コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

地方紙を買う女

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
地方紙を買う女
訳題 The woman who took the local paper
作者 松本清張
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 短編小説
発表形態 雑誌掲載
初出情報
初出小説新潮1957年4月
出版元 新潮社
刊本情報
収録 『白い闇』
出版元 角川書店
出版年月日 1957年8月30日
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
テンプレートを表示

地方紙を買う女』(ちほうしをかうおんな)は、松本清張短編小説。『小説新潮1957年4月号に掲載され、1957年8月に短編集『白い闇』収録の1編として、角川書店(角川小説新書)より刊行された。

危険な女』のタイトルで1959年日活で映画化、また9度テレビドラマ化されている。

あらすじ

[編集]

武蔵野に居を構える作家・杉本隆治は、小説「野盗伝奇」[注釈 1]を『甲信新聞』という山梨県地方紙に連載していた。ある時、東京の潮田芳子という女性から「野盗伝奇が面白そうだから貴紙を読んでみたい」旨の購読申し込みが甲信新聞に届く。杉本隆治は感謝の礼状を芳子に送った。ところが、申し込みから1か月も経たないうちに「小説がつまらなくなったのでもう購読しない」という葉書が届く。連載中の小説が面白くなるはずだが、購読を中止することに不審に思う杉本は同紙に載っている山梨県内で発生した2人の男女の服毒心中事件の記事に目を留め、芳子の新聞購読の目的は小説ではなくこの事件だと疑い始める。

エピソード

[編集]
  • 本作の英訳「The woman who took the local paper」がアメリカのミステリー小説誌『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン1979年6月号に掲載された。3か月後に光文社発行の雑誌『EQ』に再掲載されたが、清張は「こんどEQMM誌に出た英訳では、誌面の関係上原作が縮められている」「背景の描写は作品の雰囲気を出すのに重要な要素となっているので(著名な例としてE・A・ポウの『アッシャー家の没落』の冒頭部分、E・ブロンテの『嵐が丘』における英国ヨークシャの荒れ地の風景描写、S・モームの東南アジアものなど)、この部分を削られると小説から味も素っ気もなくなったようで、原作者としては不満である」とのコメントを付している[1]

映画

[編集]
危険な女
監督 若杉光夫
脚本 原源一
出演者 渡辺美佐子
芦田伸介
音楽 林光
撮影 井上莞
編集 青山一郎
配給 日活
公開 日本の旗 1959年12月16日
上映時間 55分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
テンプレートを表示

映画タイトル『危険な女』。1959年12月16日公開。製作・配給は日活

キャスト
スタッフ

テレビドラマ

[編集]

1957年版

[編集]

1957年12月27日NHKの「テレビ劇場」枠(20:45-21:00)にて放映。松本清張原作初のテレビドラマ化作品。

キャスト
スタッフ

1960年版

[編集]

1960年10月24日10月31日、KRテレビ(現・TBS)系列の「ナショナル ゴールデン・アワー」枠(20:30-21:00)、「松本清張シリーズ・黒い断層」の1作として2回にわたり放映。

キャスト
スタッフ

1962年版

[編集]

1962年5月31日6月1日(22:15-22:45)、NHKの「松本清張シリーズ・黒の組曲」の1作として2回にわたり放映。

キャスト
スタッフ

1966年版

[編集]

1966年1月11日関西テレビ制作・フジテレビ系列(FNS)の「松本清張シリーズ」枠(21:00-21:30)にて放映。

キャスト
スタッフ

1973年版

[編集]
恐怖劇場アンバランス
第6話「地方紙を買う女」
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『地方紙を買う女』
脚本 小山内美江子
監督 森川時久
出演者 夏圭子
井川比佐志
製作
プロデューサー 熊谷健(円谷プロダクション)
新藤善之(フジテレビ)
制作 フジテレビ
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1973年2月12日
放送時間23:15 - 24:10
テンプレートを表示

1973年2月12日(23:15-24:10)、フジテレビ系列の「恐怖劇場アンバランス」第6話として放映。制作は1969年 - 1970年になされている。DVD化されている。

