コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

黒姫山 (長野県)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
黒姫山
東南東から
標高 2,053[1] m
所在地 日本の旗 日本
長野県上水内郡信濃町
位置 北緯36度48分48秒 東経138度7分38秒 / 北緯36.81333度 東経138.12722度 / 36.81333; 138.12722座標: 北緯36度48分48秒 東経138度7分38秒 / 北緯36.81333度 東経138.12722度 / 36.81333; 138.12722
山系 妙高火山群(西頸城山地)[2]
種類 成層火山
黒姫山の位置(日本内)
黒姫山
黒姫山
地図黒姫山の位置
プロジェクト 山
テンプレートを表示

黒姫山(くろひめやま)は、長野県上水内郡信濃町にある標高2,053 m成層火山。南東方向より見た整った姿から郷土富士として信濃富士とも呼ばれている。

概要

[編集]

黒姫山は斑尾山妙高山戸隠山飯縄山とともに北信五岳のひとつに数えられている。妙高火山群に属する複式火山である[3][4]。山頂には二等三角点があり黒姫弁財天などを祀る祠がある。

標高的には森林限界に達していないが土壌の栄養成分が乏しく、カルデラ内壁には高山性植物群落が成立している[5]。火口原には溶岩が点在し、チシマザサダケカンバコメツガワタスゲソバナなどが分布する[6][7]。周辺の山域に分布するチシマザサは江戸時代からざるなどの竹細工の材料として麓で利用されていた[7]。外輪山周辺にはハイマツキバナシャクナゲなどが分布し[3]周辺の山域にはテングノムギメシが分布している[8]

地学的知見

[編集]
黒姫火山の地形図
北から

3つの活動期と3つの休止期があり、今から約25万年前ごろ[9]から火山活動を初め、休止期をはさみ15万年前から12万年前ころまでの活動期があり数万年かの休止の後、最新の活動である4万年前ごろに現在の中央火口丘である御巣鷹山(小黒姫山)(標高2,046 m)を形成した。最高点(標高点2,053 m)は、中央火口丘の東南東1.0 km外輪山にある[1]。外輪山と中央火口丘の間には火口原が広がり、「黒姫山湖沼・湿原群」として日本の重要湿地500のひとつに選定されている七ツ池と峰ノ大池などの池塘がある[10][6]

信仰と伝承

[編集]

古くから信仰の対象とされている[3]。黒姫というお姫様の悲話伝説(『黒姫伝説』)があり、山名の由来になったと言われている[4][6][11][12]

地理

[編集]

戸隠連峰の東に位置し、関川を挟んで頸城山塊の妙高山の南に対峙する独立峰である。東山麓にある野尻湖を挟んで斑尾山が対峙している。3.5 km西隣には、佐渡山(標高1,827.6 m)がある。1956年(昭和31年)7月10日に山域は妙高戸隠連山国立公園の特別地域内に指定され、外輪山周辺の内側の区域はその特別保護地区に指定された[13]。西山腹には大ダルミ湿原がある。東山麓は黒姫高原として観光地化しており、冬季には黒姫高原スノーパークスキースノーボードが楽しめる。東山麓にはラボ・パーティ林間学校・移動教室「ラボランドくろひめ」がある[14]

また児雷也伝説の山でもあり、この山に住んで隣の妙高山に住む仙人から忍術を学んだ設定になっている。麓の野尻湖の近くには熊坂という集落があり長範山や長範屋敷と言う地名もあって平安時代の末期に源義経との因縁も語られる大盗賊、熊坂長範の伝承もある。

源流の河川

[編集]
黒姫山から噴出した溶岩によって作られた関川苗名滝

以下の源流となる河川日本海へ流れる[15]

  • 氷沢川、深沢、西沢、池尻川 - 関川の支流。山頂の北西6.8 km笹ヶ峰ダムがある。山頂の北西4.1 kmに、山から噴出した溶岩が関川を堰き止めたことによって作られた苗名滝がある。
  • 鳥居川 - 千曲川の支流。山頂の南西3.2 kmに農業用のため池である古池がある[16]

