「唐松岳」の版間の差分
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{{Infobox 山 |
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|名称 = 唐松岳 |
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|標高 = 2,695.9<ref name="chizu">{{Cite web |url=https://maps.gsi.go.jp/#15/36.687173/137.754642/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0f1 |title=地図閲覧サービス・唐松岳(富山県黒部市) |publisher=[[国土地理院]] |accessdate=2019-01-09}}</ref> |
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|座標 = {{ウィキ座標2段度分秒|36|41|14|N|137|45|17|E|type:mountain_region:JP|display=inline,title}}<ref name="kokudo">{{Cite web |url=http://www.gsi.go.jp/KOKUJYOHO/MOUNTAIN/mountain.html |title=日本の主な山岳標高(富山県の山) |publisher=国土地理院 |accessdate=2019-01-09}}</ref> |
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|山系 = [[後立山連峰]]([[飛騨山脈]]北部)<ref name="山と溪谷社 (1992)、382頁">[[#日本の山1000|山と溪谷社 (1992)、382頁]]</ref> |
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|地図 = {{Embedmap|137.7547|36.6872|300}}唐松岳の位置{{日本の位置情報|36|41|14|137|45|17|唐松岳|36.6872,137.7547|唐松岳|nocoord=Yes}} |
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'''唐松岳'''(からまつだけ)は |
'''唐松岳'''(からまつだけ)は[[飛騨山脈]](北アルプス)の[[後立山連峰]]にある[[長野県]][[北安曇郡]][[白馬村]]と[[富山県]][[黒部市]]<ref group="注釈">2006年3月31日に黒部市に合併される前の[[下新川郡]][[宇奈月町]]にまたがっていた山。</ref>にまたがる[[標高]]2,695.9 [[メートル|m]]の[[山]]<ref name="chizu" /><ref name="日本山岳会 (2005)、881-882頁">[[#新日本山岳誌|日本山岳会 (2005)、881-882頁]]</ref><ref name="徳久 (1992)、144頁">[[#コンサイス日本山名辞典|徳久 (1992)、144頁]]</ref>。別名が上犬ヶ嶽<ref name="日本山岳会 (2005)、881-882頁" />。 |
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== 概要 == |
== 概要 == |
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[[日本]]で[[日本の山一覧 (高さ順)|93番目に高い山]]で<ref>[[#山の便利手帳|山と溪谷社 (2010)、330頁]]</ref>、山域の大部分は[[中部山岳国立公園]]内にある<ref group="注釈">山域の上部から中腹はその特別保護地区、富山県側の下部と長野県側の中腹の区域はその特別地域の指定を受けている</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.env.go.jp/park/chubu/intro/files/area.pdf |title=中部山岳国立公園の区域図 |publisher=[[環境省]] |format=PDF |accessdate=2019-01-10}}</ref>。[[日本山岳会]]による[[日本三百名山]]<ref name="荒井 (1997)、206頁">[[#日本三百名山|荒井 (1997)、206頁]]</ref>の一つ、[[岩崎元郎]]による[[新日本百名山]]<ref>[[#新日本百名山|岩崎 (2006)、22頁]]</ref>の一つと清水栄一による[[信州百名山]]の一つに選定されている<ref>[[#信州百名山|清水 (1999)]]</ref>。[[1964年]](昭和39年)8月20日に「'''八方尾根[[高山植物]]帯'''」が、長野県による[[天然記念物]]の指定を受けている<ref>{{Cite web |url=https://www.pref.nagano.lg.jp/shinrin/sangyo/ringyo/shisaku/documents/6tennen.pdf |title=6 長野県の天然記念物一覧(植生) |publisher=長野県 |format=PDF |pages=14 |accessdate=2019-01-11}}</ref>。[[1999年]]([[平成]]11年)12月24日に八方尾根にある「鎌池[[湿原]]」が、白馬村による天然記念物の指定を受けている<ref>{{Cite web |url=http://www.vill.hakuba.lg.jp/somu/introduction/cultural_assets/specified_cultural_assets.html |title=白馬村指定文化財 |publisher=白馬村 |accessdate=2019-01-11}}</ref>。 |
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山頂から東に[[八方尾根]]が延びており、これがもっとも容易な登山コースである。また八方尾根の麓には国内でも最大規模を誇る[[八方尾根スキー場]]がある。ほかに、山頂を経由して南の[[五竜岳]]方面、[[鑓ヶ岳|白馬鑓ヶ岳]]方面の縦走路もあるが、いずれも岩場や鎖場が多く八方尾根よりは難易度が高い。特に[[鑓ヶ岳|白馬鑓ヶ岳]]に至る縦走路は不帰嶮と呼ばれるキレットを通過する難コースである。他に、唐松岳頂上山荘より西に向かって、[[祖母谷温泉]]を経て黒部峡谷鉄道の欅平駅まで標高差2000m以上の長大な登山道がある。 |
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== 山名の由来 == |
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登頂にあたっては八方アルペンライン([[索道|リフト]])利用により標高1800m付近区まで上がることができ、山頂まで標高差800mの楽なアプローチで登山時間も短く、途中に難所もないため初級者に人気がある。八方アルペンラインは朝は8時からだが夏の最盛期には早朝5時半(2012現在)から営業する。もっとも楽なアプローチといえど高山であるので十分な装備のないまま安易に登ると事故の可能性はある。 |
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山名の由来は定かではなく、[[信州]]の絵図や[[文献]]では、この山名は確認されていない<ref name="日本山岳会 (2005)、881-882頁" />。巨人の[[ダイダラボッチ]]が夜歩き回って仕事をしていたが、仕事半ばで夜が明け、朝日が差してきたので、[[カラマツ|唐松]]の[[木]]を引き抜いて空高く投げたらこの山になってこの名が付いたとする[[昔話]]がある<ref name="日本山岳会 (2005)、881-882頁" />。八方尾根の「八方」は、見晴らしが良いこと<ref name="金子 (1987)、31頁">[[#北アルプス山小屋案内|金子 (1987)、31頁]]</ref>や唐松岳から四方八方に尾根が延びていることに由来する説がある<ref name="trekking">{{Cite web |url=http://www.happo-one.jp/trekking |title=トレッキングガイド |publisher=白馬八方尾根スキー場 |accessdate=2019-01-13}}</ref>。 |
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== 人間とのかかわり == |
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なお、7月中旬から8月上旬までは長野県内の中学生が授業の一環として行う「集団登山」で利用され、大変な賑わいを見せる。 |
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[[ファイル:Hakuba Jumping Stadium1.jpg|150px|サムネイル|[[1998年]]に開催された[[1998年長野オリンピック|長野オリンピック]]で会場となった八方尾根下部にある[[白馬ジャンプ競技場]]]] |
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また、途中の八方池付近などからは[[白馬岳]]、[[杓子岳]]、[[鑓ヶ岳]]の白馬三山が望めるなど眺めも良い。 |
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[[江戸時代]]に周辺の餓鬼山や[[五竜岳]]の東谷山に、[[猟師]]が[[ニホンカモシカ|カモシカ]]狩りに足を踏み入れた話が残されている<ref name="日本山岳会 (2005)、881-882頁" />。[[1904年]]([[明治]]37年)に唐松岳山頂に二等[[三角点]]が選定された<ref name="柳原 (1990)、119頁">[[#北アルプス山小屋物語|柳原 (1990)、119頁]]</ref>。[[1906年]](明治39年)南側に隣接する大黒岳の西面の富山県側で良質な[[銅]]鉱脈が白馬山麓の探鉱師である中村兼松により発見され、[[1907年]](明治40年)に大黒[[鉱山]]が操業した<ref>[[#北アルプス山小屋物語|柳原 (1990)、116頁]]</ref>。鉱山の最盛期には、八方尾根に[[ウシ|牛]]が通れるほどの道が造られて、下ノ樺にはその時に中継地として使用された[[石室]]跡がある<ref name="日本山岳会 (2005)、881-882頁" />。[[1918年]]([[大正]]7年)に鉱脈が切れて、この年に[[溶鉱炉]]の火が消えた<ref>[[#北アルプス山小屋物語|柳原 (1990)、118頁]]</ref>。大正時代に[[スキー]]が普及するにつれて、入山者が増えた。[[1958年]](昭和33年)に八方尾根に空中ケーブルが架けられてからは、[[山スキー]]でも賑わうようになった<ref name="日本山岳会 (2005)、881-882頁" />。[[1989年]]([[平成]]元年)度には、八方尾根スキー場は約130万人の[[スキーヤー]]で賑わっていた<ref name="信濃毎日新聞社 (1992)、57頁" />。[[1998年]](平成10年)に開催された[[1998年長野オリンピック|長野オリンピック]]で、[[アルペンスキー]]([[滑降]])、アルペンスキー([[スーパー大回転]])と[[アルペンスキー複合]]の競技が[[白馬八方尾根スキー場]]で、[[ノルディックスキー]]([[スキージャンプ|ジャンプ]])と[[ノルディック複合]](ジャンプ)の競技が[[白馬ジャンプ競技場]]で開催された<ref name="日本山岳会 (2005)、881-882頁" />。[[ふるさと納税]](ふるさと白馬村を応援する[[寄付]])の返礼品の一つに、八方アルペンラインのグリーンシーズン券(白馬観光開発株式会社が提供)が選定された<ref>{{Cite web |url=http://www.vill.hakuba.lg.jp/somu/contribution/gratuity/f050-04_alpen-line_season.html |title=寄附に対するお礼・F050-04 八方アルペンライン グリーンシーズン券 |publisher=白馬村 |accessdate=2019-01-11}}</ref>。 |
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== 環境 == |
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[[ファイル:Swertia tetrapetala subsp. micrantha var. happoensis s2.jpg|サムネイル|150px|八方尾根の固有種のハッポウタカネセンブリ、高山帯の蛇紋岩地に生育する。]] |
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* [http://www.karamatsu.jp/ 唐松頂上山荘] |
