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代表理事で自民党の「性的指向・性自認に関する特命委員会」でアドバイザーを務める[[繁内幸治]]は議員連盟の勉強会にて「暴走するLGBT」をテーマに講演し、「トランスジェンダー女性が、女性にとって脅威となる」という内容を語り、これが複数の専門家から[[トランスフォビア]]であると批判された<ref name=mainichi210509>{{Cite web|url= https://mainichi.jp/articles/20210509/k00/00m/010/077000c |title= トランスジェンダーへの誤った認識 自民党勉強会でも |accessdate=2021/05/09|publisher= 毎日新聞 |author= |date=2021/05/09 }}</ref>。 |
代表理事で自民党の「性的指向・性自認に関する特命委員会」でアドバイザーを務める[[繁内幸治]]は議員連盟の勉強会にて「暴走するLGBT」をテーマに講演し、「トランスジェンダー女性が、女性にとって脅威となる」という内容を語り、これが複数の専門家から[[トランスフォビア]]であると批判された<ref name=mainichi210509>{{Cite web|url= https://mainichi.jp/articles/20210509/k00/00m/010/077000c |title= トランスジェンダーへの誤った認識 自民党勉強会でも |accessdate=2021/05/09|publisher= 毎日新聞 |author= |date=2021/05/09 }}</ref>。 |
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=== 日本SRGM連盟 === |
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'''日本SRGM連盟'''(にほんSRGMれんめい)は、[[性的少数者|性・恋愛・ジェンダー少数者]]の当事者と理解者で構成される団体である<ref name="senpou">[https://www.sejp.net/archives/5530 「性的指向と恋愛指向の混同は人権侵害」性的少数者団体が声明]選報日本2021.1.6</ref>。「多様な恋愛も、恋愛しない人生も、すべて尊重される社会」の実現を目指して活動している<ref name="SRGM">[https://acecommunitywestjapan.amebaownd.com/ 日本SRGM連盟]公式サイト</ref><ref name="senpou"/>。 |
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LGBTだけでなく「アセクシャルやアロマンティックといったAスペクトラム」「性自認が男性・女性のいずれか一方になるわけではないXジェンダー」「身体性別が未分化であるとされるDSDs」も包括する<ref name="SRGM"/>名称としてSRGMを用いている。綱領には「左右いずれの立場も排斥せず、あらゆる思想の人間を尊重する」<ref name="kouryo">[https://acecommunitywestjapan.amebaownd.com/pages/4269810/page_202009281823 日本SRGM連盟概要]</ref>としている。 |
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[[2020年]]には[[立憲民主党 (日本 2020)|立憲民主党]]に対して「ジェンダー平等」政策に関する要望書を提出した<ref>[https://acecommunitywestjapan.amebaownd.com/posts/12381281?categoryIds=3422558 本連盟より立憲民主党ジェンダー平等推進本部に対して「「ジェンダー平等」政策に関する要望」を伝えました]日本SRGM連盟</ref>。[[2021年]]には[[性的指向]]と[[恋愛的指向|恋愛指向]]の混同は人権侵害であるという声明を出したことが、元[[維新政党・新風]]や元[[次世代の党]]の[[本山貴春]]による合同会社が運営するネットメディア「選報日本」で報じられた<ref name="senpou"/>。 |
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=== 芙桜会 === |
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'''一般社団法人芙桜会'''(いっぱんしゃだんほうじんふおうかい)は、「性的な部分が少数とされる人々に対する理解の増進を図り、誰もが個人として尊重され、自分らしい生き方を貫けるフラットな社会」の実現を目指す団体<ref name="fuoh">[https://www.fuohkai.com/aboutus 当会について]一般社団法人芙桜会</ref>である。 |
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法的な保証の無いパートナーシップ制度ではなく、[[同性婚]]の法制化を求めている<ref name="fuoh"/>。 |
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==メディア== |
==メディア== |
2021年5月9日 (日) 11:12時点における版
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日本におけるLGBTの権利 | |
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同性間の 性交渉 | 違法ではない。 |
性自認/性表現 | 性別適合手術後の法的性別変更は、2004年(平成16年)より有効 |
同性間の 関係性の承認 | 国レベルでの法的にはなし。一部地方自治体の条例、要綱であり。 |
同性カップルによる 養子縁組の引受 | 可 |
同性愛者を 公表しての 軍隊勤務 |
国内法上、日本に軍隊は存在しない。 ただ、国際法的には事実上の日本の軍隊と認知されている自衛隊では可。 |
差別保護 | 国レベルでの法的にはなし。一部の都市で条例による保護がある[1]。 |
本項では日本におけるLGBT(セクシュアル・マイノリティ)の権利について解説する。
日本において、同性愛(ゲイ、レズビアン、バイセクシュアル)は違法ではないが、同性結婚やシビル・ユニオンはG7諸国で唯一どちらも法制化されていない。
「日本文化や日本国内で広く信仰されている宗教においても、歴史上LGBTへの敵意は存在しない」とする見方もある[2]。
一般社会においては、就職活動でもまだLGBTに対する差別や偏見が存在する[3]。
現在のところ、日本において同性間のリレーションシップを承認する法律はない。補完手段として、「同性間カップルが養子縁組を結ぶケースが昔からある」ともいわれている[4]。
概要
日本の伝統的な民族宗教である神道や、日本における仏教(日本の仏教)、儒教などは、同性愛や異性装を明示的に禁止しておらず、日本の歴史においてそれらは肯定的なものと捉えられていた[5]。その後、明治時代初頭の1872年(明治5年)、西洋の政治・文化の影響などで男性同性愛の鶏姦(肛門性交)が違法とされたが(鶏姦罪)、8年後の1880年(明治13年)・1882年(明治15年)に制定された旧刑法からはこの規定はなくなった(後述)[6]。
欧米諸国では教義上同性愛を罪とするキリスト教や19世紀帝政ドイツの衛生思想の影響で、同性愛者が激しく弾圧されたことや、第二次世界大戦後のマッカーシズムの「ゲイ狩り」などへの反動としてゲイ解放が興った[7][8][注記 1]。対して日本は、同性愛者の迫害や逮捕などの歴史を持たず、政府などによる表立った差別もほとんどみられなかった[要出典]ため、社会の抑圧に反発する形での強い同性愛者の意識・権利の向上を目指すゲイ解放運動も、歴史的に見て一部を除いて低調である[要出典]。
欧米圏や太平洋諸国、タイ、台湾などで同性結婚やシビル・ユニオンなどの制度が順次確立されつつある一方で、日本では同性婚はおろかシビル・ユニオンも認められていない。G7の国家で同性婚を容認しない国は日本のみとなった。一方2018年現在、各地方自治体で独自にパートナーシップ条例が制定される動きが広まりつつある。あくまで自治体内で限定的な効果が生じるものであり、シビル・ユニオンや結婚、事実婚とは機能的に全く異なることに留意する必要がある。結婚の補完手段として、養子縁組を結ぶこともあるとされる[4][注記 2]。
そうした中でも1971年(昭和46年)、東郷健が同性愛者であることを公言して選挙に初立候補した[4]。彼は同性愛者を中心とした社会的少数者の人権を守ることを目的とした政治団体「雑民党」を結成し、幾度となく選挙に立候補して同性愛者の権利と存在を訴えた[4](後述)。1970年代後半から1980年代前半にかけては、当時の若い世代のゲイ達が「日本同性愛者解放連合」「フロントランナーズ」「プラトニカ・クラブ」など、いくつかのゲイ団体を結成して活動した[4](参照)。1984年には、国際的LGBT団体「国際ゲイ協会(IGA)日本支部」(現ILGA、代表・南定四郎)が発足し[4]、1986年5月「第1回アジアゲイ会議」を開催した[4]。1986年3月には「動くゲイとレズビアンの会」が結成され[9]、1997年(平成9年)には東京都による1990年(平成2年)に発生した「府中青年の家貸し出し拒否」を巡る裁判に全面勝訴した(後述)。1994年(平成6年)8月28日にはレズビアン・ゲイ・パレード(ILGA日本を中心とした実行委員会主催)が日本で初開催された[10]。1994年(平成6年)はまた、厚生省(当時、現・厚生労働省)が同性愛を治療対象から除外した世界保健機関(WHO)の見解を踏襲し[11]、文部省(当時、現・文部科学省)も指導書の性非行の項目から同性愛を除外した[12]。日本精神神経学会も同性愛者団体の働きかけを受け[13]、1995年(平成7年)にWHO見解を尊重すると表明した[11]。
なお、日本は、国連のLGBTコアグループのアジアからの唯一の参加国である[14]。同グループは、LGBTフレンドリーな国11カ国や2つの国際機関などで構成され[詳細 1](2013年時点)、2013年9月にニューヨークの国連本部で開かれた閣僚級会合で、日本からは当時の吉川元偉国連大使が出席した。
年表
- 1880年(明治13年) - 1872年(明治5年)の「鶏姦律条例」及び、翌年の「改定律例」では男性同士の鶏姦(肛門性交)が犯罪とされたが(後者の第266条では懲役刑)、1880年制定の旧刑法には鶏姦禁止規定は盛り込まれず、1882年1月1日同法施行で鶏姦罪消滅。
- 1952年(昭和27年) - 会員制ゲイ雑誌「アドニス」創刊。
- 1960年(昭和35年) - 男性同性愛専用ページが常設された「風俗奇譚」創刊(61年1月号から女装専用ページも常設)。
- 1971年(昭和46年)
- 1974年(昭和49年) - ゲイ雑誌「アドン」(5月号)、「さぶ」(11月)創刊。
- 1976年(昭和51年) - 11月、ゲイ団体「日本同性愛者解放連合」結成、10人近いグループで数年間活動。
- 1977年(昭和52年)
- 3月、ゲイ団体「フロントランナーズ」結成、6人前後で数年間活動。
- 5月、既成のゲイ雑誌に不満を持つ人たちが、ゲイリベレーションを編集趣旨としてゲイマガジン「プラトニカ」発刊。のち同誌を母体に「プラトニカ・クラブ」結成も、79年に最終4号を出して解散[4]。
- 1978年(昭和53年) - TBSラジオ『スネークマンショー』の「ウェンズデースペシャル」というコーナーをゲイの「タック」が担当。ニュースレターが出され、OWC(アワーズワークコミュニティ)というゲイグループも生まれた。
