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第6代総選挙 (だい6だいそうせんきょ)は、大韓民国国会 の議員を選出するため1963年 11月26日 に実施された総選挙である。なお韓国では「第○回」ではなく「第○代」と選挙回数を数える。また、名称も「総選挙」(총선거 )ではなく、「総選」(총선 )と呼ぶのが一般的である。
1961年 5月 の5・16軍事クーデター で誕生した軍政 (国家再建最高会議 、以下最高会議)の民政移譲の方針に基づいて実施された選挙で、前月行われた大統領選挙に引き続いて実施された。12政党が候補者を擁立して争われた選挙の結果、軍政与党の民主共和党が全議席の6割以上を占めて圧勝する結果となった。軍政は大統領選挙と国会議員選挙で民政移譲のための体制を整えた後、最高会議を12月16日に解散、翌17日に初国会を召集し、第三共和国憲法を発効させた後、同日午後に朴正熙大統領は就任宣誓を行い、第三共和国体制 が正式にスタートした。
地域区(小選挙区制 ):131名
全国区(比例代表制 ):44名
議員任期 :4年
選挙制度 :小選挙区比例代表並立制 。本選挙で初めて導入。新たに設けられた全国区では、いわゆるプレミア議席を第1党に与えることで、安定した議会多数派を形成できるようにしている特徴がある[ 1] 。
地域区の候補者は政党 の公認候補のみに限られ、無所属 での立候補を禁止。
全国区は拘束名簿式 で、地域区との重複立候補 は禁止。
有権者は地域区の候補者にのみ投票(一票制・記号式 )し、地域区は最多得票を獲得した候補が当選する。全国区は地域区の合計得票に応じてヘアー式 で配分されるが、地域区で3議席以上を獲得したか、全国で5%以上の得票を得た政党にのみ配分。
但し、全国区の議席の内、過半数の23議席は地域区で議席数第一党になった政党に配分されるが、3分の2(30議席)を超えることは出来ない。残りの議席は第2党が獲得した得票が第3党の2倍以上になった場合、全部が第2党に配分される。
選挙人数 :13,344,149名[ 2]
立候補者数 :847名(地域区)
投票日 :1963年11月26日
投票率 :72.1%
投票者数:9,622,183名
有効票数:9,298,830票
政党別獲得議席数と地域区得票
政党名
得票
%
地方区
全国区
合計
%
民主共和党(민주공화당 )
3,112,985
33.5
88
22
110
62.8
民政党 (민정당 )
1,870,976
20.1
27
14
41
23.4
民主党 (민주당 )
1,264,285
13.6
8
5
13
7.4
自由民主党 (자유민주당 )
752,026
8.0
6
3
9
5.1
国民の党 (국민의 당 )
822,000
8.8
2
0
2
1.3
その他の政党(기타 정당 )
1,476,558
15.9
0
0
0
0.0
合計
9,298,830
131
44
175
出典 :別表1「政黨別當選狀況」・別表2「政黨別得票狀況」、中央選擧管理委員會『大韓民國選擧史』(1964年)457頁。なお議席を獲得出来なかった7政党(自由党・新民会・新興党・韓国独立党・保守党・正民会・秋風会)の得票については「その他の政党」として合算して掲載した。
注 :民主党の得票数に関し、「歴代選挙情報システム」では1,252,827票となっており『選擧史』とは差違がある。
与党の民主共和党(共和党)は地域区で33.5%の得票しか得られなかったにもかかわらず、175議席中6割を優に超える110議席を獲得し、圧勝した。一方野党勢力は、前月に行われた大統領選挙に出馬して朴正熙と接戦を演じた尹潽善が率いる民政党(民主党 旧派が主体となって結成)が野党第一党となったが、民主党も含めたそれ以外の野党は軒並みふるわなかった。共和党が圧勝した要因は、①野党に比べて多額の選挙資金を使えたこと、②野党の分裂、③野党各党が大部分の地域区で独自候補を擁立したことで野党票が分散した、ことなどが挙げられる。尚、李承晩政権時代の与党である自由党 の政治家は大部分が共和党から立候補して当選している。
出典 :図:地域別勢力分布 (PDF ) (東亜日報1963年11月28日付3面)、6代國議員當選者一覧① (PDF ) (東亜日報1963年11月28日付4面)、6代國議員當選者一覧② (PDF ) (東亜日報1963年11月28日付5面)。제6대국회 (第6代国会)、『대한민국국회 60년사 』(大韓民国国会60年史)부록 (付録)「Ⅱ. 역대 국회의원 명단 (歴代国会議員名簿)」1033~1036頁。
民主共和党=共和、民政党=民政、民主党=民主
自由民主党=自民、国民の党=国民
地域別で見た場合、共和党はソウル特別市を除く地域で軒並み野党を上回った。特に、東南部の嶺南地域では釜山直轄市7選挙区中6選挙区、慶尚北道で20選挙区中19選挙区、慶尚南道で15選挙区中12選挙区で共和党が勝利し、優位にたった。尚、ソウル市では民政党が7選挙区で勝利し、第1党となり、民主党や自民党も含めて野党勢力が与党を上回る「与小野大」となった。
女性当選者2人(地域区1人/全国区1人)
党派
議席数
地域区
全国区
民主共和党
1
0
1
民主党
1
1
0
合計
2
1
1
出典 :春木育美 『現代韓国と女性』新幹社 、158頁“表5-1「歴代女性国会議員数」”、166頁。
民主共和党 民政党 民主党 自由民主党 国民の党
^ 西平重喜『各国の選挙-変遷と現状』、木鐸社 、509~510頁、第Ⅱ部 各国の選挙法 大韓民国 第3共和制の選挙法。
^ 韓国中央選挙管理委員会の「歴代選挙情報システム」より引用した。
韓国
日本
韓国史事典編纂委員会 金容権編著『朝鮮韓国近現代史事典』日本評論社
金浩鎮著『韓国政治の研究』李健雨訳、三一書房
木村幹 著『民主化の韓国政治-朴正熙と野党政治家たち 1961~1979-』名古屋大学出版会
西平重喜著『各国の選挙-変遷と現状』木鐸社
春木育美著『現代韓国と女性』新幹社
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