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英語版en:griffin (oldid 1147520835)から、主に自筆の部分の一部選出的に訳出し改稿:→キリスト教義: イシドールスは教義解釈してないと訂正。1321年頃ダンテ:ディドロンはキリスト象徴(通説)でなく教会/教皇説であった。→爪、卵、羽: 加筆。グリフォンの爪が角杯になり実は牛角製(羚羊/アイベックス角は聖カスバートの2ftもある爪。卵はそうそう杯にならない)シャルル大帝の角杯、コルネリウス教皇の爪。→民間伝承: 羽が盲目を直すというのは中世かわからない。典拠でみつかるのはイタリア民話の言及。 タグ: サイズの大幅な増減 曖昧さ回避ページへのリンク |
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"'''グリュフェ'''(複数形:Gryphes)どもは、有翼の四足動物ゆえにそう呼ばれている。この種の野獣はヒュペルボレイオスの山脈にみつかる。胴体のすべては獅子で、翼と頭は鷲のようであり、馬にとって獰猛な敵である。さらには人間もずたずたに引き裂く<!--The Gryphes are so called because they are winged quadrupeds. This kind of wild beast is found in the Hyperborean Mountains. In every part of their body they are lions, and in wings and heads are like eagles, and they are fierce enemies of horses. Moreover they tear men to pieces-->"<ref name="brehaut/>{{sfnp|Nigg|1999|p=121}}}} |
"'''グリュフェ'''(複数形:Gryphes)どもは、有翼の四足動物ゆえにそう呼ばれている。この種の野獣はヒュペルボレイオスの山脈にみつかる。胴体のすべては獅子で、翼と頭は鷲のようであり、馬にとって獰猛な敵である。さらには人間もずたずたに引き裂く<!--The Gryphes are so called because they are winged quadrupeds. This kind of wild beast is found in the Hyperborean Mountains. In every part of their body they are lions, and in wings and heads are like eagles, and they are fierce enemies of horses. Moreover they tear men to pieces-->"<ref name="brehaut" />{{sfnp|Nigg|1999|p=121}}}} |
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と述べているが、キリスト教の寓意的解釈はしておらず、博物学的に「狩猟動物」の一種に分類しているのみである<ref>{{harvp|Nigg|1999|p=121}}: "Isidore's entries contain traditional folkloric material, but without Christian allegory".</ref>。 |
と述べているが、キリスト教の寓意的解釈はしておらず、博物学的に「狩猟動物」の一種に分類しているのみである<ref>{{harvp|Nigg|1999|p=121}}: "Isidore's entries contain traditional folkloric material, but without Christian allegory".</ref>。 |
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2023年4月11日 (火) 01:28時点における版
グリフォン(フランス語: griffon, gryphon)、グリフィン(英語: griffin)、グライフ(ドイツ語: Greif)、グリュプス(グリュープス、ラテン語: gryps,grȳpus, ギリシア語: γρύψ)は、鷲(あるいは鷹)の翼と上半身、ライオンの下半身をもつ伝説上の生物。
概要
語源は古代ギリシア語のグリュプス(γρυψ)で、「曲がった嘴」の意味。古くから多くの物語に登場しており(ヘーロドトスの『歴史』など)、伝説の生物としての歴史は古い。