- 1979年(昭和54年)
- 1981年(昭和56年) - 日本在住の外国人ゲイによる「イングリッシュ・スピーキング・オルタネート・ライフスタイル サポートグループ」結成。途中で日本のゲイにも参加してもらおうと「東京ゲイサポートグループ」に改名し、84年頃から機関誌「COMING OUT」を発行し、TEL相談、月数回のイベント開催を行う[4]。
- 1983年(昭和58年)
- 1984年
- IGA(国際ゲイ協会、現ILGA)日本支部発足。「アドン」編集長の南定四郎がIGA(欧州に本部を置くゲイの国際団体)から依頼を受け、日本支部として活動開始。
- 同年9月、IGA大阪発足、のちOGC(大阪ゲイ・コミュニティ)に改称。
- 1985年(昭和60年) - 東大阪市長瀬に「上方DJ倶楽部」発足。DJ形式でトークなどの様々な催しをカセットテープに収録し、ゲイのイメージ向上とアピールを目指した。
- 1986年(昭和61年)
- 3月、OCCUR結成、のち「動くゲイとレズビアンの会」(通称OCCUR)と名乗る。
- 5月1日〜3日まで、IGA(現ILGA)日本(代表・南定四郎)が「第一回アジアゲイ会議」開催。
- 1990年(平成2年) - 「東京都府中青年の家」に宿泊した「動くゲイとレズビアンの会」のメンバーがキリスト教団体らから差別・中傷されるなどトラブル発生。同施設所長や都職員も不適切な対応。その後、翌年に予定していた2回目の宿泊の申し込みを拒否される。
- 1991年(平成3年)
- 2月、東京都府中青年の家裁判が起こされる。
- 8月、『インパクション』(インパクト出版会)71号で「ゲイリベレーション」特集。浅田彰らが寄稿。
- 1994年(平成6年)
- 1995年(平成7年)
- 1997年(平成9年) - 東京都府中青年の家裁判で控訴審判決。「動くゲイとレズビアンの会の訴えが認められ結審。
- 2003年(平成15年)
- 2004年(平成16年) - 性同一性障害特例法施行。
- 2005年(平成17年)
- 2007年(平成19年) - 第6回東京プライドパレードに初めて厚生労働省と東京都が後援につき、渋谷区と新宿区の区長からメッセージが寄せられる。
- 2011年(平成23年) - ゲイであることを公表した石川大我が社会民主党公認で東京都豊島区議会議員に、石坂わたるが無所属で同中野区議会議員に当選(いずれも以後、2期連続当選)
- 2013年(平成25年) - 尾辻かな子が参議院議員に繰り上げ当選。日本で初めてLGBTを公表した国会議員が誕生。
- 2014年(平成26年) - 戸籍上男性から女性に性別移行を行った女性が、パートナーと婚姻関係を結んだ後での特別養子縁組が家庭裁判所に承認される。
- 2015年(平成27年)
- 東京都渋谷区議会にて、渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例(通称:同性パートナーシップ条例)が自由民主党と無所属議員3人を除く賛成多数で可決、成立。4月1日より条例が施行[16][17]し11月5日より発行される[18]。
- 同年8月東京都世田谷区長の保坂展人が「同性カップルが互いを人生のパートナーとする宣誓書を提出すれば、11月1日より区は宣誓を証明する受領証を発行する」と発表した[19]。世田谷区のものは条例化されておらず法的根拠のない要綱扱いとなっている。
- 同年12月、兵庫県宝塚市が「パートナー宣誓書を提出した同性カップルに、2016年6月より宣誓を証明する受領証を発行する要綱を定める」と発表した[20]。
- 2016年(平成28年) - 12月、大阪市が30代と40代の男性カップルを児童福祉法に規定された養育里親として認定し、翌2017年4月に報道機関による報道された[21]。
- 2017年(平成29年)
LGBTと政治
政治的な支援
LGBTの権利は人権問題として取り上げられるが、公の場で討論となるケースは多くない。
2001年(平成13年)に法務省の人権擁護推進審議会は「人権救済制度の在り方について」という答申をまとめた。この答申には性的指向に基づく差別の禁止が盛り込まれ、人権擁護法案として国会に提出されたが廃案となった。
2007年(平成19年)8月11日開催の第6回東京プライドパレードには、初めて厚生労働省と東京都が後援となった。また、パレードの開催地区の渋谷区とセクシュアル・マイノリティに縁の深い新宿二丁目を擁する新宿区の区長からメッセージが寄せられた。
2014年(平成26年)の東京レインボープライドでは、安倍昭恵首相夫人が参加、性的少数者の支持を表明した[23]。
2016年(平成28年)5月27日、民進、共産、社民、生活の野党4党が国や地方公共団体に差別の解消施策を取るよう義務付け、企業や学校が性自認や性的指向を理由とした不当な取り扱いを禁止する「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案」(LGBT差別解消法案)を提出し、継続審議となった[24]。
政党
政党用件を満たす政党の中で、LGBTに関する公約を掲げているのは、自民党、立憲民主党、公明党、日本共産党、社会民主党 の5政党である。
2003年(平成15年)7月10日には自民党と公明党(自公連立政権)により、第1次小泉第1次改造内閣(小泉純一郎首相)により、性同一性障害の人々の戸籍変更などを認める「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(性同一性障害特例法)が成立された。同法は、翌2004年(平成16年)7月16日に施行された。
日本維新の会も、「レインボープライド愛媛」が2012年(平成24年)に行った政党アンケートで、人権問題として性的少数者らの問題に取り組んで行くことや同性結婚の導入に賛成した[25]。ただし、日本維新の会の公約では言及していない。2014年(平成26年)には、次世代の党(当時、現在の日本のこころ)も言及したが公約では言及していない。
各党政策・公約
- 自由民主党
自由民主党は、2000年(平成12年)9月に性同一性障害に関する勉強会を発足させ、その法的扱いについて検討してきたが、南野知惠子参議院議員が中心となり、「性同一性障害特例法」案をまとめ、2003年(平成15年)7月、小泉政権の下で同法案は可決、成立した(後述)。2008年(平成20年)6月の福田康夫政権時には、一部の要件を緩和する同法改正案が成立した。
2013年(平成25年)、福田峰之衆議院議員の働きかけなどで、自民党内に「性的マイノリティに関する課題を考える会」(会長:馳浩、事務局:牧島かれん)が結成された。同会は学校で「オカマ」「おとこおんな」などと嘲笑されやすい、性的マイノリティのいじめ問題などの課題に取り組んでいる[26]。
また、稲田朋美は2015年(平成27年)9月に米国・ワシントンD.C.で行った講演で「保守政治家と位置付けられる私ですが、LGBTへの偏見をなくす政策をとるべきと考えています」と発言している[27]。
これまでは党として態度を明確にはしてこなかったが2016年参議院選挙にて「性的指向・性自認に関する広く正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定」とともに、「各省庁が連携して取り組むべき施策を推進し、社会全体が多様性を受け入れていく環境を目指す」と公約で明記した[28]。
- 民進党・立憲民主党
民主党時代の2013年参議院選挙の公約より言及し、「性的指向による差別や偏見をなくすよう、支援団体と協力して性的マイノリティに関する政策を充実させる」とする[29]。具体的にはLGBT差別解消法の制定をする。また民主党政権時代、同党議員有志で「性的マイノリティ小委員会」を作り、主としてLGBTの自殺対策について討議した[30]。また日本で初めて、自らが同性愛者と公言した政治家の尾辻かな子が国会議員として存在している。尾辻は2013年(平成25年)に参議院議員を務め、2017年(平成29年)10月22日実施の第48回衆議院議員総選挙に比例復活で当選し、立憲民主党所属の衆議院議員として国政復帰した。
- 希望の党
「ダイバーシティ社会の実現」のための政策の一つとして、「LGBTに対する差別を禁止する法律の制定」を掲げている[31]。
- 公明党
「性的指向や性自認を理由とする差別のない社会を目指し、性の多様性を 尊重し、性的マイノリティへの理解促進を図る」をする。具体的には、性別適合手術の保健適用化や性的指向・性自認に係わる児童生徒への対応について、教職員の研修を強化する、相談体制を充実させるとした[32]。
- 日本共産党
「性的マイノリティの人たちの人権と生活向上のためにとりくむ」とする。具体的には性同一性障害に対応できる医療機関を増やし、性別適合手術に医療保険を適用する。公営住宅、民間賃貸住宅の入居や継続、看護・面接、医療決定の問題など、同性のカップルがいっしょに暮らすにあたっての不利益を解消する。性同一性障害者特例法の「子無し要件」を廃止する。企業が規模に応じて、相談窓口の設置や福利厚生、社内研修など適切なSOGI、LGBT対策を実施し、国、自治体としてSOGI、LGBT対策に積極的にとりくむ企業の顕彰をおこなう。公的書類における不必要な性別欄を撤廃する。すべての自治体で、東京都渋谷区や三重県伊賀市などで導入したような、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認定する条例や施策を実現するとした[33]。
- 社会民主党
「レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなどの性的マイノリティ(LGBT)への偏見解消に取り組む」とする。具体的にはLGBT差別解消法を制定する。職業・雇用、公営住宅や高齢者施設の入所などにおける差別を禁止し、教育現場において啓蒙とサポート、いじめ調査を行うとした。また、フランスの民事連帯契約法にならった制度の創設、性同一性障害者特例法の適用拡大を掲げた[34]。2012年党首選には同性愛者の石川大我豊島区区議会員が出馬している(落選)。2014年衆議院議員選挙以降は同性婚の合法化にも言及した[35]。
- 国会に議席を持たない政党・政治団体
-
- 緑の党グリーンズジャパン
- 緑の党グリーンズジャパンは〈性的マイノリティへの理解と支援を進める〉とする。具体的には、学校教育の中に性的マイノリティに関するカリキュラムを位置づける。異性間の婚姻関係に付与される権利と同等の権利を、性別を問わない事実婚の社会生活を営む個人に付与する制度を確立するとした。また、DV防止法の改正・強化、職場や精神保健福祉施設での女性や性的マイノリティへのいじめやセクハラ防止の強化によって性差別に基づく暴力を根絶するとも書かれている[36]。
- 幸福実現党
- 幸福実現党は「政策全体像」にて「性に関する多様な価値観に配慮し、LGBT(性的マイノリティー)の人々が社会的な不利益を被ることがないよう努める」としている[37]。
- 東京・生活者ネットワーク
- 東京・生活者ネットワークは「性的マイノリティ(LGBT)当事者が暮らしやすいまちをつくる」とし、「性的マイノリティ(LGBT)への偏見や差別をなくすための学習をすすめる」としている[38]。
- 雑民党(かつてあった政党)
- 体系的な政策はなかったが、同性愛者の東郷健が党首を務め、同性愛者の存在をアピールした。ゲイの権利を訴えた功績は大きかったが、「オカマ」という蔑称やステレオタイプな同性愛者像も同時に広めた側面もある。
政党アンケート
2012年(平成24年)アンケート
2012年(平成24年)12月の第46回衆議院議員総選挙に際し、「レインボープライド愛媛」が各政党に対して行った「性的マイノリティに関するアンケート」(注:みんなの党は未回答)[25]。
- Q1 人権問題として同性愛者や性同一性障害者らの性的少数者について取り組んでいくことをどう思われますか?
