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ブロークバック・マウンテン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ブロークバック・マウンテン
Brokeback Mountain
監督 アン・リー
脚本 ラリー・マクマートリー
ダイアナ・オサナ英語版
原作 E・アニー・プルー
製作 ダイアナ・オサナ
ジェームズ・シェイマス
製作総指揮 ラリー・マクマートリー
ウィリアム・ポーラッド
マイケル・コスティガン
マイケル・ハウスマン
出演者 ヒース・レジャー
ジェイク・ジレンホール
音楽 グスターボ・サンタオラヤ
撮影 ロドリゴ・プリエト
編集 ジェラルディン・ペローニ
ディラン・ティチェナー
製作会社 リヴァー・ロード・エンターテインメント
配給 アメリカ合衆国の旗 フォーカス・フィーチャーズ
日本の旗 ワイズポリシー
公開 イタリアの旗 2005年9月2日VIFF
アメリカ合衆国の旗 2005年12月9日
日本の旗 2006年3月4日
上映時間 134分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $14,000,000[1]
興行収入 世界の旗 $178,062,759[1]
アメリカ合衆国の旗カナダの旗 $83,043,761[1]
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ブロークバック・マウンテン』(Brokeback Mountain)は、2005年アメリカ合衆国恋愛映画。監督はアン・リー、出演はヒース・レジャージェイク・ジレンホールアン・ハサウェイミシェル・ウィリアムズなど[2]。 原作はE・アニー・プルーの同名の短編小説アメリカ中西部を主な舞台として、1963年から1983年までの20年間にわたる、惹かれ合う2人の男性の姿を描く。

公開当初は「ゲイ・カウボーイ・ムービー」と評されたりもしたが[3]、監督のアン・リー自身この映画を「普遍的なラブストーリー」と強調しているように、そのテーマが観客に広く受け入れられ[要出典]、低予算で作られたにもかかわらず、アメリカ国内外で記録的な評価と興行収入をもたらした。

2005年のヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞。ゴールデングローブ賞では、作品賞(ドラマ部門)監督賞脚本賞、主題歌賞の4部門を受賞。

2006年のアカデミー賞においては、作品賞を含む同年作品中最多の8部門にノミネートされたが、作品賞は『クラッシュ』が受賞。監督賞脚色賞作曲賞の3部門にとどまった[4][注 1]

ストーリー

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1963年ワイオミング州のブロークバック・マウンテンの山中で羊の放牧を行う季節労働者として、牧場手伝いのイニスとロデオ乗りのジャックが雇われた。2人は過酷な労働を通して友情を深めていったが、ある夜、ジャックがイニスに誘いをかけ、2人は一線を越えてしまう。

労働契約の終了後、2人ははっきりと再会の約束をしないまま別れ、その年のにイニスは婚約者のアルマと結婚し、やがて2人の娘の父親になる。一方、ジャックは再会を期待して翌年もブロークバック・マウンテンでの仕事を求めるが、仕事を断られた上にイニスが来ていないことを知る。失意のジャックはテキサスに流れ着き、そこでロデオ・クイーンのラリーンと結婚。彼女の父親の会社で働くようになった。

4年後、ジャックがイニスの元を訪ね、2人は再会するが、アパートの陰で情熱的なキスを交わす様子をアルマに目撃されていた。イニスはアルマに気づかれたことを知らずに釣りと偽ってジャックと出かけ、数日間をかつてのように2人きりで過ごす。そこでジャックはイニスに、小さな牧場を持って一緒に暮らさないかと持ちかける。しかしイニスは、彼が少年時代に目撃した、ゲイ差別主義者たちによる同性愛者の虐殺の様子を語り、拒絶する。また、彼は自分の家族を捨てるつもりはなかった。

それから彼らは年に数度、人里はなれた山中で逢瀬を楽しむようになった。ジャックは順調に家庭で地位を築いていったが、イニスは溝が深まっていた妻と離婚し、惨めな生活を送っていた。

ある時ジャックが養育費の支払いのために忙しくなかなか会えないイニスを非難し、2人の間で口論が起きる。イニスはジャックとの関係が人生を狂わせたと言って苦悩を明かす。ジャックはイニスを抱きしめようとする。2人はしばし掴み合うが、最後にはしっかりと抱きしめあった。

ある日、イニスがジャックに出した葉書が「DECEASED(受取人死亡)」のスタンプを押されて返送されてくる。イニスはラリーンに電話をかけ、ジャックが事故で死んだことを知るが、ラリーンから聞かされた痛ましい死の様子に、思わず彼が虐殺される様子を想像してしまう。そして、ジャックが遺灰をブロークバック・マウンテンに撒かれることを望んでいたことを知り、彼の両親に会いに行く。そこでイニスは、かつてブロークバック・マウンテンでなくしたと思っていた彼のシャツを見つける。イニスのシャツはジャックのシャツに包みこまれるように掛けられ、ジャックのシャツにも、ブロークバック・マウンテンでの喧嘩でついたと思われる血の染みがあった。イニスは2着のシャツを手に取って残り香を嗅ぎ静かに泣いた。

トレーラーハウスで1人暮らすイニスのもとに19歳になった娘アルマ・ジュニアが結婚の報告に訪れた。イニスは恋人と愛し合っているという娘を祝福し、彼女の結婚式に行くことを約束する。1人になったイニスは、クローゼットに飾っているブロークバック・マウンテンの絵葉書と彼の家から持ち帰った思い出のシャツを見つめ、永遠の愛を誓う。

