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新幹線E8系電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
E8系から転送)
新幹線E8系電車
E8系G2編成
(2024年3月9日 大宮駅
基本情報
運用者 東日本旅客鉄道
製造所
製造年 2023年 - 2026年(予定)
製造数 15編成105両(予定)
運用開始 2024年3月16日
投入先 山形新幹線
主要諸元
編成 7両編成(5M2T
軌間 1,435 mm(標準軌
電気方式
  • 交流25,000 V・50 Hz(新幹線区間)
  • 交流20,000 V・50 Hz(在来線区間)
最高運転速度
  • 300 km/h(新幹線区間)130 km/h(在来線区間)
編成定員 352名
編成長 148.65m
全長
  • 23,075mm (先頭車)
  • 20,500mm (中間車)
車体長 22,825mm (先頭車)
車体 アルミニウム合金
主電動機 かご形三相交流誘導電動機 MT207
主電動機出力 300kW
制御方式 IGBT素子VVVFインバータ制御[1]
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ
保安装置
備考 特記なき限り出典は[2]による。
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新幹線E8系電車(しんかんせんE8けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の新在直通運転用(ミニ新幹線用)新幹線電車[2]。2024年3月16日に営業運転を開始した。

概要

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東京駅 - 福島駅東北新幹線区間での最高時速300 km/hでの運転による速達化や、全席へのコンセント設置などによるサービス向上を目的として、2020年に導入が発表された[3]山形新幹線の「つばさ」向けの新形式車両導入はE3系以来約25年ぶり。デザインは山形県出身の著名な工業デザイナーである奥山清行。同氏はフェラーリE6系E7系E235系などの車両のデザインも務めた。

当初の発表では2026年春までに17編成119両(1編成7両)を投入予定としていたが、新型コロナウイルス感染症の流行が収束後も需要が流行前の程度まで回復しないとのJR東日本の見込みから、投入数を2編成削減して15編成105両にすることが2022年に発表されている[4]

2023年2月に第1編成が完成した[注釈 1]。2023年2月27日から各種試運転を行い、2024年3月16日より営業運転を開始した[5]

構造

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秋田新幹線用のE6系をベースに、同車に山形新幹線の特性を踏まえた変更を行った[5]

車体

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車体はアルミニウム合金製で、車両下部にヒーターを設置して雪対策を施している[5]。また、全車にフルアクティブサスペンションが設置されている[1]

前頭部はE6系からアローラインの形状を受け継いでいるが、定員増加のためにE6系(13m)よりも短い9mとされた[5]。新幹線区間ではE5系、H5系との併結運転に対応するが、高速走行できる区間が宇都宮駅 - 福島駅間のみと秋田新幹線に比べて大幅に短いことから、最高速度は300km/hとなった[5]

台車

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台車はE6系電車と同様の電気式アクチュエータによるフルアクティブ制御付きのボルスタレス台車であるが、E6系電車との相違点として台車部着雪防止ヒーターが追加されている。秋田新幹線では大釜駅構内の装置で温水を台車に向けて噴射することで融雪を行っていたが、今回のE8系電車導入の際には車両側で着雪対策を行ったためである。なおE6系電車に採用されていた空気ばね式車体傾斜装置は搭載されていない。[6]

内外装

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デザインコンセプトは「豊かな風土と心を編む列車」で、山形県出身の奥山清行の監修の下で川崎車両が担当した[注釈 2][5]

外装は2014年からE3系に新たに導入されたデザインを踏襲し、上から「おしどりパープル」と呼ばれる紫色、「紅花イエロー」と呼ばれる黄色、「蔵王ビアンコ」と呼ばれる白色(ビアンコはイタリア語で白を意味する)の順に配色している[5]オシドリは山形の県鳥、ベニバナは山形の県花である。ただし、カラーリングで容易に識別可能であるという判断から、ロゴマーク等は取り付けない[5]

車内のデザインはグリーン車普通車とも通路を最上川の流れに見立て、山形の風土を表現した[2]。座席は車椅子席を除いて2+2配列で、全席に電源コンセントを設置する[2]。グリーン車は「最上川と月山」をテーマとし、座席には月山の緑色と最上川の水面の印象を組み合わせたカラーリングを施す。普通車は「最上川と紅」をテーマとし、紅花の黄色から抽出した紅色までをグラデーションで表現した座席とする[2]