- 【A】人権問題として積極的な取り組みが必要だ:民主党、日本維新の会、公明党、共産党、社民党
- 【B】人権問題として取り組まなくてよい:自由民主党
- 【C】同性愛に人権という考えはあてはまらないように思う:
- 【D】個人的な問題であり差別や偏見を被るとしたら同性愛という立場を自ら選択したことに原因がある:
- 【E】答えられない/分からない:国民新党
- Q2性的少数者の人権を守る施策の必要性について
- 【A】社会の理解が不足している課題なので積極的な啓発や施策が必要だ:民主党、日本維新の会、公明党、共産党、社民党
- 【B】差別や偏見は特段に無いと思うので積極的な取り組みは必要ない:
- 【C】人権問題として扱うものではない:
- 【D】同性愛や性同一性障害を助長していくような施策は必要無い:
- 【E】性同一性障害者への施策は必要だが、同性愛者へは必要がない:自由民主党
- 【F】答えられない/分からない:国民新党
- Q3 同性結婚について
- 【A】同性でも婚姻制度を適用できるようにすべきだ:日本維新の会、社民党
- 【B】現在の結婚に変わる制度、異性同性を問わず利用できるパートナー制度が出来るべきだ:日本共産党
- 【C】こうした制度は異性間のものであるべきで特に必要ない:自由民主党
- 【D】答えられない/分からない:民主党、公明党、国民新党
2014年(平成26年)アンケート
また、2014年(平成26年)の第47回衆議院議員総選挙に際し同団体が行ったアンケートは以下のとおりである。(注:維新の党、生活の党は未回答)[39]
- Q1人権問題として同性愛者や性同一性障害者らの性的少数者について取り組んでいくことをどう思われますか?
- 【A】人権問題として積極的な取り組みが必要だ:民主党、公明党、次世代の党、日本共産党、社民党
- 【B】人権問題として取り組まなくてよい:自由民主党
- 【C】同性愛に人権という考えはあてはまらないように思う:
- 【D】個人的な問題であり差別や偏見を被るとしたら同性愛という立場を自ら選択したことに原因がある:
- 【E】答えられない/分からない:
- Q2性的少数者の人権を守る施策の必要性について
- 【A】社会の理解が不足している課題なので積極的な啓発や施策が必要だ:民主党、公明党、次世代の党、日本共産党、社民党
- 【B】差別や偏見は特段に無いと思うので積極的な取り組みは必要ない:
- 【C】人権問題として扱うものではない:
- 【D】同性愛や性同一性障害を助長していくような施策は必要無い:
- 【E】性同一性障害者への施策は必要だが、同性愛者へは必要がない:自由民主党
- 【F】答えられない/分からない:
- Q3性的マイノリティ当事者がいることを想定した学校教育について
- 【A】年齢に応じた形で、学校教育において性の多様性(性的指向→異性愛や同性愛などがあることなど)を教え、差別や偏見を取り除いていく必要がある:民主党、公明党、次世代の党、日本共産党、社民党
- 【B】生徒と向き合えるよう、まずは教職員向けの研修が必要だ:
- 【C】学校教育で教えていく必要は無い:
- 【D】答えられない/分からない:自由民主党(党内で議論したことがないが、性同一性障害者の人権は守っていく)
- 【E】その他自由筆記:自由民主党
- Q4性的マイノリティ当事者を理由とした解雇や不利益な人事について
- 【A】性的マイノリティを理由とする解雇や不当な人事は人権侵害である:自由民主党、次世代の党、日本共産党、社民党
- 【B】雇用者の判断に委ねられるべきものだ:
- 【C】仕方がない部分もある:
- 【D】答えられない/分からない:公明党
- 【E】その他自由筆記:
- Q5警察で同性愛者を特定する狙いのあった適性検査(MMIP検査)を採用試験に使用することについて
- 【A】問題のある検査方法だと思う:民主党、公明党、次世代の党、日本共産党、社民党
- 【B】警察官には同性愛者を採用するべきではない:
- 【C】仕方がない部分もある:
- 【D】答えられない/分からない:自由民主党、公明党'
- 【E】その他自由筆記:
- Q6性的マイノリティのいじめ・自殺問題について
- 【A】自殺・いじめ対策に性的マイノリティへの意識を持って進めていくべきだ:自由民主党、民主党、公明党、次世代の党、日本共産党、社民党
- 【B】特に意識する必要がない:
- 【C】仕方がない部分もある:
- 【D】答えられない/分からない:
- 【E】その他自由筆記:
- Q7性同一性障害との診断を受けた夫が第三者の精子を使って妻との間に人工授精でもうけた子を嫡出子として認めないことに対し最高裁で違憲判決が出たことについて(複数回答可)
- 【A】子供が戸籍上の差別を受けないように嫡出子とすれば良い:日本共産党、社民党
- 【B】性別を変更した夫が認知するのならば夫の嫡出子として問題ないと思う。:自由民主党
- 【C】嫡出子・非嫡出子という区別自体が差別であると思う。:次世代の党、日本共産党
- 【D】この夫の生物学的な子とは認められない。判決がおかしい。:
- 【E】答えられない/分からない:公明党
- 【F】その他自由筆記:民主党(最高裁の判決を尊重すべき)
- Q8同性婚について
- 【A】同性でも婚姻制度を適用できるようにすべきだ:次世代の党、社民党
- 【B】現在の結婚に変わる制度、異性同性を問わず利用できるパートナー制度が出来るべきだ:日本共産党
- 【C】こうした制度は異性間のものであるべきで特に必要ない:自由民主党
- 【D】答えられない/分からない:
- 【E】その他自由筆記:民主党(性的少数者の意志を尊重できるよう、今後検討していきたい)
- Q9単身者増加に対する施策(複数回答可)
- 【A】単身者でも豊かに不安無く暮らせる社会を目指すための施策を考えたい:自由民主党、民主党、公明党、日本共産党、社民党
- 【B】公営住宅に単身者の入居ができるようにする:社会民主党
- 【C】共同生活を行うものを世帯や家族とみなす制度を導入する:日本共産党、社会民主党
- 【D】シェアハウスへの支援や補助を行う社会民主党:
- 【E】単身者の孤立を防ぐため、若いうちからの当事者同士や地域とのつながりを作れる為の施策を実施:民主党、日本共産党、社民党
- 【F】シングルでの子育てもよりしやすくなるための施策を充実させる:民主党、次世代の党、日本共産党、社民党
- 【G】未婚者が減るように婚活支援をしていく:民主党
- 【H】単身者には独身税など社会負担を増やす:
- 【I】未婚でも過ごしやすくすると少子化が進むので不要:
- 【J】単身でいることは自己責任であるため、施策は特に必要ない:
- 【J】その他自由筆記:
- Q10同性カップルが里親になることについて
- 【A】同性カップルでも里親になってよい:次世代の党、日本共産党、社民党
- 【B】同性カップルだけでなく、一人でも里親となってよい:日本共産党、社民党
- 【C】子どもには男女の両親が必要だ:
- 【D】同性の親では子どもがいじめられるので認められない:
- 【E】答えられない/分からない:公明党
- 【F】その他自由筆記:自由民主党(子供の成育の観点から判断するべき)、民主党(今後検討していきたい)
- Q11男性同性愛者の献血が事実上できないことについて(複数回答可)
- 【A】男性同性愛者だからというだけで献血を断ったり、差別を助長する問診をするのはおかしい:社民党
- 【B】HIV感染の確率が高く感染の不安があるのだから断るのが妥当だ:
- 【C】日赤の判断を尊重したい:自由民主党、次世代の党
- 【D】答えられない/分からない:民主党、公明党
- 【E】その他自由筆記:自由民主党(専門家による疫学的な観点からの議論を踏まえて日本赤十字社が決定しているが、献血の善意を示した方が納得できるよう丁寧に説明し、理解を得るべき)、日本共産党(同性愛者の献血かどうかにかかわらず、血液の検査は厳密に行われなければならない)
- Q12HIVなど性感染症の予防対策や啓発について
- 【A】年齢に応じた学校教育の現場で、正しく実用的な性教育・予防啓発を行うべきだ:民主党、公明党、次世代の党、日本共産党、社民党
- 【B】男性間の性的接触など、感染が進んでいる層に対しもっと施策を注入していくべきだ:
- 【C】現在の程度で、幅広く社会的な教育や啓発を行っていったので良い:自由民主党
- 【D】性行為という自己責任の部分が多く、個人や家庭の問題である:
- 【E】答えられない/分からない:
- 【F】その他自由筆記:
- Q13家族や友人から同性愛や性同一性障害であることを告白(カミングアウト)されたら
- 【A】彼らを尊重し応援したいと思う:民主党、公明党、次世代の党、日本共産党、社民党
- 【B】距離をおきたいと思う:
- 【C】差別や偏見で苦労するだろうから異性愛者としてや、戸籍上の性別のままで生きるように諭す:
- 【D】答えられない/分からない:自由民主党
- 【E】その他自由筆記:
政党と差別の歴史
近年、日本の政党もLGBT政策を公約に掲げ始めたが、戦後史の中では、同性愛者に無関心か差別的だった歴史がある。かつてスターリンの血の粛清以来、共産主義・社会主義圏の大半の国々で同性愛に非常に厳しい姿勢が取られ、同性愛者を収容所に収監し思想教育をするなどしていた[40]。ソビエト連邦などでは大粛清の口実にされていたり、中華人民共和国の毛沢東も同性愛者らを「性的な逸脱者」として彼らの性的去勢を信じ[41]、成人間の合意に基づく同性愛行為も「流氓罪」として、拘留や労働教育刑などの対象になった。こうした「同性愛はブルジョワ的頽廃」というイデオロギーが、1980年代頃までの日本の革新政党にも影を落としていた[40]。
