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「ソニーBMG製CD XCP問題」の版間の差分

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* 他のCCCDではないCDのリッピングも妨害(ランダムノイズの挿入)しているという噂。
* 他のCCCDではないCDのリッピングも妨害(ランダムノイズの挿入)しているという噂。
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* [[アップル (企業)|Apple]]の[[iTunes]]に採用されている[[デジタル著作権管理]]「[[FairPlay]]」を回避するため、ツールの[[ソースコード]]を流用したという疑惑<ref name="interweb">Sebastian Porst「[http://www.the-interweb.com/serendipity/index.php?/archives/20051117.html Two new F4I license infringements found]」。2005年11月17日、[http://www.the-interweb.com/ Programming stuff]</ref>。
* [[Apple]]の[[iTunes]]に採用されている[[デジタル著作権管理]]「[[FairPlay]]」を回避するため、ツールの[[ソースコード]]を流用したという疑惑<ref name="interweb">Sebastian Porst「[http://www.the-interweb.com/serendipity/index.php?/archives/20051117.html Two new F4I license infringements found]」。2005年11月17日、[http://www.the-interweb.com/ Programming stuff]</ref>。
* [[著作権]]という[[知的財産権]]の保護の名の下に、許諾したユーザーの財産であるパソコンの内容を改竄し、ユーザーの所有[[財産権]]を侵害している点。
* [[著作権]]という[[知的財産権]]の保護の名の下に、許諾したユーザーの財産であるパソコンの内容を改竄し、ユーザーの所有[[財産権]]を侵害している点。



2021年5月20日 (木) 22:23時点における版

ソニーBMG製CD XCP問題(ソニービーエムジーせいコンパクトディスク エックスシーピーもんだい)とは、アメリカ合衆国のソニーBMGミュージックエンターテインメント(現:ソニー・ミュージックエンタテインメント (米国))の音楽CDに採用された米SunnComm Technologiesソフトウェアに、マルウェアであるrootkitが含まれていた問題。ユーザーのPCのセキュリティを脆弱にするソフトウェアが、ユーザの同意を得ずに隠密にインストールされることなどが問題視された。

概要

2005年10月に、コピーコントロールCD(CCCD、セキュアCD)の米SunnComm Technologies製セキュリティ技術に脆弱性が発見された。このCCCDをWindowsパソコンに入れて、ソフトウェア『XCP』のインストールに同意すると、rootkitプログラムを勝手にインストールしてしまい、更にXCPのアンインストールが不可能だという指摘がなされ、世界中から非難を浴び、アメリカ合衆国では訴訟へと発展した。このソフトの問題が発覚した後にマイクロソフトは、XCPを悪質なソフトウェアとして認定している。ちなみにソニーBMG側は、このコンピュータプログラムを完全に削除するツールを、マイクロソフトと協力して提供した。

なお、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SMEJ)やBMGジャパンから発売される日本盤は、CCCDは採用していない(海外版・輸入盤で後述のリスト内のCDには注意が必要)。だが、ある調査によると[1]、少なくとも568,200のネットワークにこのソニーのマルウェアに感染したコンピュータがあり、日本が21万7000台以上とアメリカの13万台以上を圧倒しているため、一部日本人ユーザーの間でそれ以外のCCCDにも同様の問題がないかと心配する声が盛り上がった[要出典]

また、この事件を期にハッカー達が米SonyBMG製を含む各種製品をリバースエンジニアリングした結果、同様の米SunnComm Technologies製コピープロテクト「MediaMax」が見つかった。このMediaMaxは、Microsoft Windowsのみならず、MacOS Xにも感染する能力を持ち、XCPよりも遙かに深刻な問題を含むという結果が報告された。

Amazon.co.jpタワーレコードなどでは「XCP」入りのCD購入者に対し、購入代金の返金を行った。

2005年12月8日には、インストールされたXCPを悪用し『Antinny』を投下するコンピュータウイルスも報告された。

「XCP」について、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント(SMEJ)が見解を出している。

問題になった点

  • Microsoft Windows搭載コンピュータで使うとき、インストールされるプログラムの利用規約に 『rootkitをインストールします』と明示されていない。つまりユーザーの同意を得ていないコンピュータプログラムを、勝手にインストールしている点。
  • SunnComm Technologies製のプログラムだけではなく、$sys$ が先頭についているファイルやプロセスが隠蔽される。これにより、視覚的に隠蔽されるだけでなく、アンチウイルスソフトウェアにも検知出来ない点。
  • コンピュータプログラムをコンピュータ設定でアンインストールせず、単に手動で削除しようとすると、光学ドライブが二度と認識されなくなる点。
  • 隠蔽行為を解除するためにリリースした、最初期のSunnComm Technologies製プログラム(ActiveX版)に、どのウェブサイトからも任意のソースコードを実行できるという「重大なセキュリティーホール」が含まれていた点。
  • 上記プログラムを入手するには、ソニーBMGに個人情報を提供する必要があった点。
  • AppleiTunesに採用されているデジタル著作権管理FairPlay」を回避するため、ツールのソースコードを流用したという疑惑[2]
  • 著作権という知的財産権の保護の名の下に、許諾したユーザーの財産であるパソコンの内容を改竄し、ユーザーの所有財産権を侵害している点。

