熊本地震 (2016年)
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2016年(平成28年)4月14日21時26分(JST)頃に、熊本県熊本地方を震源とする、マグニチュード6.5(暫定値)・最大震度7の地震が発生[1]。気象庁はこの地震を「平成28年(2016年)熊本地震」(英語: The 2016 Kumamoto Earthquake)と命名し、4月15日に発表した[2]。
さらに、その地震の発生から28時間後の4月16日1時25分頃には、同じく熊本県熊本地方を震源とする、マグニチュード7.3(暫定値)・最大震度6強の地震が発生[3]。気象庁は同日、後者(16日未明)の地震が本震で、前者(14日)の地震は前震であったと考えられるとする見解を発表している[4][5]。
本記事では、この2つの地震を中心に、九州地方で4月14日以降に相次いで発生した一連の地震について記述する。
概要
4月14日21時26分頃に熊本県熊本地方で発生した地震は、震源の深さが11km、気象庁マグニチュード(Mj)が6.5、モーメントマグニチュード(Mw)が6.2と推定されている[1][6]。熊本県益城町で最大震度の7を観測した[1]。
気象庁が1949年に震度7の震度階級を設定して以降[7]、日本国内における震度7の観測は、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)に続いて[8]4回目であり[9]、九州地方では初の観測であった[9]。
気象庁は14日の地震について、この地方で一般的な[10]「横ずれ断層型」だと説明している[1]。また、この地震は、布田川・日奈久断層帯(ふたがわ・ひなぐ)や近くの小規模活断層の活動が原因である可能性が指摘されている[11]。政府の地震調査委員会は、日奈久断層帯(81km)の高野―白旗区間(16km)が動いたという見解を発表した[12]。
4月16日1時25分頃に熊本県熊本地方で発生した地震は、震源の深さが12km、マグニチュードが7.3と推定されている[3]。最大震度は震度6強[3]。
この16日未明の地震では、震源地が熊本県熊本地方であり海底で発生した地震ではなかった引用エラー: <ref>
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発生日時 | 震央 | 震源の 深さ |
地震の 規模 |
最大震度 | 出典 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
前震 | 4月14日(木)21時26分頃 | 熊本地方(北緯32.7度、東経130.8度) | 11km[1] | M6.5[1] | 7 | 益城町 | [4] |
4月14日(木)22時 | 7分頃熊本地方(北緯32.8度、東経130.8度) | 10km | M5.7 | 6弱 | 益城町 | [5] | |
4月14日(木)22時38分頃 | 熊本地方(北緯32.7度、東経130.7度) | 10km | M5.0 | 5弱 | 宇城市 | [6] | |
4月15日(金) | 0時 3分頃熊本地方(北緯32.7度、東経130.8度) | 10km | M6.4 | 6強 | 宇城市 | [7] | |
4月15日(金) | 1時53分頃熊本地方(北緯32.7度、東経130.8度) | 10km | M4.8 | 5弱 | 山都町 | [8] | |
本震 | 4月16日(土) | 1時25分頃熊本地方(北緯32.8度、東経130.8度) | 12km[3] | M7.3[3] | 6強 | 南阿蘇村 菊池市 大津町 宇城市 合志市 熊本市中央区・東区・西区 |
[9] |
余震 | 4月16日(土) | 1時44分頃熊本地方(北緯32.8度、東経130.8度) | 10km | M5.3 | 5弱 | 玉名市 大津町 熊本市西区・北区 | [10] |
4月16日(土) | 1時46分頃熊本地方(北緯32.9度、東経130.9度) | 20km | M6.0 | 6弱 | 菊陽町 合志市 熊本市東区 | [11] | |