例えば、日本社会党時代、社会主義協会(社会党最左派派閥)代表の向坂逸郎がゲイの東郷健に対し、「ソビエト共産主義になればお前の病気は治ってしまう」と発言した[注記 3]。日本共産党も党員がゲイが集まる旅館のロッカールームで他人の下着を盗む事件を起こした時に、窃盗を非難するだけではなく、同性愛そのものを「ブルジョア的頽廃」と否定した[40]。また1993年放送の日本テレビ系ゲイドラマ『同窓会』について、共産党機関紙・赤旗は「青少年教育に悪影響を与える」と書いていた[42][注記 4]。このほか政党には属さないが[注記 5]上野千鶴子も「私は同性愛者を差別する。なぜなら彼らは自然に反しているからだ」と断じていた[43]。このように当時の革新政党らは、ゲイを差別する側に立っていた[40]。(ただし1990年代頃から変化し始め、当時の社会党機関紙「社会新報」にLGBT関連記事が載り始めるようになり[44]、2000年代には共産党機関紙、「赤旗」にもLGBT関連記事が載り始めた[45]。)社民党は2002年、共産党は2020年の日本共産党第28回大会にて正式に過去の性的少数者への差別認識の取り消しを発表した[46]。
一方、資本主義・自由主義陣営の保守派にもホモフォビアがあった。たとえばアメリカ合衆国で赤狩りを推進した検事のロイ・コーン(晩年はドナルド・トランプの弁護士となった)はジョーゼフ・マッカーシー上院議員の反ゲイ政策を積極的に支持し、ゲイの権利擁護に反対する発言をしばしば行った[47]。同性愛行為が完全に合法化されたのは、アメリカ合衆国では2003年のことである(ローレンス対テキサス州事件)。日本では、自民党は同性愛に関してまとまった考えなどは表明してこなかったが、一部地方議員には同性婚を「家族の否定」だとして反対する立場を取る政治家もいる[48][49][50]。「レインボープライド愛媛」が2012年衆議院議員総選挙に際し行ったLGBT施策の政党アンケートで同党は、性的少数者の人権を守る施策について、性同一性障害に関しては必要としているが、同性愛については「取り組んで行かなくてもよい」と回答した。他の保守政治家では、石原慎太郎が「同性愛者は足りない感じがする」[51]、「私はホモといわれる種族の男たちにはアレルギィ的な反応を示すたちで、興味がないだけでなくて、どうにも好きになれない」[52]と発言し、維新政党・新風の故・松村久義は2004年参院選の政策アンケートで、「同性愛者は異常性愛嗜好者である。この者達の人権等を認めるとなると、ロリコン・小年愛、果ては死姦まで認めなければならない。監禁すべきである」「日本社会から、ホモの排除を要求する」と回答した[53](ただし松村個人の発言であり、党の公式見解ではなかった。新風事務局もこの発言当時「同性愛も人間と人間が愛すことには変わりない」と書いている[54])。 2018年7月には自民党の杉田水脈衆院議員が「新潮45」への寄稿で、同性カップルを念頭に「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がない。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」と行政による支援を疑問視した。これに対し人権意識を欠いた記述だと批判が上がり、原則政治的中立を保つとされる東京レインボープライドも含め自民党本部前で大規模な抗議活動が行われた[55]。これに対し自民党本部は「性的な多様性を受容する社会の実現を目指し、性的指向・性自認に関する正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定に取り組む」「杉田議員の寄稿は問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現があることも事実であり、本人には今後、十分に注意するよう指導した」との声明を発表した[56]
ただ保守系政治家・政党も多様であり、自民党や民主党内には同性愛に関し様々な意見がある。またかつての日本維新の会や、同会から分離して結成された次世代の党は、前述の政党アンケートで同性婚や性的少数者の人権擁護施策などに賛成しており、幸福の科学を支持母体とする幸福実現党も性的マイノリティに関する公約を掲げている[57]。同性愛に否定的なのは日本の保守の一角のクリスチャン保守[58]や韓国統一教会(キリスト教ベース)系であり、神道・仏教系など保守本流は日本の歴史の中でホモフォビアだったことはほとんどないとされる[2]。ちなみに同性愛団体への東京都施設貸し出し拒否の是非が争われた東京都青年の家事件も、キリスト教原理主義団体がゲイ団体に嫌がらせをしたことが発端であり、かつて同性愛者差別発言をした上野千鶴子もクリスチャン・ファミリーの出身である[59]。
井原西鶴は「天照る神代のはじめ、浮橋の河原に住める尻引きといへる鳥のをしへて、衆道にもとづき、日の千麿の尊を愛したまへり。万の虫までも若契の形をあらはすがゆゑに、日本を蜻蛉国(せいれいこく)ともいへり」(『男色大鑑』巻一冒頭)と述べている。大島清は「日本の古代人がホモに寛容であった」、「獣姦や、とくに実母との相姦がタブーであった古代でも、同性愛は大目にみられていた」と指摘している[60]。織田信長は小姓の森蘭丸を寵愛し、幕末の志士・西郷隆盛には月照と同性心中を企てた有名な逸話がある。新撰組局長、近藤勇の書簡[61]にも新選組内で男色が流行していると記されている。華族階級でも男色は盛んに行われていたが、それでも「変態的」醜行とされていたことに変わりはなく、細川護貞と酒井恕博が学習院在学中の男色関係を理由に不良団「百足」から恐喝され、当時の金員で数千円を支払った[62]。このほか、徳川家達も華族会館の給仕を鶏姦して[63]口止め料を支払う羽目になった上、この醜聞のために学習院総裁就任の話が立ち消えになったことがある[64]。
その他、保守系出版社の雄、文藝春秋を創刊した菊池寛[65]、戦時中に政治結社をつくって挺身行動隊の副隊長をやるなど保守運動に邁進し、戦後、会員制の同性愛雑誌『同好』を大阪で創刊した毛利晴一[66]、戦後保守思想を代表する三島由紀夫が同性愛者として知られている。ただし三島の同性愛傾向について保守派評論家の村松剛は「仮面」と位置づけている[67]。この分析に対しては「村松の考えの中にホモフォビアが無いとは言えず」[68]との批判がある。また、保守派の論客の渡部昇一も「今日一部で同性結婚というものが認められ、流行のようになっているが、これにはかなり問題がある」、「日本は同性愛に対して昔から寛容な国だが、それを法として認めるというのはまた話が違う」、「自然法の根幹としては、国造りをした神様が夫婦の道を示しているわけだから、これを正しいものとみなしてきたのである」[69]と述べ、異性婚を日本の正しい伝統と位置づけている。さらに、保守派の教育学者である高橋史朗は「国民の道徳心を低下させ、国民としての誇りとアイデンティティーを『完全に破砕』するための長期洗脳計画を研究したのがタヴィストック研究所であるが、その一つが同性愛を推奨することにあった。性役割や男らしさ・女らしさを否定する『性革命』によって、性道徳を破壊し、『女性を社会に進出させて税収を増やし、家族崩壊へと導く「男女同権運動」』を推進する戦略を考案したのである」[70]と述べている。
LGBTであることを公言している日本の政治家
国会議員
現職
元職
- 松浦大悟 - 元参議院議員
地方議員
現職
- 渕上綾子 - 北海道議会議員 (立憲民主党)
- 加藤麻衣 - 盛岡市議会議員 (無所属)[71]
- 上川あや - 世田谷区議会議員 (無所属)
- 石坂わたる - 中野区議会議員 (無所属)
- 高月真名 - 新宿区議会議員 (日本共産党)
- よだかれん - 新宿区議会議員 (無所属)
- 細田智也 - 入間市議会議員 (国民民主党)
- 滑川友理 - 水戸市議会議員 (立憲民主党)
- 小原明大 - 長岡京市議会議員 (日本共産党)
- 赤坂マリア - 亀岡市議会議員 (無所属)
元職
LGBT以外の性的少数者
法制度
性的同意年齢
日本の刑法176条(強制わいせつ罪)の規定においては、男女ともに性的同意年齢は13歳に設定されている。しかし、都道府県などで淫行条例により成年と18歳未満との「淫行」(詳細な定義は淫行条例の項を参照)は禁止されている。また日本の売春防止法は売春における実際の性行為(または管理売春)を禁じている。同法では男女間の行為を定義しており、同性間の行為はその模倣とみられるため、同性間の売春は直接的に禁止されていない[73]。
刑法
鶏姦罪についての詳細は「日本における同性愛#幕末・明治初期: 一時的な違法化」参照。
明治時代初頭の1872年(明治5年)、西洋の政治・文化の影響もあり、ソドミーの中で男性同士の肛門性交のみを禁じる鶏姦条例が発令された(ソドミー法)。この条例名は清律(en)の㚻姦(けいかん)罪から取られ、㚻の字には音が同じ「鶏」が当てられた。翌1873年(明治6年)には「改定律例」第266条に鶏姦罪として規定し直され、違反した者は懲役刑とされた。しかし1880年(明治13年)制定の旧刑法にはこの規定は盛り込まれず、1882年(明治15年)1月1日の同法施行をもって鶏姦罪は消滅した[注記 6][74]。短い期間ではあるが、日本の歴史で唯一、男色が禁止されていた時期であった[75](元禄時代は衆道が日常的だった[4])。ただし同性愛自体が違法化されたわけではなく、薩摩藩(現在の鹿児島県)などでも男色は引き続き行われており、事実上はザル法化していた[要出典]。この期間を除いて日本では同性愛行為を規制する法律は存在せず[75]、成人の同性間の私的な性的行為は、日本国内では違法ではない。
1872年(明治5年)、当時の東京などで違式詿違条例布達が出され女子の断髪が禁止された。違反者は罰金が科されたため、FTMのトランスジェンダー、トランスセクシュアルは自身のセクシュアリティを表現できなかった。[76]
強姦罪は、男性器が女性器に挿入された場合のみ適用され[77]、ゲイの加害者が男性の被害者に暴行又は脅迫を用いて肛門性交を行う、もしくはレズビアンの加害者が女性の被害者に暴行又は脅迫を用いて性行為を行ったとしても量刑が軽い強制わいせつ罪が適用された[78](強姦罪は3年以上の20年以下の懲役であるが、強制わいせつ罪では6ヶ月以上10年以下)。やがて2017年(平成29年)7月13日に、被害者が女性の場合のみに限定されていた強姦罪は廃止され、女性に限らず男性が被害者の場合を含む性別不問の強制性交等罪の規定が設けられた「強制性交等罪」がその役割を引き継いだ。
ストーカー規制法は加害者が同性であっても適用される[79]。
法的保護
