ベルファスト (映画)
ベルファスト | |
---|---|
Belfast | |
監督 | ケネス・ブラナー |
脚本 | ケネス・ブラナー |
製作 |
ケネス・ブラナー ローラ・バーウィック ベッカ・コヴァチック テイマー・トーマス |
出演者 |
ジュード・ヒル カトリーナ・バルフ ジェイミー・ドーナン ジュディ・デンチ |
音楽 | ヴァン・モリソン |
主題歌 |
「Down to Joy」 ヴァン・モリソン |
撮影 | ハリス・ザンバーラウコス |
編集 | ウナ・ニ・ドンガイル |
製作会社 |
ノーザン・アイルランド・スクリーン TKBC |
配給 |
ユニバーサル・ピクチャーズ フォーカス・フィーチャーズ パルコ=ユニバーサル映画 |
公開 |
2022年1月21日 2022年3月25日 |
上映時間 | 98分[1] |
製作国 |
アイルランド イギリス |
言語 | 英語 |
興行収入 | $2,766,010[2] |
『ベルファスト』(Belfast)は、2021年製作のアイルランド・イギリスのドラマ映画。監督はケネス・ブラナー、出演はジュード・ヒル、カトリーナ・バルフ、ジェイミー・ドーナンなど。ブラナー監督の半自伝的な作品である[3]。
ストーリー
[編集]1969年、北アイルランドのベルファスト。9才の少年バディは、貧しいが温かい家族に囲まれてのびのびと成長していた。ある日突然、火炎瓶を手に襲撃して来る暴徒たち。プロテスタントの強硬派が、カトリック教徒の家を焼き討ちしたのだ(北アイルランド紛争)。プロテスタントで難は逃れたものの、動揺するバディと家族。日頃は宗派など関係なく隣り合って暮している住人たちだが、バリケードが築かれ、軍隊が警備にあたる日々が始まった。
小学校の宿題に取り組み、クラスのキャサリンに恋をして、子供らしい日常を送るバディ。だが、バディの父や兄は強硬派から運動への参加を求められていた。真剣に移住を話し合うバディの両親。町から出たことのない母親にとって、「よそ者」になる事や「訛り」をバカにされる事は耐え難い恐怖だった。友達と別れるのは嫌だと泣くバディ。
「ワル」に憧れる女生徒モイラに引きづられて、訳も分からぬまま強硬派の襲撃に參加してしまうバディ。止めようとして巻き込まれるバディの母。警官隊との睨み合いの先頭で盾にされた妻子を、夢中で救い出すバディの父。
ベルファストには住めないと覚悟を決めるバディと母。祖父の葬儀をアイルランド人らしく賑やかなダンスパーティーで締め括った一家は、バスに乗り、移住先のロンドンへと旅立って行った。
キャスト
[編集]※括弧内は日本語吹替。
- バディ: ジュード・ヒル(阿部カノン)
- マー(バディの母親): カトリーナ・バルフ(恒松あゆみ)
- パー(バディの父親): ジェイミー・ドーナン(津田健次郎)
- グラニー(バディの祖母): ジュディ・デンチ(谷育子)
- ポップ(バディの祖父): キアラン・ハインズ(土師孝也)
- ビリー・クラントン: コリン・モーガン(村治学)
- モイラ: ララ・マクドネル(弘松芹香)
- マッキー: ジェラード・ホラン(露木徳幸)
- マクローリー: コナー・マクニール(菊池通武)
- 司祭: ターロック・コンヴェリー(高橋大輔)
- ボビー・フランク: ジェラード・マッカーシー
- ウィル: ルイス・マカスキー(田中光)
- キャサリン: オリーヴ・テナント(吉田舞香)
- 兵士: ヴィクター・アリー
- ヴァイオレットおばさん: ジョシー・ウォーカー(塙英子)
製作
[編集]2020年7月27日、ケネス・ブラナー監督がベルファストを舞台にした新作映画の製作準備を進めていると報じられた[4]。9月8日、ジュディ・デンチ、キアラン・ハインズ、ジェイミー・ドーナンの起用が発表された[5]。同月、本作の主要撮影がイングランドとベルファストで行われた[6]。
ブラナー監督は本作を白黒で撮影した理由について「僕がベルファストで育った時は、よく雨が降っていた。街の色合いは灰色。空は、炭や暗い灰色だった。ベルファストは、カムチャツカ半島中部と同じ緯度なので、かなり寒い。モノクロ撮影は、当時の記憶を呼び起こすためのものなんだ」と語っている[7]。
公開・マーケティング
[編集]2020年12月16日、フォーカス・フィーチャーズが本作の全米配給権を獲得したとの報道があった[8]。2021年9月2日、本作はテルライド映画祭で上映された[9]。3日、本作のオフィシャル・トレイラーが公開された[10]。12日、第46回トロント国際映画祭で本作の上映が行われた[11]。
評価
