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ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ
The United States vs. Billie Holiday
監督 リー・ダニエルズ
脚本 スーザン=ロリ・パークス
原作 ヨハン・ハリ
麻薬と人間 100年の物語英語版
製作 リー・ダニエルズ
ジョーダン・ファッジ
ジェフ・キルシェンバウム英語版
タッカー・トゥーリー英語版
パメラ・オアス・ウィリアムズ
製作総指揮 ヨハン・ハリ
ジェレミー・アレン
マーク・ボンバック
カシアン・エルウィズ
パティ・ロング
パティ・ロング
ジョー・ロス
ヒラリー・ショー
デニス・ストラットン
出演者 アンドラ・デイ英語版
トレヴァンテ・ローズ
ナターシャ・リオン
ギャレット・ヘドランド
音楽 クリス・バワーズ
主題歌 アンドラ・デイ
Tigress & Tweed
撮影 アンドリュー・ダン英語版
編集 ジェイ・ラビノウィッツ英語版
製作会社 リー・ダニエルズ・エンターテインメント
ニュー・スレイト・ベンチャーズ
ロス/キルシェンバウム・フィルムズ英語版
配給 アメリカ合衆国の旗 Hulu
日本の旗 ギャガ
公開 アメリカ合衆国の旗 2021年2月26日(配信)
日本の旗 2022年2月11日(劇場公開)
上映時間 131分[1]
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
興行収入 世界の旗 $1,135,988[2]
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ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ』(The United States vs. Billie Holiday)は2021年アメリカ合衆国伝記映画。監督はリー・ダニエルズ、主演はアンドラ・デイ英語版が務めた。本作はヨハン・ハリ2015年に発表したノンフィクション麻薬と人間 100年の物語英語版』(福井昌子訳、作品社)を原作とし、黒人ジャズ・シンガーであるビリー・ホリデイの人生を映画化した伝記ドラマ[3]

ストーリー

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1940年代、ビリー・ホリデイが歌う『奇妙な果実』は黒人差別の悲惨さを人々に知らしめ、公民権運動に大きな影響を与えていた。ホリデイはジャズ・シンガーとしてスターダムにのし上がったかに見えたが、その裏では恋人からの暴力に苦しみ、酒や麻薬を手放せない日々を送っていた。

しばらくして、『奇妙な果実』の力を危惧した当局は歌唱の妨害を試みたが、どうやっても上手くいかなかった。ところが、時の連邦麻薬局の長官、ハリー・J・アンスリンガーの介入で事態は急転することになった。アンスリンガーは麻薬の使用・所持を法律で禁止し、さらには厳罰化するキャンペーンに力を注いでいたが、それは自らの権力欲を満たすためであり、国民の健康増進や治安向上を願ってのことではなかった。アンスリンガーは「黒人の歌手が麻薬に手を出している」というイメージを宣伝し、人々の差別意識をも利用しようとしていた。そんな彼が目を付けたのがホリデイであった。

アンスリンガーは黒人捜査官、ジミー・フレッチャーをホリデイの元に送り込み、彼女に関する情報を一通り集めさせた。そうした諜報活動の結果、ホリデイはヘロインの使用で逮捕され、そのまま服役することになった。1年後、出所したホリデイは歌手活動を再開したが、アンスリンガーは彼女を再起不能になるまで追い込むつもりでいた。だが、ここで予期せぬ事態が起こる。

キャスト

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製作

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2019年9月17日、リー・ダニエルズ監督の新作映画にアンドラ・デイ、トレヴァンテ・ローズ、ギャレット・ヘドランド、ナターシャ・リオンが出演することになったと報じられた[4]。9月25日、エヴァン・ロス、デイナ・グーリエ、エリック・ラレイ・ハーヴェイの起用が発表された[5]。10月2日、メルヴィン・グレッグとミス・ローレンスがキャスト入りした[6]