2000年(平成12年)の段階で、日本の国内では公民権に関連する法律において性的指向を明示して保護していない。これは日本においてLGBTの人々が雇用や教育、居住や健康、財産などで差別を受けた場合に拠り所となる法的手段がないことを示している[80]。
例えば、学校教員の採用面接時にカミングアウトしていないことが多いとはいえ、ゲイ・レズビアン・トランスジェンダーの教員が勤務すること自体には全ての教育レベルにおいても規制がない。また、自衛隊では、米国でのビル・クリントン大統領政権時代に起こった同性愛者の従軍議論に関連し、「同性関係が職務やその他の問題に影響しない限りは問題とされない」と回答している[81]。
日本の憲法では平等な権利を謳い、法の下の平等の理念の基にいかなる理由の差別も禁止していると解釈されている(詳細は日本国憲法第14条を参照)。しかしながら同性愛者とトランスジェンダーの人々は、異性または同性のパートナーから肉体的、性的、心理的な暴力を受けた場合に、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」の適用外とされ、法的保護を受けることができないケースがある。日本は差別行為を包括的に禁じる条項を盛り込んだ「市民的及び政治的権利に関する国際規約」の締約国であり[82]、性的指向や性自認による差別を行った者への処罰の必要性が記された「性的指向と性自認に関する声明」(en)にも賛成の意を示しているが、法整備が追いついていない。
労働基準法第1章 総則 第3条(均等待遇)には、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」とあり、こちらも憲法同様限定列挙と解され、性的志向、性自認を理由とした不利益な取り扱いも禁止されている。
男女雇用機会均等法は性差別の禁止や職場におけるハラスメントの禁止など数度に渡って改正されてきたが、ジェンダーや性的指向による差別の禁止への拡大適用を見送っている[83]。
1991年(平成3年)、「動くゲイとレズビアンの会」が公的施設の利用を拒否されたとして東京都を訴えた東京都青年の家事件が起きた。裁判は1997年(平成9年)に原告団体の全面勝訴で結審。裁判後、東京都は性的指向による雇用差別を禁じた指針を発表している。[要出典]
2017年(平成29年)3月14日、文部科学省は学校教育における「いじめの防止等のための基本的な方針」を改定し、性的マイノリティの生徒への配慮を初めて盛り込んだ。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、「LGBTの権利の分野での日本の評価を高めるであろう」「日本政府はLGBT生徒を守るため、教職員への教育とエンパワーメントの分野での指導力を見せた」とこの改定を評価し、日本がLGBT権利擁護について、世界のリーダーシップを取る事を期待した[84]。
トランスジェンダーに関連した事柄
2003年(平成15年)7月10日に性同一性障害者が性別適合手術後に法的な性別の変更を認める「性同一性障害者特例法」が成立し、2004年(平成16年)7月16日に施行された[85]。これにより、以下の要件を満たす場合、家庭裁判所に対して性別の取扱いの変更の審判を請求することが可能となった。審判の許可を受けることで、法令上の性別の取扱いと戸籍上の性別記載が変更できるようになった。
- 20歳以上であること。
- 現に婚姻をしていないこと。
- 現に子がいないこと(平成20年6月に未成年者の子がいないことに改正された)。
- 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
- その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。
2012年(平成24年)2月24日、兵庫県弁護士会は男性刑務所に収容されている性別適合手術を受けていないトランスセクシュアルの女性を女性刑務所に入れるよう勧告を行った[86]。それらを受け、法務省は該当者の個室利用や単独入浴を許可する方針を発表した[87]。
同性結婚
日本国憲法第24条で「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と規定されていることから、「同性間のカップルは結婚が認められておらず、結婚によって得られる権利を得られない」とする説がある。一方で、「憲法第24条は『異性結婚』が両性の合意のみに基づいて成立することを示しているにすぎず、同性結婚を禁止した条文ではない」とする説もある[88]。
「同性間の『養子縁組』は比較的結びやすい」とされており、同性間のリレーションシップを保障するための代替的な機能を果たしてきた[4]。しかし近年では、欧米での同性結婚の合法化の波を受けて、「親子擬制の養子縁組ではなく、異性愛男女の結婚のようなきちんとした婚姻関係を結びたい」という声も高まってきている。
外国で成立した同性結婚は日本国内で認知されず、外国人のパートナーはその関係性に基づいてビザを取得できないのが現状である[89]。
2009年(平成21年)3月27日、同性結婚が認められた国に住む外国人と、相手国で同性結婚をすることが可能になることが報じられた[90][91]。日本は国内での同性結婚を認めていないことから、同性のパートナーと国際結婚をするために必要な書類の申請は拒否されていたが、法務省の通達がなされたことで、同性結婚を望む者には独身の成人である証明書を発行するようになった[90]。
2012年(平成24年)5月15日、東京ディズニーリゾート(ミリアルリゾートホテルズ)内の3つのホテルにおける同性結婚式実施の照会について、広報担当者が「可能」と回答した[92]。
子供・養育
欧米諸国には、同性カップル/夫婦が養子を引き取ることや、独身者に限り同性愛者が養子を持つことを認めている国があるが、日本ではそれらが認められていない[要出典]。また米国では提供卵子と代理母で実子を授かるゲイカップルが急増していて[93]、英国のロック歌手エルトン・ジョン、米国の俳優ニール・パトリック・ハリスにも、パートナーのゲイとの間にそうしてもうけた子供がいる[94]。
教育
- 前史:性非行、人間性の悲劇として
かつて文部省(現・文部科学省)は、同性愛を「性非行」の倒錯型性非行として問題視しており、1979年(昭和54年)の文部省『生徒の問題行動に関する基礎資料』「IV性非行 - ④倒錯型性非行 - オ同性愛」では、「同性愛は一般的に言って健全な異性愛の発達を阻害する恐れがあり、また社会的にも、健全な社会道徳に反し、性の秩序を乱す行為となり得るもので、現在社会であっても是認されるものではないであろう」(抜粋)として[4][95]、「専門機関による治療が望まれる」と記述していた[95]。また、1955年(昭和30年)11月28日付け読売新聞「同性にあこがれ」(『人生案内』)では、同性愛は「色情の異常で人間性の悲劇」とされ、1980年代後半の「中2の息子が同性愛」(『人生案内』)[要文献特定詳細情報]も、帰宅したら息子が同じ学校の男子生徒と全裸で抱き合っているところを見てしまったという母親の相談に「(息子はゲイでないのにゲイの生徒に振り回されているという憶測に基づいて)息子さんの将来を思えば、相手から引き離すべきだ」などとする専門家による回答がなされた。この回答は当時の薔薇族が取り上げ批判したが、その薔薇族も異性愛者の編集長、伊藤文學が「どうせこの母親は甘やかして息子を育てたに決まっている(だから息子もゲイになった)」と同性愛についての持論を書いていた[96]。
『高校教育展望』(1985年5月号,小学館)で、関西性教育相談所長の黒川義和は「高校生の問題行動」として同性愛について触れ、「人は男女の立場から、これに夫・妻の立場、さらに父親と母親の立場が加わって、責任もあるが、また幸せな一生を送ることができるわけであるが、同性愛者にはこの全てが欠落しているのである」とした。そして対応例として、「原因発生の時期をつかみ、これを起点として対応法を考え、早期に指導すれば修正の可能性がある」「最近話題になっているエイズの話を付け加えるのもよいと思う」と主張していた[4]。
性科学者で京都大学霊長類研究所長(当時)の大島清は自らの著書で同性愛を取り上げては、「オスが男になるには二重の壁がある」などとして、「その壁を乗り越えられないと同性愛になってしまう」というロジックで同性愛を否定していた[要文献特定詳細情報]。京都精華大学助教授(当時)の上野千鶴子も「同性愛者を差別する」(「スカートの下の劇場」より[要ページ番号])、「レズビアニズムはヘテロセクシュアルの副産物、カウンター・イデオロギーであり、時代が変われば変わる」(同[要ページ番号])と断じていた。
ゲイやレズビアンの当事者個人や、1979年(昭和54年)結成の「JGC(ジャパン・ゲイ・センター)」、1986年(昭和61年)結成の「動くゲイとレズビアンの会」などが積極的に出版社などに働きかけ、差別表現の是正を求めていた[4][97]。
- 同性愛を性非行から除外へ
そうした中、1983年(昭和58年)に出版された赤塚不二夫「ニャロメのおもしろ性教育」(西武タイム)では同性愛が肯定的に取り上げられた。漫画に男性同士のカップルを登場させ、同性愛の歴史やそれが古代ギリシャやアメリカ・インディアンの中では自然な行為だったこと、同性愛者の差別の現状や、性交渉のやり方、米国のゲイ解放運動などを解説した。そして「心理的に人間には、同性愛の可能性が潜んでいるといわれる。」「彼らの行動を無理に邪魔したり、からかったりしないほうがいい。」と説いた[4]。
また山本直英らは同性愛を肯定的に扱う性教育を先駆的に行った[98]。教育現場では、1991年(平成3年)に劇場公開されゲイの生活を4年間追い続けたドキュメンタリー映画「らせんの素描」にも出演した高校教師の平野広朗は、ゲイであることをカミングアウトして授業を行った。性教育に関する副教材「ひとりで ふたりで みんなと」(小学生用)「おとなに近づく日々」(中高生用)でも同性愛のことが触れられた(その後廃刊)[98]。