イラン神話では、鷲獅子を意味する Shirdal という名で登場し、紀元前3千年紀初期頃のスーサ製シリンダーの封印にも見られる[1]。その後も、古代イラン芸術、古代ギリシア芸術や、その後の中世の紋章など、多くの芸術でモチーフとされている。
形態
鷲の部分は金色で、ライオンの部分はキリストの人性を表した白であるともいう。コーカサス山中に住み、鋭い鈎爪で牛や馬をまとめて数頭掴んで飛べたという。紋章学では、グリフォンは黄金を発見し守るという言い伝えから、「知識」を象徴する図像として用いられ、また、鳥の王・獣の王が合体しているため、「王家」の象徴としてももてはやされた。
グリフォンと雌馬の間に生まれた、鷹の上半身に馬の下半身をもつ生物は、ヒッポグリフ(hippogriff)と呼ばれる。
多くの描写では足は鳥のような鉤爪であるが、古い絵ではライオンの前肢の物もある。紋章学では、これにラクダのような長い首と尻尾を持つものを Opinicus と呼ぶ。
役目
グリフォンには重要な役目が幾つかある。
まずは、ゼウスやアポローン等の天上の神々の車を引くことであるが、ギリシア神話の女神ネメシスの車を引くグリフォンは、ほかのグリフォンと違い身体も翼も漆黒である。馬を目の敵にしており、馬を喰うと言われるが、これは同じ戦車を引く役目を持つ馬をライバル視しているためである[2]。そこから不可能なことを表すのに「グリフォンと馬を交配させるようなもの」という言葉が生まれたが、それをヒントに生み出されたのが前述のヒッポグリフである(このため、グリフォンが殺すのは牡馬だけであり、牝馬は殺さず犯して仔を産ませるとする伝承もある)[3]。また、神話ではオーケアノスの乗り物とされる[4]。
さらに、黄金を守る、あるいは、ディオニューソスのクラテール(酒甕)を守る役目もあるとされる[5]。自身が守る黄金を求める人間を引き裂くといわれている[6]。その地は北方のヒュペルボレイオイ人の国とアリマスポイ人の地の国にあるリーパイオス山脈とされるが、エチオピア、インドの砂漠(現在ではパキスタン近辺か)などの異説もある。
古代・中世の伝承
前述のようにヘーロドトスは『歴史』の中で翼のある怪物としてグリフォンに触れ、プリニウスは『博物誌』(10巻70)の中ですでに伝説の生物として語っている。
グリフォン、その巣は黄金で出来ており卵の代わりに瑪瑙(メノウ)を産むとも考えられた[8]。瑪瑙を巣に置くという記述は、アルベルトゥス・マグヌス(1280年没)の『動物について』第23巻"グリフェ"(複数形:Grifes)の項にみつかる[9][10]。
キリスト教義
神学者のセビーリャのイシドールス(636年没)は、グリフォンについて『語源』において
と述べているが、キリスト教の寓意的解釈はしておらず、博物学的に「狩猟動物」の一種に分類しているのみである[13]。
ダンテ『神曲』(1321年頃成立)ではグリフォンが凱旋車を曳く場面があるが(「煉獄篇」第29曲)、その注釈によれば、グリフォンは飛ぶ鳥と歩む獣の合成獣であるため、グリフォンは天性(神性)と人間性を併せ持つキリストの具象であると多くのダンテ解説者からみなされている[14][15]。若干の異論として、グリフォンはじつは「教会」またはローマ教皇のシンボルであるとディドロンは主張している[18][14]。
ランツベルクのヘルラートの写本(『楽しみの庭』、1185年頃成立)をみれば、二色の鳥類グリフォンが「教会」の象徴なのは明らかである、とディドロンを述べており、自説の根拠としている[14]。
爪、卵、羽
中世ヨーロッパでは、グリフォンの爪、卵、羽と称して貴重品として愛でられた例が数々あるが、実際には異国の動物などより得られた贋物であった[19][20]。グリフォンの卵とされるものは、ダチョウの卵や、稀な例では恐竜の卵の化石であった[21]。羽は、ラフィアヤシの繊維でこしらえた工芸品を着色したものも使われた[22]。爪は飲むための杯に加工された[19][23](また、卵も杯として使われたと紋章学の著作に見える[19][24])。
グリフォンの爪の例は幾つかあり、極大であったともされる[25]。 Template:仮リンク聖カスバートが爪や卵を得たという逸話があり、1383年付の、その聖遺物匣の内容一覧(インベントリー)を見るとグリフォンの爪2本、羽2本と記載される[26]。現存する、長さ2フィート (61 cm)程の「爪」は、アイベックスの角であると鑑定されている[注 1][23]。
伝説の話では、グリフォンの爪は杯に加工されてカスバートへの献辞がなされたという[27] 。上述したように、実際の話として、グリフォンの爪は多くの場合ゴブレット(酒杯、角杯)に加工された[19][23]。その一例が、伝・シャルルマーニュ所有のグリフォンの爪で、サン=ドニ大聖堂蔵だったが、革命後にいったん失われたのち、現在はフランス国立図書館に保管される。じっさいは牛の一種の角とみられる。猟禽の爪足をかたどった金箔の銅製のスタンドの上にマウントされている[28][注 2]。また、シャルル大帝の旧都エクス・ラ・シャペル(現今のドイツ・アーヘン市)に在するコルネルミュンスター修道院 には、伝・コルネリウス (ローマ教皇)所蔵のグリフォンの爪が存在するが、アジア水牛の角製とみられる[29]。
