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福徳岡ノ場

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
福徳岡ノ場海域から転送)
福徳岡ノ場
福徳岡ノ場の位置(日本内)
福徳岡ノ場
福徳岡ノ場 (日本)
頂上深度 -25 m
所在地
所在地 南硫黄島の北北東約5 km
座標 北緯24度17分16秒 東経141度28分55秒 / 北緯24.28778度 東経141.48194度 / 24.28778; 141.48194
地質
種別 海底火山
火山/ 伊豆・小笠原・マリアナ島弧
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NASA人工衛星から観測された福徳岡ノ場の変色水(2010年2月)

福徳岡ノ場(ふくとくおかのば)は、北緯24度17分6.0秒 東経141度28分54.0秒 / 北緯24.285000度 東経141.481667度 / 24.285000; 141.481667 (福徳岡ノ場)座標: 北緯24度17分6.0秒 東経141度28分54.0秒 / 北緯24.285000度 東経141.481667度 / 24.285000; 141.481667 (福徳岡ノ場)南硫黄島の北約5km[注 1])に位置する粗面安山岩質の海底火山であり、北福徳カルデラ内の中央火口丘である。2024年1月時点では周辺海域警戒が発表されている。

名称

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福徳岡ノ場という名称の正確な由来は不明であるが、福徳丸という漁船が発見したことに由来するとの説が有力である[1]。海底火山は天然の魚礁としての役割を持ち、漁船にとっては漁場としての価値を持つ。明治以降、南方での漁場開拓が進められ、発見された海底地形には漁場としての観点から、発見した船の名をとって「(船名)ノ場」という名称が付けられることが多かった。福徳岡ノ場は比較的水深の浅い場所であることから「岡ノ場」と名づけられたと考えられている[2][3]

歴史

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有史以来たびたび噴火し、時には海面上に新しい島を形成するまでに成長する。気象庁によると、明治以降1986年までに、噴火が少なくとも7回確認され、島が3回生まれたが、いずれも波浪浸食により海没している[4]1904年及び1914年に出現した新島は「新硫黄島」と呼ばれた[5]産業技術総合研究所は、福徳岡ノ場の新島が消滅しやすいのは、溶岩でなく軽石が積もってできているためであるとの見解を示している[4]

2010年の時点では島はなく最浅水深25mほどのギヨーとなっていた[6]海上保安庁海上自衛隊による調査で、2007年2008年[7]、2010年[8]2013年[9]にも変色水が観測されている。

2021年8月13日には海底噴火(プリニー式噴火)が発生し[10]、新島が形成された[11]。この噴火は、日本国内では戦後最大級の規模(桜島の大正大噴火に次ぐ規模)とされる[12]。また、このとき放出された軽石や火山灰の量は1億~5億立方メートル(東京ドームの80~400個分)と推定されており[13]火山爆発指数はVEI=4、噴火マグニチュードは4.5~5.1であった[14]

年表

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噴煙が上昇、内部から噴石が放出され、コックステール形状を呈している(1986年1月21日、海上保安庁による撮影[6])。
  • 1904年 - 1905年:海底噴火により高さ145 m、周囲約4.5 kmのほぼ円形の島が形成される[5]。1905年6月には高さ3 m弱まで小さくなり、やがて暗礁になる。
  • 1914年:1月に海底噴火により高さ300 m、周囲11.8 kmの島が形成される[5]。年末には各所で崩壊が始まる。
  • 1916年:島が海没する。
  • 1986年:1月に海底噴火によって三日月型の島が形成されたが、3月末までの短期間で島は海没する[5]
  • 2005年:7月2日の海底噴火により、高さ1,000 m、直径50 - 100 mの巨大な水蒸気柱ができる。
  • 2007年:12月1日、気象庁が噴火警報の発表を開始。以後「周辺海域警戒」を継続。
  • 2008年:2月頃より数ヶ月にわたり変色水を確認[7]
  • 2010年:2月3日の海底噴火により、周囲で噴煙や変色水等が観測される[8][15]
  • 2013年:9月27日、海上自衛隊の観測で、半径450 mの範囲に海水面の緑色の変色と海面への白い泡の噴出を確認[9]
  • 2020年:2月4日、海上保安庁の観測で、黄緑色の変色水を確認。
  • 2021年:8月13日、プリニー式の海底噴火による噴煙を観測[10][16]。高さは約17,000 m。火山雷も観測された。火山灰バシー海峡を越えて南シナ海東北部に到達した[17]。8月15日に海上保安庁の観測で、直径1 km程の新島が確認された[11]。当初は馬蹄型であったが、8月17日には新島は東西2つに分かれた状態となり、10月20日には東側の新島の消滅したことが確認された[12]。10月以降、この噴火で噴出したと見られる大量の軽石が、1000km以上離れた大東諸島沖縄諸島奄美諸島をはじめ各地の海岸に漂着した[12][18][19]。沖縄への大量の軽石の漂着は、1924年10月31日に起きた西表島付近の海底火山の噴火によるもの以来、100年ぶりとされる[20][21]
  • 2022年:1月6日、朝日新聞社機が上空を飛行し、前年にできた新島が海没していることを確認[22]火山爆発指数:VEI4。

