レーシング・ポイント
活動拠点 |
イギリス ( イングランド) ノーサンプトンシャー州シルバーストン |
---|---|
創設者 | ローレンス・ストロール |
スタッフ |
オトマー・サフナウアー(チーム代表) アンディ・スティーブンソン(スポーティングディレクター) スティーブ・カーナウ(コマーシャルディレクター) アンドリュー・グリーン(テクニカルディレクター) トム・マカロー(チーフレースエンジニア) |
ドライバー |
セルジオ・ペレス エステバン・オコン ランス・ストロール ニコ・ヒュルケンベルグ |
参戦年度 |
2019年 - 2020年 (※2018年はフォース・インディア名義) |
出走回数 |
※9(2018年) 38 |
コンストラクターズ タイトル | 0 |
ドライバーズタイトル | 0 |
優勝回数 | 1 |
通算獲得ポイント |
※52(2018年) 268 |
表彰台(3位以内)回数 | 3 |
ポールポジション | 1 |
ファステストラップ | 0 |
F1デビュー戦 |
※2018年ベルギーGP (フォース・インディア名義) 2019年オーストラリアGP |
初勝利 | 2020年サクヒールGP |
最終勝利 | 2020年サクヒールGP |
最終戦 | 2020年最終戦アブダビGP |
レーシング・ポイントUKリミテッド(Racing Point UK Limited)はかつて存在した、2018年に発足したF1のコンストラクター。
同年半ばから、前身のフォース・インディアを引き継いで緊急参戦。翌年から正式に始動し、2020年まで活動した。翌2021年から改称して「アストンマーティンF1」に移行している。
概要
[編集]2008年から参戦していたフォース・インディアを買収し、2018年シーズン半ばより参戦しているF1チーム。元をたどるとジョーダン・グランプリ(1991年 - 2005年)→MF1レーシング(2006年)→スパイカーF1(2007年)→フォース・インディア(2008年 - 2018年)と続く系譜に連なるチームである。なお登記上は、レーシング・ポイントはフォース・インディアとのつながりは無く[1]、ジョーダン・グランプリ以来続いていた法人としてのフォース・インディア・フォーミュラワン・Limitedは消滅することになった[2]。
シーズン
[編集]2018年
[編集]かねてから深刻な資金難に陥っていたフォース・インディアは、ハンガリーGPにてチームの破産手続きを開始したと発表[3]。債権者の一人でもあったドライバーのセルジオ・ペレスは、チームを破綻から救うために断腸の思いで手続きを決断したと語った[4]。これによってチームは管財人の管理下で売却先を求めることになり、2017年よりF1参戦しているランス・ストロールの父親で資産家のローレンス・ストロールが率いるコンソーシアムへの売却が決まった[5]。そして新会社、レーシング・ポイント UK Limitedを設立した[1][6]。新会社はチームの資産を購入し、チームで働く400人の従業員の雇用を確保することで管理者と合意に達した[7][8]。そしてその資産を活用して、元フォース・インディアの空いたエントリーを引き継いで新たなコンストラクターとして、第13戦ベルギーGPよりチーム名を「レーシング・ポイント・フォース・インディア・F1チーム」に変更、また国籍はインドからイギリスに変更された[9]。
FIAからの承認を受けて同GPからの出場は可能になったが、新規参戦チームとして扱われ、ハンガリーGPまでのコンストラクターズポイントは無効とされた(ドライバーズポイントに関してはそのまま保持)。レーシング・ポイントUK社は、2010年以来チームでCOOを務めてきたオットマー・サフナウアーをチーム代表兼CEOに指名。副代表としてチームを率いてきたロバート・ファーンリーは退任することも発表された。それ以外の上層部の人事には変更はない[10]。
新生フォース・インディアの初戦となったベルギーGPは、雨による混乱のあった予選でエステバン・オコンが3位、ペレスが4位とグリッドの2列目を占め、決勝でもペレスが5位、オコンが6位とダブル入賞を果たした。ポイントが無効とされた当時、59ポイントでコンストラクターズ・ランキングの5位につけていたが、ベルギーGP以降52ポイントを獲得し、ランキング7位まで盛り返した。
2019年