なお、ダニエルズ監督は当初、女優としての経験がないに等しいデイの起用に難色を示していた。しかし、周囲からの強い勧めもあり、取り敢えずデイと会うことにした。直接話をした監督は「デイには十分な魅力があり、ビリー・ホリデイの精神をその身に宿している」と感じ、彼女に演技のレッスンを受けるよう勧めた。それからしばらくして、コーチから監督の下にデイの演技を収めた30秒の映像が送られてきた。その映像を見た監督は「ここに映っているのはビリー・ホリデイを演じるアンドラ・デイではない。ホリデイ本人だ」と感動し、正式なオーディションを経てデイの起用を決断したのだという[7]

撮影・音楽

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2019年10月、本作の主要撮影カナダモントリオールで始まった[4]。17日、クリストファー・ガニングが本作で使用される楽曲を手がけるとの報道があった[8]。後にガニングが降板したため、その後任はマーク・アイシャムクリス・バワーズと代わっていった[9][10]。2021年1月11日にはデイが歌う劇中歌「All of Me」が[11]、26日には主題歌「Tigress & Tweed」がシングルとして発売された[12]。2月19日、ワーナー・レコードが本作のサウンドトラックを発売した[13]

公開・マーケティング

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2020年7月1日、パラマウント映画が本作の全米配給権を獲得したと報じられた[14]。11月5日、本作の劇中写真が初めて公開された[15]。12月24日、新型コロナウイルスの流行が一向に収束しない状況を受け、パラマウント映画は本作の全米配給権をHuluに売却した[16]。2021年1月12日、本作のオフィシャル・トレイラーが公開された[17]。当初、本作の全米公開日は2021年2月12日に設定されていたが、後に公開日は同月26日に延期された[18][19]。さらには公開形態も劇場公開からインターネットでの配信に切り替わった。

評価

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本作に対する批評家の評価は平凡なものに留まっている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには117件のレビューがあり、批評家支持率は57%、平均点は10点満点で5.4点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「『ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ』は主題を十分に活かしきれていない。しかし、アンドラ・デイの名演のお陰で、そうした欠点は相殺されている。」となっている[20]。また、Metacriticには38件のレビューがあり、加重平均値は53/100となっている[21]

受賞・ノミネート

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発表日 カテゴリ 対象 結果 出典
ゴールデングローブ賞 2021年2月28日 主演女優賞 (ドラマ部門) アンドラ・デイ 受賞 [22][23]
主題歌賞 Tigress & Tweed ノミネート
クリティクス・チョイス・アワード 2021年3月7日 主演女優賞 アンドラ・デイ ノミネート [24][25]
歌曲賞 Tigress & Tweed ノミネート
ヘアデザイン&メイクアップ賞 ノミネート
アカデミー賞 2021年4月26日 主演女優賞 アンドラ・デイ ノミネート [26][27]

