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臨時駅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
臨時乗降場から転送)
夏期のみ営業するラベンダー畑駅

臨時駅(りんじえき)とは、特定の期間のみ営業する鉄道駅

概要

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設置される理由としては、海水浴場スキー場、花の名所など季節限定の観光地を訪れるために設置されるものや、付近の催事場でのイベント開催時のみに営業されるものが多い。その他、積雪の多い地方では利用の少ない駅の除雪の手間を省くために冬季営業休止とする例もある。営業期間が限定されているという性質上、プラットホームだけで駅舎が無い駅も多い。

また、通年営業ではあるが、仮乗降場と同様に駅とするには利用が少なく、駅に比べて簡素な施設で設置された例がある。

臨時駅の中でも、年間を通して停車する列車が1本も無い駅は「通年休止駅」と呼ばれている。

また、臨時駅から常設駅に格上げされたり、逆に常設駅から臨時駅に格下げされる例も見られる。

臨時駅までの運賃や料金の計算に関しては、その駅までの営業キロが表記されている場合はそれが適用され、表記されていない場合は次の営業キロが表記されている駅までのものが適用される。一方、営業キロが表記されていない臨時駅からの運賃や料金は、実際の乗車方向と反対の方向にあり、その駅から最も近く、かつ営業キロが表示されている駅からのものが適用される(旅客営業規則第71条)。

日本国有鉄道(国鉄)の臨時駅のうち仮乗降場同様に通年営業する駅については仮乗降場と同じく1987年の国鉄分割民営化と同時に常設駅に昇格している。国鉄時代は、1969年10月1日に統一されるまで仮駅または仮乗降場と、統一以降は臨時乗降場と称されていた。

「仮駅」と「仮乗降場」の違いは以下の通り。

  • 「仮駅」:海水浴場・スキー場・観光地など、毎年一時的に人出がある所に1か月以上6か月未満に限り設置する駅。設置の際には官報及び鉄道公報に公示の上で隣接駅との間に営業キロ程を設定する。
  • 「仮乗降場」:観桜・祭礼など短期間(1か月程度以内)に人出が予想される所に設置する駅。若しくは災害・改築などで既設の駅が使用困難の際に別の場所に臨時に設置する駅。設置場所及び設置期間決定は鉄道管理局長の権限で、公示及び隣接駅間との営業キロ程の設定はない。

日本の臨時駅一覧

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2023年3月18日現在、現存する臨時駅は、次の通り。

類型は以下の通り。

  1. 春季のみ営業する駅
  2. 夏季のみ営業する駅(海水浴場の最寄り駅など)
  3. 春 - 秋にかけて営業する駅(俗に冬期休止)
  4. 夏 - 秋にかけて営業する駅
  5. 冬期のみ営業する駅(主にスキー場の最寄り駅)
  6. イベント開催時のみ営業する駅
  7. その他(通年営業する駅)

*は通年営業休止中の駅

JR北海道

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JR東日本

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  • 猪苗代湖畔駅磐越西線・類型2、かつては類型4*) - 2007年度以降停車する列車が設定されていないため、実質的には休止駅。
  • ガーラ湯沢駅上越線上越新幹線〕・類型5) - 『JR時刻表』及び『JTB時刻表』には開設時期にのみ掲載されるが、路線の終端駅であるため、時刻表には臨時駅の表記が無い。
  • 偕楽園駅常磐線・類型1・6) - 下り線(水戸方面行)にのみホームが設置されており、上り列車は当駅には停車しない。そのため、水戸方面からの上り列車で当駅を利用する場合は、一旦隣の赤塚駅まで乗車し、下り列車で折返すことになる。反対に当駅から友部方面への上り列車を利用する場合、一旦下り列車で隣の水戸駅まで乗車し、上り列車で折返す。この場合前者の場合は赤塚駅、後者の場合は水戸駅で改札を出ない場合に限り特例で折り返し乗車が認められている。
  • 秋田港駅奥羽本線・類型6) - 本来はJR貨物貨物駅であるが、秋田港に寄航するクルーズ客船の乗客やイベント開催時のツアー参加者に限定して旅客営業を実施している。運行期間に限定した第二種鉄道事業免許をその都度取得して営業するため、JR東日本の公称上の総駅数には含まれない。また発着列車は全て団体専用列車扱いで、一般旅客は原則利用出来ないため、時刻表路線図等にも表記されない。

この他、気仙沼線大船渡線において、東日本大震災による被災後、BRTで復旧した区間(気仙沼線・大船渡線BRT)における新設駅も、当初は『JR時刻表』・『JTB時刻表』の本文ページに臨時駅との記載があったが、「(臨)」の表記はなかった(2018年4月時点ではこの記述自体が無くなっている)。これらの駅(バス停留所)は鉄道路線上で営業されたことがなく、鉄道事業における駅に該当しないため、JR東日本の公称上の総駅数には含まれない。しかし、2020年4月の当該区間の鉄道事業廃止以降は、「BRT駅を含む」の但し書き付きで総駅数に含める表記も存在する。

