競走をGI級とした)

父系

母系

通常このような記録を集計する際は、牡馬 - 牡馬 - 牡馬、牝馬 - 牝馬 - 牝馬の父系もしくは母系のみで数えるのが常である。牡・牝が混ざったケースの場合四代以上の記録も存在する。(アグネスレディー、アグネスフローラ、アグネスタキオン、ロジックダイワスカーレットなど)

繁殖入り後

競走馬引退後は生まれ故郷であるメジロ牧場で繁殖牝馬となったが、産駒の成績は不調が続いている。1世代目のメジロヒラリー(父エルコンドルパサー)、2世代目のメジロルルド(父サンデーサイレンス)の両牝馬はそれぞれ未出走のまま引退。とくにメジロルルドはデビュー前に失明するアクシデントに見舞われている。

2005年7月17日、新潟競馬場の2歳新馬にて3世代目であるメジロアレグレット(牝馬、父アグネスタキオン)がデビューしたが不利を受けての3着に終わり、その後も好走したが勝ち切れないレースが続いた。そして、2006年10月8日東京競馬第3競走においては、競走中に故障を発生、予後不良と診断された。

2年空胎が続いたあと、2006年には4番仔であるメジロシャレード(牝馬、父マンハッタンカフェ)が誕生し、2008年7月27日にデビュー。デビュー戦は3着に終わったが、2戦目の8月17日の未勝利戦を1番人気で快勝し、待望の産駒初勝利を上げた。しかし厩舎での不慮の事故によって腰を怪我し、引退した。その初仔となったショウナンラグーン(父:シンボリクリスエス)が2014年の青葉賞を勝利した。

第5仔のメジロオードリーは2009年11月28日東京競馬第6競走の新馬戦を4番人気で勝利。産駒初のデビュー勝ちとなった。

第5仔まですべて牝馬だったが、2008年4月14日21時20分に初の牡駒を出産した。この産駒の父ディープインパクトはGI競走を7勝、母メジロドーベルはGI競走を5勝していることから12冠ベビーと呼ばれた。この牡駒はメジロダイボサツと名づけられ2011年にデビューした。

第7仔のレーヌドブリエはこれまでの大久保洋吉厩舎ではなく栗東の矢作芳人厩舎へ預託された。

繁殖成績

馬名 誕生年 毛色 厩舎 馬主 戦績
第1子 メジロヒラリー 2001年 鹿毛 エルコンドルパサー 美浦・大久保洋吉 (有)メジロ商事 未出走(繁殖)
第2子 メジロルルド 2002年 栃栗毛 サンデーサイレンス - - 未出走(繁殖)
第3子 メジロアレグレット 2003年 鹿毛 アグネスタキオン 美浦・大久保洋吉 (有)メジロ商事 6戦0勝(死亡)
第4子 メジロシャレード 2006年 鹿毛 マンハッタンカフェ (有)メジロ牧場 2戦1勝(繁殖)
第5子 メジロオードリー 2007年 鹿毛 スペシャルウィーク (有)メジロ牧場
→岩崎伸道
14戦2勝(繁殖)
第6子 メジロダイボサツ 2008年 鹿毛 ディープインパクト 16戦1勝(引退)
第7子 レーヌドブリエ 2012年 栗毛 ゼンノロブロイ 栗東矢作芳人 シルク 1戦0勝
第8子 メジロドーベルの2014 2014年 鹿毛 ルーラーシップ    

血統表

メジロドーベル血統ノーザンテースト系 / アウトブリード (血統表の出典)

メジロライアン
1987 鹿毛
父の父
アンバーシャダイ
1977 鹿毛
* ノーザンテースト
Northern Taste
Northern Dancer
Lady Victoria
* クリアアンバー
Clear Amber
Ambiopoise
One Clear Call
父の母
メジロチェイサー
1977 鹿毛
メジロサンマン Charlottesville
* Paradisea
* Cheryl
シェリル
* Snob
Chanel

メジロビューティー
1982 鹿毛
* パーソロン
Partholon
1960 鹿毛
Milesian My Babu
Oatflake
Paleo Pharis
Calonice
母の母
メジロナガサキ
1971 栗毛
* ネヴァービート
Never Beat
Never Say Die
Bride Elect
メジロボサツ * Montaval
メジロクイン F-No.10-d

脚注

  1. ^ 3歳時の担当だったが、翌年2月に急死。

外部リンク