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[[日本海側]]にあり、山域は[[特別豪雪地帯]]の指定区域にある。八方尾根は山岳[[スキー場]]として知られていて<ref name="徳久 (1992)、144頁" />、日本でも屈指の白馬八方尾根スキー場があり、高山植物の宝庫として知られていて<ref name="日本山岳会 (2014)、121頁">[[#新版 日本三百名山登山ガイド 中|日本山岳会 (2014)、121頁]]</ref>、[[1964年]]([[昭和]]39年)8月20日に「八方尾根高山植物帯」(所在地:北安曇郡白馬村北城西山4487-1)が長野県により天然記念物の指定を受けた<ref name="82bunka">{{Cite web |url=https://www.82bunka.or.jp/bunkazai/detail.php?no=1889&seq=0 |title=6 八方尾根高山植物帯 |publisher=八十二文化財団 |format=PDF |accessdate=2019-01-11}}</ref>。八方尾根にケーブルが架設されてから様相が一変し荒廃が進んでいる<ref name="82bunka" />。登山道沿いでは訪問者による土地の荒廃が見られ<ref name="信濃毎日新聞社 (1992)、57頁">[[#北アルプス 下|信濃毎日新聞社 (1992)、57頁]]</ref>、八方尾根自然環境保全協議会などにより、植生が踏み荒らされないにするためのパトロール活動やマットを敷いて裸地化した場所の植生回復の作業が行われている<ref name="takarashuzo">{{Cite web |url=https://www.takarashuzo.co.jp/environment/fund/pdfs/h19report_05.pdf |title=八方尾根の自然保護活動 |publisher=八方尾根自然環境保全協議会 |author=倉品光之 |format=PDF |pages=82-95 |accessdate=2019-01-11}}</ref>。植物観察のための自然研究路が開設されている<ref name="82bunka" />。山頂部の[[高山帯]]では、[[ハイマツ]]や[[コマクサ]]などの高山植物が見られる<ref name="日本山岳会 (2005)、881-882頁" />。八方尾根の標高1,600 m付近の比較的平坦地では[[ミズバショウ]]などの湿性植物が見られ、その上部の稜線部では[[ダケカンバ]]が見られ、斜面には低木や草木が覆っている<ref name="日本山岳会 (2005)、881-882頁" />。八方尾根の[[固有種]]として[[ハッポウアザミ]](八方薊、[[学名]]:''Cirsium happoense'' {{AU|Kadota}}<ref>{{Cite web |author=米倉浩司・梶田忠 |year=2003- |work=BG Plants 和名−学名インデックス(YList) |url=http://ylist.info/ylist_detail_display.php?pass=16564 |title=ハッポウアザミ |accessdate=2019-01-10}}</ref>)<ref name="清水 (2014)、398-399頁">[[#高山に咲く花|清水 (2014)、398-399頁]]</ref>、[[ウスユキソウ|ハッポウウスユキソウ]](八方薄雪草、学名:''Leontopodium japonicum'' {{AU|Miq.}} f. ''happoense'' {{AU|Hid.Takah.}} ex {{AU|T.Shimizu}}<ref>{{Cite web |author=米倉浩司・梶田忠 |year=2003- |work=BG Plants 和名−学名インデックス(YList) |url=http://ylist.info/ylist_detail_display.php?pass=15924 |title=ハッポウウスユキソウ |accessdate=2019-01-10}}</ref>)<ref name="清水 (2014)、380-381頁">[[#高山に咲く花|清水 (2014)、380-381頁]]</ref>、[[ハッポウタカネセンブリ]](八方高嶺千振、学名:''Swertia tetrapetala'' {{AU|Pall.}} subsp. ''micrantha'' ({{AU|Takeda}}) {{AU|Kitam.}} var. ''happoensis'' Hid.Takah. ex T.Shimizu<ref>{{Cite web |author=米倉浩司・梶田忠 |year=2003- |work=BG Plants 和名−学名インデックス(YList) |url=http://ylist.info/ylist_detail_display.php?pass=15920 |title=ハッポウタカネセンブリ |accessdate=2019-01-10}}</ref>)<ref name="清水 (2014)、298-299頁">[[#高山に咲く花|清水 (2014)、298-299頁]]</ref>、[[カライトソウ]]と[[ワレモコウ]]との[[雑種]]と考えられている[[ハッポウワレモコウ]](八方吾木香、[[学名]]:''Sanguisorba'' x ''takahashihideoi'' {{AU|Naruh.}}<ref>{{Cite web |author=米倉浩司・梶田忠 |year=2003- |work=BG Plants 和名−学名インデックス(YList) |url=http://ylist.info/ylist_detail_display.php?pass=17266 |title=ハッポウワレモコウ |accessdate=2019-01-10}}</ref>)<ref>[[#日本の高山植物|豊国 (1988)、379頁]]</ref>が分布している。ハッポウアザミは八方尾根の[[山地]]帯から[[亜高山帯]]にかけての[[蛇紋岩]]の礫まじりの[[草地]]に生育し、八方尾根の上部の非蛇紋岩地域には飛騨山脈をする代表する高山性[[アザミ属|アザミ]]である[[タテヤマアザミ]](立山薊、[[学名]]:''Cirsium otayae'' Kitam.<ref>{{Cite web |author=米倉浩司・梶田忠 |year=2003- |work=BG Plants 和名−学名インデックス(YList) |url=http://ylist.info/ylist_detail_display.php?pass=16553 |title=タテヤマアザミ |accessdate=2019-01-10}}</ref>)<ref>[[#高山に咲く花|清水 (2014)、410頁]]</ref>が分布していて、明瞭な棲み分けが見られる<ref name="清水 (2014)、398-399頁" />。ハッポウウスユキソウは八方尾根の高山帯の蛇紋岩崩落地の草地に生育する<ref name="清水 (2014)、380-381頁" />。ハッポウタカネセンブリは、八方尾根の高山帯の蛇紋岩地に生育する<ref name="清水 (2014)、298-299頁" />。八方池山荘付近の研究路(標高1,850 m)や兎平より下部の(標高1,400 m付近)でも高山帯に生育するハイマツが生育していて、植生の垂直逆分布といわれている<ref name="日本山岳会 (2014)、121頁" /><ref name="takarashuzo" />。自然研究路沿いでは、[[シモツケソウ]]、[[ミヤマダイコンソウ]]、[[タカネマツムシソウ]]、[[ミヤマムラサキ]]などが見られる<ref name="信濃毎日新聞社 (1992)、57頁" />。八方アルペンラインのリフト下部では、[[クガイソウ]]、[[ヤマブキショウマ]]、[[ハクサンタイゲキ]]、[[コバイケイソウ]]、[[タテヤマウツボグサ]]、[[クモマニガナ]]などが見られる<ref name="日本山岳会 (2014)、121頁" />。黒菱平の鎌池湿地では、[[ニッコウキスゲ]]、[[ショウジョウバカマ]]、[[キンコウカ]]、[[マイヅルソウ]]、[[イワイチョウ]]、[[コイワカガミ]]、[[チングルマ]]、[[クロマメノキ]]、[[コメツツジ]]、[[イワナシ]]、[[サワラン]]、[[ワタスゲ]]などが見られる<ref name="plants_and_animals/happo_one">{{Cite web |url=http://www.vill.hakuba.lg.jp/somu/introduction/plants_and_animals/happo_one.html |title=八方尾根の動植物 |publisher=白馬村 |accessdate=2019-01-11}}</ref>。{{commonscat-inline|Flora in Mount Karamatsu|唐松岳の植物}} |
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* 八方池山荘 |
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* 五竜山荘 |
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* 天狗山荘 |
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* [[祖母谷温泉|祖母谷温泉小屋]] |
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[[ファイル:Lagopus muta japonica male Karamatsu.jpg|サムネイル|唐松岳上部の[[ハイマツ]]帯に生息する夏羽に移行中の[[ライチョウ]]のオス]] |
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== 周辺の山 == |
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周辺山域の上部の高山帯には、国の[[特別天然記念物]]の[[ライチョウ]]<ref>[[#日本の鳥550 山野の鳥|五百澤 (2014)、19頁]]</ref>や[[ニホンカモシカ]]が生息する<ref name="trekking" />。八方尾根の八方池から黒菱平にかけて、[[ウグイス]]、[[ウソ]]、[[ノジコ]]、[[ビンズイ]]、[[ホトトギス]]、[[ホシガラス]]、[[クロツグミ]]、[[コマドリ]]、[[カヤクグリ]]、[[ルリビタキ]]など、黒菱平から山麓にかけて[[ヤブサメ]]、[[センダイムシクイ]]、[[ツツドリ]]、[[キビタキ]]、[[オオルリ]]、[[シメ]]などの[[鳥|鳥類]]が見られる<ref name="plants_and_animals/happo_one" />。八方池には[[クロサンショウウオ]]が生息している<ref name="日本山岳会 (2005)、881-882頁" />。八方尾根では、[[イチモンジセセリ]]、[[ギフチョウ]]、[[キアゲハ]]、[[モンキチョウ]]、[[ゴマシジミ]]、[[アサギマダラ]]、[[コヒョウモンモドキ]]、[[コヒョウモン]]、[[エルタテハ]]、[[ベニヒカゲ]]、[[クモマベニヒカゲ]]、[[クロヒカゲ]]、[[ミヤマシジミ]]、[[ヒメシジミ]]などの[[チョウ|蝶類]]が見られる<ref name="plants_and_animals/happo_one" /><ref>[[#北アルプス八方尾根のチョウ類|鹿角 (1996)、48頁]]</ref>。八方池では[[ルリボシヤンマ]]<ref name="日本山岳会 (2005)、881-882頁" />、黒菱平周辺では、[[オオイトトンボ]]、[[カオジロトンボ]]などの[[トンボ]]が見られる<ref name="plants_and_animals/happo_one" />。 |
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* [[鑓ヶ岳]] |
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* [[天狗ノ頭]] |
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* [[五竜岳]] |
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1990年代前半に行われた大気中の[[浮遊粒子状物質]](SPM)の調査では、清浄地域と考えられる唐松岳八方尾根(標高1,850 m地点)が[[地方都市]]である[[長野市]](長野県衛生研究所大気局舎屋上、標高360 m)の半分以下であった<ref>[[#八方尾根および長野市における浮遊粒子状物質と酸性降下物の特性|須賀 (2010)、282-289頁]]</ref>。[[1996年]](平成8年)12月から、八方尾根南斜面(標高870-1,970 m、斜面長2.7 [[キロメートル|km]])から映像解析観測で[[雪崩]]の観測が行われ、213の事例の中で、表層雪崩が132、全層雪崩が81あり、到達距離が2,500 mを超える規模の面発生乾雪表層雪崩も観測された<ref>[[#白馬村八方尾根の雪崩観測(1)|秋山 (2004)、220頁]]</ref>。[[2013年]](平成25年)度、長野県による山岳環境緊急総点検事業で中部山岳国立公園の北アルプス北部地区にある八方尾根の黒菱唐松岳線の登山道の調査が行われた<ref>{{Cite web |url=https://www.pref.nagano.lg.jp/shizenhogo/sangakukankyou/kitaarupusuhokubu.html |title=平成25年度 山岳環境緊急総点検事業 調査結果 |publisher=長野県 |date=2014-11-20 |accessdate=2019-01-11}}</ref>。八方尾根の北尾根高原には八方[[牧場]]があり、[[牧草地]]として利用されている<ref name="trekking" />。八方池へのトレッキングコースでは7月中旬まで残雪がある<ref name="trekking" />。 |
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== 関連画像 == |
