コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ゴールデングローブ賞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ゴールデングローブ賞
第81回ゴールデングローブ賞
受賞対象優れた映画ならびにテレビ番組
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
主催
初回1944年1月20日 (80年前) (1944-01-20)
公式サイトgoldenglobes.com
テレビ/ラジオ放送
放送局CBS

ゴールデングローブ賞(ゴールデングローブしょう、: Golden Globe Awards)は、アメリカ合衆国における映画テレビドラマに与えられる賞。毎年1月に発表され、アカデミー賞前哨戦としての注目度も高い。

1943年ハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)により創設。同協会の会員の投票で受賞者を決定していた。2008年の授賞式は脚本家によるストライキの影響で中止となった。2012年に行われた第69回からテーマ曲が設定され、日本のミュージシャンのYOSHIKIが作曲した「ゴールデングローブのテーマ」が使用されている[1][2]

2024年開催の第81回から、主催が授賞式の放送を手掛けているテレビ制作会社、ディック・クラーク・プロダクション(DCP)とそのオーナーであるエルドリッジ・インダストリーズ(en)に移り[注釈 1]、2023年に全資産を売却したHFPAは解散することになった[4][5]。放送局もNBCからCBSに移行した[5]

ゴールデングローブ賞の部門

[編集]

映画部門

[編集]

1月1日から12月31日までにロサンゼルス地域で公開された映画が対象になる。

日本での日本語名 正式名称(英語)
作品賞(ドラマ部門) Best Motion Picture – Drama
主演女優賞(ドラマ部門) Best Performance by an Actress in a Motion Picture – Drama
主演男優賞(ドラマ部門) Best Performance by an Actor in a Motion Picture – Drama
作品賞(ミュージカル・コメディ部門) Best Motion Picture - Musical or Comedy
主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門) Best Performance by an Actress in a Motion Picture - Musical or Comedy
主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門) Best Performance by an Actor in a Motion Picture -Musical or Comedy
外国語映画賞 Best Foreign Language Film
助演女優賞 Best Performance by an Actress in a Supporting Role in a Motion Picture
助演男優賞 Best Performance by an Actor in a Supporting Role in a Motion Picture
監督賞 Best Director - Motion Picture
脚本賞 Best Screenplay - Motion Picture
作曲賞 Best Original Score - Motion Picture
主題歌賞 Best Original SONG - Motion Picture
アニメ映画賞 Best Animated Feature Film
興行成績賞[6][7][8][5][3] Cinematic and Box Office Achievement
セシル・B・デミル賞 The Cecil B. DeMille award

テレビドラマ部門

[編集]

1月1日から12月31日に放送および配信された番組を対象にする。ただし放送はプライムタイムの番組に限る。

日本での日本語名 正式名称(英語)
作品賞(ドラマ部門) Best Television Series - Drama
女優賞(ドラマ部門) Best Performance by an Actress in a Television Series - Drama
男優賞(ドラマ部門) Best Performance by an Actor in a Television Series - Drama
作品賞(ミュージカル・コメディ部門) Best Television Series - Musical or Comedy
女優賞(ミュージカル・コメディ部門) Best Performance by an Actress in a Television Series - Musical or Comedy
男優賞(ミュージカル・コメディ部門) Best Performance by an Actor in a Television Series - Musical or Comedy
作品賞(ミニシリーズ・テレビ映画部門) Best Mini-Series or Motion Picture Made for Television
女優賞(ミニシリーズテレビ映画部門) Best Performance by an Actress in a Mini-Series or a Motion Picture Made for Television
男優賞(ミニシリーズ・テレビ映画部門) Best Performance by an Actor in a Mini-Series or a Motion Picture Made for Television
助演女優賞(シリーズ・ミニシリーズ・テレビ映画部門) Best Performance by an Actress in a Supporting Role in a Series, Mini-Series or Motion Picture Made for Television
助演男優賞(シリーズ・ミニシリーズ・テレビ映画部門) Best Performance by an Actor in a Supporting Role in a Series, Mini-Series or Motion Picture Made for Television

