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栗駒山

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
栗駒山
北北西からの須川岳。栗駒山の主峰である。
名残ヶ原から撮影。
標高 1,626[1][注釈 1] m
所在地 日本の旗 日本
位置 北緯38度57分39秒 東経140度47分18秒 / 北緯38.96083度 東経140.78833度 / 38.96083; 140.78833座標: 北緯38度57分39秒 東経140度47分18秒 / 北緯38.96083度 東経140.78833度 / 38.96083; 140.78833
山系 奥羽山脈
種類 成層火山 (活火山ランクB)
最新噴火 1944年11月20日(昭和湖)
栗駒山の位置(日本内)
栗駒山
栗駒山 (日本)
栗駒山の位置(岩手県内)
栗駒山
栗駒山 (岩手県)
栗駒山の位置(宮城県内)
栗駒山
栗駒山 (宮城県)
栗駒山の位置(秋田県内)
栗駒山
栗駒山 (秋田県)
プロジェクト 山
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栗駒山(くりこまやま)は、山体が宮城県秋田県岩手県の三県にまたがる第四紀安山岩質からなる成層火山活火山)である[2][3]標高1,626 m[1]三角点の名称は酢川岳である[3]。山頂部は宮城県と岩手県の境界になっている。

奥羽山脈に属し、焼石岳神室山とともに栗駒国定公園や栗駒山・栃ヶ森周辺森林生態系保護地域として指定されている。二百名山花の百名山の一つである。

概要

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山名は初夏になると山頂西側に「駒姿」と呼ばれる馬の雪形が現れることに由来する[4][注釈 2]。また、主に岩手県では須川岳(すかわだけ)、秋田県では大日岳(だいにちだけ)、宮城県では駒ヶ岳(こまがたけ)の別名で呼ばれることもある[5]

栗駒火山の火山体地形図

栗駒火山は更新世中期(およそ50万年前頃)に開始した[2]。有史の記録では江戸時代1744年(寛保3年)2月3日の噴火などがある。1944年(昭和19年)には昭和火口(昭和湖)の噴火が発生した[2]

山頂北側には溶岩円頂丘の剣岳がある[2]。また、剣岳溶岩円頂丘の北方約500mには円弧状の「地獄釜」と呼ばれる火口状凹地(長さ約100m、幅約70m、深さ約50m)があり、江戸時代には「八幡山」又は「硫黄山」と呼ばれていた[2]

さらに山頂の北側には北西方向に開口する、直径およそ2.2 kmの馬蹄形のカルデラがあり[6]、その延長上に延びる岩屑なだれによる斜面がみられる[6]。岩屑なだれは東西2.5 km、南北4 kmの範囲に分布している[7]

毎年5月の第3日曜日に山開きが行われる[5]

山頂への登山コースが9本ある[8]。最短は南東斜面の「いわかがみ平」から登る中央コースで[8]。距離にして約3 km、所要時間は約2時間[8]。山頂部は高木がなく眺めが良い。日本百名山を著した深田久弥は、その後書きの中で、「東北では秋田駒ヶ岳と栗駒山を百名山にいれるべきであったかもしれない」と述懐している[8]

栗駒山の紅葉は「神の絨毯」[9][8]と称される。秋分のころ山頂から始まり、10月上旬にかけて次第に麓に降りてくる。

2008年の岩手・宮城内陸地震により、山体南東麓で大規模な地すべり(荒砥沢地すべり)が発生した。宮城県側の周辺には須川駒ノ湯温湯、湯ノ倉、湯浜等の温泉が点在するが、地震による影響で休業や廃業に追い込まれる被害を受けた。また、登山道も地震の影響を受けており、裏掛(新湯)コースなど崩落のため通行禁止となっている箇所もある。

火山噴火予知連絡会によって火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山に選定されている[10]

画像解説

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栗駒山から北を望む。おおよそ馬蹄型カルデラ地形に相当する部分。中央に剣岳。中央左に須川湖。左下に竜泉ヶ原。右端下に昭和湖。岩頭から撮影。

