JR貨物19D形コンテナ
JR貨物19D形コンテナ | |
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基本情報 | |
所有者 | JR貨物 |
製造メーカー | 東急車輛大阪製作所・和歌山製作所、J-TREC和歌山事業所、JINDO、日本車輌、CIMC南通、揚州日新通運物流装備 |
製造初年 | 1995年(平成7年) |
製造数 | 48,216個 |
常備駅 | 一部指定あり |
主要諸元 | |
外面色 | 赤紫色(JRFレッド)、黄緑6号 |
全長(内寸法) | 3,715mm (3,642mm) |
全幅(内寸法) | 2,450mm (2,270mm) |
全高(内寸法) | 2,500mm (2,252mm) |
荷重 | 5 t |
内容積 | 18.7 m3 |
自重 | 1.5 t |
扉位置 | 両側側面 |
JR貨物19D形コンテナ(JRかもつ19Dがたコンテナ)は、日本貨物鉄道(JR貨物)が配備している、鉄道輸送用長さ12ftの5トン積み有蓋コンテナである。
概要
[編集]本形式は阪神淡路大震災を機に、19B形を改良し、内航船による鉄道代行輸送体制に即応出来るようにした形式である。 登場時は、旧型の国鉄コンテナの老朽取換用として製造されていたが、2001年(平成13年)以降、18D形などのJR初期に製造されたコンテナも置き換えている。2017年(平成29年)度までは、形式の変更を伴わない程度の仕様変更を重ねながら、JR貨物の主力コンテナ形式として19G形とともに増備が続いていた。
2018年(平成30年)度より背高仕様となった20D形へ製造が移行した。
構造
[編集]5001以降、側面左上にキャッチコピーが書かれたステッカーが貼られるようになり、前期では「環境にやさしい鉄道貨物輸送」、中期では「環境にやさしい鉄道輸送」、後期では「環境にやさしい鉄道コンテナ」となった。相違点は、コンテナ下部四隅に内航船積固定用のツイストロック式のホール形隅金具がついた点であり、従来から内航用コンテナ輸送で使われているトラックは、鉄道12ft形コンテナ専用の特殊な緊締金具をほぼ付けていないので、有事の際に内航船による鉄道コンテナの代行輸送時では、応援輸送することが出来ない。これを解消するために内航用コンテナでも広く使われているツイストロック式の隅金具を取り付けて、代行輸送トラック不足の解消を図っている。もう一つは、上部四隅にクレーン吊り作業に対応した簡易式隅金具が新たに付属した点である。簡易式隅金具の設計は他に例を見ない[注 1]特殊なつくりとなっており、設置スペースの限られるコンテナの角部位へも設置しやすくするために、通常はサイコロ状のホールブロック六面のうち、本来は片長手側の外面側にO形状に見えている穴表面を極限まで切り落とし、さらに外側に出ないように逆L字に加工した外柱を埋め込み外側からは穴面が見えない。また進行方向に面した片妻壁側はU形状の穴面に加工している。
両側対面扉二方開きで、外法寸法は高さ2,500mm、幅2,450mm、長さ3,715mm。最小内法寸法は高さ2,252mm、幅2,270mm、長さ3,642mm。側入口は高さ2,187mm、幅3,635mm。床面積は8.3m2、内容積は18.7m3。最大積載量は5tである。
製作状況・ロット・沿革
[編集]- 1995年(平成7年)より製造されている。2017年(平成29年)までに48216個が製造された。 製造時期により、以下の変更点がある。
- 1996年(平成7年)度より製造された0番台(量産型)は、形状は19B形とほぼ変わりなく、ただ隅金具がついただけである。左下に「JR貨物」の表記が書かれている。1998年(平成10年)までに4950個が製造された。
- 2001年(平成13年)度より製造された5000番台は、屋根リブの追加やドア補強金具を2個から3個にしたなど、補強が行われている。2006年(平成18年)までに20700個が製造された。
- 2002年(平成14年) 度に製造された、12101、12102の2個は、通風孔における平面真横スライド方式の試作が行われた。この通風孔は翌年に登場したV19B形より採用されている。
- 2007年(平成19年)度より製造された30000番台は、妻面のリブが太いものになり、その代わりとして7本から6本に削減されている。また、今回の区分より新製当時よりエコレールマークのシールが貼り付けられている。2017年(平成29年)までに21610個が製造された。同年度に製造された個体の一部は半ドア防止対策機能やセルフクリーニング機能が付いている。
- 2008年(平成20年)度に製造された個体の一部はエラーロゴとなっている。
- 2009年(平成21年)度に製造された個体の一部は50周年記念塗装である。
- 2011年(平成23年)度に2個が製造された90000番台は、ドアロッドが4本となっており、荷票の位置や、リブの形状が異なる。塗装は黄緑6号を基調とし、側面左上にJRマーク、その下に「JR貨物」の文字が入れられており、18D形に似たデザインとなっている。左下にはエコレールマークを貼り付けている。これらの個体は宇都宮貨物ターミナル駅→札幌貨物ターミナル駅→苫小牧貨物駅→宇都宮貨物ターミナル駅間の限定運用となっており、のちに限定運用を示す表記が側面右上に追加されている。
