ロジユニヴァース
ロジユニヴァース | |||||||||||||||
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2008年12月27日 阪神競馬場 | |||||||||||||||
欧字表記 | Logi Universe | ||||||||||||||
品種 | サラブレッド | ||||||||||||||
性別 | 牡 | ||||||||||||||
毛色 | 鹿毛 | ||||||||||||||
生誕 | 2006年3月11日(18歳) | ||||||||||||||
登録日 | 2008年4月 | ||||||||||||||
抹消日 | 2013年10月30日 | ||||||||||||||
父 | ネオユニヴァース | ||||||||||||||
母 | アコースティクス | ||||||||||||||
母の父 | Cape Cross | ||||||||||||||
生国 | 日本(北海道勇払郡安平町) | ||||||||||||||
生産者 | ノーザンファーム | ||||||||||||||
馬主 | 久米田正明 | ||||||||||||||
調教師 | 萩原清(美浦南) | ||||||||||||||
競走成績 | |||||||||||||||
生涯成績 | 10戦5勝 | ||||||||||||||
獲得賞金 | 3億4332万3000円 | ||||||||||||||
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ロジユニヴァース (Logi Universe) は日本の競走馬、種牡馬。2009年の東京優駿を制した。馬名の意味は冠名の「ロジ」と父・ネオユニヴァースの馬名の一部である「ユニヴァース」を組み合わせたもの。
経歴
2歳(2008年)
5月13日に萩原清厩舎へ入厩。阪神競馬場でのデビュー戦を見据え6月上旬ごろに同じ萩原厩舎の3頭とともに栗東トレーニングセンターに移動して調教された。デビュー戦では武豊が騎乗し、中団追走から最後の直線で抜け出し2着に半馬身差をつけ初勝利を挙げた[注釈 1]。
レース後、いったんノーザンファームで休養に入った。復帰戦はコスモス賞が予定されていたが9月中旬にそのまま札幌競馬場へ入厩し、札幌2歳ステークスに出走した。デビュー戦で騎乗した武は凱旋門賞へ騎乗するためにフランスへ遠征していることもあり代わって横山典弘が騎手を務めた。レースでは道中7番手から追走して最後の直線で差し切り、重賞初勝利を挙げた[注釈 2]。レース後はふたたびノーザンファームに放牧に出された。その後12月27日のラジオNIKKEI杯2歳ステークスに出走、単勝2番人気だったが最後の直線で逃げるリーチザクラウンをかわすと4馬身の差をつけ1着で3連勝を飾った。
3歳(2009年)
明け3歳の緒戦には、3月8日の弥生賞が選ばれた。単勝オッズは1.3倍と圧倒的な1番人気に支持され、直前にほかの有力馬が回避したこともあり10頭立てと少頭数で行われたレースでは稍重馬場のなか、スタート良く飛び出すと鞍上の横山が一気に先頭を奪って逃げるという展開に持ち込み、1000メートル通過を62秒台というスローペースで終始リードを保ったまま、最後の直線ではさらに他馬を突き放して1着となった[注釈 3]。
迎えた4月19日の皐月賞では単勝オッズ1.7倍の圧倒的1番人気に支持されたが、皐月賞ではもっとも不利といわれる最内枠1番からの発走で、道中は先行するも直線を迎える前に後続馬群に飲み込まれ14着と大敗した[注釈 4]。この年の皐月賞は前半1000メートルが59秒1というハイペースであり、先行した馬は一頭も5着以内に入れなかった。
巻き返しを狙い、続いて5月31日の第76回日本ダービーに出走。大雨が降り泥濘のなかの不良馬場であったが、レースはジョーカプチーノが逃げを打ち、リーチザクラウンが追走するなか、3番手の位置につける展開から最後の直線で内を抜け出て先頭に立つとそのまま押し切り、リーチザクラウンに4馬身差を付けて優勝を果たした[注釈 5][注釈 6][注釈 7](レース詳細は第76回東京優駿を参照)。また鞍上の横山もダービー初制覇で、関東所属馬の東京優駿制覇は1997年のサニーブライアン以来12年ぶりであった。またこの勝利によって2004年皐月賞をダイワメジャーが制して以来続いていた関東馬の牡馬クラシックでの連敗を15で止めた(レースに関する詳細については第76回東京優駿を参照)。
夏を休養に充て、9月12日に美浦トレーニングセンターへ帰厩したが[1]、前脚が外向している影響により脚元への負担からくる右後肢の疲れが発生したため、復帰の目処が立つまでに手間取った[2]。秋はステップレースを使わずにジャパンカップへ直行することになったが、11月25日に坂路で最終追い切りを行ったあとに、左後肢に筋肉痛を発症し同レースを回避[3]、山元トレーニングセンターへ放牧された。続く第54回有馬記念も回避することになった。
2010年1月6日、2009年度のJRA賞最優秀3歳牡馬に選出される[4]。