[編集]本作は批評家から高く評価されている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには192件のレビューがあり、批評家支持率は88%、平均点は10点満点で7.9点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「ケネス・ブラナー監督にとって極めてパーソナルな作品である。『ベルファスト』はストーリーにいくつかの難点を有しているものの、それらを手堅い演出と名演技で乗り越えている。」となっている[12]。また、Metacriticには44件のレビューがあり、加重平均値は77/100となっている[13]。なお、本作のCinemaScoreはA-となっている[14]。
受賞・ノミネート一覧
[編集]本作をアメリカで配給したフォーカス・フィーチャーズはジュード・ヒルを主演部門、その他の出演者を助演部門に振り分けた上で賞レースのキャンペーンを展開した[15]。
賞 | 発表日 | カテゴリ | 対象 | 結果 | Ref. |
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トロント国際映画祭 | 2021年9月18日 | 観客賞 | 受賞 | [16] | |
ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 | 2021年12月2日 | 作品賞トップ10 | 入選 | [17] | |
助演男優賞 | キアラン・ハインズ | 受賞 | |||
英国インディペンデント映画賞 | 2021年12月5日 | 主演女優賞 | カトリーナ・バルフ | ノミネート | [18][19] |
助演男優賞 | キアラン・ハインズ | ノミネート | |||
助演女優賞 | ジュディ・デンチ | ノミネート | |||
ブレイクスルー演技賞 | ジュード・ヒル | ノミネート | |||
キャスティング賞 | ルーシー・ビーヴァン、エミリー・ブロックマン | ノミネート | |||
撮影賞 | ハリス・ザンバーラウコス | ノミネート | |||
衣装デザイン賞 | シャーロット・ウォルター | ノミネート | |||
編集賞 | ウナ・ニ・ドンガイル | ノミネート | |||
メイクアップ&ヘアデザイン賞 | ワカナ・ヨシハラ | ノミネート | |||
作曲賞 | ヴァン・モリソン | ノミネート | |||
美術賞 | ジム・クレイ | ノミネート | |||
ゴールデングローブ賞 | 2022年1月9日 | 作品賞 (ドラマ部門) | ノミネート | [20][21] | |
助演男優賞 | キアラン・ハインズ | ノミネート | |||
ジェイミー・ドーナン | ノミネート | ||||
助演女優賞 | カトリーナ・バルフ | ノミネート | |||
監督賞 | ケネス・ブラナー | ノミネート | |||
脚本賞 | ケネス・ブラナー | 受賞 | |||
主題歌賞 | 「Down to Joy」 | ノミネート | |||
全米映画俳優組合賞 | 2022年2月26日 | 助演女優賞 | カトリーナ・バルフ | ノミネート | [22] |
キャスト賞 | カトリーナ・バルフ、ジュディ・デンチ、ジェイミー・ドーナン、キアラン・ハインズ、ジュード・ヒル、コリン・モーガン | ノミネート | |||
アカデミー賞 | 2022年3月28日 | 作品賞 | ノミネート | ||
監督賞 | ケネス・ブラナー | ノミネート | |||
助演男優賞 | キアラン・ハインズ | ノミネート | |||
助演女優賞 | ジュディ・デンチ | ノミネート | |||
脚本賞 | ケネス・ブラナー | 受賞 | |||
歌曲賞 | 「Down to Joy」 | ノミネート | |||
音響賞 | デニス・ヤード、サイモン・チェイス、ジェームズ・マザー、ニヴ・アディリ | ノミネート |
出典
[編集]- ^ “ベルファスト”. 映画.com. 2021年12月12日閲覧。
- ^ “Belfast” (英語). The Numbers. 2021年11月21日閲覧。
- ^ Donnelly, Matt (2021年9月12日). “Kenneth Branagh Breaks Down in Tears After Triumphant ‘Belfast’ Premiere at TIFF” (英語). Variety 2021年11月23日閲覧。
- ^ Coleman, Maureen (2020年7月27日). “Ken Branagh homes in on new movie about Belfast” (英語). The Belfast Telegraph 2021年11月21日閲覧。
- ^ Parfitt, Orlando (2020年9月8日). “Kenneth Branagh’s ‘Belfast’ starring Judi Dench and Jamie Dornan begins UK shoot” (英語). ScreenDaily 2021年11月21日閲覧。