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{{Commonscat|Mount Karamatsu}} |
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== 地理 == |
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[[ファイル:Happo Pond s2.jpg|サムネイル|山頂部から東側に延びる八方尾根にある八方池(標高約2,060 m)]] |
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ファイル:Karamatu1.JPG|<small>五竜岳~唐松岳間の稜線から</small> |
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飛騨山脈の北部、後立山連峰の主稜線上の中間付近に位置する<ref name="山と溪谷社 (1992)、382頁" />。西側には[[黒部峡谷]]を挟んで[[立山連峰]]の[[剱岳]]が対峙している<ref name="山と溪谷社 (1992)、382頁" />。北側の主稜線は東西の両側で[[侵食]]により険しいやせ[[尾根]]となっていて、不帰嶮(不帰ノ嶮、かえらずのけん<ref name="荒井 (1997)、206頁" />、不帰岳、かえらずだけ、標高2,614 m、山頂から北0.6 km)と呼ばれている<ref name="山と溪谷社 (1992)、382頁" /><ref name="徳久 (1992)、113頁">[[#コンサイス日本山名辞典|徳久 (1992)、113頁]]</ref>。不帰嶮の岩峰群は北からⅠ峰、Ⅱ峰、Ⅲ峰からなる<ref name="日本山岳会 (2005)、881-882頁" />。Ⅱ峰は北峰と南峰の双耳峰で、北峰の北稜は特に険しい<ref name="日本山岳会 (2005)、881-882頁" />。Ⅲ峰はA・B・Cの小ピークからなる<ref name="日本山岳会 (2005)、881-882頁" />。天狗ノ頭と不帰嶮との[[峠|鞍部]]は不帰キレットと呼ばれていて、白馬岳と唐松岳との間で最も標高が低い地点である<ref name="西田 (2016)、42頁">[[#北アルプス北部:白馬・立山|西田 (2016)、42頁]]</ref>。山頂から東南東に主稜線が延び、約0.5 km先に小ピークがあり、ジャンクションをなし、東方に八方尾根(はっぽうおね<ref name="徳久 (1992)、420頁">[[#コンサイス日本山名辞典|徳久 (1992)、420頁]]</ref>)が延びる<ref name="山と溪谷社 (1992)、382頁" />。八方尾根上には、八方池(標高約2,060 m、山頂から東北東2.8 km)<ref name="chizu" />と八方山(はっぽうやま、標高2,005 m、山頂から東北東3.3 km)がある<ref name="徳久 (1992)、420頁" />。八方アルペンラインの黒菱平駅周辺には、鎌池と鎌池湿原がある<ref>{{Cite web |url=https://www.pref.nagano.lg.jp/osakajimu/kanko/documents/documents/260930yamanohitrekking.pdf |title=~眺望がおすすめ~長野県の山を楽しむトレッキングコース |publisher=長野県 |format=PDF |pages=11 |accessdate=2019-01-11}}</ref>。主稜線上の南南東1.4kmには大黒岳(だいこくだけ、標高2,393 m)がある<ref name="徳久 (1992)、118頁">[[#コンサイス日本山名辞典|徳久 (1992)、118頁]]</ref>。山頂から南西に尾根が延び、西側の餓鬼山、[[奥鐘山]]、[[黒部川]][[右岸]]へと続く<ref name="chizu" /><ref name="日本山岳会 (2005)、881-882頁" />。 |
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ファイル:Karamatsudake from hut 92 1996 5 4.jpg|<small>春の唐松岳<br>[[唐松岳頂上山荘]]より</small> |
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ファイル:Mount Karamatsu from Kamishiro.jpg|<small>唐松岳のモルゲンロート<br>北城より</small> |
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=== 地質 === |
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[[ファイル:Grad Quad lift on Happo Alpen line.jpg|サムネイル|黒菱平にある鎌池[[湿原]]]] |
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[[地質]]は、[[石英斑岩]]、[[流紋岩]]で、その中に輝緑[[ひん岩|玢岩]]や[[安山岩]]質の[[岩脈]]が貫入して頂稜部を形成している<ref name="日本山岳会 (2005)、881-882頁" />。八方尾根は標高1,680 - 2,100 mまでの大部分が蛇紋岩(超塩基性岩)からなり、それより上部は[[砂岩]]や[[泥岩]]などの[[堆積岩]]や[[花崗岩]]が見られる。第3ケルン(八方池)より下方は[[風化]]しやすい蛇紋岩で形成されている<ref name="takarashuzo" />。鎌池と第2ケルンでは風化した蛇紋岩が粘土層となり、[[池塘]]がある[[湿原]]が形成されている<ref name="takarashuzo" />。 |
|||
=== 周辺の山 === |
|||
周辺の主な山を以下に示す<ref name="chizu" />。 |
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{| class="wikitable" |
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|- |
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!山容 |
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!山名 |
|||
![[標高]]<br>(m)<ref name="kokudo" /><ref name="kijyun">{{Cite web |url=http://sokuseikagis1.gsi.go.jp/ |title=基準点成果等閲覧サービス |publisher=国土地理院 |accessdate=2019-01-09}}</ref> |
|||
![[三角点]]等級<br />基準点名<ref name="kijyun" /> |
|||
!唐松岳からの<br>方角と距離(km) |
|||
!備考 |
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|- |
|||
|[[ファイル:Shirouma three Mountains from Happo Ridge.jpg|100px| 唐松岳の八方尾根の上部から望む白馬三山、左から白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳(2018年7月21日撮影)]] |
|||
| [[鑓ヶ岳]] |
|||
| style="text-align:right"| 2,903.2 |
|||
|三等<br>「鎗ヶ岳」 |
|||
|{{direction2|N}} 4.9 |
|||
|[[白馬三山]]の1峰 |
|||
|- style="background-color:#ccc" |
|||
|[[ファイル:Mount Karamatsu.jpg|100px|唐松岳頂上山荘方面から望む唐松岳(2018年7月21日撮影)]] |
|||
| '''唐松岳''' |
|||
| style="text-align:right"| 2,695.9 |
|||
|二等<br>唐松谷 |
|||
|{{direction2|O}} 0 |
|||
|[[日本三百名山]] |
|||
|- |
|||
|[[ファイル:Shiratake and Hut from Goryudake 1994-9-4.jpg|100px|五竜岳から望む五竜山荘(1994年9月4日撮影)]] |
|||
| [[白岳 (飛騨山脈)|白岳]] |
|||
| style="text-align:right"| 2,541 |
|||
| |
|||
|{{direction2|SSE}} 2.6 |
|||
|南西の肩に五竜山荘 |
|||
|- |
|||
|[[ファイル:Mount Goryu from Mount Karamatsu (1996-05-03).jpg|100px|唐松岳の山頂から望む南側の五竜岳(1996年5月3日撮影)]] |
|||
| [[五竜岳]] |
|||
| style="text-align:right"| 2,814 |
|||
| |
|||
|{{direction2|S}} 3.2 |
|||
|[[日本百名山]] |
|||
|- |
|||
|[[ファイル:Mount Tsurugi from Mount Karamatsu s2.jpg|100px|唐松岳の山頂から望む立山連峰の剱岳(2018年7月21日撮影)]] |
|||
| [[剱岳]] |
|||
| style="text-align:right"| 2,999 |
|||
|2,997.<small>10</small> m<br>(三等「剱岳」) |
|||
|{{direction2|WSW}} 14.2 |
|||
|日本百名山 |
|||
|} |
|||
{{Wide_image|Ushirotateyama Mountains from Kamishiro with note.jpg|600px|東側の白馬村神城から望む後立山連峰、左から[[鹿島槍ヶ岳]]、[[五竜岳]]、[[白岳 (飛騨山脈)|白岳]]、大黒岳、'''唐松岳'''、不帰嶮、天狗ノ頭、[[鑓ヶ岳]]、[[杓子岳]]}} |
|||
=== 源流の河川 === |
|||
以下の[[河川]]の[[源流]]となる山で日本海側へ流れる<ref name="chizu" />。北東斜面の唐松沢では[[雪渓]]が見られる<ref name="徳久 (1992)、144頁" />。 |
|||
* 猿猴沢(えんこざわ) 、餓鬼谷 - 黒部川の[[支流]]、[[小屋平ダム]]9.4東南東 kmに位置し、[[富山湾]]へ流れる<ref name="chizu" />。 |
|||
* 唐松沢(南股入の支流)、大黒沢(平川の支流) - [[松川 (白馬村)|松川]]の支流([[姫川]][[水系]])<ref name="chizu" /> |
|||
八方尾根では昭和43年に大楢川の名木山・細野[[砂防ダム]]と下流の護岸工が着手され、[[砂防]]事業が開始された<ref name="sabo">{{Cite web |url=https://www.pref.nagano.lg.jp/sabo/manabu/documents/sabou-p-000600.pdf |title=八方尾根の砂防 |publisher=長野県土木部姫川事務所 |format=PDF |pages=4 |accessdate=2019-01-11}}</ref>。昭和46年に清水沢、昭和49年にかじか沢でも砂防事業が着手され、継続的に整備が行われている<ref name="sabo" />。平成7年[[梅雨前線]][[豪雨]]では整備された砂防ダム等で土砂流出が最小限に抑えられた<ref name="sabo" />。 |
|||
== 登山 == |
|||
[[ファイル:Mount Karamatsu (peak 2018-07-21).jpg|サムネイル|唐松岳の山頂、二等[[三角点]]が設置されている]] |
|||
[[2015年]](平成27年)12月17日に「長野県[[登山条例|登山安全条例]]」が施行され、唐松岳はその対象となる山に指定され、[[2016年]](平成28年)7月1日から登山計画書の届出が必要となった<ref>{{Cite web |url=https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/smartphone/tozankeikakusho.html |title=登山計画書を提出しましょう |publisher=長野県 |date=2018-07-21 |accessdate=2019-01-11}}</ref>。八方アルペンラインのグラートクワッドリフトの終点駅から八方池までの[[登山道]]には、多くの[[観光客]]も訪問する<ref name="垣外 (1998)、112-113頁">[[#分県登山ガイド長野県の山|垣外 (1998)、112-113頁]]</ref>。八方アルペンラインは朝は8時からだが夏の最盛期には早朝5時半(2012現在)から営業する。もっとも楽なアプローチといえど高山であるので十分な装備のないまま安易に登ると事故の可能性はある。なお、7月中旬から8月上旬までは長野県内の中学生が授業の一環として行う「学校登山」の行事が行われていて、大変な賑わいを見せる。八方尾根から雪山登山が行われることがあるが、尾根広いためケルンがあっても視界が悪いとルートが分かりにくくなる<ref>[[#日本雪山登山ルート集|中村 (1996)、114-115頁]]</ref>。[[1992年]]7月29日から後立山連峰を白馬岳から唐松岳まで縦走中の山岳部の男性(16歳)が、[[高山病]]となり発病後5日で[[死亡]]した症例がある<ref name="中村 (1999)、447-448頁">[[#高山病の研究:第II編 高山病の病理学的観察|中村 (1999)、447-448頁]]</ref>。[[2019年]](平成30年)1月3日に唐松岳方面から下山中の2名(男性45歳と女性48歳)が悪天候のため行動不能となる山岳遭難が発生し、その後無事救出された<ref>{{Cite web |url=https://www.pref.nagano.lg.jp/police/sangaku/shuho.html |title=長野県内の山岳遭難発生状況(週報) |publisher=長野県 |date=2019-01-08 |accessdate=2019-01-11}}</ref>。 |
