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「湘南電車」の版間の差分

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2008年6月4日 (水) 10:58時点における版

湘南電車(しょうなんでんしゃ)

  • 東海道本線の東京駅~熱海・沼津駅間の電車列車の通称。ただし、国鉄分割民営化以降の主たる運転系統の変化のため、本項では JR東日本が管轄する東京駅~熱海駅間の運行形態について主に記述する。
  • 1950年から運行された国鉄80系電車の愛称。または、同系列に起源を持つオレンジと緑色のツートーンカラーで車体を塗装された電車の総称。「湘南色」の通称がある。当該項目と本項下記記述を参照。
  • 京浜急行電鉄の前身である私鉄「湘南電気鉄道」の列車の通称。第二次世界大戦後は呼び方としては廃れた。

湘南電車(しょうなんでんしゃ)とは、東海道本線の列車のうち、東日本旅客鉄道(JR東日本)管轄区間の東京駅熱海駅間を運行する電車列車を指す通称である。

なお、この列車が運行する区間はJR東日本が定めた東京近郊区間と同一であるが、東海道本線の運行系統を表す際には、東京駅発着のグリーン車連結普通列車が直通する区間である、東海旅客鉄道(JR東海)路線の熱海駅~沼津駅間も一部として含めることがある。

「湘南電車」の名称

東海道本線沿線の湘南地域を走ることに由来する。

沼津以東の東京近郊普通列車を「湘南」の呼称で区別するようになった歴史的な経緯としては、1934年丹那トンネルが開通し、同時に東京駅沼津駅間が連続して電化されたことで、同駅が東海道線東京近郊の普通列車運行の分界点となったことに端を発する。だが、それ以前の御殿場経由ルート(後の御殿場線)の存在から機関車の付け替えをする関係で国府津駅を分界点とする系統もあり、これらが湘南列車と通称された。

電化当時は電気機関車牽引の客車列車が運転されていたが、1950年にこの区間を運行する普通列車を電車化した後もこの系統分けは踏襲された。これに伴い、呼び方は「湘南列車」から「湘南電車」へと変化していった。

電車化した当時は、新たに開発された80系が専用に導入され、「湘南電車」の名はひいてはこの80系のことをも指すようになる。最初に同系列が投入された区間が東京駅~沼津駅・伊東線伊東駅間だったことから、国鉄はこの電車を湘南伊豆電車と称したが、その後はより短い「湘南電車」が国鉄・利用者の双方に慣例的に定着した。

80系は機関車牽引の客車列車を加減速・高速性能に優れた電車に置き換える目的で開発された長距離運転用電車でだった。このため、在来客車並みの接客設備を備え、高速性能も高く、また当時日本の電車で最長の16両編成が可能な設計となっていた。当時の国鉄では、電車は都市近郊での短距離運転向けのものと見なされていただけに120km以上の長距離を長大編成で運行したことは画期的だった。しかし、投入当初は初期故障を連発させたことから新聞紙面で「遭難電車」と揶揄されたこともあった。

以後の電車技術発達に伴い、時代ごとに新たな電車が投入されてきているが、普通列車用車両についてはラッシュ輸送の激化に対応して片側2ドアの長距離型車両の運用はほとんど廃れ、通勤輸送に適応した片側3~4ドアの近郊形電車や一般形電車が主流を占めるようになっている(使用車両の項目を参照)。

「湘南電車」の呼称は長らく用いられたが、1980年代以降、旅客案内上は路線名である東海道線が使用されるようになっている。21世紀初頭の現在、JRにおいて路線(もしくは区間)の愛称として「湘南電車」が使用されることは基本的にないが、大船駅東海道線ホームのグリーン車停車位置案内板には「グリーン車(湘南電車)はこの付近に止まります」という表示が現存している。ただし、英文での表現は、"Shonan Train"ではなく"Tokaido Local Line"となっている。また、鉄道関係者や愛好者の間では慣用句として廃れずに用いられており、書籍などで表題に使われる場合もある。当初より使用された電車の車体色であるオレンジと緑のツートーンカラーを指す「湘南色」という呼び方は広く通用している。