4月16日(土) | 3時 3分頃阿蘇地方(北緯33.0度、東経131.1度) | 20km | M5.8 | 5強 | 阿蘇市 南阿蘇村 | [12] | |
4月16日(土) | 3時55分頃阿蘇地方(北緯33.0度、東経131.2度) | 10km | M5.8 | 6強 | 産山村 | [13] | |
4月16日(土) | 7時11分頃大分県中部(北緯33.3度、東経131.4度) | 10km | M5.3 | 5弱 | 由布市湯布院町川上 | [14] | |
4月16日(土) | 7時23分頃熊本地方(北緯32.8度、東経130.8度) | 10km | M4.8 | 5弱 | 熊本市東区 | [15] | |
4月16日(土) | 9時48分頃熊本地方(北緯32.9度、東経130.8度) | 10km | M5.4 | 6弱 | 菊池市 | [16] | |
4月16日(土) | 16時 2分頃熊本地方(北緯32.8度、東経130.8度) | ごく浅い | M5.3 | 5弱 | 嘉島町 宇城市 熊本市西区 | [17] |
(備考) 熊本県益城町の震度計(町役場に設置)からは、4月14日23時半頃から15日10時半頃までの約11時間、停電のため、計測データを気象庁に送信できなかった[14]。
前震
4月14日21時26分に発生した地震によって震度4以上の揺れを観測した地域は以下の通り[15]。このほか、熊本県の嘉島町では震度5弱以上と推定されている[16]。
震度 | 都道府県 | 市区町村 |
---|---|---|
7 | 熊本県 | 益城町 |
6弱 | 熊本県 | 玉名市 西原村 宇城市 熊本市東区・西区・南区 |
5強 | 熊本県 | 菊池市 宇土市 大津町 菊陽町 御船町 美里町 山都町 氷川町 合志市 熊本市中央区・北区 |
5弱 | 熊本県 | 高森町 阿蘇市 南阿蘇村 八代市 長洲町 大津町 甲佐町 和水町 上天草市 天草市 |
宮崎県 | 椎葉村 | |
4 | 山口県 | 下関市 |
福岡県 | 福岡市博多区 那珂川町 大野城市 宗像市 新宮町 古賀市 粕屋町 みやこ町 大牟田市 久留米市 柳川市 八女市 筑後市 大川市 小郡市 大木町 広川町 筑前町 朝倉市 みやま市 | |
佐賀県 | 唐津市 佐賀市 上峰町 江北町 白石町 鳥栖市 みやき町 小城市 嬉野市 吉野ヶ里町 神埼市 | |
長崎県 | 諫早市 島原市 雲仙市 南島原市 | |
熊本県 | 産山村 荒尾市 山鹿市 玉東町 南関町 人吉市 あさぎり町 多良木町 山江村 水俣市 芦北町 津奈木町 苓北町 | |
大分県 | 臼杵市 津久見市 佐伯市 豊後大野市 日田市 竹田市 九重町 | |
宮崎県 | 延岡市 西都市 川南町 高千穂町 日之影町 小林市 | |
鹿児島県 | 阿久根市 長島町 薩摩川内市 さつま町 湧水町 霧島市 伊佐市 |
気象庁は地震検知の3.7秒後の21時26分42.5秒に第1報の深さ10km、マグニチュード6.5、最大震度は6強程度という緊急地震速報の警報を九州全域などに発表した[17][18]。
防災科学技術研究所の観測網による、加速度上位5地点は以下の通りである[19][20]。
観測点名:最大加速度:計測震度
- KiK-net益城(KMMH16) 1580gal 6.4
- K-NET矢部(KMM009) 669gal 5.3
- K-NET熊本(KMM006) 604gal 5.9
- K-NET砥用(KMM011) 491gal 5.2
- KiK-net豊野(KMMH14) 357gal 5.4
4月15日0時3分頃の地震では、気象庁が2013年3月に長周期地震動の観測情報の提供を開始して以来初めて、長周期地震動階級が最大の階級4を記録した。ただし、事後的なデータ分析によれば、2004年の新潟県中越地震や2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)でも、階級4相当の長周期地震動が生じていたとされる[21][22]。
本震
Mj6.5の前震から約16時間後である4月16日午前1時25分に、Mj 7.3・Mw 7.0[23]、最大震度6強を観測する地震が発生した[24]。
