クロマメノキ
クロマメノキ | |||||||||||||||||||||||||||
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福島県東吾妻山 2010年7月
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
標準: Vaccinium uliginosum L. var. japonicum T.Yamaz. (1991)[1]
広義: Vaccinium uliginosum L. (1753)[2] | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
クロマメノキ(黒豆の木) | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Bog Bilberry Northern Bilberry |
クロマメノキ(黒豆の木・黒豆木[3]、学名: Vaccinium uliginosum var. japonicum、またはVaccinium uliginosum)は、ツツジ科スノキ属の落葉低木。
分布と生育環境
[編集]アジア、ヨーロッパ、北アメリカにかけた北半球の寒地に広く分布する。日本では、北海道、本州の中部地方以北に分布し、亜高山帯から高山帯の日当たりのよい岩礫地、砂礫質の草地、湿地などに群落をつくる[3]。種小名のuliginosumは、「湿地」に生えるを意味する[4]。基準標本は、スウェーデンのもの[4]。
特徴
[編集]落葉広葉樹の低木[3]。樹高は30 - 80 センチメートル (cm) になる[3]。若い枝はやや角ばり、毛は無い。葉は厚い紙質で、長さ1 - 2 ミリメートル (mm) の葉柄をもって互生する[3]。葉身は倒卵形または楕円形で、長さ1 - 3 cm、幅0.4 - 2 cmになり、先は丸く、先端に短い突起がある[3]。葉質はややかたく、両面は無毛で、表面はやや青みを帯びた緑色で、裏面はやや白みを帯び[3]、網目模様の葉脈が隆起して目立つ。葉の縁に鋸歯は無い。秋は紅葉し、赤色、ときに橙色から黄色に色づく[5]。
花期は6 - 7月。新枝の上部の葉腋ごとに長さ3 - 7 mmの花柄をもつ紅色を帯びた白色の花を1 - 3個つける[3]。花柄の下部には1 - 2枚の小包葉があり、長さ1 - 5 mmになり形状や大きさに変化が多い。萼筒は長さ 2 mmの広鐘形で、先端は5裂し、裂片は3角状円形となる。花冠は長さ5 - 7 mmあり、つぼ状筒形で、先端はややせばまって浅く5裂し、先は反曲する[3]。雄蕊は10本ある。
果期は9月ごろ[3]。果実は径7 - 10 mmの球状の液果で、黒紫色に熟し、表面には白粉がつく[3]。
食用
[編集]果実は甘く、食用になる[3]。長野県ではアサマブドウとよばれて食用にされる[3]。また、北朝鮮の白頭山付近でもツルチュクとして食用にされる。生食するほか、ジャムや果実酒、砂糖漬けに加工される[3]。
変種
[編集]- ヒメクロマメノキ Vaccinium uliginosum L. var. alpinum Bigelow. - 樹高は10-20 cmと低く、茎はマット状に横に広がる。花や果実はクロマメノキよりやや小さい。日本では、北海道、本州の中部地方以北に分布し、高山帯の岩礫地に生育する。世界では、千島、樺太、朝鮮北部、北アメリカ、グリーンランドに分布する。別名がコバノクロマメノキ(小葉の黒豆の木)[4]。
種の保全状況評価
[編集]日本の以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている[6]。
脚注
[編集]- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Vaccinium uliginosum L. var. japonicum T.Yamaz. クロマメノキ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月10日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Vaccinium uliginosum L. クロマメノキ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月10日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 高橋秀男監修 2003, p. 190.
- ^ a b c 高山植物 (1989)、276-277頁
- ^ 林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月2日、73頁。ISBN 978-4-8299-0187-8。
- ^ “日本のレッドデータ検索システム「クロマメノキ」”. (エンビジョン環境保全事務局). 2012年10月23日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
参考文献
[編集]- 高橋秀男監修 田中つとむ・松原渓著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、190頁。ISBN 4-05-401881-5。
- 豊国秀夫『日本の高山植物』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1989年9月20日。ISBN 4-635-09019-1。
- 佐竹義輔ほか編『日本の野生植物 木本Ⅱ』平凡社、1989年。
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)