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* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年) |
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* [[シケリアのディオドロス|ディオドロス]]『神代地誌』飯尾都人訳、龍溪書舎(1999年) |
* [[シケリアのディオドロス|ディオドロス]]『神代地誌』飯尾都人訳、龍溪書舎(1999年) |
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* [[パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍溪書舎(1991年) |
* [[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍溪書舎(1991年) |
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* [[ホメロス]]『[[オデュッセイア]](上・下)』[[松平千秋]]訳、岩波文庫(1994年) |
* [[ホメロス]]『[[オデュッセイア]](上・下)』[[松平千秋]]訳、岩波文庫(1994年) |
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* 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、[[岩波書店]](1960年) |
* 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、[[岩波書店]](1960年) |
2021年11月15日 (月) 10:37時点における版
メラムプース(古希: Μελάμπους, Melampūs)は、ギリシア神話の有名な占い師、予言者である。「黒い足」の意。メランプース、あるいは長母音を省略してメラムプス、メランプスとも表記される。
アミュターオーンとペレースの娘[1](あるいはアバースの娘[2])エイドメネーの子で、ビアース[1]、アイオリアー[3]、ペリメーレーと兄弟[4]。ティーリュンスの王プロイトスの娘イーピアナッサとの間に[2]、アンティパテース、マンティオス[5]、アバース[6][7]、あるいはメガペンテースの娘イーピアネイラとの間にアンティパテース、ビアース、プロノエー、マントーをもうけた[8]。
メラムプースは自ら占術を作り出し[1][9]、初めて薬と清めの儀式による癒しを行ったとされ、彼の子孫にはポリュイードス、アムピアラーオス、テオクリュメノスなど多くの優れた予言者が現れた。またヘーロドトスによるとメラムプースはエジプト学に長け、ディオニューソス(いわゆるオシリス神)の儀礼をギリシアに紹介したとされる[9][注釈 1]。ヘーシオドスはメラムプースの叙事詩を書いたと伝えられている。
神話
占いの技術
最初メラムプースはメッセーネーの都市ピュロスに住んでいたが、ネーレウスの権力が強くなったので田舎に移り住んだ。そのころ館の前に1本のオークの木が立っており、その木に子連れの牝蛇が住んでいた。しかし召使たちが牝蛇を殺したとき、メラムプースは蛇の死体を火葬し、残された子供の蛇を育てた。蛇は成長すると、メラムプースが眠っている間に舌で両耳を清めた。翌朝、メラムプースは目覚めると鳥の声が理解できることにとても驚いたが、たちまち鳥の声から未来を予言する術を作り出した。その後、犠牲獣の臓腑の腑分けによる占いを習得し、アルペイオス河畔でアポローンに出会い、以後他に比べる者のない予言者となった[1]。
ピュラコスに捕まる
兄弟のビアースはネーレウスの娘ペーローに恋をしたが、ネーレウスは求婚者が多かったので、テッサリアーのピュラコスが何者も近づけない番犬に見張らせている彼の牝牛の群を連れてくることができた者に娘を与えるとした。そこでビアースはメラムプースに助けを求めた。 メラムプースはビアースに予言し、自分がピュラコスのところに盗みに入って捕らえられ、1年ばかり経過したときに牝牛を得て戻ってくると言った。そしてその通りに捕まり、牢屋に入れられた。しかしメラムプースが留守の間、ネーレウスが彼の財産を不当に浪費した。それから1年が過ぎようというころ、メラムプースは天井の虫たちの会話を聞き、屋根の梁が虫に食われて今にも崩れ落ちそうだということを知り、ピュラコスに牢屋を変えてくれるように頼んだ。そこでピュラコスが別の牢屋に変えてやると、しばらくしてもとの牢屋が崩れ落ちた[10]。
イーピクロスを癒す
ピュラコスは驚いて彼が優れた予言者であることを知り、息子のイーピクロスに子供を授ける方法を教えてほしいと頼んだ。そこでメラムプースは彼の牝牛の群と引き換えに承諾した。メラムプースが犠牲を捧げて鳥を呼ぶとハゲタカが飛んできて、イーピクロスについて語った。それによると、昔ピュラコスが牡羊を去勢しているとき、血で汚れた小刀を彼のそばに置いた。それを見たイーピクロスは怖がって逃げたが、ピュラコスはその小刀を聖なる樫の木に突き立てたまま忘れてしまい、やがて樹皮が小刀を覆い隠してしまった。その小刀の錆を削ってイーピクロスに10日間飲ませたら子供ができるだろう、という。それを聞いたピュラコスは、喜んでメラムプースに牝牛を譲ってくれた。そして予言の通りに小刀を発見し、その錆を飲ませたところ、イーピクロスにポダルケースが生まれた。こうしてメラムプースはネーレウスのところに牝牛の群を追って行き[10]、ビアースがペーローと結婚できるようにしてやった[6][注釈 2]。
プロイトスの娘
メラムプースはそれからしばらくメッセーネー地方に住んでいたが、あるときティーリュンスの王プロイトスの王宮に赴いた。というのは彼の娘たち(イーピノエー、イーピアナッサ、リューシッペーの3人)がディオニューソスの儀礼を拒否したためか、あるいはヘーラーの木彫神像を軽んじたために気が狂い、ペロポネーソス半島の各地を走り回っていたので、彼女たちを癒すことを申し出るためであった。メラムプースは報酬に国土の3分の1を要求するとプロイトスは高すぎると断った。やがて娘たちの狂気がさらにひどくなり、他の女たちも気が狂い、子を殺し、家を捨て、プロイトスの娘たちの後に従って荒野を彷徨った。そこでプロイトスはメラムプースの要求を呑むことにした。ところがメラムプースは要求を吊り上げ、さらに国土の3分の1を兄弟のビアースに与えることを要求し、プロイトスはしぶしぶ同意した。
メラムプースは屈強な若い男たちを集め、神がかって狂ったように踊り、女たちを山からシキュオーンに追い立てた。このときプロイトスの娘のうち長女のイーピノエーが死亡したが、残りの女たちは清めの儀式によって正気に戻った。この癒しによってメラムプースはアルゴス地方に国土を得、ビアースと共に移り住み、プロイトスの残った娘たちとそれぞれ結婚した[2][注釈 3][注釈 4]。
英雄祭祀
系図
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d アポロドーロス、1巻9・11。
- ^ a b c アポロドーロス、2巻2・2。
- ^ アポロドーロス、1巻7・7。
- ^ シケリアのディオドロス、4巻69・3。
- ^ 『オデュッセイアー』15巻242行。
- ^ a b アポロドーロス、1巻9・13。
- ^ パウサニアス、1巻43・5。
- ^ シケリアのディオドロス、4巻68・5。
- ^ a b ヘーロドトス、2巻49。
- ^ a b アポロドーロス、1巻9・12。
- ^ 『オデュッセイアー』11巻287行以下。
- ^ ヘーシオドス断片199b(ロドスのアポローニオス、1巻118行-121行への古註)。
- ^ パウサニアス、4巻36・3。
- ^ パウサニアス、1巻18・4。
- ^ シケリアのディオドロス、4巻68・4。
- ^ パウサニアス、1巻44・5。