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|助 = 津曲大祐<ref>{{Cite web |title=【オールカマー】美浦レポート~レイデオロ|url=https://www.radionikkei.jp/keiba_article/news/post_15858.html |website=ラジオNIKKEI |access-date=2023-05-12 |language=ja}}</ref><br/>本間壮右<ref>{{Cite web |title=【馬人クローズアップ】藤沢和厩舎・本間壮右助手 |url=https://race.sanspo.com/keiba/news/20191220/etc19122005050004-n1.html |website=サンスポZBAT!競馬 |date=2019-12-20 |access-date=2023-05-12 |language=ja-JP}}</ref>
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|金 = 9億2851万700円<ref>{{Cite web |title=レイデオロ、シュヴァル抹消…ともに種牡馬入り |url=https://race.sanspo.com/keiba/news/20191226/ope19122605040003-n1.html |website=サンスポZBAT!競馬 |date=2019-12-26 |access-date=2023-04-26 |language=ja-JP}}</ref><br />(中央競馬)8億8155万0000円<ref name="四国新聞-抹消">{{Cite web |title=ダービー馬レイデオロが引退 JRA通算15戦7勝 |url=http://www.shikoku-np.co.jp/sports/general/20191225000369 |website=四国新聞社 |access-date=2023-04-26}}</ref><br />(ドバイ)4696万700円<ref name="四国新聞-抹消" />
|冠 = [[JRA賞最優秀3歳牡馬]](2017年)<ref name="JBIS-基本">{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0001189721/ |title=レイデオロ|publisher=[[公益社団法人]][[日本軽種馬協会]]|website=JBIS-Search|accessdate=2020-01-25}}</ref><br>[[JRA賞最優秀4歳以上牡馬]](2018年)<ref name="JBIS-基本"/>
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'''レイデオロ'''({{lang-en-short|Rey de Oro}}、[[2014年]][[2月5日]] - )は、[[日本]]の[[競走馬]]現在は[[種牡馬]]。主な勝ち鞍は[[2017年]]の[[東京優駿]]、[[2018年]]の[[天皇賞(秋)]]。2017年の[[JRA賞最優秀3歳牡馬]]、2018年の[[JRA賞最優秀4歳以上牡馬]]<ref name="JBIS-基本"/>。
'''レイデオロ'''(欧字名:{{lang|en|Rey de Oro}}、[[2014年]][[2月5日]] - )は、[[日本]]の[[競走馬]]、[[種牡馬]]<ref name="JBIS">{{Cite web |title=レイデオロ|JBISサーチ(JBIS-Search) |url=https://www.jbis.or.jp/horse/0001189721/ |website=www.jbis.or.jp |access-date=2023-04-26}}</ref>。


2017年の[[東京優駿]](日本ダービー)(GI)優勝馬。2017年の[[JRA賞最優秀3歳牡馬]]、2018年の[[JRA賞最優秀4歳以上牡馬]]である。
馬名の由来は[[スペイン語]]で「黄金の王」という意味であり、父馬と母馬からの連想による<ref name="ca1503"/>。

== 概要 ==
2014年、[[北海道]][[安平町]]の[[ノーザンファーム]]で生産された2004年[[東京優駿]](日本ダービー)優勝馬[[キングカメハメハ]]産駒の牡馬である。[[ハイクレア]]や[[ウインドインハーヘア]]から続く[[牝系]]を受け継ぎ、祖母は[[レディブロンド]]、母はラドラーダであった。[[キャロットファーム]]が所有し、祖母や母、母父[[シンボリクリスエス]]と同じ[[美浦トレーニングセンター]]の[[調教師]][[藤沢和雄]]に管理されて競走馬となり、[[騎手]][[クリストフ・ルメール]]と成り上がった。

2016年、2歳10月に[[新馬戦]]を制した後、葉牡丹賞(500万円以下)と[[ホープフルステークス (中央競馬)|ホープフルステークス]](GII)を連勝して[[重賞]]初勝利を挙げ、クラシック戦線に加わった。年をまたいだ2017年は一頓挫あって前哨戦を使えず、[[皐月賞]](GI)に直行して敗退。続く[[東京優駿]](GI)ではスローペースの後方という不利を被ったが、ルメールが勇んで「まくり」策で覆し戴冠。父仔制覇を果たし、藤沢やルメールなどに初めてとなるダービータイトルをもたらしていた。秋には[[神戸新聞杯]](GII)を優勝、[[ジャパンカップ]](GI)で古馬に挑み、[[キタサンブラック]]に先着し[[シュヴァルグラン]]に次ぐ2着となった。

古馬となってからは、2年連続で[[ドバイシーマクラシック]]遠征をするも勝利できなかった。それでも国内では、2018年の[[オールカマー]](GII)を優勝、続く[[天皇賞(秋)]](GI)で同期の[[サングレーザー]]や[[キセキ (競走馬)|キセキ]]、[[アルアイン (競走馬)|アルアイン]]などを下して連勝しGI2勝目を果たした。競走生活晩年となる2019年は勝利から遠ざかった。17戦7勝、GI2勝を挙げて9億円を超える賞金を獲得した。

== デビューまで ==

=== 誕生までの経緯 ===

==== ウインドインハーヘア ====
[[ウインドインハーヘア]](後のレイデオロの曾祖母)は、1991年にアイルランドで生産された父[[アリゼオ]]、[[エリザベス女王]]が所有した活躍馬[[ハイクレア]]から連なる牝系を持つ牝馬である。ヨーロッパで競走馬となり、1994年の[[イギリスオークス]](G1)で2着など活躍した後、繁殖牝馬となって交配を行い受胎していた。ところが競走馬に復帰し、身重ながら1995年、ドイツの[[アラルポカル]](G1)を優勝。同年に再び引退し、改めて繁殖牝馬となっていた<ref>『優駿』2017年7月号 19頁</ref><ref name="優駿-2017-3-32">『優駿』2017年3月号 32頁</ref>。そして初仔、2番仔と産み落としていた。続く3番仔は、父[[シーキングザゴールド]]の牝馬だった<ref name="優駿-2017-3-32" />。後にウインドインハーヘアは、日本に渡り、[[サンデーサイレンス]]と交配し、[[ブラックタイド]]や[[ディープインパクト (競走馬)|ディープインパクト]]を産み落とすこととなる<ref name="優駿-2017-3-32" />。

父[[シーキングザゴールド]]の牝馬である3番仔はアイルランドに繋養されており、世界的な競走馬生産者である[[クールモアスタッド]]が所有して競走馬となることが内定していた<ref name="優駿-2017-7-32">『優駿』2017年7月号 32頁</ref>。しかしアイルランドを視察していた日本の[[中央競馬]]・[[美浦トレーニングセンター]]所属の調教師である[[藤沢和雄]]が、その3番仔を高く見込み、日本競馬で走らせたいと思うようになっていた<ref name="優駿-2017-7-32" />。競馬先進国のイギリス留学を経て調教師となった藤沢は、日本に様々な方式や技術を導入して成績を残していた。当時、出走に制限が設けられていた外国産馬も盛んに受け入れ、出走できないクラシック以外の場で[[シンコウラブリイ]]や[[タイキシャトル]]などを活躍させていた<ref>{{Cite web |title=藤沢和雄調教師とダービーの再遭遇。レイデオロはまだ終わっていない。(平松さとし) |url=https://number.bunshun.jp/articles/-/831991?page=2 |website=Number Web - ナンバー |access-date=2023-05-12 |language=ja}}</ref>。

この3番仔も、藤沢厩舎所属の外国産馬にするべく、クールモアに購入を打診したが断られた。それでも交渉の末、引退後にクールモアへ返納する約束のリース契約を勝ち取っていた<ref name="優駿-2017-7-32" />。3番仔は2000年に日本へもたらされ、藤沢に同行したクラブ法人の[[ロードホースクラブ]]が所有となった<ref name="優駿-2017-7-32" />。そして[[冠名]]「レディ」を含んだ「'''レディブロンド'''」(後のレイデオロの祖母)という競走馬名を授かり、藤沢厩舎に入厩していた<ref name="優駿-2017-7-32" />。

==== レディブロンド ====
レディブロンドは、返納の義務があるため、日本の関係者はひたすら競走成績を期待するしかなかった<ref name="優駿-2017-7-32" />。しかし股関節に不安があり、新馬戦や未勝利戦が設けられている4歳にデビューすることすらできなかった<ref name="優駿-2017-4-28">『優駿』2017年4月号 28頁</ref>。藤沢は、時間をかけて良化を待ち、遅れに遅れて5歳、2003年夏、2段階飛んで1000万円以下でデビューさせていた<ref name="優駿-2017-4-28" />。高い能力を備えていたレディブロンドは、既走馬相手に初出走初勝利で応えていた。そればかりかこの後に躍進、無敗の5連勝までを果たしていた<ref name="優駿-2017-7-20">『優駿』2017年7月号 20頁</ref><ref name="優駿-2017-4-28" />。{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=nLOpQSTUZr0&ab_channel=JRA%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB 2003年 スプリンターズステークス({{GI}})<br />レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画]}}5連勝達成直後には勇んで連闘し、[[スプリンターズステークス]](GI)でオープン競走初挑戦していた。3番人気に推され、優勝した[[デュランダル (競走馬)|デュランダル]]や2着の[[ビリーヴ (競走馬)|ビリーヴ]]に約2馬身以内、3着[[アドマイヤマックス]]に小差の4着に食い込んでいた<ref name="優駿-2017-7-20" /><ref>『優駿』2017年3月号 32頁</ref>。この直後に脚部不安をきたし、デビューから3か月で引退。約束通り、アイルランドに戻るべく検疫に入っていたが、日本の競走馬生産者である[[ノーザンファーム]]の代表である[[吉田勝己]]は、それを名残惜しく感じてすぐに購入オファーを敢行し、合意を勝ち取っていた<ref name="優駿-2017-7-32" />。直前でアイルランド帰国は無くなり、ノーザンファームに繋養されて繁殖牝馬となった<ref name="優駿-2017-7-32" />。2年目の2005年には、藤沢厩舎で活躍した外国産馬の[[シンボリクリスエス]]と交配し、受胎を経て牝馬を産んだ。その牝馬は、[[クラブ法人]]の[[キャロットファーム]]の所有となって「'''ラドラーダ'''」(後のレイデオロの母)となった<ref name="JBIS-ラドラーダ">{{Cite web |title=ラドラーダ|JBISサーチ(JBIS-Search) |url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000995255/ |website=www.jbis.or.jp |access-date=2023-05-12}}</ref>。

==== ラドラーダ ====
ラドラーダは、両親と同様に藤沢厩舎から競走馬となった。3歳、2009年1月にデビューから3連続2着の後、夏の4戦目で勝ち上がりを果たした。昇級初戦は2着だったが、秋には3連勝を果たして一気にオープンクラスまで出世<ref name="JBIS-ラドラーダ-成績">{{Cite web |title=競走成績:全競走成績|ラドラーダ|JBISサーチ(JBIS-Search) |url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000995255/record/?sort=ymd&page=1&order=A |website=www.jbis.or.jp |access-date=2023-05-12}}</ref>。年をまたいで4歳、2010年4月の[[阪神牝馬ステークス]](GII)でオープンクラス初戦を迎えて1番人気の6着だった。続いて5月には、[[ヴィクトリアマイル]](GI)に3番人気で挑んだが、[[ブエナビスタ (競走馬)|ブエナビスタ]]に敵わず13着だった<ref name="JBIS-ラドラーダ-成績" />。{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=8wXlGQSHB24&ab_channel=JRA%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB 2010年 ヴィクトリアマイル({{GI}})<br />レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画]}}その後は降級しながら引退まで連敗、18戦4勝で引退し、母同様にノーザンファームで繁殖牝馬となっていた<ref name="JBIS-ラドラーダ" />。初年度となる2013年には父[[ダイワメジャー]]の初仔を産み落とし、同年には、2004年の東京優駿(日本ダービー)などを優勝した[[キングマンボ系]]の種牡馬である[[キングカメハメハ]]と交配していた。受胎を経た2014年2月5日、北海道[[安平町]]のノーザンファームにて、2番仔である[[鹿毛]]の牡馬(後のレイデオロ)が誕生する<ref name="JBIS" />。

ラドラーダは、得た栄養を自らに向けず、宿している仔に過度に注ぎ込む性質の持ち主だった<ref name="優駿-2017-7-12">『優駿』2017年7月号 12頁</ref>。初年度、ひどく瘦せ細る姿にその性質をまだ知る由もない牧場スタッフは、沢山の栄養を与えて回復を促してしまっていた<ref name="優駿-2017-7-12" />。結果、胎内の仔がひたすらに成長してしまい、儲けた初仔は大柄になっていた<ref name="優駿-2017-7-12" />。その反省から2年目は、性質を汲み取って適切な栄養管理がなされていた<ref name="優駿-2017-7-14">『優駿』2017年7月号 14頁</ref>。そうして生まれた2番仔は、牧場の繁殖担当主任によれば「ちょうど良いサイズ<ref name="優駿-2017-7-14" />」だった。

=== 幼駒時代 ===
2番仔は、牧場の同期のなかでも離乳が遅く、母と長い時間を過ごした<ref name="優駿-2017-7-14" />。離乳して自立した後は、同期のなかでも強い精神力の持ち主となり、放牧中に集団を牽引する存在となった<ref name="優駿-2017-7-14" />。他の馬を脅迫して付き従わせるようなボスではなく、力を示さずとも自然にトップを君臨するようなリーダーとなるなど賢い一面があった<ref name="優駿-2017-7-14" /><ref>『優駿』2017年7月号 15頁</ref>。1歳をノーザンファームイヤリングで過ごした後、10月中旬にノーザンファーム空港で後期育成が施された<ref name="優駿-2017-7-17">『優駿』2017年7月号 17頁</ref>。母と同様にキャロットファームの所有として競走馬となる。
[[ファイル:Owner Carrot Farm.svg|サムネイル|205x205ピクセル|[[キャロットファーム]]の[[勝負服 (競馬)|勝負服]]]]
キャロットファームでは「緻密に削り出された彫刻を連想させる、バランスのとれた馬体、皮膚の薄さは特筆モノ(中略)走る馬はこうあるべきと思わず頷いてしまうほどの出来映え(中略)将来が嘱望される1頭<ref name="キャロット-HP">{{Cite web |url=http://carrotclub.net/horse/lfx-bosyuba-id-1503.htm |title=3. ラドラーダの14 |access-date=2023-4-28 |publisher=[[キャロットファーム]] |archive-url=https://web.archive.org/web/20160731181001/http://carrotclub.net/horse/lfx-bosyuba-id-1503.htm |archive-date=2016-7-31}}</ref>」などとの売り文句が附されて出資会員の募集がなされた。一口15万円の全40口、総額6000万円の条件で売り切れ、満口となった<ref name="キャロット-HP" />。父キングカメハメハ、母ラドラーダから連想されて[[スペイン語]]で「黄金の王」を意味する「'''レイデオロ'''」という競走馬名が与えられた<ref name="キャロット-HP" />。レイデオロは、母や母父、母母と同様に藤沢が担当することになった。[[ノーザンファーム空港牧場|ノーザンファーム空港]]から[[ノーザンファーム天栄]]を経て<ref name="優駿-2017-7-17" />、2歳、2016年5月に美浦の藤沢厩舎に入厩した<ref name="優駿-2017-4-28" />。デビュー前のゲート試験を合格すると、再び天栄に戻って調整されて、秋のデビューとなる<ref name="優駿-2017-4-28" />。藤沢はデビューする前から、レイデオロの能力に手応えがあった<ref name="優駿-2017-4-28" />。

祖母レディブロンドが短距離GIに出走するようなスプリンター、母ラドラーダもマイル以下を主戦場にしていたように前進気勢に富む一族、藤沢によれば「走るのが大好きな血統<ref name="優駿-2017-7-32" />」であったという。レイデオロもまた前進気勢に富み、調教でも頻繁に引っ掛かっていた。しかし手が付けられないほど深刻ではなかった<ref name="優駿-2017-7-32" />。祖母と母とは異なって完全にスプリンターの体形ではなかったため、中長距離路線での成り上がりを目指した<ref name="優駿-2017-7-32" />。牧場では、その前進気勢を抑制することなく、可能な限り尊重する形で育成が施されており、集団調教では、前に馬を置いて前進を我慢させたりしながら、節度のある前進気勢を身につけていった<ref>{{Cite web |title=2017年05月28日 日本ダービー G1 {{!}} 重賞ウィナーレポート {{!}} 競走馬のふるさと案内所 |url=https://uma-furusato.com/winner_info/89487.html |website=uma-furusato.com |access-date=2023-05-10}}</ref><ref>{{Cite web |title=2016年12月25日 ホープフルS G2 {{!}} 重賞ウィナーレポート {{!}} 競走馬のふるさと案内所 |url=https://uma-furusato.com/winner_info/87803.html |website=uma-furusato.com |access-date=2023-05-10}}</ref>。豊かな前進気勢は、競走馬としてデビューしてからしばらく続くこととなる。出走前のパドック周回はテンションが高く、走る気持ちに溢れていた<ref>『優駿』2017年4月号 38頁</ref>。後にノーザンファームの[[吉田俊介]]は「繊細で、返し馬でも持って行かれそうな怖さがある。それもあって、鞍上は変えたくない馬<ref>『優駿』2017年4月号 61頁</ref>」であると述べている。

== 背景 ==

=== 藤沢和雄とダービー ===
藤沢は、[[東京競馬場]]芝2400メートルで行われるクラシックの最高峰・東京優駿(日本ダービー)を優勝したことがなかった。1987年に厩舎を開業してから、5年で初めてリーディングトレーナーになるなど成績は上々だったが、それは馬に無理をさせずに寄り添い、時間をかけて成長を促したためであった<ref name="優駿-2017-7-30" />。息の長い現役生活を尊ぶ藤沢にとって、3歳5月という早い時期の長距離、それに馬生で一度しか出走できないダービーは、相性が悪かった<ref name="優駿-2017-7-30" />。イギリス留学から調教師となる間には、菊池一雄厩舎や[[野平祐二]]厩舎で[[調教助手]]をしており、菊池厩舎では1981年に[[カツトップエース]]で、野平厩舎では1984年に[[シンボリルドルフ]]で、それぞれダービー優勝を成し遂げていた<ref name="日刊-2022-藤沢">{{Cite web |title=【ダービー】藤沢和雄氏、セオリーは「王道組」名調教師の金言から浮かぶ今年のダービー馬は? - 3歳馬特集 : 日刊スポーツ |url=https://www.nikkansports.com/keiba/news/202205240000116.html |website=nikkansports.com |access-date=2023-05-07 |language=ja}}</ref>。後に藤沢は、この2勝から「ダービーって大したことない、3歳限定のレースだ、と思っていたこともあった<ref name="日刊-2022-藤沢" />」と振り返っている。
{| class="wikitable" style="float:right; font-size:smaller; text-align:center; margin:10px"
|+藤沢和雄のダービー挑戦
!<small>年</small>
!<small>騎乗馬</small>
!<small>参戦過程</small>
!<small>人</small><br/><small>気</small>
!<small>着</small><br/><small>順</small>
!<small>優勝</small>
!<small>出</small><br/><small>典</small>
|-
|<small>1989</small>
|<small>ロンドンボーイ</small>
|<small>青葉賞</small>
|<small>10</small>
|<small>22着</small>
|<small>[[ウィナーズサークル]]</small>
|<small><ref>{{Cite web |title=ロンドンボーイ (London Boy) {{!}} 競走馬データ |url=https://db.netkeiba.com/horse/1986102839/ |website=netkeiba.com |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref></small>
|-
| rowspan="4" |<small>2002</small>
|<small>[[シンボリクリスエス]]</small>
|<small>青葉賞</small>
|<small>3</small>
|<small>{{0}}{{Color|darkblue|2着}}</small>
| rowspan="4" |<small>[[タニノギムレット]]</small>
|<small><ref>{{Cite web |title=シンボリクリスエス (Symboli Kris S) {{!}} 競走馬データ |url=https://db.netkeiba.com/horse/1999110099/ |website=netkeiba.com |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref></small>
|-
|<small>マチカネアカツキ</small>
|<small>[[プリンシパルステークス|プリンシパルS]]</small>
|<small>6</small>
|<small>{{0}}{{Color|darkgreen|3着}}</small>
|<small><ref>{{Cite web |title=マチカネアカツキ (Machikane Akatsuki) {{!}} 競走馬データ |url=https://db.netkeiba.com/horse/1999100265/ |website=netkeiba.com |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref></small>
|-
|<small>[[ヤマノブリザード]]</small>
|<small>青葉賞</small>
|<small>16</small>
|<small>{{0}}9着</small>
|<small><ref>{{Cite web |title=ヤマノブリザード (Yamano Blizzard) {{!}} 競走馬データ |url=https://db.netkeiba.com/horse/1999104425/ |website=netkeiba.com |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref></small>
|-
|<small>サスガ</small>
|<small>[[皐月賞]]</small>
|<small>11</small>
|<small>17着</small>
|<small><ref>{{Cite web |title=サスガ (Sasuga) {{!}} 競走馬データ |url=https://db.netkeiba.com/horse/1999100624/ |website=netkeiba.com |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref></small>
|-
| rowspan="3" |<small>2003</small>
|<small>[[ゼンノロブロイ]]</small>
|<small>青葉賞</small>
|<small>3</small>
|<small>{{0}}{{Color|darkblue|2着}}</small>
| rowspan="3" |<small>[[ネオユニヴァース]]</small>
|<small><ref>{{Cite web |title=ゼンノロブロイ (Zenno Rob Roy) {{!}} 競走馬データ |url=https://db.netkeiba.com/horse/2000101517/ |website=netkeiba.com |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref></small>
|-
|<small>ゼンノジャンゴ</small>
|<small>プリンシパルS</small>
|<small>13</small>
|<small>{{0}}5着</small>
|<small><ref>{{Cite web |title=ゼンノジャンゴ (Zenno Django) {{!}} 競走馬データ |url=https://db.netkeiba.com/horse/2000101374/ |website=netkeiba.com |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref></small>
|-
|<small>スズノマーチ</small>
|<small>皐月賞</small>
|<small>16</small>
|<small>17着</small>
|<small><ref>{{Cite web |title=スズノマーチ (Suzuno March) {{!}} 競走馬データ |url=https://db.netkeiba.com/horse/2000101344/ |website=netkeiba.com |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref></small>
|-
|<small>2004</small>
|<small>ピサノクウカイ</small>
|<small>プリンシパルS</small>
|<small>8</small>
|<small>{{0}}7着</small>
|<small>[[キングカメハメハ]]</small>
|<small><ref>{{Cite web |title=ピサノクウカイ (Pisa no Kukai) {{!}} 競走馬データ |url=https://db.netkeiba.com/horse/2001106184/ |website=netkeiba.com |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref></small>
|-
|<small>2006</small>
|<small>[[ジャリスコライト]]</small>
|<small>皐月賞</small>
|<small>8</small>
|<small>14着</small>
|<small>[[メイショウサムソン]]</small>
|<small><ref>{{Cite web |title=ジャリスコライト (Jalisco Light) {{!}} 競走馬データ |url=https://db.netkeiba.com/horse/2003110004/ |website=netkeiba.com |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref></small>
|-
| rowspan="2" |<small>2007</small>
|<small>[[フライングアップル]]</small>
|<small>皐月賞</small>
|<small>12</small>
|<small>10着</small>
| rowspan="2" |[[ウオッカ (競走馬)|<small>ウオッカ</small>]]
|<small><ref>{{Cite web |title=フライングアップル (Flying Apple) {{!}} 競走馬データ |url=https://db.netkeiba.com/horse/2004110153/ |website=netkeiba.com |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref></small>
|-
|<small>プラテアード</small>
|<small>プリンシパルS</small>
|<small>17</small>
|<small>18着</small>
|<small><ref>{{Cite web |title=プラテアード (Plateado) {{!}} 競走馬データ |url=https://db.netkeiba.com/horse/2004102893/ |website=netkeiba.com |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref></small>
|-
|<small>2008</small>
|<small>クリスタルウイング</small>
|<small>青葉賞</small>
|<small>9</small>
|<small>{{0}}6着</small>
|<small>[[ディープスカイ]]</small>
|<small><ref>{{Cite web |title=クリスタルウイング (Crystal Wing) {{!}} 競走馬データ |url=https://db.netkeiba.com/horse/2005102640/ |website=netkeiba.com |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref></small>
|-
|<small>2010</small>
|<small>[[ペルーサ]]</small>
|<small>青葉賞</small>
|<small>2</small>
|<small>{{0}}6着</small>
|<small>[[エイシンフラッシュ]]</small>
|<small><ref>{{Cite web |title=ペルーサ (Pelusa) {{!}} 競走馬データ |url=https://db.netkeiba.com/horse/2007102705/ |website=netkeiba.com |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref></small>
|-
|<small>2012</small>
|[[スピルバーグ (競走馬)|<small>スピルバーグ</small>]]
|<small>プリンシパルS</small>
|<small>9</small>
|<small>14着</small>
|<small>[[ディープブリランテ]]</small>
|<small><ref>{{Cite web |title=スピルバーグ (Spielberg) {{!}} 競走馬データ |url=https://db.netkeiba.com/horse/2009105961/ |website=netkeiba.com |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref></small>
|-
| rowspan="3" |<small>2013</small>
|<small>[[コディーノ]]</small>
|<small>皐月賞</small>
|<small>4</small>
|<small>{{0}}9着</small>
| rowspan="3" |[[キズナ (競走馬)|<small>キズナ</small>]]
|<small><ref>{{Cite web |title=コディーノ (Codino) {{!}} 競走馬データ |url=https://db.netkeiba.com/horse/2010104236/ |website=netkeiba.com |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref></small>
|-
|<small>フラムドグロワール</small>
|[[NHKマイルカップ|<small>NHKマイルC</small>]]
|<small>11</small>
|<small>10着</small>
|<small><ref>{{Cite web |title=フラムドグロワール (Flamme de Gloire) {{!}} 競走馬データ |url=https://db.netkeiba.com/horse/2010104148/ |website=netkeiba.com |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref></small>
|-
|<small>レッドレイヴン</small>
|<small>青葉賞</small>
|<small>9</small>
|<small>12着</small>
|<small><ref>{{Cite web |title=レッドレイヴン (Red Raven) {{!}} 競走馬データ |url=https://db.netkeiba.com/horse/2010110014/ |website=netkeiba.com |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref></small>
|}
開業2年目の1989年には、ロンドンボーイ(父:[[ホクトボーイ]])で初めて挑戦させていた。4月に勝ち上がり、その月末の「指定オープン」[[青葉賞]](OP)で2着となった後、5月末に勝てると踏んで挑ませていたが22着敗退だった<ref name="スポニチ-藤沢引退">{{Cite web |title=藤沢和師の後悔「60点の調教師だった」、厩舎構え34年 今週末で引退の師自身が語り尽くした |url=https://keiba.sponichi.co.jp/news/20220221s00004000564000c |website=スポニチ競馬Web |access-date=2023-05-07 |language=ja}}</ref>。藤沢はロンドンボーイの素質を高く見込んでおり、ダービー後の活躍も期待していた。しかしこの後は条件戦2戦1勝のみに留まり、本領を発揮させることのできないまま引退に追い込まれた<ref name="優駿-2017-7-28">『優駿』2017年7月号 28頁</ref><ref name="優駿-2022-4-72">『優駿』2022年4月号 72頁</ref>。