事件の経緯

  • 2005年10月31日 - Winternals社マーク・ルシノビッチが、ソニーBMGのXCP Technologyを採用した米国国内向けCCCDにrootkitが入っていて、容易に削除できないなどの問題があることをブログで指摘[3]
  • 2005年11月1日 - アメリカ合衆国カリフォルニア州で、消費者団体が問題のCDの販売差し止めと、損害賠償を求める民事訴訟を起こす。
  • 2005年11月2日 - ソニーBMGがこれを受けて、パッチツールをリリースする。当初は、プログラムのアンインストールツールとされていたが、実際はプロセスなどの隠蔽を停止する偽装ツールだったことが明らかになる。
  • 2005年11月4日 - ソニーBMGがリリースした修正パッチをインストールすると、コンピュータが破壊される可能性があることを専門家が指摘する。また、XCPが勝手にパケット通信しているとも指摘する[4]
  • 2005年11月10日 - ソニーBMGのCDに、LAMEのソースを流用した形跡があることが報じられる[5]。これが事実ならLGPLに違反する。
  • 2005年11月11日 - ソニーBMGが、問題の技術の使われたCDの生産を一時停止すると発表。
  • 2005年11月15日 - プリンストン大学のEd Felten教授が、ソニーBMGがリリースした、この問題に関するWebベース版のアンインストールツールに、重大なセキュリティーホールがあることを、自らのブログで明らかにする[6]
  • 2005年11月16日 - ソニーBMGが、問題の技術の使われたCDをリコールすると発表。
  • 2005年11月17日 - さらに2件のGPL違反(FAACとmpg123のソース流用)を指摘される[2]
  • 同日 - ソニーBMGのXCPとは別の技術を使った、MediaMaxのアンインストーラーにも、重大なセキュリティーホールがあることを指摘される[7]
  • 2005年11月21日 - LAMEプロジェクトが、LAMEプロジェクト管理人名義でソニーBMGに対して公開質問状を出す[8]
  • 同日 テキサス州が、ソニーBMGの一部CDに「スパイウェア」が入っていて、州法に違反しているとして、ソニーBMGを提訴[9]。認められれば、最大で違反1件当たり罰金10万ドル。また、市民団体「電子フロンティア財団(EFF)」が、XCPだけでなく、MediaMaxを使用したCDも合わせた、2400万枚についての損害賠償を請求した。
  • 2005年11月28日 - プリンストン大学のEd Felten教授が、MediaMaxプロテクトに関しても、問題があることを指摘する[10]。教授は、MediaMaxには旧式のCD-3と新方式のMM-5の2種類があるが、CD-3を入れた後、MM-5を入れるか、MM-5を入れてから、CD-3を入れるか、MM-5を2回入れると、ソフトの利用規約の同意の有無にかかわらず、ドライバがインストールされると主張している。
  • 2006年5月22日 - 米連邦裁判所判事が、和解案を最終承認する[11][12]
  • 2006年12月20日 - 米カリフォルニア州の損害賠償訴訟で、75万ドルを消費者団体などに支払うことで和解。
  • 2006年12月22日 - 米マサチューセッツ州など、40州と425万ドルを支払うことで和解。

脚注

  1. ^ Dan Kaminsky「Welcome To Planet Sony」。2005年11月15日、 DoxPara Research
  2. ^ a b Sebastian Porst「Two new F4I license infringements found」。2005年11月17日、Programming stuff
  3. ^ Mark Russinovich「Sony, Rootkits and Digital Rights Management Gone Too Far」。2005年10月31日、Mark's Blog
  4. ^ Mark Russinovich「More on Sony: Dangerous Decloaking Patch, EULAs and Phoning Home」。2005年11月4日、Mark's Blog。
  5. ^ SONY BMG製CCCDにLAMEのソースコードを盗用した疑い」。2005年11月12日、スラッシュドット ジャパン
  6. ^ Ed Felten「Sony’s Web-Based Uninstaller Opens a Big Security Hole; Sony to Recall Discs」。2005年11月15日、Freedom to Tinker。
  7. ^ Ed Felten「Not Again! Uninstaller for Other Sony DRM Also Opens Huge Security Hole」。2005年11月17日、Freedom to Tinker。
  8. ^ The LAME maintainers「Open letter to Sony BMG (and its owners, Sony and Bertelsmann), First4Internet, and the LAME community.」。2005年11月21日、LAMEプロジェクト。
  9. ^ テキサス州、スパイウェア規制法違反でSONY BMGを提訴」。2005年11月22日、ITmediaニュース。
  10. ^ Ed Felten「MediaMax Permanently Installs and Runs Unwanted Software, Even If User Declines EULA」2005年11月28日、Freedom to Tinker
  11. ^ Judge Grants Final Approval for Sony BMG CD Settlement」。2006年5月22日、Electronic Frontier Foundation。
  12. ^ SONY BMGのrootkit CD訴訟、和解を最終承認」。2006年5月23日、ITmediaニュース。

外部リンク