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=== 登山道 === |
|||
[[ファイル:Mount Kaerazu (2nd peak).jpg|サムネイル|難路とされている不帰嶮のⅠ峰からⅡ峰北峰に向かう険しい岩稜部]] |
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各方面から以下の登山道が開設されている<ref name="日本山岳会 (2005)、881-882頁" />。後立山連峰縦走時に登頂されることがある。西側の黒部峡谷と祖母谷温泉からのルートは難路であったが、[[1986年]]に大黒鉱山跡まで尾根上をたどる新道に切り替えられた<ref name="山と溪谷社 (1992)、382頁" />。代表的な八方池山荘からの八方尾根のルート(無雪期・天候良好時)は初級コースとされていて<ref>[[#白馬・後立山連峰|中西 (2008)、11頁]]</ref>、長野県山岳総合センターによる「信州 山のグレーディング」で、技術的難易度が「ランクB/(A-E)」(低い-中程度)、体力度が「3/1-10」(中程度、1泊以上が適当)とされている<ref>{{Cite web |url=https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/documents/yamanogure-dexingu_matrix-20180411.pdf |title=信州 山のグレーディング~無雪期・天候良好時の「登山ルート別 難易度評価」~ |publisher=長野県 |format=PDF |date=2018-05-25 |accessdate=2019-01-10}}</ref>。山頂を経由して南の五竜岳方面、白馬鑓ヶ岳方面の縦走路もあるが、いずれも岩場や鎖場が多く八方尾根よりは難易度が高い<ref>[[#新版 日本三百名山登山ガイド 中|日本山岳会 (2014)、123頁]]</ref>。特に白馬鑓ヶ岳に至る縦走路は不帰嶮と呼ばれるキレットを通過する難コースで<ref>[[#北アルプス 下|信濃毎日新聞社 (1992)、55頁]]</ref>、要所には[[鎖]]や[[梯子]]が設置されている<ref name="西田 (2016)、42頁" />。 |
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[[ファイル:Boardwalk around Happo Pond.jpg|150px|サムネイル|八方池周辺の木道]] |
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;八方尾根からのルート |
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:八方アルペンライン(八方ゴンドラリフト「アダム」八方駅-兎平駅、アルペンクワッドリフト、グラートクワッドリフト) - 八方池山荘 - 八方ケルン(八方山) - 第2ケルン - 第3ケルン - 八方池 - 下ノ棒 - 上ノ棒 - 扇雪渓 - 丸山ケルン(丸山) - 牛首岳(唐松岳頂上山荘) - 唐松岳 |
|||
:八方池山荘から第2ケルンへは、[[ボードウォーク|木道]]がある巻き道となる<ref name="日本山岳会 (2014)、122頁">[[#新版 日本三百名山登山ガイド 中|日本山岳会 (2014)、122頁]]</ref>湿原コースと稜線コースに分かれる<ref name="垣外 (1998)、112-113頁" />。八方アルペンラインのグラートクワッドリフトの区間(黒菱平-八方池山荘)には、北側に並行するような[[遊歩道]]がある。八方池では、水面に映る[[白馬三山]]と不帰ノ嶮の景観が見られる<ref name="垣外 (1998)、112-113頁" />。八方池山荘へは八方アルペンラインの他に北尾根高原からスカイライン(北尾根クワッドリフト、黒菱第3ペアリフトとグラートクワッドリフト)で行くこともできる<ref name="trekking" />。 |
|||
;北側の主稜線からのルート |
|||
:鑓ヶ岳方面より - 天狗山荘 - 天狗ノ頭 - 天狗ノ大下り - 不帰キレット - 不帰嶮Ⅰ峰 - Ⅱ峰北峰 - Ⅱ峰南峰 - Ⅲ峰 - 唐松岳 |
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;南側の主稜線からのルー-ト |
|||
:五竜岳方面より - 五竜山荘 - 白岳 - 大黒岳 - 牛首岳(唐松岳頂上山荘) - 唐松岳 |
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;欅平からのルート |
|||
:欅平駅 - [[名剣温泉]] - [[祖母谷温泉]] - 餓鬼山 - 大黒鉱山跡 - 牛首岳(唐松岳頂上山荘) - 唐松岳 |
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=== 周辺の山小屋 === |
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周辺の主な[[山小屋]]をと[[キャンプ]]指定地を以下に示す<ref name="山と溪谷社 (2010)、157-158頁">[[#山の便利手帳|山と溪谷社 (2010)、157-158頁]]</ref>。西山麓の[[黒部峡谷]]にある山小屋[[祖母谷温泉]]があり、[[江戸時代]]には既に知られていた[[温泉]]で湯浴み客が訪れていた<ref name="PEAKS (2015)、20頁">[[#日本山小屋ガイド|PEAKS (2015)、20頁]]</ref>。河原には[[露天風呂]]があり、立ち寄り湯として利用できる<ref name="PEAKS (2015)、20頁" />。リフト終点にある村営八方池山荘のみが通年営業されていて、[[風呂|お風呂]]がある<ref name="PEAKS (2015)、19頁">[[#日本山小屋ガイド|PEAKS (2015)、19頁]]</ref>。村営八方池山荘は[[小学校]]や[[中学校]]の集団登山などの宿泊にも利用されている<ref name="金子 (1987)、31頁" />。 |
|||
{| class="wikitable" |
|||
|- |
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!画像 |
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!名称 |
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!所在地 |
|||
!唐松岳からの<br>方角と[[距離]](km)<br><ref group="注釈">唐松岳からの山小屋までの距離は、登山経路上の距離ではなく、2地点の直線距離。</ref> |
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![[標高]]<br>(m) |
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!収容<br>人数 |
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!キャンプ<br>指定地 |
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!備考 |
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|- |
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|[[ファイル:Babatani Spa zenkei 2008.jpg|80px|富山県黒部峡谷温泉郷、祖母谷温泉全景(2008年10月9日撮影)]] |
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|山小屋祖母谷温泉 |
|||
|祖母谷と祖父谷の出合 |
|||
|{{direction2|W}} 6.8 |
|||
|style="text-align:right"|780 |
|||
|style="text-align:right;"|40 |
|||
|[[テント]]30張 |
|||
|[[1967年]]建造 |
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|- |
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|[[ファイル:Happoike Sanso.jpg|80px|八方アルペンラインの終点にある村営八方池山荘(2018年7月21日撮影)]] |
|||
|村営八方池山荘 |
|||
|八方尾根第1ケルン上 |
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|{{direction2|ENE}} 4.1 |
|||
|style="text-align:right"|1,850 |
|||
|style="text-align:right;"|70 |
|||
| |
|||
|[[1964年]]5月建設<ref name="金子 (1987)、31頁" /> |
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|- |
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|[[ファイル:Tengu Sanso.jpg|80px|村営天狗山荘、天狗ノ頭の北、天狗池畔(2018年7月20日撮影)]] |
|||
|村営天狗山荘 |
|||
|天狗ノ頭の北、天狗池畔 |
|||
|{{direction2|N}} 3.7 |
|||
|style="text-align:right"|2,730 |
|||
|style="text-align:right;"|88 |
|||
|テント50張 |
|||
|[[1958年]]建造<ref>[[#北アルプス山小屋案内|金子 (1987)、30頁]]</ref> |
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|- style="background-color:#ccc" |
|||
| |
|||
| '''唐松岳''' |
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| |
|||
|{{direction2|O}} 0 |
|||
|style="text-align:right"|2,695.9 |
|||
| |
|||
| |
|||
| |
|||
|- |
|||
|[[ファイル:Karamatsudake chojosanso (2018-07-20).jpg|80px|唐松岳山頂部南東の肩にある唐松岳頂上山荘(2018年7月20日撮影)]] |
|||
|唐松岳頂上山荘 |
|||
|牛首岳の肩西 |
|||
|{{direction2|ESE}} 0.4 |
|||
|style="text-align:right"|2,620 |
|||
|style="text-align:right;"|350 |
|||
|テント30張 |
|||
|[[1932年]]開業<ref name="PEAKS (2015)、21頁">[[#日本山小屋ガイド|PEAKS (2015)、21頁]]</ref> |
|||
|- |
|||
|[[ファイル:Goryusanso.jpg|80px|五竜岳から望む白岳(後立山連峰)の南肩にある五竜山荘、富山県黒部市(1994年9月4日撮影)]] |
|||
|五竜山荘 |
|||
|白岳の肩南 |
|||
|{{direction2|S}} 2.6 |
|||
|style="text-align:right"|2,780 |
|||
|style="text-align:right;"|300 |
|||
|テント30張 |
|||
|[[1951年]]建造<ref>[[#北アルプス山小屋案内|金子 (1987)、37頁]]</ref> |
|||
|- |
|||
| |
|||
|餓鬼山避難小屋 |
|||
|餓鬼山の西中腹 |
|||
|{{direction2|W}} 4.5 |
|||
|style="text-align:right"|1,840 |
|||
|style="text-align:right;"|15 |
|||
| |
|||
|[[1986年]]建造<br>冬期閉鎖<ref name="PEAKS (2015)、19頁" /> |
|||
|} |
|||
=== 唐松岳頂上山荘 === |
|||
[[ファイル:Karamatsudake chojosanso and Campsite.jpg|サムネイル|唐松岳の山頂方面から望む牛首山の山頂直下にある唐松岳頂上山荘、下部のハイマツ帯の斜面にはキャンプ指定地があり、欅平方面への登山道への分岐点となっている。]] |