藤沢は、ダービートレーナーになることを強く望んでいた<ref name="優駿-2017-7-28" />。しかしこのロンドンボーイの失敗から、目先のダービーという大タイトルに強く囚われず、馬の将来をより重視しようと考えるようになった<ref name="スポニチ-藤沢-ダービー">{{Cite web |title=【日本ダービー】藤沢和師が初V!現役最多19頭目で悲願達成|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2017/05/29/kiji/20170528s00004145570000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-11 |language=ja}}</ref><ref>『優駿』2017年7月号 29頁</ref>。このロンドンボーイを教訓にして、しばらくダービー参戦は実現しなかった<ref name="優駿-2022-4-72" />。1995年[[JRA賞最優秀2歳牡馬|JRA賞最優秀3歳牡馬]]に輝いた[[バブルガムフェロー]]のクラシック直前での骨折という不運、厩舎の所属馬がクラシック出走権のない外国産馬ばかりであることも重なり、俄然ダービーに届かなかった<ref name="スポニチ-藤沢-ダービー" /><ref name="優駿-2017-7-30">『優駿』2017年7月号 30頁</ref>。

2001年に外国産馬のクラシック出走が解禁されると、翌2002年、ロンドンボーイ以来12年ぶりの挑戦を果たしていた<ref name="スポニチ-藤沢引退" />。しかも再挑戦初戦で4頭を送り込んでいた。そのうち外国産馬の[[シンボリクリスエス]]と内国産馬のマチカネアカツキは善戦。しかし[[タニノギムレット]]に敵わず2着3着だった。中でもシンボリクリスエスは、素質はあったが、デビュー当初から体質が弱い面があり慎重に調整されており、クラシック初戦の皐月賞参戦が叶わず、青葉賞優勝から挑ませていた。藤沢は期待をかけていたが敵わなかった。それでもシンボリクリスエスは、ロンドンボーイのように故障し早くに引退することはなく、息の長い現役生活を送ることができた。秋には[[天皇賞(秋)]]と[[有馬記念]]を優勝し、翌年にその両方を連覇するなど本領を発揮。藤沢はシンボリクリスエスで、ダービー挑戦と長く中身のある馬生追求の両立を実現していた。

この後、[[ゼンノロブロイ]]や[[ペルーサ]]などが青葉賞から挑んでいた。優勝できなかったが、シンボリクリスエスと同様に長い現役生活を実現していた<ref name="優駿-2017-7-31">『優駿』2017年7月号 31頁</ref>。藤沢の方針では、始動は遅くなる傾向が高く、時期的に4月の皐月賞出走は厳しかった。そのため泣く泣く青葉賞からの参戦が定番化し、やがて藤沢厩舎の慣例となっていた<ref name="優駿-2017-7-31" />。例外として特質すべきは2013年、早々にデビューした[[コディーノ]]が、賞金を積んで皐月賞に到達し3着となってからダービー出走するも9着だった<ref name="優駿-2017-7-31" />。

ロンドンボーイの挑戦から試行錯誤しているうちに敗戦は重なり、四半世紀以上が経過。通算勝利数が1000勝を超えるなど実績を残しているにもかかわらず、ダービータイトルだけに届いていない現象には「七不思議」のひとつとも捉えられていた<ref name="日刊-2022-藤沢" />。そして調教師の定年が間近に迫った2016年、藤沢は、レイデオロに出会っていた<ref>{{Cite web |title=藤沢和師19頭目厩舎ゆかりの血で初勝利/ダービー|url=https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=1831433&year=2017&month=05&day=29 |website=p.nikkansports.com |access-date=2023-05-02 |language=ja}}</ref>。

== 競走馬時代 ==


== 経歴 ==
=== 2歳(2016年) ===
=== 2歳(2016年) ===
10月9日、[[東京競馬場]]の[[新馬戦]](芝2000メートル)でデビューとなる。鞍上には、この日の[[毎日王冠]]で[[アンビシャス (日本の競走馬)|アンビシャス]]に騎乗するために東京にいた[[クリストフ・ルメール]]が起用され、この後、ルメールとともに成り上がりを果たすこととなる<ref>{{Cite web |title=ルメール連載【60】新馬戦完勝も競馬を分かっていなかったレイデオロ |url=https://tospo-keiba.jp/Lemaire/12733 |website=東スポ競馬 |date=2022-04-25 |access-date=2023-05-13 |language=ja}}</ref>。16頭立てとなる中、単勝オッズ1.7倍の1番人気だった。スタートから好位の5番手を追走した後、直線で進出<ref>{{Cite web |title=【東京新馬戦】レイデオロがデビュー勝ち ルメール「距離延びても」|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2016/10/10/kiji/K20161010013506300.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref>。終いで先に抜け出した馬を差し切り、突き放した<ref>{{Cite web |title=【POG】レイデオロ快勝「いい瞬発力」とルメールも高評価/デイリースポーツ online |url=https://www.daily.co.jp/horse/2016/10/09/0009566984.shtml |website=デイリースポーツ online |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref>。後方に1馬身4分の1差をつけて先頭で決勝線を通過し、初出走初勝利を挙げた<ref>{{Cite web |title=【2歳新馬】東京5R 1番人気レイデオロがデビュー勝ち |url=https://umanity.jp/racedata/race_newsdet.php?nid=3551276 |website=競馬予想のウマニティ |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref>。
2016年10月9日のメイクデビュー[[東京競馬場|東京]]で[[クリストフ・ルメール]]を鞍上に1番人気でデビュー。道中5番手で折り合うと直線では先に抜け出したポールヴァンドルに1馬身1/4差をつけて快勝した<ref>[https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2016/10/09/kiji/K20161009013503540.html 【東京5R新馬戦】レイデオロ人気に応え初陣V ルメール「いい瞬発力」]スポーツニッポン、2016年12月25日閲覧</ref><ref>[https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2016/10/10/kiji/K20161010013506300.html 【東京新馬戦】レイデオロがデビュー勝ち ルメール「距離延びても」]スポーツニッポン、2016年12月25日閲覧</ref>。次走は12月3日の葉牡丹賞(500万下)に出走し、後方2番手を進むと直線で外から鋭く伸びてデビュー2連勝となった<ref>[https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2016/12/03/kiji/K20161203013840100.html 【葉牡丹賞】レイデオロ、無傷2連勝 藤沢和師「様子見てホープフルSへ」]スポーツニッポン、2016年12月25日閲覧</ref><ref>[https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2016/12/04/kiji/K20161204013843570.html 【葉牡丹賞】ルメール称賛!レイデオロ 直線突き抜け無傷の2連勝]スポーツニッポン、2016年12月25日閲覧</ref>。そして12月25日の[[ホープフルステークス (中央競馬)|ホープフルステークス]](GII)では道中後方3番手から直線で一気に脚を伸ばして先頭に立つと、2着の[[マイネルスフェーン]]に1馬身1/4差をつけて重賞初制覇を飾った<ref>[http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=117687 レイデオロが無傷の3連勝で重賞初制覇!/ホープフルS]netkeiba.com、2016年12月25日閲覧</ref>。

続いて藤沢は、11月に行われる[[東京スポーツ杯2歳ステークス]]で重賞初参戦を予定したが、ルメールには先約があり、コンビ継続が難しかった。翌年のクラシックを見据える陣営は、名手ルメールを手放したくなかった<ref name="日経-2017年藤沢勢">{{Cite web |title=秋の構図左右 レイデオロとソウルスターリングの進路 - 日本経済新聞 |url=https://www.nikkei.com/article/DGXMZO18268270Z20C17A6000000/ |website=www.nikkei.com |access-date=2023-05-01}}</ref>。そこで予定を変更して重賞参戦を見送り、12月3日、[[中山競馬場]]開催の芝2000メートルの葉牡丹賞(500万円以下)に参戦していた<ref name="日経-2017年藤沢勢" />。再び1.7倍の1番人気という支持を集める中、スタートから打って変わって控えて、後方を追走した<ref name="競馬ラボ-葉牡丹賞">{{Cite web |title=【POG】1番人気のレイデオロがケタ違いの末脚で差し切りV!…葉牡丹賞|url=https://www.keibalab.jp/topics/32019/ |website=www.keibalab.jp |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref>。短い直線に差し掛かり、大外に持ち出しながら末脚を発揮し、先に抜け出した[[コマノインパルス]]を差し切り、そして突き放していた<ref>{{Cite web |title=【葉牡丹賞】豪脚一閃!レイデオロが500万も楽々通過 |url=http://race.sanspo.com/keiba/news/20161203/pog16120314400011-n1.html |website=予想王TV@SANSPO.COM |date=2016-12-03 |access-date=2023-04-29 |language=ja-JP}}</ref><ref name="競馬ラボ-葉牡丹賞" />。1馬身差をつけて決勝線に到達し、2連勝を果たした<ref name="競馬ラボ-葉牡丹賞" />。

それから12月25日、[[ホープフルステークス (中央競馬)|ホープフルステークス]](GII)で重賞初挑戦となる。[[サングレーザー (競走馬)|サングレーザー]]や重賞3着のグローブシアターとの対決となったが、1.5倍の1番人気に推された<ref name="優駿-2017-2-112">『優駿』2017年2月号 112頁</ref>。葉牡丹賞からわずか2週間という短い間隔だったが、強気に出走を決めていた<ref name="優駿-2017-7-32" />。{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=k_Y-QP9BHlc&ab_channel=JRA%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB 2016年 ホープフルステークス({{GII}})<br />レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画]}}不格好な形のままスタートが切られて出遅れ、後方追走を余儀なくされた<ref>{{Cite web |title=ルメール連載【61】16年11月6日「何もかもがうまくいく日」で1日8勝 |url=https://tospo-keiba.jp/Lemaire/13004 |website=東スポ競馬 |date=2022-05-02 |access-date=2023-04-29 |language=ja}}</ref>。それでも第3コーナーから先行馬群に突っ込みながら盛り返し、最終コーナーを好位集団の背後まで進出した<ref name="優駿-2017-2-112" />。最後の直線コースで馬群を割ってから末脚を発揮すると、他の馬をすべて差し切って先頭を奪取していた<ref name="優駿-2017-2-112" />。内からマイネルスフェーンが追い込んでいたが、反対に突き放して独走だった<ref name="優駿-2017-2-112" />。1馬身4分の1差をつけて決勝線に到達し、無傷の3連勝で重賞初優勝を果たした<ref name="優駿-2017-2-112" />。

3戦3勝で終えたこの年の[[JRA賞]]では、[[JRA賞最優秀2歳牡馬|最優秀2歳牡馬]]部門で票を得たが11票に留まり、[[朝日杯フューチュリティステークス]]優勝の[[サトノアレス]]には叶わなかった<ref name="優駿-2017-2-73">『優駿』2017年2月号 73頁</ref>。最優秀2歳牡馬に輝いたサトノアレスは、同じく藤沢厩舎だった<ref name="優駿-2017-2-73" />。さらに2歳牝馬限定のGIである[[阪神ジュベナイルフィリーズ]]を優勝し[[JRA賞最優秀2歳牝馬|最優秀2歳牝馬]]に輝いた[[ソウルスターリング]]もまた藤沢厩舎、そしてルメールが導いていた<ref name="優駿-2017-2-73" />。藤沢は、史上初めてとなる同一年の2歳GI独占を成し遂げていた<ref name="優駿-2017-4-26">『優駿』2017年4月号 26頁</ref>。その育成方針から、奥手な競走馬になる傾向がある藤沢厩舎だったが、翌年は牡牝に有力馬を抱えてクラシックに挑むこととなる<ref name="優駿-2017-4-26" />。しかも牡牝両方に、ルメールを確保していた。


=== 3歳(2017年) ===
=== 3歳(2017年) ===
当初の予定では前哨戦の[[弥生賞]](GII)を経て、本番の[[皐月賞]](GI)に臨むというローテーションを組んでいたが、[[ソエ]]の症状が芳しくなく馬体にも疲労が蓄積していたことから、弥生賞を回避して皐月賞へ直行することとなった。2月1日、馬主は自身のホームページにおいて「フレッシュな状態で本番へ向かいたい」と唆した<ref>[https://www.daily.co.jp/horse/2017/02/02/0009880042.shtml ホープフルS覇者レイデオロ 馬体の疲れ考慮し皐月賞直行へ] デイリースポーツより 2017年5月28日閲覧</ref>。迎えた皐月賞(GI)では、休み明け直行が不安視され、最終オッズ10.4倍の5番人気に留まった。レースでは後方からの競馬を選び、直線に至るまで自らのポジションを保持しながら最後の直線へ。残り150m付近から伸びてくるも先団を捕えるには及ばず、5着に敗れた<ref>[http://klan.jp/r20170603081101 第77回 皐月賞] KLANより 2017年5月28日閲覧</ref>。


==== 皐月賞 ====
レイデオロは引き続き、クラシック第2戦・[[東京優駿|東京優駿(日本ダービー)]](GI)に出走。最終オッズは5.3倍で、[[青葉賞]]を勝って挑んだ[[アドミラブル]]に次ぐ2番人気に推される。レースではスタートでは後方に位置し、皐月賞と同じような競馬をするかと思われたが、鞍上のルメールが「レースのペースが遅い」と判断し、1600mの標識を通過したところで前へ進出し、1000mの標識付近では逃げる[[マイスタイル]]に次ぐ2番手に位置した。2番手をキープしつつ、迎えた最後の直線では、残り200m付近でマイスタイルを漸く抜かし、追いすがる[[スワーヴリチャード]]、迫るアドミラブルらを抑え、2着のスワーヴリチャードに3/4馬身の差をつけ優勝した。またこの勝利により、ルメールは史上最多タイとなる3週連続GI制覇を達成した<ref>[http://klan.jp/r20170502121001 第84回 日本ダービー] KLANより 2017年5月28日閲覧</ref><ref>[http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=122334 レイデオロが7015頭の頂点に! ルメール騎手は3週連続GI勝利!/日本ダービー] netkeibaより 2017年5月28日閲覧</ref>。藤沢和雄調教師は前週行われた[[優駿牝馬|優駿牝馬(オークス)]](GI)を[[ソウルスターリング]]で制しており、ダービー初制覇をクラシック2週連続制覇という形で成し遂げた。
クラシック初戦の皐月賞参戦に向けては、[[トライアル競走]]の[[弥生賞]]や[[スプリングステークス]]を前哨戦にする予定だった<ref name="デイリー皐月賞直行">{{Cite web |title=ホープフルS覇者レイデオロ 馬体の疲れ考慮し皐月賞直行へ/デイリースポーツ online |url=https://www.daily.co.jp/horse/2017/02/02/0009880042.shtml |website=デイリースポーツ online |access-date=2023-04-30 |language=ja}}</ref><ref name="スポニチ-弥生賞回避">{{Cite web |title=レイデオロ 皐月直行も…ソエ改善間に合わず弥生賞を見送り|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2017/02/02/kiji/20170201s00004145310000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-04-30 |language=ja}}</ref>。しかしホープフルステークスの後にソエを発症するなど疲労が目立ち、回復に時間がかかったためにトライアル競走での復帰は叶わず{{Efn|他に、予定していた[[スプリングステークス]]当日は、ルメールが他場で行われる[[阪神大賞典]]で[[サトノダイヤモンド]]に騎乗する先約があったことも、直行決断の後押しとなった<ref name="デイリー皐月賞直行" />。}}、異例の皐月賞直行が選択された<ref name="デイリー皐月賞直行" /><ref name="スポニチ-弥生賞回避" />。前年暮れに敢行した葉牡丹賞からホープフルステークスの連戦連勝は、賞金面や中山のコース経験などの不安解消という面では大いに効果的だった<ref name="優駿-2017-7-32" />。しかしクラシック直前になって、その反動に祟られる報いを受けることになった<ref name="優駿-2017-7-32" />。目先のクラシックに囚われずその後の将来も考える藤沢にとって、2歳戦からの本番直行という異例のローテーションは、1999年に[[スティンガー (競走馬)|スティンガー]]で敢行していた。連闘で[[阪神3歳牝馬ステークス]]を戴冠した後、牝馬クラシック初戦の桜花賞に直行していた<ref name="優駿-2017-4-29">『優駿』2017年4月号 29頁</ref>。12着で戴冠は叶わなかったがここで消耗せずに長く活躍、理念に適った長い馬生を叶えていた<ref name="優駿-2017-4-29" />。


レイデオロは、トライアル競走が行われている最中の3月14日に、天栄から帰厩して調整を再開し、4月16日の皐月賞(GI)に参戦した<ref>{{Cite web |title=レイデオロが美浦に帰厩 ステップレースを自重して皐月賞直行|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2017/03/17/kiji/20170316s00004145458000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-04-30 |language=ja}}</ref>。この年のクラシックの牡馬戦線は、傑出した馬がおらず混戦とされていた<ref name="優駿-2017-4-31">『優駿』2017年4月号 31頁</ref>。2歳戦線は、異端の[[ブレスジャーニー]]が良血馬を続けて破るなど波乱が起こり、2歳重賞で1番人気に応えた牡馬はレイデオロのみだった<ref>『優駿』2017年6月号 29頁</ref>。頼みのブレスジャーニーはクラシックを前に故障してリタイアとなり、レイデオロは直行という不安要素があった<ref name="優駿-2017-4-31" />。またブレスジャーニーとレイデオロ不在の朝日杯フューチュリティステークスでは、牝馬のミスエルテが1番人気に推されるなど、牡馬勢は総じて頼りなかった<ref name="優駿-2017-6-30">『優駿』2017年6月号 30頁</ref>。[[ファイル:Rey de Oro Satsuki Sho 2017.jpg|サムネイル|266x266ピクセル|[[皐月賞]]]]
秋緒戦の[[神戸新聞杯]](GII)は、後に[[菊花賞]]を勝利する[[キセキ (競走馬)|キセキ]]以下に圧勝。優先出走権を得ていた菊花賞は回避し、続く[[ジャパンカップ]] (GI)では[[キタサンブラック]]に次ぐ2番人気に推され、ゴール寸前に同馬を交わすも5番人気の[[シュヴァルグラン]]を1馬身1/4前に見る形での2着に終わり、[[ジャングルポケット (競走馬)|ジャングルポケット]]に次ぐ3歳でのダービー・ジャパンカップ制覇は果たせなかった。