廃止された賞

[編集]
日本での日本語名 正式名称(英語) 存在していた期間
ヘンリエッタ賞(世界でもっとも好かれた女優) Henrietta Award (World Film Favorite – Female) 1950年-1979年
ヘンリエッタ賞(世界でもっとも好かれた男優) Henrietta Award (World Film Favorite – Male) 1950年-1979年

日本語話者に関係した受賞・ノミネート歴

[編集]

2019年度までの外国語映画賞と前身の外国映画賞は、受賞対象に監督名が含まれていた[注釈 2]。またアニメ映画賞については2006年度の創設以来、受賞対象に監督名は含まれていない[11]

不祥事

[編集]

人種・性差別問題

[編集]

本賞はハリウッド外国人映画研究協会(HFPA)の会員の投票により選定される。2021年2月現在、HFPAのメンバーは87人いるが、その87人の中に黒人会員が一人もいないことをロサンゼルス・タイムズが報じた[58]。批判が集まり、ゴールデングローブ賞は「黒人会員に加え、他の過小評価されている背景を持つ会員も参加する必要があることは理解しており、これらの目標をできるだけ早く達成するため、直ちに取り組みます」と声明を発表した[59]。その後、HFPA会長のフィリップ・バークがブラック・ライヴズ・マター運動について、「憎悪団体」と形容した電子メールを転送していたことが判明し、辞任に追い込まれた[60]

更に一部の俳優に対して、HFPA会員から性差別的な質問を受けていたことが判明した[61]

これらを受けて、ワーナーメディアNetflixなどが本賞関連のイベントに参加しないことを表明したほか、本賞の授賞式を放送しているNBCテレビも2022年の中継を行わないことを2021年5月10日に発表した[60]。また、過去の受賞者が抗議の意志を示すためにトロフィーをHFPA本部に送り返したと同年5月に現地メディアから報じられている[62]

なお2023年1月10日に行われた第80回授賞式は、ワーナーメディアやNetflixもボイコットを行わず、NBCが中継放送しPeacockが配信した[63]

一部会員に対しての金銭的恩恵問題

[編集]

ロサンゼルス・タイムズは2021年5月、ドラマの撮影現場への視察で一部の会員が宿泊費用をHFPAが負担するという金銭的恩恵を受けていたことを報じた[60]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ DCPはエルドリッジとペンスキー・メディア・コーポレーション(PMC)による合弁企業、ペンスキー・メディア・エルドリッジ(PCE)の傘下にある[3]
  2. ^ 公式サイト(Golden Globes)で、2019年度の外国語映画賞受賞作『パラサイト 半地下の家族』までは監督名(ポン・ジュノ “Bong Joon Ho”)が含まれていたが[9]、翌2020年度の受賞作『ミナリ』からは監督名(リー・アイザック・チョン)が含まれなくなった[10]
  3. ^ 授与対象として黒澤明監督の名前は確認されないが[23][24]、同年の受賞作『愛の絆英語版』はガイ・グリーン英語版監督に授与されている[25]