|||
'''唐松岳頂上山荘'''(からまつだけちょうじょうさんそう)は、唐松岳南東肩の標高2,620 m地点にある山小屋<ref name="山と溪谷社 (2010)、157-158頁" />。後立山連峰縦走時の[[白馬岳]]と鹿島槍ヶ岳への中継基地として重要な拠点とされている<ref name="金子 (1987)、32-33頁">[[#北アルプス山小屋案内|金子 (1987)、32-33頁]]</ref>。収容人数は350人で、営業期間は4月末-10月中旬(2015年の営業期間)<ref name="PEAKS (2015)、21頁" />。 西側に[[キャンプ]]指定地が併設されていて、水場はない<ref name="PEAKS (2015)、21頁" />。 山小屋では天水と[[ポンプ]]で汲み上げられた1,200 m離れた雪渓の融雪水が併用されている<ref name="柳原 (1990)、121頁">[[#北アルプス山小屋物語|柳原 (1990)、121頁]]</ref>。 |
|||
[[1906年]]に[[白馬山荘]](前進である頂上小屋)を開業した[[白馬館]]の初代経営者[[松沢貞逸]]から事業を引き継いだ二代目の下川富男が<ref name="柳原 (1990)、119頁" />、現在の唐松岳頂上山荘となる「唐松小屋」を[[1932年]](昭和7年)7月1日に開業した<ref name="柳原 (1990)、120頁">[[#北アルプス山小屋物語|柳原 (1990)、120頁]]</ref>。[[日本電力]]の石室小屋を建設作業宿舎として使用し、建設資材は現地で払い下げを受け、6[[間]]に3間半の総2階建てで半割りの丸太外壁の山小屋であった<ref name="柳原 (1990)、120頁" />。この後20[[坪]]程増設し、収容力が増強された<ref name="柳原 (1990)、120頁" />。[[太平洋戦争]]の状況が悪化する中、下川は[[召集]]を受け[[華北]]へ出征し、[[1945年]](昭和20年)6月に[[戦死]]した<ref name="柳原 (1990)、120頁" />。戦争中一時閉鎖を余儀なくされた唐松小屋は雪害などにより荒廃した<ref name="柳原 (1990)、120頁" />。松沢庄左エ門が小屋番となり営業を行ったが<ref name="柳原 (1990)、120頁" />、[[1950年]](昭和25年)頃までは登山者はまだ少なかった。[[1954年]](昭和29年)に経営を引き継いだ妻の安喜が小屋を改築した<ref name="金子 (1987)、32-33頁" />。[[1955年]](昭和30年)7月半ばには、連日の晴天で[[歩荷]]で担ぎあげていた雪渓の融雪水が涸れたために、八方池からゴム袋に水を入れて運ぶ非常事態が発生した<ref name="柳原 (1990)、121頁" />。[[1957年]](昭和32年)に雪渓の融雪水を小屋まで[[ポンプ]]で汲み上げられるようになった<ref name="柳原 (1990)、121頁" />。1958年(昭和33年)に八方ケーブルが開通したことを契機に、山岳[[ホテル]]的な山小屋を目指し、一時従業員のスタイルに[[制服]]と[[蝶ネクタイ]]を採用していたことがあった<ref name="柳原 (1990)、121頁" />。[[1960年]](昭和35年)に[[歩荷]]で資材を上げて本館が再建され<ref name="PEAKS (2015)、21頁" />、唐松岳頂上山荘に改名された<ref name="柳原 (1990)、121頁" />。[[1963年]](昭和38年)に北アルプスで初めて[[ヘリコプター]]による資材運搬が行われ<ref name="PEAKS (2015)、21頁" />、[[1963年]](昭和37年)に食堂を併設する新館が唐松岳側に増築された<ref name="金子 (1987)、32-33頁" />。[[1974年]](昭和59年)に冬期小屋として使用されていた旧館を取り壊し、鉄骨2階建の南館がオープンした<ref name="柳原 (1990)、122頁">[[#北アルプス山小屋物語|柳原 (1990)、122頁]]</ref>。1992年当時、[[京都大学]][[医学部]]唐松診療所の[[夏山診療所]]が開設されていた<ref name="中村 (1999)、447-448頁" />。 |
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=== 八方尾根のケルン === |
|||
[[ファイル:Yasumu Cairn on Happo Ridge.jpg|サムネイル|八方尾根の標高2,005 m地点にある第2[[ケアン|ケルン]](息ケルン)、遭難者の[[霊魂|霊]]を慰めるために建立され、登山者の目印となっている。]] |
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夏には[[霧]]が発生し、冬には[[吹雪]]となるこが多い八方尾根では、主に[[遭難]]者の[[遺族]]や仲間たちが犠牲者の[[霊魂|霊]]を慰め、登山者の目印として高さ3-5 mの6個の[[ケアン|ケルン]]が設置されている<ref name="信濃毎日新聞社 (1992)、57頁" />。最初[[1937年]](昭和12年)10月に、八方尾根で毎年のようにスキーを楽しんでいた寺田健一・松江[[夫婦|夫妻]]が[[銀婚式]]の記念に、第3ケルン(標高2,080 m、八方池付近)が建立<ref name="信濃毎日新聞社 (1992)、57頁" />。[[1938年]](昭和13年)7月に、1937年(昭和12年)12月26日<ref name="金子 (1987)、31頁" />に吹雪でルートを見失って遭難死した[[大阪府|大阪]]の西阪息(やすむ)の父親らが、第1ケルン(標高1,830 m)と第2ケルン(標高2,005 m、別名:息ケルン)を建立<ref name="信濃毎日新聞社 (1992)、57頁" />。[[牧師]]だった父親は、第2ケルンの銘板に「我道也真理也」と[[聖書]]の言葉を刻んでいる<ref name="信濃毎日新聞社 (1992)、57頁" />。[[1962年]](昭和37年)に[[国鉄大宮工場]]山岳部(前年に遭難)が丸山ケルン(標高2,360 m)を建立した<ref name="信濃毎日新聞社 (1992)、57頁" />。[[1963年]](昭和38年)に[[東京都立石神井高等学校]]山岳部が創立10周辺記念に、石神井ケルン(標高1,974 m)を建立した<ref name="信濃毎日新聞社 (1992)、57頁" />。[[1984年]](昭和59年)に、[[1980年]](昭和55年)12月に吹雪で道に迷った[[生徒]]5人と引率[[教諭]]1人が[[凍死]]した[[神奈川県]]の[[逗子開成中学校・高等学校|逗子開成高校]]が八方ケルンを建立した<ref name="信濃毎日新聞社 (1992)、57頁" />。 |
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== 観光 == |
|||
[[ファイル:Hakuba Happo-one Winter Resort.JPG|サムネイル|東山麓から望む[[白馬八方尾根スキー場]]と上部に唐松岳の山頂部]] |
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東山腹には白馬八方尾根スキー場と白馬ジャンプ競技場があり、長野オリンピックの会場として利用された。東斜面の八方尾根には八方ゴンドラリフト「アダム」、アルペンクワッドリフト、グラートクワッドリフトの3つからなる八方アルペンライン(総延は3,445 m、標高差1,060 m、中継駅が兎平と黒菱平)があり、八方池周辺のハイキングや唐松岳方面の登山に利用されている<ref name="happo-one" />。東山麓には[[ホテル]]、[[ペンション]]や[[別荘]]が多数あり、[[避暑地]]や[[スキー場]]の宿泊施設として利用されている。[[1989年]]頃には、白馬八方尾根スキー場の麓には、スキー客18,700人を収容する372軒の宿泊施設が密集し、10を超える[[タレントショップ]]があった<ref>[[#北アルプス 下|信濃毎日新聞社 (1992)、155頁]]</ref>。2012年から2016年までの八方尾根スキー場の月別の利用者数は下表であった<ref>{{Cite web |url=http://www.vill.hakuba.lg.jp/somu/statistics/ski_run_month_2016.pdf |title=白馬村内スキー場利用者数(月別) |publisher=白馬村 |format=PDF |accessdate=2019-01-11}}</ref>。 |
|||
{| class="wikitable" style="text-align:right" |
|||
|+ 表のタイトル|白馬八方尾根スキー場の月別の利用者数(人) |
|||
! !! 1月 !! 2月 !! 3月 !! 4月 !! 5月 !! 11月 !! 12月 |
|||
|- |
|||
! 2012年 |
|||
| || || || || || 2,842 || 59,439 |
|||
|- |
|||
! 2013年 |
|||
| 121,265 || 114,784 || 83,798 || 20,021 || 8,500 || 3,993 || 71,737 |
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|- |
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! 2014年 |
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| 128,805 || 101,584 || 95,089 || 22,939 || 8,123 || || 66,471 |
|||
|- |
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! 2015年 |
|||
| 123,366 || 115,323 || 88,083 || 19,955 || 14,705 || 801 || 58,154 |
|||
|- |
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! 2016年 |
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| 104,169 || 119,798 || || || || || |
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|} |
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== 交通・アクセス == |
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[[ファイル:Happo-information.jpg|サムネイル|八方尾根の東山麓にある白馬八方[[バスターミナル]]]] |
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東山麓に[[国道148号]]と[[長野県道322号白馬岳線]]が通る。東山麓には[[長野県道33号白馬美麻線]]が通じ、[[1998年]]([[平成]]10年)[[2月7日]]に開催された[[1998年長野オリンピック|長野オリンピック]]時に、長野会場や[[選手村]]と白馬会場を結ぶ動脈としてする路線として活用された。[[長野県道31号長野大町線]]と併せてオリンピック道路と呼ばれている。 |
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* [[東日本旅客鉄道]](JR東日本)[[大糸線]][[白馬駅]]の西10 kmに位置する<ref name="徳久 (1992)、144頁" />。白馬駅の西1.7 kmに白馬八方バスターミナルがあり、[[アルピコ交通]]による[[新宿駅]]、[[東京駅]]、[[京都駅]]・[[大阪駅]]、[[成田空港]]からの[[高速バス]]、[[長野駅]]東口、[[松本駅]]からの[[特急バス]]路線が開設されている<ref>{{Cite web |url=https://www.alpico.co.jp/access/station/hakuba_happo.html |title=白馬八方バスターミナル バスのりばご案内 |publisher=アルピコ交通株式会社 |accessdate=2019-01-10}}</ref>。 |
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* [[黒部峡谷鉄道]][[黒部峡谷鉄道本線|本線]]の[[終着駅]]である[[欅平駅]]の東9 kmに位置する<ref name="chizu" />。 |
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* [[長野自動車道]][[安曇野インターチェンジ]]の北北西46 kmに位置する<ref name="chizu" />。 |
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* 八方アルペンラインのグラートクワッドリフトの終点駅(標高1,830 m)<ref name="happo-one">{{Cite web |url=http://www.happo-one.jp/trekking/alpenline |title=八方アルペンライン |publisher=白馬八方尾根スキー場 |accessdate=2019-01-10}}</ref>の西南西4 kmに位置する<ref name="chizu" />。 |
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== 唐松岳の風景 == |