登場人物 / キャスト

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イニス・デル・マー(Ennis Del Mar
演 - ヒース・レジャー、日本語吹替 - 森川智之
ブロークバック・マウンテンの農牧場で季節労働者として雇われ、ジャックと出逢う。子供のころ、父親が暴行を加えて死亡させたと思われるゲイ男性の悲惨な死体を見せられ、同性愛の関係に悲観的になっている。
ジャック・ツイスト(Jack Twist
演 - ジェイク・ギレンホール、日本語吹替 - 東地宏樹
ロデオ好きのカウボーイ。ブロークバック・マウンテンの農牧場で季節労働者として雇われ、イニスと出会う。4年後に再会し、イニスと牧場を経営することを望む。
ラリーン・ニューサム(Lureen Newsome)
演 - アン・ハサウェイ、日本語吹替 - 甲斐田裕子
ロデオクイーン。ジャックの妻。父親は農耕機材販売会社を経営する金持ち。
アルマ・ビアーズ(Alma Beers)
演 - ミシェル・ウィリアムズ、日本語吹替 - 小林さやか
イニスの妻。イニスとジャックの関係を知り苦悩する。
ジョー・アギーレ(Joe Aguirre)
演 - ランディ・クエイド、日本語吹替 - 石田太郎
ブロークバック・マウンテンの農牧場主。
キャシー(Cassie)
演 - リンダ・カーデリーニ、日本語吹替 - 安藤麻吹
酒場のウェイトレス。離婚後のイニスの恋人。
ラショーン・マローン(LaShawn Malone)
演 - アンナ・ファリス、日本語吹替 - 小金沢篤子
テキサス州の牧場主任の妻。
アルマ・ジュニア(Alma Jr.)
演 - ケイト・マーラ、日本語吹替 - 恒松あゆみ
イニスとアルマの娘。

作品解説

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原作、映画の舞台はワイオミング州だが、撮影はカナディアン・ロッキーで行われた[6]。ちなみにブロークバック・マウンテンという山は存在しない[7]

公開

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中華人民共和国では上映されなかった[8]

受賞歴

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2005年度

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2006年度

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評価

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上述の通り、本作は数多くの賞を受賞し、様々なベストテンに選出されるなど多方面で高い評価を受けた。 2018年には、アメリカ国立フィルム登録簿に登録されることが決定した。アメリカ国立フィルム登録簿には、それまでに775本の作品が登録されているが、本作はその中で一番新しい作品である(これまでは、2014年に登録されたジェームズ・ベニングのドキュメンタリー映画『13 Lakes』が一番新しい作品だった)。

Rotten Tomatoesによれば、247件の評論のうち高評価は88%にあたる217件で、平均点は10点満点中8.2点、批評家の一致した見解は「ヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールによる感動的な演技のおかげで、美しく、壮大な西部劇である『ブロークバック・マウンテン』のラブストーリーは悲痛な普遍性を帯びている。」となっている[9]Metacriticによれば、41件の評論のうち、高評価は37件、賛否混在は4件、低評価はなく、平均点は100点満点中87点となっている[10]

ランキング

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アメリカの映画専門サイトMovieFoneが2008年5月に発表した「Sexiest Movie Couples of All Time(歴代映画のセクシーなカップル)」において、ヒース・レジャーの演じたイニスとジェイク・ジレンホールの演じたジャックのカップルが第13位にランクインした。

翻案

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原作者のアニー・プルーがリブレットを書き、チャールズ・ウォリネンが作曲を担当してオペラ化され、2014年にマドリッドテアトロ・レアルで初演された[11]

その他

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脚注

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注釈

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  1. ^ 作品賞を逃したのはアカデミーによるゲイ・ラブストーリーに対する差別感情が原因だと思うかという問いに対し、監督のアン・リーは「うん、そうだろうね」と答えている[5]

出典

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  1. ^ a b c Brokeback Mountain” (英語). Box Office Mojo. 2010年9月3日閲覧。
  2. ^ Brokeback Mountain”. フォーカス・フィーチャーズ. 2024年7月16日閲覧。
  3. ^ Brokeback Mountain”. Santa Barbara International Film Festival. 2024年7月18日閲覧。
  4. ^ The 78th Academy Awards”. Academy of Motion Picture Arts and Sciences (2006年3月5日). 2024年8月22日閲覧。
  5. ^ Ang Lee Was Told 'Brokeback Mountain' Was Likely Winning Best Picture”. The Hollywood Reporter (2024年3月29日). 2024年8月23日閲覧。
  6. ^ Movie Province: Alberta’s All-Star Locations”. フォーカス・フィーチャーズ (2021年2月22日). 2024年7月15日閲覧。
  7. ^ Where Is Brokeback Mountain? Maybe Nowhere”. ABC News (2006年3月6日). 2024年7月18日閲覧。
  8. ^ China praises Lee despite Mountain ban”. The Guardian (2006年3月7日). 2024年8月21日閲覧。
  9. ^ "Brokeback Mountain". Rotten Tomatoes (英語). 2022年4月26日閲覧
  10. ^ "Brokeback Mountain" (英語). Metacritic. 2022年4月26日閲覧。
  11. ^ Clements, Andrew (2014年1月29日). “Brokeback Mountain – review” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/music/2014/jan/29/brokeback-mountain-opera-teatro-real-madrid-review 2020年5月6日閲覧。 

参考文献

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  • 原作: アニー・プルー 『ブロークバック・マウンテン』 米塚真治訳、集英社〈集英社文庫〉、2006年。 ISBN 978-4-08-760497-9
  • Proulx, Annie; McMurtry, Larry; Ossana, Diana (2005, 2006). Brokeback Mountain: Story to Screenplay. London, New York, Toronto and Sydney: Harper Perennial. ISBN 978-0-00-723430-1

関連項目

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外部リンク

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