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古くからアレトゥーサの泉はエーリスのアルペイオス河と通じていて、アルペイオス河の水が海水と混ざらず、海底を通ってアレトゥーサの泉から湧き出ていると信じられていた。[[ピンダロス]]は『ネメアー祝勝歌』でこの伝説をうたったし<ref>ピンダロス『ネメアー祝勝歌』第1歌1。</ref>、また[[ウェルギリウス]]も『牧歌』<ref>ウェルギリウス『牧歌』第10歌4行-5行。</ref>や『[[アエネーイス]]』でこの伝説をうたっている<ref>ウェルギリウス『アエネーイス』3巻692~696。</ref>。[[ストラボン]]はこの伝説について批判的だが<ref>ストラボン、6巻2・4。</ref>、[[パウサニアス]]はこの伝説が、アレトゥーサとアルペイオスの物語が生まれた要因だとしている<ref>パウサニアス、5巻7・3。</ref>。 |
古くからアレトゥーサの泉はエーリスのアルペイオス河と通じていて、アルペイオス河の水が海水と混ざらず、海底を通ってアレトゥーサの泉から湧き出ていると信じられていた。[[ピンダロス]]は『ネメアー祝勝歌』でこの伝説をうたったし<ref>ピンダロス『ネメアー祝勝歌』第1歌1。</ref>、また[[ウェルギリウス]]も『牧歌』<ref>ウェルギリウス『牧歌』第10歌4行-5行。</ref>や『[[アエネーイス]]』でこの伝説をうたっている<ref>ウェルギリウス『アエネーイス』3巻692~696。</ref>。[[ストラボン]]はこの伝説について批判的だが<ref>ストラボン、6巻2・4。</ref>、[[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]はこの伝説が、アレトゥーサとアルペイオスの物語が生まれた要因だとしている<ref>パウサニアス、5巻7・3。</ref>。 |
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[[オウィディウス]]の『[[変身物語]]』では、アレトゥーサは[[ハーデース]]に連れ去られた[[ペルセポネー]]の行方を[[デーメーテール]]に告げている<ref>オウィディウス『変身物語』5巻487行-508行。</ref>。 |
[[オウィディウス]]の『[[変身物語]]』では、アレトゥーサは[[ハーデース]]に連れ去られた[[ペルセポネー]]の行方を[[デーメーテール]]に告げている<ref>オウィディウス『変身物語』5巻487行-508行。</ref>。 |
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* [[ストラボン]]『[[地理誌|ギリシア・ローマ世界地誌]]』飯尾都人訳、龍溪書舎(1994年) |
* [[ストラボン]]『[[地理誌|ギリシア・ローマ世界地誌]]』飯尾都人訳、龍溪書舎(1994年) |
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* [[シケリアのディオドロス|ディオドロス]]『神代地誌』飯尾都人訳、龍溪書舎(1999年) |
* [[シケリアのディオドロス|ディオドロス]]『神代地誌』飯尾都人訳、龍溪書舎(1999年) |
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* [[パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍溪書舎(1991年) |
* [[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍溪書舎(1991年) |
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* [[ヒュギーヌス]]『ギリシャ神話集』[[松田治]]・青山照男訳、[[講談社学術文庫]](2005年) |
* [[ヒュギーヌス]]『ギリシャ神話集』[[松田治]]・青山照男訳、[[講談社学術文庫]](2005年) |
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* [[ピンダロス]]『祝勝歌集/断片選』[[内田次信]]訳、京都大学学術出版会(2001年) |
* [[ピンダロス]]『祝勝歌集/断片選』[[内田次信]]訳、京都大学学術出版会(2001年) |
2021年11月15日 (月) 10:55時点における版
アレトゥーサ(古希: Ἀρέθουσα, Arethūsa)は、ギリシア神話に登場するニュンペーである。シチリア島のシュラクーサイ近くのオルテュギア島にあるアレトゥーサの泉に変じたことで知られる。
長母音を省略してアレトゥサとも表記される。
神話
泉への変身
アレトゥーサはもともとはエーリスのニュムペーで、アルテミスに仕えていた。誰もが褒め称える美しい容姿を持っているのに、恋や結婚には関心がなかった。
あるときアレトゥーサは、狩りから帰るとき、疲れを癒そうとアルペイオス河で水浴びをしていた。すると突然、水の中からアレトゥーサを呼ぶ声がした。声の主は河の神アルペイオスで、アレトゥーサの魅力的な肢体に見惚れ、彼女に恋してしまったのだった。アレトゥーサは驚いて向こう岸に上がったが、服は対岸に置いたままだったので、何も着ずにそのまま逃げだした。するとアルペイオスも人の姿になり、アレトゥーサを追いかけた。走り疲れてとうとう追いつかれそうになったアレトゥーサは、捕まる寸前、アルテミスに助けを求めた。途端に、アレトゥーサの美しい肉体はみるみるうちに溶け流れ、地面に薄く広がって、水たまりのようになってしまった。願いを聞き届けたアルテミスが、アレトゥーサの体を水に変えたのだった。アルペイオスは驚き一瞬立ち止まったが、すぐさま水にもどって、アレトゥーサと混ざり合おうとした。するとアルテミスは大地を割って穴を作り、アレトゥーサはその穴に流れ込んで逃げた。地中に流れたアレトゥーサは地下水として海底の下をくぐり、やがてシュラクーサイのオルテュギア島から泉となって湧き出した。こうして純潔を守り通したアレトゥーサは、元の姿には戻らずにその場に溜まり、アレトゥーサの泉になったといわれる[1]。
一説によれば、アレトゥーサとアルペイオスは狩人で、アレトゥーサがアルペイオスを拒んでオルテュギア島で泉になった後、アルペイオスも河になった[2]。あるいはアルテミスがオルテュギア島を得たときにニュンペーたちがアルテミスのためにアレトゥーサの泉を湧き出させたともいわれる[3]。
泉の伝説
古くからアレトゥーサの泉はエーリスのアルペイオス河と通じていて、アルペイオス河の水が海水と混ざらず、海底を通ってアレトゥーサの泉から湧き出ていると信じられていた。ピンダロスは『ネメアー祝勝歌』でこの伝説をうたったし[4]、またウェルギリウスも『牧歌』[5]や『アエネーイス』でこの伝説をうたっている[6]。ストラボンはこの伝説について批判的だが[7]、パウサニアスはこの伝説が、アレトゥーサとアルペイオスの物語が生まれた要因だとしている[8]。
オウィディウスの『変身物語』では、アレトゥーサはハーデースに連れ去られたペルセポネーの行方をデーメーテールに告げている[9]。
その他のアレトゥーサ
脚注
参考文献
- ウェルギリウス『アエネーイス』岡道男・高橋宏幸訳、京都大学学術出版会(2001年)
- ウェルギリウス『牧歌・農耕詩』河津千代訳、未来社(1981年)
- オウィディウス『変身物語(上)』中村善也訳、岩波文庫(1981年)
- ストラボン『ギリシア・ローマ世界地誌』飯尾都人訳、龍溪書舎(1994年)
- ディオドロス『神代地誌』飯尾都人訳、龍溪書舎(1999年)
- パウサニアス『ギリシア記』飯尾都人訳、龍溪書舎(1991年)
- ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、講談社学術文庫(2005年)
- ピンダロス『祝勝歌集/断片選』内田次信訳、京都大学学術出版会(2001年)
- 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、岩波書店(1960年)