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クリプトプス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クリプトプス
生息年代: 前期白亜紀アプチアン、115–110 Ma
ホロタイプの上顎骨の位置を示すダイアグラム。体骨格は、確実には本属に分類できない標本に基づいている。
地質時代
前期白亜紀アプチアン
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 竜盤目 Saurischia
亜目 : 獣脚亜目 Theropoda
下目 : ケラトサウルス下目
Ceratosauria
: アベリサウルス科
Abelisauridae
亜科 : カルノタウルス亜科
Carnotaurinae
: クリプトプス属
Kryptops
学名
Kryptops Sereno & Brusatte, 2008
  • K. palaios Sereno & Brusatte, 2008

クリプトプス学名Kryptops、「覆われた顔」の意)は、ニジェール化石が発見された、アベリサウルス科に属する獣脚類恐竜前期白亜紀アプチアン期に生息した[1]。全長は6 - 7メートルと推定されている。2008年に記載・命名されており、属名は顔が角質のような外皮で覆われていたことにちなむ。タイプ種クリプトプス・パライオスKryptops palaios)の種小名は、アベリサウルス科の中でも古い属であることに由来する[2]。他の大型肉食恐竜の食べ残しを食ベていた[3]

タイプ標本はニジェールに分布するエルハ層から産出しているが、詳細な層準は不明である。生息環境は河川三角州などの広がる沿岸域であり、エオカルカリアと共存していた。タイプ標本は一部の頭蓋骨と体骨格からなり、解剖学的特徴には謎が多い[1]

発見

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ホロタイプ標本 MNN GAD1 は、上顎骨脊柱肋骨・関節した腰帯仙骨からなり、全長6 - 7メートルの個体のものである[4]。記載者らによると、本標本は既知のうち最初期のアベリサウルス科のものであり、上顎骨表面が非常に粗面である点に特筆性がある。血管の孔と印象の存在からは、顔面にはしっかりと固着した(おそらくはケラチン質の)覆いが存在したことが示唆されている。セレノとブルサッテは分岐解析を行い、クリプトプスが最も基盤的なアベリサウルス科に位置付けた。これは外側に血管溝の印象のある上顎骨や狭い上側頭窓を含む複数の特徴に基づいており、これらによりクリプトプスは既知の最古のメンバーとしてアベリサウルス科に置かれている[4]。その一方で、2012年にマシュー・カラノらはクリプトプスがキメラであると考え、クリプトプスの体骨格(特に骨盤と仙骨)はホロタイプの上顎骨から15メートル前後離れて発見されたことを指摘し、実際にはカルカロドントサウルス科エオカルカリアの可能性あり)のものであると主張した[5]

ギャラリー

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出典

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  1. ^ a b グレゴリー・ポール 著、東洋一、今井拓哉、河部壮一郎、柴田正輝、関谷透、服部創紀 訳『グレゴリー・ポール恐竜事典 原著第2版』共立出版、2020年8月30日、91頁。ISBN 978-4-320-04738-9 
  2. ^ 松田眞由美『語源が分かる 恐竜学名辞典』小林快次、藤原慎一(監修)、北隆館、2017年1月20日、327頁。ISBN 978-4-8326-0734-7 
  3. ^ 『「もしも?」の図鑑 恐竜の飼い方』実業之日本社、2018年9月27日、71頁。 
  4. ^ a b Sereno, Paul C.; Brusatte, Stephen L. (2008). “Basal abelisaurid and carcharodontosaurid theropods from the Lower Cretaceous Elrhaz Formation of Niger”. Acta Palaeontologica Polonica 53 (1): 15–46. doi:10.4202/app.2008.0102. http://www.app.pan.pl/archive/published/app53/app53-015.pdf. 
  5. ^ Carrano, Matthew T.; Roger B. J. Benson; Scott D. Sampson (2012). “The phylogeny of Tetanurae (Dinosauria: Theropoda)”. Journal of Systematic Palaeontology 10 (2): 211–300. doi:10.1080/14772019.2011.630927.