1994年(平成6年)には政治的にも大きな変化があり、ゲイ団体の度重なる抗議や世界保健機関(WHO)が同性愛を治療対象から除外したことなどを受け、文部省は指導書の「性非行」の項目から同性愛を削除した[12]。こうして同性愛を指導資料などで否定的に記述することはなくなった。ただ文部省が同性愛を性非行としてきたからといって、教育現場で同性愛が否定的に教えられてきたということはない。1980年代頃は「同性愛が教材になることは、まずない。」[4]という状況であり、存在自体が無視(社会的無化)されてきた[要出典]。
健康
LGBTと自殺
「同性愛者の自殺率は異性愛者のそれより高い」という報告があり、近年漸く注目されつつある[99]。1999年と2005年に行われたインターネット調査では、日本のゲイ・バイセクシュアル男性全体の65%が自殺を考えたことがあり、15%が自殺未遂をしているという結果が出ている[99]。また2001年(平成13年)の厚生労働省の調査では、ゲイ・バイセクシュアル男性の自殺未遂リスクは異性愛者よりも5.9倍高いことが示唆されている[99]。周囲と違うから、女性(男性)的だからなどの理由でいじめに遭うことも少なくない。日本でも2012年(平成24年)に民主党内に「性的マイノリティ小委員会」が設けられ、2013年(平成25年)には自民党内に「性的マイノリティに関する課題を考える会」が結成されるなど、少しずつではあるが対策が始まりつつある[26][30]。 岡山大学病院が調査した結果、性同一性障害者の6割程度に希死念慮があり、3割程度に自傷行為や自殺未遂の経験があるという[100]。
同性愛の治療対象からの除外と性的指向の矯正
1994年(平成6年)、厚生省(現・厚生労働省)が同性愛を治療の対象から除外したWHOなどの見解を踏襲し[11]、1995年(平成7年)には日本精神神経学会も「同性愛を治療対象から除外した世界保健機関(WHO)の見解を尊重する」とし、「同性愛は治療の対象にならない」と表明した[11]。
かつて厚生省は同性愛を「異常性欲」の一つとみなし、治療の対象にしていた。そして日本の精神病院でも同性愛者(性同一性障害)に対し、治療と称して電気けいれん療法(電気ショック)が行われていた[101]。
性同一性障害の治療について
日本では主に精神科医、泌尿器科医、婦人科医、形成外科医が治療を行う。医療機関によっては「ジェンダークリニック」、「GIDクリニック」と専門外来を設けている場合もある。日本では精神科領域のカウンセリングは健康保険の適用範囲となっているが、ホルモン療法や性別適合手術は保険の対象外で自由診療となる。性同一性障害の治療は原則的に日本精神神経学会が制定している『性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン』に従うことになっている[102]が、和田耕治のようにガイドラインに従わず独自にホルモン療法や性別適合手術を行う医師や医療機関も存在する。2015年現在性同一性障害者に適切な治療を行える病院は少なく、タイ王国など海外で治療を受けるものも多い。性同一性障害に関する治療(カウンセリング、ホルモン療法、性別適合手術)を行っていると明言している医療機関は以下のとおりである。
- 北海道・東北地方
- 関東地方
- 中部地方
献血
日本赤十字社は、過去6ヵ月間に「不特定の異性または新たな異性との性的接触があった」「男性どうしの性的接触があった」「麻薬・覚せい剤を使用した」「エイズ検査(HIV検査)の結果が陽性だった(6ヵ月以前も含む)」「上記に該当する人と性的接触をもった」者については「エイズウイルス(HIV)やB型肝炎およびC型肝炎ウイルス感染の危険性が高い行為」をおこなったとして献血を禁止している[133]。異性間は6ヶ月以内の不特定多数又は、新たな異性に限定しているのに、男性同士は6ヶ月以内に性的接触をした者の全てが禁止対象にされている。
同様の禁止規定がある米国では2010年3月4日、18人の上院議員が「科学は劇的に変わった」として「献血された血液は2つの非常に正確な検査を受けなければならないため、薬害の可能性はほぼゼロ」と語った。彼らの書簡では、2006年3月、アメリカ赤十字社、アメリカ血液センター及び血液銀行協会が「この禁止規定は、医学的、科学的に不当である」と報告したことにも注目している[134]。
LGBTと企業・行政
LGBTと労働
- 就職
同性愛や性同一性障害などLGBTの学生は「ありのままの自分で働きたい」という思いがある一方、希望する企業に理解があるかどうか分かりづらく、悩みが多い。だが、金融関連企業11社によるLGBT学生向けセミナーが2015年3月に開かれるなど、企業や社会の理解は少しずつ広まりつつある[3]。 2016年からは、企業・団体等におけるLGBTの働きやすさへの取り組みを評価する指標としてWork with PrideによるPRIDE指標が発表されるようになった。2017年に最高点「ゴールド」を獲得した企業には、次項「先進的取組」に挙げた日本アイ・ビー・エムをはじめ、資生堂、関西電力、パナソニック、ANA、日本航空、UBS、筑波大学などが挙げられる[135]。
- 先進的取組
ダイバーシティ・マネジメントの先進的な取り組みとしては、日本アイ・ビー・エムの例が挙げられる。同社に設置された「ダイバーシティー委員会」には、「ゲイ、レズビアン、バイセクシュアルなどといった性的マイノリティーの人々も気兼ねなく働ける環境とネットワーク作り」[136]を目標として掲げる「セクシュアル・オリエンテーション部門」が下部機関として設けられている。部門の設置を決めた社長の大歳卓麻自らダイバーシティー委員会の委員長に就任していた。これらの取り組みについて、大歳は「ゲイは、世界的には男性の7%存在するとされますが、隠して不自由な思いをしながら働くより、会社として認め、サポートを約束することで、本人は働きやすくなります。カミングアウトする者も現れる。これはプラスです。」と発言した[137]。
LGBTと企業・行政サービス
2003年(平成15年)秋より都市再生機構は、管理する建物300件について、異性間のカップルと同様に同性間のカップルにも住宅の貸し出しを認めた。大阪市でも2005年(平成17年)9月から同様のルールを適用している[138]。
携帯電話キャリアによっては家族割のような割引が、居住地が一緒の同性愛者のカップルにも適用されることがある[139]。
LGBTの権利と裁判
- 1991年(平成3年) - 「東京都青年の家事件」
女装での出勤を禁止した業務命令や、配置転換に従わなかったとして解雇された性同一性障害者の会社員が解雇を無効にするよう提訴した。それに対し2002年(平成14年)6月20日東京地裁は、「債権者は本件申出をした当時には、性同一性障害(性転換症)として、精神的、肉体的に女性として行動することを強く求めており、他者から男性としての行動を要求され又は女性としての行動を抑制されると、多大な精神的苦痛を被る状態にあったということができる」とし、「女性の容姿をした社員を就労させることが、会社における企業秩序又は業務遂行において、著しい支障を来すと認められないから、本件服務命令違反を理由とする懲戒解雇に相当性は認められない」と述べ、解雇は無効であるとの判決を下した[140]。
2012年(平成24年)11月、性同一性障害で戸籍上の性別を男性から女性に変えた会社経営者が静岡県湖西市の会員制ゴルフ場から入会を拒否されたとして、運営会社などを相手に約786万円の損害賠償を求めた訴訟を静岡地裁浜松支部に起こした。運営会社側は第1回口頭弁論で請求棄却を求めており、2013年3月時点で係争中である。運営会社側は「更衣室で女性会員から苦情が出るのを懸念した。」としている[141]。
- 2019年2月14日8都道府県に住む同性婚を求める13組の同性カップルが国を相手取り一斉提訴。[142]
権利運動団体
日本ではLGBT当事者を中心としたセクシャル・マイノリティの権利を主張して法整備を含む要求・活動をしている団体が複数存在する。
性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会
性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会(せいてきしこうおよびせいじにんとうによりこんなんをかかえているとうじしゃにたいするほうせいびのためのぜんこくれんごうかい)、通称LGBT法連合会は性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備を目的に「政策提言」「法案の策定」「学習会の実施」「情報発信」を行っている[143]当事者団体[144]である。全国の当事者団体等によって構成されている[143][145]。
「先進国と同等のLGBT差別禁止法」の制定を訴えている[143]。
2017年より国会議事堂内で「レインボー国会」と称する行事を何度か開催するなど、政治への働き掛けを強めている[146]。2021年には「LGBT平等法」実現を求めてヒューマン・ライツ・ウォッチらとと共に10万筆以上の署名を集めた[145]。
LGBT理解増進会
一般社団法人LGBT理解増進会(いっぱんしゃだんほうじんLGBTりかいぞうしんかい)は、各省庁や自由民主党と協働してLGBT理解増進法の制定を目指している団体である[147]。
複数のLGBTの当事者・支援団体の関係者を理事としている[147]。また、自由同和会を友好団体としている[147]。主催シンポジウムでは自民党所属の衆議院議員である稲田朋美らが登壇している[148]。
代表理事で自民党の「性的指向・性自認に関する特命委員会」でアドバイザーを務める繁内幸治は議員連盟の勉強会にて「暴走するLGBT」をテーマに講演し、「トランスジェンダー女性が、女性にとって脅威となる」という内容を語り、これが複数の専門家からトランスフォビアであると批判された[149]。
メディア
歴史
明治時代にはグラビア雑誌『風俗画報』などいくつかの雑誌などに同性愛について書かれており、大正デモクラシー〜昭和初頭にかけても中央公論や一部性科学誌などで同性愛について触れられている[要文献特定詳細情報]。
