ヘクトール
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ヘクトール(古代ギリシャ語: Ἕκτωρ, Hektōr、 ラテン語: Hector)は、ギリシア神話の英雄である。日本語では長母音記号を省略し、ヘクトルともいう。トロイアの王子であり、トロイア戦争におけるトロイア勢最強の戦士。トロイアを築いたダルダノスとトロースの末裔プリアモス王と王妃ヘカベーの間に生まれた[1]。妻アンドロマケーとの間に一子スカマンドリオス(トロイアの人間はアステュアナクスと呼ぶ)をもうけた。イーリアスにおいて、兜きらめくヘクトールと称される。
神話
[編集]トロイア防衛の総大将として軍勢を指揮し、また個人の勇猛さをもってアカイア勢を敗走寸前にまで追い込んだ[2]。アカイアの戦士を31人殺したと伝わる[3]。
善き夫、善き父でもあり、戦争に負けた後に起こる妻子の処遇を案じている[4]。トロイア戦争の元凶となった弟パリスについても、𠮟りこそすれ見放すことはなかった。国のことを第一に考えるヘクトールに対し、自身が原因にもかかわらずパリスは飄々としている[5]。
パトロクロスの猛反撃も打ち破るが[6]、アキレウスに敗北し遺体を辱められる[7]。父であるプリアモス王がアキレウスの陣まで出向き、ヘクトールの遺体を引き取る。
トロイアの陥落後、妻アンドロマケーはアキレウスの子ネオプトレモスの戦利品となった。そして、アステュアナクスは殺された。
中世ヨーロッパにおいてジャック・ド・ロンギオンは九偉人の一人に挙げている。ジェームズ・レッドフィールドは「国に殉じた男、かけがえのない日常生活を守るため死んでいった英雄」と述べている[8]。
備考
[編集]系図
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ギャラリー
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妻子への別れの挨拶(アプリア赤絵式陶器)、紀元前370年から紀元前360年ごろ
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トロイアで見つかった硬貨、177-192年ごろ。表: コンモドゥスの半身像 裏: 2頭立ての戦車に乗り、盾と槍を振り回すヘクトール。上にEKTΩP、下にIΛIEΩNと刻まれている
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船の戦い、ローマ時代の棺に描かれたもの、3世紀ごろ
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ヨハン・ハインリヒ・ティッシュバイン『軟弱なパリスを戦場に行くよう戒めるヘクトール』1786年 アウグステウム所蔵
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ジャック=ルイ・ダヴィッド『ヘクトールの遺体』1778年 ファーブル美術館所蔵
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フランツ・フォン・マッチ『アキレウスの凱旋』1892年 ケルキラ島のアヒリオン宮殿