昭和湖

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昭和湖(2018年10月)
昭和湖
所在地 岩手県一関市
位置 北緯38度58分01.5秒 東経140度46分45.5秒 / 北緯38.967083度 東経140.779306度 / 38.967083; 140.779306
水面の標高 1,280 m
成因 火口湖
プロジェクト 地形
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昭和湖(しょうわこ)は、岩手県一関市にあり、栗駒山の山頂から北西方向の山腹、八合目付近に位置する火口湖である。1944年(昭和19年)に起きた水蒸気爆発でできた。ただしここは元から火口があった場所である[11]。エメラルドグリーンの強酸性の水をたたえている。周辺は7月上旬から高山植物が咲き乱れる。須川高原温泉からの登山道の中間点にあり、登山者の休憩地として親しまれている。

2016年に設置された栗駒山火山防災協議会が策定したハザードマップでは、噴火口を昭和湖一帯に想定している[12]

須川湖

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須川湖[13]
須川湖
所在地 秋田県東成瀬村
位置 北緯38度58分42秒 東経140度45分11秒 / 北緯38.97833度 東経140.75306度 / 38.97833; 140.75306
面積 0.08 km2
周囲長 2.1 km
平均水深 16 m
水面の標高 1,030 m
成因 火山湖
淡水・汽水 淡水
湖沼型 酸栄養湖
透明度 4.0 m
プロジェクト 地形
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須川湖(すかわこ)は、秋田県東成瀬村にある、南北に長い周囲2 km余りの湖。栗駒山の山頂から北西の中腹にある。水は澄んでいるが、酸性が強いため魚はいない。貸しボート、キャンプ場・周囲を巡る遊歩道が整備されている。新緑・紅葉の季節には美しい光景が広がる。須川高原温泉から秋田県側へ国道342号秋田県道282号仁郷大湯線(栗駒道路)経由、車で5分(約1 km)。

三角点

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一等三角点 中心緯度経度: 北緯38°961211 東経140°789495 標高1,626.5 m[14]

アクセス

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いずれも、冬季閉鎖区間あり

秋田県側

岩手県側

  • 国道342号で一関市中心部・一関インターチェンジから須川温泉に至る(このルートは一部狭隘路)
    • 岩手県交通により、『[12]須川温泉線』が季節運行(概ね5月上旬から11月上旬までの運行)で設定されており、終点「須川温泉」停留所が登山口付近に設置されている

宮城県側

脚注

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注釈

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  1. ^ GNSS測量等の点検・補正調査による2014年4月1日の国土地理院『日本の山岳標高一覧-1003山-』における改定値。なお、旧版での標高は1,627 m
  2. ^ 栗駒山の宮城県側からは「駒姿」のほか2つの「種まき坊主」を含めた計3つの雪形が見える[4]

出典

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  1. ^ a b “標高値を改定する山岳一覧 資料2”. 国土地理院. https://www.gsi.go.jp/common/000091073.pdf 2014年3月26日閲覧。 
  2. ^ a b c d e 関口辰夫ほか「火山土地条件図「栗駒山」における「地獄釜」火口について」『日本地理学会発表要旨集』、公益社団法人 日本地理学会、2017年、doi:10.14866/ajg.2017a.0_1000352024年12月27日閲覧 
  3. ^ a b 活火山総覧”. 気象庁. 2024年12月27日閲覧。
  4. ^ a b 田水郷通信 2023 vol.8”. 宮城県農政部農村振興課. 2024年12月27日閲覧。
  5. ^ a b 栗駒山”. 宮城県. 2024年12月27日閲覧。
  6. ^ a b 1:25,000火山土地条件図解説書”. 国土地理院. 2018年11月22日閲覧。
  7. ^ 藤縄明彦、藤田浩司、高橋美保子 ほか「栗駒火山の形成史」『火山』第46巻第5号、2001年、269-284頁、doi:10.18940/kazan.46.5_269 
  8. ^ a b c d e 栗駒山”. 栗原市観光物産協会. 2018年11月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月22日閲覧。
  9. ^ 紅葉時期の栗駒山”. 栗原市観光物産協会. 2021年11月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月28日閲覧。
  10. ^ 火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山”. 気象庁. 2016年2月25日閲覧。
  11. ^ 日本の火山 栗駒山”. 産業技術総合研究所 地質調査総合センター. 2018年11月22日閲覧。
  12. ^ 「噴火警戒レベル」5月から運用 監視続く栗駒山の現状は”. 毎日新聞 (2019年11月12日). 2019年11月12日閲覧。
  13. ^ 国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成(1976年度撮影)
  14. ^ 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2022年2月9日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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