更に2004年に国鉄時代から使用していた113系を本区間から運用撤退させる旨の発表がJR側からなされると、一部のマスコミが「湘南電車の引退」と報じた。

2006年3月17日の営業運行終了に際して、JR東日本側でも「さよなら湘南電車」として沿線観光パンフレットを製作、最後まで運用した編成の先頭車前面に「ありがとう113系電車」と表記した4種類のステッカーを貼付、さらには藤沢駅構内(東海道線ホーム)]のキヨスクを80系に擬装するなど、単なる「車両の引退」という枠を超えたPRも行っていた。これは近年の一般社会で用いられた珍しい例といえる。

運行形態

東京駅熱海駅間においては、普通列車、快速「アクティー」、通勤快速のほか、湘南新宿ラインホームライナーとして「湘南ライナー」、さらに特急「踊り子」「スーパービュー踊り子」が運転されている。なお、この区間を越えて運行される長距離列車は以下の各項目記事を参照のこと。

  1. 寝台特急「富士」
  2. 寝台特急「はやぶさ」
  3. 寝台特急「サンライズ瀬戸」
  4. 寝台特急「サンライズ出雲」
  5. 夜行快速「ムーンライトながら」

この区間を走るほぼすべての普通列車と「アクティー」・通勤快速・湘南新宿ラインの全列車の4・5号車には2階建てグリーン車が2両連結されている。

普通

各駅に停車する。ただし、東京駅~横浜駅と(東京駅~)横浜駅~大船駅ではそれぞれ京浜東北線横須賀線が並行するため、それらに対して停車駅を限定し、快速線としての役割を果たしている。

普通列車は主に東京駅~平塚駅小田原駅熱海駅の運行が基本だが、沼津駅国府津駅伊東線伊東駅御殿場線山北駅発着の列車も運転され、早朝・深夜を中心に品川駅発着の列車も存在する。

かつては熱海駅以西(沼津駅、静岡駅浜松駅など)への直通電車も多かったが、2004年10月16日のダイヤ改正以降は大部分の列車がJR東日本管内で完結するように改められた。

JR東日本は直通需要が少ないためとしているが、小田原市を中心とする神奈川県西湘地区と静岡県中・東部地区(沼津市三島市など)は地域の繋がりが深く、実際の利用客数は通勤客・通学客などを中心に常時一定数存在し、現在これらの利用客は稀有の直通列車を選択して利用するか熱海駅での乗り換えが必要となっており、直通列車の増発を望む声も少なくない。

使用車両は211系E231系が中心であり、一部に横須賀線から転じたE217系と、新型車両のE233系も投入されている。113系(ロングシート改造車)以降、ラッシュ時の混雑対策のためにロングシート車の割合が増えたが、閑散時や中・長距離利用客には不評だったため、E217系とE231系では編成の一部車両をセミクロスシート車両としている(15両編成の場合普通車13両中6両、10両編成の場合普通車8両中4両、E217系では同3両)。また普通車が片側4ドアであるE217系とE231系は座席数が少なく、これも通勤時間帯以外では評判がよくない。

その他、一部特急用車両である185系および373系を用いた普通列車が3本(下り2本・上り1本)存在する。

ラッシュ時を中心に全区間15両編成で運行される列車が大半を占めるが、10両編成程度(185系は12両編成、373系は9両編成)で運転される列車も少なくなく、一部には5両編成のみ(下り2本、211系とE231系)での運行も存在する。また途中駅である平塚駅(下り8本、上り6本)や国府津駅(下り3本、上り4本)、熱海駅(平日上下および土曜休日上り各3本、土曜休日下り2本)で付属編成の分割・併合を行う列車(計:平日下り14本、同上りおよび土曜休日上下各13本)や御殿場線内を始発・終着とする付属編成を併結する複数行先列車も存在する(下り1本)。