この他に震度5弱以上と考えられるが、益城町宮園・西原村小森など4月16日1時30分現在震度が不明な地域がある[26]。なお、大韓民国釜山広域市では改正メルカリ震度階級IIIと推定されている。[27][28]
余震
2016年4月14日21時26分の地震以降、震度1以上の地震(有感地震)は熊本県熊本地方において4月16日2時までに159回観測され、その後は熊本県同地方、熊本県阿蘇地方、大分県西部および大分県中部からなる領域において4月16日19時までに156回観測された[29]。この期間に有感地震の1時間当たりの観測頻度が最も高かったのは、16日4時から5時までの14回で、次いで同日7時から8時までの13回となっている[29]。
被害・影響
人的被害
熊本県内では14日の前震により住宅の下敷きや火災により、益城町と熊本市東区で計9人の死亡が確認されている[30]。熊本市によると、同市内の病院には同日23時頃現在、地震で重軽傷を負った70人以上が運ばれているという[8]。16日の本震では、28人が死亡し、前震とあわせて37人の死亡が確認された[31]。負傷者は熊本県内だけでなく、佐賀県、大分県、福岡県、宮崎県でも出ている[32]。
前震・本震・余震、合わせての死傷者は1100人を超えている。[33]
阿蘇山への影響
一連の地震との関係性は気象庁でも今のところ分かっていないが、16日午前8時30分ごろに阿蘇山の中岳第一火口で小規模な噴火が発生している。 噴火自体はごく小規模であるため今のところ阿蘇山の噴火警戒レベルを引き上げる予定はないという[34]。
建物被害
- 熊本城では、天守閣の屋根瓦が崩れた上に屋上にあったしゃちほこが落下し[35]、石垣が少なくとも6か所で崩れ、塀が100mに渡って倒壊した[36]。さらに16日の本震で、築城当初から残っていた重要文化財の東十八間櫓・北十八間櫓が倒壊し、隣の熊本大神宮の建物の屋根を破壊した[37]。
- 熊本市立熊本市民病院では建物が傾き、倒壊の恐れがあるとして自衛隊などにより患者の移送がなされた[38]。また、御船町の希望ヶ丘病院でも倒壊の恐れが出ている他、益城病院や益城中央病院でも停電などが発生しており、患者を避難させるなどの対応を取っている[39]
- 藤崎台県営野球場は、バックスクリーンの壁の一部がはがれ落ちる被害があった[40]。
- 熊本洋学校教師館ジェーンズ邸は、14日の前震で壁が崩壊する被害があり16日の本震では建物が崩落した[41]。
- 阿蘇神社では、重要文化財の楼門と拝殿が全壊した[42]。
- 宇土市では、市役所の庁舎が半壊した[43]。
- 西原村の農業用ダム・大切畑ダムでは大量の漏水が確認され、800人に避難指示が出された[31]。
交通機関
- 道路
九州自動車道では、南関ICとえびのICの間で通行止めとなり、高速バスの運休が相次いだ[44]。西日本高速道路(NEXCO西日本)によると、益城熊本空港ICから松橋ICの間でのり面崩落、路面陥没、ひび割れ等が発生しており、植木IC - 松橋ICで通行止めとなっている[45]。
16日未明の本震により阿蘇大橋や俵山トンネルが崩壊、国道57号や国道325号も寸断された[46][31]。
- 鉄道
地震直後には西日本旅客鉄道(JR西日本)では山陽新幹線の小倉 - 博多間、九州旅客鉄道(JR九州)では九州新幹線と在来線全線で運転を見合わせた[47]。その後、順次運転を再開し、翌4月15日夕方の時点での運転見合わせ区間は、九州新幹線全線と、鹿児島本線の宇土 - 八代間、豊肥本線の熊本 - 宮地間、肥薩線の八代 - 吉松間[48]となっている。 九州新幹線では、下りの6両編成の回送列車が熊本駅から熊本総合車両所へ向かう途中に脱線した[49][50]。この回送列車は地震発生時時速80kmで走行中で、運転士が強い揺れを感じて非常ブレーキをかけたが全車両が脱線した[50]。脱線現場は熊本駅から南に約1.3kmの本線上で、4月15日現在復旧の見通しは立っていない[50]。このため、九州新幹線は全線で運転を見合わせとなっており[48]、山陽新幹線から九州新幹線へ直通する「みずほ」「さくら」は博多 - 鹿児島中央間で運転を見合わせている[51]。4月16日の本震により、豊肥本線でも赤水駅を出発した回送列車が脱線したが、負傷者はなかった[52]。また赤水駅 - 立野駅間で土砂崩れも発生し、線路内に土砂が流入した[53]。熊本県内の在来線では鹿児島本線や豊肥本線、肥薩線、三角線、くま川鉄道湯前線、南阿蘇鉄道高森線、肥薩おれんじ鉄道線が運休した[54]。