そして迎えた本番の皐月賞でも、牡馬勢は心許なかった<ref name="優駿-2017-6-92">『優駿』2017年6月号 92頁</ref>。別路線から飛び込んできた牝馬、[[フラワーカップ]]優勝から桜花賞参戦を見送り挑んできた無敗の[[ファンディーナ]]が1番人気に奪われた<ref name="優駿-2017-6-30" />。以下牡馬勢、[[共同通信杯]]優勝の[[スワーヴリチャード]]、[[弥生賞]]優勝の[[カデナ]]、[[アーリントンカップ]]優勝の[[ペルシアンナイト]]という前哨戦優勝組が占め、それに続く10.4倍の5番人気がレイデオロだった<ref name="優駿-2017-6-92" />。

内枠のスタートから主張せずに後方内側を追走し、終いは内に潜って馬群を割って進出したが、上位争いは遥か前方で繰り広げられていた<ref name="サンスポ-皐月賞-5着">{{Cite web |title=【皐月賞】レイデオロ、ダービー手応え5着 |url=http://race.sanspo.com/keiba/news/20170417/pog17041705010006-n1.html |website=サンスポZBAT!競馬 |date=2017-04-17 |access-date=2023-04-30 |language=ja-JP}}</ref>。先行して先に抜け出していた[[アルアイン (競走馬)|アルアイン]]やペルシアンナイト、[[ダンビュライト]]、[[クリンチャー]]には、展開的に敵わなかった<ref name="優駿-2017-6-30" />。トライアル競走ではなく別路線の[[毎日杯]]優勝から臨んだアルアインが優勝し、それに約2馬身以上後れを取る5着だった<ref name="優駿-2017-6-92" />。{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=4VqLNX-5Pzs&ab_channel=JRA%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB 2017年 皐月賞({{GI}})<br />レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画]}}
初の敗北となったが、休み明け初戦ながら上がり3ハロン・末脚はメンバー中2番目に早いものを繰り出していたため、陣営は悲嘆に暮れなかった<ref>『優駿』2017年6月号 19頁</ref><ref>{{Cite web |title=「中111日」レイデオロは悔しい結果に |url=https://tospo-keiba.jp/northern-farm/1051 |website=東スポ競馬 |date=2017-04-20 |access-date=2023-04-30 |language=ja}}</ref>。ルメールは、直線の長い東京競馬場で行われる東京優駿での上昇を期待するようになった<ref name="スポニチ-皐月賞-藤沢">{{Cite web |title=【皐月賞】藤沢和勢、雪辱必ず!5着レイデオロ&11着サトノアレス|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2017/04/17/kiji/20170416s00004145497000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-04-30 |language=ja}}</ref>。この後は天栄滞在を経て、5月4日に帰厩し東京優駿を目指した<ref name="日経-2017年藤沢勢" />。

==== 東京優駿(日本ダービー) ====
5月28日、クラシック第二弾・最高峰の東京優駿(日本ダービー)(GI)に参戦となる。この1週間前、同条件の牝馬クラシックの優駿牝馬(オークス)に藤沢とルメールは、ソウルスターリングで挑んでいた。レイデオロと同様に牝馬クラシック初戦の桜花賞で3着で初敗北を喫したソウルスターリングだったが、続く優駿牝馬で巻き返して優勝を果たしていた。このため藤沢とルメールは、レイデオロで2週連続クラシック優勝を狙う機会に恵まれた。初めてとなる東京競馬場参戦だったが、陣営は適性があると見込んでいた<ref>{{Cite web |title=【ダービー】レイデオロ 逆襲必至 ルメール「パワーアップしています」/デイリースポーツ online |url=https://www.daily.co.jp/horse/2017/05/18/0010197284.shtml |website=デイリースポーツ online |access-date=2023-04-30 |language=ja}}</ref>。"前哨戦"の皐月賞を叩いたことで状態も上向いて程よく気合が乗っており、当日のパドック周回は、溢れる気合を宥めるために2人で曳かれていた<ref name=":0" />。

皐月賞は接戦での決着となり、混戦模様を覆すような新星は現れなかった<ref>{{Cite web |title=【皐月賞】非王道組のアルアインがV 主要トライアルの低レベル浮き彫りに/デイリースポーツ online |url=https://www.daily.co.jp/horse/2017/04/16/0010102591.shtml |website=デイリースポーツ online |access-date=2023-05-02 |language=ja}}</ref>。1800メートルの毎日杯を優勝したアルアイン、マイルのアーリントンカップを優勝したペルシアンナイトなど短い距離を走った馬が上位を占めており、2400メートルの東京優駿に直結するか疑問視されていた。皐月賞トライアル組など既存勢力が揃って頼りなくある中で、皐月賞不出走組やダービートライアル組、あるいは不安を抱えたまま皐月賞に挑み敗れた面々が信頼されるようになった。1番人気から5番人気までが3倍台から8倍台でひしめき、皐月賞同様に「混戦」とされる中、[[アドミラブル]]がトライアル・[[青葉賞]]優勝馬として史上初めてとなるダービー1番人気となり<ref>{{Cite web |title=【日本ダービー】アドミラブルがた1番ひと1番人気…青葉賞勝ち馬として史上初|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2017/05/28/kiji/20170528s00004048203000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-04-30 |language=ja}}</ref>、3.5倍だった<ref name="優駿-2017-7-98">『優駿』2017年7月号 98頁</ref>。次いで叩き2戦目の皐月賞5着レイデオロが5.3倍、右回りが合わず皐月賞6着スワーヴリチャードが5.9倍、皐月賞優勝アルアインが6.3倍、毎日杯2着から皐月賞を見送り参戦した[[サトノアーサー]]が8.0倍の5番人気だった<ref name="優駿-2017-7-98" />。{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=Qxd38ojfOkE&t=16s&ab_channel=JRA%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB 2017年 東京優駿(日本ダービー)({{GI}})<br />レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画]}}

6枠12番からスタートしたレイデオロは、主張せずに後方を追走した<ref name="優駿-2017-7-98" />。前方では[[横山典弘]]と[[マイスタイル]]がハナを奪取して単騎で逃げ、横山は落ち着いたペースで先導していた<ref name="優駿-2017-7-98" />。レイデオロのルメールは、最初の300メートルを通過した時点でそのペースとなることを見抜き、このまま後方に留まっては勝利できないと悟っていた<ref name=":0">『優駿』2017年7月号 25頁</ref><ref>『優駿』2017年7月号 8頁</ref>。逃げるマイスタイルが前半の1000メートルを過去30年で最も遅い63.2秒で通過するという超スローペースを演出する中、馬群の後方外側で向こう正面に差し掛かったレイデオロは、不利な後方から逃れるために「まくり」を展開する<ref name="優駿-2017-7-9">『優駿』2017年7月号 9頁</ref><ref name="スポニチ-ダービーぺース" />。

後方10番手から外に持ち出して「まくり」先行集団に合流したレイデオロは、マイスタイルの背後も確保し、スローペースでも勝負できる位置まで進出していた<ref>{{Cite web |title=レイデオロが快勝 藤沢和師が悲願の制覇/ダービー|url=https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=1831122&year=2017&month=05&day=28 |website=p.nikkansports.com |access-date=2023-05-02 |language=ja}}</ref>。馬は加速減速の切り替えが難しいため、「まくり」は、減速できず引っ掛かってしまう可能性があった<ref name="優駿-2017-7-10">『優駿』2017年7月号 10頁</ref>。引っ掛かれば終いまで持たず、大敗する危険も孕んでいたが、レイデオロは引っ掛かることなく追走することができていた<ref name="優駿-2017-7-10" />。第3コーナーを2番手で通過し最終コーナーに差し掛かると、各馬が一斉に動き出してペースが上がり、直線では、各々がここまで溜めていた末脚の勝負となった<ref name="優駿-2017-7-98" />。
[[ファイル:Final stretch - Japanese Derby 2017 (34953082935).jpg|サムネイル|363x363ピクセル|先頭に立ったレイデオロ(緑帽12番)にスワーヴリチャード(黒帽4番)が詰め寄る。ペルシアンナイト(緑帽11番)アルアイン(青帽7番)が遅れて追い上げる。]]
馬場の真ん中を2番手で進むレイデオロは、ペースに甘えて逃げ粘るマイスタイルに並びかけて、残り300メートルからルメールのステッキに反応して末脚を発揮した<ref name="優駿-2017-7-9" />。背後には、好位から追い込むスワーヴリチャードがおり、接近を許して「まくり」のレイデオロは先頭を脅かされた<ref name="優駿-2017-7-9" />。しかしルメールに促されるともう一伸びして先頭を守り切っていた。後方アドミラブルは大外に持ち出して追い込み、確かに鋭い末脚を披露していたが、レイデオロは既に挽回不能のリードを構築していた<ref name="優駿-2017-7-9" />。
[[ファイル:Derby Winner Rey de Oro and Lumaire - Tokyo Yushin Japanese Derby 2017 (34789221702).jpg|サムネイル|226x226ピクセル|声援に応えるルメールとレイデオロ]]
スワーヴリチャードより4分の3馬身、アドミラブルより約2馬身先に決勝線到達を果たした<ref name="優駿-2017-7-98" />。展開がスローペースだったため、良馬場開催にもかかわらず遅い決着となった<ref name="優駿-2017-7-10" />。近20年の良馬場開催では、エイシンフラッシュが優勝した2010年に並んで最も遅い走破タイムだった<ref name="スポニチ-ダービーぺース">{{Cite web |title=【日本ダービー】ここ20年で“最遅タイ”の2分26秒9はハイレベル世代の証?|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2017/05/28/kiji/20170528s00004048421000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-01 |language=ja}}</ref>。スローペースを見越して腹を括って「まくり」を敢行し、不利を覆したルメールの騎乗は、各所で「神騎乗」と称賛された<ref>『優駿』2017年7月号 22頁</ref><ref name="優駿-2017-7-9" />。
[[ファイル:Winners Ceremony - Tokyo Yushin Japanese Derby 2017 (34789537112).jpg|サムネイル|225x225ピクセル|表彰式]]
皐月賞から巻き返してダービー戴冠を成し遂げた。1996年[[フサイチコンコルド]]に次ぎ2000年[[アグネスフライト]]など{{Efn|他に2005年[[ディープインパクト (競走馬)|ディープインパクト]]、2016年[[マカヒキ (競走馬)|マカヒキ]]}}と並ぶ、史上2番目に早いデビュー5戦目での優勝であり、また1985年[[シリウスシンボリ]]以来32年ぶり2頭目となる3歳2戦目での優勝だった<ref name="競馬ブック-ダービーアラカルト">{{Cite web |title=日本ダービーアラカルト |url=https://p.keibabook.co.jp/news/detail/65814 |website=競馬ブック |access-date=2023-05-02}}</ref><ref name="優駿-2017-7-41">『優駿』2017年7月号 41頁</ref>。加えて1973年[[タケホープ]]以来44年ぶり15頭目となる5文字馬の優勝だった<ref name="優駿-2017-7-41" />。さらに2004年キングカメハメハ以来となる馬番「12」の優勝であり、父仔が同じ馬番から優勝を果たしていた<ref name="競馬ブック-ダービーアラカルト" />。キングカメハメハの親仔優勝は、前々年[[ドゥラメンテ]]以来であり、[[ミナミホマレ]]{{Efn|父ミナミホマレ(1942年優勝)、仔[[ゴールデンウェーブ]](1954年)、[[ダイゴホマレ]](1958年)}}、[[ディープインパクト (競走馬)|ディープインパクト]]{{Efn|父[[ディープインパクト (競走馬)|ディープインパクト]](2005年)、仔[[ディープブリランテ]](2012年)、[[キズナ (競走馬)|キズナ]](2013年)、[[マカヒキ (競走馬)|マカヒキ]](2016年)}}に続いて史上3頭目となる親仔制覇2勝を果たしていた<ref name="競馬ブック-ダービーアラカルト" /><ref name="優駿-2017-7-41" />。付け加えてノーザンファームは、前々年ドゥラメンテ、前年[[マカヒキ (競走馬)|マカヒキ]]に続く連覇で史上初めてとなるダービー3連覇していた<ref>{{Cite web |title=ノーザンFがダービー3連覇&V8、キングカメハメハは2度目の父仔制覇 |url=https://p.keibabook.co.jp/news/detail/65847 |website=競馬ブック |access-date=2023-05-01}}</ref>。

そしてルメールと藤沢、それにキャロットファームは、ダービー初勝利を果たしていた<ref name="優駿-2017-7-41" />。ルメールは、2002年の日本初騎乗から前々年・2015年の日本移籍とダービー初騎乗を経て、前年2016年、[[サトノダイヤモンド]]で挑みマカヒキにハナ差敗れる2着を乗り越え、3回目の騎乗で初めて'''日本'''ダービージョッキーとなった。それから藤沢は、厩舎開業30年目で19頭目の挑戦、2002年シンボリクリスエスや2003年ゼンノロブロイの2着を乗り越えてダービートレーナーとなり<ref name="優駿-2017-7-41" />、キャロットファームは、1985年の馬主登録以来13頭目の挑戦、2013年エピファネイアの2着を乗り越えてダービーオーナーとなっていた<ref>{{Cite web |title=【日本ダービー】高橋代表 13頭目で悲願「言葉にならない」|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2017/05/29/kiji/20170528s00004145525000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-01 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |title=【ダービー】キャロットF高橋代表 初の栄冠に驚き「いいんですか」/デイリースポーツ online |url=https://www.daily.co.jp/horse/2017/05/29/0010233651.shtml |website=デイリースポーツ online |access-date=2023-05-01 |language=ja}}</ref>。
{| class="wikitable" style="float:right; font-size:smaller; text-align:center; margin:10px"
|+<small>同一年の優駿牝馬・東京優駿ダブル優勝を果たした騎手・調教師</small><ref name="優駿-2017-7-40">『優駿』2017年7月号 40頁</ref>
! colspan="2" |<small>年</small>
!優勝馬
!騎手
!調教師
|-
| rowspan="2" |1943
|東京優駿
| rowspan="2" |'''[[クリフジ]]'''
| rowspan="2" |'''[[前田長吉]]'''
| rowspan="2" |'''[[尾形藤吉]]'''
|-
|優駿牝馬
|-
| rowspan="2" |1951
|東京優駿
|[[トキノミノル]]
|[[岩下密政]]
| rowspan="2" |'''[[田中和一郎]]'''
|-
|優駿牝馬
|[[キヨフジ]]
|[[阿部正太郎]]
|-
| rowspan="2" |1952
|東京優駿
|[[スウヰイスー]]
| rowspan="2" |'''[[八木沢勝美]]'''
|[[松山吉三郎]]
|-
|優駿牝馬
|[[クリノハナ]]
|尾形藤吉
|-
| rowspan="2" |1973
|優駿牝馬
|[[ナスノチグサ]]
| rowspan="2" |'''[[嶋田功]]'''
| rowspan="2" |'''[[稲葉幸夫]]'''
|-
|東京優駿
|[[タケホープ]]
|-
| rowspan="2" |1975
|優駿牝馬
|[[テスコガビー]]
| rowspan="2" |'''[[菅原泰夫]]'''
|[[仲住芳雄]]
|-
|東京優駿
|[[カブラヤオー]]
|茂木為二郎
|-
| rowspan="2" |2004
|優駿牝馬
|[[ダイワエルシエーロ]]
|[[福永祐一]]
| rowspan="2" |'''[[松田国英]]'''
|-
|東京優駿
|[[キングカメハメハ]]
|[[安藤勝己]]
|-
| rowspan="2" |2017
|優駿牝馬
|[[ソウルスターリング]]
| rowspan="2" |[[クリストフ・ルメール|'''C.ルメール''']]
| rowspan="2" |'''[[藤沢和雄]]'''
|-
|東京優駿
|レイデオロ
|}
さらにルメールと藤沢は、優駿牝馬をソウルスターリングに続くクラシック連覇を果たしていた。ルメールは、1943年[[前田長吉]]、1952年[[八木沢勝美]]、1973年[[嶋田功]]、1975年[[菅原泰夫]]に続いて42年ぶり史上5人目となる同一騎手による同一年のオークス・ダービーダブル優勝<ref name="優駿-2017-7-40" /><ref name="優駿-2017-7-99">『優駿』2017年7月号 99頁</ref>。この2競走の2週連続優勝は、嶋田と菅原に続いて3人目だった<ref>『優駿』2017年7月号 26頁</ref>。また藤沢は、1943年[[尾形藤吉]]、1951年[[田中和一郎]]、1973年[[稲葉幸夫]]、2004年[[松田国英]]に続いて13年ぶり史上5人目となる同一調教師による同一年のオークス・ダービーダブル優勝を成し遂げていた<ref name="優駿-2017-7-40" /><ref name="優駿-2017-7-99" />。総合して、1943年に[[クリフジ]]で連覇した前田と尾形、1973年に[[ナスノチグサ]]とタケホープで連覇した嶋田と稲葉に続いて44年ぶり史上3例目となる同一騎手調教師による同一年のオークス・ダービーダブル優勝を果たしていた<ref name="日経-2017年藤沢勢" /><ref name="優駿-2017-7-40" />。

付け加えてルメールは、前々週の[[ヴィクトリアマイル]]を[[アドマイヤリード]]で、前週のソウルスターリングに続く3週連続GI優勝となり、2001年11月から12月の[[オリビエ・ペリエ]]{{Efn|[[マイルチャンピオンシップ]]を[[ゼンノエルシド]]で、[[ジャパンカップ]]を[[ジャングルポケット (競走馬)|ジャングルポケット]]で、[[阪神ジュベナイルフィリーズ]]を[[タムロチェリー]]で優勝した。}}以来史上2人目となるJRAGI3週連続優勝を成し遂げている<ref name="競馬ブック-ダービーアラカルト" />。さらにルメールは、日本移籍前の2009年、[[フランスダービー]]を[[ルアーヴル (競走馬)|ルアーヴル]]で制しており、日仏ダービー優勝。おまけにこの年は、[[フランスオークス]]を[[スタセリタ]]{{Efn|[[ソウルスターリング]]の母である。}}で制しているため、日仏で同一年にオークスとダービーダブル優勝を果たしていた<ref>{{Cite web |title=名手ルメール「神騎乗」3週連続G1V/ダービー|url=https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=1831424&year=2017&month=05&day=29 |website=p.nikkansports.com |access-date=2023-05-02 |language=ja}}</ref>。

==== ジャパンカップ ====
ダービー優勝後は、天栄に滞在して夏休みを過ごした<ref>{{Cite web |title=ダービー馬レイデオロ、リフレッシュ放牧へ|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2017/06/02/kiji/20170601s00004048397000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-03 |language=ja}}</ref>。秋は、クラシック最終戦の菊花賞ではなく、ダービーと同じ東京の2400メートルで行われるGI、されど古馬や外国調教馬が相手となる[[ジャパンカップ]]が目標となった。始動には、菊花賞のトライアル競走である[[セントライト記念]]や[[神戸新聞杯]]の選択肢となったが、このうち適性のある大回りコース、阪神競馬場の外回りで行われる神戸新聞杯が選ばれていた<ref>{{Cite web |title=【神戸新聞杯】ダービー馬の貫禄を見せるレイデオロ「良い夏休みを過ごせた」|url=https://www.keibalab.jp/topics/34135/ |website=www.keibalab.jp |access-date=2023-05-07 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |title=レイデオロの夏休み 筋肉モリモリ、秋2戦へ夢がモリモリ |url=http://race.sanspo.com/keiba/news/20170808/ope17080805040002-n3.html |website=サンスポZBAT!競馬 |date=2017-08-08 |access-date=2023-05-07 |language=ja-JP}}</ref>。内容次第では目標の前に菊花賞や天皇賞(秋)出走も視野に入っていた<ref>{{Cite web |title=【神戸新聞杯】レイデオロ始動 藤沢和師「いい夏休み」充電MAX|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2017/09/19/kiji/20170918s00004048303000c.html?amp=1 |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-07 |language=ja}}</ref>。

8月23日に帰厩し、9月24日の神戸新聞杯(GII)に臨む<ref>{{Cite web |title=ダービー馬レイデオロ帰厩 ひと夏越えて「体高伸びた」|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2017/08/24/kiji/20170823s00004048460000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-07 |language=ja}}</ref>。関東所属のダービー優勝馬による神戸新聞杯参戦は珍しく、1976年[[クライムカイザー]]以来史上2頭目の例だった<ref name="競馬ブック-神戸新聞杯-アラカルト">{{Cite web |title=神戸新聞杯アラカルト |url=https://p.keibabook.co.jp/news/detail/66407 |website=競馬ブック |access-date=2023-05-07}}</ref>。[[キセキ (競走馬)|キセキ]]やサトノアーサー、ダンビュライトなどを相手に単勝オッズ2.2倍の1番人気という支持だった<ref name="優駿-2017-11-106">『優駿』2017年11月号 106頁</ref>。スタートで後手を踏まずに先行し4番手の好位を確保、アダムバローズの刻むスローペースに順応して追走した<ref>{{Cite web |title=【神戸新聞杯】レイデオロ貫禄V 父子制覇!2馬身差圧勝 世界獲りへ好発進/デイリースポーツ online |url=https://www.daily.co.jp/horse/2017/09/25/0010584856.shtml |website=デイリースポーツ online |access-date=2023-05-07 |language=ja}}</ref><ref name="優駿-2017-11-106" />。最終コーナーを3番手で迎え、直線では逃げるアダムバローズと先に抜け出すダンビュライトを目がけてスパート、まもなくかわして先頭を奪取し、後は独走となった<ref>{{Cite web |title=レイデオロV「楽に」一瞬で2馬身差/神戸新聞杯 {{!}} 極ウマ・プレミアム |url=https://p.nikkansports.com/goku-uma/member/news/news.zpl?topic_id=1&id=201709250000127&year=2017&month=9&day=25 |website=p.nikkansports.com |access-date=2023-05-07}}</ref><ref name="優駿-2017-11-106" />。遅れて追い上げるキセキやサトノアーサーを寄せ付けず、終いは流してそれらに2馬身差をつけて決勝線に到達していた<ref name="優駿-2017-11-106" />。
[[ファイル:Rey de Oro Kobe Shimbun Hai 2017.jpg|サムネイル|249x249ピクセル|[[神戸新聞杯]]]]
重賞3勝目、父キングカメハメハは2004年に優勝しており、父仔制覇を成し遂げていた<ref name="競馬ブック-神戸新聞杯-アラカルト" />。1976年クライムカイザーは敗れており、関東所属のダービー優勝馬として史上初めて神戸新聞杯を優勝<ref name="優駿-2017-11-106" />。そもそも関東馬は、グレード制導入以降3勝目、2002年シンボリクリスエス、2003年ゼンノロブロイに続く優勝であり、ダービー2着から後々成り上がった藤沢厩舎の先輩に続いたことになった<ref name="競馬ブック-神戸新聞杯-アラカルト" />。この勝利により、菊花賞の優先出走権を得たが、出走を見送り天栄滞在。初志貫徹してジャパンカップを目標とし、10月28日に帰厩した<ref>{{Cite web |title=レイデオロ帰厩、予定通りジャパンC目標 |url=https://umanity.jp/racedata/race_newsdet.php?nid=6274628 |website=競馬予想のウマニティ |access-date=2023-05-07 |language=ja}}</ref>。

