ヘリケー (ギリシア神話)
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ギリシア神話における、ヘリケー(ギリシア語: Ἑλίκη、[heˈlikɛː]、現代ギリシア語発音: [eˈlici]、英語: Helike [ˈhɛlɪkiː])は、女性の名。長音符を省略してヘリケとも。この名をもつ代表的な女性のひとりはニュンペーであり、もうひとりはキオス島の王妃である。
ヘリケーの一覧
[編集]ゼウスの乳母
[編集]ヘリケーは、キュノスーラとともにクレタ島のイーデー山のニュンペーであって、幼児だった頃の神ゼウスをこの島で養育した[1][2][3]。
ヘリケーという名は、彼女が「柳のニュンペー」であったことを示唆しており、それは、ドリュアスがオークのニュンペーとされ、メリアスがトネリコのニュンペーとされるのと同様である。
後にゼウスは、ヘリケーを星座のおおぐま座に変えたとされ[2]、ヘリケーはおおぐま座を指す古代における通称であった[4]。ただしエラトステネースが伝えるところではヘリケーはこぐま座になったとする説もある[3]。
王妃
[編集]王妃ヘリケーは、キオスの王オイノピオーン (Οινοπίων, Oenopion) の妻で、以下の子どもたちをもうけた。
- メラス (Melas)
- タルス (Talus)
- マロン (Maron)
- エウアンテス (Euanthes)
- サラグス (Salagus)
- アタマース (Athamas)[5]
- メロペー (Merope)
イオーンの妻
[編集]ヘリケーは、イオーン (Ion) の妻、ブラ (Bura) の母[6]。
イオーンは、都市を建設し、それに妻の名を付けた(ヘリケー (古代ギリシアの都市))。イオーンとヘリケーを結婚させたのは、アカイアのアイギアロス (Aigialos) の王セリヌス (Selinus) であった[6]。
脚注
[編集]- ^ Aratus, Phaenomena 27
- ^ a b モーリス・ド・ゲラン、金澤哲夫 訳「ラ・バカント」『慶応義塾大学日吉紀要 フランス語フランス文学』第46号、慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会、2008年、294-263頁。 原注28(277頁) NAID 120000801615
- ^ a b “伝エラトステネス『星座論』(1) おおぐま座・こぐま座”. 2022年8月31日閲覧。
- ^ Aratus, Phaenomena, translation by A. W. Mair, G. R. Loeb
- ^ Pausanias, Description of Greece, 7. 4. 8
- ^ a b Pfister, Friedrich (1909-12/75). Der Reliquienkult im Altertum: Halbband 1: Das Objekt des Reliquienkultes. De Gruyter. p. 66. ISBN 3-11-002453-5 2014年9月14日閲覧。