- 航空
全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)も前震発生当時、既に14日中に熊本空港を発着する便は運航を終了した。この時点では日航の空港施設には被害がなかった[8]。ただ16日の本震で空港ターミナルビルの天井が落ちるなど建物に被害を受け、熊本空港発着の全便の17日までの終日運休が決定された[46][31]。滑走路は使用できることから自衛隊が救助活動に使用している[52]。
ライフライン
- 水道
- 15日4時半現在、宇城市で1万1000戸、熊本市で5万7000戸で断水している[55]。
- 電気
- 九州電力によれば、15日13時現在、益城町や嘉島町、熊本市南区などで1万1700戸が停電している[55]。16日9時現在では、同日未明の地震により熊本県、大分県、宮崎県で合計16万9600戸が停電している[56]。停電の影響により携帯電話各社は携帯電話充電のために電源車を派遣した[57]。なお九州電力の川内原子力発電所は地震の影響はなく通常運転を行っており[47]、鹿児島県は「九電から『異常なし』との連絡が午後9時44分に入った」としている[8]。玄海原子力発電所では、地震による被害は確認されていないという[8]。
- ガス
- 西部ガスによると、熊本県エリアのガス供給を担う熊本工場の安全に問題はないとした[58]が、熊本地区供給エリアのガス供給停止戸数は、益城町や熊本市などを中心に1123戸、ガス漏れの通報は66件(15日午前11時の時点)[59][60]。
催事
イベント
- 4月15日に東京ディズニーシーで開催される予定だった「東京ディズニーシー15周年 ザ・イヤー・オブ・ウィッシュ」のオープニングセレモニーが中止された[61]。
- 4月15日 - 17日に益城町の熊本産業展示場で開催予定だった「すぱいすカントリー&クラフトフェア2016」が中止となった[62]。
- 4月15日 - 17日に開催予定だった第45回牛深ハイヤ祭りは全日程の中止が決まった[63]。
- 4月15日に予定されていた「2017 ミス・ティーン・ジャパン」の開催記者会見が中止になった[64]。
- 4月16日・17日に中国・上海市にて、上海市の観光情報アプリ企業の主催により開催が予定されていた熊本県観光PRイベントが、今回の熊本地震を受けて中止されることが明らかになっている[65]。
- 4月17日に観光電車「西武 旅するレストラン 52席の至福」の運行を開始する西武鉄道は、初日の出発式を自粛することを決めた[66]。
スポーツ大会
- 4月15日から3日間開催される予定だった日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)ツアー「KKT杯バンテリンレディスオープン」(熊本空港カントリークラブ)は、14日夜の地震を受け主催者側が15日の競技を中止することを決定した[67]。さらに15日午前には主催者であるくまもと県民テレビ(KKT)、特別協賛社の興和、そして日本女子プロゴルフ協会が大会の開催について協議し、その後も余震が続くことが予想されること、ギャラリーバスの運行ができずボランティアや観客の輸送ができないこと、また出場予定選手の心情などを考慮し、大会自体の中止を決定した[68]。
- 4月15日にくまもと森都心プラザホールで開催予定だった超花火プロレスが中止され、プロレスラーが益城町でがれき撤去に協力した[69]。
- 4月16日に熊本市流通情報会館で開催予定だったWRESTLE-1興行も開催延期[70]。
- 4月16日・17日施行の日本中央競馬会(JRA)の中山競馬・阪神競馬・福島競馬全競走におけるウインズ八代での勝馬投票券発売及び払戻業務は地震の影響により取りやめになった。なお、4月23日以降の営業については決定次第発表するとした[71]。
- 日本プロ野球の試合中止
- 4月16日 - パシフィック・リーグ公式戦:福岡ソフトバンクホークス対東北楽天ゴールデンイーグルス戦(福岡ヤフオク!ドーム)[72]。