4歳(2010年)
3月27日の日経賞でダービー以来約10か月ぶりに復帰し、1番人気となった。道中は2番手を追走したが最後の直線で伸びを欠き後続にかわされ、ダイワワイルドボアと同着の6着に敗れた。レース後は春の天皇賞に向け調整されていたが、体調が整わないため同レースを回避し、放牧に出されることになった[5]。放牧をはさみ、6月27日の宝塚記念では、日経賞まで騎乗していた横山典弘がブエナビスタへの騎乗が決まっていたため、安藤勝己との初コンビで出走した。道中は3番手でレースを進めるも最後の直線で失速してしまい13着と大敗した。宝塚記念後は山元トレセンで調整を積み、続く8月22日の札幌記念で鞍上は横山典弘が務めた。道中2番手からレースを運び、最後の直線でいったんは先頭に並びかけるものの、最後はアーネストリーに交わされ2着に敗れた。
5歳(2011年)- 7歳(2013年)
2012年8月19日の札幌記念で2年ぶりに復帰したが、横山が競走後「ある程度は覚悟していたが、別の馬みたいだった」[7]と語ったように最早ダービーを制した3歳時の面影は無く、大差の最下位14着に敗れた[8]。
その後再び1年以上戦線離脱していたが、この札幌記念以降レースに出走することなく2013年10月30日付で競走馬登録を抹消し引退。2014年春より優駿スタリオンステーションにて種牡馬入りすることになった[9]。
種牡馬時代
主な産駒
競走成績
年月日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ (人気) |
着順 | 騎手 | 斤量 [kg] |
距離(馬場) | タイム (上3F) |
タイム 差 |
勝ち馬/(2着馬) | ||
2008. | 7. | 6 | 阪神 | 2歳新馬 | 12 | 6 | 8 | 2.9(2人) | 1着 | 武豊 | 54 | 芝1800m(良) | 1:49.1 (34.4) | -0.1 | (プロスアンドコンズ) | |
10. | 4 | 札幌 | 札幌2歳S | JpnIII | 14 | 3 | 4 | 4.0(1人) | 1着 | 横山典弘 | 55 | 芝1800m(良) | 1:49.1 (36.0) | -0.2 | (イグゼキュティヴ) | |
12. | 27 | 阪神 | ラジオNIKKEI杯2歳S | JpnIII | 11 | 6 | 6 | 5.8(2人) | 1着 | 横山典弘 | 55 | 芝2000m(良) | 2:01.7 (37.1) | -0.7 | (リーチザクラウン) | |
2009. | 3. | 8 | 中山 | 弥生賞 | JpnII | 10 | 8 | 10 | 1.3(1人) | 1着 | 横山典弘 | 56 | 芝2000m(稍) | 2:03.5 (35.8) | -0.4 | (ミッキーペトラ) |
4. | 19 | 中山 | 皐月賞 | JpnI | 18 | 1 | 1 | 1.7(1人) | 14着 | 横山典弘 | 57 | 芝2000m(良) | 2:00.6 (37.0) | 1.9 | アンライバルド | |
5. | 31 | 東京 | 東京優駿 | JpnI | 18 | 1 | 1 | 7.7(2人) | 1着 | 横山典弘 | 57 | 芝2400m(不) | 2:33.7 (39.2) | -0.7 | (リーチザクラウン) | |
2010. | 3. | 27 | 中山 | 日経賞 | GII | 15 | 8 | 15 | 3.0(1人) | 6着 | 横山典弘 | 58 | 芝2500m(稍) | 2:34.4 (35.5) | 0.3 | マイネルキッツ |
6. | 27 | 阪神 | 宝塚記念 | GI | 17 | 5 | 9 | 8.9(5人) | 13着 | 安藤勝己 | 58 | 芝2200m(稍) | 2:14.2 (37.5) | 1.2 | ナカヤマフェスタ | |
8. | 22 | 札幌 | 札幌記念 | GII | 16 | 5 | 10 | 9.2(5人) | 2着 | 横山典弘 | 57 | 芝2000m(良) | 1:59.7 (35.8) | 0.3 | アーネストリー | |
2012. | 8. | 19 | 札幌 | 札幌記念 | GII | 14 | 1 | 1 | 21.8(7人) | 14着 | 横山典弘 | 57 | 芝2000m(良) | 2:04.3 (39.1) | 5.6 | フミノイマージン |
血統
ロジユニヴァースの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | サンデーサイレンス系(ヘイロー系) |
[§ 2] | ||
父 ネオユニヴァース 2000 鹿毛 |
父の父 *サンデーサイレンスSunday Silence 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason | |
Cosmah | ||||
Wishing Well | Understanding | |||
Mountain Flower | ||||