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南側の主稜線の大黒岳方面からは[[ピラミッド]]型の大きな山容を望むことができる<ref name="山と溪谷社 (1992)、382頁" />。 |
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<gallery widths="150" heights="100"> |
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Mount Karamatsu from Mount Goryu (1994-09-04) s2.jpg|南側の主稜線から望む唐松岳 |
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Mount Karamatsu from Tomi Ridge.jpg|南東側の五竜岳の遠見尾根から望む唐松岳 |
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Mount Karamatsu from Mount Masago.jpg|西側の[[立山連峰]]の[[真砂岳 (立山連峰)|真砂岳]]から望む唐松岳の周辺 |
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Mount Karamatsu from Tengu-no-okudari.jpg|北側の天狗ノ頭方面から望む唐松岳 |
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</gallery> |
</gallery> |
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== 唐松岳からの眺望 == |
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山頂や唐松岳頂上山荘からは剱岳を望める<ref name="山と溪谷社 (1992)、382頁" />。八方尾根から[[鹿島槍ヶ岳]]と五竜岳が望める<ref name="日本山岳会 (2014)、122頁" />。村営八方池山荘からは、白馬岳三山、不帰嶮、唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳、[[妙高山]]や[[戸隠山]]などの[[頸城山塊]]が望める<ref name="金子 (1987)、31頁" />。澄んだ空気の日には八方尾根の第1ケルンから[[富士山]]が望める<ref name="trekking" />。{{commonscat-inline|Views from Mount Karamatsu|唐松岳から眺望}} |
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<gallery widths="150" heights="100"> |
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Mount Shirouma from Mount Karamatsu 1996-05-04.jpg|八方尾根から望む[[白馬三山]]<br>(1996年5月) |
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Mount Kashimayari and Mount Goryu from Mount Karamatsu.jpg|山頂から望む鹿島槍ヶ岳(左)と五竜岳(右)<br>(1996年5月) |
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Tateyama Mountains from Karamatsudakechojo Sanso.jpg|唐松岳頂上山荘から望む[[立山連峰]]<br>(2018年7月) |
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Kubiki Mountains from Mount Karamatsu.jpg|山頂から望む[[日の出]]前の[[朝焼け]]と[[雲海]]に浮かぶ[[頸城山塊]]<br>(2018年7月) |
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== 脚注 == |
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{{脚注ヘルプ}} |
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=== 注釈 === |
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{{Reflist|group=注釈}} |
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=== 出典 === |
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{{Reflist|2}} |
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== 参考文献 == |
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* {{Cite journal |和書 |author=秋山一弥、武士俊也、池田慎二、大森大悟 |title=白馬村八方尾根の雪崩観測(1) |journal=日本雪氷学会全国大会講演予稿集 |volume= |naid=130004638381 |date=2004 |publisher=日本雪氷学会 |url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssi/2004/0/2004_0_220/_pdf/-char/ja |format=PDF |ref=白馬村八方尾根の雪崩観測(1)}} |
|||
* {{Cite book|和書 |author=五百澤日丸、山形則男、吉野俊幸 |date=2014-03-08 |title=新訂 日本の鳥550 山野の鳥 |series=ネイチャーガイドシリーズ |publisher=[[平凡社]] |isbn=978-4829984000 |ref=日本の鳥550 山野の鳥}} |
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* {{Cite book|和書 |author=[[岩崎元郎]] |year=2006 |month=3|title=新日本百名山登山ガイド〈下〉 |publisher=[[山と渓谷|山と溪谷社]] |isbn=4635530477 |ref=新日本百名山}} |
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* {{Cite book|和書 |date=1998-09-15 |author=垣外富士男、津野祐司、池上立、中山秀幸 |title=長野県の山 |series=分県登山ガイド |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635021750 |ref=分県登山ガイド長野県の山}} |
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* {{Cite journal |和書 |author=鹿角幸男、薩摩林光、佐々木一敏、鹿野正明、太田宗康、畠山史郎、村野健太郎 |title=八方尾根および長野市における浮遊粒子状物質と酸性降下物の特性 |journal=大気環境学会誌 |volume=31 |issue=6 |naid=130004377151 |date=1996 |publisher=大気環境学会 |url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/taiki1995/31/6/31_6_282/_pdf/-char/ja |format=PDF |ref=八方尾根および長野市における浮遊粒子状物質と酸性降下物の特性}} |
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* {{Cite book|和書 |author=金子博文 |year=1987 |month=6 |title=北アルプス山小屋案内 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635170225 |ref=北アルプス山小屋案内}} |
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* {{Cite book|和書 |editor=信濃毎日新聞社 |date=1992-09-16 |title=北アルプス 下 |publisher=[[信濃毎日新聞社]] |isbn=4784092196 |ref=北アルプス 下}} |
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* {{Cite book|和書 |editor=徳久球雄(編集) |date=1992-10 |title=コンサイス日本山名辞典 |publisher=[[三省堂]] |isbn=4-385-15403-1 |edition=修訂版 |ref=コンサイス日本山名辞典}} |
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* {{Cite book|和書 |editor=[[日本山岳会]] |year=2005 |month=11 |title=新日本山岳誌 |publisher=[[ナカニシヤ出版]] |isbn=4-779-50000-1|ref=新日本山岳誌}} |
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* {{Cite journal |和書 |author=須賀丈 |title=北アルプス八方尾根のチョウ類 |journal=長野県環境保全研究所研究報告 |volume=6 |naid=110010014892 |date=2010-03 |publisher=長野県環境保全研究所 |url=https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010791288.pdf |format=PDF |ref=北アルプス八方尾根のチョウ類}} |
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* {{Cite book|和書 |author=豊国秀夫 |year=1988 |month=9 |title=日本の高山植物 |series=山溪カラー名鑑 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4-635-09019-1 |ref=日本の高山植物}} |
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* {{Cite book|和書 |author=中西俊明 |date=2008-05-22 |title=白馬・後立山連峰 |series=ヤマケイアルペンガイド9 |publisher=山と溪谷社 |isbn=978-4635013536 |ref=白馬・後立山連峰}} |
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* {{Cite book|和書 |author=中村成勝 |date=1996-12-01 |title=日本雪山登山ルート集 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4-635-18003-4 |ref=日本雪山登山ルート集}} |
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* {{Cite journal |和書 |author=中村善紀、宮澤健、井口欽之蒸、北原昇、松尾俊彦 |title=高山病の研究:第II編 高山病の病理学的観察 |journal=医療 |volume=33 |issue=5 |naid=130004312613 |date=1999 |publisher= 国立医療学会 |url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/iryo1946/33/5/33_5_445/_pdf/-char/ja |format=PDF |ref=高山病の研究:第II編 高山病の病理学的観察}} |
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* {{Cite book|和書 |author=西田省三 |date=2016 |title=北アルプス北部:白馬・立山 |publisher=[[実業之日本社]] |isbn=9784408001708 |ref=北アルプス北部:白馬・立山}} |
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* {{Cite book|和書 |date=2014-07-31 |title=新版 日本三百名山登山ガイド 中 |author=日本山岳会 |publisher=山と溪谷社 |isbn=978-4635530637 |ref=新版 日本三百名山登山ガイド 中}} |