周辺の山

[編集]
山容 山名 標高
(m)[1][17]
三角点等級
基準点名[17]
黒姫山からの
方角と距離(km)
備考
焼山 2,400.26 二等
「焼山」
北西 14.4 活火山
日本三百名山
斑尾山 1,381.81 一等
「斑尾山」
東北東 13.4 日本三百名山
北信五岳
火打山 2,461.77 三等
「火打山」
北西 13.2 頸城山塊最高峰
日本百名山
妙高山 2,454 (一等)「妙高山」
(2,445.90 m)
北 8.8 日本百名山
北信五岳、活火山
高妻山 2,357.79 二等
「高妻山」
西南西 6.9 日本百名山
戸隠山 1,904 南西 8.0 日本二百名山
北信五岳
飯縄山 1,917.37 二等
「飯繩山」
南 8.2 日本二百名山
北信五岳

登山

[編集]

古くから登山の対象として東登山道と廃道となった南登山道で登られていた[18]。山頂付近は展望がある。『日本二百名山』のひとつに選定されている[4]。信濃町を代表する山として『信州ふるさと120山』のひとつに選定されている[19]。黒姫山を含む北信五岳が『新・花の百名山』のひとつに選定されている[20]。例年6月中旬ごろに開山祭、10月中旬頃に閉山祭が行われている。

登山ルート

[編集]

各方面から以下の登山道が開設されている。外輪山の黒姫乗越、峰ノ大池分岐、西登山口から高原状の火口原にある峰ノ大池と七ツ池の池塘脇を通るルートがある[18]。中央火口丘の小黒姫山(御巣鷹山、標高2,046 m)へ至る登山道は開設されていない。

小泉登山道
黒姫高原 - 巣鷹林道 - 姫見台 - 越見尾根 - 黒姫山(標高2,053 m[18]
新道
種池登山口(長野県道36号信濃信州新線) - 種池 - 古池 - 大ダルミ分岐 - 外輪山合流点 - 峰ノ大池分岐 - 黒姫山[18]
西登山道
長野県道36号信濃信州新線 - 大橋林道 - 大橋登山口 - 大ダルミ分岐 - 大ダルミ - 西登山道 - 峰ノ大池 - 峰ノ大池分岐 - 黒姫山[21][注釈 1]
東登山道
長水 - 外輪山合流点 - 黒姫山[18]

交通・アクセス

[編集]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 北側の笹ヶ峰から西登山口へ至るルートは荒廃している。

出典

[編集]
  1. ^ a b c 日本の主な山岳標高(長野県の山)”. 国土地理院. 2012年12月24日閲覧。
  2. ^ 新日本山岳誌 (2005)、159頁
  3. ^ a b c コンサイス日本山名辞典 (1992)、182頁
  4. ^ a b c 日本200名山 (1987)、81頁
  5. ^ 石井浩之, 中田誠, 加々美寛雄, 平英彰, 「原著論文 : 長野県黒姫山の亜高山帯に成立する高山性植物群落の立地条件」『植生学会誌』 26巻 1号 2009年 p.21-32, 植生学会, doi:10.15031/vegsci.26.21
  6. ^ a b c 日本三百名山 (1997)、157頁
  7. ^ a b 妙高・戸隠を歩く(2000)、45頁
  8. ^ テングノムギメシ産地 - 国指定文化財等データベース(文化庁
  9. ^ 早津賢二, 清水智, 板谷徹丸, 「妙高火山群の活動史 “多世代火山”」『地学雑誌』 1994年 103巻 3号 p.207-220, 東京地学協会, doi:10.5026/jgeography.103.207
  10. ^ 黒姫山湖沼・湿原群”. 環境省自然環境局. 2016年11月2日閲覧。
  11. ^ a b 日本の山1000 (1992)、315頁
  12. ^ 妙高・戸隠を歩く(2000)、47頁
  13. ^ 上信越高原国立公園(西部)の区域図” (PDF). 環境省. 2012年12月24日閲覧。
  14. ^ ラボランドくろひめ”. ラボランドくろひめ. 2012年12月24日閲覧。
  15. ^ 山と高原地図 (2012)
  16. ^ 妙高・戸隠を歩く(2000)、44頁
  17. ^ a b 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2012年12月24日閲覧。
  18. ^ a b c d e 妙高・戸隠を歩く(2000)、42-47頁
  19. ^ 長野県山岳協会120山委員会 編『信州ふるさと120山』信濃毎日新聞社、2011年11月。ISBN 9784784071821 
  20. ^ 新・花の百名山(1995)、249-252頁
  21. ^ 妙高・戸隠を歩く(2000)、88-92頁
  22. ^ 妙高・戸隠を歩く(2000)、92頁

参考文献

[編集]

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]