11月26日、ジャパンカップ(GI)に参戦。同期同厩舎のソウルスターリングとともに、[[古馬]]に挑んでいた。不良馬場の天皇賞(秋)でGI6勝目を挙げた[[キタサンブラック]]や、その天皇賞(秋)2着の[[宝塚記念]]優勝馬[[サトノクラウン]]、GI2着3着複数の[[シュヴァルグラン]]、先輩ダービー馬のマカヒキや[[ワンアンドオンリー]]などが立ちはだかった<ref name="優駿-2018-1-88">『優駿』2018年1月号 88頁</ref>。そんな中でレイデオロは、単勝オッズ3.8倍に推された<ref name="優駿-2018-1-88" />。2.1倍のキタサンブラックには劣ったものの、サトノクラウンやシュヴァルグランには勝る2番人気だった<ref name="優駿-2018-1-88" />。{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=gME7uRTI4tY&ab_channel=JRA%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB 2017年 ジャパンカップ({{GI}})<br />レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画]}}

スタート直後に不利を受けて後手を踏み、中団後方に位置<ref name="サンスポ-2017年内休養">{{Cite web |title=【ジャパンC】レイデオロ2着…有馬参戦せず年内休養 |url=http://race.sanspo.com/keiba/news/20171127/ope17112705020006-n1.html |website=サンスポZBAT!競馬 |date=2017-11-27 |access-date=2023-05-07 |language=ja-JP}}</ref>。キタサンブラックが逃げるペースを追走しながら、最終コーナーを7番手で通過していた<ref name="優駿-2018-1-88" />。直線では、逃げるキタサンブラックが辺りの先行馬をすべて下し、独走状態を作り上げていた<ref>{{Cite web |title=【ジャパンC】キタサンブラック3着敗戦…史上2頭目の連覇ならず|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2017/11/26/kiji/20171126s00004048226000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-07 |language=ja}}</ref>。一方のレイデオロは大外に持ち出してから追い上げを開始し、独走するキタサンブラックに詰め寄った<ref name="サンスポ-2017年内休養" />。ところが時を同じくしてシュヴァルグランもキタサンブラックを目がけて追い上げていた<ref name="優駿-2018-1-88" />。
[[ファイル:Rey de Oro Japan Cup 2017.jpg|サムネイル|294x294ピクセル|抜け出すシュヴァルグラン(白帽1番中央)と追いすがるレイデオロ(白帽2番左)、逃げ粘るキタサンブラック(黒帽4番右)]]
独走するキタサンブラックと、詰め寄るシュヴァルグラン、レイデオロが3頭抜け出る展開となる中、最内枠から内側の好位を追走したシュヴァルグランの末脚が鋭かった<ref name="優駿-2018-1-67">『優駿』2018年1月号 67頁</ref>。対して外に持ち出してから追い込んだレイデオロは、シュヴァルグランには及ばなかった<ref name="サンスポ-2017年内休養" />。ゴール手前で逃げるキタサンブラックを捉えたが、シュヴァルグランが一足先に先頭を奪取していた<ref name="サンスポ-2017年内休養" /><ref name="優駿-2018-1-67" />。キタサンブラックにクビ差先着したが、シュヴァルグランに1馬身4分の1差敵わない2着だった<ref name="優駿-2018-1-88" />。

ダービー優勝、ジャパンカップ2着となったこの年のJRA賞では、[[JRA賞最優秀3歳牡馬|最優秀3歳牡馬]]部門にて全290票中289票を獲得。菊花賞優勝のキセキに1票奪われたが、ほとんど満票で選出された<ref>{{Cite web |title=最優秀3歳牡馬はレイデオロ ダービーで藤沢和師の悲願V|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2018/01/10/kiji/20180109s00004048336000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-07 |language=ja}}</ref>。


その後、ダービー制覇と古馬相手に2着という実績が評価され、2017年度の[[JRA賞最優秀3歳牡馬]]に290票中289票で選出された<ref>{{Cite web|title=2017年度JRA賞競走馬部門 記者投票集計結果 JRA|url=http://jra.jp/news/201801/010902a.html|website=jra.jp|accessdate=2019-04-13}}</ref><ref>{{Cite web|title=最優秀3歳牡馬はレイデオロ ダービー馬となり、ジャパンCでも2着に {{!}} 競馬ニュース|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=131758|website=netkeiba.com|accessdate=2019-04-13|language=ja}}</ref>。
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Rey de Oro Satsuki Sho 2017.jpg|皐月賞
Rey de Oro Tokyo Yushun 2017(IMG2).jpg|ダービー表彰式
Rey de Oro Kobe Shimbun Hai 2017.jpg|神戸新聞杯
Rey de Oro Japan Cup 2017.jpg|ジャパンカップ(左端)
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=== 4歳(2018年) ===
=== 4歳(2018年) ===
年明け初戦は[[京都記念]](GII)に出走。ここまで全てのレースで鞍上を務めてきたルメールが騎乗停止となったため、[[ダリオ・バルジュー]]に乗り替わってのレースになった<ref>{{Cite news|title=ルメールが騎乗停止 京都記念のレイデオロはバルジューが騎乗 {{!}} 競馬ニュース - netkeiba.com|url=http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=132511|accessdate=2018-09-30|work=netkeiba.com}}</ref>。[[アルアイン (競走馬)|アルアイン]]や[[モズカッチャン]]、[[ディアドラ (競走馬)|ディアドラ]]など同じ4歳のGI馬も参戦する中で1.6倍の圧倒的な支持を受けたが、道中折り合いを欠いて直線で伸びきれず3着に敗れた<ref>{{Cite news|title=【京都記念】レイデオロ3着…ドバイに暗雲?藤沢和師「様子を見てから」 {{!}} 競馬ニュース - netkeiba.com|url=http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=133101|accessdate=2018-09-30|work=netkeiba.com}}</ref>。次走は[[ドバイシーマクラシック]](G1)にモズカッチャン、[[サトノクラウン]]と共に参戦。海外[[ブックメーカー]]及びJRAの馬券発売において、昨年の凱旋門賞で2着に入った[[クロスオブスターズ]]に次ぐ2番人気に推される。しかしレースでは[[エクリプスステークス]]の勝ち馬[[ホークビル (競走馬)|ホークビル]]が超スローペースで逃げたため先行勢有利の展開となり、追い込んだものの4着に終わった<ref>{{Cite news|title=【ドバイSC】レイデオロ不発…スローペースに翻弄され4着 {{!}} 競馬ニュース - netkeiba.com|url=http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=135382|accessdate=2018-09-30|work=netkeiba.com}}</ref>。


==== 連敗 ====
その後は休養を挟み、[[オールカマー]](GII)に出走。中団で競馬を進め、ゴール前でアルアインを差し切って優勝した<ref>{{Cite news|title=【オールカマー】レイデオロ貫禄 神戸新聞杯から1年ぶり勝利 {{!}} 競馬ニュース - netkeiba.com|url=http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=143272|accessdate=2018-09-30|work=netkeiba.com}}</ref>。また同日には阪神競馬場で行われた神戸新聞杯で当年のダービー馬[[ワグネリアン (競走馬)|ワグネリアン]]が優勝し、東西でダービー馬が重賞を制覇する史上初の快挙を達成した<ref>{{Cite news|title=史上初の快挙 異なる世代の日本ダービー馬が同日に重賞制覇|date=2018-09-23|url=https://hochi.news/articles/20180923-OHT1T50181.html|accessdate=2018-09-30|language=ja-JP|work=スポーツ報知}}</ref>。続く[[天皇賞(秋)]](GI)はワグネリアンや[[ダノンプレミアム]]などの有力馬の回避が相次いだが、最終的に本馬を含めてGI馬が7頭出走する豪華メンバーとなり<ref>{{Cite news|title=【JRA】GI馬7頭、豪華メンバー集結の天皇賞・秋/本日の注目ポイント {{!}} 競馬ニュース - netkeiba.com|url=http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=145352|accessdate=2018-10-30|work=netkeiba.com}}</ref>、大阪杯を勝ったスワーヴリチャードに次ぐ2番人気に推された。レースではキセキが先手を取り、前半1000m59秒4のペースで引っ張る中で中団に位置した。直線では外から伸びてゴール前で先頭に立ち、粘るキセキと追い込んできた[[サングレーザー (競走馬)|サングレーザー]]を抑えて優勝<ref>{{Cite news|title=【天皇賞・秋】ダービー馬レイデオロがV! ルメール騎手はGI・3連勝&年間6勝目!/JRAレース結果 {{!}} 競馬ニュース - netkeiba.com|url=http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=145392|accessdate=2018-10-30|work=netkeiba.com}}</ref>。後半1000mが57秒2という淀みのない展開となり、勝ち時計は[[トーセンジョーダン]]が記録した1分56秒1のレコードに次ぐ、天皇賞(秋)歴代2位のタイムとなった<ref>{{Cite news|title=天皇賞・秋ダイジェスト/勝ちタイムは1分56秒8(良) {{!}} 競馬ニュース - netkeiba.com|url=http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=145417|accessdate=2018-10-30|work=netkeiba.com}}</ref>。
年をまたいで古馬となったレイデオロの春の目標は、3月の[[ドバイミーティング]]・[[ドバイシーマクラシック]]となり、[[京都記念]]が始動戦となった<ref>{{Cite web |title=ソウル ヴィクトリアM目標!レイデオロは京都記念→ドバイも |url=https://keiba.sponichi.co.jp/news/20180129s00004048235000c |website=スポニチ競馬Web |access-date=2023-05-08 |language=ja}}</ref>。2月11日の京都記念(GII)では、ルメールが騎乗停止処分を受けたため、[[短期騎手免許|短期免許]]で参戦中の代打[[ダリオ・バルジュー]]で臨み、単勝オッズ1.6倍の1番人気に推されていた<ref>{{Cite web |title=ルメール、斜行で騎乗停止…京都記念レイデオロはバルジューに|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2018/01/28/kiji/20180128s00004048015000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-08 |language=ja}}</ref><ref name="優駿-2018-4-100">『優駿』2018年4月号 100頁</ref>。重馬場をスタートしたレイデオロは、出遅れて後方追走、スローペースとなって引っ掛かるなど、スムーズではなかった<ref name="優駿-2018-4-100" />。途中で好位まで進出してしまい、3番手で直線に向いても余力がなかった。クリンチャーやアルアインにかわされ、追い込むモズカッチャンにも限りなく接近を許した<ref name="優駿-2018-4-100" />。
[[ファイル:Rey de Oro Kyoto kinen 2018.jpg|サムネイル|182x182ピクセル|[[京都記念]]]]
盛り返すことはできず2頭に敗れたが、モズカッチャンにはハナ差先着<ref name="優駿-2018-4-100" />。グレード制導入以後、史上初めてとなる4歳馬による京都記念ワンツースリーフォー決着の3着を担った<ref name="優駿-2018-4-100" />。勝てば1948年の[[京都記念 (春)|京都記念(春)]]優勝の[[マツミドリ]]以来70年ぶりとなるダービー優勝馬による京都記念優勝が懸かっていたが、叶わなかった<ref name="優駿-2018-4-100" /><ref>{{Cite web |title=ダービー馬が京都記念に登録 |url=https://p.keibabook.co.jp/news/detail/67085 |website=競馬ブック |access-date=2023-05-08}}</ref>。敗因はペースに折り合いを欠いただけであり、状態に問題はなく、単純に能力で敗れたわけではなかった<ref name="スポニチ-2018ドバイ参戦">{{Cite web |title=レイデオロ、ドバイシーマクラシック参戦 鞍上はルメール|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2018/02/15/kiji/20180214s00004048285000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-08 |language=ja}}</ref><ref>『優駿』2018年4月号 25頁</ref>。そのため目標通り、ドバイ遠征が実行された<ref name="スポニチ-2018ドバイ参戦" />。


3月31日のドバイシーマクラシック(G1)には、ルメールが舞い戻って参戦した。前年の[[凱旋門賞]]2着の{{仮リンク|クロスオブスターズ|en|Cloth of Stars}}や、[[エクリプスステークス]]優勝の[[ホークビル (競走馬)|ホークビル]]、さらに[[モズカッチャン]]や[[サトノクラウン]]といった日本勢とも戦う10頭立てとなる中、日本での発売において、クロスオブスターズに次ぐ2番人気に支持された<ref>{{Cite web |title=レース結果・回顧:2018年ドバイシーマクラシック 海外競馬発売 JRA |url=https://www.jra.go.jp/keiba/overseas/race/2018dubai/sc/kaiko.html |website=www.jra.go.jp |access-date=2023-05-09}}</ref>。有力視されたが、当日のレイデオロはテンションが高かった<ref name="優駿-2018-5-66">『優駿』2018年5月号 66頁</ref>。パドックで暴れ、発馬機内では隣の馬につられて暴れてしまっていた<ref>{{Cite web |title=レイデオロ昨年4着雪辱へ12秒1/ドバイシーマC|url=https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=201903280000144&year=2019&month=03&day=28 |website=p.nikkansports.com |access-date=2023-05-08 |language=ja}}</ref><ref name="優駿-2018-5-66" />。そのような状態でスタートし、宥められながら後方を追走したが、逃げる[[アラブ首長国連邦]]のホークビルが刻んだスローペースに対応できなかった<ref name="優駿-2018-5-66" />。道中は引っ掛かっての追走となって末脚を発揮できず、ホークビルに突き放されて逃げ切りを許した<ref name="スポニチ-ドバイSC-4着">{{Cite web |title=【ドバイSC】レイデオロ4着も藤沢和師前向き「いい経験になった」|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2018/04/01/kiji/20180401s00004050140000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-08 |language=ja}}</ref><ref name="優駿-2018-5-66" />。さらに先行していたイギリスの[[ポエッツワード]]、フランスのクロスオブスターズも捉えられない4着敗退、されど日本勢最先着だった<ref name="スポニチ-ドバイSC-4着" /><ref>『優駿』2018年5月号 67頁</ref>。
次走はレース間隔を考慮して、ファン投票1位の11万293票を集めた<ref>{{Cite web|title=【有馬記念ファン投票】最終結果発表! レイデオロが1位、アーモンドアイ・オジュウチョウサンが続く {{!}} 競馬ニュース|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=147958|website=netkeiba.com|accessdate=2019-02-05|language=ja}}</ref>[[有馬記念]](GI)に出走<ref>{{Cite web|title=レイデオロ次走は有馬記念 藤沢和師「間隔を詰めて使ったから」 {{!}} 競馬ニュース|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=146102|website=netkeiba.com|accessdate=2019-02-05|language=ja}}</ref>、2.2倍の1番人気の支持を受けた。天皇賞と同じくキセキがハイペースで逃げる展開を中団から追走し、最後の直線では外から追い込んだが、先に先頭に立っていた[[ブラストワンピース]]を捕えきれず2着に惜敗<ref>{{Cite web|title=有馬記念ダイジェスト/2分32秒2(稍重) {{!}} 競馬ニュース|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=148995|website=netkeiba.com|accessdate=2019-02-05|language=ja}}</ref>。鞍上のルメール、藤沢調教師は共にレース前の雨の影響で稍重となっていた馬場を敗因に挙げた<ref>{{Cite web|title=【有馬記念】レイデオロ納得2着 ルメールはサバサバ {{!}} 競馬ニュース|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=149002|website=netkeiba.com|accessdate=2019-02-05|language=ja}}</ref>。(詳細は'''[[第63回有馬記念]]'''を参照)


==== 天皇賞(秋) ====
当年の成績が評価され、2018年度の[[JRA賞最優秀4歳以上牡馬]]に選出された<ref>{{Cite web|title=【JRA賞2018】最優秀4歳以上牡馬はレイデオロ 天皇賞・秋を制し、有馬記念でも2着 {{!}} 競馬ニュース|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=149546|website=netkeiba.com|accessdate=2019-02-05|language=ja}}</ref>。
この後は帰国し、天栄で休養して夏休みとなった<ref>{{Cite web |title=【オールカマー】始動戦のレイデオロ、海外遠征の疲労も回復!復活への第一歩踏み出す! |url=https://umatoku.hochi.co.jp/articles/20180917-OHT1T50273.html |website=UMATOK|date=2018-09-18JST07:00:00+0900 |access-date=2023-05-09 |language=ja-JP}}</ref>。夏の宝塚記念参戦という選択肢もあったが、遠征の疲労が抜けなかったために自重していた<ref name="スポニチ-オールカマー">{{Cite web |title=【オールカマー】レイデオロ 復権へ始動、半年ぶりも太くない|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2018/09/19/kiji/20180918s00004048271000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-08 |language=ja}}</ref>。8月22日に帰厩し、秋は天皇賞(秋)やジャパンカップが目標となった<ref name="スポニチ-オールカマー" />。その前哨戦として[[オールカマー]]が選択された。9月23日のオールカマー(GII)では、同期のアルアインやダンビュライトとの再戦となった<ref name="優駿-2018-11-106">『優駿』2018年11月号 106頁</ref>。同期3頭が単勝オッズ5倍以内で3番人気までを占める中、レイデオロは単勝オッズ2.0倍の1番人気だった<ref name="優駿-2018-11-106" />。スタートから中団ないし後方を追走し、直線で末脚を発揮し追い上げた<ref>{{Cite web |title=【オールカマー】1番人気のレイデオロが重賞4勝目|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2018/09/23/kiji/20180923s00004000268000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-08 |language=ja}}</ref><ref name="優駿-2018-11-106" />。外に持ち出さず、内を突いて進出し、先に抜け出していたアルアインに接近<ref name="優駿-2018-11-106" />。ゴール寸前で並びかけて、クビ差差し切ったところが決勝線だった<ref name="優駿-2018-11-106" />。
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Rey de Oro Kyoto kinen 2018.jpg|3着に敗れ引き上げるレイデオロとバルジュー
Rey de Oro Tenno Sho(Autumn)2018(IMG1).jpg|天皇賞秋
Rey de Oro Tenno Sho(Autumn)2018(IMG2).jpg|優勝レイ
Rey de Oro Tenno Sho(Autumn)2018(IMG3).jpg|馬服
</gallery>
=== 5歳(2019年) ===
この年は初戦に2年連続の参戦となるドバイシーマクラシック(G1)を選択<ref>{{Cite web|title=レイデオロ ドバイシーマC招待を受諾…2年連続の挑戦 {{!}} 競馬ニュース|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=150564|website=netkeiba.com|accessdate=2019-04-13|language=ja}}</ref>し、スワーヴリチャード、シュヴァルグランと共に出走。しかしレースでは2コーナーで先頭に立って逃げる展開となり、直線入り口で外から並びかけられるとそのまま失速、出走馬8頭中6着という結果に終わった<ref>{{Cite web|title=【ドバイシーマクラシック】オールドペルシアンが勝利でビュイック騎手は3連覇 シュヴァルグラン2着、スワーヴリチャード3着、レイデオロ6着 {{!}} 競馬ニュース|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=152977|website=netkeiba.com|accessdate=2019-04-13|language=ja}}</ref><ref>{{Cite web|title=レース結果・回顧:2019年ドバイシーマクラシック 海外競馬発売 JRA|url=http://jra.jp/keiba/overseas/race/2019dubai/sc/kaiko.html|website=jra.jp|accessdate=2019-04-13}}</ref>。


2011年[[アーネストリー]]に並ぶレコードタイムタイで約1年ぶりの勝利、重賞4勝目を挙げた<ref>{{Cite web |title=オールカマーアラカルト |url=https://p.keibabook.co.jp/news/detail/68198 |website=競馬ブック |access-date=2023-05-08}}</ref>。これまで1957年[[ハクチカラ]]、1994年[[ウイニングチケット]]、2016年ワンアンドオンリーが挑みながら叶わなかったダービー優勝馬によるオールカマー優勝を史上初めて成し遂げていた<ref>{{Cite web |title=オールカマーに昨年のダービー馬が参戦 |url=https://p.keibabook.co.jp/news/detail/68168 |website=競馬ブック |access-date=2023-05-08}}</ref>。さらに同日、阪神競馬場では神戸新聞杯が行われており、レイデオロの1歳年下のダービー馬[[ワグネリアン (競走馬)|ワグネリアン]]が優勝を果たしていた。すなわち史上初めてとなるダービー馬の同日重賞優勝を成し遂げられている<ref>{{Cite web |title=史上初の快挙 異なる世代の日本ダービー馬が同日に重賞制覇 |url=https://umatoku.hochi.co.jp/articles/20180923-OHT1T50181.html |website=スポーツ報知 |date=2018-09-23 |access-date=2023-05-08 |language=ja}}</ref>。
国内初戦は[[宝塚記念]](GI)に出走(ファン投票は出走馬中最高の2位)。出走12頭の内GI馬は6頭という豪華メンバーが集まる中、前日オッズは1番人気だったが、最終的には[[キセキ (競走馬)|キセキ]]に次ぐ2番人気になる。レースは中団6番手で折り合うことができたものの、直線では伸びることができず最終的に5着に終わった<ref>{{Cite web|title=【宝塚記念】レイデオロ5着…ルメール消沈|url=https://race.sanspo.com/keiba/news/20190624/ope19062405070005-n1.html|website=サンスポZBAT!競馬|accessdate=2019-08-06|language=ja|first=SANKEI DIGITAL|last=INC}}</ref>。(詳細は'''[[第60回宝塚記念]]'''を参照)