出典

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  1. ^ ザ・ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ”. 映画.com. 2021年12月12日閲覧。
  2. ^ The United States vs. Billie Holiday (2021)”. The Numbers. 2021年12月12日閲覧。
  3. ^ ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ”. allcinema. 株式会社スティングレイ. 2022年12月28日閲覧。
  4. ^ a b Lee Daniels Sets Cast For ‘The United States Vs. Billie Holiday’ With Andra Day, Trevante Rhodes, Garrett Hedlund & Natasha Lyonne”. Deadline.com (2019年9月17日). 2021年3月2日閲覧。
  5. ^ Evan Ross, Dana Gourrier, Erik Laray Harvey Join Lee Daniels’ ‘The United States vs. Billie Holiday’”. Deadline.com (2019年9月25日). 2021年3月2日閲覧。
  6. ^ ‘The United States Vs. Billie Holiday’ Adds ‘American Vandal’ & ‘Snowfall’ Actor Melvin Gregg & Miss Lawrence”. Deadline.com (2019年10月2日). 2021年3月2日閲覧。
  7. ^ In 'The United States vs Billie Holiday,' Lee Daniels Tackles the Untold Story of the Jazz Singer’s Civil Rights Activism”. Hollywood Reporter (2021年1月11日). 2021年3月2日閲覧。
  8. ^ Christopher Gunning to Score Lee Daniels’ ‘The United States vs. Billie Holiday’”. Film Music Reporter (2019年10月17日). 2021年3月2日閲覧。
  9. ^ Mark Isham to Score Lee Daniels’ ‘The United States vs. Billie Holiday’”. Film Music Reporter (2020年4月1日). 2021年3月2日閲覧。
  10. ^ Netflix’s ‘Bridgerton’ to Feature Music by Kris Bowers”. Film Music Reporter (2020年12月1日). 2021年3月2日閲覧。
  11. ^ Andra Day’s ‘All of Me’ Cover from ‘The United States vs. Billie Holiday’ Released”. Film Music Reporter (2021年1月11日). 2021年3月2日閲覧。
  12. ^ Andra Day’s & Raphael Saadiq’s Original Song ‘Tigress & Tweed’ from ‘The United States vs. Billie Holiday’ Released”. Film Music Reporter (2021年1月26日). 2021年3月2日閲覧。
  13. ^ ‘The United States vs. Billie Holiday’ Soundtrack Album Details”. Film Music Reporter (2021年2月2日). 2021年3月2日閲覧。
  14. ^ Paramount Prevails In Auction For Lee Daniels-Directed ‘The United States Vs. Billie Holiday:’ Virtual Cannes”. Deadline.com (2020年7月1日). 2021年3月2日閲覧。
  15. ^ ‘The United States Vs. Billie Holiday’ First Look: Andra Day Transforms Into the Blues Icon in Lee Daniels’ Biopic”. /Film (2020年11月5日). 2021年3月2日閲覧。
  16. ^ Hulu Buys Lee Daniels’ ‘The United States vs. Billie Holiday’”. Variety (2020年12月24日). 2021年3月2日閲覧。
  17. ^ The United States vs. Billie Holiday - Trailer (Official) • A Hulu Original”. YouTube (2021年1月12日). 2021年3月2日閲覧。
  18. ^ ‘Scream’ Relaunch Eyes 2022 Release, ‘Snake Eyes’ Rolls To 2021 & More – Paramount Release Date Changes”. Deadline.com (2020年8月28日). 2021年3月2日閲覧。
  19. ^ Paramount Pictures Takes Michael B. Jordan Pic 'Without Remorse,' 'Micronauts' Off 2021 Release Calendar”. Hollywood Reporter (2020年11月13日). 2021年3月2日閲覧。
  20. ^ The United States vs. Billie Holiday”. Rotten Tomatoes. 2021年3月2日閲覧。
  21. ^ The United States vs. Billie Holiday (2021)”. Metacritic. 2021年3月2日閲覧。
  22. ^ 【ゴールデングローブ賞】映画部門でNetflixが圧勝 「Mank マンク」が最多6部門ノミネート”. 映画.com (2021年2月4日). 2021年3月2日閲覧。
  23. ^ ゴールデン・グローブ賞『ノマドランド』が作品賞!受賞結果全リスト”. シネマトゥデイ (2021年3月1日). 2021年3月2日閲覧。
  24. ^ Critics Choice Awards: ‘Mank’ Leads With 12 Nominations, Netflix Makes History With Four Best Picture Nominees”. Variety (2021年2月8日). 2021年3月2日閲覧。
  25. ^ Critics Choice Awards: ‘Nomadland’, ‘The Crown’ Among Top Honorees – Complete Winners List”. Deadline.com (2021年3月7日). 2021年3月16日閲覧。
  26. ^ アカデミー賞ノミネート全リスト!『Mank/マンク』が最多10部門”. シネマトゥデイ (2021年3月15日). 2021年3月16日閲覧。
  27. ^ 【第93回アカデミー賞総括】「ノマドランド」が作品賞含む最多3冠!主演男優賞発表で番狂わせ”. 映画.com (2021年4月26日). 2021年12月12日閲覧。

関連作品

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外部リンク

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