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ベイシャンロン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ベイシャンロン
シオングアンロン(手前)とベイシャンロン(奥)の復元骨格
地質時代
前期白亜紀
(約1億2000万年前)
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 竜盤目 Saurischia
亜目 : 獣脚亜目 Theropoda
階級なし : テタヌラ類 Tetanurae
階級なし : オルニトミモサウルス類 Ornithomimosauria
: デイノケイルス科 Deinocheiridae
Osmólska & Roniewics, 1970
: ベイシャンロン属 Beishanlong
学名
Beishanlong
Makovicky et al., 2010

ベイシャンロン学名Beishanlong)は、前期白亜紀に生息したオルニトミモサウルス類に属する獣脚類恐竜の属。化石は中華人民共和国から産出している。

発見と命名

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復元

ベイシャンロンの化石は21世紀初頭に中国北東部の甘粛省の白魔城サイトで発見された。タイプ種 B. grandis は2009年に中国とアメリカ合衆国の古生物学者の合同チームによりオンライン上で記載・命名され、2010年1月にグレゴリー・M・エリクソン英語版らにより公式に論文が発表された。属名は中国の地名である北山と、中国語で「竜」を意味するロンに由来する。種小名はラテン語で「大きい」ことを意味し、本種の体サイズを反映している[1]

ベイシャンロンは約1億2000万年前に相当するアプチアン期とアルビアン期の境界の時代に生息していた。頭骨を欠いたホロタイプ標本 FRDC-GS GJ (06) 01-18 は2006年に新民堡層群から産出した[1]。パラタイプ標本は2007年に発見された2つの標本からなり、1つは後肢、もう1つ(FRDC-GS JB(07)01-01)は恥骨からなる。1999年に発見された足の骨からなる4番目の標本 IVPP V12756 は、暫定的に本種に割り当てられた[1]

特徴

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大きさ比較

ベイシャンロンはオルニトミモサウルス類の中では大型であり、その推定全長はガリミムスの最大個体に近く、約8メートルに達する。論文の記載によると、ベイシャンロンはそれまでに記載された明らかにオルニトミモサウルス類とされる恐竜の中で最大で、かつホロタイプ標本は死亡時点で成長中の個体であった。66センチメートルの大腿骨から推定される体重は626キログラムである[1]。2010年には、グレゴリー・ポールが全長7メートル体重550キログラムという推定値を発表した[2]腓骨の構造の研究から13 - 14本の成長線が確認され、当該個体が成長速度の低下した亜成体であることが示唆されている[1]

ベイシャンロンの体型は頑強で、手・足・爪などが保存されていないものの四肢は長大であった[1]

分類

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ベイシャンロンは記載者らにより基盤的オルニトミモサウルス類に分類され、同じくオルニトミモサウルス類のハルピミムスと近縁であるとされた[1]。2014年の研究ではデイノケイルス科英語版の基盤的位置に位置付けられた。デイノケイルス科にはベイシャンロン以外にガルディミムスデイノケイルスが分類された[3]

以下のクラドグラムは、同じくオルニトミモサウルス類であるティラノミムスの記載論文のもの[4]

オルニトミモサウルス類

ンクウェバサウルス

ペレカニミムス

シェンゾウサウルス

ベイシャンロン

LH-02-01

デイノケイルス科英語版

ティラノミムス

ハルピミムス

ガルディミムス

デイノケイルス

パラゼニサウルス

オルニトミムス科

アーケオルニトミムス

Bissekty ornithomimid

シノルニトミムス

ラティヴァテス

ストルティオミムス

ガリミムス

アンセリミムス

オルニトミムス

キウパロン

出典

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  1. ^ a b c d e f g Makovicky, Peter J.; Li, Daqing; Gao, Ke-Qin; Lewin, Matthew; Erickson, Gregory M.; Norell, Mark A. (2010). “A giant ornithomimosaur from the Early Cretaceous of China”. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 277 (1679): 191–198. doi:10.1098/rspb.2009.0236. PMC 2842665. PMID 19386658. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2842665/. 
  2. ^ Paul, G.S., 2010, The Princeton Field Guide to Dinosaurs, Princeton University Press p. 112
  3. ^ Yuong-Nam Lee, Rinchen Barsbold, Philip J. Currie, Yoshitsugu Kobayashi, Hang-Jae Lee, Pascal Godefroit, François Escuillié & Tsogtbaatar Chinzorig (2014) "Resolving the long-standing enigmas of a giant ornithomimosaur Deinocheirus mirificus". Nature (advance online publication) doi:10.1038/nature13874.
  4. ^ Hattori, Soki; Shibata, Masateru; Kawabe, Soichiro; Imai, Takuya; Nishi, Hiroshi; Azuma, Yoichi (2023-09-07). “New theropod dinosaur from the Lower Cretaceous of Japan provides critical implications for the early evolution of ornithomimosaurs” (英語). Scientific Reports 13 (1): 13842. doi:10.1038/s41598-023-40804-3. ISSN 2045-2322. https://www.nature.com/articles/s41598-023-40804-3.