美術 (びじゅつ)とは芸術の分野のひとつ。視覚によってとらえることを目的として表現された視覚芸術の総称。英語では art(アート)、fine arts(ファインアート)、あるいは visual arts(ビジュアルアート)がこれに相当しうる。
絵画、素描、イラストレーション、建築、写真、グラフィックデザイン、版画、映画制作などが視覚芸術の分野である。彫刻、パブリックアート、セラミックアート(陶芸)は狭義にはen:plastic arts(造形芸術)とも呼ばれる。また日本では、建築が工学的側面から捉えられることが多く、美術と捉える意識は薄い。なお、卓上芸術、展覧会芸術、床の間芸術といった分類もある。
美術は、舞台芸術, 文芸, en:culinary art(調理芸術)などの芸術分野とは区別されるが、その境界は明確ではない。多くの芸術的試みは、美術とそれ以外の芸術側面(音楽や話し言葉など)を併せ持っている。
現代における「美術」という言葉は、ファインアート(純粋芸術)と工芸(応用芸術)の両方を含む形で用いられるが、昔からそうだったわけではない。英国におけるアーツ・アンド・クラフツ運動(美術工芸運動)以前、英国以外では20世紀の幕開け以前、"visual artist" (美術家/視覚芸術家)はファインアート(絵画、彫刻、版画など)の分野で活動する人物を指すもので、工芸・手工芸分野や応用芸術分野の人物を含まなかった。
美術の作成と鑑賞は世界中に見られるもので、時代的には洞窟の壁に線画を描いた人々にまでさかのぼる。すべての人間社会は、機能が必要とする以上に美的な関心で自分たちの道具や玩具を飾ってきた。 ……美術、視覚芸術、ファインアートも参照