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後に成長したアスクレーピオスは死者さえも蘇らせる名医になった。ピンダロスの物語ではカラスは登場しないが、多くの物語では、カラスがコローニスの密通に気付き、アポローンに知らせる。アポローンは怒って以前は白い色だったカラスを黒い色に変え、またコローニスを殺した。しかし、アポローンは後悔して自らの手で火葬し、そのさいに子アスクレーピオスをコローニスの胎内から救い出して、ケイローンに養育させた<ref>オウィディウス『変身物語』2巻。</ref><ref>アポロードロス、3巻10・3。</ref><ref>ヒュギーヌス、202話。</ref>。[[アントーニーヌス・リーベラーリス]]では、コローニスの密通の相手は[[アルキュオネウス]]とされる<ref>アントーニーヌス・リーベラーリス、20話。</ref>。 |
後に成長したアスクレーピオスは死者さえも蘇らせる名医になった。ピンダロスの物語ではカラスは登場しないが、多くの物語では、カラスがコローニスの密通に気付き、アポローンに知らせる。アポローンは怒って以前は白い色だったカラスを黒い色に変え、またコローニスを殺した。しかし、アポローンは後悔して自らの手で火葬し、そのさいに子アスクレーピオスをコローニスの胎内から救い出して、ケイローンに養育させた<ref>オウィディウス『変身物語』2巻。</ref><ref>アポロードロス、3巻10・3。</ref><ref>ヒュギーヌス、202話。</ref>。[[アントーニーヌス・リーベラーリス]]では、コローニスの密通の相手は[[アルキュオネウス]]とされる<ref>アントーニーヌス・リーベラーリス、20話。</ref>。 |
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[[エピダウロス]]の詩人イシュロスによると、コローニスはプレギュアースと[[ムーサ]]の1人[[エラトー]]とマロスの娘クレオペマーの娘である<ref>カール・ケレーニイ『医神アスクレピオス』邦訳、p.48-49。</ref>。[[パウサニアス]]によると、プレギュアースがエピダウロスにやって来たとき、コローニスはすでにアポローンの子を身ごもっていた。そして、プレギュアースに同行してエピダウロスにやって来て、アスクレーピオスを出産し、ミュルティオン山に捨てた。この赤子は[[ヤギ]]に養われ、羊飼アレスタナスに発見されたとき、神々しく光っていた<ref>パウサニアス、2巻26・4-26・5。</ref>。 |
[[エピダウロス]]の詩人イシュロスによると、コローニスはプレギュアースと[[ムーサ]]の1人[[エラトー]]とマロスの娘クレオペマーの娘である<ref>カール・ケレーニイ『医神アスクレピオス』邦訳、p.48-49。</ref>。[[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]によると、プレギュアースがエピダウロスにやって来たとき、コローニスはすでにアポローンの子を身ごもっていた。そして、プレギュアースに同行してエピダウロスにやって来て、アスクレーピオスを出産し、ミュルティオン山に捨てた。この赤子は[[ヤギ]]に養われ、羊飼アレスタナスに発見されたとき、神々しく光っていた<ref>パウサニアス、2巻26・4-26・5。</ref>。 |
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なお、一説にアスクレーピオスの母は[[レウキッポス (ギリシア神話)|レウキッポス]]の娘[[アルシノエー]]ともいわれ、古代でも意見が分かれていたが、アポロパネースというアルカディア人が[[デルポイ]]でどちらの伝承が正しいか神に質問すると、コローニスの子であるという答えが返ってきたという<ref>パウサニアス、2巻26・7。</ref>。 |
なお、一説にアスクレーピオスの母は[[レウキッポス (ギリシア神話)|レウキッポス]]の娘[[アルシノエー]]ともいわれ、古代でも意見が分かれていたが、アポロパネースというアルカディア人が[[デルポイ]]でどちらの伝承が正しいか神に質問すると、コローニスの子であるという答えが返ってきたという<ref>パウサニアス、2巻26・7。</ref>。 |
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* [[オウィディウス]]『変身物語(上)』[[中村善也]]訳、岩波文庫(1981年) |
* [[オウィディウス]]『変身物語(上)』[[中村善也]]訳、岩波文庫(1981年) |
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* [[シケリアのディオドロス|ディオドロス]]『神代地誌』飯尾都人訳、龍溪書舎(1999年) |
* [[シケリアのディオドロス|ディオドロス]]『神代地誌』飯尾都人訳、龍溪書舎(1999年) |
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* [[パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍溪書舎(1991年) |
* [[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍溪書舎(1991年) |
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* [[ヒュギーヌス]]『ギリシャ神話集』[[松田治]]・青山照夫訳、[[講談社学術文庫]](2005年) |
* [[ヒュギーヌス]]『ギリシャ神話集』[[松田治]]・青山照夫訳、[[講談社学術文庫]](2005年) |
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* [[ピンダロス]]『祝勝歌集/断片選』[[内田次信]]訳、[[京都大学学術出版会]](2001年) |
* [[ピンダロス]]『祝勝歌集/断片選』[[内田次信]]訳、[[京都大学学術出版会]](2001年) |
2021年11月15日 (月) 10:54時点における版
コローニス(古希: Κορωνίς, Korōnis)は、ギリシア神話の女性たちである。長母音を省略してコロニスとも表記される。主に、
のほか、数人が知られている。以下に説明する。
プレギュアースの娘
このコローニスは、 ラピテース族の王プレギュアースの娘で、医術の神アスクレーピオスの母とされる。コローニスの物語はカラスの色が変わる変身譚とともに語られている。
ヘーシオドスによると、コローニスはアポローンに愛されて子を身ごもったが、プレギュアースによってエラトスの子イスキュスと結婚させられた[1]。