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* {{Cite book|和書 |date=1997-03 |title=日本三百名山 |editor=荒井魏 |publisher=[[毎日新聞社]] |isbn=4620605247 |ref=日本三百名山}} |
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* {{Cite book|和書 |editor=[[佐竹義輔]]、[[大井次三郎]]、[[北村四郎]]、亘理俊次、冨成忠夫 |date=1982-03-17 |title=日本の野生植物 草本II離弁花類 |publisher=平凡社 |isbn=458253502X |ref=日本の野生植物 草本II離弁花類}} |
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* {{Cite book|和書 |editor=PEAKS特別編集 |date=2015-03-19 |title=日本山小屋ガイド |series=エイムック3043 |publisher=[[エイ出版社]] |isbn=978-4777935079 |ref=日本山小屋ガイド}} |
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* {{Cite book|和書 |author=柳原修一 |year=1990 |month=6 |title=北アルプス山小屋物語 |publisher=[[東京新聞]]出版局 |isbn=4808303744 |ref=北アルプス山小屋物語}} |
|||
* {{Cite book|和書 |author=山と溪谷社 |year=1992 |month=08 |title=日本の山1000 |series=山溪カラー名鑑 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635090256 |ref=日本の山1000}} |
|||
* {{Cite book|和書 |year=2010 |month=12 |title=山の便利手帳2011 |series=山と溪谷2011年1月号付録 |publisher=山と溪谷社 |pages=[[ASIN]] B004DPEH6G |ref=山の便利手帳}} |
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== 関連項目 == |
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{{Commonscat|Mount Karamatsu}} |
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* [[日本の山一覧]] |
|||
* [[長野県の観光地]] |
|||
* [[白馬八方尾根スキー場]] |
|||
* [[白馬ジャンプ競技場]] |
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== 外部リンク == |
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* [http://karamatsu.jp/ 唐松岳頂上山荘] |
|||
* [https://www8.shinmai.co.jp/yama/guide/00003.html 信州山岳ガイド・唐松岳] [[信濃毎日新聞社]] |
|||
* [https://www.vill.hakuba.nagano.jp/livecam/livecamera.php?id=8 ライブカメラ・八方尾根] 白馬村観光局 |
|||
* [https://tenkura.n-kishou.co.jp/tk/kanko/kad.html?code=20150048&type=15&ba=kk 唐松岳の天気] [[日本気象]] |
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{{日本三百名山}} |
{{日本三百名山}} |
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[[Category:白馬村の地理]] |
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[[Category:黒部市の地理]] |
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2019年1月14日 (月) 20:13時点における版
唐松岳 | |
---|---|
冬の唐松岳 | |
標高 | 2,695.9[1] m |
所在地 |
日本 長野県北安曇郡白馬村、富山県黒部市 |
位置 | 北緯36度41分14秒 東経137度45分17秒 / 北緯36.68722度 東経137.75472度座標: 北緯36度41分14秒 東経137度45分17秒 / 北緯36.68722度 東経137.75472度[2] |
山系 | 後立山連峰(飛騨山脈北部)[3] |
唐松岳の位置
| |
プロジェクト 山 |
唐松岳(からまつだけ)は飛騨山脈(北アルプス)の後立山連峰にある長野県北安曇郡白馬村と富山県黒部市[注釈 1]にまたがる標高2,695.9 mの山[1][4][5]。別名が上犬ヶ嶽[4]。
概要
日本で93番目に高い山で[6]、山域の大部分は中部山岳国立公園内にある[注釈 2][7]。日本山岳会による日本三百名山[8]の一つ、岩崎元郎による新日本百名山[9]の一つと清水栄一による信州百名山の一つに選定されている[10]。1964年(昭和39年)8月20日に「八方尾根高山植物帯」が、長野県による天然記念物の指定を受けている[11]。1999年(平成11年)12月24日に八方尾根にある「鎌池湿原」が、白馬村による天然記念物の指定を受けている[12]。
山名の由来
山名の由来は定かではなく、信州の絵図や文献では、この山名は確認されていない[4]。巨人のダイダラボッチが夜歩き回って仕事をしていたが、仕事半ばで夜が明け、朝日が差してきたので、唐松の木を引き抜いて空高く投げたらこの山になってこの名が付いたとする昔話がある[4]。八方尾根の「八方」は、見晴らしが良いこと[13]や唐松岳から四方八方に尾根が延びていることに由来する説がある[14]。
人間とのかかわり
江戸時代に周辺の餓鬼山や五竜岳の東谷山に、猟師がカモシカ狩りに足を踏み入れた話が残されている[4]。1904年(明治37年)に唐松岳山頂に二等三角点が選定された[15]。1906年(明治39年)南側に隣接する大黒岳の西面の富山県側で良質な銅鉱脈が白馬山麓の探鉱師である中村兼松により発見され、1907年(明治40年)に大黒鉱山が操業した[16]。鉱山の最盛期には、八方尾根に牛が通れるほどの道が造られて、下ノ樺にはその時に中継地として使用された石室跡がある[4]。1918年(大正7年)に鉱脈が切れて、この年に溶鉱炉の火が消えた[17]。大正時代にスキーが普及するにつれて、入山者が増えた。1958年(昭和33年)に八方尾根に空中ケーブルが架けられてからは、山スキーでも賑わうようになった[4]。1989年(平成元年)度には、八方尾根スキー場は約130万人のスキーヤーで賑わっていた[18]。1998年(平成10年)に開催された長野オリンピックで、アルペンスキー(滑降)、アルペンスキー(スーパー大回転)とアルペンスキー複合の競技が白馬八方尾根スキー場で、ノルディックスキー(ジャンプ)とノルディック複合(ジャンプ)の競技が白馬ジャンプ競技場で開催された[4]。ふるさと納税(ふるさと白馬村を応援する寄付)の返礼品の一つに、八方アルペンラインのグリーンシーズン券(白馬観光開発株式会社が提供)が選定された[19]。
環境
日本海側にあり、山域は特別豪雪地帯の指定区域にある。八方尾根は山岳スキー場として知られていて[5]、日本でも屈指の白馬八方尾根スキー場があり、高山植物の宝庫として知られていて[20]、1964年(昭和39年)8月20日に「八方尾根高山植物帯」(所在地:北安曇郡白馬村北城西山4487-1)が長野県により天然記念物の指定を受けた[21]。八方尾根にケーブルが架設されてから様相が一変し荒廃が進んでいる[21]。登山道沿いでは訪問者による土地の荒廃が見られ[18]、八方尾根自然環境保全協議会などにより、植生が踏み荒らされないにするためのパトロール活動やマットを敷いて裸地化した場所の植生回復の作業が行われている[22]。植物観察のための自然研究路が開設されている[21]。山頂部の高山帯では、ハイマツやコマクサなどの高山植物が見られる[4]。八方尾根の標高1,600 m付近の比較的平坦地ではミズバショウなどの湿性植物が見られ、その上部の稜線部ではダケカンバが見られ、斜面には低木や草木が覆っている[4]。八方尾根の固有種としてハッポウアザミ(八方薊、学名:Cirsium happoense Kadota[23])[24]、ハッポウウスユキソウ(八方薄雪草、学名:Leontopodium japonicum Miq. f. happoense Hid.Takah. ex T.Shimizu[25])[26]、ハッポウタカネセンブリ(八方高嶺千振、学名:Swertia tetrapetala Pall. subsp. micrantha (Takeda) Kitam. var. happoensis Hid.Takah. ex T.Shimizu[27])[28]、カライトソウとワレモコウとの雑種と考えられているハッポウワレモコウ(八方吾木香、学名:Sanguisorba x takahashihideoi Naruh.[29])[30]が分布している。ハッポウアザミは八方尾根の山地帯から亜高山帯にかけての蛇紋岩の礫まじりの草地に生育し、八方尾根の上部の非蛇紋岩地域には飛騨山脈をする代表する高山性アザミであるタテヤマアザミ(立山薊、学名:Cirsium otayae Kitam.[31])[32]が分布していて、明瞭な棲み分けが見られる[24]。ハッポウウスユキソウは八方尾根の高山帯の蛇紋岩崩落地の草地に生育する[26]。ハッポウタカネセンブリは、八方尾根の高山帯の蛇紋岩地に生育する[28]。八方池山荘付近の研究路(標高1,850 m)や兎平より下部の(標高1,400 m付近)でも高山帯に生育するハイマツが生育していて、植生の垂直逆分布といわれている[20][22]。自然研究路沿いでは、シモツケソウ、ミヤマダイコンソウ、タカネマツムシソウ、ミヤマムラサキなどが見られる[18]。八方アルペンラインのリフト下部では、クガイソウ、ヤマブキショウマ、ハクサンタイゲキ、コバイケイソウ、タテヤマウツボグサ、クモマニガナなどが見られる[20]。黒菱平の鎌池湿地では、ニッコウキスゲ、ショウジョウバカマ、キンコウカ、マイヅルソウ、イワイチョウ、コイワカガミ、チングルマ、クロマメノキ、コメツツジ、イワナシ、サワラン、ワタスゲなどが見られる[33]。 ウィキメディア・コモンズには、唐松岳の植物に関するカテゴリがあります。
周辺山域の上部の高山帯には、国の特別天然記念物のライチョウ[34]やニホンカモシカが生息する[14]。八方尾根の八方池から黒菱平にかけて、ウグイス、ウソ、ノジコ、ビンズイ、ホトトギス、ホシガラス、クロツグミ、コマドリ、カヤクグリ、ルリビタキなど、黒菱平から山麓にかけてヤブサメ、センダイムシクイ、ツツドリ、キビタキ、オオルリ、シメなどの鳥類が見られる[33]。八方池にはクロサンショウウオが生息している[4]。八方尾根では、イチモンジセセリ、ギフチョウ、キアゲハ、モンキチョウ、ゴマシジミ、アサギマダラ、コヒョウモンモドキ、コヒョウモン、エルタテハ、ベニヒカゲ、クモマベニヒカゲ、クロヒカゲ、ミヤマシジミ、ヒメシジミなどの蝶類が見られる[33][35]。八方池ではルリボシヤンマ[4]、黒菱平周辺では、オオイトトンボ、カオジロトンボなどのトンボが見られる[33]。
1990年代前半に行われた大気中の浮遊粒子状物質(SPM)の調査では、清浄地域と考えられる唐松岳八方尾根(標高1,850 m地点)が地方都市である長野市(長野県衛生研究所大気局舎屋上、標高360 m)の半分以下であった[36]。1996年(平成8年)12月から、八方尾根南斜面(標高870-1,970 m、斜面長2.7 km)から映像解析観測で雪崩の観測が行われ、213の事例の中で、表層雪崩が132、全層雪崩が81あり、到達距離が2,500 mを超える規模の面発生乾雪表層雪崩も観測された[37]。2013年(平成25年)度、長野県による山岳環境緊急総点検事業で中部山岳国立公園の北アルプス北部地区にある八方尾根の黒菱唐松岳線の登山道の調査が行われた[38]。八方尾根の北尾根高原には八方牧場があり、牧草地として利用されている[14]。八方池へのトレッキングコースでは7月中旬まで残雪がある[14]。
地理
飛騨山脈の北部、後立山連峰の主稜線上の中間付近に位置する[3]。西側には黒部峡谷を挟んで立山連峰の剱岳が対峙している[3]。北側の主稜線は東西の両側で侵食により険しいやせ尾根となっていて、不帰嶮(不帰ノ嶮、かえらずのけん[8]、不帰岳、かえらずだけ、標高2,614 m、山頂から北0.6 km)と呼ばれている[3][39]。不帰嶮の岩峰群は北からⅠ峰、Ⅱ峰、Ⅲ峰からなる[4]。Ⅱ峰は北峰と南峰の双耳峰で、北峰の北稜は特に険しい[4]。Ⅲ峰はA・B・Cの小ピークからなる[4]。天狗ノ頭と不帰嶮との鞍部は不帰キレットと呼ばれていて、白馬岳と唐松岳との間で最も標高が低い地点である[40]。山頂から東南東に主稜線が延び、約0.5 km先に小ピークがあり、ジャンクションをなし、東方に八方尾根(はっぽうおね[41])が延びる[3]。八方尾根上には、八方池(標高約2,060 m、山頂から東北東2.8 km)[1]と八方山(はっぽうやま、標高2,005 m、山頂から東北東3.3 km)がある[41]。八方アルペンラインの黒菱平駅周辺には、鎌池と鎌池湿原がある[42]。主稜線上の南南東1.4kmには大黒岳(だいこくだけ、標高2,393 m)がある[43]。山頂から南西に尾根が延び、西側の餓鬼山、奥鐘山、黒部川右岸へと続く[1][4]。
地質