キャスト
スタッフ

1981年版

[編集]
松本清張の地方紙を買う女
昇仙峡囮心中
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『地方紙を買う女』
脚本 猪又憲吾
監督 渡辺祐介
出演者 安奈淳
製作
プロデューサー 大久保忠幸(東映)
池ノ上雄一(東映)
宇都宮恭三(テレビ朝日)
制作 テレビ朝日
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1981年11月14日
放送時間21:02 - 22:51
放送枠土曜ワイド劇場
テンプレートを表示

松本清張の地方紙を買う女」。1981年11月14日テレビ朝日系列の「土曜ワイド劇場」枠(21:02-22:51)にて放映。サブタイトル「昇仙峡囮心中」。視聴率22.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)[2]

キャスト
スタッフ
  • 脚本:猪又憲吾
  • プロデューサー:大久保忠幸(東映)、池ノ上雄一(東映)、宇都宮恭三(テレビ朝日)
  • 監督:渡邊祐介
  • 撮影:坪井誠
  • 照明:吉岡伝吉
  • 録音:川田保
  • 美術:野本幸男
  • 編集:菅野順吉
  • 効果:原田千昭
  • 記録:吉沢幸子
  • 計測:小林啓二
  • 音楽制作:あんだんて
  • 助監督:杉村六郎
  • 進行:原田良彦
  • 製作担当:奈良場繁
  • 音楽:羽田健太郎
  • 制作:東映テレビ朝日

1987年版

[編集]
松本清張の地方紙を買う女
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『地方紙を買う女』
脚本 山田信夫
監督 出目昌伸
出演者 小柳ルミ子
製作
制作 フジテレビ
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1987年10月23日
放送時間21:03 - 23:22
放送枠金曜エンタテイメント

特記事項:
第27回日本テレビ技術賞(撮影部門)受賞作品
テンプレートを表示

松本清張の地方紙を買う女」。1987年10月23日フジテレビ系列の「ザ・ドラマチックナイト」枠(21:03-23:22)にて放映。視聴率20.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)[2]。第27回日本テレビ技術賞(撮影部門)受賞作品。

キャスト
スタッフ

2007年版

[編集]
松本清張スペシャル
地方紙を買う女
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『地方紙を買う女』
脚本 橋本綾
演出 雨宮望
出演者 内田有紀
高嶋政伸
エンディング 竹内まりや告白
製作
プロデューサー 小林紀子(日本テレビ)
森雅弘(The icon)
前田伸一郎(日本テレビ)
制作 日本テレビ
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間2007年1月30日
放送時間21:00 - 22:54
放送枠火曜ドラマゴールド
テンプレートを表示

松本清張スペシャル・地方紙を買う女」。2007年1月30日日本テレビ系列の「火曜ドラマゴールド」枠(21:00-22:54)にて放映。地方紙は仙台地区の設定となっている。

劇中、東日本大震災に被災する前のJR女川駅のホームや駅舎外観を見る事が出来る。

キャスト
スタッフ

2016年版

[編集]
松本清張二夜連続ドラマスペシャル
第一夜
地方紙を買う女〜作家・杉本隆治の推理
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『地方紙を買う女』
脚本 竹山洋
演出 藤田明二
出演者 田村正和
広末涼子
水川あさみ
製作
プロデューサー 中込卓也(テレビ朝日)
河添太(角川映画)
江平光男
制作 テレビ朝日
放送
音声形式ステレオ放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間2016年3月12日
放送時間土曜21:00 - 23:06[注釈 2]
放送分126分
回数1
公式サイト

特記事項:
20:58 - 21:00の『今夜のドラマスペシャル』を別途放送。
テンプレートを表示

松本清張ドラマスペシャル・地方紙を買う女〜作家・杉本隆治の推理」。2016年3月12日(21:00-23:06)、テレビ朝日系列にて、松本清張二夜連続ドラマスペシャルの第一夜として放送された。小説家を主人公とした視点で描かれる[3]