- 2012年(平成24年)度以降に製造された日本製の個体は総合車両製作所にて製造されるようになった。同年に製造された80000番台は、東日本大震災による本形式を含めた一部が被災したため、2012年(平成24年)に国の復旧・復興費用を使い製造された。また、被災したコンテナの多くがドアが凹む等の破損をしており、破損事故を削減するため、ドアの保安を強化している。790個が製造された。なお80000番台製造分の欠番として、37111 - 37900が欠番となっている。
- 2014年(平成26年)度以降に製造された個体の一部は側面中央の出っ張りが省略されている。また、同年度に製造された42001塗装変更が行われ、JRFマークと白線が廃止され、側面右上にJRマーク、その下およびに妻面右上に「JR貨物」の文字が入れられる。
- 2016年(平成28年)度以降、90000番台が日新通運によって増備開始された。
- 2017年(平成29年) -製造終了となる。
- 1995年(平成7年)度 - 10個(1 - 10)
- 1996年(平成8年)度 - 2,750個(11 - 2760)
- 1997年(平成9年)度 - 200個(2761 - 2960)
- 1998年(平成10年)度 - 2,000個(2961 - 4960)
- 2001年(平成13年)度 - 4,000個(5001 - 9000)
- 2002年(平成14年)度 - 3,800個(9001 - 12800)
- 2003年(平成15年)度 - 7,700個(12801 - 20500)
- 2004年(平成16年)度 - 2,000個(20501 - 22500)
- 2005年(平成17年)度 - 2,200個(22501 - 24700)
- 2006年(平成18年)度 - 1,000個(24701 - 25700)
- 2007年(平成19年)度 - 2,600個(30001 - 32000=東急和歌山)
- 2008年(平成20年)度 - 1,000個(32001 - 32600=東急和歌山、32601 - 33000=CIMCエラーロゴ、)
- 2009年(平成21年)度 - 700個(33101 - 33700=東急和歌山、33001 - 33100、34651 - 35350=CIMC)
- 2010年(平成22年)度 - 300個(33701 - 34000=東急和歌山)
- 2011年(平成23年)度 - 2,000個(34001 - 34650、35351 - 36000、90001・90002=東急和歌山、34651~35350 CIMC)
- 2012年(平成24年)度 - 3,000個(36000 - 37110、80001 - 80790=総合和歌山、37901 - 39000=CIMC)
- 2013年(平成25年)度 - 2,200個(39001 - 40350=総合和歌山、40351 - 41200=CIMC)
- 2014年(平成26年)度 - 3,450個(41201 - 44100総合和歌山、44101 - 44650=CIMC)
- 2015年(平成27年)度 - 3,300個(44651 - 47950=総合和歌山)
- 2016年(平成28年)度 - 2,003個(47951 - 49950=総合和歌山、90003 - 90005=日新通運)
- 2017年(平成29年)度 - 2,600個(49951 - 51900=総合和歌山、51901 - 52400=CIMC、90006 - 90155=日新通運
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0番台、19D-291
現状
[編集]2007年(平成19年)以降、リニューアル工事が行われている。これらの個体には、当初「R」標記のシールが張られていたが、後に◇の中にリと書かれてシールに変更された。リニューアル工事と平行して、ベニア板の老朽化が進んでいる個体には、板を張り替える工事が進んでいる。これらの個体には、「○の中に『板』」と書かれてシールが張られている。2008年(平成20年)度以降、老朽化による安全上の瑕疵や、多額の補修費が掛かる個体が、新たに製造された本形式や、20D形により置き換えが進められている。これにより更新費用対効果が認められない固体は廃棄されたり、安全性が確保されている固体では静脈物流専用のW19D形や、業務用として死重用途のZD19D形や、Z19D形、ZX19A形に改造されたりしている。なお、0番台は2018年(平成30年)頃に全廃した。2019年(令和元年)7月以降、旧東急車輛製造の個体(側面水切り部に段差のある、25501以降の個体を除く)以外は、アスベスト含有の為、順に解体処分されている。2024年(令和6年)1月5日現在、22,645個が使用されている。
保存・展示品
[編集]貨物としての使用用途が終わった19D-5001が、整備の上、鉄道博物館においてコキ50000に積載状態で展示されている。2016年(平成28年)4月には、京都鉄道博物館での展示用として28901番が総合車両製作所で新製された。
注釈
[編集]出典
[編集]参考文献
[編集]- 貨車技術発達史編纂委員会(編著)『日本の貨車 技術発達史 明治5(1872)年〜平成16(2004)年』社団法人日本鉄道車輌工業会、2008年3月。全国書誌番号:21465967。
- 「JRコンテナ」『貨物時刻表2023』鉄道貨物協会、2024年3月、199頁。全国書誌番号:23204476。