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「第12代総選挙 (大韓民国)」の版間の差分

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2024年8月2日 (金) 11:36時点における版

第12代総選挙
大韓民国
1981年 ←
1985年2月12日 (1985-02-12)
→ 1988年

国会275議席
投票率 84.6%
  第1党 第2党 第3党
 
党首 全斗煥 李敏雨 柳致松
政党 民主正義党 新韓民主党 民主韓国党
獲得議席 148議席 67議席 35議席
得票数 7,040,811 5,843,827 3,930,966
得票率 35.2% 29.3% 19.7%

  第4党
 
党首 金鍾哲
政党 韓国国民党
獲得議席 20議席
得票数 1,828,744
得票率 9.2%
第12代総選
国会議事堂庁舎(ソウル特別市汝矣島)
各種表記
ハングル 제12대 총선
漢字 第十二代總選
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第12代総選挙(だい12だいそうせんきょ)は、第五共和国時代における大韓民国国会を構成する国会議員を選出するため1985年2月12日に実施された選挙である。なお、韓国では選挙の回数について「第○回」ではなく「第○代」と数える。また、名称も「総選挙」(총선거)ではなく、「総選」(총선)と二文字で表記するのが一般的である。

概要

国会議員の任期(4年)満了に伴って行われた選挙である。

全斗煥政権が実施した国民和合措置[1]によって、政治活動を解禁された政治家を主体として結成された新韓民主党(略称:新民党)が、結成からわずか一ヶ月足らずで実施された本選挙で「官製野党」と揶揄されていた民主韓国党(民韓党)を抜いて第一野党に躍進し、与党に対する政治不信と民主化を熱望する国民の強い願いを反映した選挙となった。

基礎データ

  • 大統領:全斗煥(民主正義党
  • 改選議席数:276議席
  • 議員任期:4年
  • 選挙制度中選挙区比例代表並立制.有権者は地域区の候補者のみに投票(記号式)。選挙制度に付いての詳しい解説は第11代総選挙に取り上げているのでそちらを参照のこと
  • 有権者数:23,987,830名

選挙結果

  • 投票日:1985年2月12日
  • 投票率:84.6%
総投票者数:20,286,672名
有効票数:19,974,643票[2]
党派別議席数と得票
政党名 得票数 地域区 全国区 合計
民主正義党
민주정의당
7,040,477 35.2% 87 61 148 53.6%
新韓民主党
신한민주당
5,843,827 29.3% 50 17 67 24.5%
民主韓国党
민주한국당
3,931,300 19.7% 26 9 35 12.7%
韓国国民党
한국국민당
1,828,744 9.2% 15 5 20 7.2%
新政社会党
신정사회당
288,863 1.4% 1 0 1[3] 0.3%
新民主党
신민주당
112,654 0.6% 1 0 1[3] 0.3%
その他の政党 278,750 1.4% 0 0 0 0.0%
無所属
무소속
650,028 3.2% 4 4 1.4%
合計議席 19,974,643 184 92 276 100.0%
出所:尹景徹著『分断後の韓国政治-1945~1986-』(木鐸社)。金浩鎮『韓国政治の研究』李健雨訳(三一書房)から引用。得票数は韓国中央選挙管理委員会の「歴代選挙情報システム」から引用した。議席を獲得出来なかった3政党(勤労農民党・民権党・自由民族党)の得票については「その他の政党」として合算して掲載する。
女性当選者8名[4]
党派 議席数 地域区 全国区
民主正義党 7 1 6
新韓民主党 1 1 0
合計 8 2 6
地域別議席数[5]
地域 定数 党派
民正 新民 民韓 国民 新社 新民主 無所
首都圏 ソウル特別市 28 13 14 1 0 0 0 0
仁川直轄市 4 2 2 0 0 0 0 0
京畿道 20 10 4 3 3 0 0 0
江原道  12 6 0 1 4 0 0 1
忠清道 忠清北道 8 4 2 1 1 0 0 0
忠清南道 16 8 4 4 0 0 0 0
湖南(全羅道) 全羅北道 14 7 2 1 3 0 1 0
全羅南道 22 11 5 5 0 1 0 0
嶺南(慶尚道) 釜山直轄市 12 3 6 2 1 0 0 0
大邱直轄市 6 2 2 1 1 0 0 0
慶尚北道 20 10 4 3 1 0 0 2
慶尚南道 20 10 5 4 1 0 0 0
済州道 2 1 0 0 0 0 0 1
合計 184 87 50 26 15 1 1 4
  • 略称について
民主正義党=民正、新韓民主党=新民
民主韓国党=民韓、韓国国民党=国民
新政社会党=新社党、新民主党=新民主
無所属=無所
  • 当該地域で最多の議席を獲得した政党については、議席数を太字で表示した。

