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象の消滅 短篇選集 1980-1991

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
象の消滅 短篇選集 1980-1991
The Elephant Vanishes
著者 村上春樹
イラスト 藤掛正邦(Wire Art)
発行日 2005年3月30日
発行元 新潮社
ジャンル 小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 並製本
ページ数 432
公式サイト 村上春樹『象の消滅―短篇選集1980-1991』
コード ISBN 978-4-10-353416-7
ウィキポータル 文学
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象の消滅 短篇選集 1980-1991』(ぞうのしょうめつたんぺんせんしゅう 1980-1991)は、村上春樹短編小説集。

概要

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2005年3月30日新潮社より刊行された。本書は米国のクノップフ社から1993年3月に発行された村上の短編集『The Elephant Vanishes』の日本語版である。クノップフ社の同短編集の装丁はチップ・キッド[1]

作品の収録順序は英語版をそのまま踏襲している。原則として、『村上春樹全作品 1979〜1989』(講談社)および『村上春樹全作品 1990〜2000』(同社)を底本としている。

冒頭に、英語版の編集を担当したゲイリー・L・フィスケットジョンの「刊行に寄せて」(新元良一訳)と、村上の「アメリカで『象の消滅』が出版された頃」の2つの文章が掲載されている。

刊行日の前日の3月29日、新潮社は本書専用のウェブサイトを立ち上げたが、同時に村上の新刊等を紹介するサイト『村上モトクラシ』も開設した。後者は安西水丸が絵を担当し、当時ボストンに住んでいた村上からのメッセージが4通掲載された(未刊行)。

収録作品

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タイトル 初出 英訳
1 ねじまき鳥と火曜日の女たち 新潮』1986年1月号 The Wind-Up Bird and Tuesday's Women
(The New Yorker. November 26, 1990)
2 パン屋再襲撃 マリ・クレール』1985年8月号 The Second Bakery Attack
(Playboy. January, 1992)
3 カンガルー通信 『新潮』1981年10月号 The Kangaroo Communiqué
(ZYZZYVA. Spring 1988)
4 四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子
に出会うことについて
『トレフル』1981年7月号 On Seeing the 100% Perfect Girl One Beautiful April Morning
5 眠り 文學界』1989年11月号 Sleep
(The New Yorker. March 30, 1992)
6 ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起
・ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界
月刊カドカワ』1986年1月号 The Fall of the Roman Empire, The 1881 Indian Uprising,
Hitler's Invasion of Poland, And The Realm of Raging Winds
(The Magazine. March, 1988)
7 レーダーホーゼン 回転木馬のデッド・ヒート
講談社、1985年10月)
Lederhosen
(Granta. February, 1992)
8 納屋を焼く 『新潮』1983年1月号 Barn Burning
9 緑色の獣 『村上春樹ブック』
(「文學界」臨時増刊1991年4月号)
The Little Green Monster
10 ファミリー・アフェア LEE』1985年11/12月号 A Family Affair
11 『トレフル』1982年5月号 A Window
12 TVピープル 『par AVION』1989年6月号 TV People
(The New Yorker. September 10, 1990)
13 中国行きのスロウ・ボート 』1980年4月号 A Slow Boat to China
(The Threepenny Review. March 1, 1993)
14 踊る小人 『新潮』1984年1月号 The Dancing Dwarf
15 午後の最後の芝生 宝島』1982年9月号 The Last Lawn of the Afternoon
16 沈黙 『村上春樹全作品 1979〜1989』第5巻
(講談社、1991年1月)
The Silence
17 象の消滅 『文學界』1985年8月号 The Elephant Vanishes
(The New Yorker. November 18, 1991)
2. 「パン屋再襲撃」はのちに「再びパン屋を襲う」というタイトルで加筆修正され、2013年2月刊行の『パン屋を襲う』(新潮社)に収録された。
3. 「カンガルー通信」の英訳版は2種類存在する。『ZYZZYVA』1988年春号に収められた「The Kangaroo Communiqué」はフィリップ・ガブリエルが翻訳したものだが、短編集『The Elephant Vanishes』に収められたものはアルフレッド・バーンバウムが翻訳している。ジェイ・ルービンによれば、本作は米国で最初に出版された村上の短編小説であるという[2]
4. 「四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」は、最初の単行本(『カンガルー日和』)収録時のタイトルは、漢数字の「四月」ではなく算用数字の「4月」だった。
5. 「眠り」はのちに改稿され、2010年11月、新潮社より『ねむり』のタイトルで単独で出版された。
7. 「レーダーホーゼン」は、アルフレッド・バーンバウムが雑誌の意向を受けて短く訳したものを村上がさらに日本語に訳した「逆輸入ヴァージョン」である[3]。「レーダーホーゼン」の日本語「重訳」版およびバーンバウムが訳した英語版は後に、CDブック『村上春樹ハイブ・リット』(2008年11月、アルク)に収録された。
8. 「納屋を焼く」の英訳版は2種類存在する。短編集『The Elephant Vanishes』に収められた「Barn Burning」はアルフレッド・バーンバウムが翻訳したものだが、フィリップ・ガブリエルも翻訳している。ガブリエル版は『The New Yorker』1992年11月2日号に掲載された。
11. 「窓」の雑誌掲載時のタイトルは「バート・バカラックはお好き?」。『村上春樹全作品 1979~1989』第5巻に収録される際、大幅に加筆修正がなされ、タイトルも「」に改められた。

翻訳

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翻訳言語 翻訳者 発行日 発行元
英語 ジェイ・ルービン (8編)
アルフレッド・バーンバウム (9編)
1993年3月31日 Knopf(米国)
1993年 Harmish Hamilton (英国)[4]
フランス語 Corinne Atlan 1998年6月10日 Seuil
ドイツ語 Nora Bierich 1995年 Berlin Verlag
スペイン語 Yoko Ogihara, Fernando Cordobés 2016年3月1日 Tusquest Editores
イタリア語 Antonietta Pastore 2001年 Baldini & Castoldi
Antonietta Pastore 2009年1月 Einaudi
ポルトガル語 Maria João Lourenço 2010年6月 Casa das Letras
スロベニア語 Aleksander Mermal 2010年 Mladinska knjiga
スウェーデン語 Eiko Duke, デューク・雪子 1996年 Gedin
2013年12月11日 Norstedts
エストニア語 Margis Talijärv 2011年 Varrak
ヘブライ語 1999年 Am Oved[4]
中国語 (繁体字) 頼明珠 1995年2月 博益出版
中国語 (簡体字) 林少華 1997年5月 漓江出版社

脚注

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  1. ^ 村上はキッドの作品集『Chip Kidd: Book One: Work: 1986-2006』のために書評「チップ・キッドの仕事」を書いている。同書評は現在、『村上春樹 雑文集』(新潮社、2011年1月)で読むことができる。
  2. ^ ジェイ・ルービン『ハルキ・ムラカミと言葉の音楽』新潮社、2006年9月、畔柳和代訳、417頁。
  3. ^ 本書 24頁。
  4. ^ a b スメルジャコフ対織田信長家臣団朝日新聞社、2001年4月、村上作品一覧・海外編。

関連項目

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