アクティー

快速「アクティー」 E233系

東京駅~熱海駅をおおよそ毎時1本運転する快速列車である。ただし、朝夕の列車は主に小田原発着となる。運転時間帯は下りが東京発8~16時台(土曜・休日は19~21時台にも)、上りが平日東京着11~23時台、土曜・休日東京着10~22時台となっている。基本的に下りは平塚駅、上りは国府津駅か小田原駅で普通列車に連絡する。

1985年3月14日のダイヤ改正から東京駅~熱海駅で運転を開始した急行形車両による無名の快速列車が直接のルーツである。1989年3月11日のダイヤ改正で平日のみ藤沢・茅ヶ崎・平塚の各駅に停車していたエル特急「踊り子」の停車駅を削減し、通過駅を快速が代替する形で「アクティー」の名称が与えられ、現在の運行体系となった。

当初は京阪神地区の新快速に準ずる種別としての位置付けだったが、1997年10月1日以降一部、2004年10月16日以降は全列車が早川駅根府川駅にも停車するようになり、小田原~熱海間は各駅停車となった。そして2007年3月18日からは戸塚駅が停車駅に加わり特別快速と停車駅が統一されたが、東京~藤沢も全駅停車となり、東京駅~熱海駅の距離104.6km に対して通過駅は4駅(#停車駅参照)のみと首都圏中距離放射路線の快速としては少ない。同区間における所要時間は、普通が約100分~110分、「アクティー」が約95分~100分である。

湘南新宿ライン運転以前は「湘南ライナー」でも運用されている215系も充当したが、現在では普通列車と車両運用は変わらない。2006年3月のダイヤ改正以降、一部を除いて全区間で15両編成での運転となっている。

  • 停車駅 : 東京~藤沢の各駅 - 茅ヶ崎 - 平塚 - 国府津 - 小田原~熱海の各駅

通勤快速

平日夜間下り4本のみの運転で、1989年3月11日より運転を開始した。元々は夜間の遠距離速達を目的に快速「アクティー」として登場したものの、混雑が激しく、本来の利用目的に合わないため、通勤快速として再編された。遠距離通勤者の便宜を図る目的から通勤駅である川崎・横浜・戸塚の各駅を通過するのが特徴である。全列車が大船駅で普通列車に連絡する。一日4本のみの運行であるが利用者の反応は様々で、大船以遠の利用者からは「湘南ライナーと違い無料で通勤駅を通過する列車を利用できるので便利」と評判が良いが通勤3駅利用者からは「他の電車が混雑する」と評判が悪い。

  • 停車駅 : 東京 - 新橋 - 品川 - 大船 - 藤沢 - 茅ヶ崎 - 平塚 - 国府津 - 小田原

湘南新宿ライン

湘南新宿ラインは、高崎線に直通し、快速と特別快速の2つの種別がある。2004年10月16日以降、使用車両はすべてE231系で、グリーン車が2両連結されている。大船駅以東の品鶴線区間の一部でも線形はあまりよくないが、120km/h運転を実施している。

快速

「快速」は同じ線路上を走行する横須賀線列車あるいは湘南新宿ライン普通列車に対する「快速」であり、横浜以西では東海道線普通列車と同じ駅に停車する。日中の列車は大半が平塚駅で折り返し、特別快速の設定がないラッシュ時と夜間は国府津駅や小田原駅まで運行される。

特別快速

特別快速は2004年10月16日のダイヤ改正で新たに設定された。本線停車駅は#停車駅も参照の事。

午前中の上り平塚始発1本を除き全列車が小田原駅を始発・終着とする。一部は平塚駅で普通列車に連絡する。また、多客時には熱海駅まで延長運転される日がある。

  • 停車駅 : 横浜 - 戸塚 - 大船 - 藤沢 - 茅ヶ崎 - 平塚 - 国府津 - 小田原( - 真鶴 - 湯河原 - 熱海)