戦後においては、戦後直後のSM・風俗雑誌や会員制ゲイ雑誌などを除いた一般のメディアでは、1960年代に『平凡パンチ』に同性愛関連記事が集中的に掲載された[要文献特定詳細情報]。まだ商業ゲイ雑誌がない頃で、取り上げられた回数は1965年(昭和40年)から70年(昭和45年)までに約20回(号)に及んだ。同誌は当時の若者のバイブル的な存在でもあり、そういう雑誌に同性愛が取り上げられたことは画期だった[要出典]。
その後、1971年7月創刊の薔薇族を皮切りに、1980年代前半にかけて商業ゲイ雑誌の創刊が相次いだ。テレビメディアでも1970年代後半頃から、非芸能の分野で少しずつゲイなどの性的少数者が取り上げられるようになっていった。一例としてフジテレビ系「3時のあなた」の扇千景と逸見政孝が司会・サブ司会を務めていた1974年(昭和49年)4月から1977年(昭和52年)5月の間に、薔薇族の伊藤文学らが出演したことがあり、そこで同性愛者の置かれた状況を訴えた[150]。
蔑称「オカマ」を巡って
よみがえった蔑称
2001年(平成13年)、一部週刊誌が東郷健を取り上げた記事「伝説のオカマ 愛欲と反逆に燃えたぎる」における「オカマ」(原義は肛門を指す江戸時代の俗語)表現を巡り、論争が起きた[151]。オカマという言葉の使用にはゲイの中にも賛否両論があり、1990年代頃までは差別用語、若しくは放送上好ましくない用語として、マスメディアでは余り使われなくなっていた経緯がある。使われたとしても「先ほど不適切な発言がありました」などとして撤回されることがあった。それが近年ブレイクしはじめたオネエタレントらが自ら「所詮、私たちはオカマだから」と自虐的に用いることにより、再び使われる機会が増えている(一部番組ではテロップで「オネエ」など別の言葉に置き換えられることがある)。同性愛者の中でも取り分けオネエやトランスジェンダー(女装/非女装の両方)といった女性性が極端に高く、それでいて男性的な部分も一定程度残っているゲイの一部が「オカマ」を使いたがる傾向があり、男性性を受容しているゲイやニューハーフ(トランスセクシュアル、現在は女性にカテゴライズされる)は「オカマ」を差別表現だとして嫌がる傾向がある。
批判と擁護
自身が当事者である美輪明宏は一部同性愛者の自己卑下した物言いについて、「同性愛者がからかわれる事になる。折角、同性愛が市民権を得てきたのに、歴史が逆戻りする」と批判している[152][153]。また「所詮、オカマだから」(マツコDX)、「私たち汚いオカマは」(おすぎ)という言い方は、石原慎太郎元東京都知事の同性愛者蔑視発言と通底しているという意見もある。一方、ゲイライターの伏見憲明らは、これまで「オカマ」がネガティブに使われてきたことを逆手に取り、自らが肯定的に使い直すことでこの言葉に込められたネガティブな意味合いを一掃する「イメージ置換戦略」を提唱した[151]。また「キャンプ」という概念を援用しつつ、傷つくことを他人から言われる前に自分でいって「笑い」に転化してしまえば生きるのがむしろ楽になる、という考えに立ち、一部のゲイ(トランスジェンダーなど)が自ら「オカマ」を使うのは世間智や生存戦略の一つだ、という主張もある[154]。その主張に対しても、同性愛者を「笑う」ということ自体に偏見を助長する危険があるという意見もある。
「オカマ」蔑称の歴史
女装男娼への蔑称
元々「オカマ」は肛門を意味し、戦後の一時期まで女装する男娼への蔑称だった[152]。戦後直後の1948年(昭和23年)、既に上野の女装男娼らは、オカマと呼ばれたくないという抗議の声を上げ、それに代わる言葉を自ら考えていた[152]。女装家の青江忠一(青江のママ)は自分を「ゲイボーイ」[155]と自認しているので、街中で「オカマ」と罵られると、追いかけて下駄で殴って抗議していた[152]。それほど女装者にとって「オカマ」は差別的な蔑称として受け止められていた[152]。
女装男性、女性的ゲイ・ヘテロ男性への蔑称へ
この蔑称の指し示す範囲が広がり、また一般的になり始めたのは1971年(昭和46年)、東郷健が国政選挙に初立候補して以降のことだとされる。彼が選挙に出る度に演説や選挙広報番組で繰り返し「オカマの東郷健です」と言ったのが始まりで、少し後れて1975年(昭和50年)にデビューしたおすぎとピーコがそれを受け継ぎ、「私たちオカマです」という自己卑下的な物言いでお茶の間に拡散させた[152]。このようにメディアで顔が知られた女装しない女性的なゲイ(オネエ若しくは非女装トランスジェンダー)の一部が「オカマ」蔑称を広めた。
これにより、当初は女装男娼者の中のそれも肛門性交をよくする者への蔑称だったのが、1980年代頃からは「女性的な男性」全体に拡大し、性同一性障害者(MtF)を含む女装男性(TG)は勿論、女装しない女性的なゲイ(オネエ)[注記 7]、女性的な異性愛(ヘテロ)男性への蔑称としても盛んに使われるようになった[152]。学校などではゲイ・ヘテロを問わず、少し女性的だと「オカマ」と罵られ、暴力的ないじめに遭う被害も起きた[152]。
すこたんソーシャルサービスの主宰者は、大学の非常勤講師として学生に接すると、ヘテロだが少し女性的な男子学生で「オカマと言われて凄く辛い経験をした」という者が、「毎年、200人中4〜5人はいる」と話している[152]。男性からのみ言われるとは限らず、女性やクラスの女子生徒、果ては母親からも「オカマ」と罵られ、嘲笑され、人間としての尊厳やセクシュアリティを否定・侮辱されることも多い。「男は男らしく」という性差別的意識も背景にあるとされる。この様に「オカマ」蔑称は、ゲイ/ヘテロ男性の両方を傷つけることになっている。
抗議で減少、そして復活
1980年代後半以降は、オカマ蔑称の広がりと同時に、それを不快に思うゲイ当事者やゲイ雑誌、ゲイ団体らが抗議の声を上げ始めたこともあり[156]、メディアでは「オカマ」の使用に慎重になった時期があった。それが近年の「オネエブーム」でカバちゃんやマツコDXなど、オカマを自称するトランスジェンダーが多くメディアに出るようになり、彼らがオカマ蔑称を復活させた。
メディアの居直り
2012年(平成24年)、テレビ朝日の視聴者センターで電話応対した女性社員は、同性愛男性を侮蔑的な脈絡でオカマと呼んだと感じた番組に抗議したゲイ男性に「でも、ゲイの人自身がオカマといっていますよね。それはどうなるんですか?差別とは思わない」と猛然と反論を加えた。この事例が物語るように、オカマと呼ばれたくなかったり、オカマと聞いて不快になるゲイが多くいる一方で、メディアに出る一部オネエやトランスジェンダー自身がオカマ・アピールをしてしまっているため、オカマ呼称は止めて欲しいという切実な抗議に居直られてしまい、反論しようがないという袋小路に陥っている[152]。
最後の差別カテゴリー
女装家で性社会史研究家の三橋順子は「一部の同性愛者が自らオカマという分には認めていい、としてしまうのは危険」とした上で、一部にある「オカマちゃん」など敬称を付ければいいのかという論議にも、「部落や身体障害の差別語に“ちゃん”を付けたら認められるのか」と疑問を呈している。また女装しないゲイの一部がオカマ呼称を肯定していることにも「女装しないゲイは街を歩いていて、指差されて『オカマ』と嘲笑され差別されることはない」「実際に街中でいつも差別被害に遭うのは、私たちトランスジェンダーだ」といっている[152]。そして「部落や在日、身体障害などを指す、様々な蔑称や差別用語の使用に慎重になってきたが、“オカマ”だけが今も遠慮なく使われ、性的マイノリティだけは別になっている」「“オカマ”は日本社会に残った差別カテゴリー。メディアにおける最後の差別カテゴリーだ」と言っている[152]。
「オネエ」の問題点
近年、メディアの中で「オカマ」が差別表現だとして批判されてきたことから、それに代わり「オネエ」が男性同性愛者全体を指す言葉として使われ始めている[154]。しかし新宿二丁目などゲイコミュニティやゲイ当事者の中では、女装をしないゲイの中の女性的なゲイ(オネエ言葉を使うゲイ)のみをオネエと言ってきた歴史があり[157]、男性性を受容しているゲイはオネエ概念に含まれない。
またゲイ同士の会話で「彼、オネエ(言葉)だね」という場合、友達としてはいいけれど、恋愛対象ではない、生理的に受け付けないなどを含意することもあり、ゲイの中でもオネエやオネエ言葉を嫌う人や、自分がオネエ言葉を使うのは抵抗があるという人は多い[158]。その理由として、生理的な嫌悪感の他に、オネエ言葉から連想されるイメージと自分が同一視されることへの嫌悪感や、オネエ言葉を振り撒いて見世物やピエロになることへの反発などがある[158]。また男同士の愛は誇り高く対等なもので、片方が女役になることではないはずだ、という考えもある[158]。20歳前後の若いゲイがオネエ言葉を使うにはまだ可愛いといっていられるが、大人のゲイがクネクネとオネエ言葉を使う姿は多くのゲイにとっても気持ちの良いものとはいえない、とする意見もある[158]。なお、テレビに出演する著名なゲイが極度に女性的なゲイイメージを振りまくことや、彼らが使うオネエ言葉、自虐的オカマ呼称に対しては昔から批判があり、1970年代から1980年代のゲイ雑誌などの読者投稿欄の定番テーマでもあった[159]。
メディアの同性愛者のステレオタイプな取り上げ方は変わっておらず、女装男性や女性的な仕草のゲイを茶化して笑おうとすることや、男性的なゲイや女性同性愛者の抹消(社会的無化)などの課題がある、と三橋順子は主張する[157]。
報道事例
- 1985年(昭和60年)、日本公開の英国パブリックスクールのゲイ模様を描いた『アナザー・カントリー』の日本でのパンフレットには、シリアスな作品だったにもかかわらず「コウモンをぬけるとホモダチがいた。」と茶化して書いていた。
- 1996年(平成8年)6月9日放送の日本テレビ系「怖くて行けない所・第二弾 男がオトコを愛する交差点」(『解禁テレビ』)において、隠しカメラを積んだ車や撮影スタッフが隠し持った小型カメラで、新宿二丁目の街頭でキスをしているゲイらを盗撮し、嘲笑した。番組では取材カメラに気づいたゲイが「こちらの気持ち考えたことあるのか?」と激しく抗議する模様を放映し、するとナレーションは「確かにそうです。彼らの話を聞いてみましょう。」と、小型隠しカメラを装着しゲイを偽装したスタッフが、声をかけてきたゲイの部屋に同行し、部屋の中の模様も放映した。モザイクが掛けられていたとはいえ、一部を除き撮影された人に無断で放送した。番組には当時、ゲイ団体が抗議を行った[160]。
