ネオプトレモス
ネオプトレモス(古希: Νεοπτόλεμος, Neoptolemos, ラテン語: Neoptolemus)は、ギリシア神話の人物である。ホメーロスの叙事詩『イーリアス』の主人公であるアキレウスとスキューロス島の王リュコメーデースの娘デーイダメイアの息子。
ネオプトレモスとは「若い戦士」を意味する。赤毛であったためにピュロス(Πύρρος, Pyrrhus)とも呼ばれる[1]。
概要
[編集]トロイア戦争においてアキレウスの死後、神託によってギリシア軍に招かれ、なかば戦場のシンボルとして参戦した。これはトロイア王プリアモスの子の一人で予言の力をもつヘレノスがギリシア軍に捕らえられたさいに、ギリシアの勝利にはネオプトレモスが必要であることを明かしたためである。
またソポクレースの悲劇によれば、トロイア攻略に必要不可欠なヘーラクレースの強弓を持つピロクテーテースを参戦させるために、オデュッセウスとともに彼を説得した。
トロイアが陥落すると、プリアモス王を殺害し、ヘクトールと妃アンドロマケーの遺児、アステュアナクスを城壁の外に投げ捨てて殺し、アンドロマケーを戦利品(実際は妻、妾のような立場)として手に入れた。その後、ヘレネーとメネラーオスの娘ヘルミオネーを妻として迎えたが、ヘルミオネーがアガメムノーンの息子オレステースの幼少時代の恋人だったことから、オレステースの恨みを買い決闘を申し込まれる。決闘の場でネオプトレモスはオレステースの刃に倒れ、ヘルミオネーはオレステースに奪われ彼の妻となった。ネオプトレモスの死についてはほかにもさまざまの異伝があるが、いずれにせよデルポイの地で殺されたという点では一致している。
エペイロス王家の開祖
[編集]ネオプトレモスは、アンドロマケーを連れてエーペイロスへと赴き、そこで王となってエーペイロス王家の開祖となった。オリュンピアスはこの王家出身であり、したがってアレクサンドロス3世はアキレウスの血筋であると言われている。
系図
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脚注
[編集]- ^ 高津春繁「ネオプトレモス」『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店、1960年、183頁。ISBN 4000800132。