「ヒュルネートー」の版間の差分
2行目: | 2行目: | ||
== 系譜 == |
== 系譜 == |
||
ヒュルネートーの兄弟については異説が多い。[[アポロドーロス]]によると[[アゲラーオス]]、[[エウリュピュロス]]、カリアースと兄弟<ref name="AP284" />。[[パウサニアス]]によると[[ケイソス]]、パルケース、ケリュネース、アガイオス<ref>パウサニアス、2巻28・3。</ref>、イストミオスと兄弟<ref>パウサニアス、4巻3・8。</ref>。他にも[[アルケラーオス (ギリシア神話)|アルケラーオス]]<ref>エウリーピデース『アルケラーオス』断片。</ref>、[[ペイドン]]、[[カラノス (マケドニア王)|カラノス]]という兄弟もいた。 |
ヒュルネートーの兄弟については異説が多い。[[アポロドーロス]]によると[[アゲラーオス]]、[[エウリュピュロス]]、カリアースと兄弟<ref name="AP284" />。[[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]によると[[ケイソス]]、パルケース、ケリュネース、アガイオス<ref>パウサニアス、2巻28・3。</ref>、イストミオスと兄弟<ref>パウサニアス、4巻3・8。</ref>。他にも[[アルケラーオス (ギリシア神話)|アルケラーオス]]<ref>エウリーピデース『アルケラーオス』断片。</ref>、[[ペイドン]]、[[カラノス (マケドニア王)|カラノス]]という兄弟もいた。 |
||
デーイポンテースとの間にはアンティメネース、クサンティッポス、アルゲイオス、娘オルソビアが生まれた<ref>パウサニアス、2巻28・6。</ref>。 |
デーイポンテースとの間にはアンティメネース、クサンティッポス、アルゲイオス、娘オルソビアが生まれた<ref>パウサニアス、2巻28・6。</ref>。 |
||
23行目: | 23行目: | ||
== 参考文献 == |
== 参考文献 == |
||
* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年) |
* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年) |
||
* [[パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年) |
* [[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年) |
||
* 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、[[岩波書店]](1960年) |
* 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、[[岩波書店]](1960年) |
||
2021年11月15日 (月) 11:08時点における版
ヒュルネートー(古希: Ὑρνηθώ, Hyrnēthō)は、ギリシア神話の女性である。長母音を省略してヒュルネトとも表記される。ヘーラクレイダイによる最初のアルゴスの王テーメノスの娘で、ヘーラクレイダイの1人デーイポンテースと結婚したが、アルゴスの王位をめぐるトラブルに巻き込まれたことが伝えられている[1][2]。
系譜
ヒュルネートーの兄弟については異説が多い。アポロドーロスによるとアゲラーオス、エウリュピュロス、カリアースと兄弟[1]。パウサニアスによるとケイソス、パルケース、ケリュネース、アガイオス[3]、イストミオスと兄弟[4]。他にもアルケラーオス[5]、ペイドン、カラノスという兄弟もいた。
デーイポンテースとの間にはアンティメネース、クサンティッポス、アルゲイオス、娘オルソビアが生まれた[6]。
神話
アポロドーロス
テーメノス王は息子たちよりもヒュルネートーの夫デーイポンテースを可愛がり重用した。息子たちはテーメノスが王位をデーイポンテースに譲るのではないかと疑い、テーメノスを暗殺した。しかし彼らは軍に反対されて王位を継承することができず、デーイポンテースとヒュルネートーがテーメノスの後を継いだ[1]。
パウサニアス
しかしパウサニアスの伝承によれば殺されたのはヒュルネートーと[7]デーイポンテースであった[2]。彼女はテーメノスの一番のお気に入りであったので、兄弟たちは父親が彼女の夫に王位を譲ることを恐れたのであった[2]。ヒュルネートーはデーイポンテースとともにエピダウロスを支配していたが[8]、彼女の兄弟たちはヒュルネートーとデーイポンテースを別れさせるべくエピダウロスにやって来た。兄弟たちから会談を持ちかけたヒュルネートーは[9]、彼らから夫を散々に非難され、デーイポンテースと別れるよう求められたが、ヒュルネートーはこれを拒否した[10]。そのためヒュルネートーは彼らに捕えられ、デーイポンテースから逃げる最中に殺された[11]。デーイポンテースと子供たちは彼女の遺体をエピダウロスに運んで埋葬し、英雄廟を建設した。英雄廟はヒュルネーティオンと呼ばれた[12]。
英雄廟では境内に自生する樹木を傷つけることが禁じられ、境内の木片はすべてヒュルネートーへの捧げものとされた[13]。なお、アルゴス市内にもヒュルネートーの墓があったが、パウサニアスはアルゴスの伝承について疑問視している[14]。
系図
ヘーラクレース | デーイアネイラ | ポリュネイケース | アルゲイアー | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
イオレー | ヒュロス | グレーノス | クテーシッポス | オネイテース | マカリアー | テルサンドロス | デーモーナッサ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
クレオダイオス | アリスタイクメー | エウアイクメー | トラシュアノール | ティーサメノス | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アリストマコス | レオーナッサ | アンティマコス | アウテシオーン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
テーメノス | クレスポンテース | アリストデーモス | アルゲイアー | テーラース | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ケイソス | カラノス | ヒュルネートー | デーイポンテース | アイピュトス | プロクレース | エウリュステネース | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
メドーン | グラウコス | ソオス | アギス | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||