解説

民正党は、地域区で第1党の議席を得た政党に全国区の議席3分の2を配分する制度によって安定過半数を確保し、第1党の座を守った。しかし新民党は、ソウルの14選挙区、釜山の6選挙区、光州仁川大田の5選挙区で全員当選を果たしただけでなく、ソウル・釜山などで候補の殆どが一位で当選した。また新民党は大都市部の票をさらって(ソウルでは新民党の得票率が40.7%に対し、民正党は27%)、得票率で与党民正党を抑えて躍進を果たした(ソウル・釜山・大邱・仁川・光州を除く地方では民主正義党が優勢)。「選挙革命」と新民党自身が呼んだこの選挙で、学生運動圏の支持など若い層の政治的関心の高まりと支援に力を得たことが新民党が躍進した大きな理由である。また、既存政治圏や野党、そして正当性を欠く全斗煥政権が行なった強圧的な政治手法と不道徳性に対する国民の不満が一気に爆発したことが新民党躍進のもう一つの理由といえる。ちなみにソウル城北区では民青学連事件で死刑判決を受けたこともある元ソウル大学学生の李哲朝鮮語版が新民党公認でトップ当選している。

当選議員

選挙区

 民主正義党   新韓民主党   民主韓国党   韓国国民党   新政社会党   新民主党   無所属 

ソウル特別市 鐘路区中区 李鍾賛 李敏雨 麻浦区龍山区 盧承煥 奉斗玩
城東区 李世基 朴容万 東大門区 宋元英 権寧禹
城北区 李哲 金正礼 道峰区 趙舜衡 洪性宇
西大門区恩平区 金在光 尹吉重 江西区 金令培 南載熙
九老区 趙淵夏 金杞培 永登浦区 朴漢相 李賛赫
銅雀区 朴実 許清一 冠岳区 金守漢 任哲淳
江南区 金炯来 李重載 江東区 金東圭 鄭男
仁川直轄市 南区中区 沈晶求 明華燮 北区東区 柳済然 金淑鉉
京畿道 水原市華城郡 李秉稷 朴旺植 城南市広州郡 李大燁 呉世応
議政府市東豆川市楊州郡 金炯光 洪禹俊 安養市光明市始興郡甕津郡 李宅敦 尹国老
富川市金浦郡江華郡 安東善 朴珪植 南楊州郡楊平郡 金永先 趙炳鳳
驪州郡利川郡龍仁郡 鄭東星 趙鍾益 松炭市平沢郡安城郡 李慈憲 柳致松
坡州郡高陽郡 李龍鎬 李英駿 抱川郡漣川郡加平郡 李漢東 金鎔采
江原道 春川市春城郡鉄原郡華川郡 李敏燮 申喆均 原州市原城郡洪川郡横城郡 金容大 咸鍾漢
東海市太白市三陟郡 金正男 金孝栄 江陵市溟州郡襄陽郡 李範俊 李奉模
束草市楊口郡麟蹄郡高城郡 鄭在哲 許景九 寧越郡平昌郡旌善郡 沈明輔 辛敏善