父の母 *ポインテッドパスPointed Pass 1984 栗毛 |
Kris | Sharpen Up | ||
Doubly Sure | ||||
Silken Way | Shantung | |||
Boulevard | ||||
母 アコースティクス 2001 鹿毛 |
Cape Cross 1994 鹿毛 |
Green Desert | Danzig | |
Foreign Courier | ||||
Park Appeal | Ahonoora | |||
Balidaress | ||||
母の母 *ソニンクSoninke 1996 黒鹿毛 |
Machiavellian | Mr.Prospector | ||
Coup de Folie | ||||
Sonic Lady | Nureyev | |||
Stumped | ||||
母系(F-No.) | ソニンク系(FN:B3) | [§ 3] | ||
5代内の近親交配 | Halo3×5、Northern Dancer5・5(母内) | [§ 4] | ||
出典 |
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本馬はイギリス半血馬血統の牝系を持つ馬として史上初めて八大競走を制した馬である。
血統背景
- 母アコースティクスの半妹にモンローブロンド(父アドマイヤベガ。2004年ファンタジーステークス2着)、半弟にノットアローン(父アグネスタキオン。2008年若葉ステークス)、ランフォルセ(父シンボリクリスエス。2011年エルムステークス、2012年ダイオライト記念、2013年浦和記念、2014年佐賀記念)、ノーザンリバー(父アグネスタキオン。2011年アーリントンカップ、2013年カペラステークス、2014年東京スプリント、さきたま杯、東京盃)
- 祖母ソニンクの全弟にMudallel(ガルフニュースナドアルシバスプリント)
- 曾祖母Sonic Lady(1986年アイリッシュ1000ギニー、サセックスステークス、ムーランドロンシャン賞。ムーランドロンシャン賞では日本から遠征していたギャロップダイナを降している)
- 4代母StumpedはイギリスGIII1勝
- そのほか近親にはLord of Men(サラマンドル賞)や Attraction(1000ギニーなどGI5勝)、ソーブレスド(ジュライカップ、イングランドと日本で種牡馬として供用[11])などがいる。
脚注
注釈
- ^ ネオユニヴァースにとっては、ロジユニヴァースの勝利が中央・地方を通じた産駒の初勝利となった。また、馬主の久米田正明にとっても初出走で初勝利となった。
- ^ ネオユニヴァースにとって産駒の重賞初勝利。馬主にとっても重賞初勝利である。
- ^ 関東馬が1番人気で弥生賞を制したのは、ミスターシービー以来26年ぶり。
- ^ 皐月賞で1番人気馬が二桁着順に敗れたのは1989年のサクラホクトオー以来、史上4頭目だった。
- ^ 父ネオユニヴァースに継ぐ東京優駿史上6頭目の父子制覇となった。
- ^ 皐月賞二桁着順から巻き返したのは1986年のダイナガリバー以来23年ぶりであり、皐月賞1番人気で二桁着順からのダービー制覇は1961年のハクシヨウ以来48年ぶりであった。
- ^ 馬場状態が「不良」だったこともあり、勝ち時計2分33秒7という記録は、過去に例を見ても1969年のダイシンボルガードが2分35秒1を記録してから、以降40年間の東京優駿でもっとも遅い記録であった。
出典
- ^ “【JC】ロジユニ回避!追い切り後に異常判明”. スポニチ (2009年11月26日). 2009年11月27日閲覧。
- ^ “【JC】ロジ回避濃厚…アクシデントか”. サンケイスポーツ (2009年11月26日). 2009年11月27日閲覧。
- ^ “筋肉痛だったロジユニ…インティライミがJC繰り上がり”. スポニチ (2009年11月27日). 2009年11月27日閲覧。
- ^ "最優秀3歳牡馬 ロジユニヴァース".スポニチ(2010-1-7).2010年1月7日 閲覧
- ^ "ロジユニヴァース、天皇賞回避".競馬ブック(2010-4-17).2010年4月17日 閲覧
- ^ “09年ダービー馬ロジユニヴァース帰厩、年明けAJCC出走予定”. Gallop Online (2011年12月9日). 2012年2月1日閲覧。
- ^ “【札幌記念】戦い終えて”. スポーツニッポン (2012年8月20日). 2013年4月3日閲覧。
- ^ “【札幌記念】まくり炸裂!フミノイマージン快勝”. SANSPO.COM. 産経デジタル (2012年8月19日). 2013年4月3日閲覧。
- ^ “09年ダービー馬ロジユニヴァースが現役引退 種牡馬入りへ”. スポニチ (2013年10月30日). 2013年10月30日閲覧。
- ^ “ロジユニヴァースの種牡馬情報”. 競馬ラボ. 2020年6月14日閲覧。
- ^ 山野浩一「'83三歳新種牡馬レヴュー (1)」『優駿』、日本中央競馬会、1983年8月、110頁。