()は延長運転時の停車駅

ホームライナー

  • 湘南ライナー
  • おはようライナー新宿・ホームライナー小田原

昼行特急列車

昼行特急列車としては「踊り子」「スーパービュー踊り子」「リゾート踊り子」が運行されている。なお、詳細な運行状況については列車項目の踊り子 (列車)を参照されたい。また、多客時には臨時で「成田エクスプレス」や「日光」が乗り入れる。

停車駅

駅名 営業
キロ
快速アクティ丨 通勤快速 湘南ライナ丨 湘南新宿
ライン
接続路線 所在地
快速 特別快速
東京駅 0.0 新宿
大宮経由
高崎線
直通
東日本旅客鉄道:東北新幹線山形新幹線秋田新幹線上越新幹線長野新幹線中央線(快速)山手線京浜東北線総武線(快速)横須賀線京葉線
東海旅客鉄道東海道新幹線
東京地下鉄丸ノ内線(M-17)、東西線大手町駅:T-09)
東京都 千代田区
新橋駅 1.9 東日本旅客鉄道:山手線、京浜東北線、横須賀線
東京地下鉄:銀座線(G-08)
都営地下鉄浅草線(A-10)
ゆりかもめ東京臨海新交通臨海線(U-01)
港区
品川駅 6.8 東日本旅客鉄道:山手線、京浜東北線、横須賀線
東海旅客鉄道:東海道新幹線
京浜急行電鉄本線
川崎駅 18.2 東日本旅客鉄道:京浜東北線、南武線
京浜急行電鉄:本線、大師線京急川崎駅
神奈川県 川崎市川崎区
横浜駅 28.8 東日本旅客鉄道:京浜東北線、根岸線、横須賀線、横浜線
東京急行電鉄東横線
京浜急行電鉄:本線
相模鉄道本線
横浜市営地下鉄ブルーライン(3号線)(B20)
横浜高速鉄道みなとみらい線
横浜市西区
戸塚駅 40.9 東日本旅客鉄道:横須賀線
横浜市営地下鉄:ブルーライン(1号線)(B06)
横浜市戸塚区
大船駅 46.5 東日本旅客鉄道:根岸線、横須賀線
湘南モノレール江の島線
鎌倉市[1]
藤沢駅 51.1 小田急電鉄江ノ島線
江ノ島電鉄江ノ島電鉄線
藤沢市
辻堂駅 54.8  
茅ヶ崎駅 58.6 東日本旅客鉄道:相模線 茅ヶ崎市
平塚駅 63.8   平塚市
大磯駅 67.8   中郡大磯町
二宮駅 73.1   中郡二宮町
国府津駅 77.7 東海旅客鉄道:御殿場線 小田原市
鴨宮駅 80.8  
小田原駅 83.9 東海旅客鉄道:東海道新幹線
小田急電鉄:小田原線
箱根登山鉄道箱根登山鉄道線
伊豆箱根鉄道大雄山線
早川駅 86.0        
根府川駅 90.4        
真鶴駅 95.8         足柄下郡真鶴町
湯河原駅 99.1         足柄下郡湯河原町
熱海駅 104.6       東日本旅客鉄道:伊東線
東海旅客鉄道:東海道新幹線、東海道本線沼津静岡浜松方面)
静岡県熱海市
凡例
●・:すべての列車が停車(は横須賀線ホーム発着) ▲:一部の列車が停車 ○:臨時運転時の停車駅 |:通過 ∥:通過、ただし一部の列車は東海道貨物線経由のため経由せず
  • 普通列車は全区間各駅に停車
  • JRの長距離乗車券の特定都区市内のうち東京~品川間が東京山手線内・東京都区内エリア、川崎~戸塚間が横浜市内エリアとなる。
  1. ^ 横浜市栄区にも敷地が掛かる。駅本屋所在地は鎌倉市。駅項目も参照のこと。

沿線概況

最高運転速度は大船駅小田原駅間が120km/h、それ以外の区間が110km/hである。東京駅品川駅間は東京の古くからの中心部を抜け、横浜駅~大船駅間は丘陵越え、小田原駅~熱海駅間は海岸沿いのトンネルが連続する区間を走り、敷設条件から線形はよくない。また、東海道本線の中でも最初期に建設された区間を含めて平地を走る幹線としては曲線半径が小さく、速度制限を強いられる箇所が幾つかある。