忠清北道 清州市清原郡 鄭宗沢 金顕秀 忠州市中原郡堤川市堤原郡丹陽郡 李春九 李宅熙
報恩郡沃川郡永同郡 朴俊炳 李龍熙 鎮川郡槐山郡陰城郡 金宗鎬 金完泰
忠清南道 大田市東区 宋千永 南在斗 大田市中区 姜昌熙 金泰龍
天安市天原郡牙山郡 鄭善昊 鄭在原 大徳郡錦山郡燕岐郡 千永星 柳漢烈
論山郡公州郡 鄭石謨 金漢洙 扶余郡舒川郡保寧郡 李相翊 金玉仙
青陽郡洪城郡礼山郡 崔昌圭 金聖植 瑞山郡唐津郡 金顕彧 張基旭
全羅北道 全州市完州郡 李哲承 林芳鉉 群山市沃溝郡 高建 金奉旭
裡里市益山郡 金得洙 趙南照 鎮安郡茂朱郡長水郡 全炳宇 金光洙
南原市任実郡南原郡淳昌郡 梁昶植 崔容安 井州市井邑郡高敞郡 全鐘千 柳甲鐘
金堤郡扶安郡 崔洛道 趙尚来
全羅南道 光州市東区北区 辛基夏 高貴男 光州市西区 金禄永 李栄一
木浦市務安郡新安郡 崔永喆 林鐘基 麗水市麗川郡光陽郡 金在鎬 慎順範
順天市求礼郡昇州郡 柳瓊賢 許京万 錦城市羅州郡光山郡 羅碩昊 李載根
潭陽郡谷城郡和順郡 具龍相 高在清 高興郡宝城郡 李大淳 柳晙相
長興郡康津郡霊岩郡莞島郡 金湜 李永権 海南郡珍島郡 丁時采 金琫鎬
霊光郡咸平郡長城郡 曺淇相 李震淵
大邱直轄市 中区西区 兪成煥 李万燮 東区北区 金瑢泰 睦尭相
南区寿城区 李致浩 辛道煥
慶尚北道 浦項市迎日郡鬱陵郡 朴敬錫 徐鍾烈 慶州市月城郡清道郡 朴権欽 金一潤
金泉市金陵郡尚州郡 金相球 李在玉 安東市安東郡義城郡 権正達 金永生
亀尾市善山郡軍威郡漆谷郡 朴在鴻 金鉉圭 栄州市栄豊郡英陽郡奉化郡 呉漢九 洪思徳
達城郡高霊郡星州郡 金鍾基 李龍沢 青松郡盈徳郡蔚珍郡 金重権 黄昞禹
永川市永川郡慶山郡 廉吉正 権五台 聞慶郡醴泉郡 蔡汶植 潘亨植
釜山直轄市 中区東区影島区 金正吉 朴燦鍾 西区沙下区 徐錫宰 郭正出
釜山鎮区 姜慶植 金正秀 東萊区 李健一 朴寛用
南区海雲台区 李基沢 柳興洙 北区 張聖万 文正秀
慶尚南道 馬山市 姜三載 禹炳奎 蔚山市蔚州郡 金泰鎬 沈完求
晋州市晋陽郡三千浦市泗川郡 安秉珪 李尚玟 昌原市鎮海市義昌郡 裵命国 黄珞周
忠武市統営郡巨済郡固城郡 鄭順徳 金奉祚 宜寧郡咸安郡陜川郡 柳尚昊 趙洪来
密陽郡昌寧郡 申相式 朴一 金海市金海郡梁山郡 李載雨 金東周
南海郡河東郡 朴翊柱 崔致煥 山清郡咸陽郡居昌郡 権翊鉉 金東英
済州道 全道 玄敬大 梁正圭

