マノー・レーシング
エントリー名 |
マノー・レーシング Manor Racing MRT |
---|---|
チーム国籍 | イギリス |
チーム本拠地 |
イギリス ( イングランド) オックスフォード州バンベリー |
主なチーム関係者 |
スティーブン・フィッツパトリック トーマス・メイヤー デイブ・ライアン ジョン・マッキリアム ニコラス・トンバジス ルカ・フルバット パット・フライ |
主なドライバー |
リオ・ハリアント エステバン・オコン パスカル・ウェーレイン |
以前のチーム名称 |
マノー・マルシャF1チーム (2012 - 2015) |
撤退後 | チーム消滅 |
F1世界選手権におけるチーム履歴 | |
参戦年度 | 2016年 |
出走回数 | 21 |
コンストラクターズ タイトル | 0 |
ドライバーズ タイトル | 0 |
優勝回数 | 0 |
通算獲得ポイント | 1 |
表彰台(3位以内)回数 | 0 |
ポールポジション | 0 |
ファステストラップ | 0 |
F1デビュー戦 | 2016年オーストラリアGP |
最後のレース | 2016年アブダビGP |
マノー・グランプリ・レーシング・リミテッド(Manor Grand Prix Racing Limited)は、2016年のF1世界選手権に参戦したイギリスのレーシングコンストラクターである。チームの名称としては、マノー・レーシング(Manor Racing)やMRT(Manor Racing Team)、マノーGPなどと呼ばれた。本拠地はイングランドのオックスフォード州バンベリー。
概要
[編集]2015年に参戦していたマノー・マルシャF1チームが名称を変更し、2016年よりF1に参戦。2016年1月19日、チーム名をマノー・レーシングへ名称を変更すると発表した[1]。
チーム国籍は本拠地のあるイギリスのまま変更は無いが、運営は2015年までのマノー・モータースポーツ(Manor Motorsport)から、新たに設立された「Just Racing Services Ltd」に移管された[2][3]。マノー・モータースポーツは2016年よりFIA 世界耐久選手権(WEC)に参戦しているが[4]、F1チームとは全くの別法人となったため関係はない。
このチームは元を辿るとヴァージン・レーシング(2010-2011)→マルシャF1チーム(2012-2014)→マノー・マルシャF1チーム(2015)といった系譜に連なるチームである。
2016年シーズン終了後、新たな売却先との交渉を行ったが決裂し翌2017年1月に破産、チームは消滅した。
歴史
[編集]2016年
[編集]ドライバーについては、既に他チームのシートが全て埋まっており、マノーの2席しか空きがなかったためシート争いが加熱。様々な若手ドライバーの噂がささやかれた。有力な候補として前年所属したウィル・スティーブンス[5]とアレクサンダー・ロッシ[6]、支援者の多いパスカル・ウェーレイン[7]、リオ・ハリアント[8]等が挙がっていたが、マノー側がシートマネーとして1,000万ドル(約12億円)もの大金を要求したこともあり契約がなかなかまとまらずにいた[9][10]。その中で2月11日、1人目のドライバーとしてウェーレインの起用を発表[11]。残る1席については先述した3名がシェアするとの噂が報道されたが[12]、18日にハリアントの起用が正式発表された[13]。ロッシはリザーブドライバーに回り、開発ドライバーにジョーダン・キングが起用された。
成績はやはり下位での争いを強いられるが、MRT05は主要エンジンメーカーで最も高性能なメルセデス製パワーユニットの供給契約を成立させていたこともあり、時折、中団勢の争いに加わったりするなど、常時最下位を走行していた前年と比べると成績が向上していた。特にストレートスピードが速く、オーストリアGPでは天候がめまぐるしく変わる中でウェーレインが予選でQ2進出を果たし、予選12位を獲得。決勝でも荒れたレースをかいくぐり10位入賞。マノー・レーシングになってからは初、前身のマルシャ時代を含めれば2014年モナコGPでのジュール・ビアンキ以来の入賞を果たした。8月10日、参戦資金が尽きたため契約を終了したハリアントに代わって、ルノーのリザーブドライバーを務めていたエステバン・オコンを起用した[14]。ハリアントはリザーブドライバーとしてチームに残留する[15]。なおウェーレインとオコンという組み合わせは、共にメルセデスの開発ドライバー同士の組み合わせでもある。
ウェーレインの1ポイントが効いて、コンストラクターズランキング10位までの分配金を確保できる状態にいたが、第20戦ブラジルGPでザウバーのフェリペ・ナッセが雨の波乱を耐えきり9位入賞で2ポイントを獲得したことにより分配金の対象外となるランキング11位に転落、予算の約6分の1にあたる1,350万ドルを失うことになった[16]。
チーム消滅
[編集]この結果を受け、オーナーのスティーブン・フィッツパトリックはチームの売却を進め、新しい投資家と基本合意に達したことを明らかにしたが、売却先については公表されなかった[17][18]。しかし、新たな投資家との最終的な交渉はまとまらず[19]、翌2017年1月6日に運営会社が破産を申請[20]。破産申請の時点では212名のスタッフは解雇されておらず給与も12月末までは支払い済みとなっており[21]、暫定エントリーリスト[22]にもマノーは掲載されていたが、同月27日になっても交渉はまとまらず、全スタッフへの1月分の給与支払い及び一部スタッフを除く解雇とチーム消滅が決定した[23]。交渉が成立した場合、序盤は前年のMRT05の改良版で戦い、新車「MRT06」を投入する予定であったが実現しなかった[24]。
その後
[編集]チームが使っていたピット用機材等の一部は、2017年4月に元ミナルディのオーナーとして知られるポール・ストッダートが購入し、同年5月のスペインGPより、ストッダートが運営している「F1エクスペリエンス」と呼ばれるF1ファン向けアトラクションの一部に使われている[25]。マノーが2016年に実際に使っていたピットガントリーを用いた「ピットストップチャレンジ」などの企画が行われており、今後もいくつかのグランプリで登場する予定。