- 4月19日・20日 - セントラル・リーグ公式戦:読売ジャイアンツ対中日ドラゴンズ戦(19日・藤崎台県営野球場[73]、20日・鹿児島県立鴨池野球場[74])。
- サッカー・Jリーグでは、4月16日・17日に九州地方で開催予定だった5試合と、ロアッソ熊本のアウェーゲームの計6試合が中止になった[75]。
- 4月18日・19日にオートポリスで開催予定だったSUPER GTのタイヤメーカーテストが中止となった[76]。
教育機関
地震発生の翌日の15日、熊本県内にある公私立の幼稚園や小中高校などのうち計342校が休校の措置をとり、短縮授業とする措置をとった学校は29校(文部科学省調べ)[77]。また、文部科学省の調べで、県内の公立高校8校と特別支援学校2校の計10校に天井やガラスが破損するなどの被害があったこともわかった。大学でも熊本大学[78]、熊本県立大学[79]、熊本学園大学[80]などで休講となった。
東海大学は、熊本県内に在所する熊本キャンパス・阿蘇キャンパスでの授業などについて4月17日から24日まで休講とする措置を執った[81]。16日未明の本震により、南阿蘇村の阿蘇キャンパス付近に所在する学生アパートが倒壊し、一時同大学に在籍する農学部生12名が生き埋めになり[82]、16日午前9時には全員が救助されたものの[83]、その後男女2名の死亡が確認された[52]。
4月17日開催予定の情報処理技術者試験(初回となる情報セキュリティマネジメント試験を含む)は、九州地区のみ中止の措置をとり次回試験への振り替えまたは受験料の返金で対応することになった(ただし、沖縄県の那覇試験地は通常どおり試験実施)[84]。
民間企業
地元・熊本を拠点に展開するデパートの鶴屋百貨店では、鶴屋本館・東館・ウィング館、New-S、ラン・マルシェ、地方各店(荒尾店を除く)等で地震発生翌日の15日の営業をすべて取りやめ、臨時休業日とした[85]。
イオングループでは、嘉島町のイオンモール熊本とイオン宇城が被災。スーパーチェーンイズミは熊本市内の2店舗を休業とした。益城町にある井関農機の井関熊本製造所で被害が出た他、パナソニック、本田技研工業、トヨタ自動車九州の各工場は操業を停止した[86]。窓が割れる被害が出たアイシン精機の2子会社も操業を停止し、スズケンも宇土市の子会社の操業を停止した[87]。
地獄温泉 清風荘で51名、垂玉温泉で17名が道路寸断の影響で孤立しており、宿泊客は建物外に避難し炊き出しを受けている[83][88]。
放送
震災が発生した時期が番組改編期でもあったため、震災による報道特別番組の影響で新番組の放送中止がいくつか発生した。
- 木曜ミステリー『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日) - 4月14日20時から2時間スペシャルとして放送されていたが、地震発生後に中断→一旦、関東地区で4月16日14時半からの放送予定が組まれるが、同日未明に発生した本震に関する特別番組のため再延期、放送日未定[89]
- 木曜劇場『早子先生、結婚するって本当ですか?』(フジテレビ) - 4月14日開始予定→4月21日(1週遅れ)[90]
- カミワザ・ワンダ(TBSテレビ) - 4月16日開始予定→放送開始時期未定[91]
- 土曜ドラマ『お迎えデス。』(日本テレビ) - 4月16日開始予定→4月23日(1週遅れ)[92]
政府、各関係機関の対応
- 政府
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- 21時31分に政府は内閣総理大臣官邸の危機管理センターに官邸対策室を設置。
- 21時36分には安倍晋三内閣総理大臣が、被害状況の把握や災害応急対策に全力を尽くすこと、さらに国民への情報提供を指示した[93]。地震発生時安倍首相は東京の猿楽町で会食中であったが、途中で退席し21時50分過ぎには官邸に入った[94]。
- 21時40分に蒲島郁夫熊本県知事は陸上自衛隊第8師団長に対して災害派遣を要請した[95][96]。また、22時05分に総務省消防庁に緊急消防援助隊出動を要請した[97]。これにより、自衛隊350人、警察が県外から200人、消防200人が派遣された[94]。