全国区

民主正義党 李載灐 陳懿鍾 盧泰愚 王相殷 兪学聖 李相宰 徐廷華 朴鍾汶 姜慶植 黄寅性
朴東鎮 李龍薫 羅雄培 趙一文 権重東 李成烈 金賢子 裵成東 玄鴻柱 李永旭
金栄作 曺祥鉉 金栄禎 安甲濬 金聖基 趙鍾昊 李相羲 柳根桓 韓良順 洪鍾旭
鄭昌和 金鍾仁 金栄亀 崔秉烈 康容植 宋庸植 池蓮泰 任斗彬 鄭顕檠 陳治範
崔永徳 任煐得 金潗 池甲鍾 崔明憲 李鍾律 趙庚穆 金炯孝 金学俊 徐廷和
金斗宗 梁慶子 文熹甲 金良培 鄭輝東 金長淑 朴恵敬 李轍雨 安永和 崔祥鎮
李聖浩
新韓民主党 辛達洙 林春元 高漢俊 金炯璟 鄭在文 韓錫奉 尹栄卓 辛秉烈 朴鍾律 趙永寿
金炳洙 金東旭 李佶範 金容午 張忠準 崔薫 申敬説
民主韓国党 李泰九 朴海充 申宰休 孫泰坤 鄭相九 崔雲芝 申東準 黄大鳳 宋鉉燮
韓国国民党 金鍾哲 鄭始鳳 文炳夏 金奎元 崔載九

繰上当選

日付 当選者 名簿政党名 欠員 欠員事由
1985 8.1 李進 民主正義党 金聖基 法務部長官に指名
鄭好根 民主正義党 黄寅性 農水産部長官に指名
金重緯 民主正義党 文熹甲 経済計画院次官に指名
9.17 朴聖泰 民主正義党 金栄作 辞職
9.19 金正均 民主正義党 朴恵敬 辞職
1986 9.3 金泰守 民主正義党 李鍾律 青瓦台公報首席に指名
10.13 洪熙杓 民主正義党 金良培 光州市長に任命
11.14 趙容直 韓国国民党 金鍾哲 死去
1987 7.13 金文起 民主正義党 羅雄培 商工部長官に指名
12.20 鄭東允 民主正義党 盧泰愚 大統領に選出
1988 3.29 沈国茂 民主正義党 金学俊 辞職
5.11 金鍾烈 民主正義党 朴東鎮 駐米大使に任命

選挙後の情勢

新民党が躍進したこの総選挙で、政治環境に変化が現れ始め、民正党内の穏健派が力を持つようになった。また新民党は大統領の直接選挙制を復活させるための「改憲署名運動」など対与党の強硬な闘争を行なうようになり、6・29民主化宣言へと繋がって行き、第五共和国の終焉を早める作用として機能した。一方で「やらせ野党」、「さくら野党」と揶揄されていた民韓党は、選挙後直後から所属議員の新民党への集団脱党が相次いだことで最終的に3議席という群小政党に転落し、解体への道を歩むことになった。新民党は民韓党など他党からの入党者で、5月までに所属議員数が102人となり、総議席数の三分の一を上回り、国会召集権を単独で確保するまでになった。

脚注

  1. ^ 1983年12月から1年余りにわたって政府が実施した措置の名称で、学生デモで除籍された大学生の復学容認、学園(大学)における公権力(警察)介入を抑え学内における政治活動を容認する学園自立化措置、政治活動規制解禁措置などが行われた。和合措置は、これまでの強権的統治を改め穏健路線を内外にアピールする為に行われたものであるが、政府の思惑とは裏腹に学生や在野政治人による民主化運動を活発化させる結果となった。
  2. ^ 選挙人数と総投票者数、有効票数は、韓国中央選挙管理委員会の「歴代選挙情報システム」より引用
  3. ^ a b 3月に新韓民主党に入党
  4. ^ 春木育美著『現代韓国と女性』新幹社。158頁“「韓国女性の政治参画」表5-1歴代女性国会議員”、173頁“(4)全斗煥政権及び盧泰愚政権初期”
  5. ^ 韓国日報1985年2月14日付6~7面「12代議員、地域区184名・得票最終集計」(6面)(7面)を引用して作成した。なお、記事において慶尚南道で新社党の当選者1名となっているが、新韓民主党の誤りである。

参考文献

関連項目

外部リンク