図像学
12世紀頃までにはグリフォンの外見についての認識が定まりつつあり、"体幹の部分はすべて獅子似、翼と面は鷲似"が定着した[30]。
前述のアルベルトゥス(13世紀)によれば、前足には鷲状の長爪、後ろ足に獅子状の重い爪をもつ。生息地の住民は短いほうの爪を飲む杯に利用するとしている[9][10]。
博物誌
14世紀には、架空の人物であるジョン・マンデヴィルによって書かれたとされる『旅行記』(東方旅行記、東方諸国旅行記)によって詳細な描写がなされた(第85章)。
後世の民間伝承
民間伝承によれば、爪は医療効果を持ち、羽も盲目を治すと信じられていた、と紋章学の某書籍にみえる[31][より良い情報源が必要]。
グリフォンの羽が盲目を治癒する旨の原典は、イタリアの民話にみつかるが[32]、これは「歌う骨」の話群(AT 780型)に分類される話例である[33]。スコットランドのバラッド「二人の姉妹」(チャイルド・バラッドの10番)の類話としても研究されている[34]。ただし、このイタリア民話には異本が複数あり、盲目を治癒するのは必ずしもグリフォンの羽根でない(例:クジャクの羽根[35])。
紋章学
グリフォンは、様々な紋章や意匠に利用されている。
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ポーランドのグリフ家の紋章
現代
現代ではエンターテインメントやフィクション作品の中に見られるようになり、『ナルニア国物語』ではナルニアの兵士として登場し、『ハリー・ポッターシリーズ』では、主人公の所属する寮であるグリフィンドールなどの名前及び紋章に使用されている[36]。
注釈
脚注
- ^ Image of Persian griffin from The Granger Collection. www.granger.com. Retrieved on 26 May 2014.
- ^ 山北篤『幻想生物 西洋編』新紀元社133頁。
- ^ 『幻想生物 西洋編』149頁。
- ^ 松原國師『西洋古典学事典』京都大学学術出版会、2010年、524頁。
- ^ 健部伸明と怪兵隊『幻想世界の住人たち』新紀元社、235頁。
- ^ 『幻想生物 西洋編』134頁。
- ^ Bulfinch, Thomas (1855). The Age of Fable; Or, Stories of Gods and Heroes. Boston: Sanborn, Carter & Bazin. pp. 178–179
- ^ トマス・ブルフィンチ『ギリシア・ローマ神話 付 インド・北欧神話』岩波書店、1991年、177頁。参照:英語版原文[7]。
- ^ a b Nigg (1999), p. 144.
- ^ a b Albertus Magnus (1987), Man and the Beasts (De Animalibus, Books 22-26), Medieval & Renaissance Texts & Studies, p. 290, ISBN 9780866980326
- ^ Isidore of Seville (1912), An Encyclopedist of the Dark Ages: Isidore of Seville, Columbia Studies in the Social Sciences, 48, New York: Columbia University Press, p. 225. "Griffin"@eaudrey.com
- ^ Nigg (1999), p. 121.
- ^ Nigg (1999), p. 121: "Isidore's entries contain traditional folkloric material, but without Christian allegory".
- ^ a b c Longfellow, Henry Wadsworth (1886). The Writings of Henry Wadsworth Longfellow, with Bibliographical and Critical Notes. 10. Cambridge, MA: Riverside Press. pp. 338, 351–352
- ^ Millington (1858), p. 277.
- ^ Borges (1966), p. 84.
- ^ Borges (1969), p. 116.
