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ズケンティラヌス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ズケンティラヌス
生息年代: 白亜紀後期, 73.5 Ma
復元した骨格
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 竜盤目 Saurischia
亜目 : 獣脚亜目 Theropoda
階級なし : 鳥吻類 Averostra
下目 : テタヌラ下目 Tetanurae
階級なし : コエルロサウルス類 Coelurosauria
上科 : ティラノサウルス上科 Tyrannosauroidea
: ティラノサウルス科 Tyrannosauridae
亜科 : ティラノサウルス亜科 Tyrannosaurinae
: ティラノサウルス族 Tyrannosaurini
: ズケンティラヌス属 Zhuchengtyrannus
学名
Zhuchengtyrannus Hone et al., 2011
タイプ種
Zhuchengtyrannus magnus
Hone et al., 2011
シノニム

Tyrannosaurus zhuchengensis ?
Hu et al., 2001

ズケンティラヌス(学名 Zhuchengtyrannus)は中生代白亜紀後期の中国に生息したティラノサウルス科獣脚類であり、タルボサウルスよりも大柄である。2009年中国山東省諸城近くの辛格庄累層で発見された。ズケンティラヌス・マグヌスただ1種のみを含む。ズーチェングティラヌスと表されるこもある。

発見

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発見された部位

デイヴィッド・W・E・ホーン、コーウィン・スリヴァン、王克柏、趙喜進、徐星、季強、李敦景などの古生物学者により2011年に記載され、模式種はズケンティラヌス・マグヌスである。属名は発見された地域である諸城を示す「Zhucheng」とティラノサウルス科としての系統学的位置を示す「tyrant」から成る。種小名の「magnus」はラテン語で「巨大な」という意味であり、ズケンティラヌスの体格を示唆している。全体では「巨大な諸城の暴君」という意味になる[1]

ズケンティラヌスはタイプ標本 ZCDM V0031 のみが発見されており、これは上顎右方の一部と下顎左方の一部及びそれぞれの歯列である。この標本は諸城中国暴竜館に所蔵されており、レプリカ標本 IVPP FV 1794 は中国科学院古脊椎動物古人類学研究所に所蔵されている。ZCDM V0031 は少なくとも7350万年前の白亜紀後期カンパニアン期のものであり、諸城市の臧家荘採石場から収集された。臧家荘採石場からは他にもティラノサウルス科の歯列標本 ZCDM V0030 や上顎の標本 ZCDM V0030 が発見されている。これらの標本は互いに関係性を持たないが、後者2つの標本はズケンティラヌスも含めて他のティラノサウルス科と異なり、採石場から少なくとももう1つ別のティラノサウルス科が発見されたことを示唆している。ティラノサウルス科の断片化石以外では、シャントゥンゴサウルスと推定されているハドロサウルス科の恐竜やシノケラトプス及びアンキロサウルスの標本が収集されている[1]。ズケンティラヌスは白亜紀後期カンパニアン期において氾濫原であった地域で発見され、ここには世界で最も恐竜の骨が密集している地域の1つが含まれている[2]

形態

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ヒトとの大きさの比較

全長は10メートルから12メートル、体重は5.4トンと推定されている。大半のティラノサウルスの標本よりもわずかに小さく、大半のタルボサウルスの標本を微かに上回る大きさである[1]。最大級のティラノサウルスの標本であるスーの骨と対応して比較すると小柄である[3]

ズケンティラヌスの想像生態復元図

ズケンティラヌスの頭骨には独自の特徴が見られ、上顎の基部に水平な段差が存在することや、上顎の穴の前方に丸い窪みがあり前眼窩窩周辺以上の段差が前眼窩窓周辺に生じていることから他のティラノサウルス亜科と識別が可能である。また第二前眼窩窓の全長は前眼窩窩と前眼窩窓の前縁間の距離の半分以上となっている。同じ時代に生息していたタルボサウルスとは異なり、ズケンティラヌスには上顎の頬骨の下顎枝に皮下の突縁が存在せず、中央後部の歯の根元を覆う内側に凸状の構造物も欠いている[1]

分類

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ティラノサウルス・ズケンゲンシスと説明されている骨
ティラノサウルス・ズケンゲンシスと説明されている歯

これまでティラノサウルス・ズケンゲンシス(Tyrannosaurus zhuchengensis)として命名されていた諸城の恐竜発掘現場の恐竜の歯がズケンティラヌスのシノニムである可能性が浮上している。ティラノサウルス・ズケンゲンシスの歯は歯冠の底部まで鋸歯状の構造が続くという他のティラノサウルス科には見られない特徴があり、ズケンティラヌスの歯はそれと比較できるほどの数が揃っていないものの、今後の発見で両者の関係性が明らかになることが期待されている[1]

ティラノサウルス亜科に属するリトロナクスの記述とともに、科学雑誌 PLOS ONE において、タルボサウルスの姉妹群にズケンティラヌスを配置する系統発生解析が発表された。ズケンティラヌス及び他のアジアのティラノサウルス科の恐竜は、後にティラノサウルスが誕生することとなる同一の系統から分岐した、ティラノサウルスに最も近縁な位置にいるものと扱われている。以下は2013年の研究に基づく系統図である。

ティラノサウルス科

ゴルゴサウルス

アルバートサウルス

ティラノサウルス亜科

ダスプレトサウルス・トロスス

ダスプレトサウルス・ホーネリ

テラトフォネウス

ビスタヒエヴェルソル

リトロナクス

ティラノサウルス

タルボサウルス

ズケンティラヌス

出典

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  1. ^ a b c d e David W. E. Hone, Kebai Wang, Corwin Sullivan, Xijin Zhao, Shuqing Chen, Dunjin Li, Shuan Ji, Qiang Ji and Xing Xu (2011). “A new, large tyrannosaurine theropod from the Upper Cretaceous of China”. Cretaceous Research 32 (4): 495–503. doi:10.1016/j.cretres.2011.03.005. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0195667111000371. 
  2. ^ New dino in same league as T. rex”. Sydney Morning Herald (1 April 2011). 3 April 2011閲覧。
  3. ^ Hone D, "So just how big was Zhuchengtyrannus?", archosaurmusings.wordpress.com, 3-4-2011.