川崎~鶴見間を走る211系

東京~大船

横浜までは概ね国道15号(第一京浜)と並行し、南南西に向けて路線が延びる。ターミナル駅である東京駅から東京都心を細かくカーブしながら進み、品川駅まで東海道新幹線京浜東北線山手線と並行する。途中田町駅付近で上下線が分かれ、間に田町車両センターを挟む。なお、同センターは東北本線の東京~上野延伸開業後には大部分の機能が尾久車両センターに移転する予定である。間もなく地下線を併走していた横須賀線が地上に出て合流、上下線が合流して品川駅に到る。

品川を過ぎると東海道新幹線・横須賀線・山手線が右手に分かれ、市街地を抜け住宅街を走る。多摩川を渡ると川崎駅となり、南武線が右手に分かれ、南武線浜川崎支線を潜ると横浜市に入る。左手から東海道貨物線が合流、右手から横須賀線・湘南新宿ラインが合流、鶴見川を渡り鶴見駅を通過する。
この付近から横浜駅まで京急本線が並走し、開かずの踏切として有名な総持寺踏切を通過すると鶴見線をくぐる。京急本線生麦駅付近で東海道貨物線が地下に潜り右手に分岐、間もなく貨物線の支線(高島線)も左手に分かれる。東神奈川駅付近で右手から横浜線が合流、右手に国道1号(第二京浜)が並行し、横浜駅へ至る。

横浜を過ぎると根岸線と京急本線が左手に分かれ、相鉄本線西横浜駅付近で右手に分かれ、市街地を抜けて住宅街を走る。左手に国道1号東海道)が並行すると左にカーブする。
ここから北側の多摩丘陵、南側の三浦丘陵に挟まれた谷を縫って走り、横須賀線のみにホームのある保土ヶ谷駅東戸塚駅を通過。この間にある清水谷戸トンネルは日本の鉄道トンネルとしては現役最古のものである。横浜羽沢駅方面へ分かれていた東海道貨物線が再び並走し、開かずの踏切で有名な国道1号の踏切(戸塚大踏切)を通過すると戸塚駅、さらに栄区に入ると左手から根岸線が合流、市街地に入り、大船駅となる。

ファイル:Jreast e231kinko-kotsu.jpg
大船~藤沢間を走るE231系

大船~小田原

この区間は概ね国道1号と並行し、一般に湘南と呼ばれる地域を西に向かって線路が延びる。藤沢、茅ヶ崎、平塚といった駅付近は市街地、その他の区間は基本的に住宅街を走行する。

大船を過ぎると横須賀線と鎌倉車両センターへの線路が左手に分かれて工業地の間を抜け、湘南貨物駅跡地を通過し、境川を渡ると藤沢駅へ。茅ヶ崎駅手前で右手に茅ヶ崎運輸区が現れて相模線が合流、馬入川を渡ると平塚へと至る。

平塚市から中郡に入り相模貨物駅を通過、花水川を渡ったところから大磯丘陵相模湾に挟まれた低地を走る。小田原市に入ると右手に山が迫り、左手奥に西湘バイパスが並行すると国府津駅に到着する。御殿場線国府津車両センターへの引き込み線が分岐、相模湾から離れ足柄平野に入り、工業地帯を走る。西湘貨物駅鴨宮駅を通過すると右手から東海道新幹線が並走、酒匂川を渡り市街地に入り、国道255号伊豆箱根鉄道大雄山線を跨ぐと右手から小田急小田原線が並走、小田原駅に至る。

