朝鮮民主主義人民共和国におけるLGBTの権利
朝鮮民主主義人民共和国におけるLGBTの権利 | |
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同性間の 性交渉 | 特に違法とされない |
刑罰: | 不明 |
性自認/性表現 | 不明 |
同性間の 関係性の承認 | なし |
同性カップルによる 養子縁組の引受 | – |
同性愛者を 公表しての 軍隊勤務 | 10年間の兵役が義務化されている[1] |
差別保護 | なし |
朝鮮民主主義人民共和国においては可視化されたLGBTコミュニティやLGBTの社会運動は無く、刑法にて同性愛や異性装に関連した項目もない。結婚や性的指向、性自認について一般国民の感情は非常に保守的であり、政府はゲイ男性について、資本主義の外国人の退廃性の象徴だとする立場を取っている。
刑法
[編集]北朝鮮政府が後援する Korean Friendship Association は以下の立場を取っている。
朝鮮文化の伝統では、公共の場において個人の性的指向を表す慣習はない。政府は化学や合理主義を押し進めているので、遺伝的特性によって同性愛者として生まれる人々が存在することも認めており、彼らを尊重している。世界の資本主義国家と異なり、北朝鮮では同性愛が弾圧の対象となったことはない。しかしながら社会調和やモラルを重んじる国家である。西洋諸国のゲイ文化にみられる消費至上主義や階級差別、無秩序な性といった特質は受け入れられない。[2]
性的同意年齢について、刑法153条では15歳未満の少女と性行為を行なった男性は「重罪」と定めているが、同性間での適用については不明である。
憲法
[編集]北朝鮮の憲法では「国家のいかなる場所における公共活動についても市民は平等である」と定めている。しかしながら性的指向や性自認を理由とした差別防止については明記されていない。また婚姻や家族に関する保護は明記されているが、同性結婚やシビル・ユニオンについても明記されていない[3]。
家族形成
[編集]1950年代において、検閲を受けずに民衆の生活描写や性に関する表現はいかなるものにおいても極めて重大なタブーとされた。性については外国の資本主義における退廃の象徴として意図的な無視がされていた[4] 。
結婚は朝鮮人男性と朝鮮人女性の間で交わされる一生涯のパートナーシップであり、子供を育てるためのものであるとされていた。離婚は稀な選択肢であり、婚姻外の性行為は政府により認められていなかった[4]。
1980年代から90年代にかけて、非公式ながらも寛容な施策が取られたことで緩やかな変化が起こった。性教育や、公の場における婚姻関係や性自認および性の描写などは認められていないものの、デートや婚前交渉、成人間の同意に基づく私的な性交渉などについては非公式ながらも容認されつつある[5]。
しかしながら同性間カップルに対する政府やその関連組織やメディアによるの支援はほとんど行なわれていない。
検閲
[編集]政府による検閲は、出版をはじめとする全てのマスメディアに対して行なわれている。公の場において同性愛に触れることは認められず、同性愛の市民は異性との婚姻の圧力を受けているとされる[6]。ボイス・オブ・アメリカの韓国語サービスでは、同性愛は国家において忌諱される話題であると指摘している[7]。
軍務
[編集]朝鮮人民軍は、全ての志願兵に対して従軍期間中の最初の10年において禁欲を求めている[1]。男性兵士の間でこの規則を破り異性との密会やレイプ、軍務内での同性間行為などが定期的に発生しているとされる。この同性間の関係性は個人の性的指向よりも機会的同性愛の傾向が強いとされる[8]。
政治
[編集]政府公認の政党や政治団体以外の存在は認められていない。政府公認の3政党においてLGBTの権利に関する公約はない。性的指向や性自認を理由とした差別やハラスメント防止に関連する法律はない。
世界規模で同性愛の非犯罪化や性的指向に基づいた差別解消を求める「国連における性的指向や性自認に関する決議」について北朝鮮は反対の立場を取っている[9]。反対理由の詳細は不明とされる。
北朝鮮のプロパガンダは、同性愛を西洋社会(とりわけアメリカ人)のモラル失墜の証として描写することが度々ある。プエブロ号事件をモデルにした短編作品 "Snowstorm in Pyongyang" (ハングル:평양에서 눈보라、2000年)では、逮捕されたプエブロ号船員が北朝鮮の捕縛者に対して同性愛の許可を求めるシーンがある[10]。
アメリカ人船員「サー、私は同性愛者です。貴国や国民にも危害を加えませんので、ジョナサンと私のプライベートには干渉しないでください。」
北朝鮮兵士「ここは共和国の領土であり、人々が幸せに暮らす場所だ。この場所でそのようなことは認められない。」 — "Snowstorm in Pyongyang", 2000
AIDS/HIV
[編集]北朝鮮の公式見解ではAIDS患者は国内に存在しないとしている。政府は国連のNGOによるパンデミックに関するヘルスケア教育を制限しているが、パンデミックに関する討論会などを制限している徴候はみられない[11]。
脚注
[編集]- ^ a b Hassig and Oh (2009) The Hidden People of North Korea
- ^ [1] Archived 2008年3月8日, at the Wayback Machine.
- ^ “Socialist Constitution of the Democratic People's Republic of Korea (Full Text) 1998”. Novexcn.com (1998年9月5日). 2012年2月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年8月5日閲覧。
- ^ a b “アーカイブされたコピー”. 2011年11月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年2月6日閲覧。
- ^ United Nations High Commissioner for Refugees (2008年4月14日). “Refworld | Love and sex in North Korea”. UNHCR. 2012年8月5日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “アーカイブされたコピー”. 2011年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月24日閲覧。
- ^ “Dynamic-Korea”. Dynamic-Korea (2010年2月10日). 2012年8月5日閲覧。
- ^ Martin (2006) Under the Loving Care of the Fatherly Leader, p. 521
- ^ Tris Reid-Smith (2010年11月18日). “Countries vote to accept execution of gays”. News.pinkpaper.com. 2012年7月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年8月5日閲覧。
- ^ Meyers, Brian R. The Cleanest Race. Melville House Publishing, 2010, chapter 5
- ^ “Correspondents Report - North Korea fights AIDS”. Abc.net.au. 2012年8月5日閲覧。