続いて10月28日、天皇賞(秋)(GI)に参戦する。天皇賞(秋)とジャパンカップという二大目標から天皇賞(秋)出走を選択したのは、この2週間前にルメールが主戦を務める3歳牝馬[[アーモンドアイ]]が[[秋華賞]]を優勝し、牝馬三冠を成し遂げていたことが影響していた。アーモンドアイの次なる目標は、古馬との初対決となるジャパンカップに定まっており、レイデオロはルメールを失う危険があった<ref name="日刊-2018有馬直行">{{Cite web |title=レイデオロ次走は有馬記念参戦が有力/天皇賞・秋|url=https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=201810290000110&year=2018&month=10&day=29 |website=p.nikkansports.com |access-date=2023-05-09 |language=ja}}</ref>。それを避けたい陣営はジャパンカップを断念し、ルメールを確保して天皇賞(秋)に全力投球する形となった<ref name="日刊-2018有馬直行" />。オールカマーから中4週での参戦は、2歳時以来となる短い間隔だった<ref name="サンスポ-2018天皇賞(秋)">{{Cite web |title=【天皇賞・秋】レイデオロ復活の秋!ルメールはGI3週連続V |url=http://race.sanspo.com/keiba/news/20181029/ope18102905080013-n1.html |website=サンスポZBAT!競馬 |date=2018-10-29 |access-date=2023-05-11 |language=ja-JP}}</ref>。このローテーションは、気合の乗りが悪かったレイデオロを慮った藤沢がオーナーに提案していた<ref name="サンスポ-2018天皇賞(秋)" />。
秋初戦は連覇を目指してオールカマーに出走。1番人気に推されたが、レースでは直線で仕掛けてからの反応が鈍く、4着となり連覇はならなかった<ref>{{Cite web|title=【産経賞オールカマー】レイデオロ、行きっぷり悪く4着|url=https://race.sanspo.com/keiba/news/20190923/ope19092305040003-n1.html|website=サンスポZBAT!競馬|accessdate=2019-11-24|language=ja|first=SANKEI DIGITAL|last=INC}}</ref>。


先輩ダービー馬マカヒキ、後輩ダービー馬ワグネリアンとの三世代ダービー馬対決が予定されていたが、ワグネリアンが出走を見送ったため実現しなかった<ref>{{Cite web |title=ワグネリアン天皇賞・秋回避、疲れ取れずに大事取る|url=https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=201810170000140&year=2018&month=10&day=17 |website=p.nikkansports.com |access-date=2023-05-09 |language=ja}}</ref>。そのほかダノンプレミアムなどの回避もあったが、年上のマカヒキや宝塚記念優勝馬の[[ミッキーロケット]]とGI級2勝の[[ヴィブロス]]、同期のスワーヴリチャードやアルアイン、キセキが顔を合わせGI優勝馬7頭による競演が実現していた<ref name="スポニチ-2018-天皇賞(秋)">{{Cite web |title=【天皇賞・秋】レイデオロ復活V!“G1馬7頭決戦”を一蹴|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2018/10/29/kiji/20181028s00004048530000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-09 |language=ja}}</ref>。参戦にあたって追い切りを消化していたレイデオロだったが、1週間前の追い切りの最中にぬかるんだ馬場に脚を取られて歩様を乱し、調教を中止するアクシデントに見舞われていた<ref name="スポニチ-天皇賞(秋)追い切り">{{Cite web |title=【天皇賞・秋1週前】レイデオロ追い切り中止|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2018/10/17/kiji/20181017s00004192252000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-09 |language=ja}}</ref>。中止した直後に診てもらったが異常はなく、改めて追い切りが行われて参戦を果たしていた<ref name="スポニチ-天皇賞(秋)追い切り" /><ref>{{Cite web |title=【天皇賞(秋)】美浦レポート~レイデオロ(藤沢和雄調教師)|url=https://www.radionikkei.jp/keiba_article/news/post_16188.html |website=ラジオNIKKEI |access-date=2023-05-09 |language=ja}}</ref>。当日は12頭立てとなる中、大阪杯優勝のスワーヴリチャードに次ぐ2番人気、単勝オッズ3.1倍という支持だった<ref name="競馬ラボ-2018天皇賞(秋)">{{Cite web |title=【天皇賞(秋)】17年ダービー馬レイデオロが堂々差し切り!ルメールは3週連続G1V|url=https://www.keibalab.jp/topics/36821/ |website=www.keibalab.jp |access-date=2023-05-11 |language=ja}}</ref>。{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=3LRasiJj1Vs&ab_channel=JRA%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB 2018年 天皇賞(秋)({{GI}})<br />レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画]}}キセキが逃げてスワーヴリチャードが出遅れる形となる中、中団の前方を折り合いをつけて追走していた<ref name="競馬ラボ-2018天皇賞(秋)" /><ref name="サンスポ-2018天皇賞(秋)" />。傍らにサングレーザーがおり、マークされる形となった<ref>{{Cite web |title=【天皇賞・秋】サングレーザー急追も2着 モレイラ「最後『もしかしたら』と」 |url=http://race.sanspo.com/keiba/news/20181028/ope18102820280012-n1.html |website=サンスポZBAT!競馬 |date=2018-10-28 |access-date=2023-05-11 |language=ja-JP}}</ref>。キセキが緩みのない平均ないしハイペースで先導し、先頭を守ったまま直線を迎えていた<ref name="競馬ラボ-2018天皇賞(秋)" />。5番手のレイデオロは、傍らのサングレーザーとともに追い上げて、逃げるキセキや先行するアルアイン、ヴィブロスなどに接近した<ref name="競馬ラボ-2018天皇賞(秋)" />。
次走にはジャパンカップを選択し、[[ウィリアム・ビュイック]]との初コンビを結成した<ref>{{Cite web|title=[競馬]ジャパンC 新コンビ・ビュイック背にレイデオロ上昇|url=https://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/race/news/CK2019112102000192.html|website=中日スポーツ・東京中日スポーツ|accessdate=2019-11-24|language=ja}}</ref>。史上初の外国馬の参戦なしとなったが、本馬の1年前と後のダービー馬である[[マカヒキ (競走馬)|マカヒキ]]と[[ワグネリアン (競走馬)|ワグネリアン]]、2017年の同レース覇者シュヴァルグランらが出走し、[[ランフランコ・デットーリ]]をはじめとする外国人騎手の来日騎乗も注目を集め<ref>{{Cite web|title=大混戦ムードのジャパンカップ!7人の外国人騎手の競演など、今年のみどころ(花岡貴子) - Yahoo!ニュース|url=https://news.yahoo.co.jp/byline/takakohanaoka/20191124-00152149|website=Yahoo!ニュース 個人|accessdate=2019-11-24|language=ja}}</ref>、その中で最終的に1番人気に推されたが、レースでは重馬場の影響で直線で伸びあぐね、見せ場なく11着に敗れた<ref>{{Cite web|title=【ジャパンC】1番人気レイデオロは見せ場なく11着 ビュイック「敗因は馬場しかない」|url=https://race.sanspo.com/keiba/news/20191124/ope19112420330017-n1.html|website=サンスポZBAT!競馬|accessdate=2019-11-24|language=ja|first=SANKEI DIGITAL|last=INC}}</ref>。(詳細は'''[[第39回ジャパンカップ]]'''を参照)
[[ファイル:Rey de Oro Tenno Sho(Autumn)2018(IMG1).jpg|サムネイル|252x252ピクセル|[[天皇賞(秋)]]]]
末脚を発揮したレイデオロは、先行勢を捉えたうえに、逃げ粘って残り200メートルまで先頭を守るキセキに詰め寄り、残り100メートルで差し切っていた<ref>{{Cite web |title=強かったルメール&レイデオロ。消耗戦の天皇賞、最後は底力勝負。 |url=https://number.bunshun.jp/articles/-/832326?page=2 |website=Number Web - ナンバー |access-date=2023-05-11 |language=ja}}</ref>。ゴール寸前では苦しくなったがルメールのステッキに応えていた<ref name="スポニチ-2018-天皇賞(秋)" />。外からサングレーザーが遅れて追い上げてきたが、寄せ付けず1馬身4分の1差をつけて決勝線を迎えていた<ref name="スポニチ-2018-天皇賞(秋)" />。
[[ファイル:Rey de Oro Tenno Sho(Autumn)2018(IMG2).jpg|サムネイル|262x262ピクセル|優勝レイ]]
[[ファイル:Rey de Oro Tenno Sho(Autumn)2018(IMG3).jpg|サムネイル|258x258ピクセル|優勝馬服]]
天皇賞戴冠、GI2勝目を成し遂げた。グレード制導入後、1984年[[ミスターシービー]]、1999年[[スペシャルウィーク]]、2007年[[メイショウサムソン]]、2008年[[ウオッカ (競走馬)|ウオッカ]]、2012年[[エイシンフラッシュ]]に次いで史上6頭目となるダービー優勝馬による天皇賞(秋)優勝、さらに史上初めてオールカマーからの連勝を果たしていた<ref>{{Cite web |title=【天皇賞・秋】レイデオロ復活の秋!ルメールはGI3週連続V |url=http://race.sanspo.com/keiba/news/20181029/ope18102905080013-n3.html |website=サンスポZBAT!競馬 |date=2018-10-29 |access-date=2023-05-11 |language=ja-JP}}</ref>。また藤沢は、1996年バブルガムフェロー、2002年から連覇のシンボリクリスエス、2004年ゼンノロブロイ、2014年[[スピルバーグ (競走馬)|スピルバーグ]]に続く天皇賞(秋)優勝であり、最多勝の[[尾形藤吉]]に迫る天皇賞(秋)6勝目を挙げていた<ref>{{Cite web |title=【天皇賞・秋】藤沢和雄調教師は2014年スピルバーグ以来の天皇賞・秋6勝目|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=145405 |website=netkeiba.com |access-date=2023-05-11 |language=ja}}</ref>。さらにルメールは天皇賞初戴冠、前々週の秋華賞をアーモンドアイで、前週の菊花賞を[[フィエールマン]]で優勝しており3週連続JRAGI優勝を果たしていた<ref>{{Cite web |title=天皇賞(秋)アラカルト |url=https://p.keibabook.co.jp/news/detail/68376 |website=競馬ブック |access-date=2023-05-11}}</ref>。


==== 有馬記念 ====
その後は引退レースとして[[第64回有馬記念]]に出走することが決定<ref>{{Cite web|url=https://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/race/news/CK2019121802000166.html|title=[競馬]有馬記念 レイデオロ ラストランで復活Vだ!|accessdate=2019-12-22|date=2019-12-18|publisher=中日スポーツ}}</ref>。ファン投票では最終的に9位、6万594票を集めた<ref>{{Cite web|url=http://jra.jp/news/201912/120508.html|title=有馬記念ファン投票 最終結果発表!|accessdate=2019-12-22|date=2019-12-05|publisher=日本中央競馬会}}</ref>。前走に引き続き騎乗予定だったビュイックが前週の斜行で騎乗停止となった<ref>{{Cite web|title=ビュイック有馬アウト 阪神10Rで斜行、騎乗停止 {{!}} 競馬ニュース|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=164738|website=netkeiba.com|accessdate=2019-12-25|language=ja}}</ref>ため[[三浦皇成]]を鞍上に迎え<ref>{{Cite web|title=レイデオロ鞍上は三浦皇成騎手に決定/有馬記念|極ウマ・プレミアム|url=https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=201912190000048&year=2019&month=12&day=19|website=p.nikkansports.com|accessdate=2019-12-25|language=ja}}</ref>、[[ブリンカー]]を着用して<ref>{{Cite web|title=レイデオロが初ブリンカー着用/有馬枠順|極ウマ・プレミアム|url=https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=201912190000821&year=2019&month=12&day=19|website=p.nikkansports.com|accessdate=2019-12-25|language=ja}}</ref>臨んだレースでは出遅れて後方追走の展開となったが、先行勢が揃って下位入線となったハイペースの中、直線で脚を伸ばし7着となった<ref>{{Cite web|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2019/12/23/kiji/20191222s00004048482000c.html|website=www.sponichi.co.jp|accessdate=2019-12-25|title=【有馬記念】レイデオロ7着 追走も出遅れ響く「頑張ってくれた」|publisher=}}</ref>。
天皇賞(秋)の後は、暮れの有馬記念(GI)に参戦した。ファン投票では11万票を集めて1位に推されていた<ref>{{Cite web |title=有馬記念のファン投票結果 1位はレイデオロ |url=https://www.sankei.com/article/20181206-WJ6AL225OBP4HIZRCKINSQHONY/ |website=産経ニュース |date=2018-12-06 |access-date=2023-05-11 |language=ja |first=SANKEI DIGITAL |last=INC}}</ref>。出走を見送ったジャパンカップは、ルメールとアーモンドアイが優勝。アーモンドアイはその後放牧となって有馬記念には参戦せず、レイデオロとルメールのコンビは、継続となった<ref>{{Cite web |title=【ジャパンC】アーモンドは強かった!世界衝撃のレコードV|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2018/11/26/kiji/20181125s00004048453000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-11 |language=ja}}</ref>。キセキやモズカッチャン、クリンチャーなどの同期、サトノダイヤモンドやミッキーロケット、シュヴァルグラン、そして障害馬[[オジュウチョウサン]]などの年上、菊花賞4着の[[ブラストワンピース]]という3歳馬と対決する16頭立てとなる中、単勝オッズ2.2倍の1番人気となる。ただ雨中での決戦となった<ref name="デイリー2018有馬">{{Cite web |title=【有馬記念】レイデオロ納得2着 ルメールはサバサバ/デイリースポーツ online |url=https://www.daily.co.jp/horse/2018/12/24/0011929882.shtml |website=デイリースポーツ online |access-date=2023-05-11 |language=ja}}</ref>。{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=qDpq36kwEI8&ab_channel=JRA%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB 2018年 有馬記念({{GI}})<br />レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画]}}中団追走から逃げるキセキに外から接近<ref name="デイリー2018有馬" />。直線で末脚を発揮して進出しキセキを捉えたが、同じく中団から追い込んだブラストワンピースが先に抜け出して先頭を奪取していた<ref name="デイリー2018有馬" />。レイデオロは、ブラストワンピースに外から詰め寄り、ゴール寸前で並びかけたが、道悪巧者の[[ハービンジャー]]産駒ブラストワンピースに粘られて、差し切ることができなかった。クビ差及ばず2着だった<ref>{{Cite web |title=有馬記念でブラストワンピース戴冠。池添「苗字を有馬に変えましょうか」(島田明宏) |url=https://number.bunshun.jp/articles/-/832951?page=2 |website=Number Web - ナンバー |access-date=2023-05-11 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |title=【有馬記念】レイデオロ、クビ差届かず2着 ルメール「完璧なレースだったけど…」 |url=https://umanity.jp/racedata/race_newsdet.php?nid=9269619 |website=競馬予想のウマニティ |access-date=2023-05-11 |language=ja}}</ref>。


オールカマーと天皇賞(秋)を優勝、それに有馬記念で2着となったこの年のJRA賞では、[[JRA賞最優秀4歳以上牡馬|最優秀4歳以上牡馬]]部門で全276票中212票を獲得<ref>{{Cite web |title=2018年度代表馬はアーモンドアイに決定!…JRA賞|url=https://www.keibalab.jp/topics/37409/ |website=www.keibalab.jp |access-date=2023-05-09 |language=ja}}</ref>。次点のファインニードルを45票に沈めるなど{{Efn|ほかに[[ミッキーロケット]]4票、[[レインボーライン (競走馬)|レインボーライン]]3票、[[ゴールドドリーム]]3票。そして該当馬なしに10票<ref>{{Cite web |title=【JRA賞2018】最優秀4歳以上牡馬はレイデオロ 天皇賞・秋を制し、有馬記念でも2着|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=149546 |website=netkeiba.com |access-date=2023-05-09 |language=ja}}</ref>。}}約77パーセントの得票で選出され、2年連続のJRA賞受賞を果たした<ref>{{Cite web |title=最優秀4歳以上牡馬はレイデオロ 今年も活躍に太鼓判 |url=https://keiba.sponichi.co.jp/news/20190108s00004048311000c |website=スポニチ競馬Web |access-date=2023-05-09 |language=ja}}</ref>。
12月25日付で競走馬登録を抹消<ref name="jra191225"/>、引退後は[[社台スタリオンステーション]]で[[種牡馬]]入りする<ref name="jra">{{Cite web|title=レイデオロ号が競走馬登録抹消 JRA|url=http://www.jra.go.jp/news/201912/122503.html|website=www.jra.go.jp|accessdate=2019-12-25}}</ref>。
=== 5歳(2019年) ===

==== 連敗、引退 ====
年をまたいで5歳の春は、再びドバイを目指した<ref>{{Cite web |title=レイデオロは2年連続ドバイシーマC挑戦/JRA賞|url=https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=201901280000784&year=2019&month=01&day=28 |website=p.nikkansports.com |access-date=2023-05-10 |language=ja}}</ref>。京都記念を経た前年とは異なり直行で遠征し、3月30日のドバイシーマクラシックで2年連続出走となり、日本の馬券発売では1番人気だった。ただレイデオロは、テンションが高かった<ref>{{Cite web |title=【宝塚記念】レイデオロ ドバイ遠征敗因生かし巻き返す|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2019/06/17/kiji/20190616s00004048477000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-09 |language=ja}}</ref>。スタートから誰も主張せずに落ち着いたペースに耐えきれず、引っ掛かった<ref>{{Cite web |title=【ドバイシーマC】6着レイデオロ リベンジならず「想定外の競馬になった」|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2019/03/31/kiji/20190331s00004050133000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-10 |language=ja}}</ref>。そして押し出されるようにハナまで進出し逃げる形に嵌った。先頭を守って最終コーナーを通過したものの、余力なく後退<ref>{{Cite web |title=【ドバイシーマC】6着レイデオロ ルメール「1コーナーまでリラックスしていたが…」 |url=https://keiba.sponichi.co.jp/news/20190331s00004050155000c |website=スポニチ競馬Web |access-date=2023-05-09 |language=ja}}</ref>。優勝したアラブ首長国連邦の{{仮リンク|オールドペルシアン (競走馬)|en|Old Persian (horse)|label=オールドペルシアン}}に大きく後れを取り、さらに同じ日本勢のシュヴァルグランやスワーヴリチャードにも先着を許す8頭立て6着に敗れた<ref>{{Cite web |title=人気集めたレイデオロは6着に沈む/ドバイシーマC|url=https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=201903310000018&year=2019&month=03&day=31 |website=p.nikkansports.com |access-date=2023-05-09 |language=ja}}</ref>。{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=hE6KdWx0E_k&ab_channel=JRA%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB 2019年 宝塚記念({{GI}})<br />レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画]}}
帰国後は休養を挟んで夏、6月23日の宝塚記念(GI)に参戦<ref>{{Cite web |title=ドバイシーマC6着のレイデオロは宝塚記念を視野|url=https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=201905140000711&year=2019&month=05&day=14 |website=p.nikkansports.com |access-date=2023-05-09 |language=ja}}</ref>。半数がGI優勝馬という12頭立てに与して、キセキに次ぐ2番人気に支持されて挑んでいた。スタートから中団の内側を追走して追い上げたが、末脚を繰り出せなかった<ref name="スポニチ-2019宝塚">{{Cite web |title=【宝塚記念】ドバイ帰りレイデオロ2番人気5着 ルメール「ずっと同じ速さで走っていた」|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2019/06/23/kiji/20190623s00004048281000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-09 |language=ja}}</ref>。馬場の悪い内側を通り、馬群に揉まれて失速し5着<ref>{{Cite web |title=【宝塚記念】レイデオロ5着…ルメール消沈 |url=https://race.sanspo.com/keiba/news/20190624/ope19062405070005-n1.html |website=サンスポZBAT!競馬 |date=2019-06-24 |access-date=2023-05-09 |language=ja-JP}}</ref>。同じキャロットファーム所有の[[リスグラシュー]]に優勝を許した<ref name="スポニチ-2019宝塚" />。

夏休みを経て秋は、天皇賞(秋)とジャパンカップ、有馬記念の3競走から2競走に出走することを目指し、前年と同様にオールカマーで始動となった<ref>{{Cite web |title=【産経賞オールカマー】レイデオロ、祐一と初タッグ |url=https://race.sanspo.com/keiba/news/20190805/ope19080505050003-n1.html |website=サンスポZBAT!競馬 |access-date=2023-05-09 |publisher=[[サンケイスポーツ]]}}</ref>。当日の9月22日は阪神で神戸新聞杯があり、皐月賞優勝馬で同じキャロットファーム所有の[[サートゥルナーリア (競走馬)|サートゥルナーリア]]の主戦騎手ルメールはそちらを優先。代打[[福永祐一]]を迎えて1番人気で出走したが、終始動きが鈍く4着に敗退した<ref>{{Cite web |title=【オールカマー】レイデオロ“試練4着”連覇逃す…1番人気もラスト不発|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2019/09/23/kiji/20190922s00004048555000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-09 |language=ja}}</ref>。{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=ais8cb7woqs&ab_channel=JRA%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB 2019年 ジャパンカップ({{GI}})<br />レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画]}}
天皇賞(秋)へ参戦せずルメールとアーモンドアイの優勝を見届け、続いて11月24日のジャパンカップに参戦。アーモンドアイとの対決の可能性があったために陣営は、ルメールに代わって新たに短期免許で参戦中の[[ウィリアム・ビュイック]]を迎えた<ref name="サンスポ-2019ジャパンC-藤沢">{{Cite web |title=【ジャパンC】レイデオロ・藤沢和師トーク |url=https://race.sanspo.com/keiba/news/20191121/ope19112105090015-n1.html |website=サンスポZBAT!競馬 |date=2019-11-21 |access-date=2023-05-10 |language=ja-JP}}</ref>。結局アーモンドアイは、ジャパンカップではなく香港を選んで対決は実現せず、ルメールの重複もなかったがビュイックと参戦<ref name="サンスポ-2019ジャパンC-藤沢" />。1番人気だったが重馬場に脚を取られて末脚使えず、人気を裏切る11着だった<ref>{{Cite web |title=【ジャパンC】1番人気レイデオロは見せ場なく11着 ビュイック「敗因は馬場しかない」 |url=https://race.sanspo.com/keiba/news/20191124/ope19112420330017-n1.html |website=サンスポZBAT!競馬 |date=2019-11-24 |access-date=2023-05-11 |language=ja-JP}}</ref>。