脚注

[編集]
  1. ^ “YOSHIKIの手掛けるテーマ曲が、2年連続で米【ゴールデン・グローブ賞】彩る”. Billboard JAPAN (阪神コンテンツリンク). (2012年12月21日). https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/9146/2 2024年7月22日閲覧。 
  2. ^ “YOSHIKI「親友の、アイーダが昨日亡くなりました」ゴールデングローブ賞公式曲“生みの親”追悼”. スポニチアネックス (スポーツニッポン新聞社). (2022年3月8日). https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2022/03/08/kiji/20220308s00041000492000c.html 2024年7月22日閲覧。 
  3. ^ a b “ゴールデングローブ賞受賞結果: 作品賞は『オッペンハイマー』&『哀れなるものたち』”. ザ・ハリウッド・リポーター・ジャパン (ハーシー・シガ・グローバル). (2024年1月8日). https://hollywoodreporter.jp/awards/30250/ 2024年8月25日閲覧。 
  4. ^ “ゴールデングローブ賞の権利、米投資会社が取得”. 映画.com (エイガ・ドット・コム). (2023年6月15日). https://eiga.com/news/20230615/15/ 2024年8月25日閲覧。 
  5. ^ a b c 吉川優子 (2024年1月7日). “組織解散から多様性重視の新体制へ…ゴールデン・グローブはどう変わった?”. シネマトゥデイ (株式会社シネマトゥデイ). https://www.cinematoday.jp/news/N0140827 2024年8月25日閲覧。 
  6. ^ NAGASAKA, YOKO (2023年9月27日). "ゴールデングローブ賞に新部門 大ヒット映画を対象にした「興行成績賞」が追加". ELLE. ハースト婦人画報社. 2024年8月25日閲覧
  7. ^ J・M (2024年1月8日). "映画『バービー』第81回ゴールデングローブ賞にて興行成績賞&主題歌賞を受賞". SCREEN ONLINE. 近代映画社. 2024年8月25日閲覧
  8. ^ “【受賞結果】第81回ゴールデングローブ賞 映画部門(2024年)”. Fan's Voice (リュミエール). (2024年1月8日). https://fansvoice.jp/2024/01/08/golden-globes-2024-winners/ 2024年8月25日閲覧。 
  9. ^ Parasite(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2023年10月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月28日閲覧。
  10. ^ Minari(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2023年6月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月28日閲覧。
  11. ^ Cars(Winners & Nominees)” (英語). Golden Globes (2007年). 2017年4月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月20日閲覧。
  12. ^ Twenty-Four Eyes(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2021年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月26日閲覧。
  13. ^ Eyes of Children(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2024年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月27日閲覧。
  14. ^ 「子供の眼」こどものめ【作品データベース】”. 松竹. 2024年2月27日閲覧。
  15. ^ Teahouse of the August Moon, The(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2024年2月26日閲覧。
  16. ^ The Rose On His Arm(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2024年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月26日閲覧。
  17. ^ Kiiroi karasu (Yellow Crow)(Winners & Nominees)” (英語). Golden Globes. 2020年2月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月26日閲覧。
  18. ^ Sayonara(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2024年2月27日閲覧。
  19. ^ Bridge on the River Kwai, The(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2024年2月27日閲覧。
  20. ^ a b 濱口竜介監督「ドライブ・マイ・カー」にゴールデン・グローブ賞”. 毎日新聞社. 2022年1月10日閲覧。
  21. ^ Odd Obsession(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2021年4月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月26日閲覧。
  22. ^ Hiroshima Mon Amour(Winners & Nominees)” (英語). Golden Globes. 2019年7月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月27日閲覧。
  23. ^ a b Yojimbo(Winners & Nominees)” (英語). Golden Globes. 2020年8月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月26日閲覧。
  24. ^ Akira Kurosawa(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2024年8月24日閲覧。
  25. ^ The Mark(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2024年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月25日閲覧。
  26. ^ Flower Drum Song(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2024年2月27日閲覧。
  27. ^ Golden Globes, USA - 1964 Awards(1964年開催 / 1963年度)”. IMDb. 2021年6月19日閲覧。
  28. ^ Alone On The Pacific(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2024年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月26日閲覧。
  29. ^ High And Low(Winners & Nominees)” (英語). Golden Globes. 2018年10月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月27日閲覧。