ギャラリー

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脚注

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注釈

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  1. ^ 日本の領海内にあるため、新島が再出現した場合には添付にあたり、日本が領域権原原始取得することになる。

出典

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  1. ^ volcano”. gbank.gsj.jp. 地質調査総合センター. 2024年10月31日閲覧。 “「福徳」の名称は漁場を発見した静岡県の漁船名「福徳丸」に由来する(海上保安庁資料)。「岡ノ場」とは水深の浅い地形を特徴とする漁場のこと。”
  2. ^ “【解説】日本に新しい島が誕生!?島の名前は?住める?生き物の楽園に?”. TBS NEWS (TBSテレビ). (2021年8月23日). オリジナルの2021年8月24日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210824121723/https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4342786.htm 
  3. ^ “都心から約1300km! 海底火山「福徳岡ノ場」の噴火に熱視線が送られる理由”. アーバン ライフ メトロ (メトロアドエージェンシー). (2021年8月22日). オリジナルの2021年8月21日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210821232558/https://urbanlife.tokyo/post/64874/ 
  4. ^ a b “小笠原諸島付近で新島を確認…11年ぶり噴火の海底火山、過去3回は「島」消滅”. 読売新聞. (2021年8月16日). オリジナルの2021年8月18日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210818094144/https://www.yomiuri.co.jp/science/20210816-OYT1T50202/ 2021年8月18日閲覧。 
  5. ^ a b c d 福徳岡ノ場 有史以降の火山活動”. 気象庁. 2021年8月16日閲覧。
  6. ^ a b c d e 福徳岡ノ場”. 海域火山データベース. 海上保安庁海洋情報部. 2017年8月28日閲覧。
  7. ^ a b 平成20年(2008年)の福徳岡ノ場の火山活動”. 気象庁地震火山部 火山監視情報センター. 2021年8月16日閲覧。
  8. ^ a b 南硫黄島近海で白煙、新島出現の可能性も”. 読売新聞 (2010年2月4日). 2010年2月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年12月25日閲覧。
  9. ^ a b 阿蘇山噴火の可能性 9月の火山活動 気象庁”. ハザードラボ. 2014年3月11日閲覧。
  10. ^ a b “海底火山「福徳岡ノ場」が噴火 硫黄島の南約50キロ”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2021年8月13日). https://www.asahi.com/articles/ASP8F76MCP8FUTIL04L.html 2021年11月12日閲覧。 
  11. ^ a b “海底火山の福徳岡ノ場で新島確認 過去は海没、噴石に警戒”. 共同通信. (2021年8月16日). オリジナルの2021年8月16日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210816121518/https://nordot.app/799915617692450816 2021年8月16日閲覧。 
  12. ^ a b c “「福徳岡ノ場」噴火、戦後最大級と判明 桜島「大正噴火」に次ぐ規模”. 毎日新聞. (2021年10月23日). オリジナルの2021年10月23日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211023063546/https://mainichi.jp/articles/20211023/k00/00m/040/003000c 
  13. ^ 長周新聞 (2022年1月4日). “地震と噴火で騒がしい日本列島”. 島村英紀. 2024年8月25日閲覧。
  14. ^ 福徳岡ノ場火山2021年 災害と緊急調査”. www.gsj.jp. 産総研 地質調査総合センター. 2024年8月25日閲覧。
  15. ^ “福徳岡ノ場の海底噴火”. かいほジャーナル (海上保安庁) 42 (2010年春号): 1. (2010-03-26). https://web.archive.org/web/20130824231042/http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/kaiho-journal/kaiho-journal42.pdf 2013年12月25日閲覧。. 
  16. ^ 軽石漂流パターン解明へ 堀場製作所と地球研 リュウグウ分析技術活用”. 産経ニュース (2022年2月7日). 2022年2月7日閲覧。
  17. ^ Volcanic Ash Graphic Initial 142100UTC August 2021”. VAAC Tokyo. 2021年8月14日閲覧。
  18. ^ “沖縄・北大東島を取り巻く灰色ライン 謎の漂着物の正体は?”. 琉球新報. (2021年10月8日). オリジナルの2021年10月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211008094634/https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1404891.html 
  19. ^ “1450キロ離れた沖縄本島にも「軽石」漂着 小笠原の海底火山噴火の影響か”. 琉球新報. (2021年10月14日). オリジナルの2021年10月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211014021632/https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1407506.html 
  20. ^ “科学の森:100年前の軽石、海流調査の基礎に 海底火山噴火で10倍噴出、漂流図に”. 毎日新聞. (2022年1月13日). オリジナルの2022年1月13日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220113134137/https://mainichi.jp/articles/20220113/ddm/016/040/013000c 
  21. ^ 『軽石のふしぎ』ネコのわくわく自然教室、2021年11月17日、7頁。 
  22. ^ “福徳岡ノ場の新島が海没 朝日新聞社機が確認 「軽石の流出は収束」”. 朝日新聞. (2022年1月7日). オリジナルの2022年1月7日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220107071303/https://www.asahi.com/articles/ASQ17536LQ16USPT00H.html 

参考文献

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  • 加藤祐三『軽石 : 海底火山からのメッセージ』八坂書房、2009年。ISBN 978-4-89694-930-8 

関連項目

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外部リンク

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