- 22時10分過ぎ、菅義偉官房長官は緊急の記者会見を行い、原子力施設の被害情報は無いことを発表した[94]。
- 16日には安倍首相による被災地視察が予定されていたが、未明の大地震発生により中止されている。
- 国会
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- 4月15日から環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)承認案と関連法案の衆議院特別委員会審議再開が予定されていたが、安倍首相は委員会冒頭で地震対応の状況説明を行った上で退席し、審議は18日以降に持ち越された。自民・民進両党の国会対策委員長は当面災害対応を優先させることで合意した[98]
- 防衛省、自衛隊
- 消防庁
- 消防庁は、4月14日21時36分に消防庁災害対策本部を設置し、22時05分に熊本県知事の要請のより九州地区の消防に対して緊急消防援助隊出動を要請した[102]。
- 警察庁
- 警察庁も4月14日21時31分に非常災害警備本部を設置し[103]、九州管内の警察から熊本県内にヘリコプターや部隊を派遣している[104]。
- 気象庁
- 気象庁は、4月14日て気象庁 機動調査班(JMA-MOT)を派遣(ヘリ調査:1班2名、地上調査4班11名)[105][1]。
- 通信機関
- 無線LANビジネス推進連絡会が2014年に5月に制定した[106]、大規模災害時に運用される共通Wi-Fiアカウント00000JAPANの運用を開始した。世界初の試みで[107]、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクの通信各社、熊本県などが提供している[108]。
- 各政党
- 4月14日夜、自民党・公明党・民進党は、党幹部を各々の党本部に召集し、独自に対策本部や緊急情報連絡室を設置[109]。後日共産党[110]・おおさか維新の会[111]・社民党も災害対策本部を設置している[112]。
- メディア
- テレビは、NHK・各民放テレビ局とも21時26分の地震発生から順次、放送中の番組を中断・休止し、緊急報道特別番組を熊本や福岡にある系列局からのレポートを交えて放送した[113]。このうちNHKはインターネット(NHKの公式サイト)でテレビの報道特番を同時配信した[114]。またテレビ朝日も、同社が関係するAbemaTV(同年4月11日に開局したばかりだった)に報道特番を同時配信した[115]。ただし、熊本県に系列局の置局が無いテレビ東京は地震関連の緊急特番を組まず、通常放送する番組をそのまま放送していた[116]。その後、民放各局は翌15日のうちに通常の番組編成に復帰したが、16日の本震で再び特番に戻った。一部民放は同16日午後から通常編成に切り替えている局もあれば、予定されていたプログラムを変更し報道特別番組を編成する局もある。
- ラジオでも、地震発生に伴い、NHK・民放ともに地震関連の報道特番に切り替えた[117]。このうち地元・エフエム熊本(FMK)は、TOKYOFMをキー局とするJFNの報道特別番組を放送。22:00『SCHOOL OF LOCK!』は内容変更、翌0:00『JET STREAM』、1:00『ON THE PLANET』(TOKYO-FMでは『鷹の爪団の世界征服ラヂヲ』と2:00『RADIO DRAGON -NEXT-』)、4:00『Memories & Discoveries』、5:30『サードプレイス』(TOKYO-FMでは4:00『SYMPHONIA』)を休止し、地震情報、リスナーメッセージとリクエストを断続的に流し続けた[118]。
- 朝日新聞は、同新聞社が運営する有料サービス「朝日新聞デジタル」を無料開放した[119]。
- くまモン
- 熊本県営業部長兼しあわせ部長のくまモンは、地震発生前の14日17時28分を最後にツイートが停止した。心配の声が上がったが、公式ホームページ上で「くまモン隊は被災者を最優先に行動しておりSNSの発信は控えています」と発表した[120][121]。
- 自治体
- 1994年以来、熊本市と友好姉妹都市の関係にあり、1997年に同市との間に災害時相互応援協定を締結している福井県の福井市は、非常食や飲料水、毛布等の支援物資を被災地に届けた[122]。