- ^ McGoldrick, Debbie (2020年9月11日). “Kenneth Branagh to bring Belfast to the silver screen with star-studded cast” (英語). Irish Central 2021年11月21日閲覧。
- ^ “ケネス・ブラナー、トロントで観客賞をとった「Belfast」を語る「“あの頃のベルファスト”に戻りたかった」”. 映画.com. (2021年9月23日) 2021年11月23日閲覧。
- ^ Rubin, Rebecca (2020年12月16日). “Kenneth Branagh’s Drama ‘Belfast’ Lands at Focus Features” (英語). Variety 2021年11月21日閲覧。
- ^ Hammond, Pete (2021年9月1日). “Telluride Film Festival: Will Smith’s ‘King Richard’, Peter Dinklage Musical ‘Cyrano’, Joaquin Phoenix In ‘C’mon C’mon’, Ken Branagh’s ‘Belfast’ Set To Premiere” (英語). Deadline.com 2021年11月21日閲覧。
- ^ “BELFAST - Official Trailer (Universal Pictures) HD” (英語). YouTube. Universal Pictures UK (2021年9月3日). 2021年11月21日閲覧。
- ^ Hammond, Pete (2021年6月23日). “Melissa McCarthy, Kenneth Branagh, Edgar Wright Movies Among First Set For Toronto Film Festival; In-Person Theater And Digital Screenings Planned” (英語). Deadline.com 2021年11月21日閲覧。
- ^ "Belfast". Rotten Tomatoes (英語). 2021年11月23日閲覧。
- ^ "Belfast" (英語). Metacritic. 2021年11月23日閲覧。
- ^ Rubin, Rebecca (2021年11月14日). “‘Eternals’ Leads Box Office Over ‘Clifford the Big Red Dog’” (英語). Variety 2021年11月23日閲覧。
- ^ Davis, Clayton (2021年10月11日). “‘Belfast’ Campaigns Caitriona Balfe and Jamie Dornan as Supporting, Jude Hill Goes for Lead at Oscars (EXCLUSIVE)” (英語). Variety 2021年11月23日閲覧。
- ^ Pond, Steve (2021年9月18日). “‘Belfast’ Wins Toronto Film Festival’s People’s Choice Award” (英語). The Wrap 2021年11月21日閲覧。
- ^ “NATIONAL BOARD OF REVIEW ANNOUNCES 2021 AWARD WINNERS” (英語). NBR (2021年12月2日). 2021年12月4日閲覧。
- ^ Ramachandran, Naman (3 November 2021). “'Belfast', 'Boiling Point' Lead BIFA Nominations” (英語). Variety 3 November 2021閲覧。
- ^ “British Independent Film Awards 2021: the winners in full” (英語). BFI (2021年12月6日). 2021年12月12日閲覧。
- ^ 市川遥 (2021年12月13日). “『ドライブ・マイ・カー』ゴールデン・グローブ賞ノミネート!”. シネマトゥデイ 2022年1月16日閲覧。
- ^ 市川遥 (2021年1月10日). “ゴールデン・グローブ賞『パワー・オブ・ザ・ドッグ』『ウエスト・サイド・ストーリー』が作品賞!受賞結果全リスト”. シネマトゥデイ 2022年1月16日閲覧。
- ^ Lewis, Hilary; Coates, Tyler (2022年1月12日). “SAG Awards: ‘House of Gucci,’ ‘The Power of the Dog’ Lead Film Nominations” (英語). The Hollywood Reporter 2022年2月9日閲覧。