2012年以降、テレビドラマでの仕事を単発ドラマにほぼ絞り、その中でも松本清張作品への主演を中心としてきた田村(当時72歳)の、最後の清張作品主演作。田村の清張作品出演は、生涯で全9作となった(田村の信頼篤かった、彼のテレビ朝日系での清張作品全5作を演出した藤田明二と、同じく4作の脚本家・竹山洋の2人との最後の仕事ともなった)。田村最後の現代劇ドラマともなっている。

視聴率は11.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯)[4]石川県を舞台としており、輪島市琴ヶ浜海岸などで撮影された[5]

キャスト
スタッフ

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 清張は1956年に小説『野盗伝奇』を地方紙に連載している。
  2. ^ 1981年版以来のテレビ朝日・土曜21時での放送ではあるが、今回は『土曜ワイド劇場』扱いはされない。

出典

[編集]
  1. ^ 著者による「原作への感想」(『EQ』1979年9月号掲載)
  2. ^ a b 林悦子『松本清張映像の世界 霧にかけた夢』(2001年、ワイズ出版
  3. ^ a b 田村正和が“かつての娘”広末涼子、水川あさみと共演。「2人の成長と自分の後退を感じた」”. インターネットTVガイド (2015年11月30日). 2015年12月4日閲覧。
  4. ^ テレ朝松本清張SPドラマは二夜とも平均視聴率11%”. Smartザテレビジョン (2016年3月14日). 2016年3月15日閲覧。
  5. ^ ““小説家”田村正和「又吉さんに似てるでしょ?」 広末涼子、水川あさみ“娘”たちと十数年ぶりに共演”. 産経ニュース. (2015年11月30日). https://www.sankei.com/article/20151130-OVQGPQ5N4VNRRBVEMQ7WQBBXLQ/ 2016年3月10日閲覧。 
  6. ^ 広末涼子は「ハンパない」大胆肩出しホステスで色気放出”. モデルプレス (2016年3月10日). 2016年3月10日閲覧。
  7. ^ AKB48・渡辺麻友、松本清張作品初出演「すごく勉強になりました」”. ORICON STYLE (2016年2月22日). 2016年2月23日閲覧。
  8. ^ 内山聖子(インタビュー)「内山聖子GPが語る松本清張作品の魅力とは?」『Smartザテレビジョン』、2016年3月12日https://thetv.jp/news/detail/74122/2016年3月15日閲覧 

外部リンク

[編集]
KRテレビ系列 ナショナルゴールデンアワー
(松本清張シリーズ・黒い断層)
前番組 番組名 次番組
失敗
(1960.10.10 - 10.17)
地方紙を買う女
(1960.10.24 - 31)

(1960.11.7 - 14)
関西テレビ制作・フジテレビ系列 松本清張シリーズ
前番組 番組名 次番組
厭戦
(1966.1.4)
地方紙を買う女
(1966.1.11)
遠くからの声
(1966.1.18)
フジテレビ系列 恐怖劇場アンバランス
前番組 番組名 次番組
死骸しかばねを呼ぶ女
(1973.2.5)
地方紙を買う女
(1973.2.12)
夜が明けたら
(原作:山田風太郎『黒幕』)
(1973.2.19)
テレビ朝日系列 土曜ワイド劇場
前番組 番組名 次番組
幽霊温泉
(原作:赤川次郎
(1981.11.7)
松本清張の地方紙を買う女
昇仙峡囮心中
(1981.11.14)
目撃
(原作:夏樹静子
(1981.11.21)
フジテレビ系列 ザ・ドラマチックナイト
前番組 番組名 次番組
俺たちの探偵物語
(1987.10.16)
松本清張の地方紙を買う女
(1987.10.23)
瑠璃の爪
(1987.10.30)
日本テレビ系列 火曜ドラマゴールド
前番組 番組名 次番組
マイ☆スイートホーム
〜夢野大吉・夢を売ります〜
(2007.1.23)
松本清張スペシャル
地方紙を買う女
(2007.1.30)
潜入刑事らんぼう2
(原作:大沢在昌
(2007.2.6)