- 福島県は必要な支援の情報収集などのため、職員3人を派遣。宮城県も要請があった場合、速やかに支援することを明らかにした。岩手県は見舞金を検討している[123]。南三陸町は、保健師4人を派遣。義援金20万円を送った[124]。石巻市は、東日本大震災被災の経験から、飲料水約1200リットル、備蓄用のパン約2.4キログラムなどの支援物資と職員3人を派遣[125]。
- 相馬市は、玉名市と山都町にそれぞれ、飲料水の500ミリリットル入りペットボトル240本を送った。大熊町は、支援物資として食料品の詰め合わせ約100セットを送った。山都町と相互応援協定を結んでいる本宮市は、14日夜に現地の情報収集、支援の準備を始めた[126]。
- 白馬村は、飲料水や使い捨てカイロなど長野県北部地震を受けて用意していた備蓄品を益城町に自主的に発送[127]。
- 美濃加茂市は職員2人を派遣し、支援のための情報収集を開始[128]。
- 新潟県は、熊本県の要請を受けて家屋の倒壊危険度を診断する職員を派遣した他、県内では、長岡市が応援職員6名を派遣。新潟県中越地震の経験を基に開発した組立式の「避難所用更衣室&授乳室」30台を送った。見附市は飲料水の送付を打診している。小千谷市は義捐金の募集を開始する。三条市も救援物資を送った[129]。
- 大阪府は14日夜の前震発生30分後に「災害等支援対策室」を設置、救援物資や人員の派遣の準備を開始した。摂津市、箕面市、寝屋川市、交野市は募金の受付を開始、吹田市は支援対策本部を設置し、100万円の見舞金支給を決定した。枚方市は募金箱を設置するとともに義捐金30万円を送った。太子町は被災地支援に向け「町災害支援対策本部」を設置し、募金箱も設けた[130]。
- 関西広域連合は、家屋被害調査の体制づくりを支援する先遣隊を派遣。兵庫県警察は機動隊約100人を派遣。神戸市消防局も職員8人を派遣したが、市内待機となり取りやめとなった[131]。
- 中国地方や九州地方の自治体により派遣された災害派遣精神医療チーム(DPAT)が15日、現地入りした[132]。
- 広島県はDPATとして派遣した4人の他、広島県警察74人を派遣。広島市消防局は職員5人を派遣した[133]。
- 指定都市市長会は現地支援本部の設置を決定。先遣隊として岡山市、広島市、北九州市、福岡市の職員を派遣、避難所運営や救援物資の方策を検討[134]。
- 飯塚市上下水道局は、日本水道協会九州地方支部の要請を受け、1トンタンクを備えた給水車1台と職員4人を派遣。筑豊地区と北九州市、遠賀、京築地区の10消防本部は後方支援部隊を結成。田川市は市営住宅に10世帯の被災者受け入れを決定[135]。
世界各国の対応
- アメリカ合衆国 - 国務省のジョン・カービー報道官が、4月14日の記者会見で「我々は熊本の人たちと共にある」と語り、今回の地震で日本政府よりアメリカへ支援要請があった場合には「受け入れる用意がある」との意思を明らかにした[136]。
- 中華民国 - 14日の前震を受けて、馬英九総統は、安倍首相に見舞いの書簡を送った。また、次期総統である民主進歩党の蔡英文主席は「被害が最小限に抑えられ、日本の友人たちが無事であるよう願います」とのコメントを発表した[137]。
- ロシア - 訪日中のセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、岸田文雄外務大臣との記者会見において「地震被害と犠牲者に心からお見舞いを申し上げる」と述べるとともに、「日本の要請があれば、こうした事態に支援に駆け付ける用意がある」と表明、緊急援助隊派遣の用意があることを明らかにした[138]。ウラジミール・プーチン大統領は、安倍首相に哀悼の意を表明する書簡を送った[139]。
- タイ - プラユット・チャンオチャ暫定首相は、安倍首相に見舞いの書簡の中で「要請があれば日本に支援を提供する用意がある」と伝えた[140]。
- マレーシア - ナジブ・ラザク首相は、Twitterに「日本の皆さま、特に地震の犠牲者とご家族に哀悼と同情の意を表す」と投稿した[141]。
- イギリス - デーヴィッド・キャメロン首相は、「熊本からのニュースを聞き悲しんでいる。私の気持ちは日本で地震の影響を受けたすべての人々と共にある」、「われわれは支援のため、できることは何でもする」とTwitterに投稿した[142]。