直後に年内引退が発表され、暮れの有馬記念が引退レースとなった。アクシデントで香港遠征を断念したアーモンドアイとルメールとの対決が実現し、再びビュイックを起用して挑む予定だった<ref>{{Cite web |title=【次走】レイデオロはビュイック騎手と有馬記念へ|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=164339 |website=netkeiba.com |access-date=2023-05-09 |language=ja}}</ref>。しかし直前でビュイックに騎乗停止処分が下って騎乗不能となり、代わって[[三浦皇成]]と挑むことになった。断ち切れない連敗、不振は集中して走ることができないなど精神面が障壁になっていた<ref name="サンスポ-天栄">{{Cite web |title=【リレーコラム】東京サンスポ~ノーザンファーム天栄・木實谷場長にジオグリフ、エフフォーリアについて直撃取材!by綿越 |url=https://www.sanspo.com/race/article/general/20220801-H4GFJIVEEZDYHMJPCTHJJZ33EU/ |website=サンスポZBAT! |date=2022-08-01 |access-date=2023-05-10 |language=ja |first=SANKEI DIGITAL |last=INC}}</ref>。そこで陣営は、初めてブリンカーを着用させて臨ませ一変を試みていた<ref>{{Cite web |title=レイデオロが初ブリンカー着用/有馬枠順|url=https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=201912190000821&year=2019&month=12&day=19 |website=p.nikkansports.com |access-date=2023-05-10 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |title=【有馬記念】(8)レイデオロ 初のブリンカー「効果が出てくれれば」|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2019/12/21/kiji/20191220s00004048606000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-09 |language=ja}}</ref>。ルメールとアーモンドアイが単勝オッズ1倍台の支持を集める一方で、35.8倍の9番人気だった。それでもパドックには、メンバー中最多となる7枚の横断幕が掲げられていた<ref>{{Cite web |title=リスグラシューでもアーモンドアイでもなく…横断幕では引退レースのレイデオロが”1番人気” 7着で現役競走馬生活に幕|url=https://www.chunichi.co.jp/article/34069 |website=中日スポーツ・東京中日スポーツ |access-date=2023-05-09 |language=ja}}</ref>。{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=oY8OYzlspdA&ab_channel=JRA%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB 2019年 有馬記念({{GI}})<br />レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画]}}
スタートで出遅れ、ブリンカーをつけても進まず後方追走となったが<ref name="サンスポ-天栄" />、先行勢が揃って伸びあぐねるハイペースに乗じて進出。リスグラシューの独走には敵わなかったが、直線で末脚を発揮して先行勢を取り込み、アーモンドアイには先着する7着となった<ref>{{Cite web |title=レイデオロはブリンカー装着も7着/有馬記念|url=https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=201912220000429&year=2019&month=12&day=22 |website=p.nikkansports.com |access-date=2023-05-09 |language=ja}}</ref>。12月25日付で日本中央競馬会の競走馬登録を抹消し、競走馬を引退した<ref>{{Cite web |title=レイデオロ、シュヴァル抹消…ともに種牡馬入り |url=https://race.sanspo.com/keiba/news/20191226/ope19122605040003-n1.html |website=サンスポZBAT!競馬 |date=2019-12-26 |access-date=2023-05-09 |language=ja-JP}}</ref>。

== 種牡馬時代 ==
競走馬引退後は、北海道安平町の[[社台スタリオンステーション]]で種牡馬となった<ref name="スポニチ-後継種牡馬">{{Cite web |title=種牡馬新時代の主役はレイデオロ!!藤沢和師が愛馬売り込み ディープ、キンカメ後継名乗り|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2020/02/07/kiji/20200206s00004048349000c.html |website=スポニチ Sponichi Annex |access-date=2023-05-10 |language=ja}}</ref>。日本で大流行の種牡馬サンデーサイレンスの血を持っていないダービー優勝馬であり、優秀なウインドインハーヘアの牝系を受け継ぎ、キングカメハメハの後継種牡馬という血統的背景から、種牡馬として活躍が期待されている<ref name="スポニチ-後継種牡馬" />。初年度の種付け料は600万円に設定されながらすぐに売り切れ、満口となり196頭と交配、128頭の血統登録された産駒を得ている<ref name="JBIS-種牡馬成績" />。その後も2022年まで170頭以上の牝馬と交配を続けている<ref name="JBIS-種牡馬成績" />。2023年にデビューする予定の初年度産駒に対する馬産地の期待は高く、セレクトセールでは評判馬の指定席トップバッター、そして大トリを担うなど15頭が上場され、1億円越え5頭などすべて落札がなされている<ref>{{Cite web |title=【セレクトセール】レイデオロ時代の訪れ 初年度産駒が億超え5頭|url=https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=202107140000072&year=2021&month=07&day=14 |website=p.nikkansports.com |access-date=2023-05-12 |language=ja}}</ref>。


== 競走成績 ==
== 競走成績 ==
以下の内容は、netkeiba.comの情報<ref name="netkeiba">{{Cite web|url=http://db.netkeiba.com/horse/2014106201/|title=レイデオロ|work=netkeiba.com|publisher=株式会社ネットドリーマーズ|accessdate=2019-06-23}}</ref>に基づく。
以下の内容は、[[netkeiba.com]]<ref>{{Cite web |title=レイデオロ (Rey de Oro)の競走成績 {{!}} 競走馬データ |url=https://db.netkeiba.com/horse/result/2014106201/ |website=netkeiba.com |access-date=2023-04-26 |language=ja}}</ref>並びにJBISサーチ<ref>{{Cite web |title=競走成績:全競走成績|レイデオロ|JBISサーチ(JBIS-Search) |url=https://www.jbis.or.jp/horse/0001189721/record/?sort=ymd&page=1&order=A |website=www.jbis.or.jp |access-date=2023-04-26}}</ref>の情報に基づく。
{| style="border-collapse:collapse; font-size:90%; text-align:center; white-space:nowrap"
{| style="border-collapse: collapse; font-size: 90%; text-align: center; white-space: nowrap;"
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!競走日!!競馬場!!競走名!!格!!距離(馬場)!!頭<br />数!!枠<br />番!!馬<br />番!!オッズ<br />(人気)!!着順!!タイム<br />(上がり3F)!!着差!!騎手!!斤量<br />[kg]!!1着馬(2着馬)!!馬体重<br />[kg]
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|}


== 血統表 ==
== 種牡馬成績 ==
以下の内容は、JBISサーチの情報に基づく<ref name="JBIS-種牡馬成績">{{Cite web |title=種牡馬情報:世代・年次別(サラ系総合)|レイデオロ|JBISサーチ(JBIS-Search) |url=https://www.jbis.or.jp/horse/0001189721/sire/generation/thorough_s/ |website=www.jbis.or.jp |access-date=2023-05-09}}</ref>。
{| class="wikitable"
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* 情報は、2023年5月10日時点。

== 血統 ==
{{競走馬血統表
{{競走馬血統表
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|ref4 = [https://www.jbis.or.jp/horse/0001189721/pedigree/ JBISサーチ レイデオロ 5代血統表]2017年6月27日閲覧。
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}}
== 脚注 ==
* 全弟に2019年の[[エプソムカップ]]を制した[[レイエンダ]]がいる。
* 祖母レディブロンドは[[ディープインパクト (競走馬)|ディープインパクト]]の半姉。

== 出典 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{脚注ヘルプ}}

{{Reflist}}
=== 注釈 ===
<references group="注釈" />

=== 出典 ===
{{Reflist|3}}

== 参考文献 ==

* 『[[優駿]]』([[日本中央競馬会]])
** 2017年2月号
*** 「【2016年度JRA賞】年度代表馬はキタサンブラック」
*** 「【重賞プレイバック】第33回ホープフルステークス(GII)レイデオロ」
** 2017年3月号
*** 平出貴昭(サラブレッド血統センター)「【特集】ダイナカールにウインドインハーヘア 隆盛を極める注目の牝系」
** 2017年4月号
*** 石田敏徳「【トレーナーインタビュー】藤沢和雄調教師 有力馬3頭と臨むクラシックへの手応え」
*** 横手礼一「【勢力分析】群雄割拠の混戦模様 皐月賞戦線を斬る」
*** 石田敏徳「【皐月賞有力馬紹介】一足飛びに頂点へ駆ける レイデオロ 末脚の破壊力は証明済み」
*** 島田明宏「【優駿ロングインタビュー】吉田俊介 組織全体としての積み重ね」
**2017年6月号
***横手礼一「【進め!クラシックロード】第84回日本ダービーへの道」
***「【重賞プレイバック】第77回皐月賞(GI)アルアイン」
** 2017年7月号
*** 島田明宏「【レースレビュー】まれにみる特異な状況で混戦を断った人馬の器量」
*** 山田康文(馬事通信)「【クローズアップ第84代日本ダービー馬】レイデオロ どこにいても目立つ存在感」
*** 山田康文(馬事通信)「【血統考察】ノーザンファームが求めた母系ウインドインハーヘアの本領」
*** 平松さとし「【ジョッキーインタビュー】クリストフ・ルメール 勝利を呼び込んだあの一瞬」
*** 石田敏徳「【トレーナーインタビュー】藤沢和雄 馬の未来を見据えながら」
*** 優駿編集部「【第84回日本ダービーTOPICS】藤沢&ルメールコンビが快挙!――オークス、日本ダービーを連勝」
*** 「【第84回日本ダービーTOPICS】第84回日本ダービーアラカルト」
*** 「【重賞プレイバック】第84回東京優駿(GI)レイデオロ」
**2017年11月号
***「【重賞プレイバック】第65回神戸新聞杯(GII)レイデオロ」
**2018年1月号
***平松さとし「【GIインサイドストーリー】シュヴァルグラン 勝利を手繰り寄せた陣営のプラン」
***「【重賞プレイバック】第37回ジャパンカップ(GI)(国際招待)シュヴァルグラン」
**2018年4月号
***平松さとし「【ドバイを目指す日本の精鋭たち 有力馬紹介】ドバイシーマクラシックに出走予定 レイデオロ」
***「【重賞プレイバック】第111回農林水産省賞典 京都記念(GII)クリンチャー」
**2018年5月号
***江面弘也「【2018年ドバイワールドカップデー】日本勢は上位進出も勝利ならず"ゴドルフィン旋風"巻き起こる」
**2018年11月号
***「【重賞プレイバック】第64回産経賞 オールカマー(GII)レイデオロ」
**2022年4月号
***平松さとし「【優駿ロングインタビュー】藤沢和雄 貫き通した"馬優先主義"」


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
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2023年5月22日 (月) 07:17時点における版

レイデオロ
2017年東京優駿
欧字表記 Rey de Oro[1]
品種 サラブレッド[2]
性別 [2]
毛色 鹿毛[2]
生誕 2014年2月5日(10歳)[2]
抹消日 2019年12月25日[3]
キングカメハメハ[2]
ラドラーダ[2]
母の父 シンボリクリスエス[2]
生国 日本の旗 日本北海道安平町[2]
生産者 有限会社ノーザンレーシング[4]
生産牧場 ノーザンファーム[2]
馬主 有限会社キャロットファーム[2]
調教師 藤沢和雄美浦[2]
調教助手 津曲大祐[5]
本間壮右[6]
競走成績
タイトル JRA賞最優秀3歳牡馬(2017年)
JRA賞最優秀4歳以上牡馬(2018年)
生涯成績 17戦7勝[2]
中央競馬)15戦7勝[3]
ドバイ)2戦0勝[3]
獲得賞金 9億2851万700円[7]
(中央競馬)8億8155万0000円[3]
(ドバイ)4696万700円[3]
WBRR 121L(2017年)[8]
123I(2018年)[9]
115L(2019年)[10]
勝ち鞍
GI 東京優駿 2017年
GI 天皇賞(秋) 2018年
GII ホープフルステークス 2016年
GII 神戸新聞杯 2017年
GII オールカマー 2018年
テンプレートを表示

レイデオロ(欧字名:Rey de Oro2014年2月5日 - )は、日本競走馬種牡馬[2]

2017年の東京優駿(日本ダービー)(GI)優勝馬。2017年のJRA賞最優秀3歳牡馬、2018年のJRA賞最優秀4歳以上牡馬である。

概要

2014年、北海道安平町ノーザンファームで生産された2004年東京優駿(日本ダービー)優勝馬キングカメハメハ産駒の牡馬である。ハイクレアウインドインハーヘアから続く牝系を受け継ぎ、祖母はレディブロンド、母はラドラーダであった。キャロットファームが所有し、祖母や母、母父シンボリクリスエスと同じ美浦トレーニングセンター調教師藤沢和雄に管理されて競走馬となり、騎手クリストフ・ルメールと成り上がった。

2016年、2歳10月に新馬戦を制した後、葉牡丹賞(500万円以下)とホープフルステークス(GII)を連勝して重賞初勝利を挙げ、クラシック戦線に加わった。年をまたいだ2017年は一頓挫あって前哨戦を使えず、皐月賞(GI)に直行して敗退。続く東京優駿(GI)ではスローペースの後方という不利を被ったが、ルメールが勇んで「まくり」策で覆し戴冠。父仔制覇を果たし、藤沢やルメールなどに初めてとなるダービータイトルをもたらしていた。秋には神戸新聞杯(GII)を優勝、ジャパンカップ(GI)で古馬に挑み、キタサンブラックに先着しシュヴァルグランに次ぐ2着となった。

古馬となってからは、2年連続でドバイシーマクラシック遠征をするも勝利できなかった。それでも国内では、2018年のオールカマー(GII)を優勝、続く天皇賞(秋)(GI)で同期のサングレーザーキセキアルアインなどを下して連勝しGI2勝目を果たした。競走生活晩年となる2019年は勝利から遠ざかった。17戦7勝、GI2勝を挙げて9億円を超える賞金を獲得した。

デビューまで

誕生までの経緯

ウインドインハーヘア

ウインドインハーヘア(後のレイデオロの曾祖母)は、1991年にアイルランドで生産された父アリゼオエリザベス女王が所有した活躍馬ハイクレアから連なる牝系を持つ牝馬である。ヨーロッパで競走馬となり、1994年のイギリスオークス(G1)で2着など活躍した後、繁殖牝馬となって交配を行い受胎していた。ところが競走馬に復帰し、身重ながら1995年、ドイツのアラルポカル(G1)を優勝。同年に再び引退し、改めて繁殖牝馬となっていた[11][12]。そして初仔、2番仔と産み落としていた。続く3番仔は、父シーキングザゴールドの牝馬だった[12]。後にウインドインハーヘアは、日本に渡り、サンデーサイレンスと交配し、ブラックタイドディープインパクトを産み落とすこととなる[12]

シーキングザゴールドの牝馬である3番仔はアイルランドに繋養されており、世界的な競走馬生産者であるクールモアスタッドが所有して競走馬となることが内定していた[13]。しかしアイルランドを視察していた日本の中央競馬美浦トレーニングセンター所属の調教師である藤沢和雄が、その3番仔を高く見込み、日本競馬で走らせたいと思うようになっていた[13]。競馬先進国のイギリス留学を経て調教師となった藤沢は、日本に様々な方式や技術を導入して成績を残していた。当時、出走に制限が設けられていた外国産馬も盛んに受け入れ、出走できないクラシック以外の場でシンコウラブリイタイキシャトルなどを活躍させていた[14]

この3番仔も、藤沢厩舎所属の外国産馬にするべく、クールモアに購入を打診したが断られた。それでも交渉の末、引退後にクールモアへ返納する約束のリース契約を勝ち取っていた[13]。3番仔は2000年に日本へもたらされ、藤沢に同行したクラブ法人のロードホースクラブが所有となった[13]。そして冠名「レディ」を含んだ「レディブロンド」(後のレイデオロの祖母)という競走馬名を授かり、藤沢厩舎に入厩していた[13]

レディブロンド

レディブロンドは、返納の義務があるため、日本の関係者はひたすら競走成績を期待するしかなかった[13]。しかし股関節に不安があり、新馬戦や未勝利戦が設けられている4歳にデビューすることすらできなかった[15]。藤沢は、時間をかけて良化を待ち、遅れに遅れて5歳、2003年夏、2段階飛んで1000万円以下でデビューさせていた[15]。高い能力を備えていたレディブロンドは、既走馬相手に初出走初勝利で応えていた。そればかりかこの後に躍進、無敗の5連勝までを果たしていた[16][15]

映像外部リンク
2003年 スプリンターズステークス(GI
レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画

5連勝達成直後には勇んで連闘し、スプリンターズステークス(GI)でオープン競走初挑戦していた。3番人気に推され、優勝したデュランダルや2着のビリーヴに約2馬身以内、3着アドマイヤマックスに小差の4着に食い込んでいた[16][17]。この直後に脚部不安をきたし、デビューから3か月で引退。約束通り、アイルランドに戻るべく検疫に入っていたが、日本の競走馬生産者であるノーザンファームの代表である吉田勝己は、それを名残惜しく感じてすぐに購入オファーを敢行し、合意を勝ち取っていた[13]。直前でアイルランド帰国は無くなり、ノーザンファームに繋養されて繁殖牝馬となった[13]。2年目の2005年には、藤沢厩舎で活躍した外国産馬のシンボリクリスエスと交配し、受胎を経て牝馬を産んだ。その牝馬は、クラブ法人キャロットファームの所有となって「ラドラーダ」(後のレイデオロの母)となった[18]

ラドラーダ

ラドラーダは、両親と同様に藤沢厩舎から競走馬となった。3歳、2009年1月にデビューから3連続2着の後、夏の4戦目で勝ち上がりを果たした。昇級初戦は2着だったが、秋には3連勝を果たして一気にオープンクラスまで出世[19]。年をまたいで4歳、2010年4月の阪神牝馬ステークス(GII)でオープンクラス初戦を迎えて1番人気の6着だった。続いて5月には、ヴィクトリアマイル(GI)に3番人気で挑んだが、ブエナビスタに敵わず13着だった[19]

映像外部リンク
2010年 ヴィクトリアマイル(GI
レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画

その後は降級しながら引退まで連敗、18戦4勝で引退し、母同様にノーザンファームで繁殖牝馬となっていた[18]。初年度となる2013年には父ダイワメジャーの初仔を産み落とし、同年には、2004年の東京優駿(日本ダービー)などを優勝したキングマンボ系の種牡馬であるキングカメハメハと交配していた。受胎を経た2014年2月5日、北海道安平町のノーザンファームにて、2番仔である鹿毛の牡馬(後のレイデオロ)が誕生する[2]

ラドラーダは、得た栄養を自らに向けず、宿している仔に過度に注ぎ込む性質の持ち主だった[20]。初年度、ひどく瘦せ細る姿にその性質をまだ知る由もない牧場スタッフは、沢山の栄養を与えて回復を促してしまっていた[20]。結果、胎内の仔がひたすらに成長してしまい、儲けた初仔は大柄になっていた[20]。その反省から2年目は、性質を汲み取って適切な栄養管理がなされていた[21]。そうして生まれた2番仔は、牧場の繁殖担当主任によれば「ちょうど良いサイズ[21]」だった。

幼駒時代

2番仔は、牧場の同期のなかでも離乳が遅く、母と長い時間を過ごした[21]。離乳して自立した後は、同期のなかでも強い精神力の持ち主となり、放牧中に集団を牽引する存在となった[21]。他の馬を脅迫して付き従わせるようなボスではなく、力を示さずとも自然にトップを君臨するようなリーダーとなるなど賢い一面があった[21][22]。1歳をノーザンファームイヤリングで過ごした後、10月中旬にノーザンファーム空港で後期育成が施された[23]。母と同様にキャロットファームの所有として競走馬となる。

キャロットファーム勝負服

キャロットファームでは「緻密に削り出された彫刻を連想させる、バランスのとれた馬体、皮膚の薄さは特筆モノ(中略)走る馬はこうあるべきと思わず頷いてしまうほどの出来映え(中略)将来が嘱望される1頭[24]」などとの売り文句が附されて出資会員の募集がなされた。一口15万円の全40口、総額6000万円の条件で売り切れ、満口となった[24]。父キングカメハメハ、母ラドラーダから連想されてスペイン語で「黄金の王」を意味する「レイデオロ」という競走馬名が与えられた[24]。レイデオロは、母や母父、母母と同様に藤沢が担当することになった。ノーザンファーム空港からノーザンファーム天栄を経て[23]、2歳、2016年5月に美浦の藤沢厩舎に入厩した[15]。デビュー前のゲート試験を合格すると、再び天栄に戻って調整されて、秋のデビューとなる[15]。藤沢はデビューする前から、レイデオロの能力に手応えがあった[15]

祖母レディブロンドが短距離GIに出走するようなスプリンター、母ラドラーダもマイル以下を主戦場にしていたように前進気勢に富む一族、藤沢によれば「走るのが大好きな血統[13]」であったという。レイデオロもまた前進気勢に富み、調教でも頻繁に引っ掛かっていた。しかし手が付けられないほど深刻ではなかった[13]。祖母と母とは異なって完全にスプリンターの体形ではなかったため、中長距離路線での成り上がりを目指した[13]。牧場では、その前進気勢を抑制することなく、可能な限り尊重する形で育成が施されており、集団調教では、前に馬を置いて前進を我慢させたりしながら、節度のある前進気勢を身につけていった[25][26]。豊かな前進気勢は、競走馬としてデビューしてからしばらく続くこととなる。出走前のパドック周回はテンションが高く、走る気持ちに溢れていた[27]。後にノーザンファームの吉田俊介は「繊細で、返し馬でも持って行かれそうな怖さがある。それもあって、鞍上は変えたくない馬[28]」であると述べている。

背景

藤沢和雄とダービー

藤沢は、東京競馬場芝2400メートルで行われるクラシックの最高峰・東京優駿(日本ダービー)を優勝したことがなかった。1987年に厩舎を開業してから、5年で初めてリーディングトレーナーになるなど成績は上々だったが、それは馬に無理をさせずに寄り添い、時間をかけて成長を促したためであった[29]。息の長い現役生活を尊ぶ藤沢にとって、3歳5月という早い時期の長距離、それに馬生で一度しか出走できないダービーは、相性が悪かった[29]。イギリス留学から調教師となる間には、菊池一雄厩舎や野平祐二厩舎で調教助手をしており、菊池厩舎では1981年にカツトップエースで、野平厩舎では1984年にシンボリルドルフで、それぞれダービー優勝を成し遂げていた[30]。後に藤沢は、この2勝から「ダービーって大したことない、3歳限定のレースだ、と思っていたこともあった[30]」と振り返っている。