[編集]今期から正式に、コンストラクター名を「レーシング・ポイント」で承認。ケニアのオンラインブックメーカー「スポーツペサ」がタイトルスポンサーに就任し、「スポーツペサ・レーシング・ポイントF1チーム」の名で参戦を開始[11]。ペレスが残留し、ウィリアムズからランス・ストロールが移籍した。エンジンの供給は引き続きメルセデスが請け負うが、2017年よりスポンサーを務めるBWTの名称を冠して「BWTメルセデス」の名で登録する[12]。
シーズンは、序盤戦こそまずまずのスタートを切ったものの、早い段階から下位に低迷した。これは昨シーズン途中のチーム消滅で予算の不透明な問題が響き、来期の開発に注力出来なかったのも影響した。しかし後半戦から立て直し、特にペレスの奮闘で大きくV字回復を遂げている[13]。反面ストロールは、ドイツGPで今期チーム最高の4位を記録した以外は伸び悩んだ。そのため、昨シーズンの実質成績(フォース・インディア59Pとレーシング・ポイント52Pの合算111ポイント)からは後退している[14]。
2020年
[編集]マシン・ドライバー・エンジンサプライヤー共に、昨シーズンのラインナップを継続。スポーツペサがタイトルスポンサーを降板し、以前からパートナーシップを組む「BWT」が新たに就任[15]。今期のエントリー名は、「BWT・レーシング・ポイントF1チーム」となる[16]。
レーシングポイントから「アストンマーティン」へ
[編集]2020年1月、チームのオーナーであるローレンス・ストロール率いる投資家グループが、イギリスの有名な自動車メーカーブランド「アストンマーティン」の株式を取得し、企業の大株主に就く[17]。そしてコンストラクター名の「レーシングポイント」を改称することになり、翌2021年シーズンより61年ぶりに「アストンマーティン」によるコンストラクター名の復帰が明らかとなった。これにより現体制(製造者名)では、 2020年シーズンが最後の参戦になる[18]。
戦績
[編集]※2018年のコンストラクター登録は「フォース・インディア」名義
年 | シャシー | エンジン | タイヤ | ドライバー | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | ポイント | 順位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2018年 | フォース・インディア VJM11 | メルセデス・M09 EQ Power+ 1.6L V6ターボ |
P | AUS |
BHR |
CHN |
AZE |
ESP |
MON |
CAN |
FRA |
AUT |
GBR |
GER |
HUN |
BEL |
ITA |
SIN |
RUS |
JPN |
USA |
MEX |
BRA |
ABU |
52 | 7位 | |
セルジオ・ペレス | 5 | 7 | 16 | 10 | 7 | 8 | Ret | 10 | 8 | ||||||||||||||||||
エステバン・オコン | 6 | 6 | Ret | 9 | 9 | DSQ | 11 | 14 | Ret | ||||||||||||||||||
2019年 | レーシング・ポイント RP19 | BWTメルセデス 1.6L V6ターボ |
P | AUS |
BHR |
CHN |
AZE |
ESP |
MON |
CAN |
FRA |
AUT |
GBR |
GER |
HUN |
BEL |
ITA |
SIN |
RUS |
JPN |
MEX |
USA |
BRA |
ABU |
73 | 7位 | |
セルジオ・ペレス | 13 | 10 | 8 | 6 | 15 | 12 | 12 | 12 | 11 | 17 | Ret | 11 | 6 | 7 | Ret | 7 | 8 | 7 | 10 | 9 | 7 | ||||||
ランス・ストロール | 9 | 14 | 12 | 9 | Ret | 16 | 9 | 13 | 14 | 13 | 4 | 17 | 10 | 12 | 13 | 11 | 9 | 12 | 13 | 19† | Ret | ||||||
2020年 | レーシング・ポイント RP20 | BWTメルセデス 1.6L V6ターボ |
P | AUT |
STY |
HUN |
GBR |
70A |
ESP |
BEL |
ITA |
TUS |
RUS |
EIF |
POR |
EMI |
TUR |
BHR |
SKH |
ABU |
195 (210) |
4位 | |||||