- 韓国 - 外交部は、在留韓国人のための支援チーム派遣を決定。在福岡韓国総領事館は、熊本県や大分県内で足止めされている韓国人観光客らを福岡空港に移送するバス6台を用意[143]。
インターネット上の反応
短文投稿サイト「Twitter」では、商品が散乱するコンビニエンスストアの店内や、自宅の家具が倒れた様子を撮影したとする画像、本が落ちて本棚が空っぽになった様子や、隆起した道路、倒れた電柱などの画像などが相次いでアップロードされた[144]。Twitterや無料通話アプリ「LINE」などのSNS運営側、あるいは公的機関、また東日本大震災を体験した人や著名人などから被災地の人々へのアドバイスや情報提供も多数寄せられた[145]。そんな中、「動物園からライオンが逃亡した」「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」(関東大震災の際のデマを真似たものとみられる)などの悪質なデマ投稿も行われ、拡散した[146]。
SNSサイト「Facebook」では、Facebookの友人に安否を知らせられる災害用サービス「災害時情報センター」を熊本県全域と九州地方の一部で提供開始した[147][148]。
批判を浴びた言動
- 民進党の公式Twitterが「一部の自民党の有力議員が原発対応についてデマを流して(民主党)政権の足を引っ張ったのも有名な話」などと書き込み多くの非難を浴びた。後日枝野幸男幹事長が「党の公式見解でないものを職員が書き込んだ」と弁明[149]
- 社民党の増山麗奈参議院予定候補がTwitterにて「九州電力に電話で原発を止めるよう陳情した」とツイート。ネット上では「復旧で忙しい電力会社に余計な手間をかけるな」と非難された[150]。
- 共産党の池内沙織衆議院議員がTwitterにて被災者に対し「熊本のみなさん、九州のみなさん、安らかな場所にいてください。どうか皆さんご無事でいてください」、「川内原発今すぐ止めよ。正気の沙汰か」といった投稿を行った(当該の投稿は後に削除)[151]。
出典
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関連項目
- 熊本地震 (1889年) - 1889年にほぼ同位置で発生した大きな地震
- 地震の年表 (日本)
- この地震以外で震度7が記録された地震
- 兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災) - 1995年1月17日
- 新潟県中越地震 - 2004年10月23日
- 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災) - 2011年3月11日
- この地震以外で震度7が記録された地震
外部リンク
政府
自治体
研究機関
- 平成28年(2016年)熊本地震[2016年4月14日] 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
- 平成28年(2016年)熊本地震 防災科学技術研究所
- 2016年4月14日熊本地震 東京大学地震研究所
- 2016年 熊本地震についての災害調査報告 京都大学防災研究所
- 平成28年(2016年)熊本地震 東北大学災害科学国際研究所
報道
- 産経ニュース>事件>事故・災害
- 朝日新聞DIGITAL ニュース>トピックス>熊本で震度7
- Yahoo!ニュース - 【随時更新】熊本で震度7の地震
- Yahoo!ニュース - 熊本県で震度7の関連ニュース一覧
- Yahoo!天気・災害 - 地震情報
テレビ・生放送
消息伝言板等
- J-anpi 安否情報まとめて検索(NTT, NHK)
- NTTドコモ 災害用伝言板・災害用音声お届けサービス:PC / スマホ / iモード
- au 災害用伝言板・災害用音声お届けサービス
- Softbank 災害用伝言板・災害用音声お届けサービス
- 一般加入電話:災害用伝言ダイヤル(171番)30秒間の録音が可能。再生確認は公衆電話や携帯電話からも可[18]