小田原~熱海

小田原からは再び南南西に向かい、国道135号と並行する。海岸線近くまで箱根山の外輪山が迫る地形が急峻な区間であり、多くのトンネルが存在する。

小田原を過ぎると間もなくトンネルを潜り、箱根登山線が右手に分かれる。西湘バイパスをくぐり、早川を渡ると市街地の南端に位置する早川駅となり、海岸線近くの低地を進む。いくつかのトンネルを抜けると左手に真鶴道路が並行、国道135号を跨ぎ、根府川駅となる。
根府川を過ぎると1924年に完成した上路平行弦ワーレントラス橋である白糸川橋梁かながわの橋100選)で白糸川を渡る。真鶴町湯河原町と断続的にトンネルが現れる区間を抜けると東海道新幹線が接近、約2.5kmの泉越トンネルを潜り、さらに数本のトンネルが続く。右手に東海道新幹線が並行すると市街地に入り、伊豆半島の玄関口である熱海駅へと至る。

その他

開かずの踏み切り

東海道本線の項目にもある通り、本区間は他系統の路線と並行する区間が多いが、他路線も含めて列車本数が多い・高架化されていない・他路線と踏切が一体であるなどの理由から開かずの踏切が問題となっている。特に鶴見駅付近の総持寺踏切は12本(6複線)の線路が横切るなど、横断距離が長いことも特徴である。また、平日朝の藤沢始発となる電車が折り返すために藤沢の一本松踏切を長時間塞ぐ事態も起きている。

しかし、戸塚駅に隣接する戸塚大踏切では線路と立体交差するバイパス道路の建設が決定するなど、問題解消を目指しての施策も行われている。

東京圏~北関東間の鉄道需要

2000年に、運輸省(現・国土交通省)は全国各都道府県について年間の都道府県間鉄道流動量の調査を行った。このうち、関東地方に関する調査結果を見ると、南関東北関東間の鉄道需要が非常に高いものであることを示した。こうした背景を踏まえ、2001年12月1日に湘南新宿ラインが開業、さらに今後東北縦貫線計画が実現する見通しとなった。

各都県間鉄道旅客流動状況(2000年)
出発地\目的地 栃木県 群馬県 茨城県 合計 -
埼玉県 642 471 187 1,300 -
東京都 3,075 1,869 1,903 6,847 -
神奈川県 765 243 468 1,476 -
千葉県 336 292 218 846 -
合計 4,818 2,875 2,776 - -
出発地\目的地 埼玉県 東京都 神奈川県 千葉県 合計
栃木県 1,252 2,963 939 595 5,749
群馬県 935 2,027 415 485 3,862
茨城県 172 1,695 477 255 2,599
合計 2,359 6,685 1,831 1,335 -

(単位:千人/年)

新駅の設置

かつて大船~藤沢間にあった湘南貨物駅付近に新駅を設置する計画がある。

使用車両

現行使用車両

ファイル:Jreast e231kinko-kotsu.jpg
E231系
E233系

過去に使用されていた車両

113系

停車駅案内図について

車内ドア上部に掲出されている停車駅案内図は、E231系が東海道線・伊東線の他に湘南新宿ラインと高崎線が付け加えられている。また、211系は東海道線・伊東線のみ掲載されている。

車両の色

この区間を走るほとんどの旅客車両の帯色は、「湘南色」と呼ばれる黄かん色(濃いオレンジ色緑2号(濃い緑色、ダークグリーン)のツートーンカラーである。

湘南色の始まりは、かつてこの区間を走っていた80系まで遡る。同系列は1950年に当初からオレンジ色と緑色の塗り分けで運行開始されたが、それ以前の国鉄旅客車両の塗装が一般に客車も電車も「ぶどう色」と称される焦げ茶色1色のみで精彩に乏しかった中、同系列の派手な塗装は当時の人々に驚きを与えた。

その後、国鉄は湘南色を直流電化区間の近郊形・急行形電車における車両制式色とし、地域に関係なく広く用いた。その背景の一つには、広域的な車両の転配属を考慮した国鉄が、塗装に至るまでの徹底した標準化を図っていたことが挙げられる。