- ^ ボルヘス『幻獣辞典』[16][17]。
- ^ a b c d Bedingfeld, Henry; Gwynn-Jones, Peter (1993). Heraldry. Wigston: Magna Books. pp. 80–81. ISBN 1-85422-433-6
- ^ Mayor (2022), pp. 43–48.
- ^ Mayor (2022), pp. 43–44.
- ^ a b c Mayor (2022), p. 44.
- ^ a b c Mayor (2022), p. 47.
- ^ Millington (1858), pp. 278–279.
- ^ ジェラルド・リー Gerald Leigh の紋章学(1563年)に、自分の持つ爪からグリフォンは"ライオン二頭大 bigge as two lyons"と推定した[22]。またメアリー・ウォートリー・モンタギュー(1716年)は、ドナウ川紀行において、その"巨大な爪 prodigious claw"を見た、と書いている[22]。
- ^ Mayor (2022), pp. 42–43, 47–48.
- ^ Millington (1858), p. 278.
- ^ a b Mayor (2022), pp. 44–45.
- ^ Mayor (2022), p. 46.
- ^ White, T. H. (1992). The Book of Beasts: Being a Translation From a Latin Bestiary of the Twelfth Century. Stroud: Alan Sutton. pp. 22–24. ISBN 978-0-7509-0206-9
- ^ Friar, Stephen (1987). A New Dictionary of Heraldry. London: Alphabooks/A & C Black. p. 173. ISBN 978-0-906670-44-6
- ^ Hand, Wayland D. (2021). Magical Medicine: The Folkloric Component of Medicine in the Folk Belief, Custom, and Ritual of the Peoples of Europe and America. University of California Press. p. 298. ISBN 9780520306783
- ^ Lewis, Thomas P. (2021). “Singing Bone”. The Pro/Am Book of Music and Mythology. Pro/Am Music Resources. p. 721–723. ISBN 9780912483511
- ^ Brewster, Paul G. (1953). The Two Sisters. FF Communications, 147. Helsinki: Academia Scientiarum Fennica. p. 55
- ^ Endnotes, volume 2, p. 869, to : Zipes, Jack; Russo, Joseph, eds. (2009), “79. The King of Naples―Lu Re di Napuli”, The Collected Sicilian Folk and Fairy Tales of Giuseppe Pitrè, 1&2 , Routledge, pp. 348-349
- ^ J・K・ローリング『幻の動物とその生息地』静山社、2001年、他
参考文献
- ホルヘ・ルイス・ボルヘス『幻獣辞典』晶文社、1974年。 - 「グリュプス」として。
- Borges, Jorge Luis; Guerrero, Margarita (1966) [1957]. “El Grifo”. Manual de zoología fantástica. Fondo de Cultura Económica. pp. 83–
- Borges, Jorge Luis; Guerrero, Margarita (1969). “The Griffon”. Book of Imaginary Beings. translated by Norman Thomas di Giovanni. Dutton. pp. 115–124
- Mayor, Adrienne (2022). Flying Snakes and Griffin Claws. Princeton University Press. ISBN 0691211183
- Millington, Ellen J. (1858). Heraldry in History, Poetry, and Romance. Chapman and Hall
- Nigg, Joe (1999). The Book of Fabulous Beasts: A Treasury of Writings from Ancient Times to the Present. Oxford University Press. ISBN 9780195095616
関連項目
- チャムローシュ - ペルシア神話に登場するアルボルズ山の山頂に住むという犬の体に鳥の頭と羽を持つ生き物。
- サーブ 39 グリペン - グリペン(Gripen)とはスウェーデン語でグリフォンの意。
- スカニア - 創業地マルメの紋章に由来する王冠をかぶったグリフィンがロゴになっている
- ボクスホール - 旗を手にしたグリフィンがロゴになっている
- Sd.Kfz.250/3 - Sd.Kfz.250シリーズの半装軌車。エルヴィン・ロンメルドイツ陸軍元帥は、車体に「GREIF(グライフ)」とペイントしていた。グライフ(Greif)とはドイツ語でグリフォンの意。
- 紀元前4世紀 - オクサスの遺宝。