JR東日本・鹿島臨海鉄道

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  • 鹿島サッカースタジアム駅鹿島線大洗鹿島線・類型6) - 元々貨物駅として開業した北鹿島駅に旅客施設を設置した上で改称し、サッカーの試合開催日に限り旅客扱いを行うようになった。旅客扱いのない日も運転扱い上の駅(信号場・貨物駅)として機能しており、路線・営業上も両線の境界駅であることから、時刻表には臨時駅の表記が無い。

JR四国

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  • 津島ノ宮駅予讃線・類型6) - 毎年8月4・5日の津嶋神社の祭礼日のみ開設[注 1]。時刻表には開設時期にしか掲載されないが、「臨時駅2駅含む」の但し書きつきでJR四国の公称上の総駅数に含まれている。
  • 田井ノ浜駅牟岐線・類型2) - 津島ノ宮駅同様時刻表には開設時期にしか掲載されないが、「臨時駅2駅含む」の但し書き付きでJR四国の公称上の総駅数に含まれている。

JR九州

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えちぜん鉄道

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岡山電気軌道

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広島電鉄

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錦川鉄道

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臨時駅では無いが近似する事例

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イベント開催中に旅客営業をする貨物駅

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冬期に営業を休止する駅

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かつて存在した日本の臨時駅

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類型は上節に準ずる。

常設駅に昇格

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JR

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私鉄

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廃止

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鉄道省・運輸省・日本国有鉄道

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万博中央駅
  • 名古屋博覧会前駅名古屋港線東海道本線貨物支線〕・類型6) - 1937年廃止。
  • 浜黒崎仮停車場北陸本線・類型2) - 1948年(昭和23年)8月30日運輸省告示第240号によって廃止[4]
  • 午起仮停車場(関西本線・類型2) - 1948年(昭和23年)8月30日運輸省告示第240号によって廃止[4]
  • 唐浜仮停車場鹿児島本線・類型2) - 1955年3月8日廃止。1951年7月23日の開設から4年間の間だけだった。
  • 袖師駅(東海道本線・類型2) - 1971年10月1日廃止。
  • 会場前駅(小樽博会場前駅、小樽博覧会会場前臨時乗降場)(函館本線・類型6) - 1984年6月10日から1984年8月24日まで快速スリッピ号運行時のみ営業。小樽築港駅から浜小樽駅の旧貨物支線を小樽築港駅の構内側線として扱い、小樽築港駅から支線途上の約1 km地点に設置。
  • 万博中央駅(常磐線・類型6) - 1985年3月14日 - 9月16日、つくば万博の期間のみ営業。現在は同位置にひたち野うしく駅がある。
  • 切浜海水浴場駅(山陰本線・類型2) - 1985年7月27日開業、1986年8月1日廃止。
  • フォトデッキ駅小海線・類型6) - 1986年7月16日 - 9月1日の間、小海線の国鉄最高標高地点にイベントで設置。

JR北海道

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  • 上音威子府駅天北線・類型3) - 1987年11月10日常設駅から格下げ(冬季休止)、1989年5月1日に天北線の廃線に合わせ廃止。
  • 四号線駅 (名寄本線・類型7) - 1987年4月1日仮乗降場から昇格、1989年5月1日廃止。
  • 東声問駅(天北線・類型6) - 1987年6月1日のみ営業。稚内空港新滑走路完成にあわせて設置。日本の鉄道駅における設置期間としては最短である。
  • 雨煙別駅深名線・類型3) - 1987年4月1日常設駅から格下げ(冬季休止)、深名線の廃線に先立つ1990年3月10日廃止。
  • 政和温泉駅(深名線・類型3) - 1987年4月1日仮乗降場から昇格(冬季休止)、1990年3月10日廃止。
  • 蕗ノ台駅(深名線・類型3) - 1987年4月1日常設駅から格下げ(それ以前に冬季休止となっていた)、1990年3月10日廃止。
  • 白樺駅(深名線・類型3) - 1987年4月1日常設駅から格下げ(それ以前に冬季休止となっていた)、1990年3月10日廃止。
  • 谷地坊主村駅(釧網本線・類型6) - 1987年8月8・9日の両日のみ営業。
  • 静内海水浴場駅日高本線・類型2) - 1992年廃止。
  • フイハップ浜駅(日高本線・類型2) - 1993年9月24日廃止。JR企画の団体旅客専用。
  • 浜中海水浴場駅(留萌本線・類型2) - 1995年8月8日廃止。
  • 智東駅宗谷本線・類型3) - 1987年4月1日常設駅から格下げ、2006年3月18日廃止(廃止時点で冬季休止中)。
  • 張碓駅(函館本線・類型2) - 1990年9月1日常設駅から格下げ、1998年7月1日通年休止、2006年3月18日廃止。
  • 吉岡海底駅海峡線・類型6) - 北海道新幹線に関するトンネル内の工事のため、2006年3月18日をもって定期列車の停車を取り止め、臨時列車のみ停車する「事実上の臨時駅」となっていた。その後、同駅に停車する「ドラえもん海底列車」が2006年8月27日で運行を終了したのと同時に、正式に臨時駅であることが時刻表に表記され、「通年休止駅」となっていた。ただし、2009年・2012年・2013年にJRが主催するツアー客用に臨時停車したことはある。2014年3月15日廃止。