藤沢和雄のダービー挑戦
騎乗馬 参戦過程

優勝
1989 ロンドンボーイ 青葉賞 10 22着 ウィナーズサークル [31]
2002 シンボリクリスエス 青葉賞 3 02着 タニノギムレット [32]
マチカネアカツキ プリンシパルS 6 03着 [33]
ヤマノブリザード 青葉賞 16 09着 [34]
サスガ 皐月賞 11 17着 [35]
2003 ゼンノロブロイ 青葉賞 3 02着 ネオユニヴァース [36]
ゼンノジャンゴ プリンシパルS 13 05着 [37]
スズノマーチ 皐月賞 16 17着 [38]
2004 ピサノクウカイ プリンシパルS 8 07着 キングカメハメハ [39]
2006 ジャリスコライト 皐月賞 8 14着 メイショウサムソン [40]
2007 フライングアップル 皐月賞 12 10着 ウオッカ [41]
プラテアード プリンシパルS 17 18着 [42]
2008 クリスタルウイング 青葉賞 9 06着 ディープスカイ [43]
2010 ペルーサ 青葉賞 2 06着 エイシンフラッシュ [44]
2012 スピルバーグ プリンシパルS 9 14着 ディープブリランテ [45]
2013 コディーノ 皐月賞 4 09着 キズナ [46]
フラムドグロワール NHKマイルC 11 10着 [47]
レッドレイヴン 青葉賞 9 12着 [48]

開業2年目の1989年には、ロンドンボーイ(父:ホクトボーイ)で初めて挑戦させていた。4月に勝ち上がり、その月末の「指定オープン」青葉賞(OP)で2着となった後、5月末に勝てると踏んで挑ませていたが22着敗退だった[49]。藤沢はロンドンボーイの素質を高く見込んでおり、ダービー後の活躍も期待していた。しかしこの後は条件戦2戦1勝のみに留まり、本領を発揮させることのできないまま引退に追い込まれた[50][51]

藤沢は、ダービートレーナーになることを強く望んでいた[50]。しかしこのロンドンボーイの失敗から、目先のダービーという大タイトルに強く囚われず、馬の将来をより重視しようと考えるようになった[52][53]。このロンドンボーイを教訓にして、しばらくダービー参戦は実現しなかった[51]。1995年JRA賞最優秀3歳牡馬に輝いたバブルガムフェローのクラシック直前での骨折という不運、厩舎の所属馬がクラシック出走権のない外国産馬ばかりであることも重なり、俄然ダービーに届かなかった[52][29]

2001年に外国産馬のクラシック出走が解禁されると、翌2002年、ロンドンボーイ以来12年ぶりの挑戦を果たしていた[49]。しかも再挑戦初戦で4頭を送り込んでいた。そのうち外国産馬のシンボリクリスエスと内国産馬のマチカネアカツキは善戦。しかしタニノギムレットに敵わず2着3着だった。中でもシンボリクリスエスは、素質はあったが、デビュー当初から体質が弱い面があり慎重に調整されており、クラシック初戦の皐月賞参戦が叶わず、青葉賞優勝から挑ませていた。藤沢は期待をかけていたが敵わなかった。それでもシンボリクリスエスは、ロンドンボーイのように故障し早くに引退することはなく、息の長い現役生活を送ることができた。秋には天皇賞(秋)有馬記念を優勝し、翌年にその両方を連覇するなど本領を発揮。藤沢はシンボリクリスエスで、ダービー挑戦と長く中身のある馬生追求の両立を実現していた。

この後、ゼンノロブロイペルーサなどが青葉賞から挑んでいた。優勝できなかったが、シンボリクリスエスと同様に長い現役生活を実現していた[54]。藤沢の方針では、始動は遅くなる傾向が高く、時期的に4月の皐月賞出走は厳しかった。そのため泣く泣く青葉賞からの参戦が定番化し、やがて藤沢厩舎の慣例となっていた[54]。例外として特質すべきは2013年、早々にデビューしたコディーノが、賞金を積んで皐月賞に到達し3着となってからダービー出走するも9着だった[54]

ロンドンボーイの挑戦から試行錯誤しているうちに敗戦は重なり、四半世紀以上が経過。通算勝利数が1000勝を超えるなど実績を残しているにもかかわらず、ダービータイトルだけに届いていない現象には「七不思議」のひとつとも捉えられていた[30]。そして調教師の定年が間近に迫った2016年、藤沢は、レイデオロに出会っていた[55]

競走馬時代

2歳(2016年)

10月9日、東京競馬場新馬戦(芝2000メートル)でデビューとなる。鞍上には、この日の毎日王冠アンビシャスに騎乗するために東京にいたクリストフ・ルメールが起用され、この後、ルメールとともに成り上がりを果たすこととなる[56]。16頭立てとなる中、単勝オッズ1.7倍の1番人気だった。スタートから好位の5番手を追走した後、直線で進出[57]。終いで先に抜け出した馬を差し切り、突き放した[58]。後方に1馬身4分の1差をつけて先頭で決勝線を通過し、初出走初勝利を挙げた[59]

続いて藤沢は、11月に行われる東京スポーツ杯2歳ステークスで重賞初参戦を予定したが、ルメールには先約があり、コンビ継続が難しかった。翌年のクラシックを見据える陣営は、名手ルメールを手放したくなかった[60]。そこで予定を変更して重賞参戦を見送り、12月3日、中山競馬場開催の芝2000メートルの葉牡丹賞(500万円以下)に参戦していた[60]。再び1.7倍の1番人気という支持を集める中、スタートから打って変わって控えて、後方を追走した[61]。短い直線に差し掛かり、大外に持ち出しながら末脚を発揮し、先に抜け出したコマノインパルスを差し切り、そして突き放していた[62][61]。1馬身差をつけて決勝線に到達し、2連勝を果たした[61]

それから12月25日、ホープフルステークス(GII)で重賞初挑戦となる。サングレーザーや重賞3着のグローブシアターとの対決となったが、1.5倍の1番人気に推された[63]。葉牡丹賞からわずか2週間という短い間隔だったが、強気に出走を決めていた[13]

映像外部リンク
2016年 ホープフルステークス(GII
レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画

不格好な形のままスタートが切られて出遅れ、後方追走を余儀なくされた[64]。それでも第3コーナーから先行馬群に突っ込みながら盛り返し、最終コーナーを好位集団の背後まで進出した[63]。最後の直線コースで馬群を割ってから末脚を発揮すると、他の馬をすべて差し切って先頭を奪取していた[63]。内からマイネルスフェーンが追い込んでいたが、反対に突き放して独走だった[63]。1馬身4分の1差をつけて決勝線に到達し、無傷の3連勝で重賞初優勝を果たした[63]

3戦3勝で終えたこの年のJRA賞では、最優秀2歳牡馬部門で票を得たが11票に留まり、朝日杯フューチュリティステークス優勝のサトノアレスには叶わなかった[65]。最優秀2歳牡馬に輝いたサトノアレスは、同じく藤沢厩舎だった[65]。さらに2歳牝馬限定のGIである阪神ジュベナイルフィリーズを優勝し最優秀2歳牝馬に輝いたソウルスターリングもまた藤沢厩舎、そしてルメールが導いていた[65]。藤沢は、史上初めてとなる同一年の2歳GI独占を成し遂げていた[66]。その育成方針から、奥手な競走馬になる傾向がある藤沢厩舎だったが、翌年は牡牝に有力馬を抱えてクラシックに挑むこととなる[66]。しかも牡牝両方に、ルメールを確保していた。

3歳(2017年)

皐月賞

クラシック初戦の皐月賞参戦に向けては、トライアル競走弥生賞スプリングステークスを前哨戦にする予定だった[67][68]。しかしホープフルステークスの後にソエを発症するなど疲労が目立ち、回復に時間がかかったためにトライアル競走での復帰は叶わず[注釈 1]、異例の皐月賞直行が選択された[67][68]。前年暮れに敢行した葉牡丹賞からホープフルステークスの連戦連勝は、賞金面や中山のコース経験などの不安解消という面では大いに効果的だった[13]。しかしクラシック直前になって、その反動に祟られる報いを受けることになった[13]。目先のクラシックに囚われずその後の将来も考える藤沢にとって、2歳戦からの本番直行という異例のローテーションは、1999年にスティンガーで敢行していた。連闘で阪神3歳牝馬ステークスを戴冠した後、牝馬クラシック初戦の桜花賞に直行していた[69]。12着で戴冠は叶わなかったがここで消耗せずに長く活躍、理念に適った長い馬生を叶えていた[69]

レイデオロは、トライアル競走が行われている最中の3月14日に、天栄から帰厩して調整を再開し、4月16日の皐月賞(GI)に参戦した[70]。この年のクラシックの牡馬戦線は、傑出した馬がおらず混戦とされていた[71]。2歳戦線は、異端のブレスジャーニーが良血馬を続けて破るなど波乱が起こり、2歳重賞で1番人気に応えた牡馬はレイデオロのみだった[72]。頼みのブレスジャーニーはクラシックを前に故障してリタイアとなり、レイデオロは直行という不安要素があった[71]。またブレスジャーニーとレイデオロ不在の朝日杯フューチュリティステークスでは、牝馬のミスエルテが1番人気に推されるなど、牡馬勢は総じて頼りなかった[73]

皐月賞

そして迎えた本番の皐月賞でも、牡馬勢は心許なかった[74]。別路線から飛び込んできた牝馬、フラワーカップ優勝から桜花賞参戦を見送り挑んできた無敗のファンディーナが1番人気に奪われた[73]。以下牡馬勢、共同通信杯優勝のスワーヴリチャード弥生賞優勝のカデナアーリントンカップ優勝のペルシアンナイトという前哨戦優勝組が占め、それに続く10.4倍の5番人気がレイデオロだった[74]

内枠のスタートから主張せずに後方内側を追走し、終いは内に潜って馬群を割って進出したが、上位争いは遥か前方で繰り広げられていた[75]。先行して先に抜け出していたアルアインやペルシアンナイト、ダンビュライトクリンチャーには、展開的に敵わなかった[73]。トライアル競走ではなく別路線の毎日杯優勝から臨んだアルアインが優勝し、それに約2馬身以上後れを取る5着だった[74]

映像外部リンク
2017年 皐月賞(GI
レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画

初の敗北となったが、休み明け初戦ながら上がり3ハロン・末脚はメンバー中2番目に早いものを繰り出していたため、陣営は悲嘆に暮れなかった[76][77]。ルメールは、直線の長い東京競馬場で行われる東京優駿での上昇を期待するようになった[78]。この後は天栄滞在を経て、5月4日に帰厩し東京優駿を目指した[60]

東京優駿(日本ダービー)

5月28日、クラシック第二弾・最高峰の東京優駿(日本ダービー)(GI)に参戦となる。この1週間前、同条件の牝馬クラシックの優駿牝馬(オークス)に藤沢とルメールは、ソウルスターリングで挑んでいた。レイデオロと同様に牝馬クラシック初戦の桜花賞で3着で初敗北を喫したソウルスターリングだったが、続く優駿牝馬で巻き返して優勝を果たしていた。このため藤沢とルメールは、レイデオロで2週連続クラシック優勝を狙う機会に恵まれた。初めてとなる東京競馬場参戦だったが、陣営は適性があると見込んでいた[79]。"前哨戦"の皐月賞を叩いたことで状態も上向いて程よく気合が乗っており、当日のパドック周回は、溢れる気合を宥めるために2人で曳かれていた[80]

皐月賞は接戦での決着となり、混戦模様を覆すような新星は現れなかった[81]。1800メートルの毎日杯を優勝したアルアイン、マイルのアーリントンカップを優勝したペルシアンナイトなど短い距離を走った馬が上位を占めており、2400メートルの東京優駿に直結するか疑問視されていた。皐月賞トライアル組など既存勢力が揃って頼りなくある中で、皐月賞不出走組やダービートライアル組、あるいは不安を抱えたまま皐月賞に挑み敗れた面々が信頼されるようになった。1番人気から5番人気までが3倍台から8倍台でひしめき、皐月賞同様に「混戦」とされる中、アドミラブルがトライアル・青葉賞優勝馬として史上初めてとなるダービー1番人気となり[82]、3.5倍だった[83]。次いで叩き2戦目の皐月賞5着レイデオロが5.3倍、右回りが合わず皐月賞6着スワーヴリチャードが5.9倍、皐月賞優勝アルアインが6.3倍、毎日杯2着から皐月賞を見送り参戦したサトノアーサーが8.0倍の5番人気だった[83]

映像外部リンク
2017年 東京優駿(日本ダービー)(GI
レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画

6枠12番からスタートしたレイデオロは、主張せずに後方を追走した[83]。前方では横山典弘マイスタイルがハナを奪取して単騎で逃げ、横山は落ち着いたペースで先導していた[83]。レイデオロのルメールは、最初の300メートルを通過した時点でそのペースとなることを見抜き、このまま後方に留まっては勝利できないと悟っていた[80][84]。逃げるマイスタイルが前半の1000メートルを過去30年で最も遅い63.2秒で通過するという超スローペースを演出する中、馬群の後方外側で向こう正面に差し掛かったレイデオロは、不利な後方から逃れるために「まくり」を展開する[85][86]

後方10番手から外に持ち出して「まくり」先行集団に合流したレイデオロは、マイスタイルの背後も確保し、スローペースでも勝負できる位置まで進出していた[87]。馬は加速減速の切り替えが難しいため、「まくり」は、減速できず引っ掛かってしまう可能性があった[88]。引っ掛かれば終いまで持たず、大敗する危険も孕んでいたが、レイデオロは引っ掛かることなく追走することができていた[88]。第3コーナーを2番手で通過し最終コーナーに差し掛かると、各馬が一斉に動き出してペースが上がり、直線では、各々がここまで溜めていた末脚の勝負となった[83]

先頭に立ったレイデオロ(緑帽12番)にスワーヴリチャード(黒帽4番)が詰め寄る。ペルシアンナイト(緑帽11番)アルアイン(青帽7番)が遅れて追い上げる。

馬場の真ん中を2番手で進むレイデオロは、ペースに甘えて逃げ粘るマイスタイルに並びかけて、残り300メートルからルメールのステッキに反応して末脚を発揮した[85]。背後には、好位から追い込むスワーヴリチャードがおり、接近を許して「まくり」のレイデオロは先頭を脅かされた[85]。しかしルメールに促されるともう一伸びして先頭を守り切っていた。後方アドミラブルは大外に持ち出して追い込み、確かに鋭い末脚を披露していたが、レイデオロは既に挽回不能のリードを構築していた[85]

声援に応えるルメールとレイデオロ

スワーヴリチャードより4分の3馬身、アドミラブルより約2馬身先に決勝線到達を果たした[83]。展開がスローペースだったため、良馬場開催にもかかわらず遅い決着となった[88]。近20年の良馬場開催では、エイシンフラッシュが優勝した2010年に並んで最も遅い走破タイムだった[86]。スローペースを見越して腹を括って「まくり」を敢行し、不利を覆したルメールの騎乗は、各所で「神騎乗」と称賛された[89][85]

表彰式

皐月賞から巻き返してダービー戴冠を成し遂げた。1996年フサイチコンコルドに次ぎ2000年アグネスフライトなど[注釈 2]と並ぶ、史上2番目に早いデビュー5戦目での優勝であり、また1985年シリウスシンボリ以来32年ぶり2頭目となる3歳2戦目での優勝だった[90][91]。加えて1973年タケホープ以来44年ぶり15頭目となる5文字馬の優勝だった[91]。さらに2004年キングカメハメハ以来となる馬番「12」の優勝であり、父仔が同じ馬番から優勝を果たしていた[90]。キングカメハメハの親仔優勝は、前々年ドゥラメンテ以来であり、ミナミホマレ[注釈 3]ディープインパクト[注釈 4]に続いて史上3頭目となる親仔制覇2勝を果たしていた[90][91]。付け加えてノーザンファームは、前々年ドゥラメンテ、前年マカヒキに続く連覇で史上初めてとなるダービー3連覇していた[92]

そしてルメールと藤沢、それにキャロットファームは、ダービー初勝利を果たしていた[91]。ルメールは、2002年の日本初騎乗から前々年・2015年の日本移籍とダービー初騎乗を経て、前年2016年、サトノダイヤモンドで挑みマカヒキにハナ差敗れる2着を乗り越え、3回目の騎乗で初めて日本ダービージョッキーとなった。それから藤沢は、厩舎開業30年目で19頭目の挑戦、2002年シンボリクリスエスや2003年ゼンノロブロイの2着を乗り越えてダービートレーナーとなり[91]、キャロットファームは、1985年の馬主登録以来13頭目の挑戦、2013年エピファネイアの2着を乗り越えてダービーオーナーとなっていた[93][94]

同一年の優駿牝馬・東京優駿ダブル優勝を果たした騎手・調教師[95]
優勝馬 騎手 調教師
1943 東京優駿 クリフジ 前田長吉 尾形藤吉
優駿牝馬
1951 東京優駿 トキノミノル 岩下密政 田中和一郎
優駿牝馬 キヨフジ 阿部正太郎
1952 東京優駿 スウヰイスー 八木沢勝美 松山吉三郎
優駿牝馬 クリノハナ 尾形藤吉
1973 優駿牝馬 ナスノチグサ 嶋田功 稲葉幸夫
東京優駿 タケホープ
1975 優駿牝馬 テスコガビー 菅原泰夫 仲住芳雄
東京優駿 カブラヤオー 茂木為二郎
2004 優駿牝馬 ダイワエルシエーロ 福永祐一 松田国英
東京優駿 キングカメハメハ 安藤勝己
2017 優駿牝馬 ソウルスターリング C.ルメール 藤沢和雄
東京優駿 レイデオロ

さらにルメールと藤沢は、優駿牝馬をソウルスターリングに続くクラシック連覇を果たしていた。ルメールは、1943年前田長吉、1952年八木沢勝美、1973年嶋田功、1975年菅原泰夫に続いて42年ぶり史上5人目となる同一騎手による同一年のオークス・ダービーダブル優勝[95][96]。この2競走の2週連続優勝は、嶋田と菅原に続いて3人目だった[97]。また藤沢は、1943年尾形藤吉、1951年田中和一郎、1973年稲葉幸夫、2004年松田国英に続いて13年ぶり史上5人目となる同一調教師による同一年のオークス・ダービーダブル優勝を成し遂げていた[95][96]。総合して、1943年にクリフジで連覇した前田と尾形、1973年にナスノチグサとタケホープで連覇した嶋田と稲葉に続いて44年ぶり史上3例目となる同一騎手調教師による同一年のオークス・ダービーダブル優勝を果たしていた[60][95]

付け加えてルメールは、前々週のヴィクトリアマイルアドマイヤリードで、前週のソウルスターリングに続く3週連続GI優勝となり、2001年11月から12月のオリビエ・ペリエ[注釈 5]以来史上2人目となるJRAGI3週連続優勝を成し遂げている[90]。さらにルメールは、日本移籍前の2009年、フランスダービールアーヴルで制しており、日仏ダービー優勝。おまけにこの年は、フランスオークススタセリタ[注釈 6]で制しているため、日仏で同一年にオークスとダービーダブル優勝を果たしていた[98]

ジャパンカップ

ダービー優勝後は、天栄に滞在して夏休みを過ごした[99]。秋は、クラシック最終戦の菊花賞ではなく、ダービーと同じ東京の2400メートルで行われるGI、されど古馬や外国調教馬が相手となるジャパンカップが目標となった。始動には、菊花賞のトライアル競走であるセントライト記念神戸新聞杯の選択肢となったが、このうち適性のある大回りコース、阪神競馬場の外回りで行われる神戸新聞杯が選ばれていた[100][101]。内容次第では目標の前に菊花賞や天皇賞(秋)出走も視野に入っていた[102]

8月23日に帰厩し、9月24日の神戸新聞杯(GII)に臨む[103]。関東所属のダービー優勝馬による神戸新聞杯参戦は珍しく、1976年クライムカイザー以来史上2頭目の例だった[104]キセキやサトノアーサー、ダンビュライトなどを相手に単勝オッズ2.2倍の1番人気という支持だった[105]。スタートで後手を踏まずに先行し4番手の好位を確保、アダムバローズの刻むスローペースに順応して追走した[106][105]。最終コーナーを3番手で迎え、直線では逃げるアダムバローズと先に抜け出すダンビュライトを目がけてスパート、まもなくかわして先頭を奪取し、後は独走となった[107][105]。遅れて追い上げるキセキやサトノアーサーを寄せ付けず、終いは流してそれらに2馬身差をつけて決勝線に到達していた[105]

神戸新聞杯

重賞3勝目、父キングカメハメハは2004年に優勝しており、父仔制覇を成し遂げていた[104]。1976年クライムカイザーは敗れており、関東所属のダービー優勝馬として史上初めて神戸新聞杯を優勝[105]。そもそも関東馬は、グレード制導入以降3勝目、2002年シンボリクリスエス、2003年ゼンノロブロイに続く優勝であり、ダービー2着から後々成り上がった藤沢厩舎の先輩に続いたことになった[104]。この勝利により、菊花賞の優先出走権を得たが、出走を見送り天栄滞在。初志貫徹してジャパンカップを目標とし、10月28日に帰厩した[108]

11月26日、ジャパンカップ(GI)に参戦。同期同厩舎のソウルスターリングとともに、古馬に挑んでいた。不良馬場の天皇賞(秋)でGI6勝目を挙げたキタサンブラックや、その天皇賞(秋)2着の宝塚記念優勝馬サトノクラウン、GI2着3着複数のシュヴァルグラン、先輩ダービー馬のマカヒキやワンアンドオンリーなどが立ちはだかった[109]。そんな中でレイデオロは、単勝オッズ3.8倍に推された[109]。2.1倍のキタサンブラックには劣ったものの、サトノクラウンやシュヴァルグランには勝る2番人気だった[109]

映像外部リンク
2017年 ジャパンカップ(GI
レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画

スタート直後に不利を受けて後手を踏み、中団後方に位置[110]。キタサンブラックが逃げるペースを追走しながら、最終コーナーを7番手で通過していた[109]。直線では、逃げるキタサンブラックが辺りの先行馬をすべて下し、独走状態を作り上げていた[111]。一方のレイデオロは大外に持ち出してから追い上げを開始し、独走するキタサンブラックに詰め寄った[110]。ところが時を同じくしてシュヴァルグランもキタサンブラックを目がけて追い上げていた[109]

抜け出すシュヴァルグラン(白帽1番中央)と追いすがるレイデオロ(白帽2番左)、逃げ粘るキタサンブラック(黒帽4番右)

独走するキタサンブラックと、詰め寄るシュヴァルグラン、レイデオロが3頭抜け出る展開となる中、最内枠から内側の好位を追走したシュヴァルグランの末脚が鋭かった[112]。対して外に持ち出してから追い込んだレイデオロは、シュヴァルグランには及ばなかった[110]。ゴール手前で逃げるキタサンブラックを捉えたが、シュヴァルグランが一足先に先頭を奪取していた[110][112]。キタサンブラックにクビ差先着したが、シュヴァルグランに1馬身4分の1差敵わない2着だった[109]