  30. ^ Red Beard(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2021年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月27日閲覧。
  31. ^ Golden Globes, USA - 1967 Awards(1967年開催 / 第24回 / 1966年度)”. IMDb. 2021年6月24日閲覧。
  32. ^ The Bible: In The Beginning(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2024年2月26日閲覧。
  33. ^ Golden Globes, USA - 1971 Awards(1971年開催 / 1970年度)”. IMDb. 2021年6月21日閲覧。
  34. ^ Walking Major, The(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2024年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月26日閲覧。
  35. ^ Shōgun(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2024年2月26日閲覧。
  36. ^ Kagemusha (The Shadow Warrior)(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2024年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月27日閲覧。
  37. ^ Ran(Winners & Nominees)” (英語). Golden Globes. 2020年7月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月27日閲覧。
  38. ^ a b Ryuichi Sakamoto(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2024年8月19日閲覧。
  39. ^ Akira Kurosawa's Dreams(Winners & Nominees)” (英語). Golden Globes. 2020年7月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月26日閲覧。
  40. ^ Heaven & Earth(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2024年2月26日閲覧。
  41. ^ The Last Samurai(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2024年2月26日閲覧。
  42. ^ Letters from Iwo Jima(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2024年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月26日閲覧。
  43. ^ Babel(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2024年2月26日閲覧。
  44. ^ Heroes(Awards Database)” (英語). Golden Globes. 2024年2月26日閲覧。
  45. ^ 編集部 福田麗 (2014年1月13日). “『風立ちぬ』はGG賞を逃す 54年ぶりの快挙ならず…1990年度の黒澤明監督『夢』以来、邦画は23年ぶりノミネート…字幕版が出品されたため、外国語映画賞の対象”. シネマトゥデイ. 株式会社シネマトゥデイ. 2019年1月8日閲覧。
  46. ^ The Wind Rises(Awards Database)” (英語). Golden Globes (2014年). 2024年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月26日閲覧。
  47. ^ Shoplifters(Winners & Nominees)” (英語). Golden Globes (2019年). 2019年5月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月26日閲覧。
  48. ^ “『万引き家族』『未来のミライ』ゴールデン・グローブ賞にノミネート!”. シネマカフェ (イード). (2018年12月7日). https://www.cinemacafe.net/article/2018/12/06/59361.html 2018年12月7日閲覧。 
  49. ^ Mirai(Awards Database)” (英語). Golden Globes (2019年). 2024年2月26日閲覧。
  50. ^ Drive My Car(Awards Database)” (英語). Golden Globes (2022年). 2024年2月26日閲覧。
  51. ^ 湯浅政明『犬王』ゴールデン・グローブ賞ノミネート!”. シネマトゥデイ (2022年12月12日). 2022年12月12日閲覧。
  52. ^ Inu-Oh(Awards Database)” (英語). Golden Globes (2023年). 2024年2月26日閲覧。
  53. ^ “ゴールデン・グローブ賞のアニメ映画賞に宮﨑駿監督「君たちはどう生きるか」…日本作品で初受賞”. 読売新聞. (2024年1月8日). https://www.yomiuri.co.jp/culture/cinema/20240108-OYT1T50032/ 2024年1月8日閲覧。 
  54. ^ a b Boy and the Heron, The(Awards Database)” (英語). Golden Globes (2024年). 2024年2月26日閲覧。
  55. ^ Suzume(Awards Database)” (英語). Golden Globes (2024年). 2024年2月26日閲覧。
  56. ^ 市川遥 (2024年12月9日). “真田広之「SHOGUN 将軍」がゴールデン・グローブ賞も席巻!4部門ノミネート”. シネマトゥデイ (株式会社シネマトゥデイ). https://www.cinematoday.jp/news/N0146382 2024年12月10日閲覧。 
  57. ^ Shogun(Awards Database)” (英語). Golden Globes (2024年). 2024年12月10日閲覧。
  58. ^ Facebook (2021年2月21日). “Who really gives out the Golden Globes? A tiny group full of quirky characters — and no Black members” (英語). Los Angeles Times. 2021年3月8日閲覧。
  59. ^ 【ゴールデングローブ賞2021】3つの問題点が浮上。人種差別と接待疑惑、授賞式はどうなる?”. ハフポスト (2021年2月28日). 2021年3月8日閲覧。
  60. ^ a b c 米NBC、来年のゴールデングローブ賞中継せず 主催団体の多様性欠如に批判”. CNN.co.jp (2021年5月11日). 2021年5月11日閲覧。
  61. ^ 米テレビ局ゴールデングローブ賞放送見送り”. 日テレNEWS24. 日本テレビ (2021年5月11日). 2021年5月11日閲覧。
  62. ^ トム・クルーズ、HFPAへの抗議でゴールデン・グローブ賞トロフィー返上”. 日刊スポーツ (2021年5月11日). 2021年5月11日閲覧。
  63. ^ Schneider, Michael (September 20, 2022). “Golden Globes Return to TV in 2023, NBC and HFPA Set One-Year Deal”. Variety. September 20, 2022閲覧。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]