JR東日本

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JR東海

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JR西日本

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JR九州

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秋田臨海鉄道

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  • 秋田博覧会前駅(秋田臨海鉄道南線・類型6) - 1986年7月18日 - 8月25日、秋田博覧会開催中のみ営業。秋田駅から旅客客車列車が運行された。

仙台臨海鉄道

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  • 東北博覧会前駅(仙台西港線・類型6) - 1987年7月18日 - 9月30日、'87未来の東北博覧会の開催中のみ営業。仙台駅から旅客列車が運行された。
  • ゆめ交流博前駅(仙台西港線・類型6) - 1997年7月19日 - 9月30日、国際ゆめ交流博覧会の開催中のみ営業。仙台駅から旅客列車が運行された。

会津鉄道

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  • 一ノ堰六地蔵尊駅会津線・類型6) - 一ノ堰盆踊りまつりの開催日に合わせ、2009年8月23日に「六地蔵尊駅」として設置された。まつり終了後の同年8月25日に廃止、2010年から2013年まで毎年「一ノ堰六地蔵尊駅」としてまつり期間中に営業を行っていたが2014年以降は設置されていない。

西武鉄道

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豊橋鉄道

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  • 鮎淵駅田口線・類型2) - 1965年9月17日水害により休止、1968年9月1日廃止。夏期の鮎釣り解禁シーズンのみ営業。

西尾鉄道

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  • 占部駅(類型不明) - 1915年8月10日常設駅から格下げ。1917年9月10日廃止。
  • 三和川駅(類型不明) - 1915年8月10日常設駅から格下げ。1917年9月10日廃止。
  • 花火駅(類型6) - 1915年10月14日 - 10月17日、笹曽根村社祭典期間中のみ営業。
  • 八ツ面駅(類型不明) - 1918年12月1日常設駅から格下げ。1929年4月1日廃止[注 2]

愛知電気鉄道

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  • 牡丹園駅(常滑線・類型不明) - 1922年8月12日廃止。

名古屋鉄道

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江若鉄道

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京阪電気鉄道

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  • 大宮駅(京阪本線・類型不明) - 1920年6月15日廃止。

近畿日本鉄道

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南海電気鉄道

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  • 中百舌鳥運動場前駅(高野線・類型6) - 1958年5月10日廃止。その後、ほぼ同位置に常設駅の白鷺駅が1964年に開業。

阪急電鉄

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北大阪急行電鉄

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広島電鉄

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松浦鉄道

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脚注

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注釈

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  1. ^ 但し、2013年は予讃線開通100周年記念イベント開催のため、12月にも開設。2015年は津島ノ宮駅開業100周年記念イベントのため、5月にも開設。一方、2020・2021年度は祭礼中止のため通年で開設が見送られた。
  2. ^ 1930年4月3日に常設駅として再開業するが後に廃止(廃止時期不明。路線自体は1943年12月16日休止、1959年11月25日廃止)

出典

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  1. ^ 奥羽本線「津軽湯の沢駅」冬期期間の列車通過について』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道秋田支社、2018年11月22日http://www.jreast.co.jp/akita/press/pdf/20181119.pdf2018年11月22日閲覧 
  2. ^ 「来年度も朝夕は増便 富山市の高山線活性化策、婦中鵜坂駅を存続」 北日本新聞 2010年12月2日朝刊
  3. ^ JTBパブリッシング『JTB時刻表』2014年3月号
  4. ^ a b 『官報』第6488号、昭和23年8月30日、大蔵省印刷局
  5. ^ a b 仙山線 西仙台ハイランド駅及び八ツ森駅廃止について (PDF) - 東日本旅客鉄道仙台支社、2014年2月14日、同日閲覧。
  6. ^ 2019年3月ダイヤ改正について” (PDF). 東日本旅客鉄道 長野支社 (2018年12月14日). 2018年12月15日閲覧。

関連項目

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