ダービー優勝、ジャパンカップ2着となったこの年のJRA賞では、最優秀3歳牡馬部門にて全290票中289票を獲得。菊花賞優勝のキセキに1票奪われたが、ほとんど満票で選出された[113]

4歳(2018年)

連敗

年をまたいで古馬となったレイデオロの春の目標は、3月のドバイミーティングドバイシーマクラシックとなり、京都記念が始動戦となった[114]。2月11日の京都記念(GII)では、ルメールが騎乗停止処分を受けたため、短期免許で参戦中の代打ダリオ・バルジューで臨み、単勝オッズ1.6倍の1番人気に推されていた[115][116]。重馬場をスタートしたレイデオロは、出遅れて後方追走、スローペースとなって引っ掛かるなど、スムーズではなかった[116]。途中で好位まで進出してしまい、3番手で直線に向いても余力がなかった。クリンチャーやアルアインにかわされ、追い込むモズカッチャンにも限りなく接近を許した[116]

京都記念

盛り返すことはできず2頭に敗れたが、モズカッチャンにはハナ差先着[116]。グレード制導入以後、史上初めてとなる4歳馬による京都記念ワンツースリーフォー決着の3着を担った[116]。勝てば1948年の京都記念(春)優勝のマツミドリ以来70年ぶりとなるダービー優勝馬による京都記念優勝が懸かっていたが、叶わなかった[116][117]。敗因はペースに折り合いを欠いただけであり、状態に問題はなく、単純に能力で敗れたわけではなかった[118][119]。そのため目標通り、ドバイ遠征が実行された[118]

3月31日のドバイシーマクラシック(G1)には、ルメールが舞い戻って参戦した。前年の凱旋門賞2着のクロスオブスターズ英語版や、エクリプスステークス優勝のホークビル、さらにモズカッチャンサトノクラウンといった日本勢とも戦う10頭立てとなる中、日本での発売において、クロスオブスターズに次ぐ2番人気に支持された[120]。有力視されたが、当日のレイデオロはテンションが高かった[121]。パドックで暴れ、発馬機内では隣の馬につられて暴れてしまっていた[122][121]。そのような状態でスタートし、宥められながら後方を追走したが、逃げるアラブ首長国連邦のホークビルが刻んだスローペースに対応できなかった[121]。道中は引っ掛かっての追走となって末脚を発揮できず、ホークビルに突き放されて逃げ切りを許した[123][121]。さらに先行していたイギリスのポエッツワード、フランスのクロスオブスターズも捉えられない4着敗退、されど日本勢最先着だった[123][124]

天皇賞(秋)

この後は帰国し、天栄で休養して夏休みとなった[125]。夏の宝塚記念参戦という選択肢もあったが、遠征の疲労が抜けなかったために自重していた[126]。8月22日に帰厩し、秋は天皇賞(秋)やジャパンカップが目標となった[126]。その前哨戦としてオールカマーが選択された。9月23日のオールカマー(GII)では、同期のアルアインやダンビュライトとの再戦となった[127]。同期3頭が単勝オッズ5倍以内で3番人気までを占める中、レイデオロは単勝オッズ2.0倍の1番人気だった[127]。スタートから中団ないし後方を追走し、直線で末脚を発揮し追い上げた[128][127]。外に持ち出さず、内を突いて進出し、先に抜け出していたアルアインに接近[127]。ゴール寸前で並びかけて、クビ差差し切ったところが決勝線だった[127]

2011年アーネストリーに並ぶレコードタイムタイで約1年ぶりの勝利、重賞4勝目を挙げた[129]。これまで1957年ハクチカラ、1994年ウイニングチケット、2016年ワンアンドオンリーが挑みながら叶わなかったダービー優勝馬によるオールカマー優勝を史上初めて成し遂げていた[130]。さらに同日、阪神競馬場では神戸新聞杯が行われており、レイデオロの1歳年下のダービー馬ワグネリアンが優勝を果たしていた。すなわち史上初めてとなるダービー馬の同日重賞優勝を成し遂げられている[131]

続いて10月28日、天皇賞(秋)(GI)に参戦する。天皇賞(秋)とジャパンカップという二大目標から天皇賞(秋)出走を選択したのは、この2週間前にルメールが主戦を務める3歳牝馬アーモンドアイ秋華賞を優勝し、牝馬三冠を成し遂げていたことが影響していた。アーモンドアイの次なる目標は、古馬との初対決となるジャパンカップに定まっており、レイデオロはルメールを失う危険があった[132]。それを避けたい陣営はジャパンカップを断念し、ルメールを確保して天皇賞(秋)に全力投球する形となった[132]。オールカマーから中4週での参戦は、2歳時以来となる短い間隔だった[133]。このローテーションは、気合の乗りが悪かったレイデオロを慮った藤沢がオーナーに提案していた[133]

先輩ダービー馬マカヒキ、後輩ダービー馬ワグネリアンとの三世代ダービー馬対決が予定されていたが、ワグネリアンが出走を見送ったため実現しなかった[134]。そのほかダノンプレミアムなどの回避もあったが、年上のマカヒキや宝塚記念優勝馬のミッキーロケットとGI級2勝のヴィブロス、同期のスワーヴリチャードやアルアイン、キセキが顔を合わせGI優勝馬7頭による競演が実現していた[135]。参戦にあたって追い切りを消化していたレイデオロだったが、1週間前の追い切りの最中にぬかるんだ馬場に脚を取られて歩様を乱し、調教を中止するアクシデントに見舞われていた[136]。中止した直後に診てもらったが異常はなく、改めて追い切りが行われて参戦を果たしていた[136][137]。当日は12頭立てとなる中、大阪杯優勝のスワーヴリチャードに次ぐ2番人気、単勝オッズ3.1倍という支持だった[138]

映像外部リンク
2018年 天皇賞(秋)(GI
レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画

キセキが逃げてスワーヴリチャードが出遅れる形となる中、中団の前方を折り合いをつけて追走していた[138][133]。傍らにサングレーザーがおり、マークされる形となった[139]。キセキが緩みのない平均ないしハイペースで先導し、先頭を守ったまま直線を迎えていた[138]。5番手のレイデオロは、傍らのサングレーザーとともに追い上げて、逃げるキセキや先行するアルアイン、ヴィブロスなどに接近した[138]

天皇賞(秋)

末脚を発揮したレイデオロは、先行勢を捉えたうえに、逃げ粘って残り200メートルまで先頭を守るキセキに詰め寄り、残り100メートルで差し切っていた[140]。ゴール寸前では苦しくなったがルメールのステッキに応えていた[135]。外からサングレーザーが遅れて追い上げてきたが、寄せ付けず1馬身4分の1差をつけて決勝線を迎えていた[135]

優勝レイ
優勝馬服

天皇賞戴冠、GI2勝目を成し遂げた。グレード制導入後、1984年ミスターシービー、1999年スペシャルウィーク、2007年メイショウサムソン、2008年ウオッカ、2012年エイシンフラッシュに次いで史上6頭目となるダービー優勝馬による天皇賞(秋)優勝、さらに史上初めてオールカマーからの連勝を果たしていた[141]。また藤沢は、1996年バブルガムフェロー、2002年から連覇のシンボリクリスエス、2004年ゼンノロブロイ、2014年スピルバーグに続く天皇賞(秋)優勝であり、最多勝の尾形藤吉に迫る天皇賞(秋)6勝目を挙げていた[142]。さらにルメールは天皇賞初戴冠、前々週の秋華賞をアーモンドアイで、前週の菊花賞をフィエールマンで優勝しており3週連続JRAGI優勝を果たしていた[143]

有馬記念

天皇賞(秋)の後は、暮れの有馬記念(GI)に参戦した。ファン投票では11万票を集めて1位に推されていた[144]。出走を見送ったジャパンカップは、ルメールとアーモンドアイが優勝。アーモンドアイはその後放牧となって有馬記念には参戦せず、レイデオロとルメールのコンビは、継続となった[145]。キセキやモズカッチャン、クリンチャーなどの同期、サトノダイヤモンドやミッキーロケット、シュヴァルグラン、そして障害馬オジュウチョウサンなどの年上、菊花賞4着のブラストワンピースという3歳馬と対決する16頭立てとなる中、単勝オッズ2.2倍の1番人気となる。ただ雨中での決戦となった[146]

映像外部リンク
2018年 有馬記念(GI
レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画

中団追走から逃げるキセキに外から接近[146]。直線で末脚を発揮して進出しキセキを捉えたが、同じく中団から追い込んだブラストワンピースが先に抜け出して先頭を奪取していた[146]。レイデオロは、ブラストワンピースに外から詰め寄り、ゴール寸前で並びかけたが、道悪巧者のハービンジャー産駒ブラストワンピースに粘られて、差し切ることができなかった。クビ差及ばず2着だった[147][148]

オールカマーと天皇賞(秋)を優勝、それに有馬記念で2着となったこの年のJRA賞では、最優秀4歳以上牡馬部門で全276票中212票を獲得[149]。次点のファインニードルを45票に沈めるなど[注釈 7]約77パーセントの得票で選出され、2年連続のJRA賞受賞を果たした[151]

5歳(2019年)

連敗、引退

年をまたいで5歳の春は、再びドバイを目指した[152]。京都記念を経た前年とは異なり直行で遠征し、3月30日のドバイシーマクラシックで2年連続出走となり、日本の馬券発売では1番人気だった。ただレイデオロは、テンションが高かった[153]。スタートから誰も主張せずに落ち着いたペースに耐えきれず、引っ掛かった[154]。そして押し出されるようにハナまで進出し逃げる形に嵌った。先頭を守って最終コーナーを通過したものの、余力なく後退[155]。優勝したアラブ首長国連邦のオールドペルシアン英語版に大きく後れを取り、さらに同じ日本勢のシュヴァルグランやスワーヴリチャードにも先着を許す8頭立て6着に敗れた[156]

映像外部リンク
2019年 宝塚記念(GI
レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画

帰国後は休養を挟んで夏、6月23日の宝塚記念(GI)に参戦[157]。半数がGI優勝馬という12頭立てに与して、キセキに次ぐ2番人気に支持されて挑んでいた。スタートから中団の内側を追走して追い上げたが、末脚を繰り出せなかった[158]。馬場の悪い内側を通り、馬群に揉まれて失速し5着[159]。同じキャロットファーム所有のリスグラシューに優勝を許した[158]

夏休みを経て秋は、天皇賞(秋)とジャパンカップ、有馬記念の3競走から2競走に出走することを目指し、前年と同様にオールカマーで始動となった[160]。当日の9月22日は阪神で神戸新聞杯があり、皐月賞優勝馬で同じキャロットファーム所有のサートゥルナーリアの主戦騎手ルメールはそちらを優先。代打福永祐一を迎えて1番人気で出走したが、終始動きが鈍く4着に敗退した[161]

映像外部リンク
2019年 ジャパンカップ(GI
レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画

天皇賞(秋)へ参戦せずルメールとアーモンドアイの優勝を見届け、続いて11月24日のジャパンカップに参戦。アーモンドアイとの対決の可能性があったために陣営は、ルメールに代わって新たに短期免許で参戦中のウィリアム・ビュイックを迎えた[162]。結局アーモンドアイは、ジャパンカップではなく香港を選んで対決は実現せず、ルメールの重複もなかったがビュイックと参戦[162]。1番人気だったが重馬場に脚を取られて末脚使えず、人気を裏切る11着だった[163]

直後に年内引退が発表され、暮れの有馬記念が引退レースとなった。アクシデントで香港遠征を断念したアーモンドアイとルメールとの対決が実現し、再びビュイックを起用して挑む予定だった[164]。しかし直前でビュイックに騎乗停止処分が下って騎乗不能となり、代わって三浦皇成と挑むことになった。断ち切れない連敗、不振は集中して走ることができないなど精神面が障壁になっていた[165]。そこで陣営は、初めてブリンカーを着用させて臨ませ一変を試みていた[166][167]。ルメールとアーモンドアイが単勝オッズ1倍台の支持を集める一方で、35.8倍の9番人気だった。それでもパドックには、メンバー中最多となる7枚の横断幕が掲げられていた[168]

映像外部リンク
2019年 有馬記念(GI
レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画

スタートで出遅れ、ブリンカーをつけても進まず後方追走となったが[165]、先行勢が揃って伸びあぐねるハイペースに乗じて進出。リスグラシューの独走には敵わなかったが、直線で末脚を発揮して先行勢を取り込み、アーモンドアイには先着する7着となった[169]。12月25日付で日本中央競馬会の競走馬登録を抹消し、競走馬を引退した[170]

種牡馬時代

競走馬引退後は、北海道安平町の社台スタリオンステーションで種牡馬となった[171]。日本で大流行の種牡馬サンデーサイレンスの血を持っていないダービー優勝馬であり、優秀なウインドインハーヘアの牝系を受け継ぎ、キングカメハメハの後継種牡馬という血統的背景から、種牡馬として活躍が期待されている[171]。初年度の種付け料は600万円に設定されながらすぐに売り切れ、満口となり196頭と交配、128頭の血統登録された産駒を得ている[172]。その後も2022年まで170頭以上の牝馬と交配を続けている[172]。2023年にデビューする予定の初年度産駒に対する馬産地の期待は高く、セレクトセールでは評判馬の指定席トップバッター、そして大トリを担うなど15頭が上場され、1億円越え5頭などすべて落札がなされている[173]

競走成績

以下の内容は、netkeiba.com[174]並びにJBISサーチ[175]の情報に基づく。

競走日 競馬場 競走名 距離
(馬場)



オッズ
(人気)
着順 タイム
(上り3F)
着差 騎手 斤量
[kg]
1着馬
(2着馬)
馬体重
[kg]
2016.10.09 東京 2歳新馬 芝2000m(重) 16 1 1 001.70(1人) 01着 2:04.3(34.6) -0.2 C.ルメール 55 (ポールヴァンドル) 476
0000.12.03 中山 葉牡丹賞 5下 芝2000m(良) 12 8 11 001.70(1人) 01着 2:01.0(34.7) -0.2 C.ルメール 55 (コマノインパルス) 476
0000.12.25 中山 ホープフルS GII 芝2000m(良) 14 2 2 001.50(1人) 01着 2:01.3(35.7) -0.2 C.ルメール 55 (マイネルスフェーン) 476
2017.04.16 中山 皐月賞 GI 芝2000m(良) 18 3 5 010.40(5人) 05着 1:58.2(34.0) -0.4 C.ルメール 57 アルアイン 484
0000.05.28 東京 東京優駿 GI 芝2400m(良) 18 6 12 005.30(2人) 01着 2:26.9(33.8) -0.2 C.ルメール 57 (スワーヴリチャード) 480
0000.09.24 阪神 神戸新聞杯 GII 芝2400m(良) 14 5 8 002.20(1人) 01着 2:24.6(34.1) -0.3 C.ルメール 56 (キセキ) 476
0000.11.26 東京 ジャパンC GI 芝2400m(良) 17 1 2 003.80(2人) 02着 2:23.9(34.6) -0.2 C.ルメール 55 シュヴァルグラン 484
2018.02.11 京都 京都記念 GII 芝2200m(重) 10 6 6 001.60(1人) 03着 2:16.5(36.4) -0.2 D.バルジュー 57 クリンチャー 488
0000.03.31 メイダン ドバイシーマC GI 芝2410m(良) 10 3 3 04着 C.ルメール 56.5 Hawkbill 計不
0000.09.23 中山 オールカマー GII 芝2200m(良) 12 4 4 002.00(1人) 01着 2:11.2(34.3) -0.0 C.ルメール 57 (アルアイン) 484
0000.10.28 東京 天皇賞(秋) GI 芝2000m(良) 12 4 4 003.10(2人) 01着 1:56.8(33.6) -0.2 C.ルメール 58 (サングレーザー) 482
0000.12.23 中山 有馬記念 GI 芝2500m(稍) 16 6 12 002.20(1人) 02着 2:32.2(35.4) -0.0 C.ルメール 57 ブラストワンピース 488
2019.03.30 メイダン ドバイシーマC GI 芝2410m(良) 8 6 6 06着 C.ルメール 57 Old Persian 計不
0000.06.23 阪神 宝塚記念 GI 芝2200m(良) 12 2 2 003.90(2人) 05着 2:12.1(36.0) -1.3 C.ルメール 58 リスグラシュー 482
0000.09.22 中山 オールカマー GII 芝2200m(良) 10 7 8 002.20(1人) 04着 2:12.4(33.9) -0.4 福永祐一 58 スティッフェリオ 482
0000.11.24 東京 ジャパンC GI 芝2400m(重) 15 5 8 004.20(1人) 11着 2:28.1(38.4) -2.2 W.ビュイック 57 スワーヴリチャード 486
0000.12.22 中山 有馬記念 GI 芝2500m(良) 16 4 8 035.80(9人) 07着 2:32.1(36.0) -1.6 三浦皇成 57 リスグラシュー 494

種牡馬成績

以下の内容は、JBISサーチの情報に基づく[172]

種付年度 種付頭数 生産頭数 血統登録頭数 出走頭数 勝馬頭数 重賞勝馬頭数 AEI CPI
2020 196 130 128 0
2021 170 113 111 0
2022 174 0 0 0
合計 239 0
  • 情報は、2023年5月10日時点。

血統

レイデオロ血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 ミスタープロスペクター系
[§ 2]

キングカメハメハ
2001 鹿毛
父の父
Kingmambo
1990 鹿毛
Mr.Prospector Raise a Native
Gold Digger
Miesque Nureyev
Pasadoble
父の母
*マンファス
Manfath
1991 黒鹿毛
*ラストタイクーン *トライマイベスト
Mill Princess
Pilot Bird Blakeney
The Dancer

ラドラーダ
2006 青鹿毛
*シンボリクリスエス
1999 黒鹿毛
Kris S. Roberto
Sharp Queen
Tee Kay Gold Meridian
Tri Argo
母の母
*レディブロンド
1998 鹿毛
Seeking the Gold Mr. Prospector
Con Game
*ウインドインハーヘア Alzao
Burghclere
母系(F-No.) (FN:2-f) [§ 3]
5代内の近親交配 Mr. Prospector 3×4Northern Dancer 5・5(父内) [§ 4]
出典
  1. ^ JBISサーチ レイデオロ 5代血統表2017年6月27日閲覧。
  2. ^ [176]
  3. ^ JBISサーチ レイデオロ 5代血統表2017年6月27日閲覧。
  4. ^ JBISサーチ レイデオロ 5代血統表2017年6月27日閲覧。

脚注

注釈

  1. ^ 他に、予定していたスプリングステークス当日は、ルメールが他場で行われる阪神大賞典サトノダイヤモンドに騎乗する先約があったことも、直行決断の後押しとなった[67]
  2. ^ 他に2005年ディープインパクト、2016年マカヒキ
  3. ^ 父ミナミホマレ(1942年優勝)、仔ゴールデンウェーブ(1954年)、ダイゴホマレ(1958年)
  4. ^ ディープインパクト(2005年)、仔ディープブリランテ(2012年)、キズナ(2013年)、マカヒキ(2016年)
  5. ^ マイルチャンピオンシップゼンノエルシドで、ジャパンカップジャングルポケットで、阪神ジュベナイルフィリーズタムロチェリーで優勝した。
  6. ^ ソウルスターリングの母である。
  7. ^ ほかにミッキーロケット4票、レインボーライン3票、ゴールドドリーム3票。そして該当馬なしに10票[150]

出典

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参考文献

  • 優駿』(日本中央競馬会
    • 2017年2月号
      • 「【2016年度JRA賞】年度代表馬はキタサンブラック」
      • 「【重賞プレイバック】第33回ホープフルステークス(GII)レイデオロ」
    • 2017年3月号
      • 平出貴昭(サラブレッド血統センター)「【特集】ダイナカールにウインドインハーヘア 隆盛を極める注目の牝系」
    • 2017年4月号
      • 石田敏徳「【トレーナーインタビュー】藤沢和雄調教師 有力馬3頭と臨むクラシックへの手応え」
      • 横手礼一「【勢力分析】群雄割拠の混戦模様 皐月賞戦線を斬る」
      • 石田敏徳「【皐月賞有力馬紹介】一足飛びに頂点へ駆ける レイデオロ 末脚の破壊力は証明済み」
      • 島田明宏「【優駿ロングインタビュー】吉田俊介 組織全体としての積み重ね」
    • 2017年6月号
      • 横手礼一「【進め!クラシックロード】第84回日本ダービーへの道」
      • 「【重賞プレイバック】第77回皐月賞(GI)アルアイン」
    • 2017年7月号
      • 島田明宏「【レースレビュー】まれにみる特異な状況で混戦を断った人馬の器量」
      • 山田康文(馬事通信)「【クローズアップ第84代日本ダービー馬】レイデオロ どこにいても目立つ存在感」
      • 山田康文(馬事通信)「【血統考察】ノーザンファームが求めた母系ウインドインハーヘアの本領」
      • 平松さとし「【ジョッキーインタビュー】クリストフ・ルメール 勝利を呼び込んだあの一瞬」
      • 石田敏徳「【トレーナーインタビュー】藤沢和雄 馬の未来を見据えながら」
      • 優駿編集部「【第84回日本ダービーTOPICS】藤沢&ルメールコンビが快挙!――オークス、日本ダービーを連勝」
      • 「【第84回日本ダービーTOPICS】第84回日本ダービーアラカルト」
      • 「【重賞プレイバック】第84回東京優駿(GI)レイデオロ」
    • 2017年11月号
      • 「【重賞プレイバック】第65回神戸新聞杯(GII)レイデオロ」
    • 2018年1月号
      • 平松さとし「【GIインサイドストーリー】シュヴァルグラン 勝利を手繰り寄せた陣営のプラン」
      • 「【重賞プレイバック】第37回ジャパンカップ(GI)(国際招待)シュヴァルグラン」
    • 2018年4月号
      • 平松さとし「【ドバイを目指す日本の精鋭たち 有力馬紹介】ドバイシーマクラシックに出走予定 レイデオロ」
      • 「【重賞プレイバック】第111回農林水産省賞典 京都記念(GII)クリンチャー」
    • 2018年5月号
      • 江面弘也「【2018年ドバイワールドカップデー】日本勢は上位進出も勝利ならず"ゴドルフィン旋風"巻き起こる」
    • 2018年11月号
      • 「【重賞プレイバック】第64回産経賞 オールカマー(GII)レイデオロ」
    • 2022年4月号
      • 平松さとし「【優駿ロングインタビュー】藤沢和雄 貫き通した"馬優先主義"」

外部リンク