車椅子スペースは2020年3月の発表時点では1編成あたり計3席(グリーン車1席、普通車2席)としていたが[3]、2020年10月に改正された高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)省令のバリアフリー基準が適用されることとなり[7]、普通車の車椅子スペースを3席に増やしている[2]

このほか全車に荷物スペースを設け、客室内・デッキ・通路に防犯カメラを設置する[2]

編成

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5M2Tの7両編成で、以下の通り組成する[2][8]。E6系同様、号車番号はE5系からの続番となる11 - 17号車として割り当てられている[9]

E811形 (Msc)
11号車に組成される電動車(東京方制御車)で、前頭部に分割・併合装置を備える。客室はグリーン車
E821形 (Mc)
17号車に組成される電動車(新庄方制御車)で、客室は普通車。
E825形
0番台 (M1)
13号車に組成される電動車(中間車)で、客室は普通車。
100番台 (M2)
14号車に組成される電動車(中間車)で、客室は普通車。
E827形 (M3)
15号車に組成される電動車(中間車)で、客室は普通車。
E828形 (T1)
12号車に組成される付随車(中間車)で、集電装置を搭載する。客室は普通車で、3席分の車椅子スペースを設けている。
E829形 (T2)
16号車に組成される付随車(中間車)で、集電装置を搭載する。客室は普通車。

E8系(G編成)編成表

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特記ない限りは2024年(令和6年)4月1日時点の情報を示す[10]

 
← 東京
山形・新庄 →
号車 11 12 13 14 15 16 17
形式 E811形
(Msc)
E828形
(T1)
E825形
(M1)
E825形
(M2)
E827形
(M3)
E829形
(T2)
E821形
(Mc)
番台 0番台 0番台 0番台 100番台 0番台 0番台 0番台
座席 グリーン車 普通車
定員 26 36 66 62 62 58 42

車歴表

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特記ない限りは2024年(令和6年)4月1日時点の情報を示す[10]

脚注

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注釈

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  1. ^ 当初は2022年中に完成予定となっていたが、世界的な半導体不足の影響を受けて納入が遅れていた[5]
  2. ^ 分社化前の川崎重工業が受注。

出典

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  1. ^ a b 乗りものニュース編集部 (2023年2月24日). “「鼻、短くしました」異例の進化を遂げた新・山形新幹線E8系 秋田E6系の“堅実派な弟”?”. 乗りものニュース. https://trafficnews.jp/post/124564 2023年3月19日閲覧。 
  2. ^ a b c d e f g h 乗りものニュース編集部 (2023年2月24日). “JR東日本「E8系」山形新幹線の新型車両公開、撮影会も - 写真60枚”. マイナビニュース. https://news.mynavi.jp/article/20230224-e8/ 2023年3月19日閲覧。 
  3. ^ a b JR東日本、山形新幹線の福島駅アプローチ線新設工事 - 上下別線に”. マイナビニュース. 2020年3月4日閲覧。
  4. ^ 山形新幹線の新型車両削減 コロナ後の需要回復見えず”. 47news(共同通信社). 2022年7月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月18日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i 大坂直樹 (2023年2月25日). “ついに登場「山形新幹線E8系」完成までの全舞台裏”. 東洋経済オンライン (東洋経済新報社). https://toyokeizai.net/articles/-/655054 2023年3月18日閲覧。 
  6. ^ 鉄道ジャーナル 2023年5月号 通巻679号 Vol.57 p.9 ISSN 0288-2337
  7. ^ 4/20(火)から東海道新幹線で新型バリアフリー車両運行開始!〜赤羽大臣、金子社長とともに車椅子席6席車両を試乗しました〜”. 認定NPO法人DPI日本会議 (2021年4月16日). 2023年3月18日閲覧。
  8. ^ RF(745) (2023), p. 52.
  9. ^ RF(745) (2023), p. 54.
  10. ^ a b c JR電車編成表(2024夏) (2024), p. 19.

参考文献

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  • 編集部「山形新幹線用E8系新幹線電車」『鉄道ファン』第63巻第5号(通巻745号)、交友社、2023年5月1日、52-55頁。 
  • ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』 2024夏、交通新聞社、2024年5月24日。ISBN 978-4-330-02824-8 

関連項目

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外部リンク

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