しかし、1980年代の国鉄末期に至ってイメージチェンジを目論んで各地域ごとに独自の塗色変更が行われるようになり、JR化後にはその傾向が加速した。1990年代以降は新車への置き換えや大規模リニューアル時の塗色変更などで全体を「湘南色」塗装した鋼鉄製車体の車両は著しく減少している(ただ、JR東海では国鉄から引き継いだ車両に対しては多くが湘南色塗装のままで使われた。身延線にオリジナル色で登場した115系2600番台もJR後に湘南色塗装に変更された)。

湘南色の由来としては、80系の開発当時に「アメリカのグレート・ノーザン鉄道の車両塗装にヒントを得て、これに近い色合いを採用した」と開発に携わった国鉄所属デザイナーの黒岩保美が証言している。また、同じく国鉄の車両技術者だった星晃も自著で「明るいイメージの色として採用した」と述べている。しかし、この真相は開発当時、世に知られることはなかった。

一般には「神奈川県西部や静岡県地方特産のミカンお茶にちなんだもの」、あるいは当時の国鉄が後付けで考えた「ミカンの実と葉の色にちなむ」などの沿線の風物に発祥しているとする俗説が定着している。時にはJRが発行するガイドなどでも「みかんやお茶など、沿線の特産品を表現した塗装」というように解説されている場合がある。

塗り分けのパターン

80系
115系
JR東海 211系5000番台

80系では当初、車両前面の塗装塗り分けパターンに試行錯誤も見られたが、最終的には窓上と窓下に円弧を描いた緑塗装とし、中央を菱形状にオレンジ塗装とするパターンとなった。こちらは俗に「金太郎塗り」と呼ばれた。

同系列以降に湘南色に塗装された電車としては、近郊形111系・113系、115系、急行形では153系と165系の各系列が該当する。これらは前面に貫通路を備え、ほぼ共通したデザインモチーフの車両だが、系列ごとに車両前面の塗り分けパターンが異なっていた。111系・113系は貫通路脇に向かって斜めの直線塗り分け、115系は貫通扉脇に小さなRを付けた直角塗り分けで、これらの近郊形3系列はいずれも前面屋根部分についても緑色塗装となっている。153系は前面がオレンジ色1色で緑色は側面のみ、165系は前面の下半分全体を貫通扉まで含めて緑色としている。

JR東日本とJR東海の両社が保有する211系、JR東日本のE217系とE231系、E233系はいずれもステンレス車両のため、湘南色の伝統を踏まえつつも、車体の全体塗装ではなく、窓下などに湘南色をイメージしたテープの貼付を行うことで代替としている。さらにE233系では窓下だけでなく客用ドアにもテープが張り付けてある。基本的にこの色分けを踏襲した帯を使用しているが、国鉄時代に導入された211系とJR化後に導入されたE217系やE231系、E233系とでは色分けなどが異なる。後者はJR東日本のコーポレートカラーとされる緑色の割合が多く、また全体的に明るめの配色になっている。

また、111系・113系用のグリーン車の内、2階建て車両として製造された車両の一部には、当初空港連絡列車である「エアポート成田」として運用される横須賀総武快速線での使用を前提とした車両があり、これを東海道本線に移動した際にそのまま踏襲した車両がある。そのため、車両のシールの張り方で差違が見られる。→こちらも参照されたい。

80系以前の戦前国鉄旧型電車52系など)も1960年代にイメージアップのために一時湘南色に塗装されて飯田線などの運行に充当された例があった。しかし、これらの戦前形車両では湘南色は結局定着せず、比較的短期間でより地味な色合いの塗色に再変更された。

なお、80系の塗装は前面のオレンジ色部分の形状が菱形状を呈していたことで鉄道愛好者に「金太郎の腹掛け」と俗称された。また、国鉄時代は「直流電化区間普通・急行用車両の塗色」の多数派は「湘南色」(「黄かん色に緑」)だったが、JR移行後の2000年代に入って湘南色が多数派とは言えなくなった時期になると利用者の間からは野菜に例えて「かぼちゃ」「パンプキン」という俗称も現れた。

関連項目

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