- 2014年(平成26年)1月19日、中華人民共和国政府系ウェブメディア・毎日中国経済「日本で急増とウワサの“ブラ男”ってなに?驚愕の事実に『オネエ化した日本じゃ戦争はムリだね』―中国ネットユーザー」(編集翻訳 恩田有紀)において、日本におけるメンズブラの流行に対するインターネット上の反応として「変態民族か」「変態民族は長年の米国の抑圧によって自信を失い、さらに変態になった」「ここまで低俗なの、日本ぐらいだろ」「キモい」とされた一方で、「日本人ってある意味自由だな」「かわいい」との反応があった報じられた。
- 2013年(平成25年)12月26日付けの朝日新聞に「五輪の祭典、政治持ち込むな」が掲載された。オバマ米大統領が、ロシア政府が同性愛者を弾圧していることを理由に、ソチ冬季五輪の開・閉会式に出席しない方針を打ち出したことに対し、五輪に政治を持ち込むのは反対だと訴え、日本政府はソチに首相級の人物を送るべきだと主張している。朝日新聞は、2014年2月4日配信の関根和弘記者による記事[161]でも、同趣旨の主張をしている。
同性愛者と事件
2000年(平成12年)に起きた「新木場殺人事件」を始め、ゲイが集まる深夜の出会いの場で、少年グループによるゲイ襲撃事件が発生している。戦後直後には「男娼の森」といわれた上野公園などでゲイを恐喝するものがいたとされ、比較的的直近では、日本テレビ系ゲイドラマ『同窓会』(1993年)にも「ホモ狩り」シーンが出てくる。ゲイは警察に被害届を出しにくいという理由で狙っているとされる。ゲイ雑誌やゲイ団体などは自分の身を守るため、野外でのそうした行為はしないという自衛策を講じることが必要だと呼びかけている。また歌舞伎町の「暴力・恐喝バー」の被害に遭うゲイも後を絶たない。新宿2丁目の路上やゲイが集まる施設などで「彼氏や友達になろう」と声をかけて店まで連れて行き、泥酔させた上で大金を要求するという手口。90年代頃からゲイ雑誌で、恐喝バーの被害に遭わないために、怪しい店には着いて行かないよう呼びかけが行われてきた。
- 1973年(昭和48年) - 富士高校放火事件。この事件に関与した疑いで逮捕されたゲイの定時制高校生(当時29歳)は結果は無罪(冤罪)となったが、取り調べの過程にて警察は彼を異常者として扱い数々の罵声を浴びせたばかりか、彼の同性愛指向を利用してでっち上げの自白をさせた。
- 1983年(昭和58年) - 宮崎県のデパートの書店で起きたゲイ雑誌万引事件。女性店員にゲイ雑誌の万引きを見つかった高校2年生(17歳)の少年が、親を呼び出された直後、トイレに行くといって屋上から投身自殺した。
- 同性愛を禁止する教義を持つ教団の系列学校に勤務していたゲイの教師が、自殺したことがあった[4]。
- ゲイだと分かった息子を、親が柱に縛り付け、殴る蹴るの暴行を加えた[4]。
- 1998年(平成10年)~1999年(平成11年) 久留米看護師連続保険金殺人事件。森功のノンフィクション書籍『黒い看護婦』に詳しい。主犯の女は2016年3月に死刑執行。
- 1998年(平成10年)4月 - 東京都・世田谷区芦花公園(発展公園)でゲイの男性が暴走族風の集団に刃物で左大腿部を刺され死亡した。
- 2000年(平成12年) - 少年グループらが同性愛者をリンチした「新木場殺人事件」が起きる。一人が殺害され、その他被害届が提出されたものだけでも数十件の被害例があった。
- 2006年(平成18年)7月27日 - 東京都江東区の夢の島総合運動場でゲイ男性が暴行を加えられ全身打撲の重傷を負い、所持していた現金2万1000円を強奪されるという事件が発生した。逮捕されたのは都立高校3年、無職、私立高校3年2人の17~18歳までの4人で、江東区の中学の同級生だった遊び仲間。4人組は男性を襲った直後、約400メートルほど離れた同運動場内で別の男性も襲い、2週間のけがを負わせた。
- 2011年(平成23年)10月、東京都新宿区北新宿の有料ハッテン場「デストラクション」経営者が、公然わいせつほう助の疑いで逮捕された。同性愛者向け有料発展場が覚せい剤等の違法薬物使用の温床となっているという認識の下での調査であった[162]
脚注
出典
- ^ 同性愛差別の禁止規定は一部の都市の条例にあるが、国レベルではない(ILGA State sponsored homophobia 2008 Archived 2009年3月6日, at the Wayback Machine.)。
- ^ a b アジア太平洋人権情報センター「Japan and Sexual Minorities 2008」には、「日本の文化や日本の主要な宗教は、LGBTへの敵意の歴史を持っていない」と記述している
- ^ a b 2015年4月5日産経新聞「性的少数者 就活の実態…偏見、葛藤、一方で少しずつ広がり始める企業の“理解”」
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 「オトコノコノためのボーイフレンド」(1986年発行少年社・発売雪淫社)P34「同棲と結婚」より。
- ^ 薩摩藩(現在の鹿児島県)の郷中など、尚武の気風を尊重する地域では男色は奨励され、むしろ女性との交際を蔑む事すらあった。
- ^ The Beautiful Way of the Samurai: Native Tradition and Hellenic Echo
- ^ 『クレア』(文藝春秋)1991年2月号「ゲイルネッサンス'91」P95「ゲイ世界史」
- ^ 小田晋著『性と犯罪の心理』(芸文社)。
- ^ NPO法人アカー(OCCUR)公式ページより。
- ^ TOKYO HEADLINE Vol.590「TOKYO RAINBOW PRIDE 2013」(2013年4月22日配信)、1994年8月29日付朝日新聞「同性愛者『差別しないで』東京で日本初のパレード 1000人超す参加者が気勢 目立つ若者、名乗りOKも」。
- ^ a b c d 「学校教育と社会における性的マイノリティに関する言説研究」(静岡大学 大学教育センター 松尾由希子)。
- ^ a b 日本経済新聞「同性愛差別の記述 生徒指導書から削除 文部省」(1994年11月25日)。
- ^ 「日本の精神医学は同性愛をどのように扱ってきたか」(社会臨床雑誌第2巻第2号,稲場雅紀,1994年)
- ^ 「ソチ五輪見据えた カミングアウト LGBTに対する人権侵害を非難する画期的宣言採択の中で」(yahooニュース 2014年2月6日配信)。
- ^ HIV/AIDSの情報を発信する “新宿二丁目の公民館”
- ^ パートナーシップ条例成立同性カップル、権利前進毎日新聞2015年4月1日閲覧
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- ^ 1980年代頃まで女装者やニューハーフは「ゲイボーイ」といった。比留間久夫の小説「YES YES YES」(1989年)ではトランスセクシュアル(ニューハーフ)のルルとフランソワを「ゲイボーイ」といっている。
- ^ 1980年代後半のゲイ雑誌「アドン」か「ざぶ」[要文献特定詳細情報]は森田健作が「オカマが増えて困るんですよ」といったことを編集後記で取り上げ批判した。森田はその直後、片岡鶴太郎の番組[要文献特定詳細情報]にゲスト出演し「男が男を愛そうがいいんですよね。そういう人がいたって」と事実上発言を撤回した。また1990年代、さんまがモノマネ番組に出て聖子のマネをしたゲイを「カマ野郎」と呼んだこともゲイ雑誌[要文献特定詳細情報]が取り上げ批判した(それぞれの出典を探しています。森田発言を批判した「アドン」か「さぶ」の号数(何年何月号)、さんま発言を批判したゲイ雑誌の名前と号数をご存知の方がいましたらお願いします。)
- ^ a b 三橋順子「トランスジェンダーとテレビ・メディア -操作されるイメージ-」に、「本来のゲイ業界用語である『おねえ』概念は、女装しない女性的なゲイ」とある。
- ^ a b c d 「オトコノコノためのボーイフレンド」(1986年発行少年社・発売雪淫社)P53「オネエコトバ」。
- ^ 一例として「オトコノコノためのボーイフレンド」(1986年発行少年社・発売雪淫社)P138。
- ^ 1996年6月18日朝日新聞。
- ^ 朝日新聞2014年2月4日配信「モスクワ五輪・ミーシャ生みの親“政治の場にしないで”」
- ^ 「「ハッテンバ」危うい密室」 朝日新聞、2012年2月1日。
注釈
- ^ イギリスでは男性同性愛を禁止したバガリー法(1533年、en)があり最高刑は死刑とされ、同国において男性同性愛が完全に非犯罪化されたのは1967年だった。
- ^ が、結婚やシビル・ユニオンと違い、税制上の優遇や相続時の効果など限定的であり、結婚の代替手段とはなっていない。同性愛カップルが養子縁組を結んでいた例として、著名人では俳優の沖雅也と評論家の日景忠男などのケースがある。
- ^ 日本社会党の向坂逸郎は東郷健に「ソビエト共産主義になればお前の病気は治ってしまう。」と発言したが、実際のソ連では同性愛は大粛清の口実の一つとなっていた。後に保坂展人が社民党として謝罪し、社会主義協会も2002年論文内で当時の発言を批判した。ただ向坂本人は自身の発言を撤回していない。[要出典]
- ^ しかしゲイドラマ『同窓会』の放映時間帯には、ゲイタウン新宿二丁目が閑散としたほど同ドラマにはゲイの共感者が多かった[要出典]。
- ^ マルクス主義者の[要出典]
- ^ 鶏姦罪が廃止された背景には、旧刑法草案に関わった仏法学者ボアソナードによるナポレオン法典にソドミー規定がないことや、合意に基づくものは違法でないとの助言があり、司法省も同意したためだった(『矩を踰えて 明治法制史断章』(霞信彦、慶大出版会)「鶏姦罪―施行八年半の軌跡」より)。その他この期間も男色が盛んだった薩長など九州諸藩の政治的影響もあった可能性があるが未検証である[要出典]。
- ^ 女装しない男性的なゲイ(オネエではないゲイ)もいるが、その頃彼らは可視化されていなかったため、オカマ蔑称の対象とされる以前に社会に存在しないことになっていた。