しかし、多くの伝承ではコローニスが自らイスキュスと密通したとされる。ピンダロスによれば、コローニスはアポローンに愛されて子供を身ごもったにもかかわらず、アルカディアからの客人イスキュスに恋をし、父プレギュアースに隠れてイスキュスと密通した。しかし、アポローンはすぐに気づき、アルテミスを送ると、アルテミスは多くの者とともにコローニスを射殺した。しかし、コローニスが火葬されるとき、アポローンは自分の子を救い出し、ケイローンに養育させた[2]。
後に成長したアスクレーピオスは死者さえも蘇らせる名医になった。ピンダロスの物語ではカラスは登場しないが、多くの物語では、カラスがコローニスの密通に気付き、アポローンに知らせる。アポローンは怒って以前は白い色だったカラスを黒い色に変え、またコローニスを殺した。しかし、アポローンは後悔して自らの手で火葬し、そのさいに子アスクレーピオスをコローニスの胎内から救い出して、ケイローンに養育させた[3][4][5]。アントーニーヌス・リーベラーリスでは、コローニスの密通の相手はアルキュオネウスとされる[6]。
エピダウロスの詩人イシュロスによると、コローニスはプレギュアースとムーサの1人エラトーとマロスの娘クレオペマーの娘である[7]。パウサニアスによると、プレギュアースがエピダウロスにやって来たとき、コローニスはすでにアポローンの子を身ごもっていた。そして、プレギュアースに同行してエピダウロスにやって来て、アスクレーピオスを出産し、ミュルティオン山に捨てた。この赤子はヤギに養われ、羊飼アレスタナスに発見されたとき、神々しく光っていた[8]。
なお、一説にアスクレーピオスの母はレウキッポスの娘アルシノエーともいわれ、古代でも意見が分かれていたが、アポロパネースというアルカディア人がデルポイでどちらの伝承が正しいか神に質問すると、コローニスの子であるという答えが返ってきたという[9]。
系図
アイオロス | アトラース | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
シーシュポス | メロペー | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
テルサンドロス | オルニュティオーン | ニーソス | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ハルモス | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
コローノス | ハリアルトス | ポーコス | トアース | ポセイドーン | エウリュノメー | グラウコス | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アレース | クリューセー | ポセイドーン | クリューソゴネイア | ダーモポーン | ベレロポーン | ピロノエー | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
プレギュアース | クリューセース | プロポダース | イーサンドロス | ヒッポロコス | ゼウス | ラーオダメイア | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アポローン | コローニス | イスキュス | ミニュアース | ドーリダース | ヒュアンティダース | グラウコス | サルペードーン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アスクレーピオス | オルコメノス | ピュラコス | クリュメネー | イーアソス | ミニュアデス | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
マカーオーン | ポダレイリオス | イーピクロス | アルキメデー | アタランテー | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
コローネウスの娘
このコローニスは、 ポーキス人のコローネウスの娘である。ポセイドーンに求愛されたが拒み、逃げているときにアテーナーによってカラスの姿に変えられた[10]。
オリーオーンの妻
このコローニスは、オーリーオーンの妻で、コローニスたち(複数形コローニデス, 古希: Κορωνίδες, Korōnides)と呼ばれる2人の娘たちメーティオケー、メニッペーの母[11]。
ディオニューソスの信者
このコローニスは、テッサリアーでディオニューソスを祭っていた信者の1人である。ボレアースの子のブーテースにさらわれてナクソス島に連れて行かれたが、コローニスがディオニューソスに祈ると、ブーテースは狂気につかれて水死した[12]。
その他のコローニス
脚注
- ^ カール・ケレーニイ『医神アスクレピオス』邦訳、p134。
- ^ ピンダロス『ピュティア祝勝歌』第3歌9行-46行。
- ^ オウィディウス『変身物語』2巻。
- ^ アポロードロス、3巻10・3。
- ^ ヒュギーヌス、202話。
- ^ アントーニーヌス・リーベラーリス、20話。
- ^ カール・ケレーニイ『医神アスクレピオス』邦訳、p.48-49。
- ^ パウサニアス、2巻26・4-26・5。
- ^ パウサニアス、2巻26・7。
- ^ オウィディウス『変身物語』2巻。
- ^ アントーニーヌス・リーベラーリス、25話。
- ^ シケリアのディオドロス、5巻51・4-51・5。
- ^ シケリアのディオドロス、5巻52・2。
- ^ ヒュギーヌス、192話。
参考文献
- アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
- アントーニーヌス・リーベラーリス『メタモルフォーシス ギリシア変身物語集』安村典子訳、講談社文芸文庫(2006年)
- オウィディウス『変身物語(上)』中村善也訳、岩波文庫(1981年)
- ディオドロス『神代地誌』飯尾都人訳、龍溪書舎(1999年)
- パウサニアス『ギリシア記』飯尾都人訳、龍溪書舎(1991年)
- ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照夫訳、講談社学術文庫(2005年)
- ピンダロス『祝勝歌集/断片選』内田次信訳、京都大学学術出版会(2001年)
- カール・ケレーニイ『ギリシアの神話 神々の時代』植田兼義訳、中公文庫(1985年)
- カール・ケレーニイ『医神アスクレピオス』岡田素之訳、白水社(1997年)
- 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、岩波書店(1960年)