セルジオ・ペレス | 6 | 6 | 7 | WD | 5 | 10 | 10 | 5 | 4 | 4 | 7 | 6 | 2 | 18† | 1 | Ret | |||||||||||
ニコ・ヒュルケンベルグ | DNS | 7 | 8 | ||||||||||||||||||||||||
ランス・ストロール | Ret | 7 | 4 | 9 | 6 | 4 | 9 | 3 | Ret | Ret | WD | Ret | 13 | 9 | Ret | 3 | 10 |
ギャラリー
[編集]パワーユニット型(2018年 - 2020年)
脚注
[編集]- ^ a b “AMR GP LIMITED”. Companies House. 2023年5月25日閲覧。
- ^ “FORCE INDIA FORMULA ONE LIMITED”. Companies House. 2023年5月26日閲覧。
- ^ “フォース・インディア、破産手続きを開始”. F1-Gate.com (2018年7月28日). 2018年8月9日閲覧。
- ^ “ペレス、フォース・インディアF1破産申請の経緯を明かす。「スタッフに法的措置を請われ断腸の思い」”. AUTOSPORTweb (2018年7月31日). 2018年8月9日閲覧。
- ^ “消滅危機のフォース・インディアF1をストロール父が救済。チームは新オーナーのもと、活動継続へ”. AUTOSPORTweb (2018年8月8日). 2018年8月9日閲覧。
- ^ “レーシングポイント、フォースインディアの資産のみを買収”. F1-Gate.com (2018年8月24日). 2018年8月25日閲覧。
- ^ “FIA Approves Mid-Season Entry from Racing Point Force India”. FIA (23 August 2018). 6 March 2019閲覧。
- ^ Brooks, Roddy (8 August 2018). “Lance Stroll's father agrees Force India takeover deal to save all 405 jobs”. Independent 21 August 2018閲覧。
- ^ “レーシングポイント、フォースインディアの資産のみを”. F1-Gate.com (2018年8月24日). 2018年8月25日閲覧。
- ^ “新生“レーシング・ポイント・フォース・インディア”のF1参戦が承認。チーム譲渡により前半戦のポイントは取り消しに”. AUTOSPORTweb (2018年8月24日). 2018年8月25日閲覧。
- ^ “レーシングポイント、2019年F1マシンのカラーリングを披露”. オートスポーツweb (2019年2月14日). 2019年2月14日閲覧。
- ^ “レーシングポイント、2019年のF1エンジンを「BWT-Mercedes」とネーミング”. FORMULA1-DATA.com (2019年3月4日). 2019年12月21日閲覧。
- ^ “「レーシングポイントF1にとって困難なシーズンだったが、いい仕事ができた」ペレス、2020年の飛躍に期待”. オートスポーツweb (2019年12月25日). 2020年1月8日閲覧。
- ^ “F1プライベーター通信簿(5):レーシングポイント|浮き沈みが激しかった1年”. Motorsport.com (2019年12月21日). 2020年1月8日閲覧。
- ^ “飛躍の基礎を築けるか。レーシングポイント、新車『RP20』のカラーリングを発表”. motorsport.com (2020年2月17日). 2020年2月18日閲覧。
- ^ “レーシングポイントF1、2020年の新車「RP20」とチーム名変更を発表”. FORMULA1-DATA.com (2020年2月19日). 2020年2月22日閲覧。
- ^ “ストロール父がアストンマーチン大株主に。レーシングポイントの名称も変更へ”. motorsport.com (2020年1月31日). 2020年2月18日閲覧。
- ^ “2020年型レーシングポイントF1マシン『RP20』”. オートスポーツweb (2020年2月17日). 2020年2月18日閲覧。
外部リンク
[編集]- 公式ウェブサイト
- BWT Racing Point F1 Team (@RacingPointF1) - X(旧Twitter)