地質は、石英斑岩、流紋岩で、その中に輝緑玢岩や安山岩質の岩脈が貫入して頂稜部を形成している[4]。八方尾根は標高1,680 - 2,100 mまでの大部分が蛇紋岩(超塩基性岩)からなり、それより上部は砂岩や泥岩などの堆積岩や花崗岩が見られる。第3ケルン(八方池)より下方は風化しやすい蛇紋岩で形成されている[22]。鎌池と第2ケルンでは風化した蛇紋岩が粘土層となり、池塘がある湿原が形成されている[22]。
周辺の山
周辺の主な山を以下に示す[1]。
山容 | 山名 | 標高 (m)[2][44] |
三角点等級 基準点名[44] |
唐松岳からの 方角と距離(km) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
鑓ヶ岳 | 2,903.2 | 三等 「鎗ヶ岳」 |
北 4.9 | 白馬三山の1峰 | |
唐松岳 | 2,695.9 | 二等 唐松谷 |
0 | 日本三百名山 | |
白岳 | 2,541 | 南南東 2.6 | 南西の肩に五竜山荘 | ||
五竜岳 | 2,814 | 南 3.2 | 日本百名山 | ||
剱岳 | 2,999 | 2,997.10 m (三等「剱岳」) |
西南西 14.2 | 日本百名山 |
源流の河川
以下の河川の源流となる山で日本海側へ流れる[1]。北東斜面の唐松沢では雪渓が見られる[5]。
八方尾根では昭和43年に大楢川の名木山・細野砂防ダムと下流の護岸工が着手され、砂防事業が開始された[45]。昭和46年に清水沢、昭和49年にかじか沢でも砂防事業が着手され、継続的に整備が行われている[45]。平成7年梅雨前線豪雨では整備された砂防ダム等で土砂流出が最小限に抑えられた[45]。
登山
2015年(平成27年)12月17日に「長野県登山安全条例」が施行され、唐松岳はその対象となる山に指定され、2016年(平成28年)7月1日から登山計画書の届出が必要となった[46]。八方アルペンラインのグラートクワッドリフトの終点駅から八方池までの登山道には、多くの観光客も訪問する[47]。八方アルペンラインは朝は8時からだが夏の最盛期には早朝5時半(2012現在)から営業する。もっとも楽なアプローチといえど高山であるので十分な装備のないまま安易に登ると事故の可能性はある。なお、7月中旬から8月上旬までは長野県内の中学生が授業の一環として行う「学校登山」の行事が行われていて、大変な賑わいを見せる。八方尾根から雪山登山が行われることがあるが、尾根広いためケルンがあっても視界が悪いとルートが分かりにくくなる[48]。1992年7月29日から後立山連峰を白馬岳から唐松岳まで縦走中の山岳部の男性(16歳)が、高山病となり発病後5日で死亡した症例がある[49]。2019年(平成30年)1月3日に唐松岳方面から下山中の2名(男性45歳と女性48歳)が悪天候のため行動不能となる山岳遭難が発生し、その後無事救出された[50]。
登山道
各方面から以下の登山道が開設されている[4]。後立山連峰縦走時に登頂されることがある。西側の黒部峡谷と祖母谷温泉からのルートは難路であったが、1986年に大黒鉱山跡まで尾根上をたどる新道に切り替えられた[3]。代表的な八方池山荘からの八方尾根のルート(無雪期・天候良好時)は初級コースとされていて[51]、長野県山岳総合センターによる「信州 山のグレーディング」で、技術的難易度が「ランクB/(A-E)」(低い-中程度)、体力度が「3/1-10」(中程度、1泊以上が適当)とされている[52]。山頂を経由して南の五竜岳方面、白馬鑓ヶ岳方面の縦走路もあるが、いずれも岩場や鎖場が多く八方尾根よりは難易度が高い[53]。特に白馬鑓ヶ岳に至る縦走路は不帰嶮と呼ばれるキレットを通過する難コースで[54]、要所には鎖や梯子が設置されている[40]。
- 八方尾根からのルート
- 八方アルペンライン(八方ゴンドラリフト「アダム」八方駅-兎平駅、アルペンクワッドリフト、グラートクワッドリフト) - 八方池山荘 - 八方ケルン(八方山) - 第2ケルン - 第3ケルン - 八方池 - 下ノ棒 - 上ノ棒 - 扇雪渓 - 丸山ケルン(丸山) - 牛首岳(唐松岳頂上山荘) - 唐松岳
- 八方池山荘から第2ケルンへは、木道がある巻き道となる[55]湿原コースと稜線コースに分かれる[47]。八方アルペンラインのグラートクワッドリフトの区間(黒菱平-八方池山荘)には、北側に並行するような遊歩道がある。八方池では、水面に映る白馬三山と不帰ノ嶮の景観が見られる[47]。八方池山荘へは八方アルペンラインの他に北尾根高原からスカイライン(北尾根クワッドリフト、黒菱第3ペアリフトとグラートクワッドリフト)で行くこともできる[14]。
- 北側の主稜線からのルート
- 鑓ヶ岳方面より - 天狗山荘 - 天狗ノ頭 - 天狗ノ大下り - 不帰キレット - 不帰嶮Ⅰ峰 - Ⅱ峰北峰 - Ⅱ峰南峰 - Ⅲ峰 - 唐松岳
- 南側の主稜線からのルー-ト
- 五竜岳方面より - 五竜山荘 - 白岳 - 大黒岳 - 牛首岳(唐松岳頂上山荘) - 唐松岳
- 欅平からのルート
- 欅平駅 - 名剣温泉 - 祖母谷温泉 - 餓鬼山 - 大黒鉱山跡 - 牛首岳(唐松岳頂上山荘) - 唐松岳
周辺の山小屋
周辺の主な山小屋をとキャンプ指定地を以下に示す[56]。西山麓の黒部峡谷にある山小屋祖母谷温泉があり、江戸時代には既に知られていた温泉で湯浴み客が訪れていた[57]。河原には露天風呂があり、立ち寄り湯として利用できる[57]。リフト終点にある村営八方池山荘のみが通年営業されていて、お風呂がある[58]。村営八方池山荘は小学校や中学校の集団登山などの宿泊にも利用されている[13]。
画像 | 名称 | 所在地 | 唐松岳からの 方角と距離(km) [注釈 3] |
標高 (m) |
収容 人数 |
キャンプ 指定地 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
山小屋祖母谷温泉 | 祖母谷と祖父谷の出合 | 西 6.8 | 780 | 40 | テント30張 | 1967年建造 | |
村営八方池山荘 | 八方尾根第1ケルン上 | 東北東 4.1 | 1,850 | 70 | 1964年5月建設[13] | ||
村営天狗山荘 | 天狗ノ頭の北、天狗池畔 | 北 3.7 | 2,730 | 88 | テント50張 | 1958年建造[59] | |
唐松岳 | 0 | 2,695.9 | |||||
唐松岳頂上山荘 | 牛首岳の肩西 | 東南東 0.4 | 2,620 | 350 | テント30張 | 1932年開業[60] | |
五竜山荘 | 白岳の肩南 | 南 2.6 | 2,780 | 300 | テント30張 | 1951年建造[61] | |
餓鬼山避難小屋 | 餓鬼山の西中腹 | 西 4.5 | 1,840 | 15 | 1986年建造 冬期閉鎖[58] |
唐松岳頂上山荘
唐松岳頂上山荘(からまつだけちょうじょうさんそう)は、唐松岳南東肩の標高2,620 m地点にある山小屋[56]。後立山連峰縦走時の白馬岳と鹿島槍ヶ岳への中継基地として重要な拠点とされている[62]。収容人数は350人で、営業期間は4月末-10月中旬(2015年の営業期間)[60]。 西側にキャンプ指定地が併設されていて、水場はない[60]。 山小屋では天水とポンプで汲み上げられた1,200 m離れた雪渓の融雪水が併用されている[63]。
1906年に白馬山荘(前進である頂上小屋)を開業した白馬館の初代経営者松沢貞逸から事業を引き継いだ二代目の下川富男が[15]、現在の唐松岳頂上山荘となる「唐松小屋」を1932年(昭和7年)7月1日に開業した[64]。日本電力の石室小屋を建設作業宿舎として使用し、建設資材は現地で払い下げを受け、6間に3間半の総2階建てで半割りの丸太外壁の山小屋であった[64]。この後20坪程増設し、収容力が増強された[64]。太平洋戦争の状況が悪化する中、下川は召集を受け華北へ出征し、1945年(昭和20年)6月に戦死した[64]。戦争中一時閉鎖を余儀なくされた唐松小屋は雪害などにより荒廃した[64]。松沢庄左エ門が小屋番となり営業を行ったが[64]、1950年(昭和25年)頃までは登山者はまだ少なかった。1954年(昭和29年)に経営を引き継いだ妻の安喜が小屋を改築した[62]。1955年(昭和30年)7月半ばには、連日の晴天で歩荷で担ぎあげていた雪渓の融雪水が涸れたために、八方池からゴム袋に水を入れて運ぶ非常事態が発生した[63]。1957年(昭和32年)に雪渓の融雪水を小屋までポンプで汲み上げられるようになった[63]。1958年(昭和33年)に八方ケーブルが開通したことを契機に、山岳ホテル的な山小屋を目指し、一時従業員のスタイルに制服と蝶ネクタイを採用していたことがあった[63]。1960年(昭和35年)に歩荷で資材を上げて本館が再建され[60]、唐松岳頂上山荘に改名された[63]。1963年(昭和38年)に北アルプスで初めてヘリコプターによる資材運搬が行われ[60]、1963年(昭和37年)に食堂を併設する新館が唐松岳側に増築された[62]。1974年(昭和59年)に冬期小屋として使用されていた旧館を取り壊し、鉄骨2階建の南館がオープンした[65]。1992年当時、京都大学医学部唐松診療所の夏山診療所が開設されていた[49]。
八方尾根のケルン
夏には霧が発生し、冬には吹雪となるこが多い八方尾根では、主に遭難者の遺族や仲間たちが犠牲者の霊を慰め、登山者の目印として高さ3-5 mの6個のケルンが設置されている[18]。最初1937年(昭和12年)10月に、八方尾根で毎年のようにスキーを楽しんでいた寺田健一・松江夫妻が銀婚式の記念に、第3ケルン(標高2,080 m、八方池付近)が建立[18]。1938年(昭和13年)7月に、1937年(昭和12年)12月26日[13]に吹雪でルートを見失って遭難死した大阪の西阪息(やすむ)の父親らが、第1ケルン(標高1,830 m)と第2ケルン(標高2,005 m、別名:息ケルン)を建立[18]。牧師だった父親は、第2ケルンの銘板に「我道也真理也」と聖書の言葉を刻んでいる[18]。1962年(昭和37年)に国鉄大宮工場山岳部(前年に遭難)が丸山ケルン(標高2,360 m)を建立した[18]。1963年(昭和38年)に東京都立石神井高等学校山岳部が創立10周辺記念に、石神井ケルン(標高1,974 m)を建立した[18]。1984年(昭和59年)に、1980年(昭和55年)12月に吹雪で道に迷った生徒5人と引率教諭1人が凍死した神奈川県の逗子開成高校が八方ケルンを建立した[18]。
観光
東山腹には白馬八方尾根スキー場と白馬ジャンプ競技場があり、長野オリンピックの会場として利用された。東斜面の八方尾根には八方ゴンドラリフト「アダム」、アルペンクワッドリフト、グラートクワッドリフトの3つからなる八方アルペンライン(総延は3,445 m、標高差1,060 m、中継駅が兎平と黒菱平)があり、八方池周辺のハイキングや唐松岳方面の登山に利用されている[66]。東山麓にはホテル、ペンションや別荘が多数あり、避暑地やスキー場の宿泊施設として利用されている。1989年頃には、白馬八方尾根スキー場の麓には、スキー客18,700人を収容する372軒の宿泊施設が密集し、10を超えるタレントショップがあった[67]。2012年から2016年までの八方尾根スキー場の月別の利用者数は下表であった[68]。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 11月 | 12月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2012年 | 2,842 | 59,439 | |||||
2013年 | 121,265 | 114,784 | 83,798 | 20,021 | 8,500 | 3,993 | 71,737 |
2014年 | 128,805 | 101,584 | 95,089 | 22,939 | 8,123 | 66,471 | |
2015年 | 123,366 | 115,323 | 88,083 | 19,955 | 14,705 | 801 | 58,154 |
2016年 | 104,169 | 119,798 |
交通・アクセス
東山麓に国道148号と長野県道322号白馬岳線が通る。東山麓には長野県道33号白馬美麻線が通じ、1998年(平成10年)2月7日に開催された長野オリンピック時に、長野会場や選手村と白馬会場を結ぶ動脈としてする路線として活用された。長野県道31号長野大町線と併せてオリンピック道路と呼ばれている。
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)大糸線白馬駅の西10 kmに位置する[5]。白馬駅の西1.7 kmに白馬八方バスターミナルがあり、アルピコ交通による新宿駅、東京駅、京都駅・大阪駅、成田空港からの高速バス、長野駅東口、松本駅からの特急バス路線が開設されている[69]。
- 黒部峡谷鉄道本線の終着駅である欅平駅の東9 kmに位置する[1]。
- 長野自動車道安曇野インターチェンジの北北西46 kmに位置する[1]。
- 八方アルペンラインのグラートクワッドリフトの終点駅(標高1,830 m)[66]の西南西4 kmに位置する[1]。
唐松岳の風景
南側の主稜線の大黒岳方面からはピラミッド型の大きな山容を望むことができる[3]。
-
南側の主稜線から望む唐松岳
-
南東側の五竜岳の遠見尾根から望む唐松岳
-
北側の天狗ノ頭方面から望む唐松岳
唐松岳からの眺望
山頂や唐松岳頂上山荘からは剱岳を望める[3]。八方尾根から鹿島槍ヶ岳と五竜岳が望める[55]。村営八方池山荘からは、白馬岳三山、不帰嶮、唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳、妙高山や戸隠山などの頸城山塊が望める[13]。澄んだ空気の日には八方尾根の第1ケルンから富士山が望める[14]。 ウィキメディア・コモンズには、唐松岳から眺望に関するカテゴリがあります。
脚注
注釈
出典
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関連項目
外部リンク
- 唐松岳頂上山荘
- 信州山岳ガイド・唐松岳 信濃毎日新聞社
- ライブカメラ・八方尾根 白馬村観光局
- 唐松岳の天気 日本気象