戦績
[編集]年 | シャシー | エンジン | タイヤ | ドライバー | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | ポイント | 順位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2016年 | マノー・MRT05 | メルセデス・PU106C 1.6 V6 t |
P | AUS |
BHR |
CHN |
RUS |
ESP |
MON |
CAN |
EUR |
AUT |
GBR |
HUN |
GER |
BEL |
ITA |
SIN |
MAL |
JPN |
USA |
MEX |
BRA |
ABU |
1 | 11位 | |
パスカル・ウェーレイン | 16 | 13 | 18 | 18 | 16 | 14 | 17 | Ret | 10 | Ret | 19 | 17 | Ret | Ret | 16 | 15 | 22 | 17 | Ret | 15 | 14 | ||||||
リオ・ハリアント | Ret | 17 | 21 | Ret | 17 | 15 | 19 | 18 | 16 | Ret | 21 | 20 | |||||||||||||||
エステバン・オコン | 16 | 18 | 18 | 16 | 21 | 18 | 21 | 12 | 13 |
脚注
[編集]- ^ “マノー、新名称&ロゴを発表”. as-web.jp (2016年1月20日). 2016年1月20日閲覧。
- ^ Is there a new adventure for Lowdon, Booth? @RealManor Twitter launches today - NBC Sports・2015年12月1日
- ^ Mercedes Gets Rights To Rival F1 Team's Premises In Fuel Deal - Forbes・2016年3月4日
- ^ マノー、WECのLMP2クラスに参戦 - F1-gate.com・2016年2月6日
- ^ “ウィル・スティーブンス 「2016年のマノーのF1シート以外は考えていない」”. F1-Gate.com (2015年12月10日). 2016年2月20日閲覧。
- ^ “アレキサンダー・ロッシ、2016年のマノーのシート獲得に自信”. F1-Gate.com (2015年12月18日). 2016年2月20日閲覧。
- ^ “パスカル・ウェーレイン 「マノーのシート獲得の可能性はまだ五分五分」”. F1-Gate.com (2015年12月12日). 2016年2月20日閲覧。
- ^ “リオ・ハリアント、マノーのF1シート獲得をインドネシア政府が支援”. F1-Gate.com (2015年12月13日). 2016年2月20日閲覧。
- ^ “パスカル・ウェーレイン、マノーのシート獲得の見込みはなし?”. F1-Gate.com (2015年12月3日). 2016年2月20日閲覧。
- ^ オリバー・ローランドはより多額の1500万ユーロ(約19億2500万円)を要求され交渉を諦めたと話している。“オリバー・ローランド 「マノーのF1シートは高すぎる」”. F1-Gate.com (2016年2月8日). 2016年2月20日閲覧。
- ^ “マノー、パスカル・ウェーレインの起用を正式発表”. F1-Gate.com (2016年2月11日). 2016年2月20日閲覧。
- ^ “マノー、2つ目のF1シートは3人で共有?”. F1-Gate.com (2016年2月16日). 2016年2月20日閲覧。
- ^ “マノー、リオ・ハリアントの起用を正式発表”. F1-Gate.com (2016年2月18日). 2016年2月20日閲覧。
- ^ “正式発表:ハリアントがマノーのシートを喪失。オコンがF1デビュー”. AUTOSPORTweb (2016年8月10日). 2016年8月12日閲覧。
- ^ “ハリアントはマノーに残留も、スポンサーは去る。不足分は8億円”. AUTOSPORTweb (2016年8月16日). 2016年8月20日閲覧。
- ^ “マノー、チーム売却先はタボ・ヘルムンド?”. F1-Gate.com (2016年11月30日). 2016年12月15日閲覧。
- ^ “マノー、チーム売却について投資家と基本合意”. F1-Gate.com (2016年11月26日). 2016年12月15日閲覧。
- ^ “スティーブン・フィッツパトリック 「マノーの救済は“大きな挑戦”だった」”. F1-Gate.com (2016年12月12日). 2016年12月15日閲覧。
- ^ “マノー、投資家との交渉決裂で破産の危機”. F1-Gate.com (2017年1月6日). 2017年1月7日閲覧。
- ^ “マノーが破産申請、チーム消滅へ”. F1-Gate.com (2017年1月7日). 2017年1月7日閲覧。
- ^ “マノーF1チームが消滅の危機。運営会社が破産申請”. AUTOSPORT web (2017年1月6日). 2017年1月7日閲覧。
- ^ “2017年F1エントリーリスト発表。ルーキーのナンバーが決定、トロロッソのエンジンは「未定」”. AUTOSPORTweb (2016年12月7日). 2016年12月7日閲覧。
- ^ “マノーF1、新オーナー候補との交渉が決裂。一部スタッフを除く全員を解雇しチーム消滅へ”. AUTOSPORTweb (2017年1月27日). 2017年1月27日閲覧。
- ^ “マノー、幻の2017年F1マシン『MRT06』を公開”. F1-Gate.com (2017年1月28日). 2017年1月28日閲覧。
- ^ マノーとミナルディ、F1スペインGPのファン向け企画で活